ウルトラマンティガ THE ULTIMATE MAGICIANS   作:naogran

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それぞれの日常



第34話「それぞれの日常」

シシリー(シン君・・・)

 

シン「シシリー・・・!?」

 

目を開けたシンは、ベッドの上で汗を流していた。

 

シン「・・・」

 

横を見ると、気持ち良さそうに眠っているシシリーの姿があった。

 

シン(夢・・・じゃない・・・俺・・・本当に昨日シシリーと・・・)

 

シシリー「・・・ん・・・」

 

眠っていたシシリーが起き上がった。

 

シシリー「・・・あれ?シン君・・・はっ!!」

 

身体を起こしたが、我に帰って布団に隠れた。

 

シシリー「・・・お・・・おはようごじゃいます・・・」

 

シン(可愛過ぎる・・・!!)

 

改めてシシリーの可愛い一面が見れてシンだった。

 

シン「お・・・おはよう・・・」

 

 

 

 

 

 

ウォルフォード邸。

 

マリア「やー、凄い夜だったわねー。」

 

アズマ「色々楽しかったなー。お陰で俺はマリアに告白出来てホッとしたぜ。」

 

マリア「アズマ、ありがとうね。こんな私を。」

 

アズマ「謙遜するな。俺が言ってるんだから自信を持て。」

 

マリア「それもそうね。」

 

エリザベート「それよりマリアさん、昨日の魔道具後で私にも・・・」

 

タクト「皆。」

 

アズマ「おう。タクト。」

 

マリア「あら?マナミア様まで。」

 

マナミア「おはようございます。皆さん。」

 

エリザベート「マナミア様?何故タクトさんとご一緒に?」

 

マナミア「そこでお会いしました。」

 

タクト「おい皆、あれを見てみろ。」

 

エリザベート「あら?」

 

 

 

 

リビングのソファーで寄り添ってるシンとシシリーを見せた。

 

 

 

 

マリア「な・・・何?何時も以上に甘ったるいこの空気・・・」

 

メイ「はわわ!大人の事情です!」

 

マナミア「立派な聖域ですね。」

 

マリア「ねぇ、シシリーって昨日あの夜・・・」

 

エリザベート「確か、お借りした部屋には御両親しか・・・」

 

マリア・エリザベート「・・・そう言う事か!!」

 

理解した2人が目を輝かせた。

 

マリア「そう・・・遂に階段を上ったのね。シシリー・・・」

 

エリザベート「おめでとうと言った方が良いのかしら?」

 

メイ「何の話です?」

 

マナミア「お2人共、落ち着いて下さい。」

 

シン・シシリー「?」

 

タクト「お2人さん。」

 

アリス「おはよー!朝から何してんの?」

 

アウグスト「む。早いなお前達。」

 

マリア「おはようございます。」

 

アズマ「ようオーグ。おはよう。」

 

アウグスト「悪かったな、シン。父上が呑んだくれたせいで世話になる事になって。」

 

アリス「同じく。」

 

マリア「ウチも同じく。」

 

シン「はは・・・別に良いよ。部屋は沢山あるし。」

 

アウグスト「?」

 

シンとシシリーを見て、アウグストが目を見開いた。

 

アウグスト「お前達ひょっとして・・・」

 

エカテリーナ「・・・おはよう・・・」

 

エリザベート「あ!教皇猊下!」

 

酔いから醒めたエカテリーナが頭を抱えながら来た。

 

シン「だ・・・大丈夫ですか?エカテリーナさん。」

 

エカテリーナ「う〜・・・私、昨日呑み始めた後の記憶がないんだけど・・・何か変な事しなかったかしら?」

 

シン「・・・い、いや。別に何も・・・」

 

エカテリーナ「そう・・・良かった。あー頭痛い・・・」

 

タクト(流石にあんな子供みたいな酔い潰れは言えないよなぁ〜・・・)

 

エカテリーナ「記憶が無くなるまで呑むなんて・・・端ない所を見せちゃったわ。早く国に帰らないと。」

 

シン「え!?もう帰るんですか!?」

 

エカテリーナ「夕食後に戻るって言ってあるから、朝私が居ないと騒ぎになり兼ねないわ。」

 

タクト「そりゃあ猊下だもんな。」

 

メリダ「お!ちゃんと起きてるね小娘。」

 

マーリン「さあ戻るぞい。」

 

エカテリーナ「フフ・・・シン君・・・それに皆も。次に会うのは研婚式の時かしらね?それまで元気でね。」

 

シン「・・・はい・エカテリーナさんも・・・どうかお元気で。」

 

エカテリーナ「それじゃあ・・・また。」

 

色々とまだ彼らの知らない秘密を抱えているのであろう教皇猊下エカテリーナは、眩い朝の光の中、笑顔のままゲート魔法の向こうへと去って行った。

 

シン「・・・・」

 

シシリー「どうかしましたか?シン君。」

 

シン「・・・いや、何でも・・・ない。(何だこれ・・・不安・・・?)」

 

心の中で不安を抱えていた。彼らとエカテリーナの再会は結婚式などではなく、その時には想像もし得ない形になるのだが、それはまだもう少しだけ先の話。

 

 

 

 

 

 

タクト達5人の誕生会は無事に終了し、しばしの間それぞれが元の日常に戻って行った。

 

 

 

ある日のアールスハイド王城。

 

召使い「アウグスト殿下。陛下がお呼びで御座います。」

 

アウグスト「そうか。分かった。」

 

 

 

 

ルーパー「最近、よく陛下のお呼びが掛かるな。」

 

ドミニク「少し前から積極的に国政に参加されるようになったからな。誰とは言わんが・・・御友人が騒動を起こす度にその尻拭い・・・いや、事後処理をされてきた事も影響しているだろう。」

 

ルーパー「世界を揺るがす騒動ばかりだから自然とそうなるわな・・・ま、誰のせいとは言わねェが。」

 

明らかにシンだと確信している。

 

ドミニク「加えて自らはアルティメット・マジシャンズの一員。実質世界トップレベルの実力を持つ魔法使いだ。正式に王太子となった今・・・特に軍事に関してアウグスト殿下の発言力はかなり大きい。」

 

ルーパー「殿下を取り巻く国のお偉方もその発言力に肖っておきたいって所か。」

 

ドミニク「・・・言いようによってはまぁ・・・そうだな。」

 

 

 

 

トール「魔人領攻略作戦についての話ですかね。」

 

アウグスト「「まあそうだろうな。一刻も早く終息宣言を出せるようにしなければな。それが終わるまではシンやタクトやアズマや私達の結婚式所じゃないしな。」

 

トール「・・・つかぬ事をお伺いしますが・・・それは、はやり殿下も早くエリー殿と結婚したいと言う意味ですか?」

 

アウグスト「・・・」

 

トール「それとも・・・シン殿の為に?」

 

アウグスト「・・・まあ確かにそう言った理由もあるが・・・」

 

ユリウス「おや?では他に何か早く結婚式を執り行いたい理由が?」

 

アウグスト「・・・私とシンとタクトとアズマの結婚式はエカテリーナ教皇猊下が執り行う。それはつまり、世界を救った英雄の結婚式を世界一親愛を寄せられている者が執り行うと言う事。それはどんな光景だろうな。」

 

 

 

 

シンとシシリー、アウグストとエリザベート、タクトとマナミア、アズマとマリアの結婚式を想像する。

 

 

 

 

トール「平和な・・・幸せな光景ですね。」

 

ユリウス「魔人騒動に心底疲弊している民衆にとっては、これ程喜ばしい事はないで御座るな。」

 

アウグスト「そう言う事だ。全ての事態が終息し、世界に平和が訪れた事を示すのに、私達の結婚式ほど()()()()()はない。」

 

トール(自らの結婚式すらも民衆を安心させる為の手段・・・ですか。)

 

ユリウス(自身の幸せを後回しにする姿勢が、あの歳でもう板に付いて来てるで御座る。これではこの先あまりにも・・・)

 

トール(やはりここは・・・)

 

コソコソと話し合って、ある事を閃いた。

 

トール「な〜るほど!殿下は御自身の結婚式を()()()()()にするおつもりなんですね!エリー殿が聞いたら何と仰るでしょうね!」

 

アウグスト「!?」

 

そう言われたアウグストは、トールの胸倉を掴む。

 

アウグスト「おい・・・エリーには言うなよ?教皇猊下に結婚式を執り行って頂けると言う事ですごく幸せそうなのだ。その幸せに水を差すんじゃない!」

 

トール「そうでしょうね。シシリー殿とドレスを選んでおられた時も心底楽しそうにしてましたからね。」

 

胸倉を掴まれたトールは笑顔で会話を続けた。

 

トール「エリー殿は本当に幸せそうです。それに引き換え、新郎である殿下と言ったら・・・」

 

ユリウス「結婚式を政治の道具としか見えてないで御座る。」

 

アウグスト「おいちょっと待て。別に私は・・・」

 

トール「殿下。殿下自身はエリー殿との御結婚の事、どうお考えなのですか?」

 

アウグスト「・・・」

 

今までのエリザベートとの触れ合いを思い返す。

 

アウグスト「望んでいるに決まっている。エリーを幸せにする事は私の使命だ。」

 

トール「・・・そう仰るのなら、まずは殿下もエリー殿との婚礼を喜び楽しみにしてあげて下さい。民衆を想う前にです。そうでなければ、エリー殿だけではなく・・・殿下も可哀想です。」

 

アウグスト「・・・私も?」

 

トール「お立場もありましょうが・・・殿下は御自身を蔑ろにし過ぎです。御結婚は殿下自身も幸せになるべきものですから。」

 

ユリウス「もっと自分の事を第一に考えても良いで御座る。」

 

アウグスト(私を慮っての事とは言え・・・ここまで遠慮なく意見するようになったのは、やはりシンの影響か・・・全く、変われば変わるものだ。)

 

 

 

 

 

 

幼少期。

 

トール『トール=フォン=フレーゲルです。ほんじつより、でんかのごえいをつとめさせていただきます。』

 

ユリウス『おなじく、ユリウス=フォン=リッテンハイムでごじゃる。』

 

召使い『間違えるなよ?飽く迄お前達の役目は、最も身近で、その身を持って殿下をお守りする盾なのだからな。』

 

トールとユリウスがアウグストの護衛として王城に連れて来られた。

 

 

 

 

少年期。

 

アウグスト『おい、退屈だ。何か遊びに付き合え。』

 

トール『それは出来ません・・・我々は護衛ですから。』

 

 

 

 

アウグスト『なあ・・・今日の授業の魔力制御の件で意見を聞きたいんだが・・・』

 

トール『お待ち下さい。すぐに魔法師団の者を呼んで参りますので、そちらにご相談を。我々は護衛ですから。』

 

 

 

 

 

 

そして今に至る。

 

アウグスト(シンとタクトと出会うまでは、対等な会話などろくにした事がなかったと言うのに・・・)

 

昔を思い返したアウグストが、優しく微笑んだ。

 

アウグスト「お前達の心遣いには感謝する。我々の結婚式にそう言った意味合いが含まれる事は変わらんが、その式自体は私も楽しみに待つとしよう。」

 

トール・ユリウス「ほっ・・・」

 

ほっと撫で下ろしたトールとユリウスを見て、アウグストがある提案を思い付いた。

 

アウグスト「よし!それならお前達の結婚式も盛大にやると言うのはどうだ?私ばかり楽しんでは悪いからな。」

 

トール・ユリウス「へ?」

 

アウグスト「お前達の時は式の後、王都中をパレードで練り歩く事にしよう。」

 

トール「え?ちょ・・・」

 

アウグスト「そうだな。オープンの馬車で・・・触れを出して沿道には人を集めようじゃないか!」

 

トール「で・・・殿下ぁ!!それはちょ・・・お許しを!!」

 

ユリウス「恥ずかしくて死んでしまうで御座る!!」

 

アウグスト「ははは。遠慮するな。感謝の気持ちだ。」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、クリスティ邸・廊下。

 

タクト「フェオン達はプチ旅行を行ったか。さてと、今日は暇だし散歩でもするかな。」

 

エスタ「タクト様。」

 

タクト「エスタ。」

 

前からエスタが歩いて来た。

 

エスタ「タクト様。」

 

タクト「ん?どうした?」

 

エスタ「タクト様にお手紙が来ています。」

 

1通の手紙をタクトに渡した。

 

タクト「手紙?差出人は・・・ザルム=フォン=レストレッド?王家の文官が何故?」

 

封筒を開けて手紙を読む。

 

タクト「っ!?・・・!!」

 

手紙の内容を読んだタクトが持っている手紙を強く握り締めて怒った。

 

エスタ「タクト様?」

 

タクト「エスタ。ヨナとクララベルは?」

 

エスタ「リビングの清掃をしております。」

 

タクト「分かった。」

 

すぐにリビングへ向かった。

 

 

 

 

リビング。

 

タクト「ヨナ。クララベル。」

 

ヨナ「あ、タクト様。」

 

タクト「仕事中にすまない。話がある。」

 

クララベル「話ですか?」

 

タクト「この手紙を見ろ。」

 

送られた手紙の内容を見せた。

 

ヨナ・クララベル「っ!?」

 

手紙の内容を見たヨナとクララベルが怯え始めた。

 

タクト「この事は俺に任せて貰うが、君達の力も少し借りたい。大丈夫か?」

 

ヨナ「・・・はい。」

 

クララベル「・・・分かりました。」

 

タクト「よし。じゃあ後で。」

 

 

 

 

 

 

魔物ハンター協会では。

 

マリア「えーと・・・今日はどの素材が高いのかな・・・っと。」

 

アズマ「マリア、どれにするんだ?」

 

ミランダ「・・・・」

 

ケイティ「どれも安い物ばかりだねぇ。」

 

学院帰りにマリアがアズマとミランダと一緒に魔物ハンター協会に来ていた。そしてケイティはたまたまここで会って一緒に行動してる。

 

ミランダ「マリア・・・アンタ貴族じゃなかったっけ?」

 

マリア「貴族よ。一応。」

 

ミランダ「・・・なら何で毎日のようにこんな所通ってんの?学院帰りに・・・しかもアズマさんも連れて。」

 

マリア「そりゃ、お小遣い稼ぎとか・・・後、普段のストレス解消とか・・・それにアズマは私の婚約者だし。」

 

アズマ「婚約者なら、どんな時でもコミュニケーションを高めないといけないしな。」

 

ミランダ「稼ぎ方とか解消の仕方が、最早貴族のそれじゃないんだけど・・・」

 

ケイティ「一般的なハンターの考え方だね。」

 

マリア「う、五月蝿いなぁ!元はと言えばミランダ!アンタの頼みで魔物狩り始めたんでしょーが!」

 

ミランダ「・・・ま、私はお陰様で。こうして実戦を積めてるからありがたいだけなんだけど。」

 

マリア「・・・って言うか、何をそんなにストレス溜める事があんのよ?」

 

ミランダ「いや・・・私の周りカップルとか婚約者居たりとか、そんなのばっかで・・・」

 

マリア「そんなのまだ良いじゃない!!」

 

ミランダ「私なんて周りの男から女扱いされてないんだよ!?マナミア様だけ女扱いされてるのに!!ホンットあの馬鹿共と来たら!!口にするのは女の話ばっかの癖に私みたいな筋肉質な女は女として認識してないし・・・!!子供みたいな遊びで馬鹿騒ぎしてばっかだし・・・!!本当少しはウォルフォード君を見習って欲しいよ!!」

 

マリア「お?何?ミランダ、シンに惚れちゃった?」

 

ミランダ「あんなに堂々と彼女とイチャイチャしてる人に惚れる程節操なしじゃないよ。純粋にそう思っただけ。」

 

マリア「あ、そう。何だつまんない。」

 

ケイティ「まぁまぁ何でも良いじゃん。ミランダも彼氏さんを作れば良いだけの話!」

 

ミランダ「ケイティだって彼氏居ないじゃん。」

 

ケイティ「それも作れば良いだけの話!」

 

アズマ「本当ポジティブだな。そう言えば聞くまでもないんだけど、ジェレミーとローランドは?」

 

ケイティ「毎日のように魔物の肉を食しに行ってる。」

 

マリア「何時もの事か。」

 

依頼の受付を済ませた。

 

 

 

 

 

 

依頼書の場所へ馬車で移動。

 

マリア「そう言えば、剣聖様に稽古を付けて貰えるようになったんでしょ?どんな感じ?」

 

ミランダ「そりゃ、もう最高だよ!!学院での剣術指導が子供のお遊びに思える程の厳しさでさ!!毎日ボロボロになるまで叩きのめされるんだよ!!」

 

マリア「!?」

 

ミランダ「学院が休みの日は朝から晩まで!!普段温和そうな剣聖様が丸で鬼のような形相でさ!!最高でしょ!?」

 

マリア「へー・・・え?それ最高なの?」

 

アズマ「変わってるな・・・ミランダ・・・」

 

 

 

 

依頼書の場所に到着。

 

ミランダ「ああ、早く修行の成果を試してみたい!」

 

マリア(この子、ちょっとドMなんだな・・・)

 

ケイティ「さてさて、お目当ては何処かなぁ〜?」

 

アズマ「たまには魔物を狩るのも良い鍛錬になるな。ミランダ、地図を。」

 

ミランダ「えぇ。地図で狩り場を確認して・・・」

 

4人が地図で狩り場を確認していると。

 

???「何だぁ?王都の協会はこんな子供までハンターやってんのかぁ!?」

 

4人「?」

 

そこに現れたのは、3人の柄の悪そうな魔物ハンターだった。

 

アズマ(ハンターか?)

 

ケイティ(如何にも柄の悪そうな連中だねぇ。)

 

ハンターA「狩り場が被って残念だったなぁ。ここら一帯は俺等が独占して狩らせて貰うぜ。ガキ共はさっさと帰った帰った。」

 

アズマ「一応聞くが、討伐区域と魔物ランク確認した上での討伐か?」

 

ハンターA「あぁ!?舐めてんのか!当たり前だろ!これ見ろやぁ!!」

 

小さいネズミの魔物の死骸が詰まれた袋を見せた。

 

ハンターA「ここら一帯で異常繁殖した魔物()()()共だぜ!!たった半日でこの討伐数!!凄えだろ!!」

 

ハンターB「誰だ!俺等に『ハンターは止めとけ』って言った野郎はよォ!!」

 

アズマ(・・・おいケイティ、此奴等ひょっとして。)

 

ケイティ(うん。ただの雑魚ハンターだね。丸でフレーゲルの街の流れ者みたいに。)

 

ハンターB「お嬢ちゃん達はとっとと家に帰っておベンキョーでもしてな!女の癖に男と一緒にこんな危険区域に遊びに来るんじゃねぇよ!」

 

ハンターA「こんな場所に踏み入って帰れる女が居るとしたら・・・そう!まさに()()()しかいねぇ!」

 

ハンターB「へへ・・・好きだねェ。お前も。」

 

ハンターA「世の凡ゆる戦う男達にとっての女神!!戦乙女!!マリア=フォン=メッシーナ様だあぁ!!」

 

マリア・ミランダ「!?」

 

アズマ(その本人ならここだが・・・)

 

ハンターB「メッシーナ様・・・顔は知らねぇが、確かに。俺達・・・ハンターにとっても憧れの存在だぜ。」

 

ハンターA「馬鹿野郎テメェ!マリア様ファン歴は俺の方が長ぇんだからな!!」

 

ケイティ(あ、ただのアホな流れ者だ。)

 

ハンターC「いや待てお前達!もう1人大事な存在を忘れてるぞ。先の魔人領攻略作戦に於いて・・・学生の身ながらもその実力で、八面六臂の活躍を見せたと言う陰の勇者・・・!!超災害級ハンター!ミランダ=ウォーレス様をな!!」

 

ハンターA「うぉお!お前も渋い所突くねぇ!!」

 

マリア・ミランダ「!?」

 

ケイティ(あはは・・・馬鹿過ぎてお腹痛い。)

 

ハンターA「さぁ!分かったらガキ共は消えな!!ネズミ狩りの邪魔邪魔!!」

 

3人のハンター達はその場を後にした。

 

アズマ「完全に誤解を招いたな。あの連中。」

 

ミランダ「どうしようマリア・・・アズマ・・・ケイティ・・・腹立たしいような・・・恥かしいような・・・」

 

マリア「うーん・・・その前にさ、彼奴等、絶対討伐依頼書をちゃんと確認してないよね。」

 

アズマ「だな。依頼内容は()()の討伐だしな。」

 

ケイティ「ちょっと身の程を弁えさせなくちゃね。」

 

 

 

 

4人は3人のハンターの後を付いて行く。

 

マリア「あのー。」

 

ハンターA「あ!?何だ、まだ居たのか!?」

 

マリア「・・・と言うかですね、この区域の依頼は大発生したネズミの討伐じゃなくて、そのネズミを狙って人里まで下りて来るようになった・・・魔物化した大型の山猫の討伐なんだけど。」

 

ハンター達の真後ろに大型山猫の魔物が現れた。

 

ケイティ「ホラ後ろ。」

 

ハンター達「・・・は?」

 

大型山猫の魔物がハンター達を襲い始めた。

 

ハンター達「ぎゃあああ!!!」

 

ハンターB「ヒィィ!!何だこのバケモンはぁ!!」

 

ケイティ「ああもう言わんこっちゃない。やる?」

 

マリア「えぇ。」

 

最初にマリアが魔力弾を放ち、大型山猫の魔物の胴体に直撃させた。

 

ケイティ「よいしょー!!」

 

2本のナイフを投げて、大型山猫の両目を潰した。

 

アズマ「ミランダ!」

 

ミランダ「えぇ!」

 

その隙にアズマが剣を握って大型山猫の魔物の足を切断し、ミランダが剣を振り上げて大型山猫の魔物の胴体を斬り裂いた。圧倒的な戦い方に、ハンター達が狼狽えた。

 

マリア「ヒューッ!アンタもやるようになったわねぇ。ミランダ。」

 

ミランダ「んー、まだまだ。取り敢えずの目標は1人で災害級を討伐する事かな。」

 

マリア「アズマ。アンタも良い戦法だったわよ。」

 

アズマ「良い鍛錬にもなったしな。」

 

マリア「ケイティは、まぁ何時も通りかな?」

 

ケイティ「ちょっとぉー!それって褒めてなくない?むぅ。」

 

マリア・アズマ・ミランダ「あははは。」

 

マリア「そーだ忘れてた!アンタにシンから預かってた物があったんだ。」

 

異空間収納からある物を出した。

 

マリア「シンのバイブレーションソード。柄はミランダの剣と共通で使えるから、刃の部分だけね。」

 

ミランダ「・・・・」

 

マリア「ん?どした?使うの気が引けて来た?」

 

ミランダ「・・・」

 

 

 

 

シン『もし、この先魔人と戦って行く意志があるなら、新しく一振り用意するよ。』

 

クリスティーナ『今後もその剣に依存せず、修行を怠らない事が第一ですけどね。』

 

 

 

 

ミランダ「・・・まさか!!」

 

快く受け取った。その一方でハンター達がぽかんとしている。

 

ハンターA「ア・・・アンタ等一体・・・」

 

マリア「あれ?まだ居たの?」

 

ケイティ「ねぇねぇ。早い所ネズミを持って帰った方が身の為だよ。」

 

ハンターA「・・・はい?」

 

アズマ「さっきの山猫の魔物がまた現れたんでな。」

 

先程と同じ山猫の魔物が複数現れた。

 

ハンターA「ヒャアア!!」

 

マリア「戦乙女様と超災害級ハンター殿に宜しく言っといてね♡」

 

ケイティ「さぁ!お楽しみの時間だよ!」

 

 

 

 

 

 

一方別の場所では、ジェレミーとローランドが何時も通り魔物の肉を頬張っていた。

 

ジェレミー「今回も悪くないな。」

 

ローランド「ジェレミー様、依頼内容に書かれていた素材は回収しましたか?」

 

ジェレミー「勿論だ。最初に依頼内容の素材を回収からの余った肉を喰う。最高の作法だ。」

 

ローランド「そう言えば、ジネヴラ以外にも逸れた魔物達が心配ですね・・・」

 

ジェレミー「あぁ。亡くなった奴も居たが、生き残ってる奴らが無事なら幸いなんだが・・・」

 

”ガサガサ”

 

ジェレミー「ん?」

 

ローランド「茂みから何かが来ます。」

 

ジェレミー「ローランド、警戒しろ。」

 

茂みから現れた影の正体は・・・

 

ジェレミー・ローランド「お、お前は!!」

 

 

 

 

 

 

石窯亭では。

 

常連客A「オリビアちゃん!注文良いかい?」

 

常連客B「オリビアちゃーん!こっちも〜!」

 

オリビア「はーい!少々お待ち下さぁーい!」

 

今日も石窯亭は常連客で大賑わい。看板娘のオリビアも大忙し。

 

 

 

 

オリビアの父「また増えたなぁ・・・お客。」

 

オリビアの母「・・・って言うか、『オリビア目当て』のお客ね。」

 

オリビアの父「・・・まあ無理もないわなぁ。世間じゃアルティメット・マジシャンズは憧れの英雄様だ。」

 

オリビアの母「その中でもあの子は唯一所在が知られちゃってるものね・・・『会いに行ける英雄』とかって勝手に噂が広まっちゃってるみたいよ。騒ぎが収まるまで見せには出なくて良いって言ったんだけど、自分が出る事で店の売上が伸びるならって、可能な時間はちゃんと顔出してくれるのよ。」

 

オリビアの父「健気だねぇ・・・我が娘ながら。さっ!それに応えるべく俺もせっせと働きますかね!」

 

オリビアの母「そうして頂戴な。」

 

 

 

 

だがこの店でトラブルが発生した。

 

女給「いらっしゃいませ。ご注文は・・・」

 

男「おい!!俺はオリビアを呼んだんだよ!!わざわざ噂のオリビアを見に足を運んでやったってのに!!他はお呼びじゃねえんだよ!!」

 

1人の男の客が大声で怒鳴り始めた。

 

女給「その・・・オリビアさんは別の接客中ですので・・・どうかご理解を・・・」

 

男「何でだよ!さっきはすぐそこで接客してただろうが!!この店は客を差別するのか!?良いからオリビアを呼べ!!」

 

騒ぎを聞いたオリビアの母が来た。

 

オリビアの母「失礼します。何か此方に不手際でも御座いましたか?」

 

男「不手際も不手際だ!何で俺の接客がオリビアじゃなくてこ此奴なんだよ!!」

 

 

 

 

すると石窯亭に2人の男が来店した。

 

 

 

 

オリビアの母「何でと仰られましても・・・彼女は当店のスタッフです。接客するのは当然なのですが・・・」

 

男「だから俺は!!オリビアを見に来たって言ってんだろうが!!」

 

オリビアの母「はあ・・・可笑しな事を仰いますね・・・」

 

男「は!?」

 

オリビアの母「ここは飲食店で御座います。指名制度など聞いた事がありませんが・・・お客様、どちらかのお店とお間違えでは?」

 

それを聞いた客達は男にくすくすと笑った。

 

男「な・・・な・・・」

 

笑われた男の怒りが頂点に達した。

 

男「何だその口の利き方は!!俺はこの国の官僚だぞ!!多忙な中わざわざ来てやったんだ!!分かったらさっさとオリビアを・・・」

 

オリビア「・・・お母さん、もういいよ。」

 

オリビアの母「あらオリビア。」

 

オリビア「その人お客様じゃないよ。営業妨害で出て行って貰おう。」

 

男「な・・・な・・・な・・・貴様!!()()()()()の分際で何て口を!!この俺に恥をかかす気か!!」

 

常連客C「なあ・・・あのオッサンひょっとして・・・」

 

常連客D「うん・・・そうだよきっと・・・」

 

男「こんな店!俺の権力で潰してやるからな!!」

 

???「お前の権力で店を潰すだと?聞き捨てならねぇな。」

 

男「あ!?」

 

突然2人の男達に絡まれ、金髪の男に胸倉を掴まれた。

 

カルマ「アンタみたいな木っ端微塵な人生しか送ってない奴がこの店を潰せると思ったら大間違いだぞ!!」

 

ルブラ「さっきから聞いていたらオリビアオリビアって、他人の娘を馴れ馴れしく呼び捨てで呼ぶんじゃねえぞ!!」

 

この2人の正体は、カルマとルブラだった。

 

オリビア「カルマさん・・・ルブラさん・・・」

 

男「な・・・何だ貴様ら!!この国の不埒者か!?だったら俺の権力で先にお前達を追放してやる!!」

 

カルマ「やってみろよ。今すぐ。」

 

男「・・・い・・・今は無理だ!!」

 

カルマ「良いから今すぐやれって言ってんだろうが!!」

 

男「・・・!!」

 

ルブラ「・・・なぁアンタ、身分証持ってるか?」

 

男「身分証・・・!?」

 

ルブラ「まさか、持ってないって言うんじゃねえだろうな?」

 

男「も・・・持って来るのを忘れたんだよ!!」

 

カルマ「忘れた?おいおい、自分の身分証を肌身離さず持つって、お袋さんから教わらなかったのか?」

 

男「な・・・何なんださっきから!!お前達は何者なんだ!!」

 

カルマ「こう言う者だけど?」

 

2人は自分の市民証を見せた。

 

男「魔物ハンターだと?」

 

ルブラ「こう見えて結構討伐数が3桁超えてるんでね。」

 

男「それがどうしたんだ?それが何になるんだ?」

 

カルマ「おまけに、お前の持ってる常識じゃあ気に入った女が接客するのが当然みたいと思ってるけどよ、もしやお前、その店の常連だったりするのか?生憎だがここは子供から大人まで楽しめる人気の飲食店なんだよ。そうだよな皆!」

 

常連客A「そうだそうだ!!」

 

常連客B「店に迷惑掛けんな!エセ官僚!!」

 

ルブラ「しかも、この店を潰すって言ったか?お前知らねえのか?この石窯亭の看板娘が彼女、アルティメット・マジシャンズの一員のオリビア=ストーンなんだよ。」

 

男「・・・ア・・・アルッ・・・!?」

 

カルマ「その部隊にどんなメンバーが居るのか知ってるよな?」

 

男「は・・・う・・・」

 

カルマ「至高の王族、希代の英雄。2つ名を冠する数々の魔法師団達だよ!」

 

常連客C「やっぱ知らずにこの店に来たのか。あのオッサン。」

 

常連客D「美人の店員が居るって程度の噂で来ただけなんだろ?道理で『たかが給仕』なんて言える訳だ。」

 

全てを理解した男が腰を抜かした。

 

男「あ・・・いや・・・あわ・・・」

 

カルマ「そんな繋がりがあるこの店を一役人のお前が潰すだと?やれるもんならやってみろよ。今すぐに。」

 

男「・・・こ・・・この事はどうか内密に・・・」

 

ルブラ「おやぁ?俺達は言い触らす事なんてしないよ?」

 

カルマ「最も、人の口には戸が立てられないけどなぁ。」

 

客達が男を睨み付けている。

 

男「し・・・失礼致しました〜〜〜〜〜!!!」

 

怖気付いた男が一目散に逃げ出した。

 

カルマ「二度と来んな。・・・ふぅ。すまないなオリビア。騒がしくしちまって。」

 

オリビア「いえ、お陰で助かりました。」

 

ルブラ「お袋さんもすみませんでした。」

 

オリビアの母「いえいえ。」

 

カルマ「皆も迷惑を掛けたな。申し訳ありませんでした。」

 

常連客A「いやいや!格好良かったぜ!」

 

常連客B「お陰でスッキリしたぜ!ありがとう!」

 

客達が迷惑客を追い出したカルマとルブラに拍手喝采を巻き起こした。

 

オリビアの母「あら、席が1つ空いてるわね。オリビア、お2人方を御案内して頂戴。」

 

オリビア「・・・!うん!」

 

カルマ「あ、オリビア。石窯グラタン頼む。」

 

ルブラ「俺石窯ハンバーグ!」

 

オリビア「畏まりました!」

 

 

 

 

 

 

店の外では、多くの人が店の前に立ってガヤガヤしていた。

 

マーク(流行ってんなぁ。相変わらず・・・)

 

中で何が起こったかは知らないマークであった。

 

 

 

 

 

 

その頃、王城に赴いたタクトを出迎えてくれたのは、レストレッド家のザルム文官と、その護衛達。

 

ザルム「初めまして!タクト=クリスティ殿!会えて嬉しいよ!」

 

タクト「此方こそ、会えて光栄だ。」

 

テンションの高いザルムに対し、タクトは不機嫌。

 

 

 

 

応接間。

 

ザルム「さぁ、座ってくれ。」

 

タクト「あぁ、失礼する。」

 

ソファーに座り、メイドが紅茶を淹れた。

 

タクト「・・・それで、俺に何のご用件だ?」

 

ザルム「先程君に手紙を送った通り、我がレストレッド家の元メイドであるヨナ君とクララベル君を雇い直そうとしていてな。」

 

タクト「あぁ、あの姉妹ね。」

 

ザルム「私は過去にあの2人をイジメてしまった・・・私はその事をずっと後悔している・・・だから私は心を入れ替えて、あの2人にきちんと謝罪の意を示し、待遇の良い仕事を与えたいのだ。」

 

タクト「・・・」

 

それでもタクトの機嫌は不機嫌のまま。

 

ザルム「だから、是非お2人に会いたいんだ。」

 

タクト「・・・分かった。おい!」

 

ドアが開き、ヨナとクララベルが入って来た。

 

ザルム「ヨナ!クララベル!」

 

ヨナ「ザ、ザルム様・・・」

 

クララベル「ご健勝で何より・・・」

 

ザルム「そう堅くするんじゃない。その前にまずは、君達にあんな事をしてしまった事を反省する。本当にすまなかった・・・」

 

頭を深く下げて謝罪の意を示した。

 

ヨナ「あ、頭をお上げ下さい・・・」

 

クララベル「もう昔の事は水で洗い流しましたので・・・」

 

ザルム「そうかそうか。それで君達を・・・ん?」

 

突然、ザルムが2人を凝視し始めた。

 

ザルム「・・・お、おい!お前達!」

 

ヨナ・クララベル「・・・!?」

 

タクト「おい。再会して連れて帰るって言っただろ?早く連れて帰れよ。」

 

ザルム「わ、分かってますよ!で、でも・・・お、おいお前達!アレはどうしたんだ!」

 

ヨナ「あれって・・・」

 

クララベル「何の事ですか・・・?」

 

ザルム「惚けるな!アレはどうしたんだ!」

 

タクト「もしや、これが目当てか?」

 

ザルム「っ!?」

 

視線をタクトに向けると、タクトの右手に2つの髪留めがあった。

 

ザルム「っ!」

 

タクト「アンタ、これが目当てなんだろう?」

 

ザルム「な、何故それをあなたが・・・!?」

 

タクト「既に知っていたからな。アンタがこれ目当てだって事が。何せこの髪留めには・・・」

 

 

 

 

 

 

「稀少宝石のレッドベリルとベニトアイトが埋め込まれているからな。」

 

 

 

 

 

 

ザルム「・・・!!」

 

タクト「しかもこの2つの宝石は、ヨナとクララベルが親御さんから託された形見だ。俺は知ってるぞ?アンタは表では誰からも信頼される文官。しかしその裏では、面倒な仕事を後輩達に任せっきりで、その後輩達のやった仕事を自分の成績に書き換えてのし上がった。更にアンタは学歴主義で、初等学院すら行けなかったヨナとクララベルを見下してイジメを繰り返し、レストレッド家から追放する形で2人を追い出した。」

 

ザルム「・・・!!」

 

散々言われてザルムが苛立っている。

 

タクト「そしてアンタは金にがめつい性格で、2人の髪留めに稀少宝石が埋め込まれてる事を知って、手のひら返しと言う狡猾な手段で2人を連れ戻して売り捌こうと企んだ。どうせ売り捌いた後は2人を即捨てるつもりだろ?」

 

ザルム「・・・誰に・・・!誰に聞いたんだ・・・!!」

 

タクト「アンタの後輩から聞いたんだよ。」

 

ザルム「巫山戯やがって・・・!!私の人生を踏み躙りおって!!」

 

タクト「アンタの人生に同情する気なんて1ミリもねえよ。それにな、俺はそう言う手のひら返しをする奴が1番気に食わないんだ。と言う訳だから、金輪際俺達に関わるんじゃねえぞ。」

 

ザルム「くそっ!!その髪留めを寄越せ!!」

 

髪留めを盗もうとタクトに向かって走り出した。しかし。

 

タクト「ほいっ!!」

 

持ってる髪留めをザルムの後ろに投げた。

 

ザルム「なっ!!」

 

投げられた髪留めが、ドアを開けた人物の手元に渡った。

 

ザルム「それを寄越せーーー・・・・っ!?」

 

髪留めが乗ってる手の持ち主は・・・

 

 

 

 

 

 

ディセウムだった。

 

 

 

 

 

 

ザルム「へ・・・陛下・・・!?」

 

アウグスト「レストレッド。騒がしいぞ。」

 

更にアウグストがディセウムの後ろから顔を出した。

 

ザルム「殿下まで・・・!?」

 

ディセウム「ザルム。お前はとんでもない事をしたようだな。」

 

ザルム「へ、陛下・・・違います!これはあの男にハメられた状況ですよ!!全部あの男が悪いんです!!」

 

アウグスト「私の親友に濡れ衣を着せる気か?」

 

ザルム「し・・・親友・・・?」

 

ディセウム「お前、彼が誰かは知らないようだな。彼は我が国の英雄、アルティメット・マジシャンズの一員で、超古代の戦士・ティガの力を受け継いだタクト=クリスティ君だ。一部の者しか知らないのは当然か。」

 

ザルム「ア・・・アルティメット・マジシャンズ・・・!?しかも超古代の戦士・・・!?この男が・・・!?ど、どうせハッタリだ!!ハッタリに決まってる!!私は信じないぞ!!そうだ!!陛下と殿下もこの男に嘘吐かれてるんですよ!!そうですよね!?ねぇ!!」

 

それでもザルムは事実を認めず主張し続ける。

 

タクト「ああもう見苦しくて見てらんねえ・・・そうだ、髪留めの代わりに渡すモンがある。」

 

内ポケットから数枚の写真を出した。

 

ザルム「な・・・何だこれは・・・!?」

 

タクト「アンタの不正を撮影した証拠写真だ。一昨日に部下達に話を聞いて、裏でやってる事をグレアに頼んで写真を撮って貰った。これで言い逃れは出来ると思ってるのか?」

 

ザルム「そ・・・そんな・・・馬鹿な・・・」

 

証拠を突き付けられたザルムが膝を崩した。

 

タクト「陛下、オーグ、色々頼んで悪かったな。忙しい時に。」

 

アウグスト「気にするな。実は私達も彼の不正に薄々気付いていたからな。」

 

タクト「彼は今後どうするんだ?」

 

ディセウム「ザルムの父を通して処分を検討する。タクト君、あの子達を頼んだよ。」

 

タクト「勿論だ。ヨナ、クララベル、帰るぞ。」

 

ヨナ・クララベル「は、はい!」

 

 

 

 

 

 

王城の外に出た3人。

 

ヨナ「あ、あの・・・」

 

タクト「ん?」

 

ヨナ「どうして、私達の為にここまでしてくれるんですか?」

 

クララベル「私達は生まれた時から身寄りも居ないのに・・・」

 

タクト「俺は、君達を失いたくないんだ。」

 

ヨナ「え・・・?」

 

タクト「実は陛下から君達を紹介されて雇った後に、陛下に君達について聞いたんだ。」

 

 

 

 

以前。

 

ディセウム『あの子達はザルムから散々なイジメを受けてしまってな。彼の父の計らいで城のメイドとして雇われたんだ。それからタクト君が自分の屋敷を建築すると言った後に、あの子達を君のメイドとして紹介しようと思ったんだ。』

 

タクト『成る程なぁ。』

 

ディセウム『特にクララベル君はイジメを受けて心を閉ざしてしまっていてね・・・』

 

タクト『分かった。俺がクリスティ邸の当主としてあの子達の励みになってやる。彼女達の笑顔を取り戻してやるさ。』

 

 

 

 

現在。

 

タクト「だから、俺が君達の励みとして支え続けてやる。それにクララベル、君はイジメを受けて心を閉ざしてるだろ?少しずつ表情を取り戻そうな?」

 

クララベル「タクト様・・・」

 

タクト「そうだ、これ返さないとな。」

 

形見の髪留めを2人に返し、2人の頭を優しく撫でた。

 

タクト「その髪留め、死ぬまで手放すんじゃないぞ?もし君達が逝去してしまったら、一緒に埋葬してあげるから安心しろ。」

 

ヨナ・クララベル「・・・はい!」

 

タクト「さて、これで一悶着した所で・・・何か欲しい。」

 

ヨナ「え、ええ?」

 

タクト「何かザルムの顔を思い出すだけでムカムカするからなぁ・・・そうだ!癒しだ!癒しが欲しい!」

 

クララベル「・・・タクト様って、普段からそのお調子なのですか?」

 

タクト「まあね。癒しと言うなら・・・ペットショップへゴー!」

 

ヨナ「あ!お待ち下さい!」

 

ペットショップへ走るタクトをヨナとクララベルが追い掛ける。

 

 

 

 

 

 

同じ頃、カフェでは。

 

リリア「はふぅ・・・」

 

最近恋人同士になったトニーとリリアが居た。

 

トニー「どうしたのさリリア。そんなに大きな溜め息付いて。」

 

リリア「どうしたも何も・・・トニー君はよくそんなに平然として居られるね?」

 

 

 

 

以前の事。ジャクソン家。

 

リリアの父『か・・・彼氏を連れて来た!?そ・・・そんなものを認めた覚えはないぞ私は!大体・・・恋愛なんぞに現を抜かしてる時ではあるまい!経法学院での学業もまだまだこれから・・・』

 

リリア『高等魔法学院Sクラス在籍で、アルティメット・マジシャンズの一員の・・・トニー=フレイド君。因みに軍の方ではその活躍振りから”魔剣士”なる二つ名も頂戴しているそうです。』

 

彼氏となるトニーを家に連れて来たリリア。両親は驚愕した。

 

リリアの父『Sクラ・・・アルッ・・・!?ふ・・・二つ名・・・な・・・』

 

リリアの母『あらあらあらあら〜。ちょっと甘〜い感じだけど、すっごくイケメンじゃないのリリア♪他の娘に取られる前に早いトコ結婚しちゃいなさいよ〜♪』

 

驚愕する父と、嬉しそうな母。

 

リリアの父『フレイド君と言ったかな・・・?』

 

トニー『あ・・・フレイドです。』

 

リリア(肩書きしか聞いてなかったな、この親父・・・)

 

リリアの父『娘を・・・宜しくお願いする・・・!!』

 

こうして親公認のカップル即成立。

 

 

 

 

そして今に至る。

 

リリア「全く恥ずかしい両親だわ。大体まだ私達学生よ?貴族でもないんだし、結婚なんて早いよ。」

 

トニー「・・・そうだねぇ。僕ももう少し独身で居たいかなl?」

 

リリア「ふーん、独身で居て何するつもり?また女遊びしたりするんじゃないのかしら?後ろにキレーなお姉さん居るわよ。」

 

トニー「ちょ・・・ちょっとリリア!」

 

後ろの席に座ってるサングラスの女性。

 

トニー「今はシン達と遊んだり、魔法の訓練したりが楽しいからさぁ。結婚したら中々そう言う時間も取れなくなっちゃうだろ?」

 

リリア「・・・どうだか?もし浮気なんかしたら・・・その時は絶対離婚なんだから!」

 

トニー「・・・・」

 

リリア「・・・え?」

 

つい口を出したリリアが我に返った。

 

リリア「あ!違・・・!!言い間違えた!!り・・・離婚じゃなくて・・・別れる!!そう!別れてやるんだから・・・べ・・・べべ別にけ、結婚したくてそんな事口にした訳じゃ・・・」

 

我に返ってさっきの言葉を否定するリリアに、トニーが笑った。

 

トニー(浮気なんかしないよ、リリア。僕はもう・・・決めてるから。あの時の君の言葉を聞いてから・・・)

 

 

 

 

 

 

数日前。トニーが高等経法学院前でリリアを待っていた時の事。

 

女子生徒『ねぇ・・・あれ・・・ひょっとしてアルティメット・マジシャンズの・・・?』

 

トニー(折角付き合えたけど、学院が違うから会うのも大変だな・・・もう授業が終わる頃のはずなんだけど。)

 

ところが、何時まで経ってもリリアは来なかった。

 

トニー(・・・捜しに行くか。)

 

心配になったトニーが、学院の敷地内に入ってリリアを捜しに向かった。

 

トニー『あ、居た。』

 

校舎の裏でリリアが同級生と思われる2人の女子生徒と一緒に居た。トニーがリリアを呼びに行こうとしたが。

 

同級生A「意外と現金な女だったのねぇ。アンタ。」

 

彼女は今、2人の同級生に責められていたのだ。

 

同級生B『前は女遊びしてるからって理由でフレイド君を振った癖に。』

 

同級生A『彼が国の英雄になったら、手の平返したように今度は付き合うだなんて。肩書きしか見てないアンタに彼と付き合う資格ないよ!!』

 

同級生B「今からでも頭下げて別れて来たらどうなの!?」

 

実は経法学院では、トニーの素行をよく思わない女子生徒が多く居るらしい。

 

トニー『ちょ・・・!』

 

割り込もうとしたトニーだが、リリアが口を開いた。

 

リリア『あの、彼が英雄だとかアルティメット・マジシャンズだとか、私そんな事全く興味ないんですけど。』

 

トニー『・・・!』

 

リリア『だって、国から指令がある度に戦場の・・・しかも最前線へ行って戦うのよ?この前の魔人領攻略作戦の時だって・・・気が気じゃなかったわ!アルティメット・マジシャンズ!?寧ろ迷惑な位よ!!大体、肩書きがどうこうで関係を選ぶ人間なら、最初から迷わず付き合ってるでしょ?だって彼、中等部でも優秀だったし、高等学院に至ってはSランクよ。』

 

同級生A『はぁ・・・!?だったら何で今になって付き合い出してんのよ!!』

 

リリア『・・・だって彼・・・そんな立場になって・・・それこそ遊び放題なのに・・・他の娘全員捨ててまで・・・私を選んでくれたんだもん・・・それだけ本気で考えてくれてるって事でしょ!彼より私の方がよっぽどちっぽけな人間なのに・・・もう断れる理由なんてないじゃん!!』

 

同級生A『・・・何よそれ・・・結局アンタ、自分の意思で付き合う訳じゃ・・・』

 

リリア『・・・迷惑だとは言ったけど、彼がそこまでの立場になれたのは・・・紛れもなく彼自身の努力の結果。そこはちゃんと認めてる。況してや他の誰も手にした事のない勲章を得ると言う事は、他の誰も成し得た事のない努力をしたって言う事。』

 

 

 

 

『私は彼を・・・心の底から尊敬してる。』

 

 

 

 

トニー『・・・』

 

リリア『それが・・・私が彼を受け入れた理由よ・・・』

 

同級生A『・・・ふ・・・ふん!もういいわよ!行こ!』

 

何も反論出来ない同級生2人が去って行った。トニーは彼女の言葉を全て受け入れた。

 

 

 

 

 

 

そして今に至る。

 

トニー「・・・リリア、ありがとう。」

 

リリア「へ!?何が!?」

 

トニー「・・・いや、何となく。」

 

リリア「?」

 

トニー(感謝してるよ・・・シン。タクト。君達のお陰で今の僕があって、彼女は僕と向き合ってくれた。ありがとう殿下・・・殿下が忠告してくれなかったら、僕は運命の相手と呼べる女性を今も見付けられてなかった。)

 

 

 

 

2人の会話を聞いていた先程の女性の正体は、ユーリだった。

 

ユーリ(良いわねぇ。周りは皆楽しそうで。あ〜〜、私もそろそろ彼氏作ろっかなぁ?)

 

 

 

 

カフェから出たユーリを待っていた人物が居た。

 

???「ユーリさん!」

 

ユーリ「ん?」

 

その人物は、ジュリアンとジネヴラだった。彼はユーリに軽く手を振ってる。

 

ユーリ「あら?あなたはジュリアン君?と、ジネヴラちゃん?」

 

ジネヴラ「奇遇ね。ユーリ。」

 

ジュリアン「こんにちはユーリさん。カフェで何をしていたんですか?」

 

ユーリ「別に?」

 

ジュリアン「あ、もしかしてトニーとリリアさんの仲睦まじい光景に目を惹かれたとか?」

 

ユーリ「っ!?」

 

ジュリアン「僕、こう見えて相手の恋心とか分かるんですよ?」

 

ユーリ「そ、そうなのね・・・」

 

ジュリアン「ねぇ、今から僕とちょっとデートしませんか?」

 

ユーリ「え?」

 

ジュリアン「僕もそろそろ彼女さんが欲しいって頃合いだし、ね?」

 

ユーリ「・・・」

 

彼の眩しい笑顔に、ユーリが見惚れた。

 

ユーリ「・・・そ、そうね。1人で暇だったし。」

 

ジュリアン「じゃあ行こ?僕美味しいお店見付けたんだぁ〜!」

 

ユーリ(この子・・・本当に男の子かしら・・・?)

 

少々笑いながらそう思ったユーリであった。

 

 

 

 

 

 

クリスティ邸。この屋敷に新しい家族が増えた。

 

ヨナ「可愛い〜・・・」

 

それは、1匹の子猫だった。

 

クララベル「本当。可愛い子猫さん。」

 

エスタ「子猫を飼ったのですか?」

 

タクト「俺の家で1つでも癒しが欲しくてな。ペットショップへ行って子猫を飼ったんだ。名前はシュシュ。大切に育ててくれよな?」

 

ヨナ「はい!宜しくお願いします!シュシュさん!」

 

シュシュ「ミャァ〜。」

 

 

 

 

 

 

そして王城付近にある湖の畔にあるコテージの外。

 

リオ「ここも少々寒いねぇ。」

 

ナージャ「この時期になると、この湖に寒波が起こるらしいよ。」

 

デイジー「道理で寒い訳だわ。」

 

ここに残っているのは、リオとデイジーとナージャの3人だけ。

 

リオ「他の皆、楽しく過ごしてるだろうね。」

 

ナージャ「でも私達はここでずっと居るし。」

 

デイジー「まぁ、今日はケイティとジェレミーとローランドがハンター協会へ行く番だし。」

 

近くの茂みから、4つの人影が出て来た。

 

リオ「ん?コレ何?」

 

3人はそれに気付く様子もなく、4人の人影が3人を襲い始めた。

 

リオ「うわ、百足だ。」

 

そう言って、百足を後ろに投げた。百足がその3人の内の1人の人影の顔面に直撃した。

 

人影「ギャアアアアーーーーーーー!!!!!」

 

パニックになって3人の人影にぶつかり、そのまま湖に転落した。

 

リオ「ねぇデイジー、この時期になるとここの湖の温度は?」

 

デイジー「マイナス10度ね。」

 

4人の人影「寒いいいいぃぃぃーーーーーー!!!」

 

極寒の湖に耐え切れずすぐに上がって気絶した。その正体は、ただのチンピラだった。

 

デイジー「さっきからあの男達、何してるのかしら?」

 

ナージャ「さぁ?余興じゃないのかしら?」

 

 

 

 

 

 

シン達の魔法練習場。

 

アリス「可愛いですねぇ。メイ姫様の服。」

 

メイ「えへへ。シンお兄ちゃんに作って貰った特注の魔法服です!」

 

シン特製の魔法服を着てるメイが、アリスとリンと一緒に居た。

 

メイ「可愛いのが良いって言ったら、頑張ってくれたです!」

 

リン「戦場では目立つ事この上ない。」

 

アリス「まあ、メイ姫様は戦場に出ないし・・・でも、良いのかなー?」

 

メイ「?」

 

アリス「一応、世間一般では中等学院に入るまでは攻撃魔法を教えないって方針があるんだけど・・・メイ姫様からのお願いとあっては、私等も断るに断れないしなぁ・・・」

 

メイ「・・・でもシンお兄ちゃんはもっと小さい頃から使ってたです。」

 

アリス「あれは法でも縛られない天然素材だったから・・・」

 

メイ「やっぱりその・・・お2人も忙しいです?」

 

アリス「うんにゃ。ぶっちゃけ暇。授業後の研究会なんだけどね、今はシン君に魔法を教わるんじゃなくて・・・それぞれが覚えた魔法の精度を高めたり、自分の仕事を優先したりで個々で活動する時間が多いんだ。」

 

メイ「へぇ!皆さん何してるです?」

 

アリス「えっとね・・・シン君はビーン工房で新しい魔道具の開発。マークはその助手しながら自分の勉強。タクト君は自分のお屋敷で色々な手入れ。シシリーはアールスハイドの治療院を回って治療のお手伝い。マリアとミランダは魔物狩り。確かアズマも同行しているよ。オリビアは店の手伝い。ユーリはメリダ様の所で魔道具制作。トニーも最近は1人で魔物狩りに行くようになったね。殿下達は王城で政務に励んでるみたいだし・・・てな訳で、特に私等はやる事ないっつーか。」

 

リン「メイ姫様に魔法を教える時間は余る程ある!・・・まあ、後はバレた時殿下に何を言われるか・・・」

 

アリス「メイ姫様、殿下には内密にお願いします。」

 

そう切に願いたい2人だった。

 

アリス(シン君の『過程』をイメージする魔法の説明は・・・)

 

リン(それは流石にマズい。教えたら私達の命はない。)

 

 

 

 

早速魔法を教え込む。

 

アリス「ほいっ!!」

 

魔力弾を発射。

 

メイ「おお!」

 

アリス「まあ、まずは見様見真似で。イメージしながら魔法を使ってみて下さい。」

 

メイ「えと・・・こうです?」

 

両手を前に出して魔力を集めると、デカい火炎玉が出来上がった。

 

メイ「はうあっ!!熱い!!これはとっても熱いです!!」

 

パニックになってアリスとリンに火炎玉を向けた。

 

アリス「メイ姫様近い!もっと遠くで発動するイメージ!!」

 

メイ「こうです!?」

 

遠くで発動するイメージを浮かべると、火炎玉が少し距離を作った。

 

アリス「おお良い!!でも魔法が動いてない!!より遠くへ!その場から発射するイメージ!!」

 

メイ「はわ・・・わ・・・はぁっ!!」

 

火炎玉が遠くへぶっ放された。

 

メイ「おお!やったです!!」

 

それを見たアリスがポカーンとなった。

 

メイ「わーいわーい!!」

 

アリス「・・・あれ?10歳の子が初見の真似事で攻撃魔法成功って・・・一般的にはあり得ない事なんじゃ・・・」

 

リン「ウォルフォード君のせいで、全員感覚が狂ってる。」

 

その後もメイは順調に魔法を習得して行き、日暮れと共にその日は解散となった。

 

 

 

 

 

 

その夜。タクトが王室に呼ばれた。

 

タクト「陛下、俺に伝える事って?まさかザルムの奴がまた何か?」

 

ディセウム「いや、彼の事は心配ない。実はここ最近・・・」

 

”コンコン”

 

ドアのノックが聞こえた。

 

???「陛下、宜しいでしょうか?」

 

ディセウム「おぉ。入りたまえ。」

 

入って来たのは、1人の男性だった。

 

タクト「あ!エド!」

 

エド「やぁタクト君。君も来ていたんだね。」

 

彼の名はエド。本名はエドワード=フィッシャー。実はニルスの弟で、若くして王家の官僚長を務めている。タクトは以前に会った事がある。

 

ディセウム「エド、君が来たと言う事はもしや・・・」

 

エドワード「はい。今日も発生の報告が入りました。」

 

タクト「発生?」

 

ディセウム「ウム。実は君に伝えたいのは、その発生についてだが。」

 

タクト「それって?」

 

ディセウム「実はここ最近、傷害や暴行の事件が多発しておってな・・・」

 

タクト「傷害と暴行・・・」

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ヒューズ家。アリスがお邪魔している。

 

アリス「まあ、基本はあれでイケると思うんだけど、より才能を伸ばそうと思ったら、やっぱり実戦だよねぇ。」

 

リン「でも流石に王族を魔物狩りには連れて行けない。幾ら何でも罰せられる。って言うか殿下に殺される。」

 

アリス「何かこう・・・危険がなくお手軽に実戦を経験出来る事・・・ないかなぁ?」

 

リン「そんな都合の良い事ある?」

 

アリス(うー・・・折角メイ姫様に()()()()()として頼られてるんだ・・・何とか成長させてあげたい・・・)

 

そう考えてると、リンの父で宮廷魔法師を務めているベン=ヒューズが帰宅した。

 

ベン「ただいま・・・おやアリスちゃん。いらっしゃい。」

 

アリス「お帰りなさいおじさん。お邪魔してまーす。」

 

ベン「ゆっくりして行きなさいと言いたい所だけど、帰りはあまり遅くならない方が・・・ってアリスちゃんならゲートも使えるし大丈夫か。」

 

リン「ん?お父さん、何かあった?」

 

ベン「・・・実は最近、王都で傷害とか暴行とかの事件が増えていてね・・・その注意喚起を王都中に公示する事が決まったんだ。」

 

アリス「え?それ本当ですか?」

 

リン「・・・信じられない。アールスハイドは世界の中でも犯罪発生率が低い。」

 

ベン「それと注意喚起の公示の前に、タクト君が王城に招かれてね。」

 

アリス「タクト君が?」

 

ベン「うん。陛下が彼にそれを伝えて、衛士隊の指揮を執るように促したらしいんだ。」

 

リン「アズマ達を?」

 

アリス「確かに衛士隊は騎士団に所属してるけど、指揮の権限はタクト君が持ってるからね。」

 

ベン「まあ、2人には要らぬ心配かも知れないけどね・・・はは。」

 

アリス「でも何でそんな急に治安が・・・」

 

ベン「うーん・・・特別治安が悪くなってる訳じゃないんだけどね・・・犯罪の発生件数が増えてるんだよ。」

 

アリス「ひょっとして、何か大きな犯罪組織が王都に入り込んだとか・・・!?」

 

ベン「いやー、事件の加害者はそう言うのに縁のない一般市民なんだよね・・・」

 

アリス・リン(・・・うーん・・・じゃあ魔人は関係ない・・・か・・・)

 

ベン「・・・ま、兎に角気を付けるようにね。」

 

アリス「はーい!」

 

ベンは自分の部屋へ戻って行った。

 

アリス「魔人の事だけでも大変だってのに・・・何が起きてんだろうね?」

 

リン「さあ?まあそう言うのは考えるべき人が考えれば良い。」

 

アリス「そうだね。私等に出来る事と言ったら・・・」

 

するとアリスが何かを閃いた。

 

アリス「これだよ!!良〜い事思い付いちゃった〜〜〜〜♪」

 

リン「??」

 

 

 

 

 

 

衛士隊舎。

 

アズマ「アールスハイド王都の犯罪件数が増えている?」

 

タクト「そうなんだ。さっき陛下とエドにそう伝えられてな。だから明日からお前達をしばらくの間その犯罪を対処して欲しいんだ。」

 

シイナ「でもアールスハイド王国って、犯罪率が少ない治安の良い国なんでしょ?」

 

ナナセ「急に犯罪が増えたって・・・一体何があったのかしら?」

 

タクト「それを調べるのが俺達だ。まぁ、俺から命令を出す。明日から衛士隊は犯罪を防いで欲しい。もし加害者が抵抗するなら実力行使も構わん。ただし、犠牲者は出すなよ?」

 

アズマ「分かった。」

 

タクト「お、そうだ!お前達にこれを渡さなきゃな。」

 

異空間収納から人数分の紙袋を出した。

 

アズマ「何だそれ?」

 

タクト「フフフ。お前達の新しい防具だ。」

 

 

 

 

 

 

翌日の高等魔法学院。

 

シン「え?メイちゃんと同じ服を作って欲しい?良いけど、あれ戦闘には向かないぜ?何で今更そんなもの・・・」

 

アリス「え?あ、だってアレ超可愛いじゃん!私等だってたまにはああ言うの着てテンション上げたいんだよ!」

 

シン「・・・()()って事は・・・リンの分もか?」

 

アリス「うん!デザインは一緒で・・・色だけ変えて欲しいな。後さぁ・・・」

 

シン「・・・?まだ何かあんのか?」

 

アリス「何かこう・・・他人に私達の()()()()()()()()()ような魔法とか・・・付与出来ない?」

 

シン(・・・ちょっと待て・・・アリスの言葉の意味が理解出来ないのは俺だけか?顔?が分からなくなる???服着てテンション上げて顔隠す・・・?)

 

完全にちんぷんかんぷん。

 

シン「アリス、流石に意味が分からん。きちんと説明してくれ。」

 

アリス「う”・・・!(ま・・・まあシン君になら説明しても・・・多分大丈夫・・・)」

 

彼に分かるように事細かく説明してあげた。

 

シン「・・・成る程・・・そう言う事か。面白い事考えたな。」

 

アリス「・・・!本当!?シン君ならそう言ってくれると思ったよ!」

 

シン「しかし顔か・・・付与するなら『認識阻害』ってトコかな・・・でも見る人の視覚情報に介入して脳を誤認させる・・・のは危なっかしいよなぁ。」

 

アリス「ん??さっぱり何言ってるか分かんないけど、シン君でも難しいって事?」

 

シン「そうだな・・・顔周りをモヤを出す位なら簡単だけど・・・」

 

顔がモヤに覆われたメイを想像する。

 

アリス「・・・それは何かヤダ。」

 

シン「・・・そう言うと思った。ただまあ要するに、顔がバレなきゃ良いんだろ?そっちは任せとけって。」

 

その話をタクトとアウグストが遠くから黙って聞いていた。

 

 

 

 

 

 

その数日後。

 

シン「お!来たな?3人と・・・」

 

『To Be Continued・・・』




キャスト

タクト=クリスティ:萩谷慧悟

シン=ウォルフォード:小林裕介
シシリー=フォン=クロード:本泉莉奈
アウグスト=フォン=アールスハイド:小松昌平
マリア=フォン=メッシーナ:若井友希
アリス=コーナー:久保田未夢
トール=フォン=フレーゲル:志田有彩
リン=ヒューズ:山口愛
ユーリ=カールトン:長妻樹里
トニー=フレイド:小林千晃
ユリウス=フォン=リッテンハイム:河本啓佑
マーク=ビーン:葉山翔太
オリビア=ストーン:佐藤沙耶
リオ:土岐隼一
デイジー:寿美菜子
ナージャ=オブシディアン:斉藤朱夏
ケイティ=グレイス:山崎はるか
ジェレミー:前野智昭
ローランド:山本和臣
ジュリアン=フィッツバード:小松未可子
ジネヴラ:小宮有紗

マーリン=ウォルフォード:屋良有作
メリダ=ボーウェン:高島雅羅
ディセウム=フォン=アールスハイド:星野充昭
エドワード=フィッシャー:梶裕貴

クリスティーナ=ヘイデン:古賀葵
ミランダ=ウォーレス:吉七味。
オリビアの父:丹沢照之
オリビアの母:佐藤奏美
リリアの父:落合福嗣
リリアの母:増田ゆき
ベン=ヒューズ:山崎たくみ
リリア=ジャクソン:大久保瑠美

アズマ:榎木淳弥
シイナ:内田彩
ナナセ:白石晴香

エスタ:島袋美由利

カルマ:神原大地
ルブラ:小野友樹

ヨナ:新田恵海
クララベル:佳穂成美

ドミニク=ガストール:小山剛志
ルーパー=オルグラン:保村真
ザルム=フォン=レストレッド:堀曜宏

男:浜添伸也

同級生:大和田仁美
    松井恵理子

常連客:キヨ
    こーすけ
    フジ
    ヒラ

エカテリーナ=フォン=プロイセン:斎藤千和





次回予告

アールスハイド王国で発生した謎の傷害事件を対処する3人の魔法少女達と衛士隊。そしてシンは、マーリン達からある人物の秘密を打ち明けられる。

次回ウルトラマンティガ

悲しい話

お楽しみに
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