ハルが麻帆良学園に着任し数日が経過した。
その間目立ったトラブルも発生せず、ハルは普通に真面目な教員として周囲に認知されていた。
「ハル先生ってさ、なんていうか……普通だよね」
「うん、普通。あ、悪い意味じゃなくてなんていうか……普通だね」
放課後、各々が帰宅や部活動の準備をしている2-Aの教室で、昼休みにウルスラ女高生徒とのいざこざに巻き込まれた明石裕奈と佐々木まき絵は、その現場を無難に解決したハルの話をしていた。
二人の話に便乗する形で他の生徒達も今日までのハルの働きぶりの評価をし始めるが、そんな中
エヴァンジェリンと千雨の二人は自分達だけが知っているハルの事を思い浮かべていた。
(ハルが普通だと?フッ、何も知らない小娘共め)
(お気楽な連中だよな。アイツの本性も知らないってのは)
身を以て知ったハルの普通では無い部分を思い出し無意識に頬が緩む二人だったが、その様子を一人の生徒が見つめていた。
(それにしてもエヴァンジェリンさんは初めはハル先生の事凄く嫌うとった筈やけど……どないして仲良うなったんやろ?)
初日こそ険悪な雰囲気だったエヴァンジェリンが、次の日には別人の様にハルへの態度を軟化させていた事は当然他の生徒達も気にはなっていた。
だが下手をしてまた同じ状況になっては大変だと委員長の雪広あやかの厳命で、誰もその話題には触れないという取り決めが2-A生徒間でされていた。
「でも、ハルナや和美ちゃんがいつまでもその約束守れるとは思われへんしなぁ」
「私がどうしたって?ねえ木乃香、早くしないと先に図書館島に行っちゃうよ」
不意に声を掛けられた木乃香が振り向くと、そこには同じ図書館探検部のハルナと綾瀬夕映、宮崎のどかが一向に身支度をしない木乃香を部活に誘いにやって来ていた。
「あ、ゴメンな。今日はおじいちゃんに呼ばれて部活に参加出来ひんのよ」
「そうなの?じゃあ私達だけで行くね」
部活へ行く三人を見送ると、木乃香は今回の用がいつもの気乗りしないアレとは違う事を願いながら、祖父の待つ学園長室へと向かうのであった。
「あ~疲れた。教師ってのも神経使う仕事だな」
教員仕事が一段落し、ハルは自宅となっている宿直室へと帰ろうとしていた。
「あっ、先生丁度良かった。ちょっと匿ってくれへん?」
「近衛さん?その格好はどうしたんだ?」
背後から声を掛けられ振り向くと、着物を着た木乃香が息を切らして駆け寄ってくる。
「説明は後や。とにかく早う隠れなあかんのよ」
木乃香の格好と慌てぶりからハルは例の学園長の趣味のお見合いから逃げて来たのだと察すると、木乃香を宿直室内に匿ってやることにした。
「ホンマありがとな先生。おじいちゃんたら嫌やって言うてるのに強引にお見合いをさせるんよ」
「それは大変ですね。まあほとぼりが冷めるまでゆっくり休んで下さい」
「なあ先生、今くらいは敬語やめて普通に喋らへん?ウチこれ以上堅苦しいのん疲れるわぁ」
他の生徒に比べれば着慣れてる木乃香とはいえ、やはり和服は少々窮屈なのだろう。
流石に帯を緩める訳にもいかないので、ハルは木乃香以外に誰も居ないという事で教師生徒の関係を一時忘れて同い年の相手に接する様に木乃香と雑談をし始める。
「ふーん、ほなハル君はこのまま正式に教師に採用されそうなん?」
「今のまま問題を起こさなければ多分大丈夫かな。近衛は俺の授業で何か気になる所有るか?」
「んー、授業では気になる所はあらへんけど……あ、コレは聞いたらあかんかったわ」
木乃香が言い淀んだのが気になり、聞きたい事が有るなら今だったら何でも尋ねて良いとハルは言ってしまい、木乃香はハル先生が聞いて良いと言ったからと前置きをして、クラスで触れない事になっていたエヴァンジェリンとの関係を尋ねる事にした。
「なあハル君、どないしてエヴァンジェリンさんと仲良うなったん?たった一日で人が変わり過ぎやってクラスの皆も内心不思議がってんで?」
「うっ、やっぱり皆そう思ってたか。まあ色々真摯な対応した結果かな?」
何をどうしたのか詳細を説明出来る筈も無く、ハルは当たり障りのない表現を使い説明をする。
当然それで納得出来る木乃香では無いので、どんな方法を使ったのか聞き出そうとしつこくハルに詰め寄って行った。
(なんでこんなにしつこいんだ?やっぱり例によって刹那と仲良くなる為の参考にしたいってテンプレ的な理由か?)
すると思った通り木乃香は自分もある生徒との関係を改善したいからと言って、最終手段の泣き落としを仕掛けようとするが、その時宿直室に扉をドンドンと叩く音が響き渡った。
「失礼します。葱野先生は……ど、どうされましたか?」
「あー、スイマセンこんな格好で。実はちょっと体調が思わしくないもので。ゴホゴホ」
木乃香を捜索中だった学園長の部下達は部屋の中にはベッドの上で上半身を起こして咳をするハルの姿しか無い事を確認すると、ここにはもう用はないと判断して形だけの気遣いの言葉を掛けてその場を去って行った。
「ちょっと苦しいかと思ったけどどうにか誤魔化せたか。もう大丈夫だぞ」
そう言いながらとっさにベッドの中に隠した木乃香を外に出そうと掛け布団を捲ったハルだったが、例によってエロコメが発動してしまったのか、服越しではあるものの木乃香の頭をハルの下半身に押し付けてしまっている状況に頭を抱えそうになってしまう。
(またか。でも何だかんだで天然系の木乃香だったらなんとか誤魔化せるか?)
学園長の孫であり、関西呪術協会の長の一人娘でもある木乃香の存在はある意味エヴァンジェリン以上の要注意人物の為急いで引き離そうとする。
だが、そんな焦るハルの姿を見た木乃香は今なら泣き落としよりも効果的な落とし方が使えるのではないかと、天然の陰に隠れた微かに持ち合わせた腹黒さを発揮してハルに脅しをかけて来た。
「なあ先生、今ウチが大きい声出したらどないなるやろうな?」
「おい、冗談でもそんな事止めろよ。芸人が良く言う絶対にするなよって意味じゃないからな」
思いも寄らない木乃香の脅迫にハルは更に動揺してしまい、効果はてきめんと判断した木乃香はハルナが所有する漫画を読んで覚えた台詞を使いながらハルを追い詰めていく。
「先生ぇ、ウチは無理なお願いしてる訳ちゃうやろ?皆には秘密にするし教えてや」
密室で同年代の異性と二人きりという今まで経験した事のない雰囲気に当てられたのか、木乃香は本来の目的を忘れてはいないが、ハルに対して優位に立って追い詰めている状況を楽しみ始めていた。
だがその状況はあまり長続きはせず、気付けば木乃香は自分がハルにベッドに押し倒されていた。
「へ?は、ハル君どないしたん?」
「どうしたって……木乃香が知りたがってた事を教えるに決まってるだろ」
そう言い終わるとハルは間髪入れずに木乃香の唇を奪い、一気呵成に舌を絡めた。
状況がまだ把握出来ていない木乃香の着物の襟元に手を差し込み胸の突起に触れると、ようやく状況を理解したのかハルの手と舌から逃れようと藻掻きだす。
「やっ、ハル君っ、らめっ、やってぇ」
「教えて欲しいって言ったのは木乃香だろ?もう後戻り出来ないから最後まで教えるからな」
追い込まれて吹っ切れてしまったのかハルは木乃香の言葉に耳を貸さず、着物が脱がし辛い事を逆手に取ってジックリと念入りに木乃香の咥内を蹂躙した。次第に木乃香は抵抗をやめ、ハルの成すがままに体を委ね始めた。
「さて、ここからが木乃香の知りたかった事の本番だ。思う存分体験していいぞ」
「ひうっ!?ングウウウッ!!」
ハルと密着した事で木乃香は痛みから叫び声を上げるが、それを予想していたハルが口を合わせて塞ぎ込み、そのまま着物を全て剥ぎ取った木乃香の胸を直接揉みしだきながら不規則な緩急を付けて体を前後に動かしていく。
「ンッ!!ンンッ、んむぅ!!んはっ!!アッ、あっ、ああぁんっ」
最初こそ痛みを感じていた木乃香だったがそう時間をかける事無く快楽に体を支配されて喘ぎ声を発すると、ハルは木乃香の体勢を仰向けから四つん這いに変えてより一層激しく腰を動かした。
「ハアッ!!ああァ!!うンッ!!ひイッ!!んううううッ!!」
体を痙攣した様に震わせてベッドに突っ伏しそうになる木乃香の体を引っ張り上げて抱きしめると、ハルはベッドに腰かけた自らの下腹部に木乃香を乗せて、両胸を背後から弄りつつ耳元で囁いた。
「一応今のでエヴァにした事の一部抜粋だけど……まだ知りたいか?」
「はぁ、はぁ、あふぅ、も、もっとぉ、もっとウチにハル君の事教えてぇ」
木乃香の承諾を得た事で腰の動きを再開させようとするハルだったが、それに待ったを掛ける二人の人物がその場に現れた。
「……楽しそうだな」
「てめぇ……この前責任取るとか言って無かったか?」
エヴァンジェリンと千雨。既にハルと深い関係となっている二人の登場で現場は修羅場と化す……かと思われたが、吹っ切れて俗に言うベッドヤクザ状態になっているハルは、木乃香への動きを再開させたまま二人に自分の側に来いと伝える。
「ば、バカか!?この状況でそんな……は、はい」
「お、お前って本っ当に教師として失格だな……んあっ」
右手でエヴァンジェリンを、左手で千雨の身体を翻弄しながらハルは下半身を使って木乃香を攻め続けるのだった。
この作品は一昔前の少女漫画レベルの性的描写のつもりです