ウルトラマンティガ THE ULTIMATE MAGICIANS 作:naogran
第38話「凶報」
ダーム王国。
ドミニク「魔人領攻略作戦開始から数ヶ月・・・魔人の首魁・シュトロームが潜伏していると思われる旧帝都の包囲はようやく完了しつつあります。加えて・・・嘗て我々を脅かした巨大な災害級・・・俗に”超災害級”と呼ばれる魔物は、その後姿を見せてはおりません。よって、疲弊の目立つ作戦参加中の寺院を各国共に削減する方向で考えております。」
閣僚A「旧帝都を除く魔人領の魔物も相当数減らしているようだし・・・」
閣僚B「問題ないかと思いますな。」
閣僚C「超災害級と呼ばれる魔物は、自然発生はしないと言う説は伺いましたが・・・魔人が何らかの方法で作り上げている可能性が高いようだな。」
閣僚D「ならば、今後出現するとしたら旧帝都から・・・か、それならば逆に対処もしやすいだろう。」
ガラン「作戦は予定通り・・・旧帝都へは踏み入らず、残った魔人の監視体制が築けた時点で一旦終了って事で良かったよな?」
ドミニク「その通りです。」
ナバル「・・・ま、下手に藪をつついて蛇を出す必要はありませんわな。魔人達の意図がさっぱり分からへん以上・・・釈然とせんモンはあるけどな。」
エドガー「あの・・・魔物も同様なのですが・・・今後、魔人が増えると言う可能性は?」
ドミニク「現在までに魔物に子が生まれたと言う報告はありません。恐らくは魔人も同様でしょう。魔人は何らかの手段で人を魔人化させる術を持っていると考えられていますが、それも包囲網が完成し奴等を旧帝都から出さなければ問題ないでしょう。」
この発言に誰も意義はなく、ドミニクは自分の秘書官に頷いて話を進めさせる。
秘書官「・・・では次の議題に移らせていただきます。以前取り決めた領土の分配を改め・・・
その議題が入った途端、ダーム王国の代表がギリっと歯を噛み締めていた。
秘書官「ダーム代表、宜しいですか?」
ダーム代表「・・・ええ・・・大丈夫です・・・」
(ラルフ前長官の暴挙のせいで・・・ダームは一気に肩身が狭くなりましたな。)
(・・・ま、仕方ないでしょう。)
(作戦を無視した個人行動を企てた上に帯同させた軍人は全滅・・・各国軍を混乱させ、結果的に軍の存在を魔人に報せる事になってしまった。)
(しかも聞けば、暴走の原因は教皇猊下がお決めになった”御使い”や”聖女”の呼び名に納得出来ず、アルティメット・マジシャンズの功を先んじて掠め取ろうとしたと言う事らしい。)
(おまけに死亡後は、リチャード大司祭様によって永遠の磔の刑に処されてしまった。)
(そのような危険人物を軍の代表に据えていたダームの責任は重い。お咎めなしと言う訳にはいくまい。)
ダーム代表(あの疫病神が・・・!!大人しく作戦に参加していれば黙っていても領土の拡大が出来ていたものを・・・!!)
秘書官「・・・では、ダームに分配される領土は元々の予定の半分。残った領土はその周辺国に再分配と言う事で・・・」
会議が終了し、閣僚達がそれぞれ帰って行った。
ナバル「やれやれ、今日の会議も終わりやな。」
ハミル「・・・はは。他国に泊まり込んで連日会議と言うのも骨が折れますな。」
ナバル「ホンマにな。」
物陰に謎の人影があった。
秘書官「マキナ様。今後の予定を確認したいのですが・・・」
ハミル「明日の会議が終わり次第、一度国に戻ろう。向こうでも随分仕事が溜まっているからな。(攻略作戦も終わりは近い・・・このまま何事もなく進めば必ず世界に平穏が戻るだろう。)」
物陰に潜んでいた人影が行動を移そうとした時。
???「相変わらず仕事熱心だねぇ。エミールちゃん。」
エミール「・・・その口調は止めろと何度言えば分かるんだ。ベルゼ。」
ベルゼ「ニヒヒヒ。」
その人影の正体は、斥候隊のエミールだった。そして斥候隊の制服を身に纏ったベルゼが彼の後ろに立って笑っていた。
エミール「お前、今まで何処へ行ってたんだ?」
ベルゼ「ん〜・・・ちょっと別荘へ帰省してたよ。でもあの離反の皆が勝手に乗っ取っちゃってね。」
エミール「元々お前の別荘でも何でもないだろ。」
ベルゼ「それもそうだね。」
エミール「そんな事より邪魔しないでくれ。今良い所なんだよ。」
ベルゼ「でも残念。ハミル=マキナ司教は害意の欠片が微塵も無いよ?」
エミール「・・・予知で調べたのか。」
ベルゼ「そうだよ。でも彼の代わりに良い標的を発見したよ。」
エミール「・・・丁度良いな。案内しろ。」
ベルゼ「はいはーい。」
とある屋敷。
ダーム代表「くそっ!!!はぁ・・・はぁ・・・」
そこでは、ダーム代表が苛立っていた。
ダーム代表(忌々しい・・・!!ラルフめが・・・!!自国の会議で・・・!!他国の代表の前であのような恥を・・・!!それに精神的宗主国であるイースからの信頼までも地に落とすとは・・・!!くそ・・・!!陛下に何と報告すればよいのだ・・・!?・・・やってられるか!!)
近くにあった酒を空になるまで飲み干し、そのままベッドへ眠った。
夢の中。
???『憎くないか?』
ダーム代表(っ!?何だここは・・・私は確か部屋で・・・夢・・・!?)
???『お前自身に何も非はないのに、非難され、貶められた。憎くないか?』
ダーム代表「憎いに決まってる!!こんな思いをする為に私は苦労して閣僚になるまで上り詰めた訳ではない!!」
???『ならば、その怒りに身を任せればいい。それが自然な姿だとは思わないか?』
ダーム代表「だが、誰を憎んだらいい・・・!?当のラルフは死に、リチャード大司祭様に磔の刑に処されてとっくにこの世には居ない・・・!!」
???『だが、お前は悪くない。悪いのは一体誰だ?』
そう諭している声の持ち主は、エミールだった。その後ろにベルゼが笑顔で立っている。
エミール『お前は悪くない・・・』
ダーム代表「・・・私は悪くない・・・悪いのは誰だ・・・私をここまで苦しめる事になった原因を作った者は・・・そうだ・・・悪いのは・・・あの時・・・あのような・・・宣言をした・・・!!」
怒りの矛先が、ある人物に向けられた。
ダーム王国・最北端。
???「?」
???「これは?」
2人の人物が何かの気配を感じた。
???「もしかしたら・・・危ないかも。」
???「・・・その可能性がある。」
アールスハイド王国。マーリン達の過去の告白からしばしの時が過ぎ、春の季節が来た。タクト達は2年生に進級した。
タクト「まさかこのSクラスに新しい仲間が加わるとは驚きだな。」
マリア「凄いわね。」
アウグスト「その生徒は幾多の努力をぶつけたんだろう。」
タクト「新しいメンバーはまだ分からないのか?」
アウグスト「当然だろう。しかも噂だとタクト、お前の入試試験の点数と同じらしいぞ。」
タクト「俺と同じ?凄いなその子・・・」
シン「転校する事にならなくて良かったな。トニー。」
トニー「はは。まあね。」
トール「え?例の親御さんとの約束、まだ生きてたんですか?」
タクト「流石にもう許してあげても良いんじゃ・・・」
『きゃあああ!!』
シン「うおっ!何だ!?」
突然校舎から女子の黄色い歓声が溢れた。
「シン様ー!素敵ー!」
「タクト様格好良いー!」
「殿下ー!」
「アリス先輩可愛い〜〜!!」
「ああ麗しいわ!マリアお姉様〜!」
「聖女様ー!」
「トニー君〜〜〜!」
「ユリウスのアニキー!」
タクト「おぉ、黄色い歓声が響いてるね・・・」
マリア「・・・!!ああ、今年の新入生か。」
ユーリ「初日からすっごいわねぇ。」
アウグスト「今年の受験者数は過去最高だったらしいぞ。まあ、我々の影響だろうな。どんなアプローチがあっても、基本相手にはするなよ?一応、これでも国を代表する部隊なんだからな。」
タクト「それに相手したら面倒くなるな・・・」
高等魔法学院・廊下。
アウグスト「それはそうと、旧帝都を囲む監視網が完成目前らしいぞ。」
マリア「本当ですか!?」
アリス「その後はどうなるんですか?」
アウグスト「全世界に向けて終結宣言が出されれば、この作戦は終了だ。」
ユーリ「長かったわねぇ。」
トール「魔物を掃討しながらの進軍でしたからね。まあ、その後は我々が出向くような事態がなくて良かったですよ。」
シン「シュトロームと不戦協定を結ぶ・・・って話はどうなったんだ?」
タクト「・・・」
アウグスト「奴らに表立った動きがあれば、拡声魔法なりで交渉する手筈だったが、いかんせん。全くそんな気配を見せんからな。」
タクト「やはり魔人の動向は読めねえもんだな。」
アウグスト「あぁ。不気味な程にな。まあ、あれだけの包囲網があれば迂闊に奴等が動く事も出来なくなるだろう。もし何かあれば・・・その時は我々が対処すれば良い。」
シン(何か・・・か。)
学院内・Sクラス。
アルフレッド「皆、進級おめでとう。そして、このクラスに新しい仲間が加わる事になった。」
アリス「先生、どんな子なんですか?」
アルフレッド「そこで待機してるぞ。入ってくれ。」
Sクラスに入ったのは、水色のセミロングヘアの右側を纏めてサイドアップの髪型の新入生だった。
レベッカ「初めまして!Sクラスに入る事になりましたレベッカ=ホークです!宜しくお願いします!」
シン「元気いっぱいな子だな・・・」
アウグスト「ホーク?君はまさか、エルヴィン先生の?」
レベッカ「あ、そうです殿下。父がお世話になっております。それと、魔法師のルーパー団長は私の叔父なんです。」
アリス「凄い!魔法師団長様の姪御さんで、殿下の先生の娘さんなんて!」
レベッカ「えへへ。お褒めに預かり光栄です。あ!もしかして、タクト=クリスティ先輩ですか?」
タクト「あ、あぁ。そうだ。」
レベッカ「私、タクト先輩に憧れてSクラスに入る事が出来たんです!宜しくお願いします!」
タクト「あぁ。此方こそ宜しくな。レベッカ。」
こうしてSクラスに、ルーパーの姪で魔法師団の家系を持つレベッカ=ホークが加わった。
数日後のイース神聖国。
枢機卿「・・・いよいよですな。教皇猊下。」
エカテリーナ「ええ・・・(魔人達の意図がどうであれ・・・終結宣言によって世界の人々に安寧を齎す事が出来れば・・・今はそれで・・・)」
兵士「失礼致します。」
1人の兵士が、枢機卿に告げた。
枢機卿「・・・猊下。例のダームの使者ですが、直接謝罪がしたいとまた謁見に訪れているようです。」
エカテリーナ「またですか・・・謝罪は不要と何度も言ってるのに・・・分かったわ。終結宣言の前に互いのわかだまりを解消しておきたいのも確か。話を聞くわ。」
城内に謎の2人の影が入ってる。
謁見の間。
ドワイト「謁見の許可を頂き、心より感謝致します。親愛なる教皇猊下。ダーム王国を代表して参りました、ドワイト=フォン=モービルと申します。我々の太くを詫びる意味も込めて・・・まずは猊下に是非受け取って貰いたい物が御座います。」
異空間収納からナイフを取り出してエカテリーナを襲い始めた。だが、何者かがドワイトの腕を掴んだ。
エカテリーナ「!?」
ドワイト「な、何だ!?」
デリック「彼女に手出しするな!!!」
その正体は、魔人のデリックだった。
エカテリーナ「あ、あなたは・・・!?」
デリック「教皇猊下、この男は魔人に操られてる!!」
ドワイト「邪魔だ!!!」
腕を振り解いて、デリックの右肩に切り傷を刻んだ。
デリック「ぐあッ!!!」
切り傷を左手で押さえ込むが、全身に毒が流れ込んだ。
デリック「毒・・・だと・・・!?猊下!!逃げろ!!」
だがドワイトがエカテリーナの目の前まで迫っていた。
アールスハイド王国・アルティメットギルド。
タクト「なぁオーグ。わざわざここに皆を集めて何を話すんだ?それにマーリン様達を呼び出して。」
アウグスト「・・・どうしてもマーリン殿とメリダ殿とリチャード殿とレイチェル殿にも直接お教えしたくてな。」
シン「だから何の話だよ。勿体付けんなって。」
アウグスト「・・・終結宣言の発表が決まった!教皇猊下の宣言をもって事態は終結だ!!」
タクト「本当か!!」
シン「おお!じゃあ旧帝都の監視網が完成したのか!!」
アリス「いえーい!やったね!」
トール「これで、取り敢えずは一安心ですね。」
メリダ「・・・まあ、何はともあれ・・・」
マーリン「これで世界が落ち着けばいいのう。」
リチャード「そうだな。平和への第一歩だな。」
マリア「良かったねシシリー!これで晴れて!」
シシリー「うん・・・あぇ!?」
”ジリリリリ”
皆が喜んでる中、無線通信機の着信音が鳴り始めた。
タクト「ん?誰の無線通信機が鳴ってんだ?」
アウグスト「ん?私か。」
タクト「多分陛下だろう。他の皆はここに居るし。」
ディセウムからの通話に出たアウグストが、固まった。
アウグスト「・・・」
シン「ん?どうしたオーグ?」
アウグスト「・・・シン!!お前も父上から話を聞け!」
シン「え?もしもしディスおじさん?」
ディセウム『おおシン君!そこにマーリン殿とリチャード殿は居るか!?』
シン「居るけど・・・それが一体・・・」
ディセウム『そうか良かった!今すぐマーリン殿のゲートでイースへ向かってくれ!!』
そして、ディセウムから告げられた言葉は・・・
ディセウム『先程イースから緊急連絡が入った!!カーチェが・・・エカテリーナが刺されたのだ!!!』
エカテリーナが、ダーム王国の使者・ドワイトによって脇腹を刺されてしまったのだ。
シン「エカテリーナさんが刺された!?一体どう言う事だよ!?」
マリア「え・・・ちょっと!何の話よ!?教皇猊下が・・・!?」
ディセウム『詳しい事は分からん・・・刺された傷自体は治癒魔法で治療中らしいのだが・・・どうも刃物に厄介な毒が塗ってあったようでな!!』
シン(毒!?)
ディセウム『幾ら魔法を掛けても衰弱していく一方らしい!それで、シン君に救いを求めてきたのだ!』
シン「分かった!すぐに向かうよ!!」
ディセウム『シン君!タクト君に代わってくれ!』
シン「え?う、うん!タクト!ディスおじさんから!」
タクト「え?陛下!?」
ディセウム『タクト君!カーチェが刺された時に君の知り合いの男が駆け付けたのだが、彼もその毒に侵されてるようだ!!』
タクト「知り合いの男?誰なんだ?」
ディセウム『君が前に話した・・・離反魔人を離反した魔人・・・!!』
タクト「っ!?デリックか!?」
ディセウム『あぁ!幸い彼は自身の治癒魔法で毒は免れた!君もすぐにイースへ向かってくれ!』
タクト「分かった!ありがとう!シン!!」
シン「あぁ!爺ちゃん!!」
マーリン「準備出来とるわい!!行くぞ!!」
リチャード「レイチェル!マナミア!ここで待っててくれ!!」
レイチェル「はい!」
マナミア「お気を付けて!」
シン「オーグ!行って来る!」
タクト「無線通信機返すぞ!」
アウグスト「シン!タクト!何としても教皇猊下をお救いしろ!」
タクト「任せろ!」
ゲートを潜ってイースへ急いで向かう。
アウグスト「父上!では一度通信を・・・」
ディセウム『アウグスト!!よく聞け・・・!!緊急報告は・・・実は、それだけではないのだ・・・!!』
アウグスト「・・・!?」
それは、ディセウムがシン達に通信を数十分前。旧帝都城壁周辺・連合軍最前線のアールスハイド陣営。
兵士A「どうだ?」
兵士B「・・・ああ、特に異常は・・・ん?・・・・・・る・・・・」
兵士A「え?」
兵士B「何か来てる・・・!!城門の奥から・・・!!」
城門に現れた、無数の影の正体は・・・災害級の大群だった。
兵士A「な・・・!?」
兵士B「なっ・・・!!何だありゃ・・・!?や・・・やべぇぞオイ・・・!」
兵士A「まさか・・・ぜ・・・全部災害級じゃねえのかあれ・・・!?」
兵士C「どうした!?何かあったのか!?」
下に居る他の兵士の声で2人の兵士が我に返った。
兵士A「さ・・・災害級の魔物が旧帝都より多数出現!!至急駐留軍に伝達せよ!!緊急事態だ!!」
兵士D「災害級!?」
兵士E「おい!!直ちに王城にも通信を入れるんだ!!急げ!!」
兵士D「局長は!?」
兵士E「いえ今は・・・明日前線に合流する予定だったので・・・」
ルーパー「おぉい!何の騒ぎだこりゃあ!?」
そこに魔法師団長のルーパーが駆け付けた。
兵士D「ルーパー師団長!!!」
ルーパー「ったく、前線に来て早々よぉ!」
櫓に登って、望遠鏡で状況を見る。
ルーパー(確かにもれなく災害級だなありゃあ・・・以前のサイみてーなデカブツが居ねーのが唯一の救いだが・・・にしても俺らだけで手に負える事態じゃねぇ・・・)
どうするか考え込んで、決心した。
ルーパー「・・・数分もあればここまで来るな。すぐに臨戦態勢を整えろ。殿下達が来るまで死ぬ気で持ちこたえるしかねぇ。でなきゃここで
兵士達「・・・・」
ルーパー「各国軍にも救援要請を入れとけ!まぁ、到着は魔物共の方が早いだろうがな!」
櫓から飛び降りて前線に立つ。
災害級の大群が、王国軍を目撃した。
ルーパー「さーて・・・腹ぁ括れよテメェら・・・」
ブルースフィア旧帝国・旧帝城。
ゼスト「・・・・」
ローレンス「ゼスト様。魔物の第一陣、解放始めました。予定通り、アールスハイドの連中が陣を張っている場所近くの城門のみ魔物を放出してますが、他の連合軍は放っといていいんですか?」
ゼスト「・・・対策はしてあるから、放置して構わん。場が混乱し過ぎると、個々の動きが追い難くなる。飽く迄も目的はその先だ。・・・ローレンス、この作戦はお前達の働きに懸かっている。改めて1つ訊いておくが、ウォルフォードとクリスティを除くアルティメット・マジシャンズの連中・・・お前なら勝てるか?」
それを聞いて、ローレンスがニヤリと笑った。
ローレンス「勝てますね。ガキ共相手に後れを取る気はないです。」
ゼスト「・・・フッ。ならいい。」
ローレンス(・・・まぁ正直、
本心では闘いたくないらしい。
ローレンス「・・・しかしまあ・・・シュトローム様もよくここまで動く事を許可しましたね。何かあったんですか?」
ゼスト「・・・・・」
ローレンス「ん?ゼスト様?」
ゼスト「・・・いや・・・シュトロームの御心は私にも分からん。以後も監視を怠るなよ。奴らに動きがあったら随時報告しろ。」
ローレンス「はっ!」
旧帝城内を歩くゼストは、数分前の事を思い出した。
シュトローム『フム・・・此方から打って出ますか・・・まあ、帝都周辺から監視され続けるのも正直気分は良くないですしねぇ・・・良いんじゃないですか?』
ゼスト『では・・・』
シュトローム『それに・・・実際の所、あれこれと策を弄する必要はもう無いかも知れませんしねぇ・・・』
ゼスト『・・・?それは・・・どう言う・・・』
シュトローム『以前からの・・・ミリアさんの実験の成果が出ましてね。』
ゼスト『・・・!?』
シュトローム『結果は・・・』
一体彼らが行った実験とは何か・・・
そして今。
ゼスト「・・・・」
???「ゼスト。」
そこに回復したミリアが現れた。
ゼスト「・・・ミリアさん・・・」
ミリア「必要があれば、私も出撃します。何時でも指示を。」
そして現在。アルティメットギルド。
マリア「ど・・・どう言う事ですか殿下!?災害級が旧帝国から出現したって・・・」
アウグスト「落ち着け!都合良くここにメンバーは揃っている!!すぐに魔人領へ向かうぞ!!」
シシリー「あの・・・シン君とタクト君は・・・」
アウグスト「彼奴らの帰りを待っている余裕はない!!向こうも同様に緊急事態なのだからな・・・!!」
マリア「・・・・」
トニー「考えてる事当てようか?マリア。”こんな異常事態が偶然2つも同時に起きるはずがない”・・・だろ?」
マリア「・・・」
自分が考えてる事を当てられて頷いた。
ユーリ「魔人が何時までも大人しくしてるとは思えないもんねぇ・・・あ〜〜〜あ、まだ秘密兵器の開発中だったのにぃ。」
トニー「それを言うなら僕もだよ。何か起きるのはもう少しだけ待って欲しかったなぁ。」
ナージャ「・・・・・」
リオ「ナージャ?」
ナージャ「私・・・またあの時のようになっちゃうのかな・・・?」
魔人領攻略作戦の時、災害級を見て頭痛をした事を思い出していた。
デイジー「・・・大丈夫よ。私達が付いてるから。」
ケイティ「だから気を落とさないで?」
ナージャ「うん・・・皆、私に何かあったら落ち着かせて欲しいの。」
マリア「勿論よナージャ。」
グレア「私達にお任せあれってね♪」
アウグスト「こんな事もあろうかと、前線近くまではゲートでの移動を可能にしてあるが・・・シンが居ない以上、リオ達以外の私達は飛行での移動は出来ないな。」
ユリウス「そこから現地までは走るしかないで御座る。」
???「困ってるようだな。」
アウグスト「!?」
そこに現れたのは、衛士隊だった。
アウグスト「アズマ!お前達まで!」
マリア「どうしてここに!?」
アズマ「陛下が衛士隊に連絡を入れてな。アルティメット・マジシャンズと共に急行してくれと。」
シイナ「終結宣言が転覆してしまうとはね・・・」
ナナセ「向こうも簡単に諦める訳ないか・・・」
アズマ「それと、マチ達に伝えた後、彼女達は先に魔人領へ向かってる。」
アウグスト「助かる。ありがとう。」
リオ「オーグ。途中で僕達は先に飛行で魔人領へ向かうから。」
アウグスト「すまない。頼む。」
レベッカ「まさかここで実戦なんて・・・私出来るかな・・・?」
アウグスト「コーナー、ヒューズ。ホークと同行を頼む。」
アリス・リン「了解!」
トール「急ぎましょう!」
マナミア「お祖母様。私も行きます。」
レイチェル「ご武運を祈るわ。マナミア。」
イース神聖国。ゲートからタクトとシンとマーリンとリチャードが出て来た。
シン「爺ちゃん!ここは!?」
マーリン「カーチェの自室じゃ!!」
リチャード「ここに居ないとなると・・・」
タクト「通信で確認する時間が無い!外で誰かに訊くぞ!」
エカテリーナの部屋を出て廊下を走る。
シン(広いなくそっ・・・!!そりゃそうだよな・・・教皇さんの居る大聖堂だし・・・誰も見付かんのかこれ・・・!?)
しかし、ある人物が出て来た。
マキナ「シン殿!!タクト殿!!マーリン殿!!リチャード様!!」
司教のハミル=マキナだった。
リチャード「ハミルか!!エカテリーナは何処だ!!」
マキナ「此方です!!」
マーリン「よくワシらが彼処に現れると分かったのう。」
マキナ「以前、唐突にマーリン殿が猊下の部屋から出て来られた事があったでしょう。それでもしやと思いまして。」
リチャード「ハミル、お前は有能な司教だ。将来の出世に期待出来るぞ。」
シン「マキナさん!教皇様の容体は?」
マキナ「・・・刺し傷自体も相当深く・・・血を大量に失っております・・・!!も・・・もし・・・傷が癒えても・・・くっ・・・!!」
マーリン(そもそも何をしとったんじゃ、護衛達は・・・教皇に逆賊が近付く事を許すとは・・・)
シン(俺が行くまで死ぬなよ・・・!!エカテリーナさん・・・!!)
タクト「そうだ!ハミルさん!ここに1人の男が来なかったか?」
マキナ「っ!確かデリックって言う若者か・・・?」
タクト「彼は魔人であるが、家族の敵討ちの為に魔人や魔物を討伐してる男だ。」
マキナ「そうでしたか・・・幸いにも彼は持ってる治癒魔法で完治されまして・・・」
タクト「そうか。兎に角急ごう!猊下の命が危ない!」
エカテリーナに向かうタクト達。
魔人領へ急行するアルティメット・マジシャンズと衛士隊。
災害級の大群に臨戦するアールスハイド王国軍。
旧帝都の魔人達。
シュトローム「フ・・・フフ・・・クク・・・どうやらほんの少しだけ・・・楽しい事になりそうですねぇ・・・そして、私の大切な人を返す絶好の機会ですね・・・」
イース神聖国。
マキナ「あの部屋です!!」
謁見の間の扉が見えた。
マーリン「謁見の間!!」
シン「じゃあエカテリーナさんを刺した犯人は・・・!!」
マキナ「・・・ええ・・・国外の人間・・・ダームの使者です!」
謁見の間に入った。
マキナ「皆の者!道を開けよ!御使い様とリチャード様がお通りになる!!」
聖徒「おお・・・!!御使い様とリチャード様が来て下さったぞ・・・!!」
リチャード「皆!待たせてすまない!」
シン「退いて下さい!エカテリーナさんを診せて!」
彼女は毒に侵され、呼吸困難に陥っている。
リチャード「そのまま治癒魔法を続けろ。今の状態を確認する。シン君。」
シン「うん!」
彼女の容体を確認する。
シン(意識がない・・・恐らく既に全身に毒が回ってる・・・!!時間はない・・・!)
タクト「っ!デリック!」
右腕に包帯が巻かれたデリックが立っていた。
デリック「久し振りだな。タクト。」
タクト「お前、腕は大丈夫か?」
デリック「あぁ。幸い毒は浅かった。タクト、あの男だ。」
タクト「え?」
デリック「猊下に毒を盛ったダームの使者だ。」
謁見の間の隅に、縄で縛られてるドワイトが居た。
ドワイト(ヒ・・・フヒヒ・・・私は悪くない・・・今までどれだけ苦労して、この立場を得たと思っている・・・凡ゆる手段と金を使って邪魔者を騙して排除し、上層部に取り入れる為に人を唆し、蹴落とし、ようやくこの地位を手にしたのだ。私に恥をかかし、地位を脅かす存在など断じて許されてはならん!!死にすら値する!!・・・あんな小僧を・・・神の御使いなんぞと・・・認定した教皇が悪いのだ!!)
彼の体内から悍ましい魔力が溢れ出た。
”ドゴッ!!!”
デリック「っ!!」
シン(この魔力・・・!?)
魔力が暴走したドワイトが、魔人と化してしまった。
ドワイト「そして小僧・・・貴様も同罪だ!!」
タクト「彼奴!!」
マーリン「気を付けよ!!そやつ魔人化しとるぞ!!」
聖徒「ま・・・魔人!?」
ドワイト「死ねェェッ!!!!シン=ウォルフォードーーーーーーー!!!!!!」
シン(くそっ!!このタイミングで!!)
マキナ「くっ!!!!」
咄嗟の判断でマキナがシンの前に立った。
シン「マキナさん!!」
リチャード「ハミル!!」
ドワイトが強力な魔力弾を放ち、マキナが魔力障壁を張った。
”ドゴーーーーーン!!!”
魔力弾を受けたマキナが爆発した。
シン「マキナさ・・・!!」
爆煙の中からマキナの姿があった。彼は無事だった。
マーリン「・・・やれやれ。こんな老いぼれでも付いて来た甲斐があって良かったわい。」
間一髪でマーリンの魔力障壁で助かっていた。
マキナ「マ・・・マーリン殿・・・!!」
タクト「彼奴許せねえ!!」
スパークレンスを出した時、デリックがタクトの肩に手を置いた。
タクト「デリック?」
デリック「彼奴は俺が殺る。お前達は猊下の治療に専念しろ。」
彼は高速でドワイトに接近する。
ドワイト「おぉのれェェ!!!」
接近するデリックの拳を魔力障壁で防いだ。
デリック「俺がお前を駆逐する。」
両目を赤く染め上げて魔人となった。
聖徒「ま・・・魔人・・・!?」
タクト「皆、デリックは魔人であっても人間を襲わない。俺達の味方だ。俺を信じろ。」
聖徒「魔人が・・・人間の味方・・・!」
ドワイト「貴様ァ!!同じ魔人の私を殺す気カァ!!」
デリック「所詮お前は魔人の成り掛けにしか過ぎない。そんなお前が、この俺を倒せると思うなよ!!」
ドワイト「黙れェェェ!!!!」
強力な魔力弾を放った。
デリック「無駄だ!!」
右手で魔力弾を掴み、握り締めて吸収した。
ドワイト「クソォ!!!」
魔力弾を連射するが、全てデリックが握り締めて吸収した。そのまま左拳に蓄積させる。
ドワイト「巫山戯るナアアァァァァァァ!!!!!!」
逆上したドワイトがデリックに急接近した。
デリック「ハァッ!!!!」
だが、デリックの魔力が蓄積された左拳がドワイトの腹に減り込んだ。そしてドワイトの背中から内臓が噴出した。
ドワイト「・・・ァ・・・・・・・」
そしてデリックが右手をドワイトに向ける。
デリック「失せろ!!」
炎を放射し、ドワイトを燃やし尽くした。噴出した彼の内臓も全て焼却した。
聖徒「おおっ!凄い・・・!!」
デリック「ふぅ・・・」
両目を元の色に戻した。
シン(・・・幾つかの内臓にまで傷が達している・・・!治癒魔法で出血は止まってるけど・・・傷自体は治癒しきれていない・・・!!)
リチャード「シン君。毒の浄化作業もある。一刻も早く治さなきゃ彼女の命はない。」
シン「分かってる。リチャードおじさん、手伝って。」
リチャード「あぁ。」
タクト「シン、俺の能力で毒を取り除く。」
シン「分かった。」
すぐにエカテリーナの治癒を開始した。
リチャード「ーーーーーーーーー。」
詠唱を唱えると、リチャードの体内から無数の御霊達が現れてエカテリーナを治癒する。
シン(傷付いた内臓を・・・同じ臓器から細胞を培養して修復・・・!)
聖徒「け・・・賢者様・・・」
マーリン「静かにしておれ。我々の大凡与り知れん領域でシンとリチャードとタクト君は治癒をしておるのだ。」
シン(早く・・・早く!!)
リチャード「ーーーーーーーー。」
治癒を続け、遂に傷が修復された。
聖徒「おお・・・!傷が・・・!」
リチャード「傷は完治した!残りは毒だ!」
シン「タクト!」
タクト「よし!」
両手を翳して、ウルトラ念力を彼女の体内に巡らせる。
タクト「このまま行く。治癒を続けろ。」
シン(傷口付近だけじゃなく、全身に浄化の効果を広げる必要がある・・・静脈を通して治癒魔法を流し込めば・・・!心臓から全身へ魔法を巡らせる事が可能なはず・・・!!俺達が来る前から治癒魔法を掛け続けてくれたお陰で、恐らく刺された時から現状維持は出来てる・・・!!)
タクトのウルトラ念力が彼女の体内の毒を1箇所に吸収し、シンの治癒魔法が全身を浄化させる。
メリダ『アンタ達の誕生日会の夜・・・他ならぬ、そのエカテリーナに諭されたのさ。家族であるシンに・・・隠し事をしたままで良いのかってね。』
タクト「よし良いぞ・・・このまま・・・!」
シン(自身の境遇から・・・俺と生まれて来るはずだった自分の子供を重ねてみていたのは確かだとしても・・・その言葉は間違いなく
そして、ウルトラ念力が体内の毒を全て吸収し終えた。
タクト「よし!!」
吸収した毒を体内から取り除いた。
デリック「タクト、そのまま。」
炎で取り除かれた毒を跡形も無く焼却した。
タクト「シン!行け!!」
シン「ありがとうタクト!デリック!」
魔力を振り絞って全身を浄化した。浄化してしばらく経ったが、エカテリーナが目を覚まさない。
枢機卿「ダメ・・・か・・・」
タクト「嘘・・・だろ・・・」
シン「・・・そん・・・な・・・」
泣き崩れるシンに、エカテリーナの手が。
エカテリーナ「泣い・・・ているの?シン君・・・案外、泣き虫だったのねぇ・・・」
枢機卿「お・・・おお・・・!」
タクト「猊下が・・・!」
シン「エ・・・エカテリーナ・・・さ・・・ん・・・い・・・生きて・・・」
全員「ワアアアアア!!!」
聖徒A「奇跡だ!!御使い様が奇跡を起こされた!!」
聖徒B「凄い!!流石は教皇猊下が直々に二つ名を与えたお方だ!!」
マキナ「猊下・・・!!よくぞ御無事で・・・」
エカテリーナ「あらあら大騒ぎ・・・来てくれたのねぇ・・・シン君も・・・タクト君も・・・先生も・・・リチャード様も・・・」
マキナ「まだ相当消耗してます。急いで部屋に戻り安静にしないと・・・お・・・おい。至急担架を・・・」
シン「あ、いいですよ。俺が連れて行きます。担架で運ぶよりも・・・こうした方が負担は少ないはず。」
浮遊魔法でエカテリーナを軽く持ち上げた。
エカテリーナ「あら・・・あらあらあら・・・」
シン「このまま部屋に運びます。すみませんが、流動食の用意をお願い出来ますか?」
マキナ「は・・・はっ!直ちに!」
デリック「タクト、シンのあの魔法は確か・・・」
タクト「浮遊魔法だ。対象を浮かばせる魔法だ。」
部屋でエカテリーナが流動食を食べる。
エカテリーナ「不思議ねぇ・・・食べても食べてもお腹が空くわ。」
タクト「今シンが猊下の身体の血液を正常に巡らせてるから。しばらく休んだら正常になる。」
リチャード「エカテリーナ、無事で良かったな。」
エカテリーナ「はい。」
マーリン「しかしこの子の頭の中はどうなっとるのか・・・ハッキリ言って天才としか言いようがない。」
エカテリーナ「先生・・・本当にあの先生ですか?素直に人を褒めるような出来た人間じゃなかったはず・・・」
リチャード「本当だな。あの頃のマーリンが死んだとしか言いようがないな。」
マーリン「お前等・・・!帰るぞいシン。タクト君。もうすっかり元気になったようじゃ。」
エカテリーナ「え!?あ!嘘!冗談ですよぅ!待って先・・・せ・・・あれ・・・?」
起き上がったが急にフラついた。
マーリン「うぉっと!気を付けい。まだ血が足りとらんのじゃ。」
リチャード「ほら、大人しく寝ていろ。」
エカテリーナ「・・・帰っちゃいません?」
マーリン「・・・落ち着くまでちゃんと傍に居てやるわい。」
エカテリーナ「・・・へへ。ありがとう先生・・・」
シン(本当だったら、義理の父娘になってた2人・・・だもんな・・・微笑ましい光景に見えても・・・事情を知っていると、寂しく見えちゃうよな・・・)
エカテリーナ「・・・でも、シン君が天才って言うのは本当ですね。先生のゲートの魔法も元はシン君。」
タクト「それと通信機もだ。あれがなかったら猊下の命が奪われていた。」
エカテリーナ「・・・本当に・・・私が助けられた色々な要因の全てにシン君が関わっていたのね・・・ありがとうシン君。やっぱり私にとって貴方は紛れもなく・・・”神の御使い”だわ。」
シン「・・・」
タクト「そう言えばデリック、お前と一緒に居るその娘は誰だ?」
デリック「え?」
彼の傍に立ってる幼い少女。
デリック「あぁ、あの時居なかったな。」
少女「私はレオナ。デリックと一緒に旅してる。」
デリック「この娘はヴァイス王国出身でな。」
シン「ヴァイス王国?どんな国なの?」
タクト「ヴァイス王国。最も治安の悪い王国じゃないか。」
シン「え?そうなの?」
デリック「そうだ。あのブルースフィアを彷彿とさせる苛立たしい国だ。この娘の両親は娘であるレオナを働かせて、彼女が働いた金で自堕落な生活をしていたんだ。」
タクト「水商売。」
デリック「あぁ。収入が悪い時は殴られてた。」
リチャード「虐待か。」
デリック「俺は彼女を救って、彼女の許可を得て父親を殺したんだ。」
タクト「え?お前人間を殺すのは・・・」
デリック「普段は人間を殺さない。だが、誰かの許可があれば躊躇なく殺すんだ。」
シン「それで、その後どうなったんだ?」
デリック「王国を脱出したと同時に、ヴァイス王国は、王族達の仕掛けた爆発魔法に包まれたんだ。住んでいた人間達はその爆発に巻き込まれて全員死亡。王族達も自決した。国の秘密を永久黙秘する為に。そして生き残った生存者がレオナって訳だ。」
タクト「そうか・・・」
デリック「けどお陰で、この娘は呪縛から解放されたんだ。な?」
レオナ「うん。」
デリック「それで、たまたまイースへ来た時に殺意を感じたんだ。そしたらあの男が猊下を殺そうと仕向けた。レオナは周囲に不審人物が居ないか外で気配を感じ取って貰った。結果は、誰も居なかった。この娘、気配に敏感でな。」
タクト「成る程な。」
マーリン「・・・にしても、そもそも何故こんな事が起きたんじゃ?大国イースの教皇が・・・たった1人の賊に命を奪われ掛けるとは・・・」
エカテリーナ「・・・我々の油断が原因・・・と言ってしまえばそれだけです。ラルフ長官暴走の件で・・・ダームの使者が謝罪に来たんです。ダームは元々、創神教の本部が置かれていた国・・・友好国と信じて疑っていませんでした。」
リチャード「謁見の際に身体チェックはしなかったのか?」
エカテリーナ「勿論しました。その際は何も凶器を所持していませんでした。」
タクト「身体チェックに凶器を持っていなかった・・・」
シン「・・・と言う事は・・・」
タクト・シン・マーリン・リチャード・デリック「異空間収納か・・・!」
エカテリーナ「異空間収納魔法の使い手など、国にも極僅か・・・犯人であるモービルが使える程聞いた事もありません。」
マーリン「その結果、不意を突かれて凶行を許してしまった訳か・・・じゃがそこにデリック君が駆け付けてくれた。何にせよ締まらん話じゃ。」
エカテリーナ「・・・返す言葉もありません。」
タクト「・・・・・」
マーリン「ん?どうしたタクト君?」
タクト「これって証明は出来ないかも知れないけど、『この襲撃は、初めから魔人が関与していた』と。そう考えたら全ての筋が通るかもなって。」
シン「魔人が関与・・・確かにそう考えると・・・」
タクト「魔人には、相手の感情を操作出来る奴が居る。その中に予知を持つ奴も存在する。ベルゼがそうだ。」
エカテリーナ「ベルゼ?」
マーリン「その名前は確かタクト君の・・・」
タクト「そう。俺の元仲間で予知魔法を得意としている。だがある事が切っ掛けで魔人となって俺達の敵となったんだ。そして奴等は猊下に悪感情を持っている人間・・・或いは猊下に近しい人間に狙いを定めて接触。そしてチャンスを見極めて襲撃を決行させた。恐らくベルゼは予知を使ってダームの使者を利用して猊下を殺そうとした。その際に成功率を高める為に奴等が、魔力を与えたり魔法を教え込んだ・・・とか。」
マーリン「うむぅ・・・それなら、あのタイミングで魔人化したのも納得いくのぅ・・・教皇エカテリーナの命を奪う事が奴等の目的・・・か?」
タクト「実質、エカテリーナ教皇猊下は全世界のトップ。その可能性は高い。だが、今までの奴等の動向から考えても・・・どうも話はそんなシンプルじゃないって気がするんだ。」
”ジリリリリリ”
シン「ん?」
エカテリーナ「な・・・何?何の音?」
マーリン「通信機じゃ。ワシのじゃないぞい。」
シン「あ、俺か。」
”ジリリリリリ””ジリリリリリ”
デリック「あれが噂の通信機か。」
タクト「まあな。」
シン「・・・一体誰からだ?」
レオナ「っ!」
デリック「レオナ?どうしたんだ?」
レオナ「デリック・・・大変よ・・・!」
デリック「え?」
時は再び遡り、シンの通信機に通信が入る1時間程前。旧帝都城壁周辺・連合軍最前線のアールスハイド陣営では、災害級の大群により半数の兵士が殺されていた。そんな中、ルーパーは仰向けになって項垂れていた。
ルーパー(災害級・・・か・・・アルティメット・マジシャンズの戦いを見知ってるだけに・・・俺等だけでも何とかなるなんて思っちまったのが間違いだったか・・・束になった災害級がここまで脅威とは・・・にしても、此奴等、軍を蹂躙するばかりで先に進もうとしねぇ・・・魔人共が俺等を壊滅させる為に魔物を放った訳か・・・)
そこに熊の災害級がルーパーに近寄る。
ルーパー(いや・・・違うな。今更魔人にとって俺等なんか戦うべき対象にすらなってないはず・・・奴等が敵として見てるのは飽く迄・・・)
???「ハァッ!!」
熊の災害級の首が斬り落とされた。
ルーパー「!?」
マチ「ルーパー団長!」
駆け付けて来たのは、マチ達だった。
ルーパー「君達!?」
サヨ「御無事ですか!?」
倒れてるルーパーをゆっくり起こす。
ルーパー「どうしてここに・・・?」
ヨーコ「アズマから連絡が入ったのよ。」
アキ「先にアールスハイド陣営へ向かってくれって。」
ミカ「来てみたら、凄い事になってるわね・・・」
ケイ「団長様はここで休んでて。」
ユイ「私達も加勢するよ!アズマ達もこっちに来る予定だよ!」
マチ「サヨとミカとケイとユイは生き残ってる兵士達の援護に回って。ヨーコとアキは一斉に奴等を叩くよ!」
盗賊団「了解!!」
マチ「皆、油断しないでね?行くわよ!!」
クレージュとシオン。2つの元盗賊団が災害級に立ち向かう。
ルーパー(・・・あの娘達が加勢に来てくれたのは幸いだ・・・けど、俺等が災害級を倒し切れねェのは魔人共は計算の上のはず・・・つまりその先・・・通信によって救援が来る事も恐らく想定済み!!その結果考えられる事はただ1つ!これは罠だ・・・!!)
その戦いを壁の上から見物してる人物が居た。ベルゼだった。
ベルゼ「楽しそうな戦いだねぇ。さて、これもそろそろ出番かな?」
彼女の右手には、スパークレンスと酷似した赤い神器が握られていた。
八木侑紀
難波佑香
次々と襲い掛かる災害級の大群。ベルゼが手にした神器とは、そして魔人達がアルティメット・マジシャンズに獰猛な牙を向ける。