死途の徒   作:三羽世継

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十二灯

 記憶とは脳に溜め込まれるものだ、と思う。脳科学だの生物学だのを修めているわけじゃないから、完全な偏見……というか、日常に溢れている知識を用いた常識だけれど、記憶も感情も、脳が無ければ始まらないと、そう思う。

 それを、失ったら。

 たとえば──生まれ変わって、別人になったら。

 

 失わない方がおかしい。

 前の生の記憶。前の前の生の記憶。その前の、そのまた前の、そのまた前の記憶。

 それを覚え続けているというのは、やっぱり霊魂だとかいうものが関わってくるのだろうけれど、脳というものがある以上、霊魂だけに全てが納められるわけではないのだろう、というのは推測できる。

 だから、星命先輩は忘れて行ってしまっているんだろう。ホシミとしての記憶はもう、星命先輩の中には残っていないから。ただ、魂が憶えている、微かに刻まれたレコードの溝だけが、ホシミであった頃の感情を繋ぎ止めている。

 

 その記憶だって、ホシミが脳に刻んだものではない。

 ホシミは神だったから、生きていない者だったから、覚えようとして覚えることはなかったんだ。忘れるわけがないものだから、意識はしていなかった。

 

「佚依。もう少し近づいても良いかな」

「いいですけど、もう暖かいですよ」

「ちょっと人肌恋しくてね」

「言い方が気持ち悪いです」

 

 先輩はどう思っているんだろう。

 大切な記憶が抜け落ちて行く感覚。たまにテレビなんかで認知症の人の体験談なんかを見ることがあるけれど、やっぱり、恐怖を覚えるんだろうか。それとも忘れている自覚がないから、恐ろしいとさえ思えないんだろうか。

 神様の名を呟いている時に、一体どれほどの虫食いの記憶を振り返れているのだろうか。一体どの程度、完全だと思い込めているのだろうか。

 

「……せめて一言告げてから手を握ってください」

「一言告げたら握ってもいいという言質を取れたね」

「別に、手くらいはいいですよ」

「嬉しいよ、佚依」

 

 私だって、生まれてからの全てを覚えているわけじゃない。

 一番古くて三歳とかだろうか。あの手を手だと認識した時が、最古の記憶。そこから幼稚園だの小学生だのが飛び飛びになって、見えているものが特殊であること以外、灰色の毎日を送っていた。その見えているものにしたって、触れもしない、害もないだったから、灰色である事に変わりは無かった。

 だから、記憶らしい記憶、思い出らしい思い出なんてほとんどない。惰性で生きてきた人生に、忘れてしまう事を嘆くような大切さも、思い出し得た事を心から喜べる尊さも、持ち合わせてはいない。

 

 どういう気持ちなんだろう。

 

「神様とも、こうやって手を繋いだんですか」

「……そうだね。あまり覚えていないけれど、二人でいる時は、こうしている事が多かった気がする。いや、どうだったかな……何か、他の事をしていたような気もするけれど」

「踊っていたんですよね」

「踊って……いた。そうだ。アカツキの歌と、ヨツギの弓に合わせて……」

「……」

 

 違う。

 どこまで擦り減ってしまっているのか。そんな、余りにも可哀想な事が。

 

「お、教えてほしい。多分、私を気遣って、躊躇っているのだろう。大丈夫だから、傷付かないから、教えてくれないか。ヨツギは何を弾いていた?」

「それは胡弓であってます。間違っているのは、神様の方です」

 

 ぐ、と。

 私の手を握る力が強くなる。

 違う。震えている、のか。

 

「アカツキは……歌を、歌っていた。あの歌を」

「違います」

「……私が踊って、ヨツギが弓を奏でて」

 

 ヨツギが言っていた。

 ホシミは記憶を忘れているだけで、失くしてしまったわけではないのだと。

 ここで私が神様に関する事の答えを教えて、それを新たな記憶として収集するより。

 忘れてしまったものを取り戻した方がいいと、そう思った。

 

「……思い出せない。歌が聞こえるんだ。でもそれは、君の声で……」

「神様はこんな風に喋らなかった。もっと粗雑な頃があったと思います。もっとお淑やかになったと思います。先輩は今、見えやすい私の影を、見え難い神様の影に重ねてしまっているだけ。もっともっと苦しんで、もっともっと悩んで、思い出してください」

「手厳しいな……。教えては、くれないのかい」

「ダメです。楽をするのは、ダメです」

 

 私の手を握る力が弱くなったのを感じた。

 だから、反対の手で、先輩の手を握り返す。上から、多い被せるように、強く。

 

「……ごめん、佚依。信じてくれているんだろうけど……思い出せないんだ。思い出せないというより、歌を歌うアカツキの姿が私の脳裏には、焼き付いている。君のもっと、髪を伸ばした姿で。その可愛らしい顔で……君の声で」

「じゃあ、これ」

「……?」

 

 手を離す。そしてカバンから手帳を取り出して、文字を書いて、ページを破って彼女に渡す。

 どうしてやらないんだろう、とは思っていた事の一つ。

 

「"あの時、私が踊って、ヨツギが弓を奏でていた時、彼女が何をしていたのかを思い出す"……?」

「はい。それ、持っててください。思い出せるまで捨てないでください。というか先輩は、これから毎日、日記をつけてください。自分の記憶が零れて行っている事を自覚してください」

「……日記」

「先輩は自分が色々な事を忘れているのを自覚していない。神様との思い出や、ヨツギとの思い出。あるいは(はく)(びゃく)との思い出。それらを、今憶えている分だけでも、書き留めておいてください」

「狛犬の……名前。あぁ、それは、それは、覚えている。懐かしい名前だ」

「覚えている事に喜ぶだけじゃなくて、思い出したこと全部書き留めておいてください」

「う、わかったよ。……少し怒っているように見えるんだけど、気のせいかな」

「もっと事態を重く受け止めろと言っているんです。もし先輩が、神様の全てを忘れてしまったら……」

「しまったら?」

 

 言葉に詰まる。

 なんて言えばいい? 可哀想だ、とぶつける? 悪霊が溢れてしまうんだと脅す?

 ……違う。そうじゃないのだ。

 

 そうじゃなくて。

 

「──私は、貴女の言う好きを、受け止められなくなってしまうから」

 

 たとえ先輩が、神様の全てを思い出した時……私を好きじゃなくなっても。

 灰色の毎日に色を与えてくれた先輩の言葉に、嘘があってほしくない。

 

「それは、受け止めたいと思ってくれている、という事でいいのかな?」

「先輩の言葉が真実であるのなら、です」

「……すべて真実だよ。私は君が好きなんだ」

「自分の全てを取り戻してから、その時に言ってください。今の先輩の言葉じゃダメです」

「本心なんだけどなぁ」

 

 お願いだから。

 私を通して、誰かを見るくらいなら。

 私の事は、忘れてしまってもいいから。

 

 お願いだから、ちゃんと見てあげてください。

 神様は先輩を待っていますから。

 

 

 

 ○

 

 

 

「ホシミとの思い出? ……えと、それは外堀を埋めに来たとかそんな感じ?」

「普通に気になって。四ツ木(よつき)ちゃんは、先輩といつから仲いいの?」

 

 品場神社。

 相変わらず沢山の動物に溢れた場所だ。とはいえ、以前はがっつり睨んできた動物たちが、何を思ったのかすり寄ってきたり手や尻尾を振って挨拶しに来たりと、警戒は完全に解けている様子だった。

 野良の動物を相手にするのはだるいから苦手なんだけど、害がないのならまぁ、別に。どうせ触れないし。

 

 今日は一人で来たため、宿舎の方に入っていいかどうかを迷いながら境内をうろうろしていた所、四ツ木ちゃんを発見。捕まえて誘拐して雑談に至る。ベンチに誘っただけだけど。

 

「いつからって言われると、生まれた時からかなー。元々パパと仲良くてさ、ホシミは。ママともね」

「あ」

「いいよ、知ってるって知ってるし。ママが死んじゃった時も、お葬式一緒に来てくれたくらいの仲。パパとホシミがどういう関係なのかはあんまり知らない。ただ、パパは時々ホシミの事を見つめているから、多分パパが過去に手を出した関係なんじゃないかって思ってる」

「そうなんだ」

「……前会った時も少し思ったけど、佚依お姉さんって天然?」

「少なくとも養殖ではないね」

「私も和食の方が好きかなー」

 

 適当な会話が過ぎる。

 この子、部長レベルに適当だ。今度引き合わせてみたい。

 

「ホシミはまぁ、弄れるお姉ちゃん、って感じ。一人っ子だからさ、よくウチに来てくれるホシミとは、ずっと遊んでたかも」

「先輩と遊ぶのは楽しかった?」

「ホシミで遊ぶのは楽しいよ」

 

 いやほんと。

 人間性劣悪の類な気がする。

 

「こんな話でいいの?」

「もっと聞いていい?」

「おっけーおっけー。私学校の友達はそれなりにいるけど、そうじゃないお友達少ないからさ。ホシミの彼女さんともなれば、どんとうぉーりー」

「彼女じゃないけどね」

「セフレ?」

「中学生がそういうこといわないの」

 

 まぁ、関係性を問われたら。

 ……なんだろ。介助人?

 

「先輩の踊りって見た事ある?」

「へぇー、もうそこまで知ってるんだ。うん、見た事あるよ。ウチの神社の神様が楽器を奏でる伝説があってさ。私達にもそれが引き継がれてて」

「胡弓、だよね」

「えー! 勤勉過ぎない? 継ぐ? ウチ継ぐ?」

 

 どういう勧誘なんだそれは。

 

「だから私も弾けるんだけど、ホシミはそれに合わせて踊れると来てさ。これはもう確定だな、って」

「何が?」

「絶対パパがソウイウお店とかで踊らせてたんだよ、ホシミを」

「……想像力が豊かだね。でも多分そういうところは、そういう踊り専門の人が、CD音源とかに合わせて踊るものだと思うよ」

「ちぇー、佚依お姉さんって全然焦らないんだね」

 

 まぁ、落ち着いているもので。

 確かに焦る事、あんまりないかも。驚き慣れている……驚きはもう一生分使い果たしたから、かな。

 この話前にもした気がする。

 

「お姉さんは楽器いけるの?」

「全然。歌なら少しだけ、得意な方だと思う」

「歌! 歌かぁ。じゃあさ、今度カラオケ行こうよ」

「いいけど、中学生と二人でカラオケって、通報されないかな」

「ホシミが大丈夫だったから大丈夫じゃない?」

「先輩って歌うの?」

「歌うけど、超下手だよ」

「超?」

「超」

 

 そうなんだ。

 なんか、意外だ。神様があれだけ綺麗な笛を吹けて、ヨルツキちゃんがあれだけ綺麗に弓を引けて、そんな二人に囲まれていたのに、音感が育たなかったのだろうか。

 それともそれも忘れているだけ、とか?

 ……これで音感思い出してください、って言って本当に最初から超下手なだけだった場合が色々悲しすぎるけど。

 

「少し入れ知恵をするのなら、ホシミの歌は昔から下手だな」

「……四ツ木ちゃん。今多分嘉白、じゃなくてお父さん仕事サボってるよ」

「へ?」

「む。お前、折角出てきてやったというのに何を言うか」

「今どこにいるかわかる? 喝入れてみたい」

「あー……まぁ、そっとしといてあげて。パパ、あれでも結構歳行っててさ。宮司って残業無い代わりにそれなりにハードワークだから、身体に来てるみたいなんだよね」

「優しいね」

「まぁ、ほとんど男手一つで私を育ててくれたわけだし……」

「お父さんの事、好き?」

「うん。勿論ママもね。大好きだよ」

 

 残酷な運命を敷いたものだと、強いたものだと言った。

 本当に。

 

「……四ツ木」

「ねぇ、四ツ木ちゃん。ヨルツキちゃんに会った事はある?」

「おいお前、余計な事は言うなよ」

「夜月に? いや、無いけど。だって神様だよ? 神社の娘がこんなこというのもなんだけど、ファンタジー過ぎない?」

「会いたい?」

「そりゃ会えるものならね。どんな見た目してるのかも気になるし、どういう性格なのかも気になるかなー」

 

 望み過ぎ、なのだろうか。

 先輩の事をどうにかしたいという気持ちと、四ツ木ちゃんとヨルツキちゃんの未来に幸福あれという気持ち。知ってしまったがために、首を突っ込みたくなってしまう。私はこれほど情熱的だっただろうか。

 もっと無気力で。

 あぁ、けれど。それはただ、ずっと色が無かったからで。

 

「ちょっと、眠くなってきちゃった。四ツ木ちゃん、部屋借りて良い? 仮眠したい」

「え、唐突。やっぱり天然さん?」

「少なくとも人工ではないかな」

「いいけど、いいの? 私が襲うかもだよ?」

「はいはい」

「流された……!?」

 

 決めた。

 相談、しよう。

 多分、(びゃく)よりもっとたくさんの事を知っているだろう存在に。

 夢の神、ヨツギに、自分から会いに行く。

 

 

 

 ○

 

 

 

 ──"別に品場神社にいなくても、会いたいと思ってくれたらいつでも呼び込むけどね?"

「別に、ついでだし」

 ──"そう? それで、聞きたい事は、四ツ木とヨルツキの両方を救う方法、でいいの?"

「うん。あるの?」

 ──"無くは無いかな?"

 

 夢の世界、と呼んでいいのだろう。名前の知らない場所。あるのかどうかわからない場所。

 だから便宜上、夢の世界と名付ける事にする。

 

 ここで、珍しく、私は一人だった。

 眼下に見える光景が無い。

 眼前にも闇が広がるばかり。

 そしていつも通り、私と同じ位置から声が聞こえる。

 

「デメリットが大きい?」

 ──"そうだね? 幾つか考え付くけど、たとえば、四ツ木が今すぐに死ぬ事とか?"

「……それを取る事はほぼ無いけど、そうするとヨルツキちゃんは消えないの?」

 ──"曖昧になる、が正しいかな? 死した事で生きていない者になった四ツ木と、初めから生きていない者であるヨルツキが、不安定な状態で融合する。どちらがどちらだったのかわからなくなるだろうし、生者であった時の記憶の全てが引き継がれるかはわからない。その上、力としてはヨルツキの方が強いから、ヨルツキに塗りつぶされてしまう可能性もある"

「じゃあ、ダメだよ。四ツ木ちゃんもヨルツキちゃんも、どっちもがちゃんと続けられる方法はないの?」

 ──"花も折らず、実も取らず?"

「無理なんだ。神様でも、出来ないんだ」

 ──"もとより生者には干渉できないからね? こうして夢を見せる事が出来るのは、佚依ちゃんの体質故だよ"

「私だけなんだ」

 

 あぁ、見ることが出来て、聞くことが出来るから、って事なのかな。

 

 夢。夢の神ヨツギ。

 前代の、と言っていた。そういえば。

 

「どうして代替わりしたの?」

 ──"飽きたからかな?"

「え」

 ──"ホシミがいなくなって、アカツキが丸くなって、人間達も入れ替わって、品場神社にいる意味がなくなったね?"

「いやだって、品場神社はヨツギの家なんじゃ」

 ──"ホシミとアカツキは性質上互いに惹かれ合うけど、私は夢の神だからね? 夢とは移ろうもの、揺り動くもの。別に品場神社に拘る必要はないね?"

 

 なんだこの祟り神。

 適当が過ぎないか。神様やホシミはあれだけ真面目にやっているのに、ヨツギだけなんか毛色が違う。

 

「でも、それならもっと早く離れて良かったんじゃ?」

 ──"約束があったからね?"

「約束?」

 ──"ホシミとの、約束だね?"

 

 その内容は語ってくれないらしい。

 一応ずっと、その約束を果たしていた、ということなんだろう。それが少し前……四ツ木ちゃんが生まれる前に切れたから、晴れて代替わりが出来た、みたいな。

 四ツ木ちゃんが生まれる前。大体十五年から十二年前の間くらいか。

 そこで何かが、切れた。失効した。

 

 ──"一つ、デメリットのもっとも少ない方法があるね?"

「それは何」

 ──"ヨルツキの肉体を用意する事だね? ヨルツキから四ツ木になるのは、何も生き返っているわけじゃない。切り替わっているだけ。その瞬間に、つまり四ツ木が目を覚ます瞬間に、ヨルツキを別の身体に移し替える事が出来たら、ヨルツキは初めから生きていない者であった場合の特例を用いて、生者になる事が出来る"

「白達みたいに、ってこと?」

 ──"そうだね? けど、問題は"

「肉体を用意する、なんて……無理がある」

 

 そんなこと、私には出来ない。

 魂の入ってない肉体。そんなファンタジー溢れるもの、用意できるはずがない。

 ……いや。

 

(はく)(びゃく)は、どうやって身体を手に入れたの?」

 ──"その辺りの、歩いている人をね?"

「嘘はいらないよ」

 ──"堪え性というものがないね? 徹底的に"

 

 いや今真面目な話してるから。

 真剣だから。

 

 ──"愛だね?"

「おふざけはいらないってば」

 ──"これは本当だね? 愛があれば、代足る器は生み出し得るよ"

「……仮にそれが本当だとして、誰の愛が必要なの」

 ──"一人じゃ無理だね? 二つの霊魂の、互いに愛し合う心があれば、そこにカタチが成されるもの"

「じゃあ、ホシミとアカツキの愛があれば」

 ──"ヨルツキの器くらいは十二分だね?"

 

 ある意味で、子を成せる、という事でもあるのか。

 あれ、けれど、それだと。

 

「生きていない者になった(はく)(びゃく)とは、永遠のお別れになっちゃうの?」

 ──"随分と多くを望むね?"

「四ツ木ちゃんを人間として、ヨルツキちゃんを神様として続かせることは出来ないの?」

 ──"少なくとも、私は知らないかな?"

「夢の神でも知らない方法がある可能性はある?」

 ──"勿論だね? 私は万能じゃないから、誰かが知っているかもしれない。誰かが考え付くかもしれない。それが可能かどうかくらいは判断してあげられるよ?"

 

 つまり、自分で考えろ、と。

 まぁ、先輩に楽をしちゃダメだと言ったんだ。私だって、少しくらい努力をするべきなのだろう。

 もう随分と頑張っている気がするけれど。

 

「そろそろ起きたいんだけど」

 ──"私にホシミとの思い出を聞かなくていいの?"

「あるの?」

 ──"暦で言えば、アカツキとより長いね?"

 

 ふむ。

 ……ふむ。

 

「いいや」

 ──"いいんだ?"

「なんか、ヨツギは適当な事しか言わなさそう」

 ──"もしかしないでも、私の事嫌いだね?"

「苦手かな。もっと色々ズバズバ言ってほしい」

 ──"じゃあ今度、何の用事もない時に引き込んで、延々話を聞かせてあげるね?"

「うわあ」

 

 天邪鬼だ。

 

「起こしてほしい」

 ──"うん、じゃあねまたね?"

「またね」

 

 まぁ、なんだ。

 多分ヨツギにも良い所はあるんだろうけど……。

 

 神様の気持ちがわかった、かも。

 苦手だなぁ。

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