魔法少女があらわれた!   作:ミ゙ヅヅヅ

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タラバガニ食べたい


10話

「まさか、れんちゃんが魔法少女だったなんて……」

 

 俺は家への帰り道に呟いた。彼女とは又今度落ち着いて話そうと言って別れてきたばかりだ。

 

 しかし、同時に大きな失敗をしたのだ。

 

 それは彼女のことを魔法少女だと知ったことが、バレてしまったことだ。

 

 少し先走り過ぎた。彼女のことが気になるなんて露骨なことを言わなければ良かったかも知れない。あの時の彼女の表情は、俺のことを相当に怪しんでいた表情だった。

 

 

『れんちゃんのことが気になる』といった発言をした後、俺に俺に向かってなのか、露骨に魔法のようなものを発している姿が見えた。

 

 怪人になったからだろうか、そう言うスピチュアルなものが見えるようになっていたのだ。

 

 時間が経つにつれてその力は強くなる。

 

 

 恐らくあの時、解析魔法とかでも使われたのだろう。

 

 

 だから、どう言う意味だ、との質問に対して

 

『今、れんちゃんが想っていることで合ってるよ』

 

 となんて言ったのだ。正直アレは命乞いのようなものだ。素直にゲロった方が扱いが良くなるかなといった。

 

 一応確認のために、近くによって彼女の髪飾りを確認したが、確かにあの髪飾りだった。何か魔力のようなものも通っているのが確認出来た。

 

 

 

 つまり、今の状況はこうだ。

 

 

 俺は彼女が魔法少女だと気づいた。そして、彼女は俺がそれを知ったことに気づく。ついでに言うと、俺が戦闘員……もしくは怪人であると気づいた可能性もある、と言ったところだ。

 

 彼女が魔法少女なのは間違いない。青い方の魔法少女だろう。

 

 そうなると、魔法少女の赤い方は彼女の友達の弥永って子の可能性が高い。

 

 

 彼女が何かを隠しているとは相談されていたが、これは相当なことを隠していた。(あき)にどう説明したら良いのか。

 

 

 あの組織に言うか?いや、あの組織に言うと恐らく彼女が裏から消されそうだ。

 

 どうしたものか。俺は悩み続けた。

 

 

 

 

◆◆

 

 

「ただいま」

 

「おかえり、兄貴。大丈夫だった」

 

 

 玄関で和水が出迎えてくれる。見たところ相当心配を掛けていたようだ。まあ、それはそうか。突然兄が怪人にされ、何か訳の分からない相手と戦いに行くと言えば。

 

 だから俺は安心させるためにも明るめの声で言う。

 

 

「ああ、問題ない。何とかなったよ」

 

 

 彼女は「良かった」と言い、あからさまにホッとした表情を取る。そうだ。

 

「昨日話してたビデオのヤツ試してみたんだけど、見る?」

 

 この撮影方法は彼女が収納した物体を体内で自由に動かせるか……という疑問で思いついた方法だ。これを思いついたとき彼女は盗撮に使えんじゃんとか、最低なことを宣っていたのが印象的だった。

 

「昨日の……。ああ、体内で操作して撮影するヤツ?折角だし見るよ」

 

 昨日は詳細とか聞いてなかったから、一体どんな相手と戦ったのか、少し楽しみだったんだよ……と彼女は明るめな口調で言う。

 

 確かに、昨日の時点でどんな相手と戦うか言ってなかったような……。冷や汗が首筋を伝う。

 

 

「……」

 

「和水ちゃん?」

 

 和水は画面を見た途端黙りこける。彼女の視線の先にはやはり、魔法少女の姿があって。

 

「これ、相手?」

 

 

 彼女は起伏のない平坦な声で魔法少女を指差して言う。

 

 少し、言い訳をしたい。でも完全に事実だから何とも言えない。取り敢えず肯定の返事をする。

 

「うん。そこに映っている女の子がそうだよ」

 

「バカじゃないの?!」

 

 目をクワッと開いて叫ぶ。本当に何も言えない。(やま)しいことが多すぎる。

 

「相手どんな怪物かと思ったら幼気な少女じゃん。しかも私と同い年ぐらいの」

 

「同い年だよ」

 

「まじでバカが!昨日私が提案したあの作戦やってないよね。もしやってたら事案だよ事案」

 

 彼女の提案した作戦。それは収納した道具を体内で操って攻撃する方法。そしてその中でも非道な攻撃方法があって。

 

 俺は全力で否定をする。

 

 

「や、やってない。本当にやってない」

 

「ホントだよね。ついでにウォータージェット作戦も、飛び散るナイフ作戦もやってないよね」

 

「やってな……何で作戦名付いてんの?」

 

 ウォータージェット作戦はたぶん凄い水圧で敵を攻撃するやつ、飛び散るナイフ作戦は全身に運動エネルギーごとナイフを収納して放出するやつ。当然するはずがない。しても多分、効かないし。

 

 

「まあ、良いよ。それは。取り敢えず再生して」

 

 和水に言われる通り、俺は動画を再生する。魔法少女が戦闘員相手に無双するシーンだ。

 

 

「……」

 

「……」

 

「ゲボほど強くない?この少女」

 

 

 物凄く焦った表情で彼女は問う。魔法少女たちの恰好に目がいったのかとても泳いだ目だ。正直に話す。

 

「……それ魔法少女だしな」

 

「ちょっと待ってかねかず。お前魔法少女の敵やってんの?世界に絶望とか与えようとしてんの?」

 

 思っていたことが正しいと判明したからか彼女は凄く慌てる。俺と同じく、彼女も日曜女児向けアニメが好きだ。二人で並んで一緒に見ている。両親が、俺たちのことを可哀想な目で見てきたのを、とても覚えている。

 

 因みに、一番下の妹は見ていない。

 

 

 

「絶望って。大丈夫、世界征服だけだから」

 

「何、妥協してやったぞって顔してんの!それでも十分酷いんだよ!!」

 

 

 そんな妥協顔をしていたのか。

 

 

「や、でもな魔法少女側の言い分も結構怪しくてな」

 

「普通に、問答無用でアウトだと思うんだけど……」

 

 

◆◆

 

 

 

「む、確かに。私からは何とも言えんわ」

 

 彼女はそう呟く。そうだろう。俺もこの話はとても悩んでいる所だ。

 

 

「しかし、そうだとしても、どっちも悪ってことになるだけだよ。黒とグレーの戦いみたいに」

 

 それもそうだ。組織側は明らかに悪の立場だし。でも精霊は精霊で歪んでいるから何とも言えない。質が悪いのは自覚がないことだ。本気で正義を目指している。

 

 

「まだ、自分が悪だと言ってるだけマシじゃない?野望があるだけで。世界征服ってのも誇張で、経済世界を征服するって感じだし」

 

「そうなの?えっと魔石だっけ。アレの経済的価値は凄そうだけど」

 

 

 魔石。あれは相当な価値を持つものだ。そもそもこの戦いは石取り合戦であるし。

 

「争ってる時点でどっちもどっちだしな」

 

 組織側が勝つとあの組織は、より強大になる。でも、それと同時に一般人も大きな恩恵を得る。精霊側は精霊本意でしか活動しない。精霊の一人勝ちになる。それだけは阻止したい。

 

 

 

「しかし、こんな相手と戦うとはねえ」

 

 

 和水は歎息しながら呟く。

 

 

「映像見たから分かるだろうが、本気で化け物なんだよ」

 

「うわあ、ヤバいよね。能力を使った防御方法とか考える?」

 

「そんな都合良くあの能力が使えるのか?」

 

 

 俺は疑問に思う。確かにあったら便利ぐらいには良い力だが、魔法少女と比べれば雀の涙程度だ。

 

 和水はうーんと唸ると話し出した。

 

 

「例えば、物凄く硬いものを取り入れた後とかって防御力上がったりするのかな?」

 

「硬さか。重量はあるが重さまでは……ちょっと試してみるか」

 

 

 目から鱗だ。そんな発想はなかった。和水はキッチンへ行くと何かを持って来た。

 

「取り敢えず、はい、フライパン。腹の辺りに取り込んで。一発殴るから」

 

 そして、和水はバイオレンスなことを言い出した。いや、手をグーパーして構えるなよ。

 

「それ、本当に硬くなってたらお前が苦しむだけだぞ?」

 

「む、確かに。……まあ、軽く触ってみるだけでも硬さは分かるだろうし、殴るのは良いよ」

 

 俺は彼女からフライパンを受け取ると、早速お腹にそれを当てて取り込む。

 

 

「よし、取り込んだ」

 

「……これ、ただの筋肉だ」

 

「硬さは反映なしと。一体どう言う仕組みになってるのやら」

 

 

 フライパンを取り出す。

 

「おお、真顔でお腹からフライパン出さないでよ。普通にグロいから」

 

「ああ、悪い。……そうだ。硬いもの取り込むとき、表面だけそのまま残しておくのはどう?」

 

「取り敢えず、やってみて」

 

「ほい」

 

 

 今度はフライパンを少しだけ浮かせる感じで取り込む。すると、腹の中央辺りだけがフライパンになり、それ以外は普通の肌色になる。

 

 

「うわ、腹の一部がフライパンになってる。キモっ……」

 

 

 和水はドン引きする。明らかに半歩ほど後ろに後ずさる。何だか結構なショックを受ける。

 

「普通に傷つくぞ、それ。まあ良い、早く殴れ」

 

「殴らないよ?!それ痛いの分かってんじゃん。触るだけにするよ」

 

 和水は驚いたように突っ込む。何だ殴らないのか。きっと痛いのに。そんなことを考えていると、彼女は恐る恐る、近寄って来る。そして、お腹のフライパンが浮き上がっている辺りの所に触れる。

 

「おお、硬い。実験は成功だ。これを駆使すれば防御力は安心だね」

 

「それは全身金属男になれと」

 

「アイア○マンみたいで格好良くない?」

 

「格好いいけど、リアルではちょっと……」

 

 

 俺は全身フライパン男を想像する。思っていた以上に不審人物であった。何かの雑魚キャラに居そうだ。和水はそれだったらと別の提案をする。

 

「じゃあ、逃げるのに特化する?……こう、煙幕みたいなの取り込んで、攪乱するとか」

 

「逃げようとする前に、殺されそうだけどな」

 

 

 寧ろ、そうなる未来が見える見える。

 

 

「そうだ、いっそパンチとかしてきたら、魔法少女ごと取り込めば良いじゃん」

 

 

 彼女の提案に少し考え込む。これは普通に名案かも知れない。

 

「体積的には俺の方が普通に大きいし、それなら出来るかもな」

 

「でしょでしょ」

 

 

 彼女は満足気に項突(うなづ)く。これは一度試してみるしかない。

 

「じゃあ、和水ちゃん。俺の身体の中に入ってきてみて?」

 

「下ネタかな」

 

 

 彼女は即答する。仕方がない、言い方を変えよう。

 

 

「一緒に交わり合おう」

 

「より、酷くなったよ?!」

 

 

 彼女は先程よりも大きな声を出して反応する。途轍もなく驚いた表情だ。何だか彼女のその表情を見ていると(そそ)るものがあるなと思った。話し合いはもう少し続けて終わることとなった。




精霊は別に、キュ○べぇみたいな感じではなく、ただただ、本来の意味での確信犯をしているだけです。

私、バッドエンドは余り好きじゃないんですよ。(昔メモ帳に書いた、救いようのないループモノから目逸らし)
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