ウルトラマンティガ THE ULTIMATE MAGICIANS 作:naogran
救護所。
女医A「シシリー様!此方をお願いします!」
シシリー「はい!」
女医B「ナージャ様!お願いします!」
ナージャ「任せて。」
次々と搬送された負傷者達を治療し続けるナージャとシシリー。
男性「ありがとう・・・」
シシリー「いえ。さぁ、安静に。」
ナージャ「シシリー、こっちも終わったよ。」
シシリー「ありがとうございます。」
女性「シシリー様!!!」
そこに1人の女性が駆け付けた。
女性「どうか・・・どうか・・・私の夫を!」
その夫が居る所へ向かった。
医療班長「くそっ!血が止まらん!」
女医C「シシリー様!」
腹の皮膚が抉られ、内臓が見えてる状態の大重傷を負っている。
シシリー「これ・・・は・・・」
ナージャ「抉られてる・・・酷い・・・」
女性「夫を・・・助けて下さい・・・!何でもしますからぁ!」
ナージャ「抉られた箇所を治療するのは初めてだけど・・・やるしかないね。シシリー。」
シシリー「はい!」
急いで夫の治療を始める。シシリー魔法陣を展開して治療を始め、ナージャがオブシディアンから溢れる光で治療を始める。
外では、ティガとシンが佇んでいた。
シン「何だ・・・?この魔力・・・?」
ティガ「今までの魔力とは桁違いだ・・・」
別の場所では、ミリアが兵士達を殺し続けていた。
隊長「今までの奴らとは・・・桁違いだ・・・!」
するとミリアが巨大な魔力を兵士達に向かって放った。しかし。
アリス・リン「やあああああああああ!!!!」
真上から現れたアリスとリンが魔力障壁で魔力を防いだ。
アリス「皆!下がって!」
隊長「し、しかし!」
リン「悪いけど足手纏い!」
隊長「わ、分かった!」
兵士達が下がる。
ミリア「あなた達は?」
アリス・リン「アルティメット・マジシャンズ!」
魔人ミリアとの激突。
リン「はあああああああ!!!!」
電撃魔法を放射。しかし、ミリアが姿を消した。
リン「消えた!?」
姿を消したミリアが時計塔の屋根の上に。
ミリア「また無詠唱?厄介ね。」
アリス「喰らえ!!!」
今度はアリスが真上から攻撃を仕掛ける。しかしミリアが魔力障壁で防いだ。
アリス「テイヤ!!!」
着地して再び魔法を放つ。時計塔が崩れ落ちた。
兵士達「おおおおお!」
アリス「ちょっとやり過ぎたかな?」
リン「アリス!!後ろ!!」
アリス「え?」
ミリア「フッ!!」
アリス「ぐあっ!!」
後ろからミリアがアリスを突き飛ばした。
アリス「フゥ・・・」
傷口が瞬時に回復した。
ミリア「魔道具?」
アリス「こんの!!」
魔力弾を連続で飛ばす。
ミリア「フンッ!!」
此方も魔力弾を飛ばした。アリスが魔力障壁を展開して防いだが、ミリアが高速移動してアリスを転ばせた。
アリス「うわあああああ!!」
リン「アリス逃げて!!」
上を見るとリンが魔力を集めていた。
リン「っ!?」
しかし、ミリアがアリスを人質にした。
アリス「ぐあっ・・・!凄い力・・・・!!」
リン「くっ!!」
ミリア「戦い方は素人ね。」
リオ「ダアァァァーーーーー!!」
ミリア「ッ!?」
後ろからリオが飛んで来たが、ミリアがリンを投げて避けた。
リオ「避けた。」
アリス「だ、誰あの人・・・?」
リン「男の子・・・?」
ミリア「何者?」
リオ「僕はリオ!!僕が相手するよ!」
別の場所ではローレンスが索敵魔法を発動していた。
ローレンス(援軍!?まさか・・・ゼスト様か!何方にせよこれは好機!)
すぐ他の魔人に知らせる。
ローレンス『全員退却だ!!命令だ!!リーダーが殺られた!!全員直ちに退却しろ!!』
魔人A「あ?退却だと?」
魔人B「暴れ足りねえ!!」
魔人C「何だ人間如き・・・」
何処からか炎が飛ばされ、魔人を燃やした。
ローレンス『この場は分が悪い!!一度退いて立て直す!!』
そこに現れたのは、ティガとシンだった。魔人達は全力で逃げるが。
ティガ「タァッ!!」
1人の魔人が後ろからティガスライサーを喰らって首を切断された。
魔人A「オルア!!道を開けやがれ!!」
負傷者を運んでる兵士達を突き飛ばして屋根の上へ逃げる。
シン「っ!?」
ティガ「ーーーーーハァッ!!」
スカイタイプへタイプチェンジ、シンと一緒に浮遊する。空から見ると、魔人達が撤退して行く光景が見えた。
シン「簡単に逃げられると思うなよ!タクト!」
ティガ「あぁ!」
両腕を広げてエネルギーを集め、ランバルト光弾・散弾バージョンで複数の魔人を粉砕した。
ティガ「シン!!」
シン「指向性爆発魔法!!」
指向性爆発魔法が魔人達を消し炭にした。
兵士達「うおおっ!!」
しかし一部の魔人が運良く脱出して逃げ出した。
ティガ「何!?」
シン「逃がすか!!」
城壁の上ティガとシンが着地し、城壁の向こうを見ると魔人達が逃げて行くのが見えた。
シン「くそっ・・・何体か逃したか・・・」
ティガ「すまん、逃がしちまった。」
シン「いや、大抵は討伐出来た。皆は・・・っ!?」
遠くを見ると、巨大な爆発が起こっていた。
爆発地点。
リオ「くそっ!!」
そこではリオがミリアの魔法を避け続けていた。
リオ「ダァッ!!」
斬撃でミリアを攻撃する。
ミリア「フッ!!」
魔力障壁で斬撃を防ぐ。
リオ「負けるかああああああ!!!!」
ミリア「無駄だ!!」
右手に魔力を集める。
リオ「しまった!!」
すぐに横に躱してミリアが放つ魔法を避けた。
リオ「こりゃあ・・・骨が折れそうだね。」
物陰にユーリとトニーが隠れている。
ユーリ「何なの彼奴!?」
トニー「マズい状況だね・・・!!ユーリ!援護を!!」
ユーリ「後ろから行くわ!!!」
巨大は炎をミリアに向けて飛ばした。
ミリア「無駄だ!」
高速移動し、ユーリを転ばせた。
ユーリ「きゃあああ!!」
トニー「ユーリ!!」
ミリア「フンッ!!」
トニー「くっ!!はああああ!!!」
バイブレーションソードを振るが、ミリアが避けた。
ミリア「はぁっ!!」
キックでバイブレーションソードを蹴り上げて、トニーが展開した魔力障壁を破壊した。
トニー「ぐああああああ!!!・・・なっ!し、しまった!!」
ミリア「フフッ。」
目の前でミリアが魔力を最大まで集めていた。放とうとしたその時。
リオ「やらせるかあああああああああ!!!!!」
ミリア「しつこい!!!」
真上から迫るリオに向けて最大魔力を放った。
リオ「くっ!!これでも食らえ!!!」
右手に握ってる剣を投げた。
ミリア「フフッ。」
両手に魔力を集めて放ち、剣を粉砕して、後ろに居るアリス達にも魔力を放った。
リオ「何!?」
アリス達「うわあああああああああ!!!!」
ユーリ「皆!!」
リオ「この野郎!!!」
ミリア「本当しつこいですね。あなたから始末してあげますよ。」
タクト・シン「待て!!」
ミリア「ん?」
後ろに振り向くと、タクトとシンが立っていた。
ユーリ「ウォルフォード君!」
リオ「タクト!!」
タクト「皆、待たせてすまない。」
シンは怪我をしてるアリス達を治療する。
ミリア(此奴らが・・・シン=ウォルフォード。そしてタクト=クリスティ。またの名を超古代の戦士・ティガ。)
タクトとシンは静かに怒りを燃やした。
リン「うっ・・・ウォ・・・ウォルフォード君・・・クリスティ君・・・彼奴素人じゃない・・・」
シン「大丈夫。俺もだよ。ユーリ!皆を!」
ユーリ「え、えぇ!」
タクト「リオ!皆を頼む!」
リオ「おう!」
リオがアリス達を運び、ユーリが治癒魔法でにアリス達を治療する。
ミリア(ローレンスの方は上手く行ったみたいね。)
シン「よくもやってくれたな!」
タクト「この罪は重いぞ!」
ミリア(さて、彼らが実際どの程度か、知りたいわね!)
いきなり炎を飛ばしたが、タクトが炎を蹴り返した。
ミリア「何!?」
すぐに炎を避けた。その隙にタクトがスパークレンスを掲げて光の柱で自分を包んだ。光の柱からウルトラマンティガが現れた。
ミリア(あれがティガ・・・)
ティガ「シン、行くぞ!」
シン「あぁ!」
ミリア(彼から溢れる強力な力・・・見せて貰うわ!!)
先手でミリアが行動する。
シン「フッ!!」
ティガ「ハァッ!!」
バイブレーションソードとマルチキックでミリアに攻撃するが、ミリアが軽々と避ける。
ミリア「フンッ!!」
ティガにキックをしたが、ウルトラクロスバリヤーで弾かれた。
ミリア「ハァッ!!」
地面を踏んで2人を岩で閉じ込める。
ティガ「タァッ!!」
ティガスライサーとバイブレーションソードで岩を斬り裂いた。その隙にミリアがシンに突進するが、シンの魔力障壁で防がれた。しかし魔力を集めてシンに放った。だがシンが二重魔力障壁で無傷で済んだ。
ミリア(2つ同時に!?)
ティガ「ハァッ!!」
上からハンドスラッシュを連射する。ミリアが避けるが、ティガは高速連射する。
ミリア(何だこの速さ!?っ!?)
隙を突かれ、シンのバイブレーションソードを掠った。服と左胸に切り傷が生じた。
ミリア(後少し遅かったら・・・)
アウグスト「シン!タクト!」
マリア「大丈夫!?」
そこにアウグストとマリア、トールとユリウスが合流した。
ユリウス「加勢するで御座る!!」
ミリア(そろそろ引き時かしら?)
不敵に微笑んだ。
ティガ「ハッ!!」
ウルトラフィックスを放つ。だがミリアがジャンプして避けた。
ローレンス「今だ!!周囲に爆発魔法を!!」
屋根の上のローレンスの指示を受け、浮遊して爆発魔法の魔力を最大まで収束させる。
シン「何!?」
彼は、負傷してるアリス達を見た。
ティガ「そうはさせるか!!」
ミリアに向かって飛翔する。
シン「タクト!!」
アウグスト「タクト!!」
ティガ「タアァァァ!!!!」
全身を光のエネルギーで覆って敵に突っ込むフラッシングアタックでミリアに迫る。
ティガ「タァッ!!!!」
収束した爆発魔法を押し出す。
ミリア「くっ!!」
押される爆発魔法を押し返す。
シン「タクト!!!!」
アウグスト「タクト!!!」
マリア「タクト!!!」
ティガ「ハァッ!!」
するとティガが高速回転のティガトルネードで威力を上げた。
ミリア「何!?」
ティガ「タァッ!!!!」
ミリア「ッ!?」
フラッシングトルネードが爆発魔法を貫き、空に大爆発が起こった。シン達が魔力障壁で爆風を防いで被害を抑える。
しばらくして黒煙が晴れた。
シン「き・・・消えた・・・?」
アウグスト「シン!」
シン「皆!」
リン「ウォルフォード君・・・!」
シン「良かった・・・無事だったか。っ!タクトは!?」
アウグスト「降りて来るぞ。」
上空からティガがゆっくりと着地し、光になってタクトの姿に戻った。
シン「タクト!大丈夫か?」
タクト「あぁ。」
シン「彼奴は?」
タクト「手応えが無かった。爆発寸前に消えたんだろう。」
リオ「結構無茶したねタクト。」
タクト「悪いな。」
アリス「ねぇタクト君、この人誰?」
タクト「此奴か?俺の仲間のリオだ。」
リオ「リオです。タクトが世話になっています。」
シン「皆ごめん・・・魔人を逃がしてしまった・・・」
タクト「後一歩の所で・・・」
リン「ううん、私こそ・・・」
アウグスト「シン、タクト、あの女の魔人は?」
シン「あぁ、かなりの強さだった。」
タクト「彼奴の魔力は桁違いだった。」
トール「恐らく、元兵士か、ハンターでしょう。」
トニー「そんな奴まで・・・」
アウグスト「しかし、この襲撃に何の意味が・・・?シュトロームの意図が読めん・・・」
タクト「けど彼奴は姿を現していない。仮に奴が来たら、この被害で終わるはずが無い。」
トール「それでも・・・これだけの被害を出してしまいました・・・」
ユリウス「悔やむより、今出来る事をやるで御座る。」
シン「シシリーの方が心配だ。」
アウグスト「そうだな。皆はもう一度魔人の警戒を頼む!だが無理はするな!」
全員「了解!」
スイード王国の外では、魔人達がイライラしながら歩いている。
別の場所では。
ローレンス「何?ゼスト様が?」
ミリア「えぇ。あなた達の脱出の機会を作って欲しいと。」
ローレンス(しかし・・・想定外のウォルフォード達の力・・・貴重な駒を失い過ぎた・・・!)
上空には。
シュトローム「勇んで攻め入り返り討ち・・・尻尾を巻いて撤退とは、滑稽ですねぇ。帝国を滅ぼしてしばらく退屈でしたが、シン=ウォルフォード君、そしてタクト=クリスティ君。君達が居ると少しはそれを忘れられそうですね。」
スイード王国では、タクトとシンとアウグストとリオがシシリーの居る救護所へ飛んで来た。
兵士A「そ・・・空を飛んで来た・・・!!ま・・・まさか魔人!?」
アウグスト「シン、お前のせいで私とタクトとリオまで魔人扱いだ。」
シン「別に俺のせいじゃねえだろ。」
アウグスト「落ち着け。我々はアルティメット・マジシャンズだ。」
兵士A「アッ・・・アウグスト殿下!?これはとんだご無礼を!!」
リオ(ア、アルティメット・マジシャンズって何だ・・・?)
タクト(後で話す・・・)
シン「救護所は?大丈夫か?」
兵士A「シシリー様とナージャ様とデイジー様が、中で怪我の治療を・・・」
アウグスト「ナージャ様?デイジー様?」
タクト「俺の仲間達だ。」
アウグスト「そうか。」
兵士B「しかし・・・」
タクト「通してくれるか?」
兵士A「あ、はい。」
救護所内。神子達が負傷者の治療をしている。
タクト「酷いな・・・」
マーク「あ!」
オリビア「殿下!ウォルフォード君!クリスティ君!」
タクト「マーク!オリビア!」
アウグスト「ビーン、魔人の襲撃は?」
マーク「オリビアとケイティさんと討伐したッス。」
タクト「ケイティ?何処に居るんだ?」
マーク「彼処に居るッス。」
負傷者に薬を塗ってるケイティを指差す。
タクト「ケイティ!」
ケイティ「ん?あ!タクト!元気そうで良かった!」
タクト「久し振りだな。」
リオ「ケイティ、デイジーは?」
ケイティ「今呼ぶよ。デイジー!」
デイジー「ん?」
呼ばれたデイジーが来た。
デイジー「リオ!大丈夫だった?」
リオ「うん。何とかね。」
デイジー「タクト。久し振りね。」
タクト「デイジー、元気そうだな。ん?グレア達は?」
デイジー「まだ会ってないの。」
タクト「まぁ何れ会えるだろう。それ、傷薬か?」
ケイティ「うん。ここに来る前に他の国で大量に買い占めてたのを思い出して、今負傷者の皆にこれを塗ってるんだ。」
タクト「そうか。ナイスだケイティ。デイジー。」
シン「オリビア、シシリーは?」
タクト「ケイティ、ナージャは?」
オリビア「奥の部屋で治療してます。」
ケイティ「ナージャもそこに居るわ。」
デイジー「懸命に治療しているよ。」
シン「そうか。」
タクト「ありがとな。」
アウグスト「我々だけでは人手が足りん。皆も呼んで治療に当たらせよう。シンはクロードを。」
シン「分かった。」
タクト「俺はナージャの所へ行く。ケイティ、リオ、デイジー、負傷者達に傷薬を塗ってくれ。」
ケイティ「OKよ。」
リオ「分かった。」
デイジー「えぇ。」
奥の部屋では。
シシリー「くっ・・・!!」
ナージャ「シシリー、無茶は駄目よ!」
夫「ごはっ!!」
全力で治療するが、夫の容体は悪化するばかりだった。
ナージャ「傷が治らない・・・この治療、私も初めてよ・・・・」
医療班長「くそっ!どうすれば・・・」
治療に集中していたシシリーが止まってしまった。
医療班長「シシリー様?」
ナージャ「どうしたの?何で止めたの?」
シシリー「ごめんなさい・・・私達ではもう・・・手の施し様が・・・」
女性「そんな・・・・・・」
ナージャ「シシリー!何弱気になってんのよ!この人を助けるって約束したじゃない!!」
シシリー「治療魔法も・・・万能ではないんです・・・・」
ナージャ「万能じゃなくても、救いたい気持ちがあれば救える!タクトから言われた言葉よ!」
シシリー「・・・・・でも・・・・・」
女性「うああああああああ・・・・・!!」
ナージャ「・・・っ!!」
再びナージャが治療を始める。
ナージャ「何とかして傷を治さないと・・・・この人の命が・・・・・」
決心したシシリーが戦闘服を脱ぎ始めた。
医療班長「シシリー様!?」
ナージャ「何してるの!?」
シシリー「この服には自動治癒魔法が付与されています!!これを着せれば!!」
戦闘服を夫に着せようとした時。
シン「シシリー!」
後ろからシンに抱擁された。
シシリー「シン君・・・!?」
ナージャ「・・・っ!タクト!」
タクト「ナージャ。」
シン「幾ら付与された魔法でも、この傷は治せない。」
シシリー「そんな・・・この人は・・・もう・・・」
タクト「心配するな。俺が助ける。」
両腕をクロスして、ゆっくりと前に出して治癒能力を降り注いだ。
タクト(抉られた箇所の修復。血の巡りを正常。体温を平常。)
しばらくして、夫の抉られた傷や複雑骨折などが完治され、体温が平常に戻って眠った。
タクト「よし、呼吸が安定した。傷も体内も止血も治った。後はこのまま安静にすればすぐ良くなる。」
女性「ありがとうございます・・・・・!本当に・・・ありがとうございます・・・!何とお礼を言ったら良いか・・・・」
タクト「いや、お礼はいらない。旦那さんと幸せに暮らしてくれ。」
ナージャ「相変わらず凄いわねタクト。」
タクト「いや、ナージャもよく頑張った。慣れない治療なのに。」
ナージャ「うん、私は一刻も早く助けたかったから・・・」
タクト「じゃあ戻るか。」
シン「うん。」
戻ろうとすると、シシリーがタクトの腕を掴んだ。
タクト「シシリー?どうした?」
シシリー「タクト君はやっぱり凄いです・・・私には・・・とても真似出来ません・・・」
タクト「そんな事ねえよ。お前も色々頑張ってるし。なあ?」
シン「そうだよ。そんなに落ち込まなくても・・・」
シシリー「何時も私・・・シン君やタクト君に・・・助けられてばかりで・・・何も出来なくて・・・そんな自分が・・・情けなくて・・・」
シン「そんな事ないよ。あの人が助かったのは、シシリーのお陰だし。何人もの怪我人を治療したじゃないか。」
シシリー「でも・・・!」
自信を無くすシシリーの頭に、タクトが優しく撫でた。
シシリー「え・・・?」
タクト「何でそうやって自分を責めるんだ?俺達がシシリーのお陰だって言ってるんだ。だから俺達を信じろ。」
シシリー「・・・?」
シン「ほら、見て。」
シシリー「え・・・?」
周りを見ると、国民達がシシリーにお礼を言った。
少女「ありがとうございます!」
老人「本当に、ありがとう!」
医療班長「皆、あなた方に救われた方々です。」
シシリー「・・・・!」
シン「この人達を助けたのは、紛れもなく君だよ。よく頑張ったね。」
タクト「お前は皆に貢献出来たんだ。ナージャもな。」
ナージャ「止してよ。」
男性「シシリー様、あなたは聖女様だ・・・!」
女性「聖女様・・・」
国民達はシシリーを聖女と呼び称えた。
シシリー「え・・・えぇぇ!?」
シン「フフッ。」
タクト「これで分かっただろ?お前のお陰で尊い命が救われたって。」
シシリー「・・・はい!」
スイード王国・王城。
スイード国王「おお、アウグスト殿下!!此度の事、アールスハイド王国には本当に世話になった!借り受けた緊急要請の為通信用魔道具・・・そして防御用魔道具・・・何より殿下達が駆け付けてくれなければスイードは今頃灰燼に帰していただろう!!本当にありがとう・・・!!」
アウグスト「魔人は世界の脅威です。この世界に住む者として、当然の事をしたまでです。」
スイード国王「殿下だけではない・・・君達も・・・お陰で被害も最小限で済んだよ。」
シン「・・・・・・」
アウグスト「所でスイード王、報告しなければならない事があります。今回の襲撃・・・腑に落ちない点が幾つかあるのです。1つは帝国襲撃時に確認された魔物の姿が全く見えなかった事。」
スイード国王「確かに・・・」
アウグスト「もう1つは魔人の首魁であるオリバー=シュトロームの姿が無かった事。」
スイード国王「オリバー=シュトローム・・・」
アウグスト「これまでの斥候からの報告と照らし合わせても、今回の件は少し異質です。この襲撃は陽動で、他に狙いが・・・とも考えましたが今の所、他国に何か起きたと言う報告はありません。」
スイード国王「むぅ・・・」
アウグスト「彼らは、嘗てシュトロームと相見え、追い詰めた事があります。奴にとってシンとタクトは脅威のはず。今回も、我々アールスハイド、シンとタクトの介入を予測出来なかったと考え難い。」
メイド長「つまり・・・」
アウグスト「正直、意図が読めないのです。魔人達の内部で何が起こっているのか・・・」
スイード国王「そうなると、警戒を緩めるべきではありませんな。」
アウグスト「その通りです。スイード王!各国と連合を組み、共同戦線を張りたいと考えています。どうかご賛同願えませんか?」
スイード国王「連合かぁ・・・その連合に、アールハイド王国も参加すると?」
アウグスト「はい!」
シン「え?」
スイード国王「そうですな、確かにこれは各国がそれぞれで対処するには重過ぎる案件。勿論スイード王国はその連合に参加させて貰うよ。」
アウグスト「ありがとうございます。近い内に各国首脳との首脳会議も考えています。」
スイード国王「承知した。決まり次第連絡を頼みます。」
シン「世界連合・・・か。色々ちゃんと考えてるんだな、オーグ。」
アウグスト「どー言う意味だ。」
シン「なあオーグ。」
アウグスト「何だ?」
シン「俺・・・今回の件、最初からずっと後悔してる事があるんだ。スイード王はああ言ってくれたけど・・・襲撃の犠牲になった人は少なくない。可能な限りの対処は出来たと思うけど・・・もし”ゲート”で移動出来てたら・・・確実にもっと多くの人を救えたはず・・・」
タクト「俺も後悔したくない。これ以上の犠牲を増やさない為に。」
マリア「でもゲートって、一度行った場所にしか開けないんでしょ?」
シン「ああ。だから、頼む。」
アウグスト「偶然だなぁ。私もお前達に頼もうって思った事がある。シン、タクト。」
タクト「ああ。」
シン「ああ。」
タクト・シン・アウグスト「共に各国を回ろう!!」
シン「皆も協力してくれるか?」
アリス「勿論!!」
柱の陰から、マーリンとメリダが見守っていた。
魔人領では。
ローレンス「・・・・・・」
ダンテ「どうしたローレンス?帰って来るなり、塞ぎっぱなしじゃないか。」
アベル「お前らしくないな。」
ローレンス「異常だ・・・シン=ウォルフォードとタクト=クリスティの力・・・あれはヤバい・・・俺達1人1人じゃ手を出すべき相手じゃない・・・」
アールスハイド王国・王城。ゲートで戻ったアルティメット・マジシャンズを待っていたのは。
シン「へ!?」
「おお!!戻られたぞ!!」
「お帰りなさいませアルティメット・マジシャンズ!!」
「魔人撃退おめでとうございます!!」
「アルティメット・マジシャンズ!!」
「アルティメット・マジシャンズ!!」
夜空に花火が咲き乱れ、お祭り騒ぎになっていた。
シン「連呼するのは止めてくれ・・・」
アウグスト「どうやらスイードから通信で情報が伝わったようだな。」
タクト「ってか中二病過ぎて腹痛え・・・」
リオ「確かに・・・腹痛い・・・」
アリス「この様子だと、国中知ってそうだよね。」
そこに、エリザベートとメイが。
エリザベート「アウグスト様!!」
メイ「お兄様!!」
エリザベート「心配しましたわ!!」
メイ「ムギュッ!!」
アウグスト「エリー!?メイ!?ここはお前達の来る所ではない!」
ディセウム「よい。私が許可した。」
アウグスト「父上!」
シン「爺ちゃん!婆ちゃんも!」
フェオン「タクト!!」
タクト「皆!」
イザベラ「無事だったんですね!」
タクト「まぁな。」
デイジー「フェオン!皆!」
レア「おぉ!リオ!デイジー!ナージャにケイティじゃないか!!」
ケイティ「わぁ〜皆〜!久し振り〜!」
アンナ「お久し振りです!」
グレア「元気だった?」
ナージャ「あら?レオンとソフィーは?」
ケイティ「カサンドラとティオは?」
ヒナ「レオンさん達はまだ会ってません。」
エミリー「まだ何処かで旅の最中じゃないのか?」
マーリン「お前達、ようやったのう。」
メリダ「訓練の成果が出たみたいだねぇ。」
アリティメット・マジシャンズ「はい!」
ケイティ「わお!賢者様と導師様!」
ナージャ「凄い、生で見るの初めて・・・!」
リオ「本物だぁー!」
デイジー「興奮しないの。リオ。」
マーリン「ん?彼らは?」
タクト「マーリン様、メリダ様、この4人は過去に旅をした俺の仲間達だ。」
ナージャ「ナージャ=オブシディアンよ。」
ケイティ「剣術者のケイティ=グレイス!宜しくね!」
リオ「リオです。こっちは幼馴染みのデイジーです。」
デイジー「宜しくお願いします。」
アウグスト「おいエリー。メイがグッタリしてるぞ。」
エリザベート「っ!?」
自分の胸とアウグストでサンドイッチ状態のメイが気絶してる。
エリザベート「ああ、メイ!何時の間に!?」
アウグスト「最初から挟んでたぞ。」
メイ「エ・・・・・」
エリザベート「エ?」
メイ「エリー姉様の胸は・・・凶器・・・!」
エリザベート「ちょっとぉ!?」
リン「確かにアレは前々から危ないと思ってた。」
アリス「危ないね。」
リン・アリス「もいどく?」
エリザベート「捥がないで下さいまし!!」
アウグスト「そんな事より父上、今回の件の報告です。」
ディセウム「ええ・・・も・・・もうちょっと親子の会話をしても良いんじゃ・・・」
シン(身内に対してはドライだなオーグ・・・)
ディセウム「このアールスハイド王国の国王だ。ではアウグスト、話の続きを。」
アウグスト「はい。」
王室で、スイード王国で起こった出来事を話した。
ディセウム「・・・そうか、スイード王国は連合に協力してくれるか。」
アウグスト「恐らくそれ以外にも帝国に国境を接する国は協力してくれるでしょう。」
ディセウム「・・・となると問題は・・・エルス自由商業連合と・・・イース神聖国か・・・」
シン「エルス?」
タクト「イースか。」
マリア「エルス自由商業連合国は、世界で唯一共和制を敷いている国よ。貴族や王族が存在せずに、商人の中から知事や大統領が選出されるの。元々商人だった人が国を治めてるから、交渉が非常に難しいって言われてるわ。」
シシリー「イース神聖国は創神教の総本山です。創神教の教皇が国家元首となって、今も国を治めています。その2ヶ国にアールスハイドと帝国を合わせて、元々”四大大国”と呼ばれていて・・・」
マリア「帝国が滅んだから今は”三大大国”ね。」
ディセウム「仮にも”大国”と称される国々・・・連合を組むとなれば・・・どちらも主導権を取りに来るか・・・」
アウグスト「・・・父上、各国との交渉役、私に一任して頂けませんか?私はアールスハイドの王太子であると同時に、魔人に直接対決出来るアルティメット・マジシャンズのメンバーです。誰よりも交渉の主導権を握り易い立場です。」
ディセウム「そうだな・・・頼めるか?アウグスト。」
アウグスト「お任せを!人類存続の為に必ずや交渉を成功に導いて参ります!!」
シン「爺ちゃん、婆ちゃん。」
マーリン「分かっておる。この旅にはお前も行かねばならんじゃろう。」
メリダ「世界を見ておいで。」
シン「ありがとう!」
タクト「ナージャ、ケイティ、リオ、デイジー、協力してくれるか?俺からの頼みだ。」
ナージャ「勿論、あなた達に同行するわ。」
ケイティ「うん!魔人達から世界を守ろう!」
リオ「僕に出来る事なら何でも!」
デイジー「この事態、見過ごす訳にいかないしね。」
メイ「でしたら!私も行きたいです!!」
エリザベート「勿論私も御一緒致しますわ!!」
アウグスト「お前達!遊びではないのだぞ!」
メイ「分かってるです!でも外国の王様達とお話するのはお兄様です!!その間シンお兄ちゃんとタクトお兄ちゃん達はおヒマです!一緒に観光出来るです!!」
エリザベート「それに皆さんが居るなら、護衛もいりませんしね。」
マリア「殆ど国家レベルの戦力だもんね・・・」
アリス「って言うかフツーに全員行く流れなんだ・・・」
シン「まあ良いじゃん。夏休み入って、ずっと特訓ばっかだったし・・・一時中断して皆息抜きする意味でもさ。」
アウグスト「この2人は遊んでただけだろ・・・」
トール「お2人は、自分達がお守りします!」
ユリウス「このメンバー以上に、優秀な護衛は御座らんでしょう!」
アウグスト「やれやれ・・・」
アリス「移動は浮遊魔法ですか?」
アウグスト「まあそうだろうな。エリーは私が抱えて飛ぶとして・・・」
シン「メイちゃんは誰かが手を繋いで補助すれば行けそうだよね。」
メイ「ハイです!」
アウグスト「出発は早いに越した事はない。準備が整い次第各自に連絡を入れよう。もう夜も遅い。今日は皆御苦労だった。しっかりと休んでくれ。」
全員が解散した。
アウグスト「シン、クロード。」
シン「ん?」
アウグスト「・・・休めよ?」
シン「・・・はっ!!」
シシリー「ん?・・・っ!!」
理解した2人が赤面した。
シン「オーグお前なあ!!!」
タクト「まあ仲が宜しい事で。」
旧ブルースフィア帝国・帝城。
シュトローム「中々の見ものでしたよ。」
ゼスト・ミリア・ローレンス「っ!」
シュトローム「だから忠告したじゃないですか。シン=ウォルフォード君とタクト=クリスティ君には手を出さない方が良いと。」
ゼスト「とんだ醜態を晒してしまいました・・・」
シュトローム「いえ、十分楽しめましたよ。まぁ欲を言えば、もう少し盛り上がって欲しかったですけどねぇ。」
両目を光らせ、3人を震えさせる。
ゼスト(シン=ウォルフォード・・・タクト=クリスティ・・・主人の新たな目的となりうる存在に感謝すべきか・・・それとも手を打つべきか・・・何方にせよ、あの規格外の強さ・・・無視は出来んな・・・)
旧ブルースフィア帝国・帝城の廊下。
ゼスト「所でミリア殿、例の実験の様子は?」
ミリア「っ!まだ、ハッキリとは・・・もう少し検証する必要があるかと・・・」
ゼスト「そうですか、それは失礼しました。」
ミリア「では、私はそれについて、シュトローム様とまた。」
ゼスト「えぇ、上手く行くよう祈ります。(その結果次第で、私達魔人の将来が決まるのですから・・・)」
この2人が機密にしている実験とは一体・・・
その後ローレンスは、平民魔人達が巣食う廃墟へ行った。
魔人A「くそっ!!何なんだよ彼奴等!!」
魔人B「城壁内に侵入した連中はほぼ全員殺られちまった!!国を落とす所じゃねえよ!!」
ローレンス(大きな計算違いは2つだ・・・1つはシン=ウォルフォードとタクト=クリスティを始めとする部隊の力が予想より遥かに大きかった事。もう1つは平民魔人が想定より全く使えなかった事。やった事と言えば、兵士や一般市民を甚振って遊んだだけだからな・・・、ああ元々此奴らはただの捨て駒、後は如何に効率よく・・・)
魔人A「おいお前!!」
考え込んでると、平民魔人達に囲まれた。
ローレンス「はい?」
魔人A「元はと言えば、お前がスイードに攻め込もうって言ったのが原因じゃねえか!!」
魔人B「どう責任取ってくれんだ!?あぁ!?」
ローレンス「はぁ・・・被害がこれだけで済んだのは、狙いをスイードにしたお陰でしょう?」
魔人A「どう言う意味だ!?」
ローレンス「アンタ達、最初はアールスハイドを攻める気で居たでしょ?救援に現れた連中は、正しくアールスハイドの王太子とその一味なんですよ。予定通り、彼らの本拠地に攻め入ったら、今頃我々はとっくに全滅だ。そうならなかっただけでも儲けモンだと思いますがね。違いますか?」
魔人達「・・・・・・」
ローレンス「ただ、アールスハイドの隣国を狙ったのが裏目に出てしまったのは事実です。ならば次は・・・」
魔人A「そうか!奴らがすぐに来れないような遠い国から狙えば良い!!」
ローレンス「まぁ、そう言う事ですね。例えば・・・」
遠くから話を聞いてる1人の魔人が不快感を抱いている。
その後ローレンスが廃墟から出ようとすると。
魔人「おい!お前よ、何企んでる?」
ローレンス「何の話です?」
魔人「気付かねえと思ってるのか?お前、シュトロームに従ってた軍の1人だろ!」
ローレンス「へぇ、低能な連中ばかりかと思ってたら・・・」
激怒した魔人がローレンスの胸元を掴む。
魔人「何だとてめェ!!やっぱりシュトローム側のスパイか!!だったら今すぐ他の連中と袋叩きにして・・・・」
だが、ローレンスの雷撃で消し炭にされてしまった。
ローレンス「マヌケな方が長生き出来る事もあるぜ。覚えとけ。」
市川蒼
世界各国を回って連合締結の交渉を臨むアルティメット・マジシャンズ。アールスハイド王国では、潜伏した斥候魔人がシンの秘密を探っていた。