ウルトラマンティガ THE ULTIMATE MAGICIANS   作:naogran

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STAGE7「大進撃」

酸の湖では、静寂な空気に包まれていた。イベリーゴ軍が廃船の前に待機している。廃船では、谷の者達が武器を構えて待機している。

 

アンソニー「テコでも動きそうにありませんな。」

 

スカーレット「帰りを待っているのだ。」

 

アンソニー「帰り?」

 

スカーレット「あの2人がガンシップで戻ると信じている。」

 

アンソニー「ガンシップは厄介ですなぁ。今の内に一当てやりますか。」

 

スカーレット「お前はあの船が何だか知っているのか?」

 

アンソニー「セブンスインフェルノの前に作られた奴でしょ?嘘か本当か知らねえが、星まで行ってたとか何とか。」

 

あの廃船は元々は宇宙船だった。

 

アンソニー「偉く硬いから砲撃も効かねえが。なぁに。穴に打ち込めば・・・」

 

スカーレット「私も待ちたいのだ。」

 

アンソニー「え?」

 

スカーレット「本当に菌海の深部から生きて戻れるものならな。あの2人と一度ゆっくり話をしたかった。」

 

彼女は戦車から降り、人質となってるボブ達に訊く。

 

スカーレット「どうだ?決心は付いたか?降伏を勧めに行くなら放してやるぞ。・・・リベリオの二の舞にしたいのか?」

 

ベガ「アンタも姫様だじゃろうが、ワシ等の姫様と大分違うの。」

 

ボブ「この手を見て下され。」

 

右手に腫れや疣が出来てる。

 

ボブ「ギャビン様と同じ病じゃ。後半年もすれば石と同じになっちまう。じゃが、ワシ等の姫様はこの手を好きだと言うてくれる。働き者の綺麗な手だと言うてくれましたわい。」

 

スカーレット「菌海の毒に侵されながらそれでも菌海と共に生きると言うのか?」

 

ベガ「アンタは火を使う。そりゃあワシ等もちょびっとは使うがのう。」

 

ボブ「多過ぎる火は何も生みやせん。火は森を1日で灰にする。水と風は100年掛けて森を育てるんじゃ。」

 

ベガ「ワシ等は水と風の方がええ。」

 

ダウト「あの森を見たら姫様とタクト殿は悲しむじゃろうのう・・・」

 

この話を聞いたスカーレットが前を歩き出す。

 

兵士A「参謀殿。命令はまだですか?」

 

アンソニー「引っ込んでろ。」

 

兵士A「ハッ。」

 

彼女は谷の者達をジッと見ている。

 

アンソニー「何があったか知らねえが、可愛くなっちゃってまあ。」

 

スカーレット「アンソニー!その者達を解放しろ!」

 

アンソニー「ハッ?んじゃ待ちますか?」

 

スカーレット「兵に食事を取らせろ!1時間後に攻撃を開始する!」

 

アンソニー「飯ねぇ。ゆっくり食う事にしますか。」

 

 

 

 

廃船では。

 

村人A「ん?誰か来る!」

 

村人B「ボブ達だ!」

 

 

 

 

解放されたボブ達が廃船へ向かっていると。

 

ボブ「ん?」

 

ベガ「どうしたんじゃ?」

 

ボブ「風がない。」

 

ベガ「風が?・・・本当じゃ。風が止まった。」

 

 

 

 

船内では、大婆様が苦しんでいる。

 

少女A「婆様どうしたの?」

 

女性「大婆様?」

 

大婆様「誰か・・・誰かワシを外へ連れ出しておくれ・・・」

 

 

 

 

廃船の外へ大婆様を連れ出してあげた。

 

少女A「風が止むなんて初めて・・・」

 

酸の湖の風が止んでいる。

 

少女B「婆様、耳が痛い・・・」

 

大婆様「大気が・・・大気が怒りに満ちておる・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上空を飛行するティガとガンシップ。ガンシップの燃料が半分以下まで減っている。

 

ジェシカ「・・・近い!」

 

バリー「菌海を切れた!酸の湖まで3分!」

 

ジェシカ「エンジンスロー!雲の下へ降りる!」

 

雲の下へ降下した。そこで異様な光景を目にした。

 

バリー「何じゃこの光は!?」

 

地上に無数の赤い光があった。

 

ティガ「ヴルグ!?」

 

その光の正体は、ヴルグの大群だった。

 

ティガ「怒りに満ちている・・・!?」

 

バリー「菌海が溢れた!アネモスビレッジに向かってる!」

 

ジェシカ「何故?どうやってヴルグを?」

 

ティガ「ん?」

 

南の方角に、何かを感じた。

 

ティガ「誰かが大群を引き寄せてる。」

 

ジェシカ「バリー!南方に向かって飛べ!」

 

バリー「はい!」

 

南の方角へ飛行する。

 

 

 

 

ティガ「・・・ジェシカ!」

 

ジェシカ「えぇ!バリー!照明弾!用意・・・撃て!!」

 

照明弾を発射。照明弾が光ると、何かが見えた。

 

バリー「何だあれは?」

 

1台の飛行ポッドが、何かを吊るして移動している。

 

ジェシカ「あっ!!」

 

 

 

 

吊るしているのは、ヴルグの子供だった。数本のフックが刺さっており、身体中から体液が溢れ出ている。

 

 

 

 

ジェシカ「なんて酷い事を!」

 

ティガ「あの子を囮にして群れを呼び寄せてるんだ!」

 

バリー「クソッ!!叩き落としてやる!!」

 

ジェシカ「ダメよ!!!!」

 

飛行ポッドが機関銃を連射する。

 

ティガ「バリー止めろ!!撃つな!!」

 

ガンシップが飛行ポッドから離れる。

 

バリー「何故じゃ!!何故撃たせんのじゃ!!」

 

ティガ「あの子を殺したら暴走は止まらねえぞ!!」

 

バリー「どうすれば良いんじゃ!!このままでは谷が全滅だ!!」

 

ジェシカ「落ち着いてバリー!ヴルグの子を群れへ返すの!やってみる!タクト!」

 

ティガ「あぁ!」

 

両手を挙げるジェシカをティガが握って飛行する。

 

バリー「姫様!タクト殿!何をするんじゃ!」

 

ジェシカ「バリーは皆に知らせて!!」

 

ティガがジェシカをコンドルに乗せた。

 

バリー「姫様!!武器も持たずに!!」

 

ティガ「タァッ!」

 

ハンドスラッシュでワイヤーを切った。

 

バリー「ああっ!!」

 

2人がヴルグの子の救出へ向かった。

 

 

 

 

 

 

酸の湖では、兵士達が照明弾を確認している。

 

偵察兵「我が軍の照明弾ではありません。」

 

スカーレット「距離は?」

 

偵察兵「約20リーグ。湖の対岸と思われます。」

 

スカーレット「ガンシップだと思うか?」

 

アンソニー「恐らく。」

 

すると上空に信号弾が2つ打ち上げられた。

 

アンソニー「救援を求める信号です。やはりガンシップですな。」

 

スカーレット「1時間経った。行こう。」

 

アンソニー「待たないんで?」

 

スカーレット「所詮血塗られた道だ。」

 

イベリーゴ軍が進行を開始した。

 

装甲兵士「装甲兵!前へ!」

 

アンソニー「殿下は中へ。」

 

スカーレット「ここで良い。」

 

 

 

 

右側に小さな光が接近してる。

 

 

 

 

兵士A「ガンシップだ!」

 

アネモスビレッジのガンシップだった。

 

兵士A「空襲!!!」

 

ガンシップに向けて一斉発砲を開始した。ガンシップが着陸しようとしてる。

 

スカーレット「あっ!撃つなーー!!止めろ!止めんか!!」

 

ガンシップがバランスを崩して不時着した。

 

 

 

 

村人達「クソー!!」

 

ボブ「姫様ー!」

 

 

 

 

スカーレット「この場で待機!発砲するな!」

 

アンソニー「殿下!!」

 

 

 

 

不時着したガンシップ。

 

スカーレット「あの2人はどうした!」

 

ボブ「姫様とタクト殿は!?」

 

ベガ「後ろに乗っとらんぞ!」

 

バリー「ヴルグだ!ヴルグの群れがこっちへ来るぞ!」

 

ボブ「何じゃと!?」

 

チャド「ヴルグが!?」

 

バリー「姫様は暴走を食い止める為に、タクト殿と共に向かった!戦なんぞしてる暇はない!皆高い所へ逃げろ!!急げ!!」

 

 

 

 

廃船の上では。

 

少女A「あ!婆様!赤い光が見えます!」

 

地平線にヴルグの大群の怒りの目が見えた。

 

少女B「どんどん増えてるみたい。」

 

少女A「こっちへ来るんだわ!」

 

大婆様「婆にしっかり掴まっておいで。こうなってはもう誰も止められないんじゃ。」

 

 

 

 

船内では、谷の者達が廃船の高い所へ避難している。

 

老婆「バリー、どうせ死ぬんじゃ。谷で死ねよ。」

 

バリー「ダメじゃ!姫様とタクト殿が諦めない限り諦めるな!」

 

 

 

 

イベリーゴ軍では。

 

スカーレット「良いか?出来るだけ時間を稼げ!私はすぐ戻る!」

 

アンソニー「殿下!まさかあれを!?まだ早過ぎます!」

 

スカーレット「今使わずに何時使うのだ?行け!」

 

戦車に乗って谷へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてティガとジェシカは、ヴルグの子を囮にしてる飛行ポッドを説得している。

 

ジェシカ「撃たないで!!話を聞いて!!」

 

だが相手は話を聞かずに機関銃を連射するばかり。更に飛行ポッドからミサイルが発射された。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

ウルトラシールドでミサイルを防いだ。

 

ティガ「このままじゃあの子の命が危ない!」

 

ジェシカ「タクト!私が気を引かせる!その間に!」

 

ティガ「何!?お前!」

 

 

 

 

男A「クソッ!鳥みたいな奴等だ!」

 

男B「あの人達は敵じゃないよ。何か叫んでいた。」

 

男A「作戦を邪魔する奴等は皆敵だ!早く囮を谷に放り込まないと俺達が危ないんだ!」

 

コンドルが接近する。

 

男A「来るぞ!よく引き付けてから撃て!」

 

照準をコンドルに合わせたその時。

 

男B「ああ・・・!」

 

コンドルに乗ったジェシカが立ち上がって両手を広げた。

 

男B「あ・・・!」

 

男A「今だ!撃て!」

 

男B「嫌だー!!エリスさん!!」

 

男A「退け!!」

 

コンドルから降りたジェシカが飛行ポッドに向かって落下する。だが男が機関銃を連射し、ジェシカの左肩と右足首に傷を負わせた。ジェシカはそのまま飛行ポッドに落下した。

 

男A「うわああ!!」

 

コンドルはそのまま遥か上空へ飛んで行った。

 

ティガ「ッ!!」

 

ヴルグの子を吊るしてるワイヤーを掴み、酸の湖の中州へ引っ張った。

 

ティガ「ハァッ!!」

 

マルチチョップでワイヤーを切り、飛行ポッドが墜落した。墜落した衝撃で、ジェシカと2人の男が放り出された。

 

ティガ「ジェシカ!」

 

倒れているジェシカにティガが駆け寄る。

 

エク『ミー。』

 

ジェシカ「っ・・・!」

 

ティガ「ジェシカ!大丈夫か?」

 

ジェシカ「大丈夫・・・あの子は・・・?」

 

ヴルグの子は苦しんでる様子だった。

 

ジェシカ「ヴルグ・・・うっ!!」

 

ティガ「大丈夫か!?すぐに傷を・・・」

 

ジェシカ「私に構わないで・・・!あの子を早く・・・!」

 

ティガ「・・・分かった。」

 

彼はすぐにヴルグの子に駆け寄る。ジェシカは右足を引き摺りながらヴルグの子に寄る。

 

ティガ「タァッ!」

 

ゼペリオン光線・セルチェンジビームでヴルグの子を落ち着かせ、更に刺さっているフックを消滅させて傷口を防いで止血する。だがヴルグの子の怒りは収まらない。

 

ティガ「怒りが収まらない・・・!でも・・・!」

 

セルチェンジビームをこのまま流し続ける。

 

ジェシカ「怒らないで・・・怖がらなくていいの・・・私達は敵じゃないわ・・・ごめん・・・ごめんね・・・許してなんて言えないよね・・・酷過ぎるのよね・・・」

 

”ピコン”

 

セルチェンジビームの消耗でエネルギーが減り、カラータイマーが鳴り出した。

 

ティガ「まだだ・・・!!」

 

するとヴルグの子が動き出した。

 

ジェシカ「あっ!動いちゃダメ!!体液が出ちゃう!!」

 

動いた事でヴルグの子から体液が噴出し、ジェシカの服を青く染め上げた。

 

ジェシカ「良い子だから動かないで!」

 

動くヴルグの子を抑える。

 

ジェシカ「・・・あっ!」

 

 

 

 

対岸にヴルグの大群が押し寄せて来てる。

 

 

 

 

男A「大変だ!見付けられた!」

 

男B「ああ!こっちへ来る!」

 

 

 

 

動くヴルグの子をジェシカが頑張って抑えるが、ヴルグの子の力が強く、逆に押されてる。ティガはセルチェンジビームを流し続けている。

 

ジェシカ「ダメよ!そんな怪我で入ったら!この湖の水はダメだったら!!」

 

だが彼女の傷が生じた右足が酸の湖に入ってしまった。

 

ジェシカ「ああああーーーー!!!!!」

 

ティガ「ジェシカ!!!!」

 

するとヴルグの子の怒りが消え、後ろへ下がった。

 

ジェシカ「っ・・・・!!!」

 

倒れて右足を強く抑える。

 

ティガ「・・・」

 

エネルギーを使い続けたティガが光となり、タクトに戻った。ヴルグの子の傷が修復され止血した。

 

タクト「ジェシカ・・・!!」

 

倒れてるジェシカに歩み寄る。ヴルグの子が触手を伸ばし、傷を負ったジェシカの顔に近付けた。

 

ジェシカ「お前・・・」

 

タクト「ヴルグ・・・」

 

別の触手がタクトの頬を触った。

 

タクト「俺達を信じてくれてる・・・」

 

ジェシカ「うん・・・優しい子・・・私は大丈夫・・・今皆が迎えに来るからね。」

 

 

 

 

 

 

だが彼女の願いが届かなかった。ヴルグの大群が横に逸れて進軍して行った。

 

 

 

 

 

 

タクト「逸れた!?こっちへ来ない!?」

 

ジェシカ「ヴルグ!ダメよ!そっちは谷があるのに!!」

 

タクト「怒りで我を失ってる・・・!早く鎮めなきゃ!」

 

ジェシカ「あ!」

 

 

 

 

イベリーゴ軍の戦車の砲撃がヴルグの大群を攻撃している。

 

 

 

 

男A「ハハハハハ!馬鹿め!自分で招き寄せていやがる!」

 

男B「助かった・・・」

 

男A「すぐ脱出だ!エンジンを調べ・・・アッ!よ、止せ!は・・・話せば分かる!」

 

機関銃を持ったタクトが男達に銃口を向けてる。その後ろにジェシカが左肩を抑えて立っている。

 

ジェシカ「私達を運びなさい!あの子を群れに返します!」

 

男A「そ、そんな事をしたってもう無駄だ!群れは止まりはしない!」

 

タクト「黙れ!!」

 

”ズドドドドド!!!”

 

男達「うわあああ!!」

 

機関銃を連射して脅す。

 

タクト「俺達を群れの先に降ろすだけで良い!運べ!!」

 

男B「し、しかし!君達も死ぬぞ!」

 

タクト「谷を救えるなら命を惜しまない!さっさとしろ!」

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

怒りに満ちたヴルグの大群の進軍が止まらない。果たして、タクトとジェシカは谷を救えるのか。

LAST STAGE・愛の奇跡

お楽しみに
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