(いよいよ卒業か~。これでやっと自由の身になれるんだろうな)
此処はイギリスの某所に存在するメルディアナ魔法学校。
今は卒業式の最中であり、今期の卒業生である俺は長かった在学期間を回想していた。
「これ、そこ。早く卒業証書を受け取りに来ぬか。まさかまた1年留年する気なのか」
「あ、はい。スイマセン」
いつの間にか自分の名を呼ばれてたらしく、俺は急いで証書を受け取りに行く。
「何ボーっとしてるのよ。そんなだから3年間も余計に留年しちゃうんでしょ」
証書を受け取り終えた俺に声を掛けて来たのは卒業生の一人アンナ・ユーリエウナ・ココロウァ。
親しい人はアーニャと呼んでいるそうだが俺は敢えて本名で呼ぶ事を心掛けている。
「は~いスイマセン。1年飛び級されてるアンナさんには敵いませんっすわ」
嫌味っぽく聞こえる様に返答したのが気に障ったのかアンナは俺をキッと睨み付けると、小声で後で覚えてなさいと呟いて自らの証書を受け取りに歩いて行く。
(あ~ツンデレ系幼馴染って良いなぁ~。でもアンナもアイツのハーレム要員の一人なんだよな)
俺の言うアイツとは今この場に居る魔法使い達の注目を一身に集めている今期の首席卒業生、英雄サウザンド・マスターの息子であり、魔法先生ネギまと呼ばれる作品の主人公ネギ・スプリングフィールドだ。
「あ~やっと終わった。一応修行先の確認しておくか」
卒業式を終え、俺は卒業証書に記載されている修行先を確認しようとする。
とは言え俺は別に
10年前、俺がこの世界に転生したばかりの頃はもっとやる気に満ちていたのかもしれない。
しかし5年前に初めてネギと出会った時に俺は自分の立場を思い知る事になった。
魔力の絶対量の差にあらゆる面での学習能力の差、数え上げればキリがない程に自分とネギには超える事の出来ない壁が存在するのだと痛感してしまったのだ。
「こっちが10の事覚えるのに四苦八苦してる間にあっちは1000くらい簡単に覚えるんだもんな。こういう所が魔法世界編以降の二次創作SSが少ない理由だったのかもな」
「こらハル!!さっきの事覚えてるでしょうね」
転生前にネットのヘイトスレで見た公式が最低オリ主系の大手という書き込みを思い出していると、背後からアンナを始めとした3人の人物に呼びかけられた。
「あ~どうもアンナさんにネギくん。それにネカネさんもこんにちはです」
「またアンタはそう他人行儀な言い方して。ネカネさんも何か言ってやって下さい」
「まあまあアーニャもそう怒らないで。それよりハル君の修行先は何処だったの?」
金髪美女のネカネ・スプリングフィールドはそう言いながら俺の証書を覗き込もうとするが、5年前に結論づけたネギと親しくなる女性と仲良くなっても寝取られ感を味わうだけと、いつも通り数歩後ろに下がり距離を取る。
「俺なんかの修行先見てもつまらないですよ。それよりネギ君は何処に行くんですか?」
「これから見るとこなんだ。ちなみにアーニャはロンドンで占い師だって」
屈託のない笑顔で証書に目に通すネギを尻目に、俺はこれからどうするかを思案していた。
(ネギは麻帆良学園で教師するのは確定だとして、俺は転生系のテンプレだと一緒に日本に行く事になるんだろうな)
もしそんな事になれば俺は迷わず麻帆良学園行きを拒否するつもりだ。
贔屓目な自己評価になるが、今の俺の実力は作中に出て来た強さ表でいう所の200~300の間くらいは有る筈だと思う。
しかしそれはやる気に満ちていた前半5年間で培った物であり、ネギとの差を自覚してからの後半5年間は3度留年する程自堕落に過ごしていたので正直言って魔法世界編に突入するどころか、修学旅行辺りで戦力外通告されてもおかしくないだろう。
「こ、校長先生どういう事ですか!?」
「本当にネギの修行先に間違いないの!?」
どうやら修行先が日本で先生をする事だと知った様だ。
校長は卒業証書に書いて有るなら決まった事だと言ってネカネとアンナの抗議に取り合おうとはしない。
「お姉ちゃん、アーニャ。僕はお父さんみたいな
主人公らしい顔と決め台詞で二人にそう答えるネギを羨ましいと感じながら、俺は証書に浮かび上がった文字を読む。
「何々?日本で先生をしろか……。ま、予想の範囲内だな」
「えー!!ハルが日本で先生!?ネギは魔法世界で拳闘士だし一体どうなってるのよ!!」
ネギまの世界に転生して約10年。この日俺は葱野ハルというキャラに転生して以来の驚きと転換期を迎える事になったのだった。
「あ~あマジかぁ~。アニメとか!?neoとか実写……は無かった事にして、本誌以外のネギま作品での独自設定は多々有ったけど、ネギが先生をやるって大前提が始まる前に崩れるって二次創作でしか有り得ないよな」
宿舎に戻り実家に帰る為の荷造りをしている俺だったが、卒業式後に発生した衝撃展開の所為で思う様に進まずにいた。
「しかもあの後の校長の反応から察すると、どうも修行先を取り違えたって感じだったからなぁ」
俺が日本で先生をやると知ったアンナが校長に詰め寄った際に、校長は珍しく狼狽した顔をして
『まさかそんな』『だが今更』『近右衛門になんと言って誤魔化せば』などと漏らしていたのを俺は聞き逃さなかった。
「あ、もしかしてこんな間違いを起こす為の俺の名前だったのか?英国籍の日本人魔法関係者夫婦の子供って設定はその為の物だった訳か?」
いつになく独り言が多くなってしまうがどうせこの部屋には俺しか居ない。
3度の留年を言い訳にして人付き合いも悪かったので、卒業後に態々部屋を訪ねる人物もいないだろうと思っていた矢先、部屋のドアをノックする音が聞こえて来た。
「ねえハル、まだ部屋に居るんでしょ?ちょっと話でもしない?」
「あー今荷造り中だから無理。俺よりもネギ君と話して来ればいいじゃん」
ドア越しに訪問者のアンナを追い払おうとするがノックする手を止めようとしない。
「ネギならもう魔法世界に出発しちゃったわ。開けてくれなきゃ無理矢理こじ開けるわよ」
「分かった分かった。じゃあ部屋に入れる代わりに荷造り手伝ってくれよ」
いつになくしつこいアンナに根負けして部屋に招き入れると、俺は久々にネギと出会う1年前に初対面したアンナに接する様に会話が弾み、いつしか作業する手を止めてソファー代わりにしたベッドの上でお互いの事を語り合うのだった。
「あ~、やっぱり俺って最低系のオリ主だったのかね?」
荷造りの終わっていない部屋のベッド上で一糸纏わぬ姿で寝息を立てるアンナの髪を撫でていると、今更だがネギの1歳年上という日本どころか世界的に見ても条例違反になる行為をやってしまった事の重大さに慄いてしまう。
「コレは色んな意味でアウトだよな。雰囲気に流されるって一番恐ろしいと実感したよ」
「ハル君……これはどういう事なのかしら?」
ある意味お約束というかベストなタイミングで声を掛けられて振り向くと、そこにはネギが姉と慕うネカネが信じられないといった目をして部屋のドアを開けた状態で立っていた。
「ハル君、あなた自分が何をやったか分かってるの?」
「はい。分かってます。だから責任取るので教師達を呼んで来て下さい」
言い逃れする事も現状を揉み消すだけの力も無い俺は、一切の弁明も無駄な足掻きもせずにネカネに己を処遇を任せた。
するとネカネは部屋の外を確認してから急いで中に入り鍵を閉め、ゆっくりと俺に近寄って来た。
「あの、ネカネさん一体何を?」
「し、静かに。アーニャちゃんが起きちゃうわ」
その一言だけ言うとネカネは恐る恐る剥き出しになった俺のモノを掴んで口に含んだ。
「人生には意図せずに突然のモテ期が訪れるらしいな」
一人用のベッドの上で川の字に並んだ真ん中でそう呟くと、右腕を枕にしていたアンナがツンデレ体質を発揮して俺に詰め寄ってくる。
「か、勘違いしないでよね。私は別に雰囲気に流されてこんな真似したんじゃないんだから」
「うふふ。じゃあアーニャは昔からハル君が好きだったって事になるわね」
そうネカネが揶揄うとアンナは顔を赤くして俺にしがみ付く。その姿を微笑ましく見つめるネカネだったが、俺は何故突然こんな状況になったのかを考えた。
(う~ん、どう考えても整合性がとれる理由が思い浮かばないな。強いて上げるとすればネギの代わりに俺が先生をやる事になったくらいだが)
まさかとは思うがそのお陰で俺のオリ主力(仮)が底上げされたのだろうか?
その答えは麻帆良学園へ行けばハッキリすると結論を出した俺は、何時かネギと再会した時に寝取られてしまう可能性を減らす為に両隣の女性に俺の存在を刻み込む行為を再開させたのだった。
その同時刻、日本の麻帆良学園では学園理事長にして関東魔法協会の理事も務める近衛近右衛門がメルディアナ魔法学校の校長から送られた速達の手紙を開封していた。
『と言う訳で……予定が……ネギ君の……日本行きが……なってしまって……スマン』
しかし余程急いで焦っていた所為か内容を読み上げる立体映像が所々途切れてしまい、同席していた魔法教師の一人タカミチ・T・高畑も困惑を隠せないでいた。
「一体どうしたんでしょうか?メルディアナ学校長がこんなミスをするなんて信じられませんよ」
「フォフォフォ。それだけネギ君の卒業が嬉しかったんじゃろう。ま、予定通り儂らはネギ君を迎える準備を整え様ではないか」
校長が伝えたかった肝心の部分に気付く事無く、麻帆良学園は英雄の息子ネギ・スプリングフィールドを迎える為の準備を進めるのであった。
某NARUTO作品創作に行き詰った為に始めた作品です
UQにしろBORUTOにしろ次世代キャラを主人公にした続編は好き嫌いが分れます
ネギの今後
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完全フェードアウト
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ラスボス化
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途中合流
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TS化