魔法少女があらわれた!   作:ミ゙ヅヅヅ

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大学一回生やから舐めてたけど、忙しい

今までの話でコミュ障のことを、コミュ症って打ってた気がする。訂正しないけど。

短め


12話

「ただいまー」

 

 

 両親と下の妹が旅行から帰ってきた。実に3日ぶりの帰宅だった。見ると、彼らは凄くホクホク顔であった。両親は俺たちに満面の笑みで笑いかける。

 

 

「おかえり。雫ちゃん。楽しかったか?」

 

「しづくー、おかえり。旅行どうだった?」

 

 

 当然のように俺と和水は、それをスルーする。当然だ。あの両親(ばか)にかまける時間など無駄だ。俺たちは気にせず下の妹に話し掛ける。

 

 

「旅行楽しかったよ!大仏、デカかった!」

 

 下の妹……雫は手を大きく開けて大仏の大きさを伝えようとする。そうか奈良か。

 

 

「うんうん。良かったな」

 

「楽しかったのなら、私たちもそれで良いよ」

 

 そうなると、あそこに置いてあるお土産は鹿せんべいかな。いや、柿の葉寿司かも。

 

「うあ、奈良漬けだってよ、兄。寿司が良かったな」

 

「俺としては漬物、結構好きだし、当たりだな」

 

 漬物はご飯にあうからよく食べる。

 

 

「ちょっと、何で無視するのさ」

 

 

 父が何やら騒ぎ出す。

 

 

「胸に手を当てて考えてみて。父さん」

 

 和水の言葉に父親は胸に手を当てる。数秒して、再び首を傾げた。ああ、何も伝わらなかったか。そう悟り俺たちは肩を落とす。

 

 

「流石にねえ。中学生の娘を置いて……いや、それより頻度が多すぎるんだよ」

 

「そもそも、奈良だって過去に何度も訪れてるし」

 

 

 勿論、大阪も京都も、何なら和歌山も行ったことがある。海外旅行も親たちは行ったことあるが、着いていったことはない。

 

 外国語が話せないんだよ。一生鎖国していたいレベル。

 

 

「お姉ちゃん、根っからのインドアだもんね」

 

「アウトドアでも、もう少しは頻度を考えるとお姉ちゃんは愚考するんだけど」

 

 

 インドアなのは否定しないんだな。そう思うが口には出さない。俺もバイトない日は、大抵家でダラケているし。

 

「かねかず君もインドア趣味だしね」

 

「まあ、不精だし。家で済むならそれが一番楽だしな」

 

 

 と言うか、俺たちのインドア趣味は昔からの度重なる旅行の反動みたいなものだろうし。結果、下の妹だけがアウトドア趣味に目覚めたのだが。

 

「それで、銃一。私たちが居ない間に何かあった?」

 

「……いや、何も」

 

「何もないよね。兄貴」

 

 怪人のことは隠すことにした。これは、この前の話し合いで決めたことだ。本来ならば和水にも言わない方が良かったのだが、それはもう遅いので諦めた。

 

 

◆◆

 

 

「それで、兄。伊波ちゃんと二人で話するってホント?」

 

 食事が終わり、自室で携帯を弄っていたところ、和水が部屋に入って来てそう言った。

 

「何処から聞いたんだ、その話は」

 

「今日、学校で伊波ちゃんから聞いたんだ」

 

 

 まさか、和水にそんなことを話すとは思って居なかった。と言うか、俺のことを妹に相談するってどうなんだろうか。いや、もしや……

 

 

「お前、れんちゃんに名前覚えられてないんじゃ」

 

「そんな訳ないよ!……たぶん」

 

 

 そんな訳ありそうだ。妹だとは思わず、俺のことを相談してしまったと言うことか。相談と言っても、ありのまま話すことはしていないだろう。

 

 和水は言う。

 

 

「それで、伊波ちゃんとの逢い引きだって?」

 

 

 思わず、心臓が跳ね上がりそうだった。なるほど。二人で会うと言うのをカムフラージュするためには、逢い引きは丁度良い。恋愛相談にでも見立てて、和水に相談したのだろう。と言うか、何故和水にしたのだろうか。席が前とか言っていたし、丁度良かっただけだろう。

 

 何を相談したのか。それは全然解らない。意図が見えないのだ。

 

「一体どんな話をしたんだ。取りあえず、聞いた話を全て聞かせてくれ」

 

「ええ、流石にそんな野暮なこと出来ないんだけど……。いや、ここで勘違いを糺すのも良いかも知れない」

 

 

 和水は小さな声で呟く。勘違いとは何だろうか。

 

 

「取りあえず、伊波ちゃん側は兄貴のことを悪くは思って居ない……とだけ伝えておくよ」

 

 怪人なのにか?……いや、ちょっと待て。悪く思われてないと言うことは、つまり俺が怪人なのはバレていないと言うことなのでは?

 

 ただただ、知り合いに魔法少女なのがバレた……みたいな状況と思っているのか。そうなると、状況は幾許か楽なのだが。

 

 

「ねえねえ、かねかずってさ、伊波ちゃんのことどう思ってる?」

 

 

 そんなことを考えていると、彼女は急に訊ねてきた。何だろうか、藪から棒に。

 

 

「えっと、……いやさ、私も彼女とは今日初めて喋ったんだよ。どんな人かくらい知っておきたくて」

 

 なるほど。それらしい理由だ。

 

「そうだね。一応良い子だとは思うよ」

 

 

 だから、俺は正直に答える。俺のことを避けたことにも罪悪感は持っていたし、根は良い子なのだと思う。実際、魔法少女に選ばれるくらいには良い子だし。

 

「うんうん。なるほど。一応聞いとくけど、伊波ちゃんのこと好きだったりする?」

 

「いや?彼女と余り喋ったことがないから何とも言えないな」

 

 そうじゃないにしても、歳の差的にちょっとアレだろう。何故、和水がこんなことを聞いてきたのか。

 

 

 れんちゃんの相談の名目が、恋愛相談だったからだろうか。それなら、余り深く考えなくて良いかな。

 

 

 俺の答えに、和水はふーん、とだけ呟くと俺に問いかける。

 

 

「ねえ、かねかず。伊波ちゃんとは、何処で会うことになってるの?」

 

 

 そう言って、彼女は顔をニヤけさせる。下卑た顔だ。恋愛話だと、彼女は思っているので、尾行しようと考えているのだろうか。それは何としてでも阻止しないと。

 

 しかし、会う場所ねえ。

 

 

「町の外れにある廃工場かな」

 

「何でそんな所に集まるのさ!」

 

 

 和水は愕然とした表情でそう叫ぶ。何でって、俺が怪人だとバレてたと思ってたからだ。

 

 だから、なるべく戦闘のしやすい場所を選んだだけなのだが。

 

 廃工場って、物が雑多だし多分俺の能力的に有利そうだしね。こう、収容物の入れ替えとか容易そうだし。

 

 後、拓けた場所だと瞬殺されそうな気もしたし。

 

 

 俺のことを怪人、もしくは組織関連のものであると、気づいていなければ良いな……と思った。

 

 




和「あれ、何だか泥沼化している気がする?」

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