ウルトラマンティガ THE ULTIMATE MAGICIANS   作:naogran

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狙われた聖女
アメン=フラー、斥候魔人 登場



##狂瀾怒濤の三国会談編##
第16話「狙われた聖女」


スイード王国・王都。

 

 

 

大勢の馬車が到着し、アルティメット・マジシャンズが降りた。

 

「キャアアーーーー!!アウグスト様ーーー!!」

「魔王様ステキーー!!」

「聖女様!!こっち向いてくれーーー!!」

「ようこそ!アルティメット・マジシャンズ!!」

 

周囲から黄色い歓声が響く。

 

マリア「凄い歓迎っぷり・・・」

 

リオ「凄えなぁ・・・」

 

トニー「魔人を撃退したのは、ついこの前の話だもんねえ。」

 

シン「ま・・・魔王の二つ名が既に広まってる・・・」

 

デイジー「残りの2ヶ国代表は来てないの?」

 

アウグスト「夕方頃には到着するはずだ。会談は明日早朝から始まる。」

 

トール「何としても、主導権を握れると良いのですが・・・」

 

ユリウス「そうで御座るな。」

 

シン「オーグもそうだけど・・・やたらアールスハイドが主導権を握る事に拘るな・・・」

 

アウグスト「・・・実際の所、主導権など何処が握っても良いんだ。結果として問題が解決するならな。しかし、こと魔人に関してはそうはいかん。実際に魔人の脅威を身を以て理解している立場でなければ、正しい判断を下す事は出来ん。犠牲が出てからでは遅いんだ。」

 

シン「・・・成る程、たしかにそうだな。」

 

アウグスト「円滑に話が進めば良いが、時折耳にする世間の”魔人軽視”の風潮を考えても・・・簡単にはいかんだろうな。」

 

タクト「エルスとイースの代表さんが良心だったら良いな。」

 

エドガー「ようこそおいで下さいました。スイード王国軍指揮官のエドガー=フランネルです。宿泊施設の迎賓館まで御案内致します。」

 

そして夕方、イースとエルスの代表が到着した。

 

 

 

 

 

 

そして遂に、三国会談当日。

 

シン「頼んだぞオーグ。」

 

タクト「しっかりな。」

 

アウグスト「ああ。」

 

ユーリ「会議は別の場所で行うのよねぇ?私達はこっちで待機?」

 

アリス「あっちにもいっぱい敬語の人達がいるだろうからね。」

 

アウグスト「・・・・・・・」

 

トール「落ち着いてますね、殿下。」

 

アウグスト「そうか?」

 

ユリウス「殿下は昔から緊張しないタチで御座る。」

 

トール「尊敬しますよ、そう言うトコ。」

 

アウグスト「らしくないぞトール。昔のお前だったら『もっと緊張感を持て』とか言ってるトコだろ。」

 

トール「成長しましたから。殿下も、自分も。頼りにしてますよ。」

 

アウグスト「ああ。行って来る。」

 

タクト「頼んだぜ。」

 

彼は会談へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会議室。ここに、3つの国の代表が揃った。

 

エルス自由商業連合国代表・ウサマ=ナバル。

イース神聖国代表・アメン=フラー。

アールスハイド王国代表・アウグスト=フォン=アールスハイド。

 

アウグスト「エルス、イース共に遠方までよく来てくれた。国を代表して礼を言う。」

 

ウサマ「お初にお目に掛かりますアウグスト殿下。エルスで外交を担当させてもろてますウサマ=ナバルと申します。どうぞよろしゅう。」

 

密かに奇妙な笑みを見せた。

 

アウグスト「(イヤな笑みだな・・・)アウグスト=フォン=アールスハイドだ。こちらこそ宜しく頼む。(自分の欲を隠す気がまるでない。そう言うタイプだ。)」

 

フラー「初めまして、私はアメン=フラー。創神教総本山において大司教の地位についております。」

 

アウグスト「・・・・・・(総神教の聖職者は清貧を美徳とし、自らを厳しく律する事で有名だが・・・)」

 

フラー「ん?どうかしたかね?」

 

アウグスト「(大司教の地位を利用し、私腹を肥す生臭坊主・・・と言った所か。)・・・いや、宜しく頼む。(世界の危機に対する会議に・・・どう見ても自らの出世や利益を目的とする者達を送り込んで来るとは・・・魔人の脅威を知らぬ2ヶ国の危機感のなさが見て取れるな。)」

 

彼はこの2人の心を完全に読み取った。

 

アウグスト「・・・魔人が出現してから各街道にも魔物が増えた。エルスは流通にも影響しているのではないか?」

 

ウサマ「そうですなあ、どうないしても護衛の数を増やさなあきませんよって、コストが増えたのが痛いですなあ。」

 

アウグスト「イースではどうだ?何か影響は?」

 

フラー「・・・フム、不安がって教会に救いを求めて来る信者は増えておりますな・・・」

 

密かに不気味な笑みを浮かべた。

 

アウグスト「・・・?・・・さて、我が国が貴国らに声を掛けた件だが、担当直入に言おう。旧帝国領を支配し、遂には周辺国にまで進出して来た魔人タチからの各国の防衛・・・そしてこれから旧帝国領へと侵攻する為に同盟を結びたい。」

 

2人はこの言葉を聞いて黙り込んでる。

 

ウサマ「タダで・・・と言う訳にはいきまへんなあ。」

 

アウグスト「何?」

 

ウサマ「エルスは商業国家でっせ?そんな損しか産まん利がない事に参加する理由がおまへんなあ。」

 

アウグスト「利がない・・・か。」

 

ウサマ「そうでっしゃろ?よしんば魔人を討伐出来たとして、それに掛かった軍事費用は誰が負担してくれますの?魔人に賠償請求でもせぇと、そう仰るんですか?」

 

アウグスト「・・・・たしかに賠償金を請求する先はないな。」

 

ウサマ「それともアールスハイド王国が負担を?」

 

アウグスト「一国の軍事費用をか?まさかそんな事が出来るはずもない。」

 

ウサマ「そりゃ困りましたな。しかし、そもそもこの話はそちらが持ち掛けて来た話ですやろ?それに・・・聞きましたで?ホンマやったら魔人程度アールスハイドのみで対処出来る問題らしいやないですか?」

 

アウグスト(攻め所は調べ尽くして来たつもりなのだろうが・・・まさかここまで認識が甘いとは・・・)

 

ウサマ「実際アールスハイドだけで事に当たるには、負担が大きいからウチやイースに声を掛けたんですやろ?そしたらウチが損をせんような話を持って来てくれんとねえ・・・話になりませんわ。」

 

アウグスト「・・・・具体的には何が望みだ?」

 

ウサマ「確か・・・アールスハイドとその周辺国の間では、遠距離通信が出来る魔道具があるらしいですね。その無償提供でどないです?・・・ああ勿論、こちらの希望する数を揃えて貰いますよって。」

 

アウグスト「・・・イースは?まさかそちらにもこの世界の危機に何か要求があるのか?」

 

ウサマ「・・・・・」

 

フラー「はっはっはっ!私共は創神教の聖職者ですよ?要求などあるはずもない!エルスのような強欲の要求など全く・・・ね。」

 

ウサマ「何やと!?」

 

フラー「世界の危機に自国の利を優先するとは・・・考えられませんな。」

 

ウサマ「・・・・!!」

 

アウグスト「ではイースは、この同盟に参加してくれると?」

 

フラー「そうですなあ・・・参加するのは吝かではありませんが・・・」

 

この言葉でアウグストが理解した。

 

アウグスト「(やはりか。)望みは?」

 

フラー「いえ、先程も伝えましたでしょう?信者に不安が広がっていると。この状況を何とかしたいのですよ。」

 

アウグスト「・・・・つまり?」

 

フラー「聖女。」

 

アウグスト(っ!?)

 

聖女、つまりシシリーの要求である。

 

アウグスト「聞き間違いか?今・・・何と?」

 

フラー「今アールスハイドには”聖女”と讃えられる少女が居るらしいですな。噂によると治癒魔法に優れ、大変美しいとか・・・その少女をこちらに引き渡して頂きたい。イース神聖国にて、民の不安を取り除く象徴となって貰いたいのですよ。」

 

ウサマ(何が民の象徴や。自分の欲の為ですと、顔に書いてあるわ。この化け狸が・・・)

 

アウグスト(自分でも驚きだ・・・親友の幸福を奪おうとする輩に、ここまで怒りを覚えるとは・・・!)

 

彼の心の中は怒りに満ち溢れてる。

 

フラー「どうしたのかね殿下?お答えを。」

 

アウグスト「エルスとイース、双方の要求なのだが・・・」

 

彼が出した答えは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アウグスト「両方共、呑む事は出来ない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウサマ「・・・・・・と言う事は何ですか?ウチらに無償で戦争に参加しろと、そう仰るんですか?」

 

アウグスト「・・・・・」

 

フラー「やれやれ、何も分かっておらん。世界の民の不安を取り除く為の提案であると言うのに・・・」

 

ウサマ「やはり、お若い殿下ではこう言う高度な交渉は出来ませんか!!ガッカリですわ!!」

 

フラー「全くだ!!まるで話にならん!!」

 

アウグスト「・・・・・・」

 

ウサマ「意地を張ったって交渉は進まんのですよ殿下!!」

 

フラー「今からでも代表者を替わられては如何か!?もう少し融通の利く者にな!!」

 

ウサマ「そや!何なら・・・!?」

 

フラー「っ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アウグスト「何も分かっていないのは、お前らの方だろう!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の異常な威圧感に、ウサマとフラーが恐怖心を覚えた。

 

フラー(ぐぬ・・・何だこの威圧感・・・!!高高16やそこらの若造がここまでの・・・)

 

ウサマ(忘れとったわ・・・王太子であると同時にアルティメット・マジシャンズとか言う魔法師団集のトップに近い実力者やったな・・・!!こりゃアカン・・・ウチの大統領以上の迫力やわ・・・!!)

 

アウグスト「エルスに利がない?その程度の認識で、よくもまあ代表としてこの場に来られたものだな。」

 

ウサマ「な・・・何やて!?」

 

アウグスト「それからフラー大司教。何故聖女を引き渡さねばならない?」

 

フラー「だ・・・だから民の不安を取り除く為と・・・」

 

アウグスト「聖女と呼ばれているとは言え、聖職者になる為の修行を行っていない者をか?」

 

フラー「っ!?」

 

アウグスト「それにアルティメット・マジシャンズの聖女と言えば、戦場では魔人を倒す力を持ちながらも、傷付いた者を無償で治すと言う評判だったはずだ。それ故に民衆の人気は高く、その存在自体が皆の希望になっている。わざわざイースに引き渡さなければならない理由など何もあるまい。」

 

フラー「・・・・!!」

 

アウグスト「聖女を戦場から離脱させる事は、逆に民衆の不安を煽る事になると思うがな。違うか?」

 

フラー(・・・魔人を・・・倒す程の実力者・・・だと・・・!?まさかそれ程の・・・)

 

アウグスト「それとも・・・何か他の目的が?」

 

フラー「そ・・・そんな事は!」

 

ウサマ「おやぁ?大司教ともあろう御方が、まさか御自身の為の邪な欲求だったんですかいな?」

 

フラー「黙れ!!この守銭奴が!!」

 

ウサマ「何やと!?この生臭坊主!!」

 

フラー「何だと!?」

 

ウサマ「何や!?」

 

言い争う2人に対し、アウグストの怒りが爆発した。

 

アウグスト「いい加減にしろ!!!!!」

 

机を強く叩いて言い争いを制止させた。

 

アウグスト「エルスもイースも一体何を考えている?今我々が行っているのは、世界の危機を共に協力して乗り越える為の会議だと理解しているのか?」

 

ウサマ「そうは仰いますけどね殿下。先程も言ったように、ホンマやったらアールスハイドだけで対処出来る問題を何故ウチらまで・・・」

 

アウグスト「はあ・・・それすら分からんのか・・・」

 

ウサマ「な・・・何ですのん?」

 

アウグスト「まず訊くが、一体何の根拠があって魔人の対処が我が国だけで出来ると考えている?」

 

ウサマ「・・・そ、そりゃ・・・他国からの情報で・・・」

 

アウグスト「市井に流れる噂を何の根拠もなく信じ込んでいるのか?一度スイードに掛け合って被害の規模を確認してみるといい。犠牲者の数もな。それにもう一つ・・・これは混乱を避ける為、他には出ていない情報だが、クルトの防衛戦において、我々は自分達の実力を上回る魔人達と遭遇している。それも複数のな。」

 

フラー「・・・!?」

 

ウサマ「ホ・・・ホンマかいな・・・!?」

 

アウグスト「状況は既に変わってきているのだ。貴国らの協力なしに魔人を包囲する事は、既に叶わんと言っても過言ではない。」

 

ウサマ「だ・・・だったら、さっさと精鋭部隊組んで攻め込んだったら・・・」

 

アウグスト「仮にそうしたとして、我々が帝国領に攻め込んでいる間に、奴らが対応する事なく他国へ散開したら?個人で国を滅せるような者達が世界へ散ったら一体どうなる?情けない話だが、今現在、奴らが帝国内に身を潜めていてくれる事は、我々にとって救いである事に他ならないのだ。・・・話を戻すが、それでも何とか貴殿らの言うように、我々アールスハイドのみで魔人を滅ぼしたとしよう。周辺国は我が国に多大な感謝をしてくれるだろうな。・・・しかしその時に、この人類の危機に何もしようとしなかった2つの大国にはどんな評価が下ると思う?」

 

ウサマ「はっ!(そう言う事か・・・!!宗教国家であるイースも同様やが・・・商業を主流とするエルスは民衆の評判に大きく左右される・・・アールスハイドがそれだけ巨大な功績を立てれば・・・何もしなかった2つの大国が失う信用はあまりにもデカい・・・!!)」

 

アウグスト「今回のこの会議は、エルスとイースに『お願い』している訳ではない。世界のパワーバランスを保つ為、終戦後の功績を二国にも分けましょうと言う『利益共有の提案』だ。それを、こうまで欲に濁った思考で応対されるとは・・・正直失望した。勿論貴殿らにではない。そんな人間を代表として送り込んだ、エルスとイースと言う2つの国に・・・だ。」

 

2人は黙り込んだ。

 

アウグスト「そもそもナバル外交官。貴殿の言う通信機は個人が発明したもので、国に所有権はない。各国がきちんとその個人から購入し、通信料を払っているのだ。それをエルスにだけ無料で提供してみろ。他国の反感を買うのは目に見えるだろう。」

 

ウサマ(その通り・・・や。信用第一のウチが・・・信用失う訳には・・・)

 

アウグスト「それからフラー大司教。聖女には現在婚約者が居る事は御存知か?」

 

フラー「それは・・・勿論、知ってはいる・・・が。」

 

ウサマ「魔王シン=ウォルフォード・・・でっしゃろ?仲睦まじい事でも有名やがな。」

 

アウグスト「魔人を苦もなく討伐し”魔法使いの王”とまで呼ばれる男の婚約者相手によくもそんな要求を・・・全くもって貴殿の勇気には感服する。」

 

ウサマ「そんな仲を引き裂くようなマネ、ウチにはよう出来ませんわ。恨まれて何かされても良いって言う愚かモンなら別やけどな・・・」

 

アウグスト「脅しにしか聞こえんかも知れんが、貴国の為の思って忠告する。彼奴の怒りを買って地図上から『イース神聖国』を消したくなければ・・・聖女には手を出すな。」

 

この言葉でフラーが密かに怒りを覚える。

 

アウグスト「・・・何せよ、こんな状態ではこれ以上の会談は無理だな。明日また改めよう。ナバル外交官、フラー大司教、私は何も無償で協力しろとは言っていない。この騒動が収まった後、どんな利があるのか考えてみるんだな。」

 

席から立ち上がって退室する。

 

ウサマ「・・・ホナ、私も失礼しまっさ。」

 

彼女も退室した。

 

 

 

 

しかしフラーは。

 

フラー「生意気な小童に・・・強欲な商人風情が・・・この大司教に何と言う口を・・・!!」

 

アウグスト『聖女には婚約者が・・・』

 

フラー「一魔法使い如きが、私に栄えるなどと本気で思っているのか・・・!?くっふっふっ・・・見ているがいい・・・私は・・・欲したモノは必ず手に入れてみせるからな・・・!!」

 

とてつもない黒いオーラが溢れ出た。

 

 

 

 

 

 

その後アウグストはシン達の元へ戻った。

 

シン「お?もう帰って来たぞ。オーグの奴。」

 

タクト「結果はどうだ?」

 

アウグスト「ああ、残念ながらエルスもイースも自分達の要求を呑ませようとして来たからな。」

 

タクト「やはりな・・・もしや会談は中止か?」

 

アウグスト「いや、一旦落ち着いて明日また改める事になった。」

 

シン「オーグ、要求って?」

 

アウグスト「その事で話がある。シン、クロード、それとタクトにリオも少し良いか?」

 

タクト・シン・シシリー・リオ「?」

 

 

 

 

 

 

離れた場所で、アウグストが会談での事を話した。

 

シン「聖女を・・・差し出せ・・・!?」

 

タクト「それってまさか・・・シシリーをか!?」

 

アウグスト「ああ。」

 

リオ「それって、冗談か何かでしょ?」

 

アウグスト「冗談ではない。事実だ。」

 

リオ「シシリーを欲する大司教・・・」

 

タクト「見過ごせない事案だな・・・」

 

聖女、つまりシシリーを差し出せと言う言葉を聞いて、シンが怒りを覚える。

 

アウグスト「落ち着け。心配しなくても、その要求は突っぱねた。」

 

シン「当たり前だろ!!何考えてんだそいつは!?創神教ってのはそんな事する奴らなのか!?」

 

アウグスト「誤解するな。そんな要求は勿論、そいつの個人の欲の為だけだ。大方、世渡りが上手いだけでのし上がった人間なんだろう。」

 

タクト「自分の欲の為にシシリーを要求・・・フラー大司教め、クズな野郎だ。」

 

アウグスト「エルスの代表は、私の話にある程度納得していたようだが、イースの代表は相当頭にきていた様子だった・・・自分の思い通りにいかない事が許せないのだろう。」

 

シン「・・・何が言いたいんだ?」

 

アウグスト「クロードがここに居る事は当然承知しているはず。聖女を手にいれる為に強硬手段に出る可能性があると言う事だ。」

 

タクト「つまり、奴は何処からどんな手段でシシリーを奪いに来るか分からんと言う事か。」

 

アウグスト「そうだ。」

 

シン「・・・・・・・!!」

 

タクト「シシリーを奪う為ならば手段を選ばないってか・・・」

 

アウグスト「クロードから目を離すな。言いたい事はそれだけだ。タクト、リオ、もしクロードがシンと離れたらお前がクロードに付いて行ってやれ。」

 

タクト「当たり前だ。」

 

リオ「勿論だよ!」

 

その場から離れるアウグスト。シンがシシリーを抱き寄せた。

 

シシリー「っ!シ・・・シン君・・・!?」

 

シン「絶対離さないからな、シシリー!俺が必ず守ってやる、何があっても!」

 

シシリー「はい・・・!」

 

シン「タクト、リオ、お前達もシシリーを守ってくれるか?」

 

タクト「あぁ、そのつもりだ。」

 

リオ「僕もそんな奴等を許さないしね。」

 

シン「ありがとう。皆。」

 

シシリー「タクト君、リオさん。ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

 

そしてフラーは。

 

聖徒「お呼びですか?フラー大司教様。」

 

フラー「・・・よく来てくれた。お前達を有能な創神教信者と見込んで頼みがある。”聖女”を”魔王”の手から救い出して貰いたいのだ。」

 

彼は、シシリーを奪おうと企み始めた。

 

フラー「聖女を魔王の手から、救い出して貰いたいのだ。」

 

「救い出す・・・?聖女とは、アールスハイドの聖女様の事ですか?」

 

フラー「信頼に於けるお前達にだから話すが、先程の会談でアウグスト殿下に相談された事があってな。魔王の事は知っているか?」

 

「は、はい。噂位は・・・」

 

フラー「その魔王だが実は、強力な力と権力を使って、アールスハイドの王宮を乗っ取ってしまったらしいのだ。」

 

「ま、魔王が・・・王宮を・・・!?」

「まさか・・・」

「ほ・・・本当なのですか・・・!?」

 

勿論これは嘘話。しかしフラーは信者達に信じ込ませる為嘘を言った。

 

フラー「ああ、その上聖女も無理矢理婚約者にさせられてしまったと言われていた。嫌がる聖女は、毎晩辱めを受けているのだとか・・・」

 

「っ!?」

「お・・・おのれ鬼畜め・・・!!」

 

 

 

この信者達の中に、ダンテとアベルが居た。

 

ダンテ「笑う所か?」

 

アベル「ローレンスが居たら、多分吹いてる。」

 

ダンテ「自分に都合の良い嘘が、よくもまあつらつら出るものだ。」

 

アベル「それだけゼスト様の魔力操作が効いていると言う事だ。」

 

 

 

フラー「魔王から王国を奪取する為の協力も要請されたら・・・それより何より、まずは救国の象徴たる”聖女”様を救って欲しいとアウグスト殿下は言われた。力を貸してくれるか?」

 

「も・・・勿論です!」

 

フラー「都合の良い事に、聖女も今回の使節団に参加されておる。勿論魔王も帯同はしているが、危険を伴うが、早急に対処したい。」

 

「我々にお任せを!!必ずや聖女様を救い出してみせます!!」

 

フラー「頼んだぞ、勇敢なる神徒達よ。」

 

「はっ!ではすぐに、作戦会議に取り掛かります!!」

 

神徒達が出て行くタイミングを見て、アベルとダンテも出て行く。

 

フラー「グフッ、グフフフ・・・これで・・・聖女が・・・我が手に・・・ふひっ、ふひひひ・・・何が魔王だ・・・魔王は正義の名を騙る悪党・・・そうに違いない・・・(多少の強硬手段に出ようが・・・悪党の手から聖女を救い出したとなれば、誰も咎めはしない。聖女も喜んでその身を差し出すだろう。)ひひひひひひ・・・」

 

その後ろに。

 

ゼスト「上々な出来じゃないか。己の欲望に忠実な者は実に操りやすい。」

 

ローレンス「我々じゃ、まだここまでは出来ませんよ。ゼスト様の洗脳が優秀なんでしょう。」

 

そう、フラーはゼストの魔力操作で洗脳されているのだった。

 

リオネル「洗脳か、俺はまた此奴を魔人化させて、ウォルフォードに嗾けるモンかと思ってたぜ。」

 

ローレンス「それじゃ結局、『魔人化した大司教を、ウォルフォードが討伐しました』で済まされちまう。今回のキモは、いかに俺らの存在を表に出さないかだ。」

 

ゼスト「第一の目的は、ウォルフォードの評判を地に落とす事。その為には此奴は自らの意思で動いている事にしておかねばならん。『フラー大司教は哀れな犠牲者』。『イースに非はなく、ウォルフォードのみが批判を受ける状況』・・・それが目指す所だ。(まあ、飽く迄理想は・・・だがな。)」

 

ローレンス「さっきの連中は洗脳しとかなくて良いんですか?」

 

ゼスト「あまり不自然な状況になるのは避けたいからな。それに元より、あの連中の働きになど期待はしていない。」

 

彼らが部屋から出た。

 

 

 

フラー「・・・・・・・」

 

彼から、異様なオーラが溢れ出た。

 

 

 

 

 

 

迎賓館の作戦会議室、シンはシシリーを離さないようにしてる。

 

マリア「・・・ゴメン、えーと・・・あれは放置・・・?で良いのかしら・・・?」

 

アリス「し・・・正直こっちが恥ずかしいんだけど・・・」

 

タクト「まあ彼奴の事だからそのままにしてやれ。オーグ、話を。」

 

アウグスト「ああ。今から今後の対策を練ろう。幾ら何でもこの迎賓館を襲撃するなどと言うバカな事はしないと思うが・・・様子からしても絶対ないと言えん。」

 

マリア「この大事な会談の交換条件に、個人的な欲望を押し出して来るような奴ですからね。」

 

アリス「よっぽどシシリー・・・”聖女”に固執してる証拠だよね。」

 

アウグスト「・・・・敢えて警備の手を緩める・・・か。」

 

オリビア「?」

 

リオ「どう言う意味?」

 

アウグスト「警備を強化して、襲撃を起こさない事は可能だが・・・そうなると今後も何かに付けて”聖女”を付け狙って来るかも知れん。危険の芽は早めに摘んでしまった方が良い。そんな人間には、表舞台から早々に退場して頂こう。」

 

トール「い・・・何時になく過激ですね殿下・・・」

 

アウグスト「あくまでそんな人間ならだ。何もないならそれが一番良い。」

 

ユーリ「ただそれだとぉ・・・」

 

トニー「うん。」

 

ユーリ「シシリーが囮になるって事よねぇ。」

 

シシリー「私なら全然平気ですよ。シン君や皆さんを信じてますから、例え何が起きたとしても、私が不安になる要素は何もないです。それに・・・この御守りがあれば、どんな事が起きても大丈夫だって思えるんです。」

 

シン「シシリー・・・」

 

マリア「何よぉ、シシリーのペンダントにだけ特別な付与でもしてある訳?」

 

シン「そうだな、シシリーのだけには皆のには無い付与がしてあるよ。」

 

マリア「え!?何それズル〜〜い!!」

 

アリス「私にも同じ付与してよシン君!!」

 

ケイティ「シシリーだけズルイ!」

 

リオ「僕も欲しいよぉ!」

 

アウグスト「で?何を付与したんだ?」

 

 

 

 

 

 

シン「愛情・・・かな?」

 

 

 

 

 

 

全員がしーんとし、理解したシンが我に返った。

 

シン「い・・・今のはなかった事に・・・言うんじゃなかった・・・」

 

マリア「訊くんじゃなかった・・・」

 

アリス「やらかしたねシン君。」

 

リン「今までで一番盛大にやらかした。」

 

デイジー「完全な爆弾発言ね・・・」

 

アウグスト「くく・・・よ・・・よし・・・では・・・警備にあたるスイード王国軍には・・・つ・・・通達しておく・・・く・・・くく・・・き・・・基本的に我々に対する護衛は不要・・・と・・・くく・・・くっくっ・・・!」

 

シン「笑うか話すかどっちかにしろ!」

 

タクト「まあまあ。」

 

グレア「シン、落ち着いて。」

 

 

 

 

 

 

夜、各自で警備にあたる。無線通信機で連絡を取り合う。

 

アリス「こちらアリス。A地点に異常なし。」

 

 

 

アウグスト「了解。・・・もう夜も更けてきた。予定通りクロードは自室に戻り、残りのメンバーは持ち場に着け。」

 

 

 

 

シシリーの自室前。

 

シン「じゃあシシリー、俺達索敵魔法で監視を続けるから、無線通信機はオープンチャンネルにして起動しておいてね。」

 

シシリー「シン君・・・あの・・・このペンダント・・・愛情を付与してくれたって・・・本当ですか?」

 

シン「っ!・・・・・本当だよ、勿論。」

 

するとシシリーがシンにキスした。

 

シシリー「ありがとうございます。じゃあ部屋戻りますね。」

 

自室に戻った。

 

シン(は・・・初めてシシリーから・・・キスされちゃった・・・)

 

ドキドキしたが、落ち着きを取り戻して行動を開始する。

 

シン(オーグの話だと、”聖女”を要求する表向きの理由は、『魔人の騒動で不安がる民衆の為、イースにて神輿になって貰いたい』と言う事らしい。絶対に認められないけど、理由としては理解出来ない事もない。いや・・・寧ろそれは国民の為を想っての発言なんだろう。だけどもし、それがただ単に個人の欲望を満たす為だけにシシリーを狙っているのだとしたら・・・俺は絶対に、そいつを許さない!)

 

 

 

 

その頃タクトとリオは。

 

リオ「何処から現れるか分からないね。」

 

タクト「油断は禁物だ。常時気配を感知するよう目を見開けよ?」

 

 

 

 

 

 

真夜中、オリビアが徘徊してる。

 

オリビア「もう真夜中か・・・シシリーさん寝ちゃったかな・・・っ!」

 

索敵魔法で何かを感知した。

 

オリビア「索敵に複数の反応!!方向は・・・裏門から東へ約20メートル地点・・・!!塀を乗り越えて中へ・・・!!」

 

無線通信機で全員に連絡する。

 

オリビア「侵入者です!!」

 

シン「マジで来やがった・・・!!待ち構えておいて何だが・・・何考えてやがんだ・・・!!」

 

 

 

 

アウグスト「こちらアウグスト!無線機のチャンネルをクロードに合わせろ!我々の警戒に気付かれないように現場に近付き過ぎるなよ!」

 

マリア(今捕らえても罪状は不法侵入程度・・・)

 

アリス(目的と黒幕をはっきりさせなきゃ意味がない・・・!!)

 

シン(索敵魔法と部屋に置いた無線機が拾う物音で・・・大凡その動きの予想は付く!!)

 

 

 

 

 

 

裏では、イース聖徒達が侵入していた。

 

聖徒A「この先の部屋だ。」

 

聖徒B「時間が時間だ。流石にお休みになられているはず。」

 

聖徒C「いやに警備が薄くないか?王族が宿泊しているのに・・・」

 

聖徒A「薄くもなるだろ。中に居るのは魔人にも勝る鬼のアルティメット・マジシャンズとその筆頭、シン=ウォルフォードだぞ。こんな事情じゃなきゃ、誰が侵入なんて目論むかよ。」

 

聖徒B「お咎めの覚悟とは言え、下手すりゃ死罪だよな。」

 

聖徒A「それでも大司教の言葉が事実であれば、見過ごす訳にはいかん。神聖なるイースの聖徒としてな!」

 

しばらく進み。

 

聖徒A「待て、ここだ。」

 

部屋を覗くと、ぐっすり眠ってるシシリーを発見した。

 

聖徒達(う・・・美しい・・・!!)

 

シシリーの寝顔を見て見惚れ中。

 

聖徒A「おっと、見惚れてる場合か。睡眠香を使うぞ。」

 

聖徒B「手荒な真似は避けたい。」

 

聖徒A「聖女様には悪いが、より深い眠りに落ちて貰おう。」

 

窓を少し開けて睡眠香を投げると、シシリーの部屋に睡眠香の煙が蔓延した。

 

聖徒A「・・・よし、もう充分だろう。行け!!」

 

部屋に入ると、驚きの光景が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シン「こんな夜更けに窓から侵入か?何処の不埒者だ?」

 

タクト「悪いが、お楽しみタイムは終わりだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲートからタクトとシンが現れた。

 

聖徒A「なっ!!何だ此奴らは・・・!?」

 

聖徒B「バカな!!何時の間に現れた!?」

 

聖徒C「周囲には全く気配は・・・!!」

 

タクト「おバカさんだな。」

 

聖徒A「くっ!お前らは此奴らを押さえろ!!俺は眠っている聖女様を!!」

 

シン「シシリー、もういいよ。」

 

 

 

 

するとシシリーがひょこっと起きた。

 

 

 

 

聖徒達「!!!???」

 

全員ビックリ。

 

聖徒A「バ・・・バカな!睡眠香が効いて・・・いない・・・!?」

 

シシリー「すみませんけど、私先日から、毒・・・効かないんです!」

 

ペンダントに付与してある解毒の効果のお陰である。

 

タクト「グレア。出て来い。」

 

グレア「はいはーい!」

 

シシリーの横にグレアが姿を現した。

 

聖徒A「ゆ、幽霊だと!?」

 

グレア「幽霊じゃなくて精霊でーす!私には吸引魔法も備わってありまーす!残念だったねぇ〜。」

 

聖徒B「・・・・!?どうするんだよ!?と言うかひょっとして此奴・・・魔王なんじゃ!?」

 

聖徒A「無理だ!退避するぞ!!」

 

タクト「逃げられると思うなよ!」

 

 

 

 

 

 

無数のゲートから、アルティメット・マジシャンズが現れた。

 

 

 

 

 

 

アウグスト「さあ、尋問を始めようか。」

 

聖徒達(お・・・終わった・・・!!)

 

尋問開始。

 

アウグスト「お前達は何処の者だ?何故クロードを狙った?」

 

聖徒A「(身分は明かせん・・・理由はどうであれ、こんな事を画策したのがイースの者だと知れれば・・・我々の立場は・・・だが・・・もし大司教様の言葉通りなら・・・)ア・・・ア・・・アウグスト殿下・・・わ・・・私・・・我々は・・・」

 

 

 

 

 

 

「あなたと・・・アールスハイドの為にここに来ました・・・我々は味方で御座います・・・」

 

 

 

 

 

 

タクト「はぁ?味方だと?っ!?」

 

ウルトラシールドで何かを防いだ。それは・・・

 

 

 

 

 

 

聖徒に紛れ込んだアベルの剣だった。

 

 

 

 

 

 

聖徒A「ひぃっ!?」

 

タクト「お前、何しようとした!?」

 

アベル「裏切り者は死ぬ。だがお前に邪魔された。」

 

タクト「口封じか・・・!」

 

デイジー「あなた、大丈夫?」

 

聖徒A「あ・・・ありがとうございます・・・」

 

タクト「お前、何者だ!」

 

アベル「我々はイース神聖国の者である!!大人しく”聖女”を渡すつもりがなければ、此方も手段は問わん!!」

 

タクト・シン・アウグスト「!?」

 

するとその聖徒が魔力を集め始めた。

 

シン「全員構えろ!!一帯を吹き飛ばす威力だぞ!!」

 

全員が魔力障壁を張る。

 

聖徒達「ひいっ!!」

 

アウグスト「(証言者を消させる訳にはいかん・・・!!)来い!」

 

聖徒達「わあっ!!」

 

タクト「くっ!!」

 

 

 

 

 

 

”ドゴーーーーン”

 

 

 

 

 

 

爆発が起こったが、全員無事だった。

 

デイジー「危ないわねぇ・・・」

 

アウグスト「警戒しろ!!狙いはクロードだぞ!!」

 

シン「(くっそ・・・!!とっさの事だからガードするのが精一杯で・・・)シシリー!!何処だ!?」

 

シシリー「ここですシン君!!」

 

シン「ほっ・・・良かった、シシリー!手を掴め!!一度ゲートで他の場所に・・・」

 

 

 

 

 

 

だがシシリーの後ろにダンテが現れ、シシリーを連れ攫って屋根の上へ。

 

 

 

 

 

 

シン「!!!!」

 

タクト「何!?」

 

アベル「今日から此奴はイースの人間だ。”聖女”としてか愛人としてかは知らないがな。」

 

アウグスト「挑発に乗るなよシン!!トール!スイード王国軍に要警戒を伝えろ!!」

 

トール「はっ!!」

 

アウグスト「ただし不用意に手を出させるな!!恐らく向こうも精鋭だ!!」

 

アベルとダンテがシシリーと共に姿を消した。するとリオが気配を感じた。

 

リオ「・・・別の魔人!?皆、ここを頼むよ!」

 

タクト「気を付けろよ!」

 

 

 

 

 

 

同じ頃スイード王国軍は。

 

エドガー「アウグスト殿下より伝令!!イースの手の者と思われる数名が迎賓館を襲撃!!聖女殿を攫って逃走中の事だ!!」

 

騎士A「聖女・・・シシリー様を!?」

 

騎士B「何のつもりだイースは!?」

 

騎士C「シシリー様にはこの国を救っていただいた御恩がある!!」

 

騎士D「必ず我々の手で賊を捕まえて・・・!!っ!?」

 

目の前に2人の聖徒が現れ、騎士達を斬ろうとしたが。

 

 

 

 

 

 

リオ「ダアアアァァァァァ!!!!」

 

 

 

 

 

 

真上からリオが現れ、カインの剣を白刃取りした。

 

リオ「随分楽しそうだね!」

 

カイン「お前、邪魔するなよ。チビ。」

 

リオ「アァ!?誰がチビじゃゴルァ!!」

 

チビと言われたリオがブチギレた。

 

騎士「うおおおおお!!」

 

リオ「行くな!!」

 

そこにサイクスが現れ、騎士達を斬り裂いた。

 

サイクス「・・・つー事で、プランは『B』に変更。イースに罪を着せた上でウォルフォードの暴走を狙う。」

 

エドガー「な・・・何者だお前ら・・・!?」

 

カイン「神聖なるフラー大司教の遣い・・・イースの聖徒!」

 

サイクス「よく口に出来るなそんな台詞。」

 

カイン「言っててヘドが出そうだ。」

 

リオ「お前等の相手は俺だ!掛かって来い!!」

 

カイン「良いだろう、来い!!」

 

両者がぶつかり合う。

 

 

 

 

 

 

そしてシン達は、シシリーを連れ戻しに走る。

 

 

 

 

無線通信機で連絡を取り合う。

 

マリア「こちらマリア!現在、王都北東方面探索中、索敵に反応なし!!」

 

リン「同じく反応なし!」

 

マーク「反応ないッス!」

 

タクト「完全に見失った!」

 

シン「こっちも反応なしだ・・・くそっ!!」

 

 

 

 

一方アウグストは、イース使節団の宿泊施設に居た。

 

司教「フラー様?・・・そう言えば、夕方頃からお姿を見ておりませんね。」

 

アウグスト「(やはり場所を変えた後か・・・まあ当然だろうな。襲撃者が『自分はイースの人間だ』と名乗っておいて、本拠地に戻っていたんじゃマヌケ過ぎる。何にせよ、この時点で国際問題決定だ。)・・・シンか、こちらアウグスト。やはりこっちも蛻の殻だ。スイード側には、街から一切人を出さんよう徹底させている。だが、日が昇れば、それも難しくなるだろう。今晩中に必ずクロードを取り戻さねばならん。」

 

 

 

シン「・・・・・・・今晩中シシリーに何もないと言う保証は・・・!?」

 

 

 

アウグスト「気休めを言っても始まらん。保証はない。やるべきは一刻も早く見付け出す事だけだ。」

 

 

 

シン「シシリー・・・!!」

 

タクト「まだ近くに居るかも知れない。隈なく探すぞ!」

 

シン「あぁ!」

 

シシリーの居場所を探す。

 

 

 

 

 

 

古い教会。

 

ダンテ「入れ。」

 

攫われたシシリーが2人の聖徒と入る。

 

シシリー(教会・・・随分古い・・・後ろ手に縛られているせいで・・・隙を見てゲートを発動するのも恐らく難しい・・・)

 

 

 

 

2階のある部屋。

 

アベル「ここだ。」

 

扉を開けると、そこに誰か居た。

 

 

 

 

 

 

フラー「ようこそ聖女殿。おおこれは、噂に違わず美しい。」

 

 

 

 

 

 

シシリー「っ!!」

 

大司教のフラーだった。

 

フラー「聞くがいい聖女殿。其方を助けてに来てやったぞ。さあ、私と共に・・・イースへ行こうではないか。」

 

シシリー「お断りします!あなたが今している事は・・・国家間の関係を・・・最悪なものにする行為ですよ・・・!」

 

フラー「・・・・ふぅ、余程”魔王”に強く躾けられているのだな・・・なぁに・・・魔王の事なら心配いらん。私は大司教だ。魔法使いの1匹や2匹何も口は出させんよ。」

 

シシリー(この人・・・さっきから一体何の話を・・・)

 

密かに異空間収納から無線通信機を出して起動する。

 

フラー「っ!何をしている!?」

 

肩を掴まれ、無線通信機を落とした。

 

シシリー(いけない・・・!!)

 

フラー「ん?何だ・・・?これは。初めて見るな・・・」

 

シシリー(そうか・・・あれが通信機だと分かるのは私達だけ・・・チャンネルを1つ回して通信するのが精一杯だった・・・最初のチャンネル・・・シン君に繋がっているはず・・・気付いて下さい・・・シン君・・・!!)

 

 

 

 

 

 

その頃タクトとシンは、シシリーの居場所を探している。

 

タクト「くそっ・・・何処に消えた?」

 

するとシンの無線通信機に通信が。

 

シン「・・・!?(通信中・・・!?何時の間に・・・誰が・・・まさか・・・)シシ・・・!」

 

タクト「待て!」

 

シン「え?」

 

タクト(その着信、まさかシシリーか?)

 

シン(あぁ、多分そのはずだ。通信がシシリーからとして・・・敵は誰も通信機の存在を知らないはず・・・もし敵がシシリーの近くに居たとしても、上手く使えば・・・)

 

タクト(なら気付かれないような合図を出せ。そうすれば騙せる。)

 

シン(合図・・・そうか!)

 

指で無線通信機を軽く叩く。

 

 

 

 

 

 

古い教会。

 

”コッコッ”

 

フラー「む・・・?何やら音が・・・」

 

シシリー(!!)

 

フラー「異国のおもちゃか何かか。ふん。」

 

無線通信機を投げた。

 

フラー「聖女と言えど、やはりまだ子供だな。」

 

シシリー(シン君・・・!!)

 

合図がシンのだと理解したシシリーが、フラーに問う。

 

シシリー「フラー・・・大司教、ここは・・・何処なんですか?」

 

フラー「場所など知ってどうするのかね?まあいい・・・ここは・・・古くて既に使われておらん教会だよ。事前に手を回して買い取ってある。ぐふふ、大声で出そうと誰も来んぞ。諦めたまえ。」

 

 

 

 

 

 

タクト(それで充分だ!)

 

シン(ナイスだシシリー!!)

 

チャンネルを切り替えた。

 

シン「オーグ!!」

 

 

 

 

アウグスト「シン!どうした!?」

 

 

 

 

シン「大至急スイードに掛け合って調べて貰ってくれ!!王都の中に最近買い取られた古い教会!!そこにシシリーは居る!!」

 

 

 

 

 

 

古い教会の外では。

 

ダンテ「この後は?大司教任せか?」

 

アベル「あれなら”聖女”に手を出すのも時間の問題だろう・・・だが、ウォルフォードの暴走を狙うならもう少し時間を稼ぎたい。・・・・・・」

 

ダンテ「・・・万が一奴が予想より早く現れたら?」

 

アベル「勿論止める。俺達でな。」

 

ダンテ「魔人の力を使わずにか?自殺行為だな。」

 

アベル「しかし、ここが重要な局面だ。」

 

ダンテ「私達でクロードを始末して、奴に死体を見せ付けられれば話が早いんだがな。」

 

アベル「確かに奴が怒りで暴走する可能性は高いが、怒りの矛先が何処へ向くか分からん。魔人化しようがしまいが・・・奴の怒りはイースへ向く方が我々にとっても都合が良い。」

 

すると茂みからリオネルが出た。

 

リオネル「隊長からのお達しだ。こっちをフォローしてやれってな。」

 

 

 

 

 

 

その頃リオは、カインとサイクスと交戦中。

 

リオ「ダァッ!!」

 

高速で斬撃波を連射する。

 

カイン「フッ!」

 

サイクス「ハッ!」

 

斬撃波で全て破壊した。

 

リオ「ダァッ!!」

 

飛び蹴りをしたが、魔力障壁で防がれた。だがリオの斬撃が魔力障壁に罅を入れられて破壊され、2人にダメージが入った。

 

カイン「くっ!」

 

サイクス「うおっ!」

 

カイン「お前、中々やるじゃないか。」

 

リオ「お前らもな、良い腕してやがるぜ。」

 

サイクス「こんなに強い奴と戦うのは初めてだ。」

 

リオ「俺も同じさ。さぁ、本当の戦いはこれからだぜ!!」

 

 

 

 

 

 

すると真上からマリアが現れた。

 

 

 

 

 

 

リオ「マリア!?」

 

更にユーリがステッキを振ってサイクスに魔法を飛ばす。

 

サイクス「くっ!」

 

魔力障壁で防いだ。

 

マリア「何それ新作?」

 

ユーリ「そうよぉ!振るだけでお手軽魔法ステッキ〜!」

 

リオ「お前達、来たのか?」

 

マリア「ゴメンユーリ、リオ、私既にキレてるから巻き添えに気を付けてね。」

 

ユーリ「大丈夫よぉ。私も結構怒ってるからぁ〜〜〜。」

 

リオ「分かった、行くぞ!」

 

マリア「ボコボコにして、シシリーの居場所を吐かせてやる!」

 

リオ「一気に行くぜ!!」

 

 

 

 

 

 

その頃タクトとシンは。

 

アウグスト『シン!!』

 

シン「どうだ!?」

 

アウグスト『王都南西部の街外れにある教会が最近何者かに買収されている!記録にある限り、該当箇所はそこだけだ!これから私も・・・』

 

”ブツッ”

 

すぐに切った。

 

シン「タクト、聞いたか?」

 

タクト「ああ、バッチリだ!急ぐぞ!」

 

急いで南西部にある古い教会へ向かった。

 

 

 

 

 

 

古い教会では、リオネルが座っている。そこにタクトとシンが歩いて来て、リオネルが立ち塞がる。

 

リオネル「ここは通さん。進むなら殺す。」

 

タクト・シン「退け!!」

 

2人のダブルパンチがリオネルの腹部に命中した。すると上からダンテが現れ、シンを拘束した。

 

タクト「シン!!」

 

助けに行こうとしたが、アベルが剣を握って前に立った。

 

タクト「ッ!」

 

 

 

 

リオネル「フンッ!!」

 

剛力パンチがシンに命中したが、戦闘服の防御付与で防がれた。

 

ダンテ(やはり物理防御が働く内は・・・!)

 

 

 

アベル「フッ!」

 

タクト「デリャ!!」

 

迫る剣をエルボーで折った。

 

アベル(ちぃ・・・っ!?)

 

目の前にタクトのパンチがアベルの顔に接近したが、横に間一髪避け、タクトのパンチが壁に激突した。

 

 

 

 

そしてシンは、ダンテの腹部に肘打ちして怯ませ、振り返ってダンテの顔にキックした。

 

ダンテ「ガハッ!!」

 

 

 

 

タクト「ドルアアアァァァ!!!」

 

アベル「クッ!!」

 

飛び蹴りを魔力障壁で防ぐが。

 

タクト「ハァッ!!」

 

エネルギーを右足に集中して威力を高める。

 

アベル「何!?」

 

エネルギーキックが魔力障壁を破り、アベルの腹部に減り込む。

 

 

 

 

リオネル「ウオオオォォォォ!!!!」

 

後ろからリオネルが襲うが、シンが振り返って右パンチで顔に強く大打撃を与えた。

 

リオネル「ぐっ・・・む・・・」

 

怯んでる隙に、タクトがアッパーカットでリオネルの顔に大打撃を与えて倒した。

 

シン「もう止めとけ。じっとしてりゃ後で治してやる。」

 

タクト「邪魔したら容赦なしだ。」

 

ダンテ(人間相手だからか、致命傷を避けた攻撃ばかり・・・つまりまるで本気を出していないと言う事・・・)

 

アベル「(やはり魔人の力を抑えて戦える相手じゃない・・・流石の実力だ・・・)・・・2階奥の部屋だ・・・行け!」

 

 

 

 

 

 

2階の奥の部屋に入ると、シシリーが性的行為を受ける寸前だった。

 

タクト「シシリー!!」

 

フラー「ちっ、何だ良い所で・・・」

 

シン「・・・お前・・・何を・・・」

 

シシリー「シン君!!タクト君!!」

 

走ってシンに飛び込む。

 

タクト「よっと!」

 

縛ってるロープを引き千切った。

 

フラー「お前が”魔王”か・・・ぐふふ・・・聖女を誑かす悪の王が・・・一体何をしにここへ来た・・・!?知ってるぞぉ・・・ひひ、お前がアールスハイドを乗っ取り・・・剰え・・・聖女を我が物にし、好きにしている事もなぁ・・・!!」

 

 

 

 

教会の1階にアウグストが。

 

アウグスト(シン・・・タクト・・・クロード・・・!!)

 

 

 

 

教会の外では。

 

ゼスト「さて、どう転ぶか・・・」

 

 

 

 

2階の部屋。

 

シン「何を・・・言ってんだ・・・?お前・・・?」

 

タクト「アールスハイドを乗っ取る?何バカ言ってんだ?」

 

フラー「私は大司教だぞ・・・全てお見通しだ・・・皆が見ぬフリをしようとも・・・貴様の犯して来た数々の悪行・・・私が断罪してやる!!!王国を・・・聖女を・・・世界を貴様などに渡してなるものか・・・!!それを守護するのは私の使命なのだ・・・!!貴様では聖女を幸福には出来ぬ!!力に任せて世を脅かす悪魔め!!!貴様の様な存在を!!私は絶対に許さんぞ!!!!!」

 

怒りが頂点に達したシンが魔力を解放した。アウグストが駆け付け、タクトが止めに行ったその時・・・

 

 

 

 

 

 

”パアン!!”

 

 

 

 

 

 

何とシシリーがフラーの頬を平手打ちした。

 

シン「っ!?」

 

タクト「シシリー・・・!?」

 

彼女に涙が溢れ、怒りをフラーにぶつける。

 

シシリー「いい加減にして下さい・・・何を勝手な事を!!シン君が悪魔!?巫山戯ないで!!シン君程の周りの皆の安全を!!幸せを!!この世界の平穏を願っている人は居ないのに!!私の大切な人を!!愛する人を!!それ以上悪く言わないで!!!」

 

彼女の強い言葉で、シンの目に涙が出た。

 

シン「・・・・・!!!」

 

タクト「シシリー・・・・」

 

アウグスト「フラー大司教、貴殿がどの様な経緯を持ってこんな行動に及んだ事は存じ上げないが、今のこの2人を見てまだなお・・・その仲を引き裂く勇気がおありか?」

 

2人が抱き合ってる光景を見て、フラーが戸惑う。

 

 

 

 

 

 

しかし物陰に潜んでいた謎の光が、彼の心に眠ってる怒りを爆破させた。

 

 

 

 

 

 

フラー「そんな事・・・絶対に認めんぞおおおおおお!!!!!!」

 

シン「っ!?」

 

シシリー「っ!?」

 

アウグスト「何だ!?」

 

タクト「これは・・・!!」

 

フラー「うおおおおおおおおお!!!!!」

 

彼から黒いオーラが溢れ出て、両目が赤くなった。

 

シン「魔人!?」

 

フラー「キサマラ・・・!!!」

 

 

 

 

外に居たゼストとローレンスは。

 

ローレンス「魔人化したか。」

 

ゼスト(フフッ・・・)

 

 

 

 

フラー「マオウメ・・・ワタシカラセイジョヲウバウナド・・・ユルサンゾオオオオオ!!!!!!」

 

タクト「逃げろ!!」

 

全員「っ!!」

 

魔力を暴走させたフラーが教会を崩壊した。

 

 

 

 

 

 

同じ頃。

 

カイン「これは?」

 

ダンテ「この気配は・・・あの時と同じか。」

 

カイン「時間切れの様だな。じゃあな。」

 

2人が撤退した。

 

マリア「待ちなさい!!」

 

リオ「っ!誰か来る。」

 

タクト達がゲートを通って来た。

 

マリア「シシリー!」

 

シシリー「マリア!」

 

マリア「無事だったんだね!」

 

ユーリ「何かあったの?」

 

タクト「気を付けろ、奴が暴走した・・・」

 

ユーリ「え?」

 

 

 

 

そこに魔人化したフラーが姿を現した。

 

 

 

 

マリア「フラー大司教!?」

 

リオ「魔人化しやがってる!?」

 

ナージャ「皆!」

 

タクト「お前等!!」

 

他の皆も合流した。

 

ケイティ「ねぇ、あれってフラー大司教だよね?」

 

フラー「シン=ウォルフォード・・・キサマヲコロシテセイジョヲイタダク!!!」

 

シン「チッ!」

 

タクト「フラー大司教、これ以上は止めろ。」

 

フラー「ダマレ!!セイジョヲヨコセ!!!」

 

口から魔力弾を吐き、街を破壊した。

 

アリス「ちょっと何あの威力!?」

 

マーク「マズイッス!!」

 

タクト「お前達は下がれ。」

 

 

 

 

フラーの前にタクトが立つ。

 

タクト「これ以上シシリーに近寄るな。」

 

フラー「ジャマダ!!ソコヲドケ!!」

 

タクト「止むを得ない・・・お前を阻止する!」

 

スパークレンスを掲げて光らせ、光の柱に包まれてウルトラマンティガへ変身した。

 

ティガ「タッ!」

 

フラー「スガタガカワッタコトデ、ワタシヲタオスコトハデキナイ!!」

 

突進するフラーをティガが受け止めた。

 

ティガ「タァッ!ハァッ!」

 

そのまま両脇腹に膝蹴りを与える。

 

ティガ「タァッ!」

 

後ろへ投げた。

 

フラー「キサマアアアアア!!!」

 

口から魔力弾を吐いた。

 

ティガ「フッ!!」

 

ウルトラクロスバリヤーで魔力弾を防いだ。

 

フラー「グゥゥゥ・・・・!!!」

 

身の危険を感じたのか、フラーが逃げ出した。

 

 

 

 

アウグスト「逃げたぞ!!」

 

 

 

 

ティガ「タァッ!!」

 

マルチキックでフラーの背中に直撃して、フラーの前に着地した。

 

ティガ「フッ!」

 

フラー「ガ・・・ガァァ・・・!!」

 

怒りが爆発したフラーが口に魔力を最大まで集める。

 

ティガ「フッ!」

 

両腕を前に突き出し交差させ、大きく横に広げてエネルギーを集める。

 

ティガ「タァッ!!」

 

L字に組んでゼペリオン光線。

 

フラー「ガアアァァァァァァ!!!!」

 

ティガ「・・・・・・」

 

ゼペリオン光線がフラーの腹部を貫き、フラーが爆発した。

 

 

 

 

光となってタクトに戻った。

 

タクト「オーグ、フラー大司教はもう・・・」

 

アウグスト「いや、よくやってくれた。これ以上放置し続ければ、スイードを滅ぼすだろう。」

 

タクト「オーグ・・・」

 

アウグスト「腑に落ちない点は幾つかあるが・・・取り敢えず・・・落着だ。」

 

暴走して魔人化してしまったフラー大司教は、ティガに敗れてしまい、この世に存在しなくなった。

 

 

 

 

 

翌朝の迎賓館前。

 

アウグスト「死者12名、負傷者26名。実行犯数名はフラー死亡後に逃走・・・現在も行方は追っているが、以前手掛かりはなし。迎賓館にて捕らえた侵入者数名は、フラーの私設兵だった事は確認済み。”聖女”誘拐に加え、これだけの被害を出した以上、本来ならば連合結成の候補国からの除外は勿論の事。国際問題として取り上げざるを得ない状況だが・・・今回の件は完全にフラー個人の目論みである上、今は世界連合結成の為の会合の最中、各国の情勢の為にもあまり事を荒立てたくはない。よって、スイードとも協議した結果、イースの無条件の協力と、代表の交代で今回の件を収めようと思うが、いかがか?」

 

ハミル「(大司教の立場であの男・・・何と言う事を・・・)恥ずかしながら、まだ状況を飲み込めておりませんが・・・仰られる事に間違いはないのでしょう。そのような取り計らいで収めていただけるのであれば・・・これ以上の感謝は御座いません。代表の件ですが、今後は次席である私、ハミル=マキナが務めさせていただきます。宜しいでしょうか?」

 

アウグスト「ああ。フラーは魔物化されたが・・・タクト=クリスティとの戦いの時に敗れて討伐されてしまった。」

 

ハミル「・・・はっ・・・フラー大司教の私設兵は有能ですが、まだ若い者達ばかり・・・彼らからすれば、大司教は教皇同様、神にも等しい存在です。おそらくは、いいように情報を吹き込まれ利用されたのでしょう。若い信者達を扇動して、犯罪に加担させるなど・・・それだけで重罪です。」

 

アウグスト「・・・侵入者達に少し話を聞きたいのだが。スイード出向の直前、急遽私設兵に加えられた数名の人間がいたらしいが、何か知らないか?」

 

ハミル「・・・推測ですが、”聖女”誘拐の為にフラーが呼び寄せた者達・・・と考えるのが妥当でしょう。真の実行犯は、恐らくその連中でしょう。ひょっとしたら他国の者なのか・・・そこまで過激派の連中が紛れていたとは・・・」

 

アウグスト「何か分かれば報告を頼む。」

 

ハミル「はっ!この度の非礼は必ず改めて謝罪させていただきます。早朝から御足労いただき、ありがとうございました。」

 

 

 

 

 

 

一方、迎賓館のシシリーの部屋では。

 

シシリー「・・・・ん・・・・っ!?!」

 

小鳥の鳴く声を聞いたシシリーが目を開けると、横に何故かシンが添い寝していた。

 

シシリー(え?ええ!?シン君!?え?なな何で!?な・・・な・・・何このシチュエーション・・・え!?まさか・・・私・・・でも全然記憶が・・・えと・・・えと・・・昨日の夜・・・あの後、シン君のゲートで迎賓館に戻って・・・私、泣きじゃくってて・・・確か・・・メイドさんが着替えを手伝ってくれて・・・)

 

 

 

 

昨晩、シシリーが着替えた後、シンが自分の部屋に戻ろうとしたが、シシリーは泣きながらシンの服を掴んでそのまま眠った。シンはそのままシシリーを添い寝するように眠った。

 

 

 

 

シシリー(そっか・・・私多分、シン君の服掴んだまま寝ちゃって・・・シン君仕方無く・・・ずっと・・・一緒に居てくれたんだ・・・初めて見るなぁ・・・シン君の寝顔・・・)

 

布団をシンの方へ寄せた。

 

シシリー「ありがとうございます、シン君・・・」

 

シン「・・・う・・・ん・・・あっ!」

 

眠りからシンが目覚めた。

 

シシリー「お・・・おはようございます・・・」

 

シン「お・・・おはよう・・・ゴ、ゴメンねシシリー。そ、添い寝しちゃって・・・な・・・何か昨日1人にしておけなかったっって言うか・・・あっ!ち、誓って何もしてないから!!」

 

シシリー「ちょっとビックリしたけど・・・シン君が居てくれて・・・凄く嬉しかったです。それに・・・シン君だったら、何されたってイヤじゃないです。」

 

そう言われたシンが真っ赤になった。そして2人がキスしようと顔を近付けたその時。

 

 

 

 

 

 

マリア「入るわよシシリー!」

 

 

 

 

 

 

ドアからマリアが入って来た。

 

マリア「もう大丈・・・ぶ・・・?」

 

2人がキスする寸前の光景を見たマリアが。

 

マリア「・・・あ・・・ご・・・ゴメンなさい!!!」

 

すぐにドアを閉めた。

 

シン「うわああああ違う!!マリア!!」

 

シシリー「わ・私達まだ何も・・・」

 

シン「わ・・・悪いシシリー!ちゃんと誤解を解いて・・・」

 

すぐにマリアを追ってドアを開けたが。

 

シシリー「あ!シン君待って!開けちゃ・・・」

 

シン「へ?」

 

 

 

 

廊下に女性陣が立っていた。

 

 

 

 

アリス「あれ?何でシン君、こんな朝からシシリーの部屋に居んの?」

 

シン「(あああああ!!そう言やここは女子部屋の真っ只中・・・!!)いや!!違・・・その・・・!!」

 

ユーリ「あらぁ、昨夜はお楽しみでしたぁ?」

 

シン「違ぁ〜〜〜〜〜〜う!!!」

 

 

 

 

タクト「どうしたお前ら?」

 

 

 

 

そこにタクトが来た。

 

アリス「あ!タクト君!おはよう!」

 

リン「おはよう。」

 

タクト「ん?シン、お前何あたふたしてんだ?」

 

シン「タクト!!助けてくれ!!誤解を解きたいんだよ!!」

 

タクト「誤解?・・・ああ昨晩の事か?」

 

 

 

 

 

 

会議室では、ウサマが2人を待っていた。

 

アウグスト「・・・早いなナバル外交官。」

 

ウサマ「っ!おはようございます殿下。・・・おや?そちらは?」

 

ハミル「フラーに代わって代表を務める事になりました、ハミル・マキナです。」

 

ウサマ「ん?何かあったんですか?」

 

ハミル「・・・ええ・・・まあ・・・少々・・・いや、大きな問題を起こしまして・・・」

 

ウサマ「(何となく察しは付くけどな・・・)・・・まあエエですわ。では会議を始めましょうか?」

 

アウグスト「所でどうした?凄い隈だな。」

 

ウサマ「そらもう、一晩かけて戦後の利益について考えてきましたわ。」

 

ハミル「出会って早々に何ですが、利益の追求ばかりでは多方面に敵を作り、何れ身を滅ぼしますよ。そうなる前に行動を改めた方が宜しいのでは?」

 

ウサマ「ホンマに創神教の神子さんは皆同じ頃言いよんな・・・残念やけど、エルスは資本至上主義の国や。富こそが何よりの正義ですよって。」

 

アウグスト(代表が変わろうが、両国の仲の悪さは変わらず・・・か。まあ、商業国と宗教国と言う性質を考えれば無理もない・・・が。)

 

 

 

 

会談を再開した。

 

アウグスト「・・・・これが、ここまでで確認出来ている旧帝国の現状だ。数十万居た帝国民達はほぼ全滅・・・現在存在するのは、無数の魔物と魔人達のみだ。・・・この際”魔人領”としておくか。」

 

ハミル「魔人領・・・」

 

ウサマ「つまり、それらを駆逐出来たとすれば、残るのは支配者の居ない広大な土地・・・」

 

アウグスト「皮算用になるが・・・土地については周辺国へ均等に分配される事になっている。エルス・イースは飛び地になってしまうから・・・そこは了承してくれ。」

 

ハミル「・・・」

 

ウサマ「・・・しゃあないでんな。」

 

アウグスト「ここからが本題だ。土地が増えれば、当然そこで人間が生産行動を取る事になる。元々あった帝国の街がどうなっているか分からんが・・・施設や設備等、相当な復興が必要となるだろう。まず、資材の調達・建設・・・それから復興に関しての事だが・・・」

 

彼はウサマに目を向けて。

 

アウグスト「その大部分を、エルスに一任する事で各国の了承を得ている。」

 

ウサマ(っ!そらとんでもない大商いやがな・・・!!)

 

アウグスト「どうだ?十分エルスに利のある話だと思うが。」

 

ニヤリと笑う。

 

ウサマ「勿論ですわ!そないな話、不意に出来る訳おまへん・・・!!是非頼みますわ!!」

 

アウグスト「・・・さて、次にイースだが。旧帝国での創神教とはどう言うものだった?」

 

ハミル「・・・はっきり申し上げましょう。私達は彼らを、同じ創神教の教徒とは認めておりません。宗派は多々あれど、創神教の本質は、戒律を守り善行を積む事で、神の御下へ導かれると言うもの。所が彼らの教会は・・・”我らは神の子。故に自信の行動を素直に報告し、教会に空すればその行動は全て赦される”などと・・・とんでもない事を教えておりました。」

 

ウサマ「・・・アホくさ。そんなんどんな悪事働いても、金払えば赦して貰えるって事やがな。まー、ある意味ウチと通じるモンもあるが・・・」

 

アウグスト「多額の寄付が必要だから、貧しい平民達には浸透しなかったらしいな。むしろ『創神教』の名を嫌う者達も多かったようだ。」

 

ハミル「そのせいで貴族達は、まるで自分達が神になったかのように勘違いし、神の子ではない平民には、何をしても良いと考えるようになってしまったのです。本当に・・・愚かな話です。」

 

ウサマ「・・・ま、図らずも、そちらの言う悪しき教会は魔人達が残らず粛清してくれた訳や。」

 

ハミル「・・・言い方をお考えなさい。犠牲になった罪のない人々も数多く居るのですよ。」

 

アウグスト「願わくば新たな土地には、ただ式教義の教会を築いて欲しい。帝国の濁り切った歴史を二度と繰り返さない為にもな。」

 

ハミル「畏まりました。教会が増えるのは我々にとっても喜ばしい事。これ以上の『利』は御座いません。」

 

アウグスト「さて・・・仮定の話ばかりしてきたが、勿論それら全ては魔人領に蔓延る魔人や魔物を討伐した後の話。まずは各国魔人達の脅威に立ち向かう事に目を向けてくれ。」

 

ハミル「目前の困難から目を背ける事は教義にも反します。協力致しましょう。」

 

ウサマ「将来の利益の為や。今は身銭を切らせて貰いましょ。」

 

アウグスト「宜しく頼む。」

 

3人は共に握手を交わした。

 

 

 

 

こうしてこの日、アールスハイドとその周辺国にエルス・イースが加えた、世界連合が発足した。

 

 

 

 

その頃迎賓館では。

 

シン「上手くやってるかな、オーグの奴・・・」

 

デイジー「大丈夫でしょう。」

 

グレア「オーグだもん。きっとね。」

 

マリア「・・・ねえシシリー。」

 

シシリー「ん?なぁにマリア?」

 

マリア「・・・痛かった?」

 

突然シシリーがお茶を吹いた。

 

シシリー「な・・・何の話してるのマリア!?だ・・・だからまだ・・・何もしてないってば!!」

 

マリア「うそ!だってあ・・・朝からベッドでキスしてたじゃん!!」

 

シシリー「そ、そ・・・それは・・・」

 

マリア「ほらぁ!やっぱり!」

 

タクト「マリア、これ以上追求するのは止めろ。さっき俺が誤解を解かせてあげただろ?」

 

マリア「だ、だって!!」

 

ケイティ「まあまあマリア、少し落ち着いて?」

 

リオ「冷静になろうよ。冷静に。」

 

アリス「良いじゃんリオ君、マリア。そんなに誤解を解かせてあげなくても。シシリーは皆より先に大人・・・になれたんだし。」

 

シシリー「も・・・もう!違うってば〜〜〜〜!!」

 

タクト「アリス、お前な・・・」

 

オリビア「マリアさん、アリスさん、シシリーさんは多分まだ経験されてないですよ。」

 

シシリー「オリビアさん・・・!」

 

アリス「え〜?」

 

マリア「何でそんな事分かんのよオリビア。」

 

オリビア「だってシシリーさん、朝から普通に歩いてるじゃないですか。」

 

タクト・リオ・マリア・アリス「・・・・どゆ事?」

 

オリビア「え?だって初めての時ってホラ、真面に歩けないじゃ・・・ない・・・です・・・か?」

 

タクト「おい?オリビア?大丈夫か?」

 

アリス「それ、オリビアってもう経験済みって事!?」

 

マリア「何よぉ!大人しい顔してちゃんと進んでんじゃん!!」

 

オリビア「ええ!?いや!あの!し・・・しまったぁ!」

 

リオ「マリア、アリス、オリビアが混乱してるよ。」

 

シシリー「そ・・・そうなんですか!?オリビアさん!」

 

オリビア「ひええっ!何ですかシシリーさん!?」

 

タクト「何でシシリーまで食い付くんだ?」

 

シシリー「やっぱり初めての時は・・・で・・・手順は・・・から・・・?それから・・・は・・・し・・・下着とかは・・・」

 

オリビア「ちょ・・・ストップ!落ち着いてシシリーさん!ここでそんな事言えないです!」

 

シシリー「あ・・・す、すみません私ったら・・・」

 

オリビア「くすっ。シシリーさん、本当にウォルフォード君の事が好きなんですね。」

 

シシリー「はぅ・・・」

 

ユーリ「照れなくなって良いわよぉ。好きな人とそう言う関係になりたいって思うのは自然な事だよ。」

 

マリア・アリス(この女は間違いないな・・・)

 

リン「・・・・・」

 

この話に興味ないリンはアイマスクで爆睡中。

 

シン「おーい!オーグ達帰って来たぞ!」

 

ケイティ「来た!」

 

 

 

 

会談からアウグスト達が帰って来た。

 

タクト「会談の結果は?」

 

アウグスト「ああ、エルスもイースも加盟を決めてくれたぞ。正式な調印はまた後日になるがな。」

 

シン「おお!マジか!凄え!」

 

リオ「やった!」

 

シシリー「おめでとうございます殿下!!」

 

ナージャ「ん?オーグ、その人は?」

 

アウグスト「イース使節団の次席であるマキナ司教だ。」

 

するとハミルが。

 

ハミル「この度は・・・誠に申し訳御座いませんでした!!」

 

突然土下座して謝罪した。

 

アラタ「ちょ!?」

 

ハミル「我が国の愚か者が・・・魔王様と聖女様に対し、とてつもない非礼を働いてしまいました!!赦される事では御座いませんが、平に・・・平に御容赦を!!」

 

シン・シシリー「・・・・・」

 

 

 

マリア「あのポーズ、前にシンもやってたけど・・・何なの?」

 

ユリウス「土下座を知らんで御座るか?」

 

 

 

アウグスト「その件に関しては、私も2人に謝らねばならん。クロードを囮にする策を提案したの他でもない、私だからな。」

 

シシリー「私なら全然きにしてません。昨日も言ったように・・・皆さんを信じて受け入れたのは私ですし。」

 

シン「・・・・シシリー自身がこう言ってるし・・・実際俺達はそこまでの被害を受けた訳じゃないですから。謝罪であれば、犠牲が出てしまったスイード側にすべきだと思います。」

 

ハミル「はっ・・・!それは承知しております・・・!しかし元はと言えば、あの様な者を放置していた我々の責任・・・!!神子としては最低の男ですが・・・資金運用を得意とし、イースの財務を大部分掌握していたので・・・手も出せず・・・」

 

シン「・・・まあ、俺達からしれも、本当なら創神教の方と揉めたくないですからね。アールスハイド大聖堂での挙式も予定している訳だし・・・」

 

ハミル「・・・では、せめてもの謝罪の証として・・・魔王様と聖女様の御婚礼は、我が国の教皇猊下に執り行って頂けるよう取り計らいましょう。」

 

ケイティ・シシリー・マリア・アリス・ユリウス「き・・・き・・・教皇猊下ぁ〜〜〜〜〜〜!?」

 

シン「え?何?教皇?・・・が執り行うって・・・それ凄い事なの?」

 

マリア・アリス「当たり前だ!!!」

 

タクト「まさかの教皇猊下とは、彼奴幸せもんだな。」

 

グレア「全くだね。」

 

 

 

 

 

 

その後、彼らは迎賓館から出た。

 

マリア「後は、連合締結のお祝いの晩餐会に出席して終わりよね?スイード側の被害を考慮して控えめにはするみたいだけど・・・」

 

トニー「もう明日には帰国かぁ。」

 

ユリウス「早々に済んだのも、全て殿下の手腕のお陰で御座る。」

 

マリア「あれ?殿下とシンは?」

 

アリス「タクト君は?」

 

トニー「先行っててくれってさ。」

 

グレア「遅れて来るって言ってた。」

 

リオ「あ〜、お腹減った〜。」

 

ケイティ「何か美味しい物あったら良いなぁ〜。」

 

 

 

 

その3人は今、遅れて晩餐会へ向かってる。

 

シン「わざわざ遅れて出発して・・・大事な話でもあるのか?」

 

アウグスト「・・・フラーの行動が、あまりに腑に落ちなくてな。”聖女”に近付く機会だったとは言え、国と国との会談の真っ最中にあんな事を仕出かすか?仮に”聖女”を国に連れて帰れたとして、その後の弁解はどうするつもりだったんだ?」

 

シン「確かに・・・俺に対して行ってた言葉も相当意味不明だったな・・・」

 

タクト「彼奴、思い込みの激しいサイコパスじゃねぇのか?あの時シンの事を悪魔だって言ってたしな。」

 

アウグスト「祖国での行動は確かに、目に余るものだったようだが・・・それでも一応は大司教としての振る舞いをしてきた訳だろう。所が今回、奴が目論んだのは完全な犯罪行為だ。表沙汰になれば、奴だって立場所の話ではなくなるはず。」

 

タクト「じゃあ、彼奴の身に何かが起こったって事か?」

 

アウグスト「あぁ。人が唐突に変わる・・・何か思い出さないか?」

 

タクト・シン「っ!カートの時か・・・!!」

 

アウグスト「フラーに関しては魔人化した。確証はないが・・・もし、これが魔人共の仕業だったとしたら・・・」

 

シン「(奴らの魔の手は・・・俺達が思ってる以上に、近くまで伸びて来ている・・・)俺が気になった事と言えば、シシリーを直接攫った連中だな。」

 

アウグスト「やはりか。」

 

シン「一聖職者が呼び集めたにしては、あまりにレベルが高かった。あの身のこなし・・・魔法の精度・・・魔人を相手している様だった。」

 

タクト「・・・」

 

アウグスト「魔人の魔力が感じなかったのか?」

 

シン「完全に頭に血が上ってたし、見た目は普通の人間だったからな。」

 

アウグスト「・・・何にしても油断は出来んな。狙いは恐らくお前だぞ、シン。」

 

シン「ああ・・・」

 

タクト「必ず奴らの目的を阻止してやる。」

 

するとシンが、誰かとぶつかった。

 

 

 

 

ゼスト「おっと、これは失礼・・・」

 

 

 

 

斥候隊を率いるゼストだった。ローレンスが同行してる。

 

シン「・・・!」

 

タクト「・・・」

 

シン「・・・いえ、此方こそ、すみません。」

 

タクトとシンは2人を密かに睨む。

 

 

 

 

ローレンス「暴走は失敗・・・ですね。あの男が魔人に変貌しまいましたね。」

 

ゼスト「いや、構わん。魔人側としても損失は何もないんだ。いや・・・寧ろ得られた要素が大きい。」

 

ローレンス「っ?」

 

ゼスト「まず、魔力操作の実用性が高い事は証明された。これは今後も使える。それにやはりクロードの存在だ。あの女がウォルフォードに及ぼす影響は想定以上に大きい。そしてウォルフォード自身だが、強いとは言え、やはりまだ若造だ。精神的に付け入れる隙は大いにある。何れにせよ、これで連合は結成された。ここから先は、相手を滅ぼすか、滅ぼされるかの全面戦争だ。」

 

 

 

 

 

 

その夜のパーティ会場。

 

アウグスト「この世界の危機を救う為、そしてお互いの国が発展する為、重要な連合が基本合意出来た事を大変喜ばしく思う。それでは、我々の未来に乾杯!」

 

乾杯して、晩餐会が開かれた。

 

ウサマ「これは初めまして魔王さん!私、エルス代表のウサマ=ナバルと申します!噂は予々伺っておりますがな!!」

 

急にウサマがシンにグイグイ寄る。

 

ウサマ「特にアレですねん!国と国との間で使われとるっちゅう・・・例の・・・ね!アレの都合、幾らか付けて貰われへんやろうか!?勿論料金は支払うよって・・・」

 

商人A「ちょおナバルさん!抜け駆けはズルいですわ!!」

 

商人B「ウチら、他の商人も来てるのに忘れんといてや!」

 

ウサマ「喧しいわ!!早いモン勝ちや!!」

 

シン(こ・・・これがエルスの商人か・・・凄え・・・)

 

タクト「面白そうな奴らだな。」

 

シン「まぁ・・・」

 

ウサマ「おぉ!これはこれは戦士タクト=クリスティさん!」

 

シシリー「大人気ですねシン君・・・」

 

ウサマ「お!こりゃ聖女さん!流石にお美しい!!」

 

商人B「魔王さんが羨ましいわぁ・・・ウチのも昔は可愛かってんけどなぁ・・・」

 

ウサマ「あのトドが?」

 

商人B「トドちゃうわ!どっから見てもキュートなゾウアザラシちゃんやろが!」

 

ウサマ「何が違うねん!!」

 

2人のやり取りに周囲が爆笑。

 

シン(えええ・・・何このちょっと親しみのある空気・・・)

 

タクト(中学生みたいなノリのやり取りだな・・・)

 

商人B「ホラ見てみ?若い子達に大ウケ。ホンマの事言うた甲斐がありましたわ。」

 

ウサマ「ネタやないんかい!」

 

商人B「聖女様に笑って貰えるとは光栄ですわ。普段は酒場のネーチャンしか笑わせれんよって。」

 

ウサマ「お前は一度『愛想笑い』って辞書引け!それ酒場のネーチャンの得意技やから!」

 

シシリー「ふふっ・・・」

 

周囲「あははは!」

 

タクト(くそ・・・叫びてえ・・・!)

 

シン(ダメだ・・・もう我慢出来ん・・・!)

 

痺れを切らせた2人が叫んだ。

 

 

 

 

 

 

タクト・シン「漫才師か!!!!」

 

 

 

 

 

 

2人のデカイツッコミが炸裂した。

 

ウサマ「おお!何ちゅう鋭いツッコミ・・・!!流石は魔王に戦士!尊敬しますわ!!」

 

シン「ツッコミに魔王カンゲーあるかぁ!!」

 

タクト「ボケしか居ない空間を作んなボケェ!!」

 

全員「おお〜〜〜!!」

 

リオ「流石だよタクト、シン!君達のデカイツッコミが炸裂した!」

 

グレア「将来良い漫才師になれそうだよ!」

 

タクト・シン「嬉しくねえ!!」

 

 

 

 

ハミル「・・・・」

 

アウグスト「どうしたマキナ司教。」

 

ハミル「殿下・・・いえ・・・魔王シン=ウォルフォード殿を始めとするアルティメット・マジシャンズの面々・・・こうして見ると普通の青年達にしか見えないのに・・・連合を組んだにも関わらず、戦争の重大な局面は彼らに任せるしかないと言うのが・・・大人である私には少し歯痒くて・・・」

 

エドガー「私はそうは思いませんよ。」

 

ハミル「エドガー指揮官。」

 

エドガー「身近で何度も彼らに助けられた身としては・・・彼らの力は疑う余地のないものとしか思えません。待ち受ける困難や障害・・・それらを全力で排除し、道を作るのが我々の役目です。辿り着いたその先・・・恐らくは人類の存亡を賭けた局面が必ず来る。」

 

アウグスト「そこで魔人を倒すのが、我々の役目だ。」

 

この先に、新たな戦いが待ち受けている。

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:萩谷慧悟

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶

リオ:土岐隼一
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
デイジー:寿美奈子
グレア:高橋李依

ローレンス:杉山紀彰
アベル:古川慎
カイン:井上雄貴
ダンテ:柳田淳一
リオネル:内匠靖明

ゼスト:津田健次郎

エドガー:間宮康弘
ハミル=マキナ:高橋広樹
ウサマ=ナバル:仲村かおり

アメン=フラー:中博史





次回予告

アールスハイド王国で新たにオープンしたウォルフォード商会。そして、タクトが新しく雇ったメイド、エスタ。彼女にはある経歴があった。

次回ウルトラマンティガ

ウォルフォード商会へようこそ

お楽しみに
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