step toward frontier
この一文はDEZOLVEというフュージョンバンドのre:fruitionという楽曲の、歌詞冒頭部分から引用しております。この楽曲は私がこの小説を書くにあたってイメージソング、イメージオープニングテーマとして考えています。
――――noir tref refront i trio fern reno frit――――
『step toward frontier』
アムロは薄れゆく意識の中で、誰かのささやくような声が、はっきりと脳内で響き渡った。それは祝詞のようにも、呪詛の言葉のようにも聞こえた。そして、アムロの視界からは完全に光が消えた――――
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「…それでは、預言の巫女様はお一人で、最上階の展望の間にてお祈りになると…?」
浮足立った様子の群衆が、祭事の間らしき開けた部屋にて、階段の上、祭壇の真ん中に鎮座する少女に跪き、見上げながら、恐る恐るその返答を待っていた。
「わたしは大丈夫です、伝承と預言は、我々に勇者の再臨を告げています」
豪奢な飾りや紋様こそなけれど、神聖さを感じさせる白を基調とした配色の、厳かな空間。その空間に調和した白い祭礼の衣装を身にまとう、純白の長髪に白く透き通る肌の少女。ルビーのように、鮮血のように、赤く透き通った彼女の瞳が際立って輝きを湛えている。彼女の発する声は確固たる意志を感じさせ、確信に近い思いを抱いてることを想起させる。
「ですが、先程の預言では『空より災厄来たる』と、そうおっしゃっていたではありませんか!」
祭壇の付近、最前線に跪いていた男は、思わず立ち上がり、声を荒げた。
「『空より災厄来たる時、白き天馬に跨りし勇者が災いを退け、世界は再生への道筋を辿る』伝承にはそうあります。わたしは預言の巫女として、勇者様の降臨を見届け、祝福する義務があります。」
「しかし、預言は今日の朝に下され、その刻限は正午過ぎ。もうすぐに迫っております。防衛軍の艦隊は三日前から先遣隊と共に周辺星系の調査に向かい、最も近い隊が踵を返したとして、早くとも戻るまで半日はかかる見込みです。」
先ほど、立ち上がった男とはまた別の者が、冷静に、奏上するかのように語った。
「そうです、預言に直接出ていない勇者の再臨を信ずるよりも、今は巫女様の安全を確保するべきです!」
「わたしなら大丈夫です、神通力によって守られています、艦隊が来るまでの半日間、ここで祈りを捧げていれば、もし勇者様が降臨せずとも保ちましょう。」
平然とした調子で語る彼女の意志の強さに、周りもおずおずと目を見合わせるばかりであった。
「それよりも皆様は早く避難を、災厄の降り注ぎし場所はこの礼拝塔の近くです、皆様は開拓村に戻り、一刻も早くこの周辺から離脱してください。」
彼らのいる場所は街から少し離れた、祭壇の置かれた礼拝塔であり、預言の巫女はこの場にて勇者を待つという
「大丈夫です。預言は、運命は我々とともにあります。」
「巫女様の言う通りです、皆急ぎ避難の準備を。」
なおも狼狽えている群衆が一斉に声の主のいる、祭壇の間の入り口の扉を見やる。そこには男性用の祭礼衣を身にまとった、やや大柄で恰幅の良い、栗色のオールバックをこさえた、軽薄そうな相貌の中年男性が微笑を携えて立っていた。
「勇者と巫女の逢瀬を邪魔するなど、白馬に蹴られて地獄に落ちても文句は言えまい。」
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空から大地へと降り注ぐ光、正午の青々しい空と太陽の輝きとは全く違う、炎を纏い地上に落ちていく存在がそこにあった。
豊かな自然、新緑の芽吹きし山紫水明が映えしこの地に突如として降り立ったそれは、荒々しく地面に落下するやいなや、直径十メートルほどのクレーターを作り地上に鎮座した。
それは巨大な黒いゴツゴツとした岩のようで、隕石が地上に落ちてきた、それほど珍しくもない事態だと通常ならばそれで終わるはずだった。
しかしそれは、徐々に形を変えて、蜘蛛のような手足と、蠍のような尻尾を持つ何匹かの生物へと、姿形を変えていった。
矢継ぎ早に何個も、巨大な黒い物体が降り注ぐ。
「み、巫女様の預言は正しかったんだ…!皆!準備は出来てるな!急いで、森の周囲から離れろ!」
遠くからその様子を監視していた村の人々は、半狂乱になりながらそれぞれの移動手段で街を離れていく。預言のおかげか、村はあっという間にもぬけの殻となった。
黒い生物は、尖った手足の先端を地面に刺すように、鋭い移動を始める。ガンガンと鋭い音を立てながら村の方へと進んでいき、そこらじゅうを蹂躙して回った。それは野生の生物らしく、無慈悲かつ諧謔も侮蔑も遠慮もなく、何かを探して回るかのようにただただ破壊を繰り返していった。
塔の最上部から、崩れていく村を眺めていた預言の巫女、ノエミ。村に誰もいないことを確認した後に、祭壇の方へと引き返し、目を瞑り、祈りを捧げていた。
突如、昼間だというのに空がオーロラのような燦然とした、しかして優しい翠緑の光に包まれる。ノエミは祈りの姿勢を崩さぬまま、空を見上げた。
その光の中から、ボロボロに朽ちた巨人のような姿の物体がゆっくりと落ちていく。その物体には既に頭部と左腕が切断されており、身体とは分離した状態で地上へと消えていった。
「まさか、本当に…!」
ノエミは目を見開き、巨人が落ちていくのを、瞬きもせずに、ただただ目で追っていた。
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「ここは…あの世なのか?僕は一体…」
アムロは、柔らかい土の上に寝そべった状態で目を覚ました。絶体絶命の状況下で、意識を失い、そして取り戻したのだ。そんな言葉が出るのも無理はない。
「νガンダム…!間違いない、ボロボロだが、見ればわかる。ということは機体ごとどこかに流れ着いたのか…?」
立ち上がり、周囲を見やり、自らの愛機が隣で、既に大破した状態とは言え形のしっかりと判別できる状態でそこにいた。
あれだけの高温に包まれて、機体の機能も全て失ったというのに、νガンダムはかろうじて形をとどめて、自らは五体満足で生きている。普通に考えればありえないことではある。だが、最後に見せたあの一連の奇跡を振り返れば、その余波でこうして生き残っていたとしても、納得はできる。
「νガンダムのコックピット周辺が無事だったのが幸いだったな、パイロットスーツで地上を動き回るのは億劫だ。」
アムロは収納していた、赤と灰色のジャンパーと、オレンジ色のズボンという、ラフで動きやすい普段着にすぐに着替えた。
ヘルメットを脱ぎ、やや無造作気味の赤茶の短髪が露わになる。童顔気味のため、齢の割に若作りに見えるが、眼光鋭く、しかして輝きを失わぬ、優しい目が真っ直ぐと前を見据えている。
「『フロンティアへの第一歩』か…」
あの時、失われゆく意識の中ではっきりと聞こえた囁きを、口ずさんだ。
キャラクターのヴィジュアルのイメージは、アムロに関しては、安彦さんのアムロのイラストなどでよく描かれている鋭い目つきで、顔つきや服装、髪型に関してはGacktのライブツアーRequiem et Reminiscenceの後半の、光沢のあるねずみ色と赤色のジャンパーにオレンジ色のズボンの衣装の時の外見をイメージしています。
とてつもないイケメンで勝手に想像しているので皆様のイメージとの乖離が激しいかもしれません(でもZ~逆シャア以降のアムロを描くとしたら全盛期のGacktみたいなイケメンになるはず…)
預言の巫女ノエミに関してはニャル子さんを白髪にして目を赤くしたイメージが近いかもしれないです、もう少し幸薄そうな顔をしていますが、あとアホ毛はありません。
後編はようやく戦闘シーンとなります。初挑戦なので書けるか不安ですが…