推し変したらヤンデレに 作:555
後は、まだ三話しか投稿してないのにUAが一万を超えた見たいで、ありがとうございます。
果林さんと彼方さんの様子がおかしいことに気づいたのは最近の事だった。
前の仲のいい二人では無くて最近は二人は僕がいる時に顔を合わせると、一方が極端に機嫌がよく、もう一方がとても機嫌が悪くなっている。
僕に聞こえない声量で会話を二人は交わしているから僕には内容は分からないけれど、もし僕のせいで二人の仲にヒビが入ってしまっているのなら……と考えると夜も眠れぬ程だ。
今日も『はぁ』とため息を着きながら学校の庭にあるベンチに座って手の中で暖かい缶のコーヒーを転がす。
一体なにが原因か分からないけれど、僕の好きな二人が僕の好きなアイドル二人が喧嘩をしているのを見ているのは嫌だった。
でも、他にも相談出来るはずもない。
『今話題のスクールアイドルと知り合いでその二人が喧嘩をしているので止めたいんです』なんて言ったらドルオタの気持ち悪い妄想の様に聞こえるだろう。
原因が分かれば対策のしようもあるけれど、それが分からないのだから手の付けようがない。
強いて言う心当たりは、僕が二人に何かをしてしまったという曖昧な事くらい。
「そんなに悩んだ様子でどうしたの?」
顔を俯かせて項垂れていると誰かに声を掛けられた。
顔を上げるとそこにはツインテールで毛先が緑色に染ってる何とも奇妙というか不思議な人が居た。
「あれ? 君って彼方ちゃんと果林さんのファンの人じゃない?」
「ま、まぁ、そうですけど何故分かったんですか?」
最近は比重としては彼方さんの方が多いけれど果林さんもまだ好きだ。
でも推しについて言ったのはそれこそ彼方さんと果林さんくらいだし。
頭を捻って考えていると、直ぐに答えをくれた。
「私、高咲侑って言うんだけど、虹ヶ咲学園スクールアイドルの部長兼マネージャーをしてるんだよ!」
「スクールアイドルの部長とマネージャー……」
そう言われると見た事あるような無いような……
「キミ、スクールアイドル好きでしょ? ライブ見てるキミの目は輝いてるもん」
「ええ、それは勿論好きですよ」
「いっつもライブで見掛けるキミが何か迷ってる様子だったからどうしたんだろって思って話しかけたんだけど」
僕の目を奥を覗き込むように見つめてくる。
「あ、あの……練習の時彼方さんと果林さんは仲良くやってますか?」
もしかして僕の自意識過剰かもしれない、次のライブについて討論しているかもしれない。
僕は恐る恐る高咲侑さんに尋ねた。
高咲さんは一度質問の意図が分からないかと言うように首を傾げた。
そりゃそうだろう。別に二人は仲の悪さで売っている訳ではないし、人を安易に嫌う様なそんな気は全くと言っていいほど二人にはない。
「二人とも仲良く練習してると思うけど……どうしたの?」
僕を包み込むかのような優しい目で僕を見ている高咲さん。
僕は内側から込み上げるものをグッと堪えた。
「いえ、なんでもありませんよ、ただなんとなくです」
目を合わせないように僕は答えた。
高咲さんはもう一度腕を組んで悩むような素振りを見せた。
「なんでそんな事聞いたの?」
もう一度彼女は質問を繰り返した。
でも先程よりも何か確信を持ったように強く、ただ自分の頭に浮かんでいるものと答え合わせをするかのような感じだった。
「一応さ、私もマネージャーとして皆にもし問題とか悩みがあったらそれを直して皆には万全の状態でステージに立って欲しいんだよね。だから彼方さんと果林さんに何かあったなら教えて欲しいな」
逃がさないと言わんばかりに彼女は隣にピッタリと張り付くように座った。
僕は迷った、高咲さんに言うべきかどうか。
その前に信じてもらえるかどうかという問題はある。もしかしたら気持ちの悪いオタクの戯言と聞き流される可能性の方が高いが、それでも迷った。
高咲さんは、僕の答えをずっと待ってくれていた。
そして、何かを考えるように手を顎に当てた。
「それってさ、偶に果林さんと彼方ちゃんが喧嘩……というか何かを激しく言い合っている事に関係あったりする?」
彼女は呟くようにぽつりと言った。
きっと僕は驚きに目を大きく開いていた事だろう。
高咲さんが納得したように頷いた。
「きっと信じてもらえ無いかもしれないですけれど……」
僕はそう言って口火を切った。
そして高咲さんに今までの事を全て話した。
彼女はただ僕の話を聞いていた。
でもどこか彼女は楽しそうな印象を受けた。
問題が解決することへのスッキリ感なのだろうか。
全て話し終わった後、僕は「ただの戯言だと思って下さい」と付け足した。
「いや、私は君のさっき話してくれた事信じるよ、丁度心当たりのあることもあるしね」
ニコッと優しく微笑んだ。見惚れてしまう程可愛らしい笑顔から僕はぷいっと目を逸らした。彼女の奥底に引き込まれそうな気がしたから。
「自分の好きなアイドル二人が喧嘩してる、ましてやそれに自分が関わっているかもしれないなんて、漫画みたいだね」
「僕自身も信じられないです、勿論ただの自意識過剰かもしれませんが」
「じゃあさ、二人でどうやったら仲直り出来るか考えようよ」
ぎゅっと僕の手を包み込んだ。
そこから伝わる体温が手にあるコーヒーよりも暖かく感じた。
僕は頷いた。
「じゃあさ、連絡先交換しようよ」
「連絡先……ですか?」
「これから話し合いたい時に連絡できた方が便利じゃん?」
「ですね」
そして、僕が携帯を差し出すと、高咲さんは何かを調べるように、まるで下に落ちたコンタクトを探すかのように注意深く何かを見た。
何かを見つけると目を細めて睨むように一点を見つめていた。
「彼方ちゃんの連絡先、あるんだ」
「前に結構遊んでたりしたので」
あの時は何も考えずに遊んでいてとても楽しかった。遥さんとも一緒に遊びに行ったりもしたし。
「へぇー」
どこか冷めた目を画面に向けながら僕の携帯を彼女が操作して登録した。
「それじゃ、またね」
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その後、高咲さんとはよく遊びに行く仲になった。
水族館だったり博物館だったり、二人でスイーツを食べたり他のスクールアイドルのライブを見たり。
相談と全く関係ない所だけど、久しぶりに何も考えずに全力で遊べた気がした。
外以外にも学校でも侑さんと過ごすようになった。
朝は待ち合わせをして、一緒に登校しお昼は一緒に食べて、帰りも一緒にくだらない事を話しながら帰ったりどこかで何かを買って食べたり。
僕自身段々と高咲さんと一緒にいる時間が楽しくなった。前に彼方さんや果林さんと一緒にいる時間よりずっと。
そんな事をしていたら、恋に多感なお年頃である僕達高校生は、色々噂をされるもので。
僕と高咲さんは付き合っている。なんて噂が出来てしまった。
いつも通り二人で昼食を食べていても、誰かがこちらを見ながらニヤニヤと笑って話しているのが見える。
「私たち、付き合ってるなんて事になってるみたいだね」
高咲さんはパスタをフォークに巻き付けながら興味が無さそうに僕に言った。
「ですね……、高咲さんは本当に申し訳ないとは思ってますが」
「いや、それはいいんだけどさ、ねぇ高咲さんって辞めない? 侑って呼んでよ」
「いいですけど、それって付き合ってるっていう噂を助長しかねないですよ」
「いいよ、別に。誰が言い始めたのか知らないけど言いたい人には言わせておけばいいんだよ。否定する方がさらに怪しく見えるし」
「かと言って全く否定しないのも認めてる感じになりません?」
「それが狙いなんだけどさ」
「え?」
ポソッと呟かれた言葉は直ぐに空気に溶けてしまうほど小さくて聞こえなかった。
「だからさ、もし誰かに付き合ってる? って聞かれた時は否定しちゃダメだよ! 分かった?」
ビシッと人差し指を僕に突き出す。
イマイチ僕は納得出来なかったけど、「うん」と頷いた。
「それじゃ、放課後は学校近くにあるデパートにでも行こっか。私買いたいものあるんだよね」
「勿論いいですけど、それって火に油を注ぐ事になりかねないんじゃ……」
今まではある程度遠くに行って遊んでいたけれど、学校の近くのデパート。
虹ヶ咲学園の生徒も沢山いるだろう。
「確かにウチの学校の生徒はいっぱいいるかもねぇ」
そういう侑さんの口ぶりはどこか他人事の様だった。
「いいじゃん、別に。ほら、口開けてよ、私が食べさせてあげるから。美味しいよ、これ」
パスタが巻き付けられたフォークを差し出してくる侑さん。
そして、あっと気づいた様にこう付け足した。
「沢山人もいるし付き合ってるってここにいる人に勘違いされちゃうね〜?」
侑さんは顔は鬱陶しそうな感じだったけれどその声音はどこか嬉しそうだった。
「これからも二人きりで色んな所に行こうね、腕とか手を繋いで行こうね、周りの噂なんて気にせずに私だけを見ててよ」
僕は諦めたようにその差し出されたパスタを食べた。
ありそうで なかなかないの 侑ちゃんのヤンデレ(字余り)
他の侑ちゃんのヤンデレも見たいなぁ?(チラチラ)
箸休め的な物なのでヤンデレはちょい薄め。