………いや、まじでびっくりしました!ありがとうございます!2週間の感覚を開けて投稿するつもりなので、そんなに待てないという方はブラウザバックしても構いません!もしくはpixivへどうぞ!ユーザー名はここのと同じなのですぐに見つかると思います!
この作品は私がpixivにて投稿しているものです。そのため基本的にpixivの方を先に更新します。
参考にしている作品
・web版 転生したらスライムだった件 【完結済み】
・マンガ版 転生したらスライムだった件 【未完結】
・アニメ版 転生したらスライムだった件 【未完結】
・公式スピンオフ 転生したらスライムだった件〜魔物の国の歩き方〜 【未完結】
・web版 ありふれた職業で世界最強 【本編完結:番外編未完結】
・単行本版 ありふれた職業で世界最強 【未完結】
・マンガ版 ありふれた職業で世界最強 【未完結】
・アニメ版 ありふれた職業で世界最強 【未完結】
以上のことを理解したうえで読んでください。
場合によってはネタバレが含まれます。
「ん………?」
何か硬質な物に横たわっている感触で目が覚めた。視界に映るのは岩、岩、岩。視線を横にずらすとヴェルドラが横たわっていた。
万能感知を発動して周囲の様子を確認すると、俺たちは何層にも渡る洞窟?ダンジョン?のような場所にいた。
この洞窟は下に向かって断層的に広がっているようで、俺達はその上から十階目のちょうど端の壁際にいるようだ。
万能感知に妙な違和感があった気がしたが一旦保留だ。
「おい、ヴェルドラ。今のところお前のさっきの行動について追求しないでやるからさっさと起きろ」
「………む?異世界に着いたか。それにしてもなぜ今回は気を失ってしまったのだろうな?………なぁリムルよ、ラミリスのやつはどこにいったのだ?」
「お前あれ見てなかったのか?ラミリスはなんか変なやつに世界の狭間みたいな所で連れて行かれたよ。母体にするとかなんとか言って」
「う〜む、母体か……ラミリスが我らの中で最弱だったから連れて行きやすかったのだろうな……それでここは一体どこなのだ?」
「ここはなんかダンジョンみたいな所だ。とりあえず外には街もあるみたいだから一旦外に出るぞ」
慌てても仕方ない。今俺に出来ることをやってラミリスを助け出す。なんだかんだ言ってあいつも俺たちの仲間だからな。
しかし、あいつと俺は魂の回廊が繋がってないから居場所の特定も出来ない。この世界のこともまったく知らない。つまり現状手がかりは相手が強力だってことぐらいか………
《
す、すごい自信だな。それで、その自信はどこから?
《…………》
根拠なしかよ……
シエルからの全幅の信頼は嬉しいのだが所々不安になる。しかし、それも含めて頼もしい相棒だ。
もし魂の回廊が繋がっていたとして、それを無理やり絶たれでもしたらヴェルドラの時までは行かずとも、少なくともこのダンジョンみたいなところを丸々消滅させていたかもしれない。
「さて、では行くぞ!リムルよ!」
「お前……ラミリスのことなんとも思ってないのか?」
「そんな訳なかろう、もちろん心配だとも。しかし、今のラミリスはハッキリ言って弱いからな!母体とやらにするにはもう少し力をつけさせなければならないだろう。そうなるとこの世界の魔力を注いだとしても十分過ぎる猶予があるわ」
「…………」
そんな、いつも悪ふざけばっかりやってるおっさんが俺よりも考えていたというのか……?
しかし、この世界の魔力ね。シエル、それと適応させてスキルとか使えるか?
《適応可能です。現在魔力の取り込みを行っていませんが実行いたします。その場合現在発動している万能感知は通常通りの性能で使うことが可能になります》
なるほど、万能感知に抵抗があったのはこの世界の魔力が俺の魔力と電気抵抗みたいなことを起こしていたのか。
「どうしたリムルよ。急に黙り込みよって」
「いや、俺は冷静じゃなかったんだなって思ってな」
「我の時はそれはもう見事にキレておったからな!我は直接見てはおらんが、我も真理之究明でこの世界について解析しているところでな、それが今現在の最善手だろう」
「またもやヴェルドラに正論を言われた………」
「我はこれでも異世界は二度目だからな!クアーーーハッハッハ!!」
俺も負けてられない!シエル先生!この世界について解析鑑定だ!
《この世界の主な種族は人間族、亜人族、魔人族となっており、亜人族にはそこからさらに様々な種族に分けられるようです。また、遥か昔から人間族と魔人族は戦争を続けているようです》
さすがシエル先生。簡潔かつ分かり易い説明だ!
そんなこんなで取り敢えず大まかな情報は手に入ったが、これでは不足すぎるので当初の予定通り地上に出ようとしたのだが、そこでヴェルドラがここを攻略したいと言い出して大変だった。しかし、どうにか明日から攻略を開始するということで納得してもらった。
途中魔物に襲われたりしたが、そこはもう問題なんて微塵もなく全て瞬殺&捕食&解析だ。
そして外に出るための門のようなものを見つけたのだが……
「どうしたリムルよ?ここを出れば外に出られるのだろう?」
「う〜ん………」
そうこの目の前にある門から外に出れば念願の地上な訳だが………なんか受付みたいなのがある。こんな天然っぽい洞窟に、あんな博物館のみたいな受付って……なんか合わない。
でもあれってダンジョンに入って行った人と、出てくる人の記録を取って安否確認とかしてるんだよな?簡単だが確実な方法だ。まぁ、それが今俺たちにとってピンチになっているんだが……
「ヴェルドラ、お前一旦俺の胃袋に入れ」
「なっ!我まだ特に何も悪いことしておらんだろう!?」
「じゃあ瞬間移動使えんの?」
「む………」
というかコイツ今まだって言ったか?それっていつか絶対やらかすって事だろ。
「……人気のないとこで出してやるから」
「……最初の間が気になるが、それならばよかろう」
というわけでヴェルドラを胃袋にしまい、俺は遠くに見える路地裏のような所を座標指定して瞬間移動する。
そして、うるさいおっさんを胃袋から取り出して、これからについて考える。
ひとまず宿は後回しでいい、今必要なのは情報だからやっぱり冒険者ギルドとかかな?…………あるよね?冒険者ギルド。ダンジョンの中でなんか冒険者っぽい人と結構すれ違ったからあると思うんだが……なかったらどうしよう。それとお金。
「う〜ん……取り敢えずは冒険者ギルドか……行くぞ、ヴェルドラ」
「我にもこの世界が分かってきたぞ!異世界転移で俺Tueeeeというやつだな!!」
「合ってるけどなんか違う!」
冒険者ギルドの場所を探そうと大通りに出ると一際大きい建物が目に入り、通行人に聞くと案の定その建物が冒険者ギルドだそうだ。
中に入ると、なかなかに鋭い視線がヴェルドラに突き刺さった。
………ヴェルドラに?こういうのって俺もなんか「見ない顔だなぁ?おおう!?」みたいに絡まれるのかと思ったが何故にヴェルドラだけ?
そう思い周りを見渡すと、その理由がわかった。非常に不本意ながらここにいる男どもは俺を美少女だと思っていたようだった。そしてその美少女といるヴェルドラに怨嗟の目を向けたという事だった。
たしかに俺の擬態「人間」は、シズさんを元にしているからある程度は仕方ないのだが、やはり女の子扱いは慣れるものじゃない。
面倒事はごめんなので、怨嗟や、好奇の視線を無視してサッサと受付っぽいところに逃げて行った。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
「えーと、冒険者ギルドに登録したいんですけど……大丈夫ですか?」
「登録にはステータスプレートの掲示が必要です。発行する場合は登録と一緒に行いますので追加の料金は発生しません。ちなみに千ルタなので、お二人様の場合は二千ルタですね。」
「登録料って魔物の素材とかでなんとかならない?」
「素材の買い取り額から差し引くことが出来ますが……」
「あぁ、よかった。じゃあ、それでお願いします」
「かしこまりました。少々お待ち下さい」
受付嬢がカウンターの奥に行き、戻ってくると二枚のカードを持っていた。
ステータスプレートの発行は何か特別なことをするわけでなく簡単に済んだ。問題が起きたのはその後だった。
その問題とは、ズバリ俺たちのステータスだ。この世界の平均をまったくもって知らない俺たちはステータスと聞いた時点でなんとかするべきだったのだ。
ちなみにステータスプレートに表示されていたのがこれだ。
名前:リムル=テンペスト 50歳 ??? レベル:???
天職:大魔王
筋力:679075
体力:846506
耐性:948067
敏捷:657465
魔力:999999……
魔耐:759274
技能:シエル[+思考加速][+解析鑑定][+並列演算][+融合][+分離][+詠唱破棄][+森羅万象][+食物連鎖][+etc]・
名前:ヴェルドラ=テンペスト ??歳 ??? レベル:???
天職:暴風竜
筋力:763846
体力:848374
耐性:764836
敏捷:663625
魔力:835472
魔耐:721313
技能:
これを見た受付嬢が目を点にして固まってしまった。
………うん。これがどれくらい凄いのか分からないけど、普通じゃないのは分かる。
なんだよ魔力の999999……ってどういうことだよ!カンストしてんじゃん!!あれか?
そして技能(多分スキルやらなんやらの事)に表示してある+って俺の感(小説や漫画の知識)が絶対派生技能に着くやつだと言っている。
しかも何をどうすればこうなるのか[+etc]とかまである。
いやいや、表示しきれないって………
《その通りです。この世界の技能、いわゆるスキルはそれ自体には一つの能力しか無く、
なるほどなるほど、それじゃあ俺たちのスキルは名前だけでスキルの効果が派生技能としてすり替わったわけか。
それにしても向こうでのスキルそのまんまとは………またなんともチートな………
「なぁ、リムルよ。この女どうするのだ?固まったまま動かないぞ」
「あ、あぁ、そうだな………よし!じゃあなんか変な夢でも見たことにするか!」
このままだとかわいそうだもんな。
というわけで俺は受付嬢さんに夢の世界に旅立ってもらった。
しかし、俺たちはまだステータスプレートと冒険者登録のお金を払っていないので魔物の素材を別の受付で売って二千ルタだけ元の受付嬢のところに置いて行った。
ちなみに、驚いたことにこの世界の通貨は色で価値が変わるようで貨幣の振り分け方は日本と同じだった。ちなみに振り分けはこんな感じだ。
青:1ルタ 赤:5ルタ 黄:10ルタ 紫:50ルタ 緑:100ルタ 白:500ルタ 黒:1000ルタ 銀:5000ルタ 金:1万ルタ
さらにギルドでの冒険者ランクも色で分かれていた。
そう、勘の良い人ならお気付きだろう。なんとこの冒険者ランクの振り分けも貨幣の色と同じなのだ。低い方から青ランク、最高で金ランク。
つまりなりたての冒険者や、ランクアップできない冒険者は「お前なんかに価値はねぇよ!ケッ!」と言外に言われているのである。………なんとも世知辛い世の中だ。
あの「受付嬢が夢の世界へ事件」の後、ギルドの中で聞き耳を立てていたら以外とこの世界の情報が入ってきたので、適当に宿を取り(ここは宿場町だった)明日について考えていた。
ここはどうやらトータスという世界で、ここは【オルクス大迷宮】がある宿場町ホルアドという場所らしい。
さらにオルクス大迷宮ではさっきギルドで換金したように、迷宮内部で発生する魔物の素材はそこそこのお金に換えられるので、名のある冒険者や駆け出し冒険者が小遣い稼ぎに来たり、そのままここに永住したりという活気のある町のようだ。
「とりあえずはここのオルクス大迷宮を攻略してみよう。反逆者って言うのが気になる。神に反逆しようとしたのならそれなりの力があったってことだろうし。それと、気になるのは勇者一行っていうのなんだけど………ねえ、さっきから話聞いてる?」
俺の話を完全の無視しているヴェルドラからマンガを奪い取った。
お前が攻略したいって最初に言ってたのに、何でこいつこんなに面倒そうな顔してんの?
若干腹が立ってきたのでマンガを胃袋に収納しようとしたところでヴェルドラは慌てて口を開いた。
「待て待て、我はそういうのは向いていないのは知っているだろう?情報関連ではリムルとシエルに任せる!というわけで……マンガ返して」
「じゃあ俺の言うことちゃんと聞くか?勝手に変なことしないか?」
「そんなの聞くに決まっておるであろう。何かして我だけ
それが出来たらなんとも楽なことか………
緊急事態になったので一度
《現在この世界を起点として外界、つまり異世界への干渉が出来なくなる結界が張られています。尚、この結界は来るもの拒まず出るの許さず状態となっており、通過すれば何者かの干渉を受けるようです》
ということらしい。
つまり、この結界を作ってるやつをぶっ飛ばして解除させないと帰れないということがわかった。
しかも、ラミリスを連れて行ったのはその結界を張った何者か………え?世界規模で結界張れるなんてそれって相当やばいやつなんじゃ………まぁ、いいか。
しかし、出られないとはこれまた厄介な結界だな。
うーん………とりあえずそんな力を持ったやつならどこかで伝説とかになってるかもしれないから、依然としてやることは変わらない。情報収集だ。
今のところ一番情報がありそうなのは反逆者が作ったって言う各地の大迷宮なわけだが、ちょうどその一つがこの町にあるのはラッキーだった。
やることが決まり、一息ついた俺は(必要ないけど)寝ることにした。
ヴェルドラはというと俺に寝る前にマンガを要求してきたので相変わらずマンガマラソンでもするのだろう。
まだ日が上りきっていない早朝。外を出歩く人はほぼいない中俺とヴェルドラはオルクス大迷宮の門の前に来ていた。
なぜこんなに早い時間にここにいるのかというと、ズバリ面倒ごとを避けるためである。人の出入りが激しい時間になると見た目は美少女の俺によってくる人が多いと踏んだからだ。それに、さっさとこの迷宮をクリアして場所を移したいからな。
中に入る前に受付でに身分証明が必要なようでステータスプレートを見せたが、今回は昨日のようなことにはならなかった。どうやらこのステータスプレートにはある程度の隠蔽効果があり、見せたく無い項目は表示されないのだとか。しかも、ステータスプレートの起動は本人しか行えないらしい。
たしかにこれなら個人情報をいたずらに広めることなく身分証明出来るな。
俺たちの世界のとは違い、かなり便利な代物だった。是非とも持ち帰って再現したいものだ。
「こんな早くから探索ですか……精が出ますね」
「2、3日籠もって行けるとこまで行こうと思いまして」
「なるほど…それにしては荷物が少ないような気もしますが……頑張ってください」
「はい、ありがとうございます」
「あぁそれと、今日あたり勇者様一行が迷宮に入ると思いますのでもし会ったら声をかけてみてはどうです?もしかしたらお話しできるかもしれませんよ」
「は、はぁ……」
勇者一行?それって聖剣に選ばれた!とかいうやつか?全くどこの世界にも勇者っているんだな。マサユキみたいなのじゃないといいけど……
まぁでも自分から声をかけるなんてアホなことはしないほうがいいな。もし俺たちが実は魔物だってばれたりしたらそのまま襲いかかってこないともう言えないからな。
「それじゃヴェルドラさっさとこの迷宮をクリアするか」
「そうだな!我らに敵うものなどいないのだからな!クアーーーハッハッハ!!」
「く、クリアですか?そんなの無理ですよ。この迷宮の最高到達階層は65階層なんですよ?さすがにクリアは難しいでしょう」
「………ちなみに何階層あるんですか?」
「100階層ですね」
マジか…そんなにやばいとこなのか?
結果、全然やばくなかった。
今現在20階層入り口付近にいるが魔物自体は全然問題無い。出会うと即座に首を斬り落としたり、ヴェルドラのグーパンで肉塊にしたりして倒す。倒したあとは初見なら俺が捕食&解析して新しい技能を手に入れたりしてそれなりのスピードで進んでいた。
しかし、これではあまりにも面白味がないということで、俺とヴェルドラはステータスをわざと下げて自身に制限をかけて戦っていた。
そのせいか途中勇者一行には追い抜かれてしまったが、別に急いで攻略することが迷宮攻略の全てではないので、比較的のんびりと攻略していた。
あれ?誰かのことを忘れて楽しんでるような気がするけど………気のせいだよな!うんうん!
今は束の間の休憩タイムだ。この迷宮では使わないが新しく手に入れた技能の整理をシエルに任せつつヴェルドラと戦闘の反省会をしていた。
「しかし、さっきすれ違った見るからに勇者!って人達、大丈夫か?」
「ふむ、何やら大人数で移動しておったな。あれだけ人数がいれば逆に攻略しにくいと思うのだが」
たしかにこういう狭い通路とかもある迷宮だと、少数先鋭で挑んだ方がトラブルが起こった時対処しやすいし、撤退の指示も出しやすくなったりする。
しかし、俺が気にしているのはそこではない。
「それもそうだけど、どうやらあの勇者一行は日本人みたいなんだよな〜」
「日本人?というと……リムルと同郷というわけか?」
「同郷って言っても同じ日本かはわかんないんだけどさ、あいつら雰囲気的に高校生くらいだと思うんだよね」
「ふむ、高校生というと……学生か。なるほど、心構えの問題ということだな」
「今まで普通に日常してた高校生が、いきなり勇者召喚なんてされて、何を思って戦っているのか……最悪の事態なんかも言葉だけできちんと理解なんてして無いはずだ」
先ほど見た時、勇者一行は統一された装備の大人達とそれぞれが違う武器や武装の男女比が同じくらい高校生30人ほどの集団で構成されていた。この場合勇者一行は後者で、クラス丸ごと召喚された可能性が高いということだ。
極端な話、戦争時の日本から召喚されたのなら、戦うことの本当の意味を分かっているはずだが、彼らの雰囲気は俺が生きた時代、つまり戦争なんて程遠い平和な時代のそれだった。
もちろん、こういう召喚系はチート能力とか、伝説の武器とかが貰えるのが相場なんだろうけど、扱うのは高校生だ。最悪の場合、つまり力による仲間割れ、もっと酷いのだとクラスメイトの死に直面したら立ち直れるのだろうか?
「まぁそれは仕方ないのではないか?おそらくそれを早くに理解させるためにここに来たのだろうからな」
「あのごつい人か……たぶんだけど騎士団とかだよなあの雰囲気は」
「そうであろうな。先頭の男はそれなりに強者だったからな」
これ以上心配しててもどうにもならないので俺たちは一旦思考を止めて攻略を再開した。
「ふむ。この辺の魔物は狩り尽くしたが……やはり手応えがないな」
「そりゃあ、力を制限してるとは言っても一般人とは比べ物にならないくらい強いんだし」
今いる階層は60階層。20階層で休憩してからそのままぶっ通しでここまで来た。勇者達が心配なわけでは断じて無い。
最初の階層に比べて魔物も強くなってはいるんだがそれでも雑談しながら倒せるレベルだ。事実、俺たちの周りには魔物の死骸がゴロゴロと転がっている。死骸については放置してもいいそうなので途中から素材を回収するのをやめた。
解析は十分すぎるほどしたし、昨日の素材買い取り額からすると、今日稼いだ分だけでかなり余裕が出そうなので、これ以上素材を剥ぐ必要を感じなくなったからだ。
それでも死骸がゴロゴロと転がっている光景は、精神衛生上大変よろしく無い。もちろん気分が悪くなるという意味じゃなく、魔物の死骸を踏んだときの感触が嫌なのだ。こう素足でスライム踏んづけたみたいな?
ともかく嫌だったので死骸は全部消却処分だ。
「もう少しで歴代最高到達階だな!」
「65階層だったか?これくらいの難易度でここまで来れんとはこの世界の人間は弱くないか?」
「仕方ないだろ。俺達のダンジョンは『蘇生の腕輪』とか『帰還の呼子』があるけど、この世界では、ていうか普通は死んだらそこで終わりなんだから。慎重すぎる位でいいんだよ」
最後の死骸が燃え尽きてなくなり、次の階層に移動しようと階段に足を踏み入れようとして止める。
俺の万能感知にかなりの大人数がこっちに向かって走ってくるのが掛かったからだ。
この人数なら心当たりは一つだ。そう勇者一行だ。20階層で見てここまで合わなかったのでどこか見えない場所で追い抜いたと思ったんだけどまさか下にいたとはな。
「ヴェルドラ!さっきの勇者達だ!かなり急いでいるようだから話を聞いてみよう!」
「やれやれ、やはり心配だったのではないか」
さすがに普通に帰還するだけでここまで急ぐなんてことはないだろう。何か想定外のトラブルがあったに違いない。とりあえず今は俺達が魔物を片付けたばかりなので他の場所よりも多少は安全だろう。
「新しい魔物が現れる前に走れ!きついかもしれないが光輝は後ろを警戒しててくれ!!」
「はい!」
「はいちょっとストップ!」
「うお!?な、なんだお前達!」
「ここら辺一帯に魔物はいないから少し休んだら?見たところかなり消耗してるみたいだし」
「なに?」
一瞬警戒した様子だったが周りを見渡し、本当に魔物がいないことを確認するとごつい甲冑騎士の人(おそらく騎士団長)は後ろに合図を送った。
すると後ろからぞろぞろと20階層で見た勇者一行と思われる人達が恐る恐るといった感じで階段から出てきた。
「えーと、俺は冒険者のリムル、でこっちがヴェルドラ、同じく冒険者だ。さっきも言った通りこの辺に魔物はもういないから少しはゆっくりできると思う」
「………感謝する。こちらもかなりきつい状態だったので助かる。俺は王国騎士団騎士団長のメルドだ」
「王国騎士団ってことはあっちにいるのが勇者一行か?」
「あぁステータスはあるが、戦い慣れていない者が多くてな。訓練のつもりで来たんだが……」
たしかにステータスがあっても戦い方が分からないと宝の持ち腐れだしな。
実際、ステータスが高くて技術が無い人と、ステータスが低くて技術がある人は、余程ステータス差がない限り技術があるほうが勝つ確率が高いだろう。
「でも20階層であなた達を見た後、俺達もそれなりのスピードでここを攻略してたはずなんですけど……」
「あぁ、休憩中にトラップにかかってしまってな。65階層に転移させられた。さすがに今日いきなり強い魔物と戦わせても余裕がなくなると思っていたが、実際にこの有様だ」
20階層と聞いてメルドさんは一瞬驚いたような顔をしたがスルーしたようでなんともないかの様に状況を説明してくれた。
俺が視線を勇者達に向けると、周りに魔物がいないことで少し安心したのか、休憩をとっている人がチラホラと見受けられる。中には怯えきった表情で震えている人もいたが、それは魔物にという感じではないような気がした。
たしかに、今日初めて迷宮に来て歴代最高到達階にいきなり連れてこられたらパニックにもなるだろう。なにせ、それまで戦ったりしてた魔物とは実力がかなり離れていただろうから。
「今の勇者達でどのくらいまでの階層なら大丈夫そうですか?」
「………今の精神状態を鑑みると最も強い者達で35階層と言ったところだろう」
「どうするヴェルドラ?」
「我はどちらでも良いぞ?ここの魔物も案外弱かったのでな。退屈になりかけておったところだ」
「よし!それじゃあ地上までご一緒しますよ。俺もそろそろご飯食べたかったし」
「……いいのか?ここまで来て引き返すなんて」
「いいんですよ!どうせここまで来るのに朝早くから1日もかかってませんし!」
「それならば是非お願いしたい。本当に感謝する」
困ったときはお互い様ってね!
そんなこんなで俺達は来たばかりの道を引き返していくのだった。
ちなみに、オルクス大迷宮に設置できる転移陣について知ったのはこの迷宮を出てからだった。
「な、なぁ!ヴェルドラさん!それってもしかしてマンガ!?」
「む?お前は確か信治といったか?うむ、たしかにこれはマンガだ。それがどうかしたのか?」
「な、なんでマンガがここにあるんですか!?」
「なぜだと?それはn……」
「はい!ストップ!ストーップ!!信治くん!これはマンガじゃない!いいね!?」
「は、はい!………?」
魔物が弱すぎて戦闘を全て俺に丸投げしたヴェルドラはマンガを読みながら歩いていた。そのため、近くにいた勇者一行の男子に気付かれてしまった。
危ないところだったが、なんとかマンガじゃないと信治に言い聞かせた。
あ、あっぶねー今の話メルドさんに聞かれてないだろうな?俺達が異世界から来たって知られて、戦争に協力してくれなんて言われたら面倒だ。
メルドさんが真面目な人なのは短い時間でも分かったが、王国騎士団騎士団長という立場からそう言わざるをえないということも十分あり得る。しかもそれを突っぱねたら最悪、普通の人達から人類の敵扱いされるかもしれない。
もし、そうなってしまったら………あれ?案外どうにでもなるかも?コラムの時みたいに擬態の各パーツを少しずつ変えて別人になれば旅は出来るな………
「……そういえば俺が見た時よりも人数一人少なくないか?」
俺の万能感知が20階層で捉えた人数と、今ここにいる人数が合わない。数え間違えるなんてことは全体にないので、最悪の事態が起こった可能性が高い。
俺の質問が聞こえてたのか、信治だけでなくその周りにいる何人かの肩がビクッと跳ねた。
この反応を見る限り、やはり現実をしっかりと認識していなかったのだろう。クラスメイトの死をその目で目撃して、若干、いやかなりトラウマになったのではないだろうか?
これから戦えなくなる人が出てもなんらおかしくはない。なにせ元々は争いなんかと無縁といって等しい現代日本に生きていたのだから。
「あ〜、言いにくいことならいいんだ。余計なことを聞いたな」
「い、いえ」
かなり場が気まずくなりどうしようかと考えていると、ちょうどよく万能感知の警戒範囲に魔物がかかった。
俺は信治達に断りを入れて、先頭に向かった。
「リムルさん!ちょうどよかった!今呼びに行こうと……」
「おう、任せろ!」
俺はピカピカ鎧の勇者くん(
そして腰に少し緩めに下げている、クロベエ作の
この間実に一秒以内。俺もまだハクロウレベルには程遠いがかなり剣術の腕が上がってきたんじゃないか?
《
ありがとなシエル。でもいざっていうときのために俺自身も強くなっておいた方がいいだろ?
《
「相変わらず素晴らしい腕をしている。これ程の手練れがいたとは、世界は広いな」
「いやぁ、これでも師匠には勝てないんですよね………ハハッ……」
「ほう、その腕でも勝てない。そんな人がいたとは………」
まぁ、人じゃないんだけどね。
若干の苦笑いで誤魔化しつつ少しずつ後ろの方へと移動を開始、しようとしたが、同じく先頭付近にいる黒髪ポニテ女子から声をかけられた。
「すみません。その、聞きにくいんですけど、リムルさんが使ってるそれって、日本刀ですか?」
「え?あ〜………ちょっとこっち来て」
俺に声をかけてきたのは
実は俺の使ってる刀は、ガチの日本刀とは少しばかり造形が異なるが、実物を見たことがある人なら刀だとすぐにわかってしまうような造形になっている。なにせ使うのは元日本人の俺なんだから。………まぁ剣の心得なんて無かったけどね!
まさか現代の日本人の高校生で日本刀を見たことがある人がいるなんてしかもこんな美少女が………もしかして道場かなんかを経営してる家なのか?
「確かにこれは刀だけど、日本刀じゃないよ。日本製、ましては地球製ですら無いから。それとこれはオフレコで頼むな」
「そうなんですか。私の家は剣術道場の家系なので、刀があるならそれを使いたいんですけど………今使ってるこれはやっぱり少し違和感があるので」
やはり道場を営んでいる家だった。しかし、おそらく時代的に俺が死んだ時とあまり変わらないはずなのに剣道道場ではなく剣術道場とはなんとも珍しい。確かに剣術なら刀の方が使いやすいのは確かだな。
「む……えっと、急造のもので良ければ調達して来ようか?その代わりほんとに誰にも言わないと約束してくれ」
「は、はい!分かりました。ありがとうございます」
それじゃあシエル先生!決してなまくらじゃないけど性能が良すぎない程度の刀作成、よろしくお願いします!
《了解しました。材質は魔鋼にしますか?それともこの世界の鉱石を使いますか?》
この世界の鉱石で作ってくれ、もし解析なんかにかけられて未知の材質だ!なんてなったら洒落にならない。
実はオルクス大迷宮の中にあった鉱石は、見つけ次第全て、ではなく少量残る程度に胃袋に収納しているため、トータスではありふれているであろう鉱石を使い放題なのである。これを使えばあくまでもトータスの鍛治師もしくは錬成師が製作したものだろうという推測に誘導できる。
《作成が完了しました》
なんて考えている暇にもシエル先生作の平凡な刀が出来上がった。
それでも、流石に今すぐここで懐から長物の刀を取り出したら大騒ぎになること間違いなしなので、迷宮を出てどこかのタイミングで渡すことになるだろう。
その後、俺達が異世界から来たことや、日本についての知識を持っていることがバレそうになる事はなく、迷宮の入り口に無事戻ってきた。
しかし、忘れてはいけないのがメンバーが一人足りないということだ。たとえ勇者一行であろうとも、入場の際に受付をしているはずなので、必然的に人数が足りないことが公になってしまう。
世界を救うために召喚された勇者達が歴代最高到達階だったとはいえ早々に死んでしまったとあればきっと民衆は不安にかられることになるだろう。
まぁ、俺達にはあまり関係ないことだけれども。
メルドさんもそれをわかっているのか、受付の人にこの街のギルド支部長に用がある旨を伝えていた。流石に公的機関には、それも情報がかなり出回るであろうギルドには隠しておけないということで上層部のみの話にするようだ。
一旦その場で解散になったが勇者達は暗い顔で宿に戻って行った。それをメルドさんは悔しそうに見ていたが、顔を引き締め直してギルドの方に向かって行った。
読んでいただきありがとうございました!
まさかのハジメ達より先にご都合勇者(笑)に出会うという展開!
最初にこれを書いていた時私はどうかしてたと思います。
まぁでも、今更書き変えるのも面倒なんでそのままにしてます!!
これからの展開についてはまた二週間後に!!
次回を楽しみにしててください!