「ここが麻帆良学園か。これからどうなることやらってか」
気分的には懐かしい日本の満員電車に揺られながら、俺は窓から見える広大な麻帆良学園に今後起こるかもしれない出来事の数々を妄想していた。
(しかし……誰も俺に声を掛けてこないな。ま、見た目が同年代だし仕方ないか)
ネギとは違い俺は中高生エリアに向かう電車に乗っていても違和感が無いのか、周囲の学生は見慣れない人が乗ってるという視線だけ向けて、それ以上立ち入っては来なかった。
(お、あそこで談笑してる3人は確か2-Aの生徒だったよな。名前はチア部の……誰だっけ?)
電車内でチラホラ見かける2-A生徒達の顔と名前を脳内で照らし合わせているうちに電車が駅に到着し、学生達は我先へとホームの外へ駆け出して行った。
「何とも騒がしい所だな。これでも毎日続いたら慣れるのか?」
あっという間に静かになったホームで一息入れ、俺は学園長が待っているであろう麻帆良学園中等部の校舎に足を進めた。
「な、な、なんと……本当に君が我が校に就任するのじゃな?」
「そうですよ。ほら、校長先生から預かった紹介状も持ってますし」
麻帆良学園女子校エリアに設けられた学園長室で、学園長の近衛近右衛門は普段の飄々とした雰囲気を一変させ誰から見ても明らかに落胆した表情をしながら紹介状と俺の顔を見比べていた。
「学園長、今確認を取りました。やはり間違いないそうです」
そう言いながら学園長室に入室した高畑も学院長程ではないが落胆した雰囲気を隠せておらず、部屋には重苦しい空気が漂い始めた。
「ま、まあ取り敢えず3月まで教育実習と言うことになるかのう。正式採用はその結果次第じゃ」
「分かりました。お二人共案内して頂きありがとうございました」
流石にこの空気はマズいと判断したのか学園長はお為ごかしの歓迎の言葉を述べ、俺は此処まで案内してくれた神楽坂明日菜と近衛木乃香へと礼を述べる。
「う、うん。え~と、が、頑張ってね?」
「なんかゴメンなぁ。おじいちゃん歳やから勘違い多いみたいやし、気を悪くせんといてな」
どうやらこの二人にもこの場を漂う俺が期待してた人とは違うという空気を感じ取ったらしく、此処まで否定的な言葉を発しながら案内をしてくれた明日菜でさえ気を使ってくれる始末だ。
「ところで麻帆良に滞在する期間は何処に泊まったら良いでしょうか?」
「うっ、その問題も有ったのを忘れておった。取り敢えずは……宿直室にでも泊まって貰うかの」
ネギが来ると思い込み明日菜と木乃香の部屋に同居させる気で居たであろう学園長は、とっさに無難な場所として宿直室を俺の住いとして使う様に指示を出した。
「おじいちゃん、新任の先生が来るって分かっとったのに泊まる所も用意しとらんかったん?」
「あ、いや、それはじゃな。ちょっとした手違いが重なってしまってじゃな」
「まあまあ、そろそろ授業が始まりそうなので教室に案内してくれませんか」
木乃香の学園長を見る目が冷めていったので、俺は明日菜達に教室までの案内を頼んで学園長室を後にした。
「想定外の事態が起きてしまいましたね。こちらの確認不足と言えばそれまでですが」
「そうじゃの……ワシも年甲斐も無く浮足だっていたという事じゃな。それよりも今は他の魔法先生達への言い訳を考えねばならんな」
二人きりになった部屋でほぼ同時に溜め息を吐く学園長と高畑だったが、魔法先生への言い訳をする前に真っ先に人間違いを伝えておくべき相手の事を失念するのだった。
「え~という訳で3学期の間教員をする事になりました葱野ハルです。短い間ですがよろしくお願いします」
「よろしく~」「へ~同い年なんだ」「イギリスから来たって本当?」
学園長室での一件も有ったので、この2-Aでも歓迎されないのではと勘ぐってしまったが、その予想を良い方に裏切ってそこそこの歓迎ムードで質問責めにあってしまった。
(これなら有意義な教員生活を送れるかもな……アレが暴走しなければの話だけど)
黒板に向かってチョークを走らせる俺の背後に殺気を発してる人物に視線を向ける。
そこには周囲の生徒が引く程に苛立ちを募らせたこの学園に封印されている金髪の吸血鬼少女、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルがそこに居た。
(何故だ!!聞いてた話と違うぞ!!あのジジイ私を騙したな!!)
(ヒィー、エヴァンジェリンさん何でか知らないけど凄くキレちゃってるよぉ)
座席の関係上俺へ向けられている殺気を至近距離で受けている明石裕奈には悪いが、こればかりは俺に責任が有る事案では無いので授業が終了するまでの間耐え忍んで貰うしかないだろう。
「では今日の授業はここまでです。皆さんお疲れ様でした」
「おい貴様、ちょっと私に付き合え。嫌だとは言わさんぞ」
授業終了のチャイムが鳴り教室を出ようとする俺をエヴァンジェリンが呼び止める。
当然付き合えというのは交際目的では有る筈も無く、どちらかと言えば不良生徒の呼び出しと言った方が正確かもしれない。
もしこの場の対応を間違えれば俺の先生生活は一日で終了してしまうだろう。
Y島系主人公の様に茶化してしまうのはリスクが高すぎる為どうするべきか悩んでいると、思わぬ所から横やりが入って来た。
「ら、ラブ臭よ!!新任教師と生徒のラブロマンス臭を感じるわ!!」
「黙れ早乙女ハルナ。貴様この状況が理解出来んのか?」
だが空気を読んだのか読めないのか判断に困る早乙女ハルナのファインプレーにより、殺気に満ちていた教室に違う空気が流れ込んで来た。
「そ、そっかー。だからエヴァンジェリンさんあんなにピリピリしてたのね」
「き、きっと先生の側に近付きたかったからあんなに怒ってたんだよ」
「な、成程にゃ~。じゃあ私の席と替わってあげようか?」
ここを逃したらまた先程までの重い空気になってしまうと察した複数の生徒により、ハルナのラブ臭説を我先に後押しをし始めた。
「貴様らは揃ってバカばかりか!?もういい!!行くぞ茶々丸!!」
「イエスマスター。では皆様、お先に失礼します」
このままでは埒が明かないと判断をしたのかエヴァンジェリンは従者である茶々丸を連れて教室を去って行った。
「はあああぁー重苦しかったぁ。ナイスよハルナ、おかげで助かったわ」
「ま、私もあの空気は流石に辛いからね。先生、この借りはちゃんと返してね」
災いを転じて福となすという諺の通り、エヴァンジェリンの脅威をクラス一丸となった回避したお陰でどうやら俺もこのクラスに受け入れられた様で、放課後に俺の歓迎会を開くからと誘われるまでに友好的になれたのだった。
「メルディアナの魔法学校を3年も留年した奴だと!?そんな奴とナギの息子を間違えるとはボケるにも程が有るぞ!!」
「こ、この件に関してはワシだけが悪いのではないぞ。校長があんな手紙を寄越したのがそもそもの勘違いの始まりなんじゃ」
2-Aの教室を後にしたエヴァンジェリンは急遽開かれた魔法先生への説明会に乗り込むと、学園長に対して今回の件を罵倒する様に糾弾した。
いつもであればその様な事すれば苦言を呈する筈の魔法先生達は珍しくエヴァンジェリンに対し、期待を肩透かしにされた事も有ってかもっと言ってやれと心を一つにしていた。
「と、兎に角麻帆良に赴任したのはネギ君では無く別の卒業生の葱野君なんじゃ。期待していた皆には悪いが彼にはそんな態度で接しない様に頼んだぞ」
「分かってます学園長。我々も大人ですから気持ちの分別くらいはつきますよ」
だがその言葉とは裏腹に、ネギを
「ふん、
普段は清廉潔白な台詞を述べている魔法教師達の姿にエヴァンジェリンは少しだけ溜飲が下がった気分だったが、ネギが魔法世界で剣闘士をしてると知ると再び不機嫌になり学園長室を後にした。
「マスター、これからどうするおつもりですか?」
「決まってる。あの偽者を此処から追い出してジジイ共が企んでた通りの筋書きに修正してやる」
偽者では無く別人ではと訂正する茶々丸のゼンマイを締め上げながら、エヴァンジェリンはハルが麻帆良に滞在する間泊まる事になっている宿直室の前までやって来た。
「偽者め、お前の所為で私の計画がぶち壊しだ。死なない程度に痛めつけてやるから覚悟しろ」
魔力をほぼ全て封印されているとはいえ単純な体術だけでも高位の魔法使いを軽くあしらう実力を有しているエヴァンジェリンは、宿直室の扉を開けて中にいる人物に飛び掛かった。
「うわっ!?な、なんだ!?」
「覚悟しろ!!貴様の命運は私の手の内に……ある?」
怒りに身を任せ得意の合気道も使わずハルの首を締め上げるエヴァンジェリンだったが、妙な違和感を感じて視線を下の方へ向ける。
「き、き、貴様っ!!何故全裸になってるんだ!!」
「グググっ、な、何を言ってるんだ?下着は身に着けてるだろうが」
普段のエヴァンジェリンなら例え相手が裸であろうが平静を保っていられただろうが、怒りで冷静さを失っていた所為か歓迎会に出席する為の着替え途中だったハルの半裸姿に気が動転してしまう。
「ぱ、パンツ一枚なら全裸も同じだ!!ひゃん!?な、何だコレは!?」
「ウググ、し、仕方ないだろ。こんな状況だから不可抗力だ」
現在の状況は上半身裸のハルに馬乗りとなったエヴァンジェリンが首を絞めており、ハルは命の危機が迫っている事に加えて布一枚の上から刺激されるエヴァンジェリンの臀部に下半身を大きく反応させてしまった。
(こ、このままじゃ本当に殺される!!兎に角コイツを退かせないと)
だが今はそんな事よりも命の危機を回避する事が最優先だと火事場の馬鹿力を発揮したのか、ハルはエヴァンジェリンの絞首から逃れようと勢いよく上半身を起こした。
しかし、勢いが付き過ぎた為今度はハルがエヴァンジェリンを押し倒す形になってしまい、更には
「くああああああっ!!な、何をする貴様ぁ」
「お、おいおいマジか?俺はどこぞのトラブル主人公かよ」
某集英社作品の主人公ですら作中では起こり得なかった状況に陥ってしまったハルは、もうここまで来てしまったらどうにでもなれと、半ばヤケクソ気味にエヴァンジェリンと密接してしまった下半身を前後に動かし始める。
「ひゃひっ!!や、やめろバカ者っ、自分が何をしてるか分かってるのか」
「どうせ今止めても後で止めても俺の末路は決まってる。なら少しでも長く生き永らえてやる」
とはいえそれもエヴァンジェリンに過剰にゼンマイを巻かれて現在フリーズ中の茶々丸が再起動するまでの延命処置に過ぎないのだが、そんな現実に目を背けてハルはエヴァンジェリンの制服を武装解除して二つの桃色の突起にむしゃぶり付く。
「アアアッ!!す、吸うな。か、噛むなっ。う、動かすにゃあぁ」
エヴァンジェリンの発する声に媚が含まれ始めたのを知ってか知らずか、ハルはより一層激しく体を動かし続けて幾度となく熱を帯びた己の体液を放出するのだった。
数十分後、再起動を果たした茶々丸の目に映ったのは再びハルの身体に馬乗りになるも、殺意では無く劣情に支配されて快楽を貪るマスターの姿であり、茶々丸は状況を理解する事が出来ず再度フリーズしてしまうのであった。
この作品は二次創作における女性キャラのチョロイン化をとことん追求した作品です。
ネギの今後
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完全フェードアウト
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ラスボス化
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途中合流
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TS化