魔法少女があらわれた!   作:ミ゙ヅヅヅ

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ストックないのに何で投稿してるんだろ


5話

 松村さんが何かを唱えると、眼の前の風景がグニャリと歪んだ。

 

 例えるなら、立ち眩みが起きたときのような感覚。それに伴って空間が歪んで風景が変わる。

 場所は地下室のような部屋から一変して、何処かの草原のような所に来ていた。

 

 いや、恐らくここは……近所にある公園の広場だ。普段は居るはずの公園利用者が居なくて勘違いした。

 

 そうだ、いつも居るはずの大勢の人が居ない。

 

 

 そして、代わりと言って良いのだろうか。煌びやかなドレスのようなものを着た二人の少女と、如何にも悪そうな服装の男が、全身黒タイツの人たちを連れて立っていた。

 ええ、何この状況。

 

 

『この星の平和はわたし達が守る!』

 

 ドレスを着た二人の少女がそう言い放っているのが見えるが、全く状況が見えない。

 

 今、俺たちが立っているのは、公園に植えられた木の後ろ。ちょうど木の影で向こうにいる集団には姿は見えていないと思う。

 

「おのれ、また邪魔をしにきたのか魔法少女!」

 

 

 遠くから聞こえる声。二人の少女に全身黒タイツの人達を連れた如何にも悪そうな服を着たイケメン。一体何の茶番なんだ。

 

 

「えと、松村さん。何ですか?あの煌びやかな服着た少女と全身黒タイツの変態連れたイケメンは」

 

「ああ、あの変態引き連れたイケメンが我が組織の幹部、変態は戦闘員だよ。そしてあの少女が僕達の敵だね」

 

「ええ……」

 

 

 物凄く関わりたくなくなってきた。と言うか、松村さんも普通に変態言ってる。

 

 そして、極め付けは敵が少女な点だ。少女相手に大人が戦うって倫理的に大丈夫なのか?

 

 少女たちの姿を見る。一人はピンク髪に赤を基調としたドレスみたいなのを着て、もう一人は水色の髪に青を基調としたドレスを着ている。

 それぞれ、よく髪飾りのようなものを付けており、ピンク髪の方は円……太陽?をモチーフにした飾り。水色の髪の方は三日月?をモチーフにした飾りを付けている。

 

 そして、ピンク髪の子は杖のようなものを持っていて、水色髪の子は玩具銃(トイガン)のようなものを持っている。

 

 

 日曜朝の女児向けアニメでこんな光景を見たことがある。あのアニメ、普通に面白いから毎週見ていて知っているぞ。その少女と敵対する松村さん達も世界征服目論んでるって、設定もまんまだし。

 

「……ああ、キミも何とか察したみたいだね。相手はキミが思ってるように女児向けアニメのアレだよ」

 

「何か、女児向けアニメって実在したのか……みたいな感覚ですけど!」

 

 

 あっ、こんなこと話している間に、魔法少女的な子達が黒タイツの人達をバッタバッタ倒していってる。凄い。黒タイツも人間離れした動きしてんのに、女の子達は赤子の手を捻るように倒していってる。強い。

 

 

 おお、赤髪のイケメンが何か唱え出した。地面から黒いもやのようなものが出てきた。そして近くにあった自販機にもやを纏わり付かせた。

 

 

 自販機が怪物みたいなのに変化した。でもすぐに女の子達が想いやら気持ちやらと言ってぶっ飛ばした。強い。

 

 

「ああ、強いね。良い線いってると思ったんだけど。ボスになんて言おう」

 

「ちょっと待って下さい。アレと戦うんですか?軽く死にますよ」

 

 

 俺に付けられた能力は物の出し入れだろ。

 いや、使いようによってはまだ何とかなるか?

 

 トラックを十数台取り込んで一気に落とすとか。それで何とかなりそうなタマでは無さそうだが。

 

「いやいや、井東くん少し勘違いしているよ」

 

 俺の心を読んだのか松村さんは口を挟む。

 

 

「あれ?能力の詳細違いましたっけ?」

 

 

 もしかしたら、隠された能力があるのかもしれない。もっと戦闘的な能力が。

 

 

「トラックなんて大きいもの収容できる訳ないだろ?容量はキミの身体の体積分だけだよ。重さも収容したら突然減るなんてことあり得ないし、トラックなんてもの持って動けないだろう?」

 

 

 想定以上にダメだった。魔法みたいな世界観なのにどうしてダメなんだ。もう少し融通利かせろよ。

 

 

「井東くん現実的に考えて。自分の体積以上のものをどうやって身体の内部に収容するんだ。重さだって質量保存則があるんだから。あの法則を無視できるの、今のところ核反応だけだよ」

 

 

 魔法少女がいる世界なのに?

 

 

 松村さんは更に続けて能力の詳細を伝えてくれる。軽く嚙み砕いて解釈する。

 

 曰く、

 

 身体を特殊な膜で包む改造をして、膜の内部に収納するらしい。でも収納した膜を持ち歩くことに変わりはないから重さは当然あると言うこと。

 

 そして、普通の戦闘員とちがって怪人は特殊能力に特化したものだから、身体強化は少ないと。

 

 あれ?黒タイツの人たちより弱くない?

 

 

 

「それ無理ゲーじゃないですか?」

 

「……まあ、実験品だし」

 

 

 人を実験品呼ばわりしてくる所に、悪の組織味を感じる。そう言えば、怪人一号って言っていたな。

 

 

「これ、相当危険じゃないですか?魔法少女とかというのと戦うんですよね……。冗談抜きで死ぬと思うのですが」 

 

 

 当然の疑問だ。魔法少女、普通に怖いのだ。アレと戦闘するとか正気の沙汰ではない。さっき見ただけでその力は十分に分かる。

 

 しかし、松村さんはなんてことない風に答えた。

 

 

「キミが思ってる程危険は無いよ」

 

 

 その言葉にハッとする。

 敵と言っても少女。少女というと大体小中学生ぐらいだ。

 

 そのぐらいの年齢の少女が人殺しみたいなことをするだろうか。恐らく手加減ぐらいはしてくれるのかも知れない。油断はしなくても、そこまで警戒しなくてもいいかも知れない。

 

 

 

「そんなことで死ぬ程やわな改造はしてないから」

 

「死ぬ程の攻撃される前提?!」

 

 

 酷い前提だ。確かにアレに生身でぶつかったら簡単に死ぬる自信はあるが。触れただけでミンチになりそうだもん。

 

 

 まだ遠くで(たむ)ろしている彼女達をみる。一見するとあどけない少女に見えるが、その内に秘めたる力は恐ろしいほどに強い。

 

 

 

 ピンク髪の方は、何というか勝気で明るい子みたいな感じがする。ピンク髪なんて街に居たら普通気づきそうなものだけどな。変身したら姿が変わる……なんてのもよくあるか。

 

 水色髪の子は、ニコニコとしていて穏やかな感じに見える。戦い振りから絶対に穏やかではないと思うが。何というか幼い感じに見える。

 

 うーん?

 

 

「まだ、何か悩んでる感じ?大丈夫だよ。今のところは死者ゼロだよ仮に死んでも遺体さえ爆散しなければ何とかなるし」

 

「物凄く気になる話ですが、別のことです。……えと、魔法少女の正体って判明しているんですか?」

 

 仮に死んでもと言う話が物凄く引っかかるのだが、一先ず置いて……置いておこう。その前に魔法少女の正体について気になるのだ。

 

 松村さんは悩ましげに話す。

 

 

「正体か。それが分かってるなら苦労はしないんだけどね。ピンク髪とかすぐ見つかりそうなもんだけど」

 

「そりゃそうですが」

 

 

 俺としてはピンク髪より、水色の髪の子が気になる。アレ、何処かで見た顔なんだよ。……って言うより、思い出せないが、本当に見たことがある顔だ。

 

 

「はは、そんなに怯えなくていいよ。普通の戦闘員だと……6階建ての建物から飛び降りても擦かすり傷一つ付かないぐらい凄い強化だよ。問題ないって」

 

「……いや、例えが微妙でよく分かりませんが」

 

 多分凄いのだと思うが。

 

 

「6階から飛び降りても無事って、破格だけどね……副作用も特に無いし」

 

「6階って言っても建物によって変わりそうですが……。それに俺の場合はどうなるんですか?身体強化は中途半端って言ってましたけど」

 

「……大体3階ぐらいからでも大丈夫じゃない?4階になってくると結構痛むかな。5階だったら骨折するね」

 

「身体強化の単位が階なのが気になります」

 

 

 戦闘力の単位『階』の所為であんまり話が入ってこない。いや、凄いのは分かるんだけど。

 

 

 アレ?さっきまで何考えてたか。まあ良いや。

 

 

「高さは学校を想像して貰うと良いよ。ともかく、身体が頑丈なんだよ。それに、敵は僕たちを殺したくないみたいだし」

 

 

 僕たちも流石に殺すのはヤバいと思ってるから殺さないし、相手も殺さない。

 

 案外緩いな。世界征服を企んでいる癖に。

 

 

「女児アニメみたいに、平和な世界な感じですか?」

 

「死にはしないけど怪我はちょくちょくする……って状態を、平和と定義するならね。まあ、怪我をしても治療はうちの十八番(おはこ)だから問題ないけど」

 

「治療が十八番ってまず怪我させないのが一番な気がしますが。十八番ってことはこの組織、元は病院かなんかですか」

 

「それに近しいとこだよ。研究とか販売とかがメインだけど。改造なんかも手を出したから、迷走してる気がしなくもないが」

 

「迷走って……。いや、まあ、最低限死にはしないってことだけ分かったし良いか」

 

 

 最低限死にはしないとか言う過去一不安な言葉を口にする時が来ようとは。

 

 

「危険承知で考えたら、結構割りの良い仕事だよ。それで井東くん、悪の怪人する気になったかな?……その気がなくてもやらせるけど」

 

「選択肢なしだ!」

 

 

 はいorイエスの質問だ。多分この人やらないって言っても洗脳でも何でもして入れているタイプの人だ。

 

 

「いえ、まあ、そうでなくてもやりますが」

 

 

 まあ、しょうがない。やるしかない。下手に洗脳されてやるよりマシだろう。

 

 決して、今松村さんがひらひらとはためかしている、契約書に書かれている金額に目が眩んだ訳ではない。洗脳を言い訳に使う訳がない。決してない。

 

 しかし、倫理的なところに目を(つむ)れば楽でお金が凄いな……とかそんなことは考えてない。取りあえず血眼(ちまなこ)になって契約書や規約みたいな書類を読み進める。

 

 

「そうだ。叛逆行為とかは、洗脳措置になるからしないでね」

 

「やっぱり俺が手術了承したのってその洗脳措置が……ってまあひとまず置いときますよ」

 

「洗脳は流石にしてないよ」

 

 小さく『暗示だし』という松村さん。昔から耳は良いから普通に聞こえる。暗示は洗脳に含まれると思うのですが。

 

 

「じゃあ、戦闘も一通り終わったみたいだし帰るよ」

 

 彼はまたもや何かを唱えた。すると先ほどと同じように空間が歪む。元の地下室に戻って来たのだ。

 

 

 恐らくこのときは意識が昂揚していたのだろう。もしくは判断力を停止させる暗示をかけられていたか。

 

 

 その後、色々面倒臭い契約書の数々を読み進めてサイン、印鑑を押すという作業に入ることになった。契約書を読んで押印。印鑑に関しては、何故か松村さんから手渡されたのでそれを使った。

 相手の印鑑持ってるとか偽装簡単にできるじゃないですか、やだ。

 

 

 ともかく、普通なら金に目が眩んだとしてもこのような行動を取らなかっただろう。ホントだよ。そこまで金に汚れてないから。

 

 

 選択肢がなかったとは言え、この行動が俺の運命を狂わせることとなる。

 

 




出てきた人


ピンク髪の魔法少女
 たぶん主人公的立ち位置。

水色髪の少女
 誰かに似てる。皆目見当がつかない。

イケメン
 幹部の人。

黒いタイツを着た変態
 変態。

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