魔法少女があらわれた!   作:ミ゙ヅヅヅ

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今更だけど、これってSFだよね。

和水視点


11話

 私の名前は井東(いとう)和水(なごみ)、ちょっと影の薄い普通の中学一年生です。ちょっとどころではない?そんな訳ない。

 病は気から。影の薄さも気から。絶対に認められない。

 

 

 ともかく、私は、羽根尾町立朱鷺中学校、略して朱中に中学一年生として通っている。

 

 

 

 幸か不幸か、その中学には、小学校からの知り合いは居ない。小学生時代に友達が居なかったというのもあるが、そもそもこの中学に同じ小学校出身の人は一人も居ない。

 

 まあ、それは少し前にあった大規模な市町村の廃置分合によって校区変更が起きたと、そんな理由だから深く考えなくて良いが。ともかく、中学生になり私の環境はガラリと変わったのだ。

 

 そんな私に、この中学で初めて、友達というのが出来た。これを兄に話したところ全力で噓吐けと言われたが、本当に出来たのだ。そして、一昨日まで私の生活は順風満帆だった。

 

 ことの発端は私の兄、井東銃一だった。あの兄は家に帰ってくると衝撃の発言をしたのだ。

 

『改造手術を受けて怪人になったんだ』

 

 本当に意味が分からない。まず、怪人に改造出来る組織があったことに驚きだし、ウチの兄が改造されたことにも驚きだ。

 

 おまけに、そんな状況でも割りと平気そうだった、かねかずにも驚いた。

 

 さらに続けてあのバカは驚くことを言う。

 

 悪の組織に加入した……と。

 

 本当に訳が分からない。本人は洗脳されたとか言っていたが、恐らく金に目が行った、の間違いであろう。見せて貰った契約書、賃金凄かったし。

 

 

 そして昨日、さらに驚いたのは敵対勢力が魔法少女だと聞いたことだ。

 

 

 

 私は魔法少女が好きだ。どれくらい好きかと言うと、毎週正座しながらソレを見ているほどだ。

 

 この歳になって、テレビの前で『ぷいきゅあがんばえー』と応援しないでと母に泣かれた。

 

 店頭で合言葉を言うキャンペーンのときに、『ラブリー♡キャッチ』と合言葉を言って、限定商品貰ってくるのやめてくれとも、泣かれた。

 

 魔法少女が、それぐらい好きだと言う話だ。

 

 

 

 そんな私にその言葉は余りに衝撃的だった。まあ、結局魔法少女側も怪しく感じたので、そこは許してやろう。

 

 

 

 と言うか、このようなことを一般人の私に告げられても、お手上げの情報なのだ。なぜ私を巻き込むのだろうか。

 

 それを聞いたら、愛だと言われた。

 

 問答無用で、弁慶の泣き所を蹴った。

 

 

 

 しかし、知ってしまった以上はどうしようもない。協力するしかないのだが。

 

 

 

(私は一体何をすれば良いのか)

 

 

 

 

 

 

 

 私はコミュ症だ。唯一の友達は前の席の子ぐらいだし。誰かに話し掛けるという積極性がないのだ。そんな私に、彼女は話し掛けに来てくれたのだが。はあ。一生好き。

 

 と、まあ私はこんな感じの人物なのだ。如何(いかん)ともし難い。兄貴の話を聞いても、私に出来ることなど本当に少ない。

 

 時計を見る。八時十五分。私は何をしてるかって?

 

 机に突っ伏して寝ているよ。友達が学校につくのは、本鈴(ほんれい)直前なのだ。時間にルーズなのだろう。

 

 いや、でも、遅刻はしないので、逆にきっちりしているのかも知れない。

 

 

 彼女が来るまで私が何をしてると思っているのか。することがないのだよ。なら結論、寝るのだよ。

 

 

 

 

──ガラっ

 

 

 教室の扉が開く。普段より大きな音。それに少しだけ驚いて、丁度目が覚めたように装い、扉を見る。

 

 

 クラスメイトの伊波恋が教室に入ってくるのが見えた。何やら顔が物凄くにやけていてだらしない表情をしている。一体何があったと言うのか。

 

 そして、彼女は自席まで歩いて行くと、荷物を置いて私の肩を3度ほど叩いた。

 

 ……って、私の肩を?

 

 

 はぁ?!

 

 

 

「ちょっと、話を聞いてくれない?」

 

「え、は。はい」

 

 すぐさま項突く。こう言うとき、頼みを断れないのがコミュ症だ。彼女は、私が項突くのを見ると、すぐさまこう言った。

 

「恋愛相談に乗って欲しい」

 

 

 

 よく分からないけど、相談相手間違っているのではないでしょうか。

 

◆◆

 

 

「えっと、それで、私に恋愛相談……ですか?そもそも、何でそれを私に?」

 

「何でって……何かどことなく彼に似ているような感じがしたので?」

 

 

 可愛くコテンと首を傾げる。か、可愛い。何だ、この破壊力は。

 

 恋愛相談。それは又親しそうな人にしかしないリア充染みたイベントだ。それに今、巻き込まれている。凄く吐きそうな気分だ。

 

 それに、気になっている人の雰囲気が、どことなく私と似ている?

 

 

 両親から魔法少女アニメを引退しろとせがまれている私と似ている人か。

 

 

 自分を悪く言いたくないけど、地雷だね。

 

 まあ、雰囲気が似てるだけだし、ミステリアスみたいな感じか。普段喋らないから謎に満ちている。自虐かな。

 

 ともかく、私は彼女に質問をする。

 

 

「それで、その好きな相手は、どんな人なんですか?」

 

「校外の人で、歳上ですね」

 

「へえ、歳上ですか。性格はどんな感じですか」

 

「優しい感じで、大人な性格かな」

 

 

 優しい感じで大人な人。そしてそれが、私に似ている人。

 

 つまり、彼女は私のことをそう言う印象で見ていたという訳だ。優しくて大人。なんだか甘美な響きに聞こえる。

 

 今後二つ名が必要になったときには『優しき大人』を名乗ることとしようか。適度にダサいな。

 

 

「伊波ちゃん。その人とは一体どんな関係なの?」

 

「兄の友人で昔からよく家に遊びに来ていて」

 

「ほう」

 

 

 昔から交流を重ねていたな……

 

 ……何だか似たようなことを最近聞いたことがある。何かが引っ掛かる。

 

 そう言えば、ウチの兄も伊波ちゃんと面識あったよね。家でれんちゃんとか呼んでたし。

 

 それで、兄と伊波ちゃんの関係は確か、友人の妹とか言って。

 

「んん?」

 

「え、どうしたの?急に」

 

 ……アレ?もしかして今、物凄く場面に出会(でくわ)しているのでは?

 

「伊波ちゃん、伊波ちゃん。その人の名前って分かったりする?」

 

「え、銃一さん……井東銃一さんですね」

 

 

 おう、これは。何たることだろうか。これって、直接兄に報告した方が良いのか。

 

 いや、でも人の恋心を勝手に伝えるのは絶対ダメだし。好きな相手に恋心がバレるのは普通に地獄だ。そんなことは出来ない。

 

 

「へー、かねかずさんねー」

 

 

 しかし、面白い場面に出会したな。かねかずが優しい性格の人ね。

 それは、もしかしなくても、彼女の目は節穴なのだろう。

 

 兄はナチュラルに人のことを(けな)せるクヅだしね。

 

 私以外を貶している所は見たことはないけど。あれ、私がただナチュラルに貶されてるだけなのでは?

 

 

「なるほどねー」

 

 そうなると、あれ?私がかねかずと兄妹なのも気づいてないんじゃないか?相談してきた理由って、雰囲気が似てるからって言ってたはず。

 名字一緒なのになぜ兄妹と気づかないのか。伊藤じゃなくて井東だし、何か勘づいてもおかしくないだろうに。

 もしかして、彼女、私の名前知らないのではないだろうか。

 

 

……藪蛇っぽいから絶対に突付かないでいよう。

 

 

 恋愛相談は続く。

 

 

◆◆

 

 

「連絡先が増えた」

 

 私は満足気な表情をしてそう呟く。鼻息をフンスと鳴らせ、目を閉じ、腰に手を当てる。とても幸せな気分だ。

 

「よ、良かったね?」

 

 前の席から、友達である彼女、いづちゃんは私にそう言った。

 

「いやあ。良い人だね。伊波ちゃんって。これからも相談したいから連絡先欲しいって」

 

 あー、上手いですわ。兄を出しにして手に入れた連絡先、上手いですわあ。

 

「しかし、和水(なごみ)が伊波さんとねえ……」

 

「もう、携帯の容量が軽い和水さんは終わったんだよ」

 

「一件増えただけで容量は変わらないと思うんだけど」

 

「それは言っちゃダメな奴だよ」

 

 

 いづちゃんは、えぇ……と微妙な顔をする。彼女は連絡先一件の重みを知らないようだ。

 

「まあ、それだけ喜んでいたら、伊波さんも本望だろうし」

 

 

 いづちゃんはそう言うと、微笑むように笑った。話がそれで終われば良かったのだが、一つ伊波ちゃんの恋愛相談をする際に問題になることがある。

 

「それで、いづちゃん。一つ、相談があるのだけど」

 

「なに?」

 

「拗らせた男女仲の直し方ってどうすれば良いの?」

 

「和水は、一体何に突っ込んでるの?!」

 

 彼女は大きな声をあげる。傍からみても分かるほど困惑している。

 

 

「ええ、そんな実践的な話私には出来ないんだけど」

 

「いづちゃんって確か、好きな人居たよね」

 

「一応、地元に居るね」

 

「それじゃあ多分大丈夫!」

 

「何が大丈夫なのか」

 

 彼女はそう言い放つ。いや、まあ、好きな人が居るんだしねえ。そう言う拗れたときにアドバイスも出来るかと期待していたのだが。

 

 彼女は悩みながら答えようとする。

 

 

 

「拗らせた男女仲ね」

 

「うん」

 

「うーん、(かたみ)に話し合うしかないと思うけど」

 

「やっぱりそうなるか」

 

 

 伊波ちゃんの話を纏めると、好きな相手から告白された。それについて後日話し合うことになった。と言うこと。

 

 しかし、実の妹だから分かる。兄がそんなことをするはずがないだろうと。兄はこう、受け身な感じで行動するタイプだと私は思っている。

 

 もしそんな大それたことを成し遂げたなら、絶対私に自慢するだろうし。それはもう、ウザいほど自慢してくるだろう。うわ、想像するだけで吐き気がしてきた。

 

 どうせ、アン○ャッシュ的な何かが起こったのだ。そして、そうなった主な原因は恐らく、兄の最悪な言葉選びだと思う。

 

 いや、伊波ちゃんも伊波ちゃんでやらかしている感じもする。

 

 どうするか。詰まるところウチの兄と伊波ちゃんが会うまでに、ウチの兄が伊波ちゃんに惚れれば冇問題(もうまんたい)なのだが。

 

 面倒臭い事態になったことを悟り、私は思考を抛棄(ほうき)した。




出てきた人

いづちゃん
 友達の子。


次の話、まだ600字しか書けてない。ウケる
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