ウルトラマンティガ THE ULTIMATE MAGICIANS 作:naogran
アールスハイド王国軍務局・庁舎。
ジークフリード「げっ!何でお前がここに居んだよ?」
クリスティーナ「直属の上司が務めている場所に私が居て可笑しいですか?寧ろアナタこそどうしてここに?」
バッタリ会ったこの2人。
クリスティーナ「悪事がバレて呼び出しでも受けたんですか?」
ジークフリード「なっ!バ、バレてねえよ!」
クリスティーナ「つまり、バレてマズい事はあると。」
ジークフリード「うぐっ!」
2人は同じ廊下を歩く。
クリスティーナ「付いて来ないでもらえます?」
ジークフリード「るっせー、お前が俺の前歩くの止めろ。」
2人は上司の部屋の前まで来た。
ジークフリード「やっぱりお前もここかよ。」
クリスティーナ「揃って呼び出しですか。正直嫌な予感しかしませんね。」
”コンコン”
クリスティーナ「クリスティーナ=ヘイデン、参りました。」
ジークフリード「ジークっス。」
ルーパー「おう、入れ。」
部屋に入ると、ドミニクとルーパーが居た。
ドミニク「勤務中にスマンな2人共。座ってくれ。」
ジークフリード「団長も居たんすかっで、どうしたんです?」
ルーパー「今度、軍の方で部隊を編成して近隣の魔物の討伐に出るのは知ってるな?」
ジークフリード「え?そうなんですか?」
クリスティーナ「ちゃんと掲示板に告知してあったでしょう?」
ルーパー「テメー、さては見てねえな?はっ!まさかテメー、今度幹部飲み会の幹事お前がやるって分かってんだろうな!?」
ジークフリード「はい!?今度は俺の番でしたっけ!?」
ルーパー「巫山戯んなよテメーよォ!ちゃんと告知しといたろうが!」
ドミニク「巫山戯てるのはお前だ!ルーパー!!」
ルーパー「ああ!?飲み会、石窯亭だぞ!予約なしじゃ入れねぇだろうが!!」
ドミニク「この場でそんな話をするなと言っているのだ!!そもそも掲示板をそんな下らん事に使うなバカタレが!!」
クリスティーナ「あの、私達お2人の漫才を見る為に呼び出されたんですか?」
ルーパー・ドミニク「漫才言うな!!」
ドミニク「っで、だ。その魔物討伐なんだが、アルティメット・マジシャンズにも同行して貰うよう話を付けてきてくれないか?」
ジークフリード・クリスティーナ「?」
ドミニク「軍人に混じって魔物討伐するのではなく、彼らには独自に動いて貰って構わんのだが、お前達2人には、彼らの傍に付いて具体的な戦力の分析を頼みたいのだ。」
ジークフリード「戦力って、全員が魔神を倒せるレベルの連中を今更・・・」
ドミニク「それ以上の事細かな情報が欲しいんだ。誰が何処まで出来て、何を得意とするのか。本人達に訊くより第三者の目で判断したい。正直、殿下ですらどの程度の力を秘めているのか我々も知らんからな。」
ジークフリード「それってつまり・・・」
クリスティーナ「旧帝国・・・”魔神領”へ攻め入る為の戦力の確認と言う事ですか。」
ドミニク「その通りだ。エルス・イースを加えた世界連合が発足した今、早急に魔神討伐に向けた作戦を立てねばならん。当然そこで、最も重要な点となるのがアルティメット・マジシャンズの配置だ。最前線で戦うのか、兵を率いて立ち回るのか、後方支援に当たるのか。実力があるのは分かる。だが、その全容が未知数では作戦に組み込めん。」
クリスティーナ(確かに・・・)
ジークフリード(シンレベルやタクトレベルの化け物揃いだもんなぁ・・・)
クリスティーナ「そう言う事なら了解しました。彼と一緒と言うのは不本意ですが。」
ジークフリード「それはこっちの台詞だっつーの。」
また喧嘩が始まった。
ドミニク「お前達、学生の前でそんな醜態晒すなよ・・・?」
ルーパー「手遅れだろ、この様子だと。」
ジークフリード・クリスティーナ「だって此奴が!!」
ルーパー「仲良いなお前ら。」
ジークフリード・クリスティーナ「良くない!!」
同じ頃アルティメット・マジシャンズは。
マリア「もうじきアールスハイドの到着ね!」
リオ「やって帰れるね。」
シン「はぁ・・・にしても、まさかナバルさん達まで付いて来るとは・・・」
後ろの馬車にウサマが乗っている。
晩餐会の日。
ウサマ『商会を設立!?魔王さんがでっか!?』
シン『はあ・・・まあ俺が個人で進めてきた話じゃないんですけど、通信機やら、他の便利な魔道具やら、世間に出回るようになるとお金の管理が大変だから、作るべきだって婆ちゃんに言われまして・・・』
ウサマ『って事は、その商会に発注すれば通信機が手に入るんですな!?』
タクト『まあそんな所だ。』
ウサマ『オープンは!?何時ですの!?』
シン『店舗自体は前々から探して改装を進めてたみたいなんで、多分国に戻って少ししたら・・・』
ウサマ『ホンなら我々、アールスハイド寄ってから国に戻りますわ!』
商人『こんなチャンス目の前にして、手ぶら国に帰れませんよって!!』
そして今に至る。
シン(エルスって確かスイード挟んで反対方向だったような・・・行動力あると言うか商魂逞しいと言うか・・・どの世界も商売人は同じだなぁ・・・)
商人「いやぁエエ外交になりましたなぁ!」
ウサマ「ホンマですな!これで夢の遠距離通信が我が国にも・・・」
”ガタン”
ウサマ「っ!?」
護衛「さ、索敵に反応!!近辺の崖下から魔物が多数此方に向かっています!!」
ウサマ「ま、魔物!?ホンマかいな!?ま、まあでもこんだけ護衛が居れば・・・」
護衛「こ、これは・・・さ、災害級の反応もあります・・・!!」
ウサマ・商人「な・・・な・・・何やてーーーーーー!?」
シン(わー、お約束。)
アリス「この反応、熊か何かだね。」
リン「しかもかなりの大物。」
タクト「じゃあ早速片付けるとするか。」
トニー「シン、タクト、悪いけど大物だけ譲ってくれるかな?」
シン「トニー。」
タクト「珍しいな、お前にしては。」
トニー「何度か実践重ねて思ったんだけど、僕はやっぱり魔法で牽制しつつ、剣をメインに戦う方が向いてる気がしてさ。シンに付与して貰ったアレを含めてちょっと色々試してみたいんだよね。」
ケイティ「トニー、私にもやらせて。」
リオ「僕も。」
トニー「え?」
ケイティ「最近避難指示ばかりでちょっと体が鈍ってるからね。」
リオ「美味しい所は譲ってあげるから。」
トニー「それは良いね。シン、タクト、災害級以外は任せるよ!」
ケイティ「じゃあね!」
リオ「行って来まーす!」
3人はジャンプして災害級へ向かう。
マーク「俺も狩りたかったッス。災害級は素材も高く売れるから。」
オリビア「私も。お店に新しい窯入れてあげたかったなぁ。」
ユーリ「ウチの宿にもウォルフォード君所のトイレ導入したかったわぁ。」
洗浄機付きのトイレの事である。
シン(人気だなぁ災害級・・・)
マーク「クリスティ君、ケイティさんとリオさんは大丈夫なんッスか?」
タクト「あの2人の事だ。心配ない。」
災害級の前にトニーとケイティとリオが現れた。
ケイティ「ヤッホー!私達と一緒に遊ばない?」
リオ「鬼さんこーちら!」
ウサマ「ちょ!殿下!!少年と少女だけで!?無謀な!!何とかせな!!」
アウグスト「ん?まあ大丈夫だろ。」
災害級が左手で攻撃しようとしたが。
ケイティ「よっと!」
剣で上へ弾かれた。今度は右手で攻撃しようとしたが。
トニー「っ!」
ジェットブーツで弾かれた。
リオ「よいしょー!」
真上からリオが災害級の顔に切り傷を刻んだ。
シン(上手くなったなぁ、ジェットブーツの使い方。)
タクト(流石だケイティ、腕は落ちていねえな。)
デイジー(流石リオね。)
ケイティ「ほらほらどうしたの?もっと遊んでよ!」
リオ「こっちだよー!ホラホラー!」
注意を引き連れてる間に、トニーが異空間収納からバイブレーションソードを出した。
トニー(シンと同じ事をやってちゃ、何時まで経っても追い付けやしない。僕は僕なりの戦い方を探っていかなくちゃねえ。)
ケイティ「よっ!ほっ!」
軽々と災害級の攻撃を避け続ける。
リオ「そこだ!」
懐からナイフを出して投げて、災害級の両手に全て突き刺した。
トニー(溜め込め風を、もっと!もっと!!)
ジェットブーツに風を溜め込んで突進する。
トニー「(ジェットブーツと風魔法による、超高速斬撃!!)ケイティさん!リオ!」
ケイティ「ん?おっと!」
リオ「危ない!」
後ろにジャンプして着地。それと同時に災害級の胴体が、トニーの超高速斬撃によって真っ二つにされた。
マリア「何今の!?風の魔法で自分を撃ち出したの!?」
トール「それに加えて、トニーさん自身も風を纏って威力を増してますよ!!」
トニー「体が吹っ飛ぶかと思ったぁ〜〜〜!!」
ケイティ「凄いじゃんトニー!」
リオ「格好良い!」
ウサマ「は、速過ぎて何も見えんかったわ・・・!!」
タクト「良いコンビネーションだ。」
シン(あれは俺も試した事なかったな!!剣と魔法・・・両方使い慣れてるトニーだからこそ出来る戦術!!)
アウグスト「しかし両断してしまっては、素材の価値は低くなってしまうな。」
トニー「改良の余地ありですね。」
シン(素材の価値、か。)
タクト「よし、ここは俺達も実験といくか。お前らは少し離れてろ。残りは俺達が片付ける。」
ウサマ「魔王はん!!戦士はん!!無茶や!!2人でどうやってそないな数!!」
シン(森で狩りをしていた頃、獲物を逃さない為によく使ってたマーカーの魔法!まずは索敵魔法と同様に薄く魔法を広げ、そこに触れた範囲内全ての標的の眉間にロックオン!!)
全ての魔物の眉間にロックオンした。
シン「後は!!」
水の弾を生成した。
マリア「何アレ・・・!?」
シシリー「水の弾・・・!?」
シン「タクト!」
タクト「言われなくても!!」
シン「行け!!」
水の弾とハンドスラッシュを同時に連射した。ハンドスラッシュが水の弾に重なり、全ての魔物の眉間に全弾命中した。残りが逃げようとしたが。
タクト「おっと、逃げがすかよ!!」
ハンドスラッシュを再び連射して、魔物達の眉間を後ろから貫いた。
ウサマ「な・・・な・・・な・・・なああ!?」
シン「オッケー!殲滅完了!!」
タクト「こんなものか。」
グレア「相変わらず凄いねタクト。」
ユリウス「見事で御座るな!全て狂いなく眉間に一撃・・・」
トール「不自然な軌道で魔法が飛び交ってましたけど・・・どうやったらこんな魔法思い付くんですかね・・・」
トニー「確かにこれなら素材を一切無駄にしないねぇ。流石だよ。」
シン「森での狩りは殆ど食糧の確保が目的だったからなるべく傷付けたくなかったし。」
タクト「特に逃げ足の速い奴に対してはこれが最適だしな。」
シン「それに意図的に魔力でマーキングを妨害出来る一部の魔物や人間相手にはあまり使えないけど。」
アウグスト(彼奴の獲物の仕留め方はそこに由来したのか。)
シシリー「凄いですシン君・・・」
マリア「止まる事を知らないわよねぇ、シンの魔法は。タクトもだけど。」
ウサマ「・・・・・」
アウグスト「どうした?ナバル外交官。」
ウサマ「い、いえ・・・魔王さん・・コレ・・・世界征服も可能なレベルの強さちゃいますの・・・?」
アウグスト「(驚きより恐れが勝ったか。)フム、ならば本人に訊いてみようか。シン!彼が世界征服する気はないかと訊いているぞ!」
ウサマ「ちょ、ちょお!止めてや殿下!!」
シン「征服?俺が?何で?」
ウサマ「何でって、それだけの力があれば楽に・・・」
シン「力があるから全てを支配しようなんて俺は思いませんよ。それってつまり、帝国や魔神の考え方でしょ?」
タクト「まあ確かに今のシンの実力なら世界征服も夢ではない。けど此奴は違う。な?」
シン「うん。俺には爺ちゃんが居て、婆ちゃんが居て、沢山の友人や知り合いや、何より恋人が居て。そんな人達を守る事だけに力を使えれば充分です。俺が知る限り、本当に力を持ってる人達は、皆大切な今を守る事だけの為に力を使います。それ以上求めるのは殆どが『力を持った気でいる人間』だけなんですよ。俺がそう思えるのは、身近に正しい人達が居たお陰だと思います。支配とかに興味はありません。」
ウサマ(英雄、シン=ウォルフォード・・・か。)
アウグスト「だそうだ、安心したか?」
ウサマ「お若いのに、立派なモンですな・・・殿下も・・・魔王さんも・・・戦士さんも・・・」
アールスハイド王国に帰国。アウグストは王城へ向かった。
タクト「やっと着いた俺の故郷!」
シン「ナバルさん、ほかの商人さん達も。商会がオープンする日取りが決まるまで、取り敢えず何処かで宿を取られては?」
タクト「ここで野宿する訳にはいかねえだろ?」
リオ「野宿なら僕のコテージへようこそ!」
ウサマ「そうですな・・・こっちの商売相手にも挨拶回ろ思ってますし、何日かは滞在する事になりそうやしな。何処か良い宿ご存知で?」
リオ「スルー!?」
シン「宿・・・(そー言や俺、この国の宿って今まで1度も・・・)」
ユーリ「アールスハイドと言えばカールトンのお宿、オススメですよぉ!」
グレア「そっか!ユーリの家はホテルだったね!」
ユーリ「エルスのお偉いさん一行の宿泊なら大歓迎ですよぉ!それに、商会のオープン日決まったら、ウチにも真っ先に教えて欲しい欲しいぃ!」
シン「?」
タクト「ああ、トイレの事か?」
ユーリ「そうそう。例のトイレよぉ。アレも商品として出すんでしょお?ウチの宿、近い内に全部アレに切り替えたいらしいのよぉ。だからぁ、早めの情報よ・ろ・し・くぅ。」
シン「っ!!」
ユーリの胸がシンの腕にくっ付いた。シシリーは怒りを抑え中。
タクト(ユーリ、また勧誘的な攻撃しやがって。)
ユーリ「じゃあ皆さん御案内致しますぅ!」
ウサマ「は、はあ。それより例のとかアレとか・・・何の話ですの?」
ユーリ「うふふ、それはぁ・・・見てからのぉ、お・た・の・し・みぃ♡」
翌日のウォルフォード邸。
シン「じゃあタクト、宜しくな。」
タクト「ああ、婚約同士水入らず楽しんで来いよ。」
シシリー「はい、行って来ます。」
今日はタクトが留守番中。
タクト「シンとシシリーは今日もデートで、マーリン様とメリダ様は久々に森の奥へちょっとした帰省。今ここに居るのは俺か。あ〜暇だ。お、そうだ。あの子はどうしてるかな?」
彼は、その子が居る庭へ向かった。
ウォルフォード邸の庭に、1人のメイドが居た。
タクト「お、居た居た。おーいエスタ!」
エスタ「あ、タクト様。」
タクト「どうだ?ここの仕事は上手くやってるか?」
エスタ「はい。私を雇って頂きありがとうございます。」
タクト「良いって事よ。ここの仕事がピッタリで良かった。」
メイドの少女・エスタ。彼女と出会ったのはあの時。
それは、スイード王国での晩餐会の翌朝の出発前の事だった。
タクト「シン、俺ちょっと周辺を散歩して来る。」
シン「ああ、分かった。」
彼は来賓館から出て、王都を散歩する。
タクト「今日も賑やかだな。ん?」
周囲がタクトを見てる。
タクト「アルティメット・マジシャンズがこの地に現れた魔人を討伐したお陰で、注目の的が続いているな。スイードに何かあるかも知れねえな。一応周囲に目を光らせるか。」
注意深く周囲を見渡す。
近くの公園。
タクト「ふぅ〜・・・ん?」
何らかの気配を感じた。
タクト「誰か居るのか?こっちか。」
裏路地。
タクト「ん?あの子?」
倒れてる少女を発見。
タクト「しっかりしろ!おい!」
彼女の首に、首を絞められた跡が残ってる。
タクト「絞殺の跡か?・・・でもこの子、少し息してる。よし!」
無線通信機能を搭載したパディブレスでシンを呼ぶ。
タクト「シン!タクトだ!」
シンを呼んで、少女をすぐに来賓館へ運ぶ。
来賓館。
マリア「この娘なの?」
タクト「ああ。裏路地で倒れていたんだ。」
オリビア「・・・首に跡がありますね。」
タクト「だが少し息している。まだ助かるかも知れん。」
回復能力を使った。徐々に首の跡が消えた。
少女「ん・・・・ん・・・・?」
タクト「お、気付いたか!」
少女「あ・・・あなたは・・・?」
タクト「君が裏路地で倒れてる所を助けた男だ。俺はタクト=クリスティだ。」
少女「タクト・・・クリスティ・・・っ!アルティメット・マジシャンズ!?」
タクト「お、おいどうした?大丈夫か?」
少女「す、すみません・・・」
タクト「いや、気にするな。少し落ち着かせよう。シシリー。」
シシリー「はい。」
彼女を落ち着かせた。
シン「それで、君の名前は?」
少女「エ、エスタと申します・・・」
タクト「エスタ、君は何であの裏路地で倒れてたんだ?」
エスタ「その・・・私にも分かりません・・・」
アウグスト「分からない?心当たりとかは?」
エスタ「ありません・・・私は大司教様に暴行を受けた後の記憶がありません・・・」
タクト「フラー大司教?ちょっと待て、君もしかしてイースの人間か?」
エスタ「はい・・・」
タクト「・・・暴行を受けるまでの事を話してくれないか?話せる範囲で構わない。」
エスタ「・・・・」
彼女は、あの事を話した。
以前のイース神聖国・聖都。
フラー「遅い!!まだ食事の用意は出来んのか!!」
エスタ「も、申し訳ございません!今すぐ!」
フラー「全くグズ共が!!」
エスタ「お・・・お待たせ致しました、大司教様・・・」
食事を持って来ると、フラーが彼女を見た。
エスタ「ひっ!」
フラー「お前、見ない顔だな?・・・悪くない。どうだ?今から・・・」
エスタ「わ・・・わた・・・私!その・・・本日配属になったばかりで・・・その・・・」
フラー「まあいい、腹減った。さっさと用意しろ。」
エスタ「は、はい!ただいま!」
食事をテーブルに置いた。
エスタ「そ、そう言えば・・・御存知ですか大司教様?」
フラー「あん?」
エスタ「先日から打診が来ているアールスハイド王国に・・・まさしく創神教の教えを体現したような・・・聖女と呼ばれる少女が居るそうです・・・」
フラー「少女?」
エスタ「噂によると、まだ成人したばかりのようですが・・・とても見目麗しい少女らしいですよ・・・わ、私などではとても及ばない程の・・・」
フラー「(聖女・・・聖女ねぇ。)打診の件、教皇猊下は?」
エスタ「はっ・・・勿論御存知かと・・・」
フラー「(聖女・・・成人したばかりで、汚れを知らぬ・・・欲しいなぁ〜!)くふ、くふふふ。」
彼に、聖女つまりシシリーを欲しがる欲望が湧いてしまったのだった。
フラー「おい。」
エスタ「はい?」
フラー「気が変わったぞ。」
エスタ「っ!?」
彼女はフラーに暴行を受けてしまった。
そして今。
エスタ「その後の記憶が思い出せなくて・・・」
タクト「彼奴、どんだけ欲望に取り憑かれたんだ?」
エスタ「それでその・・・大司教様は今何処へ・・・?」
アウグスト「フラーはもう居ない。」
エスタ「え・・・?」
アラタ「彼奴は魔人化してしまい、そこに居るタクトによって討伐されたんだ。」
エスタ「そう・・・ですか・・・」
タクト「エスタ、早速だけど、脳内を見せてくれないか?」
エスタ「え?」
タクト「俺は人の過去を読み取る事が出来るんだ。協力してくれるか?」
エスタ「は、はい・・・」
タクト「それじゃあ、目を閉じてリラックスしろ。」
目を閉じてリラックスするエスタの頭に右手を優しく触れて脳内の記憶を見る。
エスタの記憶。
タクト(ここが彼女の過去の記憶・・・)
フラーに暴行を受けてるエスタの記憶を見付けた。しかし途中で途切れてしまった。
タクト(ここまでか。だが、身体は覚えてるだろう。)
途切れた記憶を出現させ、フラーがエスタに暴行し続ける記憶が。
タクト(何処まで外道なんだ彼奴?)
すると何者かがエスタを救出した。
タクト(ん?)
彼女を助けた男の姿を見て、タクトが驚いた。
タクト(彼奴・・・!?)
その男は、不気味な笑みでフラーを見て、窓を突き破って逃げ出した。
タクト(彼奴、イースに来てたのか・・・)
そしてその男は、外でエスタに薬を飲ませて安静させると、イースの施設兵が現れた。彼はエスタを抱え、全速力で逃げ出す。
タクト(彼女を助ける為に?)
その男は何日もフラーの施設兵から逃げ、ようやくイースを脱出してスイード王国へ逃げ込み、あの裏路地で身を潜める。その間に男は、ある物を食って腹拵えした。
タクト(昨日ここに着いたって訳か。そして奴は俺がを来る寸前にスイードを離れたって訳か。ちょっと悪いが、記憶を消すぞ。)
先程の記憶を消去させた。
現実世界。
タクト「ふぅ・・・」
シン「どうだった?何か分かったか?」
タクト「ある男が彼女を助けてここまで来た、としか無かった。」
シシリー「ある男?」
タクト「それは言えない。」
エスタ「あ、あの・・・」
タクト「君がどうしてここに居る理由が分かった。まぁ話す内容ではないが。」
エスタ「そうですか・・・」
マリア「それで彼女をどうするの?」
タクト「マーリン様とメリダ様に頼んで、ウォルフォード家に雇おうと思う。良いよな?シン。」
シン「ああ。雇用場所が無いならウチで雇おう。」
エスタ「え!?よ・・・宜しいのですか・・・!?」
シン「うん。俺から爺ちゃんと婆ちゃんに話しておくよ。」
そしてアールスハイド王国へ帰国し、マーリンとメリダに話してエスタを雇う事になった。初めてながらテキパキ仕事をやりこなしてる。
そして現在。
エスタ「もしタクト様が助けてくれなかったら、私はもう死んでいたかも知れません。」
タクト「あの時散歩してて良かったぜ。エスタ、君はもうイースに戻らないのか?」
エスタ「いえ、私はここが天職だと思ってますので。」
タクト「そうか。今後もしっかり頑張れよ。何かあったら俺達に相談しろよ?」
エスタ「はい!」
更にその翌日。
マリア「ええ!?例の商会、今日オープンなの!?」
フェオン「ウォルフォード商会?」
シン「ああ、もう朝から販売始まってるはずだよ。俺は婆ちゃんに学業優先しろって言われたから立ち会ってないけど。」
マリア「シンの商会なのに、良いのそれ?」
シン「一応俺の肩書きは『取締役会長兼開発責任者』だってさ。」
タクト「因みに俺は『取締役会長補佐』と勝手に肩書き入れられた。」
ヒナ「格好良いじゃないですか。」
タクト「俺にとっては子供染みた肩書きだけどな。」
マリア「何か凄いわね。じゃあ今から皆で行ってみましょうよ!」
シン「良いよ。俺は元々そのつもりだったし。」
ユーリ「ウチのお父さんは開店前から並ぶって言ってたわぁ。」
と言う訳で、皆で商会へ。
ナージャ「あれ?こんなに人多かったけ?」
トール「いえ、商会の多い地域とは言え、ここまでは・・・」
グレア「いっぱい並んでいますなぁ〜。」
レア「大行列だぞ〜!」
アリス「さっきから気になってるんだけど・・・この行列ってまさか・・・」
マリア「嘘でしょ?シンの商会ってまだ1区画先よ・・・?」
タクト(アイドルライブの大行列並みだなこれは・・・)
そして。
マリア「うわぁ!」
タクト「此奴は凄え・・・」
ウォルフォード商会に大行列が並んであった。
「いらっしゃいませー!!列の最後尾この先になりまーす!!」
「押さないで!順にお入り下さーい!!」
「ウォルフォード商会へようこそーーーー!!」
「整理券・購入許可証をお持ちの方は此方へ!!」
トニー「大盛況だねぇ。」
リオ「こんなに大行列とは・・・」
アウグスト「何せ”魔王”がオーナーだ。国中から人が集まるだろう。」
イザベラ「それ聞くと笑っちゃいます・・・」
マリア「実際何売ってんの?」
シン「一般販売しているのは洗浄機付きのトイレとか、氷の魔法を利用した冷蔵庫とか、後ビーチバレー用具とか、ジェットブーツとか。」
トム「ああ!シン君にタクト君やっと来た!!朝から引っ切り無しのお客さんでもう大忙しだよ!!」
ハーグ商会のトム=ハーグが居た。
シン「トムさんも手伝いに来てくれたんですか!」
タクト「わざわざすまないな。」
トム「代表のグレンから連絡が来てすっ飛んで来たよ!」
グレン「いやぁ、私もシン君とタクト君にこんな大役を任せれるなんて思いもしなかったからね!ハーグ商会でトム代表に話を聞いた時は正直震えたよ!」
彼はウォルフォード商会代表のグレン=コーナー。元ハーグ商会経理でアリスの父親。
アリス「お父さん大出世だもんね!経理からいきなり代表って!」
タクト「良かったなアリス。」
グレン「わははは!これもアリスとシン君とタクト君のお陰だよ!」
シン「グレンさんもロイスさんも、色々本当にありがとうございます。俺とタクトは経営に関してはさっぱりなもので・・・」
シシリーの兄のロイスも来ていた。今はウォルフォード商会の専務を担当している。
ロイス「いやいや!此方こそありがとう!こんなやり甲斐のある仕事を任せてくれて!」
シシリー「うふふ、こんな溌剌としたお兄様初めて見ます。」
ウサマ「あ!!魔王さん!!戦士さん!!ちょ・・・コレ何ですのん!?」
シン「ナバルさん。」
タクト「それ?トイレだけど。」
ウサマ「通信機だけで満足しとったらこのトイレ!!カールトンさんが言っとったのコレかいな!!とんだトイレ革命やがな!!是非コレもウチの商会に卸したってや!な!?」
商人「また抜け駆けかいなナバルさん!!」
シン「えーと、詳しくはそこに居る方々に・・・」
ウサマ「よっしゃ了解や!!スンマセーン!!」
シン「今の内に中入ろう・・・」
タクト「他人に任せんなよ。」
エミリー「私達も回ろうか。」
ヒナ「良いですね!行きましょう!」
レア「おーいアンナー!こっちだー!」
アンナ「逸れたら危ないよ!」
店内では。
シン「うわー、中も凄え人・・・!」
タクト「これだけ人気があるって事は確かだな。」
その道中。
ジークフリード「お!」
シン「あ!」
タクト「ジーク、クリス、ルーパー団長。」
シン「ジークにーちゃん達も来てくれてたんだ!」
ジークフリード「そりゃ、お前んちのトイレ事情知ってて来ねぇ奴は居ねーよ。」
店員「洗浄機能付きトイレ売り切れでーーす!!」
トイレが売り切れてしまった。
ジークフリード「何いいいいい!?そりゃねえよ!!じゃあ俺ら一体何の為にここに来たんだよ!?」
クリスティーナ「例の件を伝える為でしょう。」
ジークフリード「あ、そうだった。」
クリスティーナ「でも確かに、あのトイレが手に入らないのはショックですね・・・」
2人がショックしてしまった。
ルーパー「大袈裟だなお前ら。次入荷した時に買えばいいじゃねえか。」
ジークフリード「団長はアレ使った事ないからんな事言えるんスよ!!あの清らかに全てが流されていく感覚!!(水魔法だけど。)」
クリスティーナ「えも言われぬ心地良さ・・・」
ジークフリード「それを自宅で体験出来ると思ったのに!!」
シン「そ、そんなにか・・・?」
タクト「やっぱ人気だな、あのトイレは・・・」
ルーパー「陛下もそんな事言ってたが、まだ一部の王室にしか導入されてないしな。」
シン「(仕方ない、ここは一肌脱ぐか。)タクト。」
タクト「おう。」
異空間収納から、洗浄機付きトイレを出した。
シン「ジークにーちゃん、クリスねーちゃん、はいコレ。」
ジークフリード「ちょ!お前らそれは・・・!!」
タクト「予備のトイレだ。2人分あるから使ってくれ。」
ジークフリード「・・・イヤ!イカンイカン!!弟分から施しを受けてどうする!ここは兄貴分として我慢を・・・!!」
シン(相変わらずチャラい癖にプライド高っけーなぁ・・・)
タクト「ジーク、素直に受け取れよ。」
クリスティーナ「ありがとう、流石はシンですね。お姉ちゃんは嬉しいです。」
笑顔でシンを撫でる。
クリスティーナ「タクトもありがとうございます。」
今度はタクトを撫でる。
クリスティーナ「でも貰うのはダメです。ちゃんと料金は支払います。」
タクト「毎度あり。」
ジークフリード「お前はぁ・・・何あっさり受け取ってんだ!?」
クリスティーナ「何って、可愛い弟とその親友がお姉ちゃんの為に用意してくれたんですよ?行為をありがたく受け取って何が悪いのですか?バカですか?」
ジークフリード「んだとコラァ〜〜〜!!!」
タクト「ルーパー団長も。開発者の知り合いの特権って事で。」
ルーパー「いやぁ悪ぃな!まあそう言う事ならエンリョなく!」
ジークフリード「団長まで!!くっ・・・シン!!タクト!!俺には!?」
シン「だからあげるって言ってんじゃん。」
タクト「素直に受け取れよ。」
クリスティーナ「全く、何1つシンに勝てる要素もないのに何を意地張ってるんですか?」
ジークフリード「何をぅ・・・!!」
クリスティーナ「魔法は勿論財力まで。おまけにこんなに可愛い婚約者が居て。」
シシリー「はうぅ・・・」
クリスティーナ「フフ、可愛いですねぇ。シシリーさんも私を『お姉ちゃん』と呼んで良いですよ。」
シシリー「え・・・お、お義姉様・・・?」
”ズキュウウウン!!!”
シン「・・・?」
タクト「クリス?どした?おい?」
クリスティーナ「な・・・何でしょう?『お義姉様』なんて呼ばれ慣れてるのに・・・このくすぐったい感覚・・・何かに目覚めてしまいそうな・・・」
シン「クリスねーちゃん?ちょ、変な気起こすの止めてよ!?」
タクト(まさか、百合に目覚めたのか!?おっ!今度何か魔道具作って売ろうかな?)
ルーパー「おい。」
クリスティーナ「あっ!そうそう、大事な事を伝えるのを忘れてました。」
シン「大事な事?」
タクト「その様子だと、重大らしいな。」
クリスティーナ「はい。実は、軍の方で定期的に討伐隊を編成して、魔物狩りを行っているのですが、今度の魔物狩りにあなた達、アルティメット・マジシャンズにも是非参加して欲しいんです。」
タクト・シン「魔物狩り?」
魔物狩り。アルティメット・マジシャンズが連携を極める為の訓練。次々と迫る魔物を連携して倒せるのか。