魔法少女があらわれた!   作:ミ゙ヅヅヅ

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ポケモンの二次に手を出した所為で、こちらに手が伸びない……だと?

モチベってどうすれば、湧くのかな。


13話

 火曜日の夕頃。俺は町の外れにある、廃工場へとやって来ていた。破れたフェンスを(くぐ)り抜けて、工場の敷地内へと入る。この工場は、潰れてから久しいが未だに物が雑多としている。曰く、それらを撤去するのに金が掛かりすぎるとか何とか。工場は潰れたときのまま、手付かずとなっている。

 

 廃工場に入って暫く歩くと、彼女、伊波れんが既に到着しているのが見えた。

 

 

「ごめん、待たせたね」

 

「ぴっ……い、いえ。予定より早いですし」

 

 

 確かに、今の時間は予定時刻よりも十分ほど早い。彼女は一体いつから待っていたのだろうか。

 

 

 このような状況になった原因は、先日の日曜日。ひょんなことから、俺は魔法少女の正体が彼女であると知ってしまった。それだけならまだ良いが、彼女はなんと俺が秘密を知ってしまったことに気づいてしまったのだ。

 

 

 俺が彼女の正体を知った瞬間に、彼女から魔法のチカラ的な何かを感じたから確かだと思う。

 

 恐らく、魔法少女の秘密を知られると本人に伝わるように細工がされていたのだろう。

 

 

 今回のこの場は、そのことに就いて話し合うために設けたものだ。

 

 その約束をした時点では、俺が悪の組織の者だとバレたと思い込んで場所をセッティングしたため、廃工場での集合になってしまったのだが。

 

 

 そりゃあ、戦うかも知れないと思っていたから、収納能力を使いやすい廃工場を選んだんだよ。間違っても、障害物のない場所で戦えば即死だろうし。それほどまでに、俺と彼女のチカラの差は歴然としているのだ。

 

 

 なので、悪の組織バレをしていないことを知った現在。こんな所で会わなくても良かったのだが、下手に場所を変えるのも怪しいとも思ったためこのままにした。

 

 

「そ、それで話とは……」

 

 

 早速、彼女は俺に問いかけた。この状況は俺にとても優位な形で進んでいると思う。俺が一方的に、彼女の秘密は握っている状況なのだ。上手く立ち回れれば、魔法少女に対して強力な一撃を与えられる。

 

 

 彼女は、期待と不安が入り混じったような表情で俺を見つめる。顔色は不安からか、いつものように蒼くなっている。

 

 

「俺は出来る限り、れんちゃんの感情を尊重したいんだよ」

 

 

 俺は安心させるように、そう答える。原時点で俺は、彼女が魔法少女だと言い触らす気は一切ない。

 

 

 そもそも、正体を周囲にバラすのは得策ではないのだ。組織に変身していないところを狙われて、彼女が危険な目に遭うかも知れないし。

 

 彼女たちをどうにかしても、本体の精霊をどうにかしないと、第2、第3の魔法少女が現れるだろうし。

 

 

 バラすという選択肢はないのだ。

 

 

 それに、バラさないことで俺は彼女に対して、精神的優位に立てるカードを持ち続けることが出来るのは大きい。彼女、魔法少女と交渉の席に立てるカードはそう多くない。こんな所で手放す訳にもいかないのだ。

 

 

 

 

 

「私の気持を……。尊重、つまりそれって」

 

 彼女はボソボソとそう呟く。彼女の思っている通り、俺は秘密を喋るつもりはない。

 

 俺はそう考えていると、彼女は意を決したような表情で、俺に話し掛ける。

 

 

 

 

「そ、そそ、それって

 

……、私に付き合って貰えるってことです、か?」

 

 

 ……はい?

 

 

 俺は彼女の呟きに身体を(こわ)ばらせた。

 

 

 何か、彼女が勘違い起こしている気配がする。どうして、そのような発想になったのか。

 

 俺は暫く考えてみる。私に付き合って貰えるとは、魔法少女の手伝いをしてくれる……みたいな解釈で良いだろうか。つまり、俺の言葉をそのように捉えたと。

 

 

 

 俺は間違いを訂正しようと、口を開こうとしたが、ちょっと待てよと一つの考えが閃いた。

 

 

 このまま勘違いをさせて、彼女に付き合った方が俺としては都合が良いのでは……と。

 

 

 組織の最大の悩みは、魔法少女を煽動する精霊にコンタクトが取れないことだ。精霊は純粋なことに悪辣だ。言葉が矛盾しているようだが、俺の認識的には、この表現が一番正しい。

 

 

 それに、直接精霊に会って組織の言っていることを確かめることもしたい。今の精霊への認識は一方の意見を聞いただけにすぎない。余りに片寄った情報だ。

 

 

 

 実を言うと今日の朝、松村さんに収納能力を使ったカメラ撮影のことを話したのだ。その際、魔法少女の情報収集の任務につかされた。

 

 出来たらやってね……くらいのノリで話されたので、そこまで重視していなかったが、これは丁度良いのではないだろうか。

 

 俺はれんちゃんの手を両手で握る。

 

 

「それじゃあ、これから宜しくね」

 

 

 俺は、真っ赤な表情をしたれんちゃんにそう笑い掛けた。

 

 

 

◆◆

 

 

 わたしの名前は弥永いつむ。中学一年生だ。でも、これは世を忍ぶ仮の姿で、本当の正体は魔法少女なのだ!

 

 ……いや、別にこれは本名で学年も中一なので仮の姿ではないか。

 

 

 ともかく、わたしは魔法少女である。正直言って、平和だとかは興味がなかったが、魔法に興味があったので魔法少女になった。そのおかげで彼女、伊波れんと友達になれたのだから良かったのだが。

 

 

 そんなわたしはと言うと、現在……

 

 

 

 

「……」

 

 

 廃工場の物陰から顔を出して、ニマニマと笑っていた。きっと、今の表情を(かがみ)で見ると気持悪いことになっているだろう。

 

 

 ことの始まりは、日曜日の午後だった。

 

 何と彼女、伊波れんの想い人である銃一さんとの関係が、一気に進展したのである。彼女の勘違いではないことはわたしも確認した。

 

 その日は一日中、ニヘニヘ口許(くちもと)を歪ませていた、れんちゃんの介護をすることとなった。

 

 やれ、話ってどんな内容だろうだの、やれ、付き合ったらどんな場所に行こうかだの。本当に疲れたのをよく覚えている。

 

 

 そして、現在。学校帰りに直で、この廃工場までやってきた。どうして待ち合わせ場所を廃工場にしたのかは分からないが、どうせ誰にも邪魔されたくない場所にしたいとか、そんなものだろう。

 わたしは、れんちゃんにどうしてもと言われて付添(つきそ)いで来た。本来ならずっと隣にいて欲しいと言っていたが、流石にそれは(まず)いとわたしが判断し、妥協としてここの物陰に隠れることとなったのだ。

 

 あれ、この前のときも隠れていたし、わたし隠れすぎじゃね?

 

 

 そして、銃一さんがやってきたのは、この二十分後。彼は予定時刻より、十分早く到着した。

 

 ……そもそも、何でわたし達は三十分前行動をしているんだろうか。そんなことを思いつつも、わたしは、れんちゃんと銃一さんのやり取りを眺めていたのだが、(つい)に核心の言葉が言った。

 

 私に付き合ってと。れんちゃん、助動詞間違えてるやん。まあ、伝わるから問題ないか。銃一さんも、これからも宜しくとか言って手を握ってるし。もし、伝わってなかったら、何処に付き合えば良いのとかベタなことになるけど、この反応は大丈夫そうだ。

 

 

 そう思ったのも束の間、れんちゃんは手を握られた興奮で失神した。これは大丈夫じゃないわ。わたしはすぐさま、物陰から飛び出して、彼女のもとへと駆け出した。




ストックが……。
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