機動開拓記ガンダムフロンティア   作:柳澤永松

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作品のイメージソングとしては、アムロ・レイ(とνガンダム)のイメージテーマとしてfox capture planのspread outをイメージしております。

バージョンがやや違いますが、こちらから一部聴けるので是非、一度聞いていただければ幸いです。(戦闘シーンに入る辺りからはこの曲を流しながら、映像をイメージして執筆しました)
https://youtu.be/YpiHC57b4Q0


伝承と預言の再演 後編

 どごん、と鈍く大きな響動(どよ)めきが聞こえた。何かが地面に落ちた衝撃で爆発したのか、それとも別の要因か。

 

「なんの音だ!」

 

 アムロは、νガンダムのコックピット周辺に備えておいた、かろうじて使えそうな財布などの日用品や、恐らく使い物にならないであろう銃をおっとって音のする方へ向かった。

 

 νガンダムの墜落した場所は山の中腹にある高台の近くであり、少し歩いた先で、山の麓から一帯を眼下に見下ろすことのできる開けた場所へと出た。アムロはそこで先程の何かが爆発したかのような音の正体を知ることとなる。

 

「あれは隕石…いや、蠢いているのか!何かが!」

 

 空から落ちてきたであろう黒い物体は、地上に衝突するやいなや、ゆっくりと形状を変化させて行き、固まっていたものが解けるように多節足の生物へと姿を変えた。

 

「これではひとたまりも…!?あれは、人がいるのか!取り残されて!」

 

 アムロは自分の山の中腹あたりと同じ位の高さの塔の上に人がいるのが見えた、そう遠くない位置だが、先程の謎の生物も塔の周りをうろつき、人工物、非人工物の区別なくあたりを破壊して回っている。不思議と塔へと向かう様子はない。塔の頂上の祭壇のようなスペースを囲うように、青いオーラのようなものが放出されている、あれと関係あるのだろうか。

 

「νガンダムはもう使い物に…せめて車か何か…開墾や鉱山の周りなら、あるいは」

 

高台から僅かに、山を切り崩している跡が見えた、そこならばせめて、『足』くらいは確保できるかもしれない。

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

ややあって、鉱山の掘削作業現場のような、正に今の今まで作業中であったであろう場所にたどり着いたアムロ。恐らくは先程の怪物の襲来によって蜘蛛の子を散らすように逃げたのだろう、しかし突然の来襲にしては避難が早い…アムロが思案していると、そこには、やや違ったフォルムではあるが、見慣れた人形の機械が鎮座していた。

 

「モビルスーツ…工業用のか」

 

恐らくは掘削作業や鉱石の運搬作業などを主とするモビルワーカーであろう、色味は鈍い銀色であり、正に工事用といった華のないの無骨なフォルムをしている。二足歩行で、近くには大型のドリルだけでなく、モビルスーツに内蔵されたCNCマシンによるレーザートリム用の高出力レーザーソーもある。恐らくは旋盤加工などの繊細な作業を要求される際に用いられるモビルスーツであり、マニュピレータも含めて操作の信頼性は高いであろう。

 

「鍵を挿しっぱなしで…こいつ、動くか?」

 

 工事現場の作業用モビルワーカーで、生体認証などのないアナロジーなシステムであったこと。その上避難の際に慌てていたのであろう、鍵を挿したままであったのは幸運か、それとも運命か。アムロは鎮座したモビルスーツに乗り込み、操作を試みる。

 

「計器の表示は…やや違うがだいたい分かる、モジュレーションシステムも大丈夫だ、このあたりの規格の道具は使える、エンベロープは…恐らく安定しているだろう。エネルギーゲインは…戦闘用のモビルスーツじゃない、こんなものだろう。操縦桿とペダルは…」

 

 マニピュレーター、関節、グリップ、歩行など、マニュアル無しに熟練のモビルスーツ乗りの勘と、機械いじりが高じてモビルスーツの設計に携わるまでになった技師としての推測から、すぐに一通りの操作確認を終えてアムロは周囲を見やる。

 

「細かい設定はともかくこれで一通りは動かせる、こっちにもモビルスーツがあってよかった」

 

 歯のないチェーンソーのような形状の、トリガー式の縦型レーザソー、モビルスーツ大の巨大な釘打機、工事の際の足場などに用いる尖った鉄のパイプ、硬質ウレタンのような吹付け型のスプレーガン、その他一通りの道具を装着し、地上走行用のブースターを吹かせる準備をする。

 

「ここがどこであれ、あの化物がいては安寧はない」

 

 ましてや人が取り残されている。アムロはブースターを吹かし塔へと向かう。

 

――――――――――――――――――――――――

 

 塔の周辺、近くの村では、変わらず謎の生物が破壊活動を繰り返していた。時折金属を食べているようにも見えるが、それが捕食行為であるか、そうでないかはこちらでは図ることはできない。

 

「やはりあの方は…」

 

 塔の上では、周囲に破壊活動を繰り広げる怪物がいるにも関わらず、なおノエミが祈りを捧げていた。彼女の祈りに応じるかのように、塔の上は半透明な青いバリアのようなものに包まれている。

 

「あの方のために祈りを…」

 

 指を交差させ、ややうつむいて跪きながら、瞳を閉じて祈りを捧げるノエミ。

 

 

 

「やはり来るか!」

 

 アムロの駆るGT-068、ゴッツという名称の作業用のモビルスーツがエンジンを噴かせながら地面スレスレの低高度を走る。周りの木々の葉を揺らしながら近づく鉄の巨人に対して、動く獲物を狙うように多節足を蠢かせながらこちらに迫る黒い怪物たち。

 

「そこだっ!」

 

 アムロはまだ接近する最中の遠目から、片手に持った釘打機のトリガーを引き、素早く二発打ち込んだ。かなりの遠い距離から、もちろんマーカーも動く標的に対しての銃口補正機能といったものもない、完全なるマニュアル状態であるにも関わらず、アムロの撃った釘は遠方からこちらに迫る怪物の目を正確に撃ち抜いた。

 

「これで!」

 

 もう一方の怪物にも同じように正確無比な射撃で目を撃ち抜いた後に、ブーストを吹かし、目をやられたじろいでいる怪物に対し、すれ違いざまとも言える速さで、腰にさしてある尖った鋼鉄の棒をそれぞれ二本ずつ両手に持ち、怪物の胴体に突き刺す。悲鳴こそ上げないものの、多節足をビン、と張ったように伸ばし、ひっくり返りながら体液を噴射し絶命する二匹の怪物。

 

そのまま真っ直ぐと塔の方へと向かうモビルスーツ。今度は何匹もの大量の怪物たちがアムロに向かって臨戦態勢を取り、こちらに敵意をむき出しにしながら迫る。

 

 「あまり無駄撃ちはしたくない」

 

 あいも変わらず正鵠を射るかのようなアムロの射撃だが、残りの怪物の数がわからない以上、あまり浪費をしたくないのだろう、数体に向けて発射をした後、ホルダーに戻し、代わりにレーザーソーを両手持ちしてこちらに迫る敵を迎え撃つ。最も近い一匹がモビルスーツ目掛け、凶悪な形状の尻尾を突き刺そうと飛びかかる。

 

 「本能任せの攻撃など!」

 

 両手に持ったレーザーソーを正眼の構えで持ち、トリガーを引きレーザーの熱が瞬時に刃を作る。こちらに迫る敵がいながらも、速度を緩めることなくブーストを吹かしながら、飛びかかってくる怪物目掛け、すれ違いざまに抜き胴で横薙ぎ一閃。怪物は一刀両断され、レーザーの熱でプスプスと煙を上げた断面は熱を帯び、ひっくり返った怪物は多節足を動かす速度が徐々に遅くなり、止まると同時にその場で息絶えた。

 

 「数は多いが、この程度!」

 

 アムロはその後も大量の怪物達を全く寄せ付けることなく、持っている道具とモビルスーツの機能をフルに使いなぎ倒して行く。

 

――――――――――――――――――――――――

 

「これで荒方か…」

 

塔へと向かう途中の怪物、塔の周り、近くの村の怪物全てを倒したアムロは、塔の上に佇む少女に会うべく、モビルスーツから直接塔の展望へと足を運ぶ。

 

「あの少女は一体…」

 

 アムロがコックピットから塔の最上階へと降りた際に、祭壇のそばで息を荒くし、割座で両手を付き座り込んでいる少女がいた。アムロはすぐさま、祈祷の疲れか、それとも怪物への恐怖からか、少女が立てないでいることに気がついた。アムロは少女に駆け寄り手を差し伸べる。

 

「もう大丈夫だ、立てるかい?」

 

 ふとアムロは、前にもこんなことがあったな、と記憶の残影を一つ浮かび上がらせた。少女は焦燥した顔を上げ、肩越しにアムロを見やる。

 

「ありがとうございます。お待ちしておりました、勇者さ…!?」

 

 差し伸べられたアムロの手を取った瞬間に、アムロと少女の脳裏に閃光がよぎる。

 

 「これは…サイコフレームが共振を起こしているのか…?」

 

 アムロがポケットに入れていたサイコフレームが輝きを放つ、それを見やった後に、アムロは視線を少女に向ける。

 

「そうか…君がノエミちゃん…」

 

「アムロさん…あなたは一体…」

 

 出会ったばかりでお互いに名前も名乗っていない、にもかかわらず、二人はお互いの名前どころか、まるでお互いが長年を過ごしてき存在であるかのように人生での出来事や思想、選好などがお互いに手にとるようにわかった。これは紛れもないニュータイプ同士の共感であった。

 

 

 風が吹いた、一陣の風は森の木々の葉を揺らし、夕焼けに照らされながらお互いに目を合わせ見つめ合い、立ち尽くしている少女の髪を、男の服を揺らしていた。

 

 

 




初の戦闘シーンでしたが、意外とあっさり終わってしまいました。やはりお互いモビルスーツ同士での戦いでないとなかなか描写が難しいですね。
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