(14) 綾瀬 夕映
(44) 神楽坂 明日菜
(6) 古菲
(3) 佐々木 まき絵
(25) 長瀬 楓
3月に入り麻帆良学園は学年末試験期間に突入した。
そんな中学園長室で近衛近右衛門は源しずなから提出されたハルに関する報告書を読んでおり、そこに書かれた内容にどうした物かと思案していた。
「困ったのぉ、これは予想外の事態じゃな」
「どうされました学園長。何か問題が発生しましたか?」
その様子を伺っていた高畑は何が学園長を悩ませているのか気になり報告書を覗き込んだ。
「高畑君、問題が起きておらんから困っとるんじゃ。このままでは春には葱野君を正式に教師として採用する事になりそうじゃぞ」
「まだネギ君の事を諦めて無かったんですか?彼は彼なりに頑張ってると思いますが」
学園長とは違い、現場で生徒や他の教員と接触する機会の多い高畑はハルの教師としての評価を直に聞いており、着任したての頃とは違いハルがこのまま正式採用されても構わないのではと考えていた。
「しかしのぉ……そうじゃ、彼に正式採用するか判断する為と言って課題を与えてみようかの」
「ほどほどにして下さいよ。あまり無茶な課題を与えると他の教師から顰蹙を買いますよ」
その後学園長はハルを呼び出し2-Aが試験で学年一位を取れば正式採用という課題を与えるのだが、ハルがその内容を包み隠さずホームルームで発表した事で、木乃香に頭部が変形するまで金槌で叩かれる事になるのだった。
「皆ビックリさせてゴメンな。課題を間違えるなんてやっぱしボケが始まっとるみたいやぁ」
「そ、そうでしたの。学園長もご高齢ですから仕方ないですわ」
学園長室から戻ってきた木乃香が、本当の課題は学年一位を取るのではなく最下位脱出であるとクラスの全員に伝えると、木乃香が手に持つ赤く染まった金槌には敢えて誰も触れず、ハルの正式採用の課題の難易度が下がった事に各々一喜一憂していた。
「ま、まあ最下位脱出くらいなら学年一位を取るのに比べたら楽勝だよね?」
「そ、そうそう。私も今回は本気出すからイケるイケる」
前回の試験で2年生737人中真ん中以下の順位だった柿崎美砂や釘宮円などは、今回ばかりは真面目にテスト勉強をしないと色々な意味で危ないと感じ、普段の能天気な態度を封印して試験勉強を始めた。
「お嬢様……クッ、やはり奴の所為でお嬢様に悪影響が?」
「そんなに心配なら常に側にいて護衛すれば良いじゃないか。それより試験の心配はしなくていいのか準バカレンジャーの桜咲刹那」
最近ハルに関する事になると過激な行動を取り始めた木乃香を心配してハルに敵意を向けようとする刹那だったが、寮の同居人である龍宮真名に準バカレンジャーと呼ばれてしまったショックで固まってしまう。
そして準では無い正真正銘の2-Aが誇るバカレンジャーの面々は、比較的余裕の有る超鈴音たち成績優秀者が試験当日まで付きっきりで勉強を教える事になった。
「ほな、明日菜はウチが面倒みたるわ。脱バカレッド目指してスパルタ授業するでぇ~」
「うえっ!?わ、私は委員長か本屋ちゃんに見て貰うから」
木乃香のスパルタ発言に身の危険を感じた明日菜は、いつもは喧嘩の絶えない雪広あやかにまで救いの手を求めるが、それぞれバカピンクこと佐々木まき絵、バカブラックこと綾瀬夕映を面倒みなければいけないと言われてしまい、誰か他に木乃香が暴走しそうになった時にストッパーをしてくれそうな相手を探し求めた。
「ほな皆、今度の試験は絶対に最下位脱出するで。えいえいおー」
「「「「お、おぉ」」」」
木乃香の掛け声と共に振り上げられた金槌に引きつった声を出す2-Aの生徒達は、何としても順位を上げなければと意気込むのであった。
「もーヤダ。今日一日で一生分の勉強した気分だわ」
「大袈裟やなぁ明日菜は。あ、ここも間違えてるから再テストやで」
知恵熱に苦しみ机に突っ伏す明日菜に、木乃香は採点を終えた小テストを渡して合格点に到達していない事を伝える。
「も、もう良いじゃない。教室に残ってるの私達だけなんだし」
「駄目や。寮に帰りたかったら最低でも70点以上取ってからな」
スパルタ授業の名の通り無慈悲に次のプリントを渡して来る木乃香に、明日菜は教室に残っているもう一人に救いを求めた。
「先生ぇ~、お願いだから木乃香を説得して~」
「確かに、もうこんな時間だしな。続きは寮に帰ってからすればいいんじゃないか?」
普段の乱暴なくらい元気な姿を微塵も感じさせないほど弱弱しくなった明日菜を気遣い、ハルは木乃香に寮への帰宅を促した。
「そうやな。あ、そやったら続きは宿直室を借りさせてくれへん?」
「な、なんでそうなるのよ。寮じゃ駄目な理由でもあるの?」
「だって寮やったらハル君おらへんやん。ウチだけやったら明日菜サボるかもしれへんし」
なら他のクラスメイトに監督役を頼めば良いのでは?とハルは思ったが、そんな事も考えつかない程に頭を使った明日菜は、教室で無ければ何処でも良いとだけ言ってフラフラと立ち上がり、教室から出ようとする。
「ほらほら明日菜、ハル君のお家はこっちやで~」
そんな明日菜を引きずる様にして宿直室に連れて行く木乃香は、ハルに対して意味深なウインクをするのであった。
「う、う~ん……あれ?私いつの間に寝ちゃってたんだろ?」
宿直室のベッドで目覚めた明日菜は見慣れない部屋の風景に一瞬戸惑うが、自分が試験勉強の為に宿直室に移動してから事思い出して深く溜め息を吐いた。
移動後、明日菜は結局5回もテストをやり直す事になり、やっと合格点に到達した頃には夕食の時間をとっくに過ぎてしまった。
「で、木乃香と先生が食材の買い出ししてる間に眠っちゃった訳ね。はぁ、誰に説明してるんだか」
食後も試験勉強も続けると言っていた木乃香を恨めしく思いながら再度ベッドに横になる明日菜は、このまま眠ってれば勉強を続けなくて済むかもと考え始めていた。
「今帰ったで~。あらら、明日菜眠ってもうてるん?」
「ぐ、ぐー、ぐー、ぐー……」
ほどなくして木乃香とハルが買い出しから戻ってきたので、明日菜はとっさに木乃香達から顔を背ける様に横にして目を瞑り寝たふりをし始めた。
ジッと見つめてくる木乃香の視線を感じて冷や汗を流していると、ハルはそのまま寝かせておいて良いと木乃香に伝える。
(せ、セーフ。このまま勉強続けるくらいだったら夕飯抜きの方がまだマシよ)
部屋に漂う料理の匂いの誘惑に耐えつつ、明日菜は本当に眠ってしまおうと目を瞑り続けるが、その時明日菜の耳にハルと木乃香の教師と生徒としては不適切な会話が聞こえて来た。
「お、おい木乃香。今は神楽坂が部屋に居るんだぞ」
「平気や。明日菜やったらグッスリ眠ってるみたいやで」
自分が眠っているからなんだというのだろうか?明日菜は耳を澄ませて二人の会話を聞き続けるが、カチャカチャと何かを外す音が聞こえた後に何かを舐める様な水音が聞こえて来た。
「んちゅ、れろっ、アむっ、んむぅ。ふふふ、なんやかんや言うてハル君もその気になってんで」
「そうさせてるのは木乃香だろうが。明日菜にバレたらどうするつもりだよ」
自分にバレたらマズい音の正体を想像した明日菜は段々と顔に熱を帯びて赤くなっていく。
(ま、まさかね。そんなの有り得ないわよ。きっと買って来たお菓子とかを食べてるだけよ)
そのお菓子のイメージが棒アイスやチョコバナナになってしまう明日菜を知ってか知らずか、二人から聞こえて来る水音が更に追加されてしまう。
「ひゃうっ!!は、ハル君いきなりそんな、ぁん」
「止めろって言ってるのに木乃香が止めないからだろ。ほら、こんなに指が濡れちゃったぞ」
どんな液体がハルの指を濡らしたのかは顔を背けて目を閉じている明日菜には知る由もない。
だが、二人が何をしているのかを想像し続けていた明日菜も、自分でも気づかない内に木乃香と同じ個所を徐々に湿らせ始めていた。
「アンッ、ハル君また服の上からそないな所触ってぇ。服に皺ついてまうで」
「悪い悪い。直接触るのとは違って服の上から固くなった物を弄るのも嫌いじゃなくてな」
これでもう確定だ。二人は明らかに教師と生徒としてやってはいけない行為をしている。
そう結論付けた明日菜は今すぐ飛び起きて二人に制裁を加えようとするが、ハルが弄っているであろう固くなった部分からもたらされる刺激に喘ぐ木乃香の声を聞き、もっと確定的な言い訳出来ないタイミングまで待とうと自分に言い聞かせながら、自らの指で固くなった部分を制服越しに摘まむのだった。
(ンッ、アッ、イタっ……わ、私何してんだろ)
不慣れな手付きで自らの体を弄った所為か、加減を間違えてしまい明日菜は痛みからか冷静さを取り戻した。
(そ、そうだわ!!こんな事してないで早くあの二人を!!)
不完全燃焼で燻ってしまった体を認めたくないのか、意を決して明日菜は最後に確認を取るつもりで二人の方へと顔を向け目を開いた。
「はあああぁん!!ハル君っ、そんな激しっ、くぅん!!」
明日菜が目を見開いた先には半裸状態の木乃香が四つん這いになり、その上から覆い被さる様に抱き着いているハルの姿であった。
想像はしていたが実際の姿を目にした事で、明日菜は声を発する事も忘れてしまい二人の行為を見続けてしまう。
ハルの体が密着と分離をする度に嬌声をあげ、明日菜が自分自身に行った指の動きとは比べ物にならない巧みさで胸の形を変える木乃香の姿に、明日菜は無意識の内に自分の胸と足の付け根に指を這わして動かしていく。
(だ、ダメっ。こんな事してる場合じゃないのに。で、でも、もうちょっとだけ)
二人の光景を参考にしながら自らの体を弄り続けていた明日菜は、体の芯から何か体験した事の無い感覚が爆発しそうな事を直感する。
(こ、これだけ。これが済んだら絶対あの二人にっ……えっ?」
「楽しそうやな明日菜。でも、一人でするよりハル君に任せた方がもっと気持ちええで」
いつから見られていたのかも分からないまま、視線を交差させた木乃香の言葉の意味を理解する前に、明日菜は自らの手で心身の感覚を爆発させるのだった。
今回初の前編後編に成りました。