ウルトラマンティガ THE ULTIMATE MAGICIANS   作:naogran

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常識破りの新入生



第1話「常識破りの新入生」

3人のチンピラ達を退治、2人の少女を助けたタクトとシン。

 

???「どうかしましたか?」

 

シン「え!?ああいや、何でもないよ!」

 

???「ビックリしたぁ・・・急に黙るから何かあったかと思ったよ。」

 

シン(ヤベェ・・・完全に見惚れてた・・・)

 

タクト「じゃあここではあれなんだし、何処か移動する?」

 

???「近くにカフェあるよ。」

 

タクトとシンは、2人の少女と一緒に近くのカフェへ向かった。

 

 

 

 

 

 

近くにある大通りカフェ。

 

???「改めてお礼を言うね。助けてくれてありがとう!」

 

???「あ、ありがとうございました。」

 

シン「構わないよ、大した相手でもなかったし。」

 

タクト「そうそう。気にすんなよ。」

 

マリア「あ、そう言えば自己紹介もまだね。私はマリア。こっちはシシリー。」

 

シシリー「あ、シシリーです。」

 

マリア=フォン=メッシーナとシシリー=フォン=クロード。

 

シン「俺はシンって言うんだ。」

 

タクト「タクトだ。宜しくな。」

 

マリア「もぉ魔法さえ使えたら、あんな連中簡単にやっつけられたのに!」

 

シシリー「ダメだよマリア。街中で攻撃魔法を使うのは禁止されてるんだよ?」

 

シン「所で、マリアは魔法を使うみたいだけど、高等魔法学院の生徒なのか?」

 

マリア「来月の入試に合格出来ればね。シシリーも一緒に。」

 

シン「へぇ!2人も入試受けるんだ!」

 

タクト「凄え偶然!」

 

マリア「も?」

 

シン「うん。俺とタクトも受けるからね。」

 

マリア「嘘!?あれだけ体術使えるのに魔法使い!?」

 

シシリー「てっきり騎士養成学校の生徒さんかと思ってました・・・」

 

タクト「あんまり好みじゃないな。彼処は。」

 

シン「試験に受かったら同じ学院生だね。お互い頑張ろう。」

 

マリア「私、主席目指してるからね。負けないわよ?」

 

シン「はは、まあ俺はボチボチやるよ。」

 

マリア「何よ、張り合いないわね。」

 

2人は握手を交わす。シシリーにも。

 

シシリー「あ、えっと・・・あの・・・」

 

シン(いけね、初対面でいきなり握手とか、馴れ馴れしかったかな?)

 

マリア「どうしたのシシリー?具合でも悪いの?」

 

シシリー「え!?ううん何でもないよ!!が・・・頑張りましょう!!」

 

恥ずかしがりながら握手する。

 

タクト「俺も頑張るからな。」

 

マリア「ええ。」

 

シシリー「よ、宜しくお願いします。」

 

2人も握手を交わした。

 

マリア「そう言えばシンとタクトって何処の中等学院?同い年の割に見た事ないけど。」

 

シン「ああ、実は俺、今日王都に来たばかりなんだ。」

 

タクト「俺も。色々旅をして来たからな。」

 

マリア「へー、そうなんだ。あ!王都に来たと言えば知ってる!?賢者様と導師様も王都にお戻りになられたらしいわよ!」

 

シン「あ、ああ・・・聞いた事、あるかな・・・」

 

マリア「何よあなた!興味ないの!?稀代の魔法使い、勇猛果敢なマーリン様!!魔道具を操り、苛烈に魔物を狩る美しき導師メリダ様!!この国・・・いえ、この世界に生きている限り最高の憧れ生ける伝説よ!?」

 

シン(うおお・・・ヤバイ、悶死しそう・・・)

 

タクト(オタク特有の早口・・・)

 

シシリー「あの、大丈夫ですか?」

 

マリア「何よ、変な反応して。」

 

シン「あ、いや・・・」

 

タクト「気にするな。マリアは賢者様と導師様の熱烈なファンなんだな。」

 

マリア「当然でしょ!!賢者様と導師様、その御二人の御孫さんが今度、魔法学院の入試受けるらしいのよ!!」

 

シン(ギクッ!?)

 

タクト(おっと!?)

 

マリア「ああ、どんな方なのかしら!?その方と同い年であった幸運に感謝したいわ!!」

 

シン(マジか・・・そんな話まで広がってんのか・・・)

 

タクト「じ、じゃあそろそろお暇するか。シン行くぞ。」

 

シン「お、おう・・・」

 

伝票を持って会計へ向かう。

 

マリア「あ!私達の分は払うわよ!」

 

シン「気にしないで。今日は格好付けさせて。」

 

タクト「2人共じゃあな。」

 

 

 

 

その後2人と別れた。

 

シン(あのシシリーって子、可愛かったな・・・)

 

タクト(凄えなマリア、御二人のファンだったとは・・・)

 

シン「あ、しまった!連絡先聞いてねえ!!今更戻るのも格好悪いし・・・こうなりゃ魔法学院で再会出来る事を祈ろう!」

 

タクト「また会えるさ。分からんけど。」

 

 

 

 

 

 

同じ頃シシリーとマリアは。

 

マリア「何て言うか、格好良い奴らだったねえ。」

 

シシリー「うん・・・」

 

マリア「顔も良いし、強いし、魔法も使えるみたいだし、おまけに押し付けがましくないし。」

 

シシリー「うん・・・」

 

マリア「去り際も格好良かったね?」

 

シシリー「うん・・・」

 

マリア「ねえ、チュウして良い?」

 

シシリー「うん・・・」

 

するとマリアにピーンと来た。

 

マリア「ねえ、タクトは私が貰っても良い?」

 

シシリー「うん・・・」

 

マリア「じゃあ、シンも私が貰っても良い?」

 

シシリー「う・・・え・・・あ・・・ダメ!!はっ・・・!」

 

マリア「くっくっく。」

 

シシリー「も・・・もう!!マリアったら!」

 

マリア「あっはっはっ!いやゴメン!シシリーのそんな様子初めて見たからさぁ!で?何?まさか助けられて一目惚れとか、ベタな展開じゃないわよね?」

 

シシリー「そ・・・そんなんじゃ・・・ない・・・と思う・・・けど・・・」

 

マリア「え?ちょ、ちょっと本当に?」

 

シシリー「分かんないよ・・・でも・・・あの・・・彼、シン君の顔見てると、凄く緊張しちゃうと言うか・・・胸が・・・ドキドキするって言うか・・・か、体が・・・熱くなるって言うか・・・」

 

マリア(ちょっとちょっと、マジですか・・・)

 

心の中で唖然としてしまったマリアだった。

 

 

 

 

 

 

お屋敷に戻ったタクトとシン。

 

スティーブ「お帰りなさいませシン様、タクト様。」

 

執事長のスティーブが迎えてくれた。

 

シン「ただいまスティーブさん。」

 

イザベラ「あ!タクトさんおかえりなさい!」

 

タクト「ただいまイザベラ。皆は?」

 

イザベラ「部屋に居ますよ。」

 

タクト「後で行くわ。」

 

スティーブ「高等魔法学院よりこれが。」

 

2枚の封筒を2人に手渡す。

 

シン「何これ?」

 

スティーブ「入学試験受験票ですね。」

 

タクト「お、遂に来たか。」

 

イザベラ「学院、楽しそうですね。」

 

タクト「入学したら色々話してやるよ。」

 

シン(マリアの話からすると、英雄の孫って事で既に注目されてそうだし、目立ちたくはないけど、爺ちゃんやディスおじさんの顔に泥を塗る訳にもいかない。よし、試験は全力でやるか。)

 

タクト(いよいよ試験か・・・魔法は、大丈夫だろう。俺の超能力で。)

 

 

 

 

 

 

入学試験当日。

 

タクト「準備完了っと。」

 

メリダ「忘れ物はないかい?」

 

導師メリダ=ボーウェン。英雄の1人で、シンの祖母。

 

フェオン「もう1度確認して。」

 

シン「筆記具あるし、受験票も、そして市民証!ようやく手に入った!」

 

タクト「これで準備万端だな。」

 

フェオン「オーケー!」

 

メリダ「それは個人の魔力パターンを認識して、本人以外には起動出来ないものだからね。色々便利な機能も付いてるし、大事に扱うんだよ。」

 

タクト「分かってるよ。よし行くか。」

 

シン「ああ。」

 

フェオン「行ってらっしゃい!」

 

 

 

 

 

 

アールスハイド・高等魔法学院。

 

シン「凄い人数だな・・・これ全部受験生か?」

 

タクト「まぁそれだけこの高校が人気があって、歴史がある証拠だな。会場を探すぞ。」

 

シン「そうだな。合格すれば、またあのシシリーって子に会えるよな。」

 

タクト「合格出来た前提で言うなよ。」

 

 

 

ここアールスハイド王国には、王国が運営する特別な学院、三大高等学院が存在する。

 

 

 

『高等魔法学院』

魔法使いを育成し輩出する

 

『騎士養成士官学院』

卒業後はそのまま軍隊に入隊する

 

『高等経法学院』

将来の官僚や商会の幹部を育成する

 

 

 

この三大高等学院に入学出来るのは、中等学院で大きな成績を収めた学院生だけが入試を合格し、入学を許される。タクトとシンは、国王ディセウム=フォン=アールスハイドの交渉により、入試を許されている。それに合格すれば、晴れて高等魔法学院の生徒となる。

 

 

 

 

掲示板を見る。

 

シン「よし、試験は全力でやろう!」

 

タクト「まずは会場探しだな。」

 

シン「うーんと・・・会場は・・・」

 

タクト「何処だ何処だ〜?」

 

その後ろから、1人の受験生が。

 

???「おい貴様ら、そこを退け。」

 

シン「お、あったあった!タクト、あったよ。」

 

タクト「あった?」

 

だがこの2人はその受験生の命令を聞く気無し。

 

???「おい!聞こえないのか!」

 

タクト「えっと・・・この廊下を通った所の教室だな。」

 

シン「じゃあ早速行くか。」

 

???「この無礼者が!!」

 

後ろから肩を掴まれたシンが、自分の肩を掴んだ受験生の腕を捻る。

 

???「ぐあっ!!貴様何をする!!離せ!!」

 

シン「さっきから何なの?いきなり人の肩を掴んでさ。」

 

タクト「退かなかった俺らも悪いが、それが初対面の人に挨拶する態度か?」

 

この2人は、この受験生の命令を聞いていたのだった。

 

カート「貴様ら!!俺はカート=フォン=リッツバーグだぞ!!」

 

シン「はい。俺はシンです。」

 

タクト「俺タクト。」

 

受験生「ぷっ。」

 

後ろの4人の受験生が2人の素っ気無い自己紹介に笑う。タクトがその受験生達に軽く手を振って、受験生達もタクトに軽く手を振る。

 

カート「っ・・・!!俺はリッツバーグ伯爵家の嫡男だぞ!!」

 

シン「へぇ〜、そうなんだ。」

 

タクト「ほうほう。」

 

カート「俺に逆らって、只で済むと思ってるのか!?」

 

シン「あ。(ひょっとしてさっきから・・・)」

 

タクト(厳禁な言葉を使ってやがる。)

 

シン「ええと、カート君だっけ?学院で貴族が権力を振り翳す事は厳禁じゃなかったっけ?」

 

タクト「それは、この国に対する叛逆行為じゃねえの?」

 

カート「たかが魔法学院の教師なんぞに、この俺を裁ける訳ないだろうが!!」

 

タクト「それって、自分が正しいと思ってるのか?」

 

カート「ああそうだ!!」

 

 

 

 

???「そこまでだ!!」

 

 

 

 

1人の人物が割り込んだ。

 

???「学院において権力を振り翳し、他人に害する事は優秀な魔法使いの芽を刈り取る行為であり、これを破った者は厳罰に処する。学院の校則ではなく、王家の定めた法であったはずだ。」

 

カート「あ・・・あなたは・・・!!」

 

???「それともまさか、先程の発言は王家に対する叛意か?」

 

カート「い・・・いえ!!決してそんな事は!!」

 

タクト・シン(どちら様?)

 

???「ならばこれ以上騒ぐな。ここは入学試験会場だ。皆の心を乱す様な事をするな。」

 

カート「は・・・はっ!」

 

彼はタクトとシンを強く睨みながら会場へ向かった。

 

???「フフッ、さっきの自己紹介を返したのは傑作だったな。聞いた通りの世間知らずの様だ。」

 

シン「え?」

 

タクト「ってか、あんたは?」

 

???「そうだ、自己紹介がまだだったな。私の名はアウグスト=フォン=アールスハイドだ。親しい者はオーグと呼んでいる。シン、君の事は父上から色々聞いているよ。」

 

タクト「アールスハイドって事は・・・」

 

シン「もしかして、ディスおじさんの息子!?」

 

その言葉で、周囲の受験生達がどよめいた。

 

アウグスト「フフフッ、ディスおじさんの息子かぁ。そんな風に言われたのは初めてだな。そして君はタクト=クリスティだな?君も父上から話を聞いているよ。」

 

タクト「あ、そうなの。」

 

アウグスト「しかし、私が王子だと知ると、途端に媚び諂ってくる奴らばかりなのだが。」

 

シン「だって、おじさんの事ずっと親戚だと思ってたからさぁ、おじさんの息子って言われても従兄弟?って感じしか。」

 

アウグスト「ん?くっくっくっ・・・あははははははは!」

 

タクト「何だ突然笑い出して?」

 

アウグスト「そうかそうか、従兄弟か。」

 

シン「何か喜んで貰えたようで何よりだよ。」

 

アウグスト「それじゃあ、お互い頑張ろうではないか。」

 

タクト「あんたから何かユニークな雰囲気出てるな。」

 

アウグスト「そうか?これが普通だが。」

 

タクト「そうか。」

 

 

 

 

 

 

遠くからシシリーとマリアが。

 

マリア「何でシンとタクトがアウグスト殿下と親しげに話してんの?」

 

シシリー「シン君とタクト君って、何者なのかな・・・」

 

マリア「それより、問題はアイツの方だね。まさかこの学院に来てるとは・・・」

 

彼女はカートを密かに睨んでる。

 

シシリー「・・・・・」

 

マリア「いい?もしアイツに何かされたらすぐに言うんだよ?」

 

シシリー「うん・・・」

 

マリア「そうだ!シンに相談してみたら良いじゃん!!」

 

シシリー「え・・・ええ!シン君に!?」

 

マリア「きっと力になってくれるよ!!」

 

シシリー「でも・・・絶対迷惑だよ・・・」

 

マリア「大丈夫だって。シンは困った女の子を見捨てるような奴じゃない。寧ろ進んで守ってくれるんじゃない?」

 

シシリー「でも何か・・・シン君の優しさに付け込むみたいで・・・」

 

マリア「付け込んだって良いのよ。聞いてシシリー。確かにシンは良い奴だけど・・・私はアンタの方が大事なの。」

 

シシリー「マリア・・・」

 

マリア「それに一緒に居れば、仲が進展するかも知れないし〜。」

 

顔がかーっと赤くなったシシリー。

 

シシリー「も〜〜マリア!!」

 

 

 

 

シン「へくしっ!」

 

タクト「ん?」

 

 

 

 

 

 

試験は筆記と実技に分けて行われる。

 

筆記試験会場では、受験生達が問題を解いてる。そんな中タクトとシンは余裕で解いてる。

 

 

 

実技試験は、学院の室内練習場で、それぞれが魔法を披露する形式である。

 

試験官「次の6人中へ!!」

 

シンとタクトを含んだ6人の受験生が入った。

 

試験官「では1人ずつ自分の得意な魔法を見せて貰います。目標は設置してあるあの的!破壊出来れば良し!出来なくても練度が基準に達していれば良し!では1人目!」

 

受験生A「はい!」

 

シン(おお・・・初めて見る同世代の魔法だ!!一体どんな・・・!!)

 

タクト(受験生達の魔法。これは見ものだな。)

 

受験生A「全てを焼き尽くす炎よ!!」

 

シン(はい!?)

 

タクト(ほえ!?)

 

受験生A「この手に集いて敵を撃て!!ファイヤーボール!!」

 

ファイヤーボールが的に命中。

 

シン(うおおおおお!!!恥ずかしい!!何今の!?何か昔想像した通りの展開じゃねーか!!詠唱!!いるかあれ!?ファイヤーボールって!!せめて名前捻れよ!!これはマズイ・・・あの威力でドヤ顔してるし・・・周りも「おお」とか言ってるし・・・これは全力出したら絶対マズイ事になる・・・!!)

 

タクト(あの子達って、中二病か?)

 

試験官「はい、宜しい。では次!」

 

タクト(あれで良いんだ。)

 

受験生B「荒れ狂う水流よ!集い踊りて押し流せ!ウォーターシュート!」

 

シン(何だよあれ・・・詠唱って・・・あんなんなのぉぉぉ!?)

 

タクト(聞いてらんねぇ・・・)

 

受験生C「風よ踊れ!風よ舞え!全てを凪ぎ払う一陣の風を起こせ!ウインドストーム!」

 

シン(派手な割に効果がしょぼいよ!!)

 

タクト(ギャップの激しい魔法だ・・・)

 

受験生D「母なる大地よ力を貸して!敵を撃ち払う礫となれ!アースブラスト!」

 

シン(何処の厨二病発表会だよ・・・聞いてられない・・・)

 

タクト(聞いてるだけで腹が痛え・・・)

 

試験官「君の番ですよ。」

 

タクト「あ、俺か。」

 

次はタクトの出番。

 

タクト(えっと・・・此奴を使うか。)

 

右手にエネルギーを集める。

 

受験生A「え・・・詠唱無しで!?」

 

タクト「ハァッ!!」

 

右手を前に突き出してハンドスラッシュを放った。ハンドスラッシュが的のど真ん中に命中した。

 

タクト「こんな程度か。」

 

試験官「(先程の魔法は、陛下の仰った通りね・・・)では、次は君の番ですよ。」

 

シン「あ、はい。」

 

やっとシンの出番。

 

試験官「む?そうですか、君が陛下の言っていた・・・君は力をセーブして放つ様に。くれぐれも練習場まで破壊しない様。」

 

シン(ディスおじさん・・・一体どんな説明を・・・的の強度はまあそこそこって所か・・・だったら、あれで良いか。)

 

右手から炎の玉を出した。全員が驚いた。

 

受験生A「おい・・・彼も今詠唱なしで!?」

 

タクト「行け行け。」

 

ファイヤーボールを放って的に直撃すると、練習場が揺れ、全ての的が焼き尽くされた。

 

試験官「ち・・・力をセーブしろと言ったはずですが・・・」

 

シン「え?先生が練習場を破壊するなって言うから、相当抑えて撃ちましたけど。」

 

試験官「(それであの威力・・・!!)そ、そうですか・・・試験はこれで終了です。皆さん、お疲れ様でした。」

 

シン(良かったぁ、怒られずぬ済んだ・・・あれでもやり過ぎ・・・?)

 

タクト(もうちょい手加減しろよおい・・・)

 

 

 

 

 

 

夜の高等魔法学院の会議室。

 

教員A「そんなに凄かったのか?賢者の孫は。」

 

試験官「本人が軽く撃ったつもりの魔法で練習場が壊れるかと思いました。的は残らずチリになってましたが。」

 

教員A「そ、そんなに・・・?」

 

試験官「しかも無詠唱で撃ち出すまでも一瞬です。」

 

校長「なあ・・・それワシらが教える事あるのか?寧ろワシらが教わりたいんだが・・・」

 

試験官「同意です。元々人付き合いを覚える為に入学させると陛下がおっしゃってましたから。研究室を作ってそこに人を集め、人付き合いを教えれば良いのでは?」

 

教員B「そりゃ良いな。研究室なら教師も自然に出入り出来るし。」

 

試験官「所で、入試順位はどうなったんですか?」

 

教員C「採点中ですが、彼はほぼ満点だった様です。」

 

教員B「となるとこれは・・・」

 

教員C「ええ、今年の入試主席は決まりですね。」

 

 

 

 

 

 

数日後、合格発表の日。

 

シン「お。」

 

ディセウム「久し振りだな、シン君。タクト君。」

 

国王のディセウムとアウグストが豪邸に来た。

 

タクト「陛下にオーグ。」

 

マーリン「よく来たの。2人共。」

 

賢者マーリン=ウォルフォード。偉大なる英雄の1人で、シンの祖父。

 

シン「久し振り、ディスおじさん。」

 

アウグスト「お初にお目にかかります、賢者マーリン様。今日はこの日に英雄様にお会い出来た事を心より感謝致します。」

 

マーリン「ほっほっ。」

 

シン(おお、感動してる・・・)

 

タクト(流石のオーグも賢者様に見惚れてるな・・・)

 

レア「お!新しい客人か?」

 

アウグスト「ん?シン。彼女達は?」

 

タクト「俺の仲間達だ。3年前から一緒だ。」

 

アンナ「初めまして。」

 

タクト「ってかレア。初対面の人に馴れ馴れしく接するな。彼は王子だぞ?」

 

レア「ま、マジか!?」

 

アウグスト「そんなに怖がる必要はない。私はアウグスト=フォン=アールスハイド。気軽にオーグと呼んでくれ。」

 

エミリー「気さくなお方だな。」

 

アウグスト「では行くかシン、タクト。」

 

シン「あれ?護衛とかは居ないの?オーグ。」

 

アウグスト「お前以上の護衛がこの世に居るなら紹介してくれ。」

 

タクト「見付かったら紹介するぞ。」

 

アウグスト「楽しみにしてるぞ。」

 

タクト「じゃあ皆、行って来る。」

 

グレア「行ってらっしゃ〜い!」

 

シン「・・・いやいや!何で2人が付いて来てんの!?」

 

何故か付いて来るマーリンとディセウム。

 

マーリン「そりゃ、シンとタクト君の結果が気になるし・・・」

 

シン「爺ちゃん来たら学院パニックになるよ!!」

 

ディセウム「そうか、ならば私だけでも・・・」

 

アウグスト「父上、同じ事になります。」

 

タクト「お2人方はフェオン達と留守番を宜しく。」

 

しょんぼりしながら留守番する事になってしまった。

 

 

 

 

 

 

街中。タクトとシンとアウグストは串焼きを食べ歩きする。

 

アウグスト「父上はマーリン殿の御自宅へ何度かお邪魔していた様だな。」

 

シン「そりゃもうちょくちょく来てたよ。」

 

タクト「もう完全に家族ぐるみみたいにな。」

 

アウグスト「公務で忙しい身だぞ。」

 

タクト「まぁ国王だしな。」

 

シン「グチ聞いて欲しかったんだって。」

 

アウグスト「はぁ・・・父上・・・」

 

シン「お互い苦労してるみたいだね。」

 

タクト「陛下も面白い一面あるな。」

 

シン「でも、オーグとタクトに会えて良かったよ。同世代の知り合い誰も居なくてさ。」

 

タクト「俺も。」

 

アウグスト「実は私もだ。」

 

シン「・・・」

 

アウグスト「・・・似た者同士だな。」

 

 

 

 

 

 

高等魔法学院・合格発表。

 

シン「あ、あった!」

 

アウグスト「私もあったぞ。」

 

タクト「俺もあるぞ。」

 

3人はハイタッチを交わした。

 

 

 

 

受付「合格した人はこちらに並んで下さーい!」

 

合格者が並び、制服と教科書を貰う。

 

シン「お願いします。」

 

受付「はい、受験票を確認します。・・・あら?あなたがシン=ウォルフォード君ね。教科書と制服。制服は市民証のデータを参考にしてるからサイズは合ってるはずだけど、色々防御魔法が付与されてるから、合わないからと言って自分では直さないで下さいね。」

 

シン「ウチの婆ちゃんに頼むのは?」

 

受付「メリダ様ですか?なら全く問題無いですね。」

 

シン(じゃあ俺でも大丈夫だな。よし、魔改造してやろう。)

 

タクト(あ、此奴何か企んでるな?)

 

受付「ウォルフォード君とクリスティ君とアウグスト殿下は共に『Sクラス』となります。それと、ウォルフォード君は入試主席ですので、入学式で新入生代表の挨拶をお願いしますね。」

 

シン「・・・は!!??新入生代表挨拶!?」

 

受付「はい!」

 

シン「いやいやいやあの・・・新入生にはオーグ・・・アウグスト殿下が居るんですよ?どう考えても挨拶は殿下でしょう・・・?」

 

アウグスト「おいおい、何を言ってるんだ入試主席君!アールスハイド高等魔法学院において主席の代表挨拶は最早伝統!謂わば完全実力主義の象徴だぞ!私のワガママ1つで、それなりに覆るはずがなかろう!」

 

ニヤニヤしながらシンに激励を送る。

 

シン(此奴・・・絶対性格悪いし面白がってやがる・・・!!)

 

タクト「頑張れよ。シン入生代表。新入生だけに。」

 

シン「おい!変な洒落言うんじゃねえよ!」

 

アウグスト「面白い洒落だったぞタクト。」

 

タクト「いやいやどうもどうも。」

 

漫才師みたいなノリ。

 

シン「お前らな・・・!」

 

アウグスト「精精頑張って、挨拶を考えてくれたまえ。」

 

タクト「当日まで期待してるぜ。」

 

シン「お前なぁ!!(マジかぁ・・・そう言やシシリー達も見当たらないし・・・急に凹んできた・・・)」

 

 

 

 

 

 

マリア「あーあ、主席はダメだったかぁ。チッ、シンの奴。」

 

シシリー「凄いよねシン君。体術も魔法も凄いなんて。」

 

マリア「シンに声掛けなくて良いの?」

 

シシリー「あ、うん・・・何話して良いのか分かんないし・・・」

 

マリア「いや、試験合格って絶好の話題があるじゃない。」

 

シシリー「・・・・そうだった!何してたんだろう私・・・・」

 

マリア「何やってんのかねえ。」

 

シシリー「はぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

一方シンは、タクトとアウグストと一緒に帰って来た。

 

シン「はぁ・・・」

 

溜め息しながら。

 

マーリン「何じゃその溜め息・・・ま、まさか落ちたのか!?」

 

タクト「いや、シンは主席で合格。それプラス新入生代表として挨拶しろってさ。」

 

マーリン「ほう主席か!よく頑張ったのうシン!」

 

メリダ「私らが教えたんだから当然さね。でも、よくやったよ。」

 

ディセウム「にしても、挨拶1つでそこまで落ち込まんでも・・・」

 

シン「いや・・・知り合いも試験受けてたはずなんだけど・・・見当たらなくてさ・・・」

 

タクト「女。」

 

アウグスト「女か。」

 

ディセウム「女だな。」

 

シン(此奴ら・・・!!)

 

マーリン「ほっほ、王都に来て色々経験しとるのう。結構結構。」

 

メリダ「シン、その娘はちゃんとウチに連れて来るんだよ。私が見定めてあげるから。」

 

シン「はぁ・・・(シシリー・・・受かってると良いけど・・・)」

 

 

 

 

 

 

その夜、リッツバーグ家のカートの部屋では。

 

カート「俺がAクラス・・・!?Sではなく・・・Aだと・・・!?そんなバカな・・・!!その上俺に恥を掻かせた彼奴らが・・・主席と第2位だと・・・!?巫山戯るな・・・!!何かの不正を働いたに違いないんだ・・・!!学院の教師もグルなんだ・・・!!でなければ俺が・・・こんな・・・許せない・・・!!許せない・・・許せない・・・ユルセナイ・・・!!!!」

 

部屋が荒らされており、黒いオーラが漂っている。

 

 

 

 

 

 

同じ頃ウォルフォード邸のシンの部屋では。

 

シン「えーと・・・制服に付与されてる魔法は、『魔法防御』、『衝撃緩和』、『防汚』。中々上級の魔道具だな。だが書き換える!」

 

”コンコン”

 

メリダ『入るよシン。』

 

シン「婆ちゃん。」

 

部屋にメリダが入って来た。

 

メリダ「上手く行きそうかい?」

 

シン「うん、丁度今から書き換える所。」

 

 

 

 

書き換え開始。まずは付与されてる魔法を浮かばせる。

 

シン「お次はっと。」

 

鉛筆型の魔道具で、制服に付与してある魔法効果を無効にする。この鉛筆型の魔道具は、消しゴムが魔法効果を無効にし、鉛筆の芯が魔法効果を有効に付与する物である。

 

メリダ(全く、とんでもない子だね。魔力を通して浮かび上がる元々付与されていた文字を、魔力を無効化する魔道具によって、剥がした上で再び新たな魔法を付与する。そんな発想が出来るのが、そもそもアンタ位だよ。)

 

シン(この制服の場合、付与可能文字数は最大で20文字・・・新たなに付与するのは・・・『絶対魔法防御』、『物理衝撃完全吸収』、『防汚』、『自動治癒』、問題は此奴だ。『絶対魔法防御』。全ての魔法を防ぐ事が前提だが、火と水じゃ防御方法も違ってくる。付与する文字にイメージが追い付かなきゃ魔法は発動しない。何かないか・・・全てを防ぐ具体的なイメージは・・・!!)

 

 

 

 

しばらくして。防汚、自動治癒、絶対魔法防御、物理衝撃完全吸収、この4つを付与された最強の制服が完成した。

 

シン「出来たーーーー!!あ〜〜〜すっげー集中した〜〜〜!!」

 

メリダ「(この時点でシンの制服の価値は既に・・・)シン。」

 

シン「ん?」

 

メリダ「制服の事、絶対に人に言うんじゃないよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝。いよいよ入学式当日。

 

スティーブ「マーリン様、メリダ様、シン様、タクト様、王宮から馬車の迎えが来ております。出立の御準備は宜しいですか?」

 

シン「準備は出来てるけど・・・コレ、こんな感じで良いのかな?」

 

タクト「緊張するなぁ。」

 

メリダ「バッチリだよ。よく似合ってるじゃないか。」

 

ヒナ「そうですよ。今日からお2人は学生なんですから。」

 

高等魔法学院の制服を身に纏った2人は、マーリンとメリダと一緒に馬車に乗り学院へ。

 

 

 

 

 

 

学院前に到着。

 

御者「学院に到着致しました。」

 

マーリン「さて行くかの。」

 

馬車から降りた瞬間。

 

男性「おい、あれ・・・国から勲一等と共に送られるマントだぞ・・・!」

 

女性「2人共それを羽織ってるって事は・・・あれは・・・まさか・・・!!」

 

「賢者様ーーーーー!!」

「マーリン様ーーー!!」

「導師メリダ様ーー!!」

 

マーリン「ぬあっ!またか!」

 

シン「あっ!?ちょっ!まっ!」

 

タクト「ギャー!!」

 

2人は群衆から放り出されてしまった。

 

教師「マーリン様!メリダ様!入学式場まで御案内致します!ウォルフォード君とクリスティ君は集合場所に・・・あれ?居ない?」

 

マーリン「スマンのう、シンとタクト君の晴れ舞台なのにこんな騒ぎになって・・・おや?シンとタクト君は?」

 

メリダ「ええい、離れな!!」

 

シン「ほっといて行こう・・・」

 

タクト「2人で頑張れ〜・・・」

 

 

 

 

 

 

2人が集合場所に到着。

 

シン「はぁ・・・」

 

タクト「熱烈なファンが多過ぎるぜあのお2人方・・・まぁ英雄だし、そこはしゃあない。」

 

アウグスト「やあシン、タクト。緊張してないか?」

 

タクト「ようオーグ。」

 

シン「いや・・・まあ大丈夫だけど・・・」

 

アウグスト「今日は生徒以外にも国王である父上やこの国の貴族・重鎮が勢揃いしてるが、何も緊張しないで良いんだぞ?」

 

シン「いや・・・だから・・・」

 

アウグスト「主席君はさぞ素晴らしい挨拶をするんだろうな。楽しみだ。」

 

シン「テメェ!!喧嘩売ってんのか!!」

 

アウグスト「ははは、おいおい何の事だ?」

 

シン「主席取られたのは実は根に持ってんだろ!!」

 

タクト「賑やかな2人だな。」

 

教師「コラ!もうすぐ式だろ、何騒いでる!整列しろ!」

 

シン「この野郎・・・初日から怒られたじゃねえか・・・!」

 

アウグスト「くくく、まあそう言うな。お陰で緊張が解れただろう?」

 

シン「え?(オーグ・・・俺の為にわざと・・・?)ありが・・・」

 

アウグスト「まあ偶然だけどな。」

 

シン「てめーなあ!」

 

タクト「おいおいシン、落ち着けよ。」

 

???「あ・・・あの・・・シン君、お、お久し振りです。」

 

シン「ん?」

 

そこに、シシリーとマリアが来た。

 

シン「シシリー!君も合格したんだね!後マリアも!」

 

マリア「序でみたいに言うな!」

 

タクト「いやぁ、2人が合格発表の時に見当たらなかったから、ずっと心配してたんだぞ。シンが。」

 

マリア「え?そうなの?」

 

シン「まぁそんな所だ。それより2人共ここに並んでるって事は・・・」

 

マリア「そ!私達もSクラスよ。主席さん。」

 

シシリー「はい。一緒のクラスです。」

 

アウグスト「シン、お前が捜していた女性とは彼女の事か?」

 

シン「ギクッ!!」

 

アウグスト「おや?確か君達は・・・」

 

マリア「ご無沙汰しておりますアウグスト殿下。メッシーナ伯爵家のマリアでございます。」

 

シシリー「クロード子爵家のシシリーでございます。」

 

タクト「初耳だな。2人が貴族とは。」

 

シン「シシリーは兎も角マリアも!?」

 

マリア「何それどう言う意味!?」

 

シシリー「くすくす。」

 

シン「何で言ってくれなかったのさ?」

 

マリア「だって貴族の娘なんて言ったら、急に態度が変わる人が多いんだもん。」

 

シン「ふーん・・・そんなもん?俺は別に・・・」

 

アウグスト「お前が特殊なだけだ。2人共、此奴には権威とか世間の常識とか通用しないから気軽に接して良いぞ。」

 

シシリー・マリア「?」

 

教師「静かにしろ!入場だぞ!」

 

タクト「そろそろ行くぞ。」

 

マリア(それはそうと・・・例の賢者様のお孫さんは何処に・・・!?)

 

 

 

 

 

 

入学式が始まった。新入生が入場し、席に座る。

 

 

 

そして校長の挨拶と、在校生代表の挨拶が続き、そして。

 

試験官「それでは、続きまして新入生代表挨拶です。今年度、入学試験主席合格者、シン=ウォルフォード君。」

 

シン「はい!」

 

すると周囲がざわついた。

 

「ウォルフォード・・・!?」

「と言う事は・・・彼が・・・賢者マーリン様の・・・!?」

 

この話を耳にしたシシリーとマリアが驚いた。

 

マリア「え!?え!?どゆ事!?まさかシンが・・・!?」

 

シシリー「・・・!?」

 

アウグスト「何だ、聞いてなかったのか2人共。彼奴が例の英雄の孫だよ。」

 

タクト「賢者マーリン様のお孫さんだ。」

 

そんな中カートは、シンを強く睨んでいる。

 

 

 

 

壇上に立つシン。そして挨拶が始まった。

 

シン『ご紹介に与りました新入生代表、シン=ウォルフォードです。今日この良き日に皆様に見守られ、このアールスハイド高等魔法学院に入学出来た事を大変嬉しく思います。私は幼い頃より、祖父母や知人から様々な事を学んで参りました。しかし共に暮らす祖父が森の奥に隠居していた為、私は世間を知らずに育ってしまいました。そんな折、とある方に言われたんです。『学院に入って常識を学んで来い』と。王都に来てから私の環境は劇的に変わりました。既に何人かの友人も出来ました。私にとって人との出会いこそ、大切で重要な事です。ですので皆さん!世間知らずだからと言って、仲間外れにはしないで下さいね?そんな事されると泣いてしまうかも知れません。そして保護者及び御来賓の皆様そして在校生・教師の皆様何卒、3年間御指導御鞭撻の程宜しくお願い致します。新入生代表、シン=ウォルフォード。』

 

挨拶が終わり、拍手喝采が起こった。

 

 

 

 

席に戻るシン。

 

アウグスト「くっくっくっ、あっはっはっはっ!」

 

シン「何だよ、何笑ってんの?」

 

アウグスト「くく・・・だってお前、代表挨拶に冗談を交えるなんて前代未聞だぞ?他の挨拶見てなかったのか?」

 

シン「え!?そうなの!?」

 

シシリー「あまり聞いた事ないですね・・・」

 

マリア「あまりって言うか、私は初めて聞いたわ!」

 

タクト「良いジョークだったぜ。」

 

シン(マジか〜〜〜またやっちまった!?確かに前世じゃ挨拶はユーモアを交えた方が良いって聞いたから・・・)

 

マリア「でも生徒にはウケてたし、良かったと思うよ。」

 

シン「え?」

 

タクト「俺にとっては良かったぜ。」

 

マリア「それより!何で自分がマーリン様とメリダ様の孫だって教えてくれなかったの!?」

 

シン「ああゴメン・・・入学早々目立つのもどうかと思って・・・」

 

マリア「・・・ま、言われてみれば納得だったけどさ。」

 

 

 

次は国王ディセウムの挨拶。

 

ディセウム『今年は英雄の孫と言う規格外が紛れ込んでいる。同級生達は彼から色々と学ぶと良い。きっと皆の固定観念を吹き飛ばしてくれる事だろう。』

 

シン「国のトップも冗談ブッ込んできたけど・・・」

 

アウグスト「流石父上。早速取り込むとは。」

 

タクト「本当、陛下も面白いお方だな。」

 

ディセウム『皆が大きく成長してくれる事を切に願っている。』

 

 

 

こうして入学式が終わり、生徒達が退場する。

 

シン「やっと入学式終わった〜・・・」

 

タクト「次は教室へ移動だな。Sクラスどんな感じかな〜?どんな生徒が居るのかな〜?楽しみだ。」

 

シン「っ!」

 

タクト「っ?」

 

誰かの気配を感じた。その気配の正体はカートだった。彼は2人をギロリと睨んでいる。

 

タクト「カートか?」

 

シン「タクト、カート君のあの表情って・・・」

 

タクト「あぁ、多分・・・」

 

シン「まさか俺が挨拶で冗談なんか言ったから怒ってるんじゃ・・・!?」

 

タクト「そっち!?いやいやいや、俺から見たら不気味なオーラを醸し出してやがる。しかし、彼奴に何があったんだ?」

 

シン「・・・後で彼に尋ねてみる?」

 

タクト「大変そうだけど、そうしてみるか。」

 

 

 

 

 

 

この学院のクラスは学年毎にS・A・B・Cの4つに分かれており、A〜Cは30人。Sクラスのみ11人の少人数クラスで、入試上位11人がそのままSクラスに入れる。

 

教師「ここがお前達Sクラスの教室だ。」

 

この11人がクラスメートになる。

 

 

 

 

『入試順位』

 

主席

シン=ウォルフォード

 

第2位

タクト=クリスティ

 

第3位

アウグスト=フォン=アールスハイド

 

第4位

マリア=フォン=メッシーナ

 

第5位

シシリー=フォン=クロード

 

第6位

アリス=コーナー

 

第7位

トール=フォン=フレーゲル

 

第8位

リン=ヒューズ

 

第9位

ユーリ=カールトン

 

第10位

トニー=フレイド

 

第11位

ユリウス=フォン=リッテンハイム

 

 

 

 

Sクラス教室。

 

アルフレッド「入学おめでとう。Sクラス担任のアルフレッド=マーカスだ。元魔法師団所属だ。宜しくな。今日は授業はないから、学院を見て回るなり他の生徒と交流するなり好きにしろ。明日の午前中は学院案内、午後からは実技講習に入る。では解散!」

 

タクトとシンは、資料や教科書等を異空間収納に収めた。

 

マリア「シン、タクト、ちょっと良い?」

 

タクト「どうした?」

 

マリア「シシリーの事で相談があるの。」

 

シン「何か困り事?」

 

マリア「うん。」

 

 

 

 

廊下で困ってる事を2人に話す。

 

マリア「実は・・・シシリーに付き纏ってる男が居るの。」

 

シン「なっ!」

 

タクト「何だと?何時からだ?」

 

マリア「シンとタクトに初めて会った後位からかな・・・シシリーは何度も断ってるのに、そいつ、実家の権力を笠に着て脅しまで掛けて来てるの。」

 

シン(シシリーを脅すだと・・・!?許せん!!)

 

タクト「権力を振り翳してか。」

 

マリア「えぇ。でもシシリーが自分の思い通りにならないのが相当頭にキテるらしくて・・・そろそろ無茶な手段に出て来そうなのよ。」

 

タクト「最低な野郎だな。それで、そのストーカー男は何処に居るんだ?」

 

マリア「その男って言うのが・・・この学院に居るの。」

 

タクト「何だと?新入生か。」

 

シシリー「ごめんねシン君、タクト君・・・こんな話聞かせて・・・」

 

シン「何言ってんだ。寧ろ知らせてくれて良かったよ!」

 

タクト「それに、困ってる人を見過ごすなんて俺達には出来ねえよ。なぁ?」

 

シン「そうそう。」

 

シシリー「(やっぱり・・・シン君がそう言うと・・・)ごめんなさい・・・」

 

シン「ん?」

 

タクト「権力を笠に着てシシリーを脅す・・・あ!シシリー、マリア、俺そいつの名前知ってるぞ。」

 

シシリー「え?」

 

マリア「本当に?」

 

タクト「ああ。そいつの名前は・・・本人から聞こうか。」

 

マリア「え?」

 

後ろからある人物が。

 

 

 

 

 

 

カート「おいシシリー!!貴様、俺の婚約者でありながら他の男と話すとは何事だ!!!」

 

 

 

 

 

 

ストーカー男の正体は、カートだった。

 

シン「カート!?」

 

タクト「やはりな・・・カート=フォン=リッツバーグ。」

 

マリア「シン、タクト、彼奴よ!彼奴がずっと付き纏って、勝手に自分の婚約者だって言い触らしてるの!」

 

怯えるシシリーがシンの後ろに隠れる。カートがカッとした。

 

カート「こっちに来い!!」

 

シシリーを無理矢理連れて行こうとしたが、シンに腕を掴まれた。

 

カート「グアッ!!」

 

シン「懲りねえなお前も!」

 

タクト「自分が何をしてるのか分かってるのか?」

 

カート「無礼者めが・・・!!いいか!!そこの女は俺の婚約者だ!!貴様なんぞに話をする権利はない!!引っ込んでろ!!」

 

シシリー「っ・・・!!」

 

タクト「それって、親公認か?」

 

カート「何だと!?」

 

タクト「シシリーがお前の婚約者なら、お前がシシリーの両親に会ってるはずだろ?なぁ?」

 

マリア「そうよ!」

 

カート「黙れ!!!貴様らが口答えする権利は無いと言ったはずだ!!!」

 

タクト「はぁ・・・」

 

聞く耳を持たないカートに対して溜め息した。

 

シン「あんな事言ってるけど、どうなの?」

 

震えるシシリーに対し、シンが彼女の肩に手を置いて落ち着かせる。

 

シン「大丈夫だよ。何かあっても、俺が守ってやる。だから、思った事を言ってみな。」

 

シシリー「シン君・・・」

 

だがどうすれば良いか分からないシシリーに、今度はタクトが。

 

タクト「シシリー、正直に言うんだ。彼奴に恥を掻かせてやれ。」

 

シシリー「タクト君・・・」

 

深呼吸して、勇気を出してカートに刃向かう。

 

シシリー「あなたからの求婚をお断りしました!付き纏われるのも!!勝手に婚約者と言われるのは迷惑です!!」

 

シン(震える位怖かったのに・・・よく言ったぞシシリー。)

 

カート「貴様・・・この俺に逆らうと言うのか!!」

 

シシリー「逆らいます!!私はあなたの言いなりになるつもりはありません!!」

 

逆らったシシリーの両肩をガッと掴んだカート。

 

カート「何様のつもりだ・・・!!貴様ら女は男の傍で愛嬌でも振り撒いてりゃいいんだ!!!!しかもこの俺の傍に侍らせてやろうと言うのに!!巫山戯るなバカ女が!!!!」

 

タクト「ッ!!」

 

激怒したタクトがカートをシシリーから離した。

 

カート「っ!?」

 

タクト「お前!そんな事を言って自分の思い通りになれると思ってんじゃねえぞ!お前がシシリーの婚約者になったんなら、素直に婚約者の言う事に従えば良いだろ!」

 

カート「ぐぎぎ・・・貴様ら・・・・!!!く・・・くくく・・・そんな事言って良いのか?」

 

タクト「何だと?」

 

カート「シシリー、貴様の父親は財務局の管理官だったな?」

 

シシリー「っ!」

 

カート「俺の父は財務局の事務次官だ!!俺が父に一言掛ければ・・・くく・・・どうなると思う?」

 

シシリー「っ!!」

 

シン(此奴・・・何処まで!!)

 

怒りが頂点に達したが、タクトがカートの胸元を掴んだ。

 

カート「ま、まだ何か言いたいのか・・・?くくく・・・何度言っても無駄だぞ!!だったらお前の行為も父に告げ口してやるよ!!そうすれば貴様はこの国から永久追放だ!!はははははは!!!」

 

余裕で笑うカートだが、タクトがカートに打撃を与える言葉を発した。

 

タクト「それって、()()()()()()()じゃねえのか?」

 

カート「っ!?何だと・・・!!!」

 

彼を後ろに突き飛ばす。

 

カート「があっ!!」

 

静かに怒りを燃やすタクトが、カートに打撃を与える。

 

タクト「権力の笠と親で彼女を物にしようなんて、現実はお前が思ってる程甘くねえんだよ。それに、財務局のリッツバーグ事務次官と言えば、公明正大で不正や圧力などを最も嫌う堅物の人物として有名。お前の我が儘など聞く気無いと見えるがな。」

 

カート「ぐっ・・・!!」

 

タクト「お前も貴族なら貴族らしく正々堂々とちゃんとした生活しやがれ。自分の親と権力に過信するなんて、それじゃあただのじゃじゃ馬にしか過ぎねえんだよ。テメェなんかより、シンとシシリーとマリア達の方がこの国の常識を持ってんだよ。」

 

シシリー「タクト君・・・」

 

シン・マリア「タクト・・・」

 

カート「き・・・貴様・・・!!!」

 

タクト「さて、ここで白黒付けるか。シシリー。」

 

シシリー「・・・?」

 

タクト「もし付き合うとしたら、俺とカート。どっちが良い?勿論正直に言ってくれ。」

 

カート「それは勿論俺だよなぁ!?」

 

シシリー「私は・・・タクト君が良いです!」

 

カート「なっ・・・!?」

 

タクト「よし、正直に言ってくれた。」

 

正直に言ったシシリーを笑顔で撫でる。

 

シシリー「っ・・・」

 

カート「シシリー・・・貴様・・・!!!」

 

タクト「どうだ?これでお前の婚約者は無くなったぞ。」

 

カート「黙れ・・・黙れ・・・!!」

 

タクト「カート、これ以上俺達に関わるな。そうしないと、自分がどうなるか分かってるのか?」

 

カート「黙れ!!何が自分が弱いだ・・・!!俺はお前より強いんだよ!!!!」

 

タクト「今まで魔人や魔物を討伐し続けた俺より強いのか?」

 

カート「嘘を吐くな!!!貴様のそんな嘘など信じるものか!!!」

 

タクト「だったら、俺を殴ってみろよ。」

 

シシリー「っ・・・!?」

 

シン「おいタクト!?」

 

タクト「さぁ来い。全力で本気で殴ってみろ。」

 

カート「良いだろう・・・後悔しても知らねえぞおおおおお!!!!!」

 

拳でタクトの顔を本気で殴った。

 

シシリー「っ!」

 

シン「っ!」

 

マリア「っ!」

 

カート「どうだ・・・これで懲りたか!?」

 

タクト「・・・そんな程度か?」

 

カート「っ!?」

 

タクト「お前のパンチはそんな程度か?」

 

拳を払う。

 

タクト「お前のパンチは、魔人や魔物に比べたら精々蚊に刺されたレベルだ。」

 

カート「何だと・・・・!!!」

 

タクト「お前少しは筋トレしたらどうだ?そんなパンチじゃ例えシシリーでも守れねえぞ?このリッツバーグ家の恥晒しが。」

 

カート「貴様・・・!!俺を侮辱するなあああああああ!!!!!」

 

拳でタクトをもう1度殴ろうとしたその時。

 

 

 

 

アウグスト「いい加減にしろ!!」

 

 

 

 

丁度そこにアウグストが仲裁に入った。

 

アウグスト「カート=フォン=リッツバーグ。」

 

カート「ア・・・アウグスト殿下・・・!!」

 

アウグスト「先日の私の言葉を忘れたか?」

 

カート「そ、それは・・・!!」

 

アウグスト「しかも、親の圧力を振り翳す事は言語道断、王国貴族にあるまじき行為だ。この事は父上を通して財務局長に伝えておく。万が一にも可笑しな行動を取らんようにな。」

 

カート「そ・・・そんな・・・!!」

 

アウグスト「異論は認めん。もう行け。」

 

カート「くっ・・・分かりました・・・!!」

 

怒りを我慢しながら去って行った。

 

シシリー「ありがとうございました殿下!」

 

タクト「助かったぜオーグ。」

 

アウグスト「何。お前達がどうするか先程から見ていたんだがな。妙な方向に話が進みそうだったから介入させて貰っただけだ。シン、お前がキレたらどうなるか見てみたかったがな。」

 

シン「さっさと入って来いよ!!」

 

右手でアウグストの頭をグリグリする。

 

アウグスト「まあ怒るな。お前が居ればクロード達に危険は無いと確信していたからこそだ。『大丈夫、何かあっても俺が守ってやる。』だろ?」

 

シン「っ!?」

 

アウグスト「格好良かったじゃないか。なあクロード?」

 

シシリー「えぅっ!?・・・あ・・・その・・・・・・・・・か・・・・・格好良かった・・・です・・・・」

 

アウグスト「だそうだ。良かったなシン!」

 

シン(あぁもう、可愛いなチクショウ!!)

 

またまたシシリーに見惚れてしまったシンであった。

 

タクト「ふぅ・・・」

 

制服の襟を直してる。

 

アウグスト「タクト、お前の行動は流石だな。リッツバーグを彼処まで追い詰めるとは。」

 

タクト「いや、俺は彼奴に当たり前な事を言っただけだ。学院内で権力と親を振り翳すのを見て怒りが爆発したからな。けどオーグが来て助かった。流石殿下だな。」

 

アウグスト「おいおい、お前も私を使って権力を振り翳すよ?」

 

タクト「分かってるよ。けどもし彼奴がまた絡んで来たら頼めるか?」

 

アウグスト「そうだな。その時になったら私に言ってくれ。」

 

タクト「ありがとう。」

 

シシリー「あの、タクト君・・・」

 

タクト「ん?」

 

シシリー「さっきは、ありがとうございました・・・その・・・頬のお怪我は・・・」

 

心配しながらタクトの顔を触る。タクトは笑顔でシシリーの手を離す。

 

タクト「良いって事よ。あんな奴がまた来たら俺達がお前を守ってやるからさ。俺が、君の光になってやるからな。」

 

シシリー「私の光・・・?」

 

タクト「ああ。俺が君の光だ。」

 

シシリー「?」

 

タクト「あ、それともし付き合うならシンがピッタリだぞ?」

 

シン・シシリー「え!?」

 

マリア「これでもう彼奴シシリーを諦めたと思う?」

 

シン「いや、あの様子だとまだ気は抜かない方が良いと思うよ。」

 

タクト「あのまま彼奴が大人しくなるなんて考え難い。恨みを抱えたまま、また来るかもな。」

 

マリア「やっぱり?」

 

シン「その事で俺、ちょっと思い付いた事があるんだけど、皆この後、ウチ来ない?」

 

マリア「え!?」

 

シシリー(シン君の家って言ったら・・・)

マリア(シンの家って言ったら・・・)

 

シン「もし用事があるなら・・・」

 

シシリー・マリア「行く!!すぐ行く!!絶対行く!!」

 

シン(・・・よっぽど爺ちゃん達に会いたいんだな・・・)

 

アウグスト「では私も行くか。どうせ父上もシンの家へ行くだろうしな。」

 

タクト「決まりだな。」

 

???「ならば、自分達も御一緒します。」

 

トールとユリウスが来た。

 

シン(確か2人共、同じSクラスの・・・)

 

アウグスト「トール。ユリウス。」

 

シン「ん?知り合い?」

 

アウグスト「ああ。2人共私の護衛だ。」

 

トール「殿下の身に何かあれば大事ですから。」

 

ユリウス「その通り!拙者も伺うで御座る!!」

 

シン(何この人!?武士!?御座る!?)

 

タクト(武士の用語がこの異世界にも!?)

 

マリア「兎に角私達、両親に報告だけして来る!」

 

シン「ああ。騒ぎにならない様に爺ちゃん達来賓室に居るみたいだから、そこで待ってるよ。」

 

 

 

 

 

 

来賓館に行くと、マーリンとメリダとディセウムが待っていた。

 

マーリン「遅かったのう。何かあったかと心配しとったぞ。」

 

ディセウム「全くだ。私は君がまた何かヤラかしたかと・・・」

 

タクト「悪い悪い。」

 

シン「ゴメン爺ちゃん、ディスおじさん、それヒドい。あ、紹介しておくよ。クラスメートのシシリーとマリア。」

 

タクト「そしてトールとユリウスだ。」

 

シン「ちょっとシシリー達も家へ連れて行きたくて。」

 

マリア「っ!?ははは初めまして!!シン君と同じクラスのマママリア=フォン=メッシーナです!!」

 

シシリー「あのその・・・・は、初めまして!!シシリー=フォン=クロードです!!」

 

トール「トールです!」

 

ユリウス「ユリウスで御座る!」

 

タクト「あ、2人にはまだ言ってなかったな。俺シンの家で同居中。」

 

マリア・シシリー「っ!?」

 

ディセウム「フム・・・さてはその青い髪の子がシン君が捜していたと言う・・・」

 

タクト(鋭い。)

 

メリダ「ほう、アンタがそうかい。」

 

シシリー「??!?」

 

緊張するシシリーをじっと見る。

 

シン「だ〜〜〜もういいから!!早く家行こう!早く!!」

 

レア「おいシ〜ン?何たじろいてるんだぁ〜?」

 

後ろからレアが顔を出した。

 

シン「うわああ!?レアお前!!」

 

タクト「シシリー。マリア。紹介しよう。彼女達は俺の仲間だ。」

 

シシリー「は、初めまして!」

 

フェオン「宜しくね。」

 

タクト「それと、フェオンは俺の妻だ。」

 

そう言って左手のマリッジリングを見せた。

 

シシリー・マリア「ええ!?」

 

 

 

 

 

 

帰宅&招待。

 

メリダ「成る程、式の後にそんな事があったのかい。」

 

マーリン「ディセウム、この国の貴族にはまだそんなのが居るのか?」

 

ディセウム「一部選民意思の強い者がまだ居りますが、我が国の貴族の意識改革は順調に進んでいるはずです。それに、財務局のリッツバーグ事務次官と言えば公明正大で有名・・・その息子がそんな事になっているとは信じられません・・・」

 

タクト「じゃあ、カートの身に何かあったと言う事なのか?」

 

ディセウム「フム、それしか考えられない。」

 

タクト「今度徹底的に彼奴を尋問するか。」

 

イザベラ「あの、カートさんって何者なんですか?」

 

タクト「カート=フォン=リッツバーグ。リッツバーグ家の嫡男で、親の権力を使ってシシリーを強引に婚約者にしようとしたんだ。」

 

エミリー「学院で振り翳してるのか?」

 

タクト「ご明察。」

 

シン(そんな立派な父親が息子の勝手な都合を聞き入れるはずないのに・・・何でカート君はあんな事言ったんだ?)

 

アウグスト「まあそれはそれとしてシン、思い付いた事とは何だ?」

 

シン「あ、そうそう。婆ちゃん、俺この間制服の付与書き換えたじゃない?同じものをシシリーの制服にも付与してあげたいんだけど・・・良いかな?カート君の件でまだ不安があるし、彼女の守りを固めておきたいんだ。」

 

シシリー「え?」

 

マリア「付与!?」

 

アウグスト「どう言う事だ!?」

 

シン「凄いよこの記事。20文字も付与出来たし。」

 

タクト「本当に凄いもんだ。」

 

メリダ「そうさねぇ・・・シシリーと言ったね?」

 

シシリー「は、はい!」

 

メリダ「シンの言ってる付与魔法とは、とんでもない代物だ。それにお前さんの制服にも付与しようとしている。この子は本気でアンタを守ろうとしてるって事さ。アンタはその守護を受け取る”資格”があると思うかい?」

 

シシリー「資格・・・」

 

シン「大袈裟だよ婆ちゃん。俺がやりたいだけなんだから・・・」

 

メリダ「お黙り。アンタの制服、今どんな状態か分かっているのかい?」

 

シン「どんな状態って・・・」

 

メリダ「それは既に国宝級の宝具だよ。」

 

全員「国宝級!?」

 

マーリンとメリダとディセウムを除いた全員が驚いた。

 

タクト「国宝級・・・」

 

フェオン「そ・・・そんなに・・・?」

 

メリダ「この子がまたハッチャけてとんでもない効果を付与しちまったのさ。価値にしたら、一体幾らの値が付くか分からない。そんな処理をこの子はアンタの制服に施そうとしてる。それを受け入れる資格は、覚悟はあるのかい?」

 

シシリー「・・・・・」

 

 

 

『大丈夫だよ。何かあっても、俺が守ってやる。』

 

 

 

シシリー(シン君・・・)

 

あの言葉を思い出して、勇気を出してメリダに言う。

 

シシリー「私・・・には・・・その資格は・・・ありません。」

 

メリダ「ん?どう言う事だい?」

 

突然シシリーが涙を流し始めた。

 

シン「シシリー!?」

 

タクト「っ!?」

 

シシリー「私は・・・シン君の優しさに付け込みました・・・シン君に私の事情を話せば・・・私に同情してくれる・・・助けてくれる・・・そう期待して、私の事情を話しました・・・」

 

マリア「違うの!!これは元々私が・・・!!」

 

シシリー「マリアは悪くない!聞いて貰うと決めたのは私だから・・・!!」

 

メリダ「まあ、この子は強いからね。頼りになるのも分からんでもないさね。」

 

シシリー「でも・・・!!でも・・・シン君には関係ないのに・・・やっぱり助けてくれて・・・守ってやるって言ってくれた事が嬉しくて・・・期待して・・・全部自分の勝手な都合なのに・・・!!」

 

シン(あの時の言葉は・・・そう言う事か・・・)

 

あの時シシリーが『ごめんなさい』と言った理由を把握した。

 

シシリー「メリダ様!!お孫さんを利用しよとして申し訳ございませんでした!!!この後の事は自分で何とかします!!!」

 

謝罪して、立ち去る。

 

シン「シシリー!!」

 

しかし。

 

メリダ「お待ち!!」

 

後ろからメリダに止められた。

 

メリダ「シシリー、よく正直に話したね。シンを利用しようとしてるのはすぐに分かったよ。もしそのままシンの付与魔法を受けようとしたなら、叩き出してる所さね。」

 

シシリー「・・・うう・・・ひっ・・・うぐっ・・・」

 

メリダ「でもアンタは正直に話した。付与された宝具の価値を知った後にだ。それを手にするチャンスを自分で放棄する事は、誰にも出来る事じゃない。」

 

シシリー「でも・・・でも・・・わた・・・私・・・シン君・・・騙して・・・」

 

泣きじゃくるシシリーの頭をメリダが撫でる。

 

メリダ「女が男を騙して何が悪いんさね。アンタのした事なんざ可愛いもんさ。シンを見てごらん?気付いてもいないよ。寧ろ可愛い女の子に頼られたもんだから張り切ってる位じゃないかい。」

 

シン「悪かったな!!・・・シシリー、俺は騙されたなんて思ってないよ。シシリーを助けようと思ったのは俺の意思だよ。だからさ、俺の意思を否定すんなよ。」

 

シシリー「・・・・」

 

シン「利用してくれて大いに結構だよ!寧ろ事情を聞かされないでシシリーに何かあった方が後悔するわ!」

 

シシリー「シ・・・シン・・・君・・・!」

 

するとメリダがシシリーを優しく抱擁した。

 

メリダ「試す様な事をして悪かったねぇ。シンが付与する防具を渡すには、どうしても確認しなきゃいけなかったから、悪かったね。」

 

シシリー「う・・・うぅ・・・うわああああん!!!」

 

大いに泣いた。

 

 

 

 

その後シシリーが落ち着いた。

 

メリダ「付与については、一切他言無用だからね。」

 

シシリー「は・・・はい!」

 

シン「じゃあ早速付与しようか。シシリー、服とスカートを・・・」

 

シシリー「こ、ここで・・・?」

 

シン「はっ!」

 

タクト「馬鹿!」

 

後ろからタクトにビンタされた。

 

メリダ「おいでシシリー。私の服を貸してあげる。」

 

シシリーを別室へ連れて行く。

 

マーリン「のうシン。」

 

シン「何?爺ちゃん。」

 

マーリン「ワシ、あの子がシンを利用しとるなんて全く気付かなんだわい・・・」

 

シン「何だよ爺ちゃん・・・俺もだよ・・・」

 

マーリン「メリダの奴、よく気が付いたのう・・・」

 

シン「女としての年季なんじゃない?」

 

マーリン「もし事実を打ち明けずに効果を付与しておったら、罪悪感であの子の心は押し潰されていたかも知れんの。」

 

シン「だからさ、そんな大事なの?」

 

タクト「自覚無しめ。」

 

マーリン「それよりもう・・・」

 

シン「何?」

 

マーリン「あの婆さん、ここの権限握っとらんか?ワシ、さっき完全に空気じゃった・・・」

 

イザベラ「私達もですマーリン様・・・」

 

シン「頑張れ!爺ちゃん!」

 

タクト「頑張れ!皆!」

 

タクト、アウグスト、マリア、ディセウム、トール、ユリウス、フェオン達もさっきまで空気だった。

 

 

 

 

 

 

別室。

 

メリダ「それにしても、よく正直に言ったもんだね。だって国宝級だよ?私の若い頃なら絶対黙ってたね。」

 

シシリー「私じゃどうしようもない状況なのは、確かなんですけど・・・それでも黙ってるのは・・・やっぱり苦しくて・・・」

 

メリダ「(成る程ねえ、良い娘じゃないか)所でシシリー。」

 

シシリー「何でしょうか?」

 

メリダ「アンタ、シンの事はどう思ってる?」

 

シシリー「え・・・ええ!?」

 

メリダ「アンタみたいな良い娘に、シンの事を頼みたいんだけどねえ。」

 

シシリー「たたた頼むって!?」

 

メリダ「その様子じゃ、満更でもないんだろ?」

 

シシリー「そ・・・それは・・・その・・・嫌いではないです・・・絶対・・・でも、す・・・好きかって言われると・・・シン君の事は・・・優しいとか・・・なのに・・・強いとか・・・か・・・格好良いとか知りませんし・・・良く分かりません・・・」

 

メリダ「・・・それで十分な気もするけどねえ・・・」

 

シシリー「え?」

 

メリダ「いや何でもないよ。(この娘は何とか確保したいねえ。)」

 

何かを企んでるメリダだった。

 

 

 

 

その後。

 

メリダ「自分の常識外れを知る良い機会だシン。皆の前で付与しな。」

 

シン「はいはい。」

 

付与を開始。複数の文字が浮かび上がった。

 

ディセウム「な・・・何だこれは!?文字が浮かび上がって・・・魔法防御・・・衝撃緩和・・・まさか・・・制服に付与された文字・・・!?」

 

ユリウス「この様な光景を初めて見るで御座るな・・・」

 

更に杖を使って、不要の付与魔法を消す。

 

シシリー「文字が・・・消えていく・・・!」

 

マリア「まさか・・・付与魔法を削除してんの!?」

 

メリダ「はぁ・・・何回見ても非常識な光景さね・・・」

 

マーリン「ほっほっ。誰も考え付かん事を平気でやりよる。成長したのう。」

 

メリダ「アンタがそんなんだからシンはぁ!!」

 

怒ってマーリンの首を絞め上げる。

 

タクト「まあまあお2人共。」

 

シン「・・・じゃあ新しい魔法を付与していくよ。」

 

そしてシシリーの制服に魔法を付与した。

 

ユリウス「同じ付与を・・・続けて3つ別々の物に・・・!?」

 

トール「普通は1つでも大変なのに・・・」

 

ディセウム「見慣れん字だが・・・どんな効果を付与してるんだい?」

 

シン「絶対魔法防御、物理衝撃完全吸収、自動治癒、防汚・・・の4つ。」

 

アウグスト「何やら不穏な単語が聞こえたな。」

 

ディセウム「絶対・・・魔法防御・・・!?そんな事が可能なのか・・・!?」

 

シン「俺も相当苦労したよ。そのイメージを作り上げるのにね。全ての魔法を防ぐ為に『堅い壁』をイメージしてたんだけど・・・上手くいかなかったんだ。火は防げても、電撃が防げなかったり。・・・っで、発想を転換してみた。服を包むように魔力の障壁を展開させて・・・発動した魔法が、その障壁に触れると魔力が霧散するイメージを付与してみたんだ。」

 

マリア「魔力の霧散・・・!?魔法使いの存在意義に関わる付与ね・・・」

 

シン「衝撃吸収の方は、服に向かって働いている運動エネルギーを消失させるイメージだよ。」

 

ユリウス「ぶ・・・物理攻撃も効かないで御座るか・・・!!」

 

シン「よし!出来た!!」

 

付与完了。

 

アウグスト「もう何でもありだな・・・」

 

ユリウス「そもそも付与の書き換えって・・・」

 

メリダ「本当、常識を疑うわ・・・」

 

シン「あれ?」

 

タクト「引いてるなあの四人衆。」

 

シン「でも、飽く迄これ魔法道具だから、魔力を通さないと発動しないでしょ?だから不意打ちとか防げないんだよね。それに制服以外の所はカバーされないから、手足と頭は無防備なんだよ。」

 

ディセウム「いやしかし・・・それを補って余りある魔法効果・・・メリダ師の仰った事がよく分かった。」

 

アウグスト「しかし父上、これは・・・」

 

ディセウム「分かっている。シン君、その付与は素晴らしい物、いや素晴らし過ぎる。しかし、これが世に出回ったら大変な事になる。絶対に他言していけないよ。」

 

シン「分かってるけど、そこまで念を押す様な事?」

 

ディセウム「そこまでの事なんだよ。もしその付与の事が軍部に伝わったら・・・周辺国に宣戦布告を望む声が上がる可能性が高い!」

 

シン「宣戦布告・・・!?」

 

タクト「要は、武力に取り憑かれる可能性か。」

 

ディセウム「ウム。考えてもみてごらん。魔法も物理攻撃も効かず、怪我もすぐ治る。そんな防具を着た兵士が揃っていれば、他国の軍勢など圧倒出来ると思わないかい?人間は誘惑に弱い。他国より圧倒的に有利な状況で戦争を始められるとなれば、この誘惑に負けてしまう者は・・・確実に出る。」

 

シン「そ・・・そんな・・・!(俺は・・皆の身を守られたと思っただけなのに・・・戦争の道具にされるとか考えもしなかった・・・これも、この世界の現実なんだ・・・)ごめん、俺・・・そんな事まで全然考えてなかったよ・・・」

 

メリダ「っ!!ああ・・・シンが・・・シンが初めて自分の非常識を反省してくれたよ!!」

 

マーリン「ほっほっ。」

 

ディセウム「分かってくれれば良いんだよ、シン君。」

 

シン「本当はオーグの制服にも付与しようと思ってたけど・・・これ以上広まるのはマズイよね。」

 

ディセウム「え?シン君!?ちょっと待・・・」

 

シン「オーグごめんな。お前の制服には付与してやれないわ。」

 

ディセウム「ちょっと待とうかシン君!確かに口外はマズイが・・・運用さえ間違えなければ良いと思わないかい!?」

 

シン「そりゃそうだけど・・・」

 

ディセウム「そうだろう!!身を守る手段としてこれ以上の物はない!!そしてやっぱり王族にはそれなりの守りは必要だと思うんだよ!!うん!!だから息子には・・・はは・・・ダメ?」

 

タクト「ダメに決まってんだろ!!あんたそれでもこの国の王か!!」

 

ディセウム「あ・・・あれ?」

 

仕方無くアウグストの制服にも付与してあげる事にした。

 

 

 

 

 

 

その後の外。

 

シン「結局追加で付与したのはオーグとトールとユリウスの3人分か。」

 

トール「僕らは護衛ですから必須です。」

 

ユリウス「辱いで御座る。」

 

タクト「一応フェオン達にも与えてやろうと思ったけど、大丈夫だったな。」

 

フェオン「国宝級だなんて、恐縮しちゃいもの。」

 

タクト「だな。マリア、お前はいいのか?」

 

マリア「いい。そんな国家機密の塊みたいなの着たくない。」

 

シン「じゃあシシリー、明日から俺とタクトがまず家に迎えに行くからマリアと待ってて。それで登下校中の心配はないよね?」

 

シシリー「シン君・・・ありがとう。まだちょっと怖い・・・でも、シン君が本気で守ってくれてるのが分かります。凄く嬉しいです!」

 

シン「・・・・」

 

タクト「・・・・」

 

シン「あ、後2日目からはゲートの魔法での移動になるからね。俺が1回行った場所にしか移動出来なくてさ。」

 

マリア「ん?ゲートって何?」

 

シン「こう言う事。」

 

ゲートを出した。

 

マリア「っ!?」

 

シン「中入ってみて。」

 

ゲートに入る。

 

 

 

 

 

 

出た場所は、古い民家の前。

 

タクト「何と懐かしい場所だな。」

 

マリア「えーと・・・ここ・・・何処?」

 

シン「俺と爺ちゃんが前に住んでた家。」

 

アウグスト「ちょっと待て!お前は森の奥に住んでたって言ってたな!?」

 

シン「ここがそうだよ。」

 

マリア「まさか転移魔法!?」

 

シン「転移とはちょっと違うんだけどね。場所と場所を繋げると言うか。」

 

マリア「いや、ちょっと意味分かんない・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

戻って来た。

 

シン「ゲートは1度行った場所にしか作れないから、家まで馬車で送って開通させるよ。」

 

シシリー「は、はい・・・」

 

マリア「色々驚き過ぎて頭痛くなってきた・・・」

 

トール「皆が言う程の常識知らずではないと思ってましたけど・・・」

 

ユリウス「魔法の常識知らず・・・」

 

アウグスト「主席殿も一般常識は落第だな・・・」

 

シン「そんなに非道くはないだろ?」

 

全員「え・・・?」

 

シン「え?エヘヘ・・・あれぇ?」

 

アウグスト「シン・・・お前常識を学ぶ前に、自分の行動見直した方が良いと思うぞ。」

 

シン「・・・な・・・何だよ皆して・・・」

 

タクト「オーグの言う通りにするんだな。」

 

シン「何だよタクトまで・・・」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:萩谷慧悟

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑

フェオン:内山夕実
イザベラ:黒沢ともよ
エミリー:大橋彩香
ヒナ:高野麻里佳
レア:本渡楓
アンナ:近藤玲奈
グレア:高橋李依

カート=フォン=リッツバーグ:増岡大介
アルフレッド=マーカス:駒田航

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
スティーブ:伊原正明
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭

試験官:八木侑紀
受験生:市川蒼
     松田修平
    狩野翔
     難波佑香
受付:水谷麻鈴





次回予告

護衛の為、シシリー、マリアと一緒に登校するタクトとシン。一方、様子の可笑しいカートは、中等生の頃怪しい先生の研究室に通っていた経歴があった。

次回ウルトラマンティガ

戦士と緊急事態

お楽しみに
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