テイオーが可愛すぎて書きなぐった物体   作:妖魔夜行@

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 この前CDを買い揃えたんですよ。収録されてた恋はダービー聴いて思いましたね、「こりゃあヤンデレテイオーにされるわけだわ」ってね。気になった人は、STARTING GATE1を買おう!(ダイマ) どうした急に

 今回はアプリ版を少し参考にさせてもらいました。まあ私容量なくてウマ娘出来ない容量弱者なんですけどね(号泣)
 アニメ2週してYouTubeでテイオーのストーリー見た程度の知識しかないんだよなぁ。要するににわかです。設定諸々無理ありますけどスルーしてくだせぇ……


序盤脂多め後半薄めのテイオーヤンデレもの

 数多のウマ娘が頂点を目指して通うトレセン学園。そこでは多種多様のウマ娘達が競い合い、励みあい、世界一のウマ娘になるためにトレーニングをしていた。

 そして、学園の中庭のベンチで項垂れる男が一人。

 

「また逃げられた……」

 

 男はウマ娘のトレーニングのコーチを務めるトレーナーだ。どうやら自分のチームメンバーを集めるために近くを通りかかったウマ娘を片っ端から誘っていたようだが、トレーナーの熱すぎるやる気について来ようとするウマ娘がいないらしい。

 

「ど〜したのトレーナー、はいスポーツドリンク」

「ああ……ありがとうテイオー」

 

 トレーナーに冷えたペットボトル飲料を渡したこの少女の名前はトウカイテイオー。枝毛ひとつないサラサラの長い茶髪をポニーテールにまとめ、前髪の白いメッシュがまるで流星のように強く存在感を放っている。

 彼女はこのトレーナーが担当する唯一のウマ娘である。トレーナーの熱い指導を忌避するどころか嬉々として受けている変わり者だ。しかしその実力はトレセン学園に在籍するウマ娘の中でも上位から数えた方が早い。

 何故そんな才能溢れるウマ娘を担当しているのに他のウマ娘は誰も寄ってこないのか、自分を避けるのか、顔か? 顔が悪いのか? と自分の顔をこねくり回している。

 

 トレーナーが整形するかどうか真面目にアホなことを考え始めた辺りでテイオーがトレーナーの背中を叩く。

 

「もー! しっかりしてよトレーナー! 別にボクはトレーナーと二人でも大丈夫だってば!」

「いやしかしな……お前も競い合える強敵(とも)が仲間にいた方がやる気が出るだろう?」

「んぅー……まあ確かに大勢で走ると楽しいけど、一人の方がトレーナーの指導も集中して受けれるしさ、悪いことばっかりじゃないよ?」

「テイオー……お前はほんっとうに可愛いやつだな……」

「えっへへ。まあボクは無敵のテイオー様だからね! 可愛さもかっこよさも最高なんだから♪」

 

 そう言って無い胸を張るテイオー見て沈んでいた気持ちが和らぐトレーナー。思い返してみればテイオーには何度も助けられている。

 トレーナー自身、育成の腕は悪くない。だが如何せん指導態度が悪かった。暴力を振るうわけでも口が悪い訳でもない、ただ単に言動と態度が熱っ苦しいのだ。指導する姿は某プリテニスプレイヤーを彷彿とさせる。お米食べろお米! と言わんばかりにラケット、もとい腕を振りフォームを教えるトレーナーの姿は学園内でも有名だった。

 その熱さに着いてこれなくなり5人いたウマ娘たちは一人また一人も次第に減っていき、残ったのはトウカイテイオーただ一人だった。

 かつてのチームは無くなり今はトウカイテイオー専属トレーナーとして指導に当たっているが、それでももう一度チームを作りたいという夢は諦めきれていない。

 

「ほらほら、折角冷えたやつ持ってきたんだから早く飲みなよ。ぬるくなっちゃうよ?」

「おっと、そうだったな。ありがたく頂くよ」

「ウンウン。ありがたく飲んでね!」

 

 まだ五月だと言うのに照りつける日差しは真夏のように熱い。日陰も風もない場所で日光に当たり続けていたからか汗も滝のように流れている。

 キャップを回しほんのりと甘いそれを飲む。冷たい水が喉を潤し流れた水分を補給してくれる。相当喉が渇いていたのだろう、350mlのペットボトルの中身はすぐ無くなってしまった。

 

「ぷはぁ、ご馳走様」

「いい飲みっぷりだったね。ゴミは後でボクが捨てておくよ」

「いいのか? いつも悪いな」

「いやいや、いつも熱心な指導してくれるからね、ささやかなお礼だよ。どうせ廊下にゴミ箱あるしね」

 

 テイオーにペットボトルを渡したところで休み時間が終了したことを知らせるチャイムが鳴った。辺りを見渡せばあれ程いたウマ娘たちは殆ど校舎の中に戻っており、未だにベンチに座っているのはトレーナーとテイオーだけだった。

 

「あっ、予鈴だ」

「昼休みも終わりだな……俺もミーティングルームに戻るか」

「ボクも教室行かないと。じゃあまた後でね! トレーナー!」

「おーう」

 

 ベンチから立ち上がりすたこらと校舎に向かうテイオーを見送り、自身もトレーナールームへ向かわんと腰をあげる。

 

「あっちぃ……ほんとに五月か?」

 

 あごに滴る汗を拭い、日陰を欲しながら歩き始めた。生憎日陰は見当たらず、日差しは容赦なく照りつけている。青々とした芝生も萎びれてどこか元気が無さそうだ。

 どうやらお天道様はトレーナーに厳しいらしい。

 

 

ウマ

 

プリティーダービー

 

 

「よしよし、トレーナーの誘いに乗っていないね。えらいえらい」

 

 トレーナーに悪い虫がつかないようにテイオーは常に目を光らせている。現在はトレーナーが色んなウマ娘に勧誘をかけているが首を縦に振る者はいない。当然だ、そうならないよう釘を刺しているのだから。釘を刺すと言っても別に脅しをかけたりしているわけではない。ただ、外堀を埋めているだけだ。

 

「トレーナーの隣にいていいのはボクだけなんだから」

 

 テイオーはインタビューを受けた際に必ずトレーナーについて話す。トレーナーがいたから自分は強く、速くなれた。トレーナーと築いている信頼関係は親愛を超えている、と。

 

 トレーナーはこのインタビューの詳細については何も知らない。何故か? それはトレーナーの耳に入らないようテイオーが情報をシャットアウトしているからだ。故に周りから見たトレーナーとテイオーの関係は恋人、もしくは未来の夫婦、そう言ったものに見えている。

 

 そんな仲睦まじい二人の関係を引き裂けるものがいるだろうか? いや、いない。いたとしてもテイオーが許さない。

 

「トレーナーの声を聞いていいのはボクだけ、ボクだけなんだ……」

 

 熱血指導が受け付けない? そんなワケが無い、親身になりウマ娘の意見を聞き本人の意見を聞きトレーニング組み込む、体調が悪かったり伸び悩んでいれば寄り添い話を聞いてくれる。これがトレーナーの指導方法だ、この内容を聞けば殆どのウマ娘は喜んで熱血指導を受けるだろう。しかしテイオーはそれを許さない。トレーナーの指導を受けるのは自分だけ、トレーナーの視界に映るのは自分だけでいいのだ。

 トレーナーの指導を受けたいと近寄ってくるウマ娘にはお話をして諦めてもらうが、それでも諦めない相手には念入りにお話をして納得してもらっている。今までもそうだった、そしてそれはこれからも変わらない。

 

「ありえないと思うけど、トレーナーが他のウマ娘を誘ってきたら昔みたいにお話して出ていってもらおう。だってボクとトレーナーの間に他のウマ娘は必要ないもんね」

 

 元々チームには5人いたが、指導についていけずやめていった? それもありえない。テイオーの絶対零度の視線に耐えきれず胃を痛めて辞めていく者が殆どだ。

 トレーナーの隣には自分だけいればいい。トレーナーの指導を受けるのは自分だけでいい。

 

「トレーナー、喜んでくれるかな?」

 

 手に持っているのは冷たいスポーツドリンク。テイオーの部屋から持ってきたものだ。中には少しだけ体が火照る粉が入っている。

 

「えへ、えへへ。トレーナーから喜んでくれるよね」

 

 手を振って、ベンチで項垂れるトレーナーの元へ向かった。

 

 飲み終わったペットボトルは保存するために貰わなければ、心のメモ帳に書き込んだ。

 

「ボクが捨てておくからね♪」

 

 勿論、捨てるわけがない。大事に、大事に保管する。ペットボトルは『再利用』できるエコな素材なのだから。

 

 

ウマ

 

プリティーダービー

 

 

 トレーナーは学園に籍を置いているが、教師ではない。部活動のコーチが近いだろうか。トレーナーが指導を行うのは平日に設けられた練習時間に限られる。

 では指導をしていない時間は何をしているのかと言うと、それは勉強だ。勉強と言っても生徒のように勉学に励む訳では無い。効率のいいトレーニング方法やトレーニング器具を探し、調べる。またトレーニングメニューを組むのもトレーナーの仕事だ。

 

「うーむ……だあああ! ダメだあ! ぜんっぜん思いつかん!」

 

 しかしこのトレーナー、如何せん頭が固いため柔軟な思考というものが取れない。というのものどんなトレーニングも学園内で解決しようとするのだ。実際それで間違いは無いのだが、ウマ娘の調子が悪ければ気分を変えるために学園外のコースを走らせるトレーナーもいる。

 ウマ娘だって体調が悪ければ満足に足を動かすことも出来ないし、気分が乗らなければ練習に身が入らない。そう言ったウマ娘の体調の管理もトレーナーの仕事になる。

 

「そう言えば最近走りに集中出来てないことも多いしな……どこか遊びに誘ってみるか? シンボリルドルフ*1のトレーナーも機嫌をとるために漫才劇場に連れて行ったとか話してたしな……」

 

 そう言って自身の財布の中身を確認する。給料日前の財布は少し寂しいが水族館くらいなら行けないことも無い。それともテイオーのことだからゲームセンターなどを好むだろうか、後でそこら辺の話もよく聞いておかなければ。

 と、思っていたところでなんだか無性に体が熱いことに気づく。

 

「おいおい、まさかまた熱中症か? 最近多いんだよな……」

 

 冷房もつけているはずなのに汗が止まらない。それどころかクラクラと目眩までしてきた。テイオーから飲み物の差し入れを貰っているというのにほぼ毎週熱中症のような症状に悩まされている。体質の問題なのだろうか、少し寝れば回復するので仕方なく練習メニューを書いていた手を止めた。

 

「仕方ない、練習の時間までまだあるし、少し仮眠を取るか……」

 

 パイプ椅子に体を預け、トレーナーはまぶたを閉じた。頭がボーッとしていたからか、だんだんと深い眠りの海に揺蕩っていった。

 

 

 

 体に重量を感じて目を覚ます。パイプ椅子で寝てたはずだったが、いつの間にかソファに寝かされているではないか。一体誰がこんなことを、なんて推理するまでもなく、掛け布団のように自身の体に覆いかぶさっているテイオーを見て一人納得した。

 

「テイオーが運んでくれたのか……というかテイオーが来てるってことはもう練習時間なのか!?」

 

 時計に目を向ければ短針は3の数字を少し追い越していた。どうやら寝すぎてしまったようで、練習時間に既に入っている。

 こうしてはいられない、自身の体の上で眠るテイオーに声をかけ覚醒を促す。

 

「おいテイオー、起きろ。トレーニングの時間だ」

「ぅん……あぅ……ふあぁ〜……あっ、トレーナーおはよ〜」

「とっくに昼を過ぎているぞ。さあ、寝ぼけてないで顔洗ってこい」

「ふぁ〜い……」

 

 うつらうつらと船を漕ぐテイオーの体を起こしつつ自分も起き上がる。睡眠をとったことでリフレッシュしたのか体の気だるさや熱はすっかり消え去っていた。心做しかスッキリしているくらいだ。

 固まった筋肉をほぐすために軽く伸びをしていると洗顔を終えてスッキリしたテイオーが戻ってきた。

 

「そうだテイオー、わざわざ俺をソファに移動してくれてありがとな。重くなかったか?」

「うん? いや全然軽かったよ?」

「ああ、そう。それならいいんだが」

 

 ウマ娘は身体能力が高い。腕力もそれに伴い人より数倍の力を持つ。トレーナーは身長も体重も平均男性より少し高い程度しかないので数メートル運ぶくらいなら屁でもない。

 目が覚めて体を動かしたい欲が出てきたのかぴょんぴょんと飛び跳ねてステップをするテイオーがトレーナーに声をかけた。

 

「さて、じゃあ練習始めよっ! トレーナー!」

「そうだな。んじゃあトラック行くか」

「うん!」

 

 時間を押してしまった分、少しメニューを詰め込まなければな、と思った。 テイオーなら軽くこなしてくれるだろう。

 練習メニューを持ってトラックへ向かった。

 

 

ウマ

 

プリティーダービー

 

 

 そろそろトレーナーは寝た頃だろうか? そう思ってミーティングルームへ向かえば予想通りトレーナーは眠りについていた。

 

「ふふっ、トレーナーってば、そんな所で寝たら風邪ひいちゃうよ〜?」

 

 寝むるよう仕向けた本人が何を言っているんだと言いたいが、本来ツッコミ役のトレーナーは眠りについている。さながら王子のキスを待つ眠り姫のようだ。

 

「……まあ流石に寝込みを襲うなんて真似はしないけどさ。どうせ急がなくてもそのうちすることになるんだし」

 

 そう言いながらトレーナーの体を持ち上げソファに寝かせるテイオー。汗で張り付くシャツが気持ち悪いのか時折声を漏らす。

 

「汗いっぱいかいて気持ち悪いよね。んっふふ、しょうがないな〜。ボクが汗を拭いてあげるよ」

 

 しょうがないと言う割にテイオーの顔はニヤニヤと捕食者の笑みを浮かべている。なんなら舌なめずりもしている。

 トレーナーの衣服をはだけさせ、柔らかいタオルで汗を拭う。吸水性抜群のタオルが汗を吸い取り少しづつ重みを増していく。額、首元、胸元、脇下、腹部、これで上半身は拭き終わった。不快感が解消されたからか、トレーナーの顔付きは大分穏やかなものになっていた。

 

「ふうっ。さて、次は下半身だね」

 

 トレーナーのズボンをずり下ろして太ももや膝裏を吹いていく。脚部は流石に擽ったいのか、時折体を捩らせる。下着にも手を伸ばしかけたが、辛うじて理性が働きテイオーの腕を止めた。かなり危うかった、もし下着に触れてしまっていたら恐らく理性というストッパーは花火のようにハデに打ち上がることになるだろう。

 流れる動作でタオルをジップロックにいれて保存し、カバンにしまったところでトレーナーの服装を直す。

 

「汗は拭いたけどこれじゃまだ寒いよね。そうだ、ボクが布団になってあげればいいんだ!」

 

 有言実行即実行、いそいそとトレーナーの上にのしかかるとそのまま体を倒してトレーナーに覆い被さった。

 

「えへへ、これで暖かくなるね」

 

 トレーナーが起きた時の顔が楽しみだ。先程とは違う年相応の可愛らしく微笑んで、テイオーは瞼を閉じた。

 

 

 

ウマ

 

プリティーダービー

 

 

「やっほーい! 見て見てトレーナー! クレーンゲームだよ! あっ、あっちにはダンスゲーム!」

「おいおい、はしゃぎすぎだろ」

「あっ! あれプリだよね! 後で撮ろうね!!」

「あれプリか……? 証明写真のやつじゃないか?」

 

 はしゃぐテイオーに引っ張られながら歩くトレーナー。仲睦まじいその姿はまるで恋人のように見えるだろう。

 

 今日はテイオーの気分転換のためにゲームセンターに来ている。知り合いのトレーナーに聞いてみた所、担当しているウマ娘のモチベーションを意地振るのもトレーナーの仕事だ、と言われオススメのお出かけスポットを教えてもらった。何でもそのトレーナーが担当しているハルウララの気分を変えるためによく行く場所らしい。ハルウララも毎回喜んでくれるだとか惚気られたが、確かにこれは納得出来る。

 

「何からやろうか〜! ボクとしては〜? クレーンゲームとかがいいと思うんだけど〜」

「はいはい。仰せのままに、お姫様」

「むっふふ! ボクはテイオー様だけどたまにはお姫様になるのもいいかもねー!」

 

 ゲームセンターに来てから、正確に言うとゲームセンターに誘った時からテイオーの機嫌がいい。やはり息抜きというものは大事なんだなと今一度思った。

 

「トレーナー! カイチョーのちっちゃいぬいぐるみだよ! ねぇねぇこれ! これっ!!」

「分かった分かった。うおっ、クオリティ高いなこれ。指まで再現されてるじゃないか」

 

 筐体の中にはSD化されたシンボリルドルフのぬいぐるみが置いてあった。それに食いつかないテイオーではなく……。

 

「……トレーナー」

「はいはい」

 

 クレーンゲームに齧り付くテイオーに苦笑しつつ財布を取りだす。こういったものは確率機が多く小銭がどんどん溶けていくのだが──

 

「ふわー……!」

 

 それでテイオーの喜ぶ顔が見れるのなら安いものだ。

 100円玉を投入口に入れるとピロリン♪ という音とともにクレーンの操作が可能になる。クレーンゲームなど最後にやったのは学生時代なので、こうして遊ぶのは8年ぶりだ。うまくぬいぐるみを取ることは出来るだろうか。

 レバーを動かせばそれに習ってアームも動く。

 

「頑張れー! トレーナー!」

「ここら辺か? よし、掴んだ!」

「よぉし、そのままそのまま……あー! カイチョーが落ちたぁ!」

 

 途中までは順調だったが取り出し口に近づくにつれてアームの強さが下がっていき、ミニルドルフは手前でアームから滑り落ちた。

 

「うぅ〜、トレーナー! 今度はボクにやらせて!」

「お、おお。ほれ」

 

 追加で100円玉を入れて再びアームを起動させる。流石に通い慣れているからか立ち姿からして違う。ぬいぐるみを細かく注視して角度やアームの位置を調べている。

 やがて納得したのかボタンを押し、アームを降ろす。アームはガッチリとぬいぐるみを掴み持ち上げた。

 

「また落ちないか?」

「いや大丈夫。この位置なら落ちても……ほら! ってええー!?」

「うわっ、惜しいな」

 

 アームの出力が弱くなりぬいぐるみが落ちるが取り出し口に上手く弾かれ取り出せる計算だった。しかし運悪く取り出し口とは逆の位置に落ちてしまった。あともう少しだっただけに悔しさが増し、テイオーは地団駄を踏む。

 

「くっそー! 悔しいー! 今の取れたもん! 絶対絶対取れたもーん!」

「はいはい。俺もテイオーの取り方でやってみるかな」

「ボクの仇をとってねトレーナー!」

「仇って……まあ、任せとけ」

 

 3枚目の100円玉を入れてアームを起動させる。テイオーと同じ要領で位置を決め、ボタンを押す。先程と同じようにぬいぐるみをガッチリと掴んだアームが上昇する。

 

「いけ!」

「いっけぇ!」

 

 アームは緩まずぬいぐるみを抱えたまま取り出し口の上まで辿り着き、アームを開いた。

 

「すっごい! 取れたよトレーナー!」

「おお。丁度出力が変わらない金額だったみたいだな。何にしても早めに取れて良かったぞ。ほれ、テイオー」

「え? いいの?」

「欲しがってただろ? 遠慮しないで受け取れって」

 

 ルドルフぬいぐるみを差し出せばおずおずと受け取り、ギュッと胸に抱きしめる。

 

「あ……ありがとっ、トレーナー!」

「あいよ」

 

 花の咲くような笑顔とはこのことを言うのだろう。にぱーっと快活な笑みを浮かべるテイオーを見てトレーナーも同じように笑った。

 

「次はダンスゲームやろ!」

「おいおい引っ張るなって!」

「えへへ! 無敵のテイオー様のテイオーステップを見せてあげるよー!」

「全く……」

 

 テイオーの笑顔を見ると自然と怒る気も霧散する。それからもテイオーに手を握られ連れられるままゲームセンターを回った。

 

 遊び尽くした頃にはもう夕暮れ時、カラスがカァカァと鳴いている時間帯になっていた。ゲームセンターを後にして帰路に着く2人、テイオーは右手にクレーンゲームの戦利品が詰め込まれた袋を掲げ、左手はトレーナーの手と固く繋がれていた。

 ウキウキ、ルンルンというオノマトペが聞こえそうな様子のテイオーに声をかける。

 

「楽しかったか?」

「そりゃあ勿論! とおっても、楽しかったよ♪」

「それなら良かった。で、テイオー。この手は何時まで繋ぐんだ? 流石に商店街に入ると生暖かい視線に晒されそうだからちょっと恥ずかしいんだが……」

 

 ポリポリと照れくさそうに頬を掻くトレーナー。するとテイオーは足を止めて顔を俯かせた。どうしたのかとトレーナーも足を止める。と、俯いていた顔を上げてトレーナーの瞳を覗き込んだ。

 

「ずっと」

「え?」

「──ずっとだよ」

「……おいおい。寮に着いたらお別れだぞ?」

 

 はははと笑ってみせるがテイオーは笑わない。無表情でただただトレーナーの瞳を見つめている。

 

「おいテイオー? どうしたんだ?」

「……トレーナーは、さ。ボクがもし歩けなくなるほどの大怪我をしたら、どうする?」

「どうするって……なんだ、もしかして怪我してるのか?」

「もしも、だよ。ねぇ、どうするの? 放っておく? それとも面倒を見てくれる?」

「そりゃあ……」

 

 テイオーが大怪我をしたら、自分ならどうするだろうか。考えたことがなかった、いや、考えたくなかった、考えようとしなかった。テイオーは既に自分の全てと言っても過言では無いほど大きな存在となっている。

 初めて担当したウマ娘であり、今ではたった1人の担当ウマ娘となったテイオーはトレーナーとしての自分の生き甲斐だと言っていい。

 テイオー自身に言われてみてやっと気づいた。

 

「──面倒を見るに決まってるだろ」

 

 自分はどうやら、トウカイテイオーというウマ娘に心底惚れているらしい。彼女ならどこまでも走り続けるだろうし、自分ならどこまででも連れて行ける。

 

「んでそうだな、もう一度走れるようになるまで付き合ってやる」

「……え?」

「テイオーの走りに俺は惚れたんだ。お前の足が治るまで、俺はお前を支え続けるさ」

 

 それがトレーナーってもんだ、と締めくくる。テイオーは想定してた返答と違ったのかポカンと口を開けている。

 

「……ふふっ、トレーナーったら……それじゃまるで告白みたいだよ」

「おお……言われてみればそうだな。まあ、あながち間違ってはないだろ」

「──ぴえっ!? そ、それって……!」

「俺が思っているテイオーの気持ちを言ったんだし、告白っちゃ告白だもんな」

「……ああ、そう」

 

 先程からテイオーの感情の浮き沈みが激しい。自分の発言はそんなにおかしいものだっただろうかと首を傾げるが、そんな自分の内情を見透かしたのかテイオーがジト目を向けてくる。

 

「朴念仁」

「ぼ、ぼくねんじん?」

「唐変木」

「とうへんぼく……?」

「はあ……まあトレーナーだしね。仕方ないか」

「なんか凄い罵られた気がするんだが……」

 

 酷く疲れた様子でため息をつかれたことに困惑するトレーナー。今までも何度か同じことがあったのだろう、そのため息には『またか』と言ったニュアンスも含まれていた。

 

「早く行こっ、門限すぎちゃうよ〜」

「それは不味いな。だからといって本気で走るなよ? この道ウマ娘専用道路ないんだからな」

「分かってるって! トレーナーに合わせて走るよ!」

 

 ギュッと繋ぐ手の力が強まったのを感じながら手を引かれるまま走った。

 

 

ウマ

 

プリティーダービー

 

 

 テイオーは今、幸せの絶頂にいた。トレーナーと共にゲームセンターへ遊びに行くからだ。

 普段自分から誘うことはあれど彼から誘ってくれることなど滅多にない。あったとしてもプロテインやテーピングといった消耗品の補充、買い出しに行くくらいだ。

 そんなトレーナーが自分から遊びに行かないかと誘ってきたのだ、こんなの嬉しくないわけが無い。食い気味に肯定し、待ち合わせ場所と時間を決めた。

 

 そして翌日、待ち合わせの学園の正門前で髪を弄りながらトレーナーを待つこと30分。

 

「テイオー!? 早いなお前! 待たせちまったか?」

「ううん! 大丈夫だよ! トレーナーもしょーもん前じゃ遠くなかった?」

「違う。正門前だ」

「な、なんだ! なんなのぉ! 別にわざと間違がえただけだもん!」

「あっはは。まあそんな遠くもないし大丈夫だ」

「そう? まあ僕も今来たとこだし……」

 

 嘘である。トレーナーは待ち合わせ時間より30分早く来たのだが、テイオーは待ち合わせの時間より1時間も前からここで待っていたのだ。楽しみで仕方がないというのも理由の一つだろうが、一番の理由はさっき言った「ごめん、待った?」「ううん、今来たところ」というやり取りをしてみたかったからだ。

 今までの買い出しではそもそも休日に出かけるということが無かったので、待ち合わせという発想が思い浮かばなかった。

 それが今回は出来たので、テイオーは今非常に上機嫌だ。

 

「そういえば……テイオーの私服姿なんて初めて見るな」

「あれ? そうだっけ?」

「ああ。だってお前、基本的ジャージか制服姿だろ?」

「あ〜、確かに」

 

 今日テイオーは非常に動きやすい格好をしている。太ももや肩を惜しみなくさらけ出しており、露出度が高い。幼い容姿とマッチして元気いっぱいの女の子、といった印象を与える服装だ。

 

「新鮮でいいな」

「もしかして見とれちゃった? 可愛いでしょボク!」

「ああ。可愛いぞ」

「ぴえ!?」

「なんだろうな、テイオーらしい格好って言うか、口下手で済まないが……凄い似合ってるぞ」

「ぴぇ……ぴぇ、あ、ありがとう……」

 

 後日、店前で付き合いたてのカップルみたいな会話を繰り広げられたことで、はちみつ甘さ控えめ薄めのハニードリンクの売れ行きが伸びたとお姉さんは言っていた。

 

 ゲームセンターに到着し、様々な筐体に目移りしながらクレーンゲームに向かう。すると有名ウマ娘のぬいぐるみが並べられた筐体を発見し、 その中にいるルドルフに目を奪われた。

 

「トレーナー! ねぇねぇこれっ! カイチョーだよ!!」

「うおっ、いやクオリティ高いなこれ」

 

 トレーナーに頼んでルドルフのぬいぐるみを取ることに挑戦したがテイオーはもう少しのところでそれを逃す。しかし三度目の正直でトレーナーが見事ぬいぐるみゲットした。

 

「ほら」

「え……いいの?」

「何言ってんだ。欲しがってたのはテイオーだろ?」

 

 確かにそうだがそんな惜しみなく渡されてはテイオーは少し複雑な気持ちになる。憧れのカイチョーのぬいぐるみなのに欲しがらないのか、とか、そんな男らしい渡され方したらまた惚れ直しちゃうだろ、とか色々と言いたいことはあったがテイオーは何とか飲み込んだ。

 

「ありがとっ、トレーナー!」

「おう」

 

 その次のダンスゲームでは一緒に踊る協力プレイを行った。途中でトレーナーがバランスを崩しテイオーを押し倒す形で倒れ込んできた時は心臓が破裂しそうだった。

 

「わ、悪いなテイオー。大丈夫か?」

「ぴえ……だ、大丈夫……」

 

 テイオーは見逃さなかった。トレーナーの顔も赤くなっていたことを。つまりトレーナーはテイオーのことを少なからず『異性』として意識しているということになる。その事実にテイオーは自身の頬が緩むことを隠せずにいた。

 

「よっと、テイオー? ほら」

「あ、うん。うんしょっ。ありがとトレーナー」

 

 手を引っ張って貰って立ち上がる。両者ともに顔が赤いがテイオーの内心はこれからどうやってトレーナーに自身の魅力を伝えるか考えていた。

 

「どうした? じぃっと見つめて」

「うーん……いやあ温泉とか行きたいなぁって」

「温泉? そうだな……URAファイナルズが終わったら行くか」

「ホント!?」

「おお。優勝したら一番いいとこの宿とってやるよ」

「っ〜〜!! やったぁ! 忘れないでよね♪」

 

 これはこれからのレース全部優勝するくらいの意気込みで望まなければ、そう思った。実際テイオーはそれを成し遂げることの出来るスペックの持ち主だ。トレーナーのサポートがあればもっと早く走れるようになるだろう。

 

「絶対だよ!」

 

 くるりと回ってポーズを決める。トレーナーはポカンと口を開けるが数秒後小さく吹き出した。

 

「楽しみにしてるよ」

 

 そう言って笑うトレーナーの顔もまた、テイオーは忘れないだろう。

 

 散々遊び尽くした帰り道、テイオーは前から気になっていたことを聞いた。

 自分がもし走れなくなっても、動けなくなっても、トレーナーは自分のことを見捨てないでいてくれるのか。走ることしか価値のない自分と、共にいてくれるのか。テイオーはそれが不安で不安で仕方がなかった。

 その問いに対してトレーナーはあっけからんとこう答えた。

 

「面倒見るに決まってるだろ」

 

 恥ずかしげもなく堂々と、言い切った。

 その言葉がどれだけ嬉しくて、どれだけ望んだ言葉か、この男は知らないのだろう。テイオーは瞳から涙がこぼれそうになるのを必死に堪えて笑ってみせた。

 

「まるで告白じゃんか」

「間違ってはないだろ。俺が思ってること言ったんだから」

「……あーうん、そうだね」

 

 そうだ、そういえばトレーナーはこう言う男だった。朴念仁の唐変木、そう言った言葉をよく投げかけられているのを忘れていた。

 どうやって自分の思いを知らしめてやろうか、温泉旅行に行く時には同じ布団で寝てやる。そう誓ったテイオーだった。

 

「その時がきたら夜這いしてやる……」

「なんか言ったか?」

「べっつにー! ほら、早く行こ!」

「おいおい本気で走るなよ」

 

 とりあえず今はこの暖かくて大きい手を握るだけにしておこう。

 

 

ウマ

 

プリティーダービー

 

 

 時は流れURAファイナルズ決勝。テイオーは当然のように一番人気、客席に埋まっている観客の殆どがテイオーを見にやって来ているのだ。

 

「じゃあ、行ってくるねトレーナー」

「おう。頑張れ」

「んふふ。うん、トレーナーの為に頑張ってくるね!」

 

 そう言ってバ場へ向かうテイオーを見送る。テイオーは今のところ全戦全勝の負け知らずだ。だが今回のレースは違う。

 マヤノトップガンにゴールドシップ、ナリタブライアン*2にシンボリルドルフと長距離ウマ娘の有名どころが総揃いしている。

 

「勝てるのか……?」

 

 口に出してから自分の失言に気づき、首を横に振る。トレーナーが担当ウマ娘の勝利を願わずしてどうする。

 

「勝てよ、テイオー」

 

 誰に言うのでもなく、念を送った。

 

 

 結論からいえば、テイオーの圧勝だった。最初から最後まで他を寄せつけずぶっちぎりの1位でゴールした。トラックでテイオーが観客に手を振る。自分もテイオーを迎えに行かなければと入場口の通路へ向かった。

 

「あっ、トレーナー!」

「テイオー。今日も絶好調の走りだったな」

「でっしょー! なんたってボクはテイオー様だからね! 特別に頭を撫でてもいいんだよ?」

「はいはい……よくやったなテイオー。流石テイオーだ」

「にへへ……」

 

 言われた通り頭を撫でてあげるとテイオーは表情筋を緩ませる。だらしない表情だが、これでもレース中はキリリと格好のいい表情をしていたのだが。見る影もない。

 

「テイオー」

「なぁに?」

 

 と、何も無いのに名前を呼んでしまった。最近こう言った癖ができてしまったみたいで困る。なにか話の種は無いかと記憶を探り、そして掘り起こした。

 

「温泉旅行、行こう」

「……温泉旅行?」

「何時だったか言ってただろ、URAファイナルズ優勝したら連れてってやるって」

「あー、言ってたね! え!? 連れてってくれるの!?」

「優勝したしな。一番いい宿とってやるよ」

「やったぁ! トレーナーだいすきぃ!」

 

 自分の腕の中で喜びのステップを踏むテイオーを見て微笑ましく思う。いつからだったか、この少女のことを愛おしく想う様になったのは。

 

 切っ掛けはなんだったか、いつだったか、そんなことは忘れてしまった。いつの間にか恋をしてしまっていたと自覚したのだ。

 黙る自分を不思議に思ったのだろう。テイオーが首を傾げる。

 

「トレーナー? どうかしたの?」

「……いや、なんでもない。日にちを決めよう。そうだな……今度の週末とかどうだ?」

「うん! 予定空けとくね!」

 

 この旅行の時か、終わったあとに想いを伝えよう。溌剌とした笑顔を見た、トレーナーはそう思った。

 

 

ウマ

 

プリティーダービー

 

 

「行ってくるね、トレーナー」

「おう。頑張ってこいよ」

 

 その一言だけで自分がどれだけ力を発揮できるのか、このトレーナーは分かっていない。

 トレーナーの声援を受けてバ場へ向かう。テイオーが姿を見せれば割れんばかりの大歓声が会場を包み込む。もう何度目だろうか、観客たちの歓声も鳥のさえずり、木々のざわめき程度にしか感じなくなってきた。

 ゲート近くで大きく伸びをしていると1人のウマ娘が声をかけてきた。

 

「テイオー」

「あっ、カイチョー!」

 

 テイオーが『カイチョー』と呼び慕うシンボリルドルフだった。ルドルフはレース前だからかピリピリとした空気を纏っている。

 

「悪いが今回のレース、私が勝利を貰う」

「ふふっ、いくらカイチョーでもそれは無理だよ。──だってボクが勝つんだから」

 

 そう言って不敵に笑うテイオーは笑っているはずなのに何処か圧が感じられた。思わずルドルフが本能的に恐怖を覚え後ずさるほどだ。

 

「っ、面白い……そうならないようお前の前に立ち塞がろう」

 

 背を向けて自分のゲートへ向かうルドルフを見送り、テイオー自身もゲートに入る。各ウマ娘がゲートに入ったことを確認し、実況が囃し立てると観客もそれに応え場を盛り上げる。

 

 そして、ゲートが開いた。

 それと同時に大地を抉るように蹴りつけた。最高のスタートが切れただろう。

 

 トウカイテイオーは天才だ。その自他ともに認める才能は本物で、この二年間でありとあらゆるレースの勝利をもぎ取ってきた。どんなウマ娘が相手だろうが圧倒的な力を見せつけてゴールする姿からついた異名は【帝王】。名は体を表すを体現させたウマ娘だ。

 

 第三コーナーに差し掛かる。ここで様子を見るのは三流、ならば先行するのが吉かと言われればそれもまだ二流、真の一流はこの時点で突き放しにかかる。

 

 大地が砕けた。力を溜め、解き放つダッシュはまさにダイナマイト。テイオーが走り去った後に残るのは他のウマ娘に刻み込む覆せない『差』だけだ。

 

 最終コーナーに入るが、関係ない。同じ要領で大地を踏み締め足元を爆発させる。たったそれだけのことで二番目のウマ娘との差を更に広げる。

 残り400mの直線、そこにいるのはテイオーだけ、他のウマ娘はようやく最終コーナーに差し掛かるところだ。

 誰も何も邪魔しない真っ直ぐ、テイオーが突き進む道は何者にも止めることが出来ない。覇道がテイオーの前にあるのではない、テイオーが走る道が覇道になるのだ。

 

 テイオーは誰も止められない、誰にも邪魔されずにそのまま一着でゴール。観客たちが思い思いに叫ぶ声が大歓声となりテイオーの勝利を崇め称える。

 

 彼女にとって勝利というものは手に入れて当然のものなのだろう。観客の賞賛もライバルたちからの畏怖の視線も全く気にしていない。

 観客の声援に応えるポーズを取り、バ場を後にする。向かうのはテイオーが賞賛を貰いたいと思っているたった一人の男の元。

 

「トレーナー!」

「おうテイオー。今日も絶好調だったな」

「でしょでしょー! 褒めて褒めて! 特別に頭を撫でてもいいんだよ?」

「はいはい。よくやったなテイオー」

「にへへ……」

 

 トレーナーが自分の頭を撫でてくれる。今トレーナーの視界には自分しか映っていない。トレーナーを独占している。今この瞬間だけは、トレーナーはテイオーだけのものになっている。

 故にテイオーはこの時間が大好きだ。この時間が永遠に続けばいいのにと、何度思ったことか。

 

「テイオー」

「なぁに?」

 

 顔を上げてトレーナーと目を見つめる。テイオーは吸い込まそうになるこの瞳が好きなのだ。

 

「温泉旅行、いつ行く?」

「……温泉旅行?」

「行くって話してただろ?」

 

 そういえばいつだったかそんな話をしていたなと思い出す。2人で温泉旅行に行けるのも嬉しいが、それよりもトレーナーが自分との約束を守ってくれたことの方が何倍も嬉しい。

 

「大好きだよ! トレーナー!」

 

 本心を伝える。伝われ、伝われと願いながら、心の底から想う気持ちを届ける。

 と、トレーナーが黙りこくっているのに気がつく。目を見開きテイオーを見つめるトレーナーを訝しむ。

 

「どうしたの?」

「いや……じゃあ今度の週末、行こうな」

「うんっ!!」

 

 今度の週末は絶対に予定を開けておかなければ。そうだ、その時に自分の想いを伝えよう。どれだけ時間がかかろうが、どれだけ理解されなかろうが、身体と言葉で想い伝えてみよう。

 

 トレーナーなら受け入れてくれるはずだ。

 

「楽しみだねっ♪」

 

 例え体を重ねて伝えようとも、彼ならば受け入れてくれる。そう信じている。

 

 

ウマ

 

プリティーダービー

 

 

「ちょっと……これっ、トレーナー……?」

「いっそ殺してくれないかなもう」

 

 死んだ目でテイオーを見つめるトレーナー。ここはトレーナーの自室で、本来ウマ娘は禁制の場所だ。だがテイオーの圧力と腕力に適わずにズルズルと引きずられながら自室へ連れ込まれてしまった。この場合の自室とは自分の部屋を指し示す。

 途中ですれ違った新人トレーナーに2度見されたがトレーナーは元気です。嘘ですメンタルが死にそうです。

 

「もうさぁ〜……いいだろ? それvol.2だしさ、vol.1は見なくていいだろ? な? 満足しただろ?」

「いやいや、ここまで来たら全部見なきゃ。それに最初に書いたやつなら一番マシなんじゃないの?」

「……」

「え? なにその反応……」

 

 黙りこくるトレーナーに困惑の視線を送るとトレーナーはボソボソと話し始めた。

 

「いや、なんというか……一番最初に書いたから一番はっちゃけているというか、欲望に忠実というか……」

「……見せて」

「い、いや流石にそれは……」

「見・せ・て」

「はい」

 

 渋々とクローゼットの奥に並べられている雑誌の中から鍵付きのノートを取り出す。木を隠すなら森の中、というやつだろうか。

 

……もうすこしだね

「ん? なんか言ったか?」

「いーや、何も。ほら早く見せてよ。ゴールドシップに電話するよー」

「それだけは許して!!」

 

 三日月のように弧を描くテイオーの笑みに気づかなかったことが、失敗の最大の原因だったのだろう。

 後にトレーナーはそう語った。

*1
トレセン学園の生徒会長。三冠ウマ娘であり、テイオーの憧れの存在。テイオーと同じように前髪に三日月のような白いメッシュが入っている。抜群のスタイル持ちながら理想的な体重を維持しており、生徒からは尊敬と憧れの目で見られている。なお、厳格な見た目を気にしてかしょうもないダジャレを言うことがあり周りの生徒を困らせることがある。あの見た目でミニスカ絶対領域あるとかかなりスケベですよこの子

*2
黒髪を注連縄で縛りポニテにしている美少女。なんと鼻腔テープという珍しい属性を持っている。拝んでおけ。公式設定じゃ硬派で頑固な一匹狼らしいがその乳で硬派は無理でしょ




 ルドルフさんには前回のマックイーンやゴルシポジで出てもらいました、そういわゆる薬味ポジション!
 それはそうとなんで私が書くヤンデレものはいつもいつも終盤薄れていくのだろうか……。長くなるからか?せや!なら次は短いの書いてみるか!

〜こうして怪文書は生まれる〜
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