ウルトラマンティガ THE ULTIMATE MAGICIANS 作:naogran
あれから数日後。何時もの荒野。
シン「お!来たな?3人と・・・もぅお!?」
突然メイの突進で腹にジャストミートされた。
シン「メイちゃん・・・だから身体強化・・・」
メイ「シンお兄ちゃんに会うと嬉しくて、つい全力でちゃうです。」
シン「例の物、用意出来たぞアリス。ここなら誰にも見られないだろう。」
異空間収納から、アリスとリン専用の服を贈呈した。
アリス「わあ!ありがとうシン君!可愛い!」
リン「アリス、これは良いけどそろそろ説明して。何の為に私達までこんなものを?」
アリス「にゅふふふふ。それじゃあそろそろ2人にも発表しちゃいましょうかぁ〜〜〜。とっておきの作戦を・・・!!」
ごにょごにょと2人に作戦を告げた。
シン「誰も見てねーし聞いてねーから・・・」
リン「それは良い。アリスにしては良いアイデア!メイ姫様の訓練にもなる!」
メイ「はわわ!ド・・・ドキドキするです・・・!!」
シン「・・・で、例のブツだが。こんなのでどうだ?」
3人の為に用意したブツも贈呈。
アリス「・・・!!これは・・・!!良い・・・と思う・・・!中々斬新なデザイン・・・!!」
シン「サービスでサポート機能も付けといた。後で説明するよ。・・・それから、必要だと思ってメイちゃんのジェットブーツ仕様も用意してきたけど・・・くれぐれもメイちゃんに危ない事させるなよ?」
アリス「了解!」
リン「それじゃあ早速コレに履き替えて!」
メイ「特訓!です!」
後日。アールスハイド王都にて。
女性「はぁ・・・はぁ・・・!」
1人の女性が、見知らぬ男達に追われていた。だが行き止まりまで逃げてしまって逃げ場を失った。
男A「へっへっ・・・もう逃げらんねぇぞォ。」
女性「いや・・・来ないで・・・!!」
男A「観念しろや!!」
男B「大人しくしてりゃ命だけは・・・!!」
男C「グアッ!!」
男B「アァ?」
後ろで取り巻きの男が何者かに背負い投げされた。
男A「何だテメェ等は!!」
そこに立っていたのは、アズマ達衛士隊だった。
アズマ「アールスハイド王国衛士隊だ!!」
シイナ「その方を解放しなさい!」
ナナセ「じゃないと、どうなるか分かるわよね?」
男A「衛士隊だぁ?」
男B「フンッ!たった3人で俺達に敵うと思ってるのか?」
アズマ「だったら試したらどうだ?」
男A「良いだろう。後悔しても知らねえぞ!!」
ナイフを持った男がアズマを刺し殺そうとした。だが・・・
男A「な・・・何だよこれ!?」
ナイフがアズマの着ているジャケットで折られてしまったのだ。
アズマ「俺達のジャケットにはな、ナイフや剣、更に魔法すら効かない特注品なんだよ。」
男B「ふ・・・巫山戯んじゃねえぞ!!」
男A「このインチキやろうが!!!」
???「そこまでだよ!!!」
突然何処からか声が響いた。
男A「ッ!?あ!?何だぁ!?」
男B「誰だ!!」
男C「出て来やがれ!!」
???「ここだよ!!」
壁の上に立ってる3人の人影が見えた。
男C「な・・・何だテメェら・・・!!」
レッド「どんな悪事も見逃さない!!」
ブルー「魔法の力で無理矢理解決!!」
イエロー「わ、我等!!」
キューティースリー「魔法少女!!キューティースリー!!」
魔法少女キューティースリー爆誕。
アズマ「ア・・・アリス・・・!?」
レッド「嫌がるお姉さんを無理矢理襲おうとするその腐った性根!このキューティーレッドが叩き直してやる!!」
ブルー「イエロー、今。」
イエロー「は、はいです!やあ!!」
魔力弾をぶっ放した。
男C「へぶっ!!」
魔力弾が男Cに命中。
男A「な・・・何しやがった・・・!?」
男C「ま・・・魔法!?」
男A「巫山戯た格好で巫山戯たマネしやがって・・・!!」
男B「レッドがやるっつってイエローが攻撃してんじゃねぇか!!そんな場所から魔法を撃つなんて卑怯者かテメェ等!!下りて来やがれ!!」
アズマ「卑怯者はどっちだ!」
男達「!?」
ナナセ「か弱き女性1人に寄って集って襲おうとする犯罪者共め!」
シイナ「どの口が言うのかしら!!」
アズマ「この卑怯者共が!!」
男達「ぎゃあああああ!!!」
衛士隊により成敗され、気絶した。
アズマ「手加減はしてある。みっちり反省するんだな。」
気絶した男達をキューティースリーがロープで縛った。
レッド「衛士隊の皆さん、ご協力感謝します!」
アズマ「・・・いや、良いって事だ。」
シイナ「大丈夫ですか?」
腰を抜かしてる女性を立たせてあげた。
女性「あ・・・はい・・・あの・・・あなた達・・・は・・・?」
シイナ「私達は衛士隊。王都の治安を守る独立組織ね。それであの子達は・・・」
レッド「私達も王都の治安を守る!レッド!」
ブルー「ブルー!」
イエロー「イエロー!」
キューティースリー「魔法少女キューティースリー!!です!!」
レッド「それじゃあ此奴等は警備局に突き出しとくんで!お姉さんお気を付けて!」
女性「あ、は・・・はい!あ・・・ありがとう・・・」
縛った男達を運んで去った。
女性「・・・魔法・・・少女・・・って何??」
アズマ「ここも片付いたな。カオル達の応援へ向かうぞ。」
シイナ・ナナセ「了解!」
アズマ「その前にナナセ、彼女の護衛を頼む。」
ナナセ「了解!目的地まで行きましょう。」
女性「あ、ありがとうございます。」
一方あの3人は、男達を運びながら屋根の上を飛んで移動中。
アリス「くふふ!上手く行ったね!」
リン「犯罪も防げて、メイ姫様の訓練にもなった!」
メイ「は・・・恥ずかしかったです・・・」
アリス「人間相手なら魔物程の危険も無いし、何かあったって私達とアズマ達で対処出来る!何より治安も守れるし!」
リン「街の攻撃魔法の使用は咎められる可能性はある・・・けど、まあ犯罪者相手だし、正体がバレなきゃ良い。」
アリス「しかも、シン君が付けてくれたコレ!
3人が装着してるヘルメットにはインカム機能も搭載。離れた場所からでも通話が可能。
リン「む!右前方に再び害意あり!」
アリス「了解!直行!」
メイ「はははいです〜〜!!」
そんな3人を遠くの塔の上から見守ってる3人の姿があった。タクトとシンとアウグストだった。
アウグスト「やれやれ・・・彼奴等、こそこそと何をやっているのかと思ったら・・・」
シン「流石に無断でメイちゃんを連れ回すのはマズいと思ってオーグには声掛けたけど・・・まあ、あの様子なら大丈夫だろう。」
アウグスト「しかしメイの奴、自ら犯罪者の制圧に乗り出すなど・・・もう少し王族としての自覚を持って欲しいものだな・・・」
タクト「オーグ、お前が言うと説得力の欠片ゼロだぞ。」
アウグスト「それより、やはり気になるのは犯罪件数の増加だな。警備局の報告通りだ。」
シン「具体的には?」
アウグスト「殆どの場合、単純な暴行や傷害だ。」
タクト「しかも計画的な犯罪や犯罪テロみたいな事件は一切起きてない。」
アウグスト「あぁ。言うなれば・・・瞬間的にストレスが爆発して行動に移してしまったと言う感じか。・・・どう思う?」
シン「・・・訊くなよ。同じ事考えてるくせに。」
タクト「
シン(魔人達は、まず間違いなく・・・人間の感情をコントロールする術を持っている。イースの指揮官さんの言葉が正しければ・・・恐らくはラルフさんも・・・)
アウグスト「人の魔人化の件も含め・・・放置は出来ん事実だな。」
シン「あぁ。つまり奴等は攻略作戦の裏で既に動いてたって事だからな。」
タクト「何処から攻撃を仕掛けて来るか不明だ。厳重警戒を常時しないとな。」
アウグスト「これまでは我々の方が後手に回ってしまっていたが・・・この犯罪件数の増加が、もし魔人共の仕業だとしたら・・・強ちメイ達の行動が意味が無いとは言えんかもな。」
そしてその後もキューティースリーは活動を続け・・・数日後。
カオル「ヤァッ!!」
男E「ぐはぁっ!!」
衛士隊のカオルが1人の男を背負い投げで成敗。
カオル「ふぅ・・・」
タカオ「大丈夫ですか?」
男F「あ、ありがとうございます・・・」
マモル「今日で何件目でしょうか?」
カオル「少なくとも30件以上はあるみたいだ。」
男E「ぐ・・・む・・・」
背負い投げで気絶していた男が気が付いた。
男F「お・・・おい・・・お前!!起きろ!!一体どう言うつもりだよ!?」
男E「・・・!?あれ・・・俺何してたんだ・・・?」
男F「何ってお前・・・街フラついてる途中に急に居なくなったと思ったら・・・戻って来て急に俺に殴り掛かって来たんじゃないか!!衛士隊が止めてくれなきゃ・・・どうなってたか・・・!!」
男E「・・・マジかよ・・・全く記憶がねぇ・・・」
男F「だ・・・大丈夫かお前・・・?」
セイラ「・・・!?」
裏路地を見たセイラだが、何もなかった。
セイラ(何?さっきの気配・・・?)
タカオ「カオル様、この方の発言は一体・・・」
カオル「・・・何かあるかも知れない。タカオとマモルはこの方達を連れて行ってくれ。セイラはタクトに連絡。僕は報告書を纏めておく。」
タカオ・マモル・セイラ「了解!」
セイラ(・・・さっきの、後でタクトにも。)
警備局前。アズマ達がタクトに加害者の事を話した。
タクト「・・・やはりな。」
アズマ「やはり?」
タクト「前にリチャードに加害者について調べて貰った。そしたら、気絶した後に目を覚ましたら暴行や傷害を起こした記憶だけが消えていたと。」
カオル「もしかしてこれは、魔人が関与している可能性が・・・」
タクト「魔人かも知れないし、この国を乗っ取ろうとするテロ組織の仕業か・・・あるいは、誰かが悪ふざけで行った事件かも知れん。」
タカオ「今回の事件は難しそうですね。」
タクト「あぁ。」
セイラ「そうだわ、タクト。」
タクト「ん?何だ?セイラ。」
セイラ「さっき、裏路地から人の気配を感じたんだけど・・・」
タクト「人の気配?」
セイラ「えぇ。でも姿はハッキリ見えなかった。」
タクト「・・・主犯格の可能性があるな。よし、引き続き巡回してくれ。俺とグレアも加わって対処する。」
衛士隊「了解!」
その後、連絡を受けたグレアも徘徊を始めた。
グレア「この国は治安が良いのに、何で今となって傷害事件が起こったんだろう?まさか、誰かの陰謀の一部なのかな?」
誰も居ない裏路地。
魔人A「ダメだ。またやられた。」
この傷害事件は、やはり魔人達が関与していた。
魔人B「・・・どうなってる?俺達が洗脳してる人間だけ判別して捕らえるなんて、奴等に可能なのか?」
ヨシュア「いや・・・関係のない連中も捕まってるみたいだが、洗脳した人間を優先的に捕まえてるフシはある。」
魔人A「・・・つまり?」
魔人B「・・・人間に対する『害意』の強さだな。奴等、索敵魔法でそれを読んでやがんだ。オマケに、あの衛士隊と言う連中だ。奴等は普通の人間にも関わらず、害意の持つ人間だけを優先的に・・・人間を魔人化させるには、相応のストレス・・・害意が仏様になる。・・・だが、その切っ掛けだけ与えても、俺等の魔力操作能力じゃ、対象が気を失う程度で洗脳が解けちまう。シュトローム様やゼスト様・・・せめてエミール位の操作能力があれば話はまた別だろうが・・・」
ヨシュア「踏ん反り返るからエミールにそれ言うなよ。」
魔人A「正直、俺等よりもあのチビ共や衛士隊の方が機動力は上だぜ。詰みじゃねえか。どうすんだ?ご丁寧に顔まで隠して、魔法や剣などの攻撃すら効かない。ウォルフォード達と繋がってんのかも分かりゃしねェ。」
ヨシュア「・・・今後の動きを考えて・・・正確なコントロールが出来る人材を増やしておけとゼスト様は仰せだ。何せ狙う相手が相手・・・これまでのようにチャンスが転がって来るとは限らん。」
魔人A「任務を優先すべきなのは分かるが・・・俺等の存在が明るみに出るのもマズいしな。偵察も兼ねてアールスハイドへ来たがよォ、少なくともこの国は離れるべきじゃねぇか?」
魔人B「兎に角一度・・・」
???「あ”ぁぁ五月蝿ェ!!!」
1人の魔人が突然怒りを爆発した。
ヨシュア「・・・どうした?ドルン。」
ドルン「お前等、よくそんな悠長に喋ってられんな・・・!?こんな平和ボケた国に居るだけで俺は気が狂いそうだってのによォ・・・!!目の前の!!ゴミ共を!!片っ端からブッ殺してけば良いだけの話じゃねェのかよォ!!!」
ヨシュア「それではウォルフォード達は倒せない。感情で任務を見失うな。」
ドルン「フーッ・・・フーッ・・・なあヨシュア・・・今気付いたぜ・・・魔人である俺が正気を保ってられるのは・・・帝都に満ちているあの魔素の中だけだ。一度外に出ちまったら・・・殺意も・・・破壊の衝動も・・・抑えられる気がしねぇ・・・!!」
ヨシュア「それは俺だって同様だ。ローレンスやアベル達だって例外じゃない。だが、今の俺達があるのは飽く迄ゼスト様やシュトローム様のお陰だ。指示なく勝手に行動を取るのは、彼等に対する裏切りに他ならん。」
ドルン「耐えろってのか・・・この衝動を・・・!!」
ヨシュア「・・・今はな。『正常』の皮を被って魔素を覆い隠してるのは、こっちの世界だって同じさ。俺たちが全て剥ぎ取ってやる。遠くない未来・・・必ずな。」
魔人達はアールスハイドから姿を消した。
あれから数日が経ったある日。ビーン工房にて。
シン「多発してた事件が起きなくなった?」
アウグスト「ああ・・・犯罪件数は以前の水準に戻ったらしい。」
シン「お手柄じゃないかアリス達。アズマ達も。」
タクト「だがその事件の真相は迷宮入りのままだ。」
シン「にしても、ちょくちょく俺の開発を見に来るよなオーグ達。」
トール「当然の監視ですよ。シン殿。」
シン「・・・まあ、丁度良かった。ホラ。新型の無線通信機完成したんだぜ。」
新たに開発された無線通信機をアウグスト達に渡した。
アウグスト「ほう・・・」
ユリウス「・・・何か改良点があるで御座るか?」
タクト「試すぞ。」
”ジリリリリリ!!”
ユリウス「おわぁ!音が鳴ったで御座る!?」
タクト「そいつは着信音って言う音だ。音量調節可能だから、敵地に居る場合は控えめにしとけよ。」
シン「後は発信先を相当数増やせるようにした。これなら、無線通信き自体の数も必要なだけ増やせるしね。」
タクト「オーグ。此奴を陛下に渡しといてくれ。マーリン様達の分は後で渡す予定だ。」
ディセウム用の無線通信機をアウグストに渡した。
アウグスト「それは良いが、流通はさせるなよ。」
シン「分かってるっての。・・・まだ有線通信すら整備出来てねぇよ。」
ユーリ「こんにちは〜〜〜〜。」
工房にユーリがやって来た。
アウグスト「ん?カールトン?」
タクト「ユーリ?」
マーク「ユーリさん!お疲れッス!」
ユーリ「あらぁ。殿下達もいらしてたんですかぁ。」
マーク「ユーリさん、ちょくちょくウチに来て例のドライヤーとヘアアイロンの付与を手伝ってくれてるんス。」
ユーリ「ウフフ。メリダ様から魔法付与の数をこなす事も必要だと言われましてぇ。アルバイトがてら練習させて貰ってるんですぅ。」
タクト「ほほう。」
トール「高威力の魔法を付与出来る魔法師って、実はそんなに居ないですもんね。」
シン「このままいけば充分に最前線で戦える戦力になるぜ。”導師の後継者”の名も伊達じゃないよマジで。」
ユーリ「ウフフ。ありがとぉ♡そんなに褒められたら照れちゃうわよぉ〜♡」
嬉しくなったユーリがシンの頬にキスをした。
タクト「ちょ!?」
トール「シッ・・・シシリー殿は居ないですよね!?よね!?」
タクト「大丈夫だ!居ないぞ!」
ユーリ「それじゃ、行って来ま〜す!ウォルフォード君、メリダ様に宜しくねぇ〜。」
マーク「工房の職人達も、彼女が来てからやたら気合を見せてるッス・・・」
トール「成る程・・・」
タクト「そうだユーリ。」
ユーリ「なぁに?」
タクト「お前、前からジュリアンと付き合い始めたけど、彼奴をどう思ってるの?」
ユーリ「ん〜・・・凄く女子力高いけど、頼りになる子ねぇ。」
タクト「破局にならないよう祈ってるぜ。」
ユーリ「ありがとぉ〜。」
シン「よしっと。じゃあ俺も1度家に戻ってシシリーや爺ちゃん達に無線通信機渡して来るよ。」
アウグスト「我々も城へ戻ろう。攻略作戦についての報告もあるようだしな。」
ウォルフォード邸。
メリダ「ほう・・・これが無線通信機と言う奴かい。」
マーリン「何やら見慣れぬ形状じゃのう・・・使いこなせるか心配じゃわい。老人用とかないかのう・・・」
シシリー「大丈夫ですよ。お爺様、お婆様。私達も不慣れでしたけど、すぐ扱えるようになりましたから。」
アザレア「シシリーが言うなら間違い無さそうね。」
リチャード「しかし、タクト君だけ所持していないが・・・」
タクト「それは心配ない。それ用のインカムブレスもあるから。」
レイチェル「なら問題ありませんね。」
シシリー「・・・あれ?シン君のほっぺに・・・」
タクト・シン(ドキッ)
シシリー「・・・キスマーク付いてる気がしたけど・・・気のせいですね。」
シン(鋭い・・・!)
タクト(危ねぇ・・・!)
メリダ「やれやれ。私等の分まで用意してくれるとは・・・気に使わせて悪かったね。」
シン「何言ってんの?当然じゃん。家族なんだし。」
その言葉を聞いたマーリンとメリダが、切ない顔をした。
マーリン「シン・・・シシリーさん。タクト君。ちょいと座りなさい。」
リチャード「君達に話したい事がある。」
ソファーに座った。
シン「・・・何?改まって。」
マーリン「・・・家族・・・か・・・ワシ等を家族と呼んでくれるお主達には・・・やはり話しておかねばならぬ事がある。タクト君には前に話したんじゃが、改めて聞いてくれ・・・」
シン「2人の・・・過去について・・・だね?」
その言葉に、マーリンとメリダとアザレア、リチャードとレイチェルが静かに頷いた。
タクト「2人の過去・・・か。」
メリダ「私等には、嘗て1人の息子が居た。名前はスレイン=ウォルフォード。」
アザレア「そして、私の兄さん。」
シン(・・・嘗て・・・と言う事は・・・)
マーリン「・・・じゃが、若き日の旅の途中・・・我々の不甲斐なさが原因で・・・息子は命を落とした・・・」
シン(若い頃・・・旅の途中・・・つまりエカテリーナさん達と旅をしてた頃・・・)
エカテリーナ『あの人が死んじゃって・・・寂しいよぉ・・・スレ・・・イン・・・』
シン「・・・そうか・・・その時亡くなった2人の子供が・・・当時のエカテリーナさんの・・・恋人だったんだね?」
マーリン「・・・察しが良いのう・・・」
メリダ「アンタ達の誕生日会の夜・・・他ならぬ、そのエカテリーナに諭されたのさ。家族であるシンに・・・隠し事をしたままで良いのかってね。」
アザレア「その話は事前にタクト君だけに打ち明け済みだけどね・・・」
シン「辛い話なのはよく分かるし・・・別に無理して打ち明ける必要は・・・」
マーリン「いや・・・ワシ等は家族じゃ。家族の間にあった事は、皆知っておかねばならん。」
シン「爺ちゃん・・・」
マーリン「スレインが産まれたのは、ワシ等が魔人を討伐する数年前・・・」
メリダ「やんちゃな男の子でねぇ・・・アンタとは違う意味で目が離せなかった子だったよ。」
アザレア「引き取られた私を妹のように可愛がってくれてね。」
リチャード「前に君達に話したカイルに凄く懐いてたよ。」
シシリー「・・・息子さんにも・・・やっぱりお2人から魔法を・・・?」
マーリン「素質はあった。あったんじゃが・・・」
メリダ「私が影響与え過ぎちゃったんだろうねぇ。あの子はずっと魔道具師になりたがってたよ。」
タクト「メリダ様の影響力は凄いなぁ・・・」
アザレア「私はお父さんに憧れて魔法師団に入ったんだけどね。」
シン(はは・・・目指したものは違ったけど、気持ちはよく分かる。俺が魔法使いを目指したのは、やっぱり爺ちゃんの影響だし・・・)
レイチェル「その当時に私達の娘のモニカも産まれました。あの子はスレインの幼馴染みでスレインによくしてくれていました。」
リチャード「あの子は昔から優しくて、誰からも愛される自慢の娘でもある。」
シン「流石、リチャードおじさん達が愛情を持って育てられたから礼儀正しいんだね。」
リチャード「あぁ。」
マーリン「それから例の魔人騒動を経て・・・ワシ等は英雄扱いされるようになった訳じゃが・・・どうにも持て囃される事に耐えられなくての・・・スレインが成人した後に旅に出る事を決めたのじゃ。」
リチャード「当時から私達を慕うようになった王太子時代のディセウム。護衛のミッシェル。途中で神子に成り立てのエカテリーナを拾い、ひょんな事から行商人だったアーロンも加わった。」
マーリン「はっきりとした目的のある旅ではなかったが・・・騒がしく楽しかったモンじゃわい・・・」
メリダ「あっと言う間だったよ。スレインとエカテリーナが恋仲になるまでは。魔道具職人として独り立ちしたら・・・結婚もするはずだった。」
シン「モニカさんとニルスさんは一緒じゃなかったの?」
レイチェル「はい。モニカとニルスは学業に専念すると言って王都に残りました。」
マーリン「アザレアも学業に専念すると言っておった。」
メリダ「・・・だけど、スレイン・・・あの子は魔物に殺されてしまった。私等が守ってやれなかったんだ・・・」
シン「・・・・」
タクト「・・・・」
部屋中に沈黙の空気が漂った。
メリダ「ふぅ・・・終わりさ・・・旅はそれで。続ける理由も・・・意味も・・・全部失くしちまった・・・」
それを聞いたシシリーは涙を浮かべていた。
メリダ「正直、私等も相当堪え難くてねぇ・・・当時生業としてたハンターも辞めて・・・国も出る事にしたんだよ。」
マーリン「あの子を死なせてしまった事は、ワシ等2人の関係も変えてしまった・・・後悔ばかりで・・・共に居る事すら困難になってしまったんじゃ・・・」
リチャード「エカテリーナも酷く落ち込んだんだ・・・けど心が壊れずに済んだのが幸いだった・・・今も心の何処かで引き摺っている所があるんじゃないかと・・・」
シン「・・・じゃあ・・・爺ちゃんが俺を『息子』じゃなくて『孫』として育てた理由って、ひょっとして・・・」
マーリン「スレインとエカテリーナが結婚していたら・・・丁度孫が出来ているであろう時期に・・・シン・・・お主を拾ったんじゃ・・・」
シン「・・・!?」
15年前、マーリンが1人で雨の道を歩いていると、魔物に襲われた馬車を発見した。その馬車の中に唯一無傷だった赤子を拾った。それがシンであると・・・
マーリン『これは天命かのう・・・』
メリダ「アンタの本当の両親んいは申し訳ないけど・・・アンタを見た時・・・私もそう思っちまったよ・・・この子は私等の孫だ・・・ってね・・・」
シン(そう言う事・・・だったのか・・・)
エカテリーナ『師匠の孫なんだから、私の子供で良いでしょう?』
シン「エカテリーナさんの言葉の意味も・・・これでようやく理解出来た・・・」
メリダ「私等がアンタに”祖父母”として接して来た事実がある以上・・・あの子にとってもシンを他人だとは思えないんだろう生まれて来るはずだった子供とシンを重ねて見ちまったから、改まって様付けで呼ばれたくなかったんじゃないかね。」
シン「・・・にしても『お母さんと呼べ』は無茶なんじゃ・・・」
タクト「俺もあの言葉に一瞬ビクッてなったけどな・・・」
メリダ「無茶苦茶だよ。教皇になったって、そう言う所は昔と変わっちゃいない。」
レイチェル「シンさん。大目に見てあげて下さいね?」
シン「分かった。」
マーリン「・・・話は終いじゃ。しんみりしていかんわい。」
メリダ「アンタ達は私等と違ってちゃんと幸せになるんだよ!」
リチャード「勿論タクト君も。孫娘を宜しく頼むぞ。」
タクト「あぁ。」
マーリン「・・・シン。言っておくがの・・・スレインとエカテリーナに子供が出来なかった事は残念じゃが・・・ワシ等はシンの事を、その代替じゃと思うた事は1度もないからの・・・」
シン「分かってるよ・・・爺ちゃん・・・婆ちゃん・・・」
アザレア「シン、シシリー、あなた達の子供が生まれるの楽しみにしているわ。」
シン「ありがとう・・・アザレア叔母さん・・・」
メリダ「・・・だって、シンみたいな子供がこの世に他にも存在するはずないさねぇ。」
感動の空気に包まれたが、一気にコメディな空気に変わった。
シン「台無しにすんなよ・・・折角の感動を・・・」
タクト「あはは・・・」
こうしてシンは、スレインとエカテリーナを全て知ったのであった。
数日後の夜、遥か遠くに位置する国では、謎の実験が行われていた。そこに赴いたのは・・・タクトだった。
佐久間元輝
田所陽向
橘龍丸
野瀬育ニ
遥か遠くにある辺境の国・アストラル。そこでタクトが見た謎の集団と、襲い掛かる魔の手・・・