推し変したらヤンデレに   作:555

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彼方ちゃんは可愛いなぁ


近江彼方 前編

 私が、彼方ちゃんが君を知ったのは新しく虹ヶ咲スクールアイドルが始動して最初のライブだったと思う。

 果林ちゃんに目を奪われてじっと、真剣に見ている君を見て、その時は『彼方ちゃんもそんな人が夢中になれるライブをしてみたいな~』くらいに思っていた。

 でも何処か私は君を目で追っていて、後から考えれば一目惚れに近かったのかもしれない。

 

 学校は同じなのは知っていたから何回も話し掛けようとしたけれど、途中で怖くなって声を掛けれなかった。

 でも彼には私の、彼方ちゃんの事を見て知って欲しかったから、ライブでもさり気なく彼へアピールをした。

 わざと果林ちゃんと間違えて抱き枕にして眠ったりした。彼方ちゃんも胸がドキドキだったけど彼にバレていないだろうか。

 顔を赤く染める彼はとても可愛らしかった。

 

 彼の推しが私になって、お話をしてからただ彼が彼方ちゃんの隣に居て、二人で笑いあっているのが幸せだった。

 それが一番最高で、いたって普通の幸せだった。

 二人で彼方ちゃんの手料理を食べて、一緒に布団にくるまって寝て、何処か出掛けて、遥ちゃんとも仲がいいのに少し嫉妬したりして。そして、一人の時は彼との結婚なんかを夢見たりして。

 

 でもその幸せを果林ちゃんが壊したんだ。

 

 ──────

 

「待って!!!」

 

 果林ちゃんから電話がかかってきたとき、彼の名前と共に私はこんな声出せたんだと自分でも驚くくらいの声量で叫んだ。

 

 彼に近づくな? 一体何の権利があって果林ちゃんは私と彼を引き裂くのだろうか。

 気がつけば携帯を潰してしまう程大きな力で握っていたのに気づいて私は制服のポケットにしまった。

 さっきの電話で、微かに、本当に僅かだけど彼の声が聞こえた。つまりは彼に果林ちゃんが何か危害を加えたということ。

 

 彼の家は前に断片的にだけど、聞いた事がある。彼とのやり取り全てを思い出して私は走り出した。

 

 

 ──────

 

 

「果林ちゃん!!」

 

 幸いな事に開いたままだった彼の家の玄関を勢いよく開けた。

 

「私は彼には関わらないでって言ったはずだけど?」

 

 果林ちゃんは、彼方ちゃんが来るのを待っていたかのように白磁器のティーカップを香りを楽しむ様に時々揺すりながら紅茶を飲んでいた。

 彼女は、裸にバスローブの様なものを来ただけの服装で、彼は制服が乱れたまま眠っている。気絶しているのかもしれない。

 彼とどんな事をしていたのか、この部屋に充満する忌々しい独特の香りから想像に難くない。

 

「彼に何したの」

 

 額から垂れる汗を腕で拭って、確認の意を込めて私は問いた。

 私は憎しみを抑えることが出来なかった。

 鋭く彼女を睨めつけるように見つめた。

 いつもなら脇目も振らず彼に抱きついて一緒にお昼寝をするのに。

 

「あら、怖い。別に大した事じゃないわよ、強いて言うとすれば……ただの恋人の営みかしらね」

 

 たっぷりと言葉の隅々までに染み渡っている余裕と私の牽制と嫌味

 

「恋人じゃない人が言ったってただの妄言だよね」

 

 私は皮肉混じりにそう返した。

 

「あらあら、貴方だってまるで恋人みたいに振舞って居るけれど、ただの泥棒猫じゃないの、私の獲物を横取りしたりして、元々私のファンの子よ?」

「でも彼方ちゃんの方に変えてくれたよ? 彼方ちゃんの方が彼にとっては魅力的だったんだよ」

「色仕掛け見たいことしておいてよく言うわね」

 

 フッと果林ちゃんが面白くなさそうに鼻を鳴らす。

 

「彼方ちゃん、今の果林ちゃん嫌い~」

「奇遇ね、私も今のあなたは嫌いだわ」

 

 同級生として、同じスクールアイドルとしてならまだ大丈夫だけれど、恋のライバルとしては私と果林ちゃんの仲に亀裂が出来たと言っても過言ではない。

 

「果林ちゃんモデルもやってるんだしこういう熱愛報道は危ないんじゃないの~?」

「そしたら彼と一緒に私の故郷にでも帰ろうかしら。二人で幸せに暮らす事にするわね」

 

 気がつけば手には力を込めて握りすぎた為か血が滲んでいた。

 

 そして、未だに気絶をして寝ている彼の傍に座って優しく頭を撫でた。

 

「私の彼なのだから彼方には触らないで欲しいのだけど」

 

 すっと目を細めて彼方ちゃんを睨む。

 私が近くに寄ったのが気に入らないのだろう。私も果林ちゃんの立場なら突き飛ばしてでも離す。それをしないのは彼と初体験を交わした余裕があるからなのかもしれない。

 私はそんな声を耳から排して、彼に口付けをした。

 でもそれじゃあ足りなくなって、歯茎を余すことなく果林ちゃんの痕跡を消すように舐め舌を一方的に絡ませる。

 離した時に彼方ちゃんと彼を繋ぐ銀の糸が垂れる。

そして、その糸は直ぐに切れた。

 

「最後の悪あがきってとこかしら、惨めね」

「彼方ちゃんは果林ちゃん程身体の繋がりに頼る程彼との絆は弱くないからね~、なんたって今彼の推しだもん」

「ふん、勝手に言ってなさい」

 

 果林ちゃんは、ティーカップに入っている紅茶を音を立てて飲み干した。

 

 べーと果林ちゃんに舌を出して挑発してから彼方ちゃんは彼の家を出た。

 唇を何回も指で舌でなぞりながら彼方ちゃんは帰路を辿った。

 




一応言っておくと主人公の事になると仲は悪くなりますがそれ以外はアニメ通りに仲良いと思います、きっと
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