ウルトラマンティガ THE ULTIMATE MAGICIANS 作:naogran
第41話「押し寄せる重圧」
5つの場所で魔人が襲来。アルティメット・マジシャンズが5手に分かれて救援へ向かった。
カーナン王国。
シン「俺達の行き先はカーナンだ!まずはガランさんを捜して・・・!」
そこに駆け付けたのは、シンとシシリーとデリック。
シン「ガ・・・ガランさん!?何でここに!?」
ゲートで駆け付けた時、目の前にガランと羊飼いのメンバーが待っていた。
ガラン「通信でお前らが来てくれるって聞いてな。だったらゲートを開くのは俺とお前らが最初に会ったここにしかねぇって思ったんだ。」
シン「ガランさん・・・」
羊飼い「まあ第2候補としてシェパード服飾店にも数人控えさせて・・・」
”ゴン!”
ガラン「余計な事言うんじゃねぇ!それより、兄ちゃん見ない顔だな。お前らの仲間か?」
シシリー「はい。デリックさんです。」
デリック「まぁ俺は人間じゃなくて・・・」
両目を赤くした。
デリック「・・・」
ガラン「そうか。お前が魔人を裏切った魔人か。噂で聞いてるぞ。安心しな。俺達はお前を伐ったりしない。」
デリック「感謝する。」
シン「それで、魔人は!?」
するとガランが3人の後ろに目を向けた。
シン「え?」
後ろに振り向くと、そこには・・・
エミール「あははははは♪」
斥候魔人のエミールが羊達とスキップで遊んでいた。
デリック「エ、エミール・・・?」
シン「な・・・何してんですか彼奴・・・!?く・・・国の危機だったんじゃ・・・」
ガラン「いやそれがよ。自分の存在を報せるように現れてすぐ空に魔法をブッ放したと思ったら、その後ずーっとあの調子よ。」
エミール「ん?」
ようやく3人に気付いたエミールがビビった。
エミール(テメェ等かよぉ!よりにもよってよぉぉ!!)
シン「何のつもりだ?旧帝都での襲撃に失敗したから他国の侵攻に切り替えたんじゃないのか?」
エミール「ふっくっくっくっくっくっ。アホが。足りてねぇぜ、頭の回転がよ。それをやんならお前等連合軍が帝都目指してる時にとっくにやってるっての。」
シン「・・・・何か腹立つ奴だな・・・・」
エミール「それにお前、よりによって俺の厄介者を連れ込むとはな。」
デリック「おいエミール。やっと会えたぞ。」
エミール「いい加減しつこいんだよお前。俺の気持ちを考えた事あるか?」
デリック「黙れ!俺の家族を殺した元幼馴染みのお前の言い分など反吐が出る!」
シン・シシリー「!?」
そう。エミールはデリックの幼馴染みで、デリックの家族を殺した男でもある。
デリック「俺はもう容赦しない。お前を討てば俺の因縁が消える!覚悟しろ!」
エミール「・・・えーと、何だっけ彼奴・・・あ。ラルフ長官?彼奴は俺達にとって中々良い働きをしてくれたよな。」
シン・シシリー「!!!」
デリック「あぁ知ってるぞ。お前にとってラルフは操り易い手駒。そしてエミール。お前はダーム王国軍に潜んでた。しかも他人の心を操る厄介者だって事もな。」
エミール「笑い堪えるのに必死だったなぁ。お前等連合軍がオタオタしてる様をすぐ側で見ながらさぁ。」
シン「く・・・!!」
エミール(ふっくっくっくっ・・・さぁ悔しがれ悔しがれ。俺のプライドを傷付けた罪は重いぞマヌケな人間共・・・!)
デリック「だったらお前をここで消す!!!」
巨大な魔法弾が放たれ、エミールに直撃して大爆発を起こした。
ガラン「や・・・やったか!?」
爆煙が晴れたが、エミールの遺体が何処にもない。
シシリー「デリックさん・・・」
デリック「わざと外した。彼奴は逃げた。そう簡単にくたばるようなヤワじゃない。」
シン(一体何が狙いだったんだ・・・?)
シシリー「・・・シン君。取り敢えずマークさん達に報告した方がいいですよね。」
シン「ああ・・・そうだな。一応。」
懐から無線通信機を出してマークに連絡する。
デリック・シシリー「!!」
シシリー「シ・・・シン君!!」
シン「え?」
マーク『はい。ウォルフォード君ッスか?』
シン「あ。もしもしマーク?」
ガラン「ん?」
マーク『ひょっとしてもう魔人倒しちゃったんスか?』
シン「いやそれが・・・おわっ!?」
突然シシリーが自分のマントをシンに被せた。
ガラン「!?」
シン「シ・・・シシリー・・・?」
マーク『ウォルフォード君!?どうしたんスか!?』
シン「あ・・・いや。えと・・・?何でもない・・・と思う。魔人は・・・何故か何もせずに逃げちゃったんだ。他のメンバーから連絡は?」
マーク『いや・・・まだッスね。』
シン「そうか・・・取り敢えず俺達は少し様子を見てからそっちに戻るから。何かあったら連絡頼む。」
マーク『了解ッス!』
無線通信機の通話を切った。
シン「ん?」
シシリーは頬を膨らませて少々怒ってる。デリックも腕組みして睨んでる。
シン「ど・・・どうしたのシシリー?それにデリックも・・・」
シシリー「もうシン君。」
マントを返して貰った。
シン「あれ?俺何かやらかした?」
デリック「はぁ・・・ガランにはお前から説明しとけ。」
ガラン「おいシン・・・お前それ無線通信機だろ・こんな人前で使って大丈夫なのかよ?」
シン「・・・・・」
手に持ってる無線通信機を見て、シンがやっと気付いた。
シン「あーーーーー!!いや!これはですねその・・・!!」
ガラン「・・・いや、そんなに焦らなくても俺は分かってるからいいけどよ・・・それの存在を知ってるのは、まだ各国の上層部だけのはずだろ?」
シン「あは、あはは!そそそうですよね!お、俺とした事が飛んだ失態を・・・!(やべぇ・・・前世のスマホ感覚で普通に人前で無線機使っちまってた・・・はっ!)」
後ろの羊飼い達がこっちを見てる。
シン「いや、皆さんこれはその・・・!」
シシリー「シン君!見られちゃったのは多分ガランさんだけですよ。シン君にマントをかぶせた直後に私が光学迷彩を起動しましたから。シン君自身のマントでは通信機を隠せるか不安だったので・・・」
シン「あ、成る程そう言う・・・」
デリック「お前って奴は・・・」
シン「わ、悪かったよデリック・・・」
シシリー「気を付けて下さいね?シン君の行動は今や全ての国の人々が注目しているんですから。意地悪な人とかに見られちゃったらどうするんですか?シン君に何かあったら私・・・」
デリック「お前はアルティメット・マジシャンズの中核人物だ。下手な行動を起こせば大惨事を招いてしまう可能性があるんだぞ。」
シン「シシリー・・・デリック・・・ゴメン・・・」
彼の身を案じてくれるシシリーの優しさを純粋に嬉しく思うと同時に、つい先程・・・その何も代え難い存在を失いそうになった恐怖が今になって一気に押し寄せ始め、気付くとシンは、震える手でシシリーを抱き寄せていた。
シシリー「え?あ・・・あの・・・シン・・・君・・・」
デリック「!」
シン「今更だけど・・・怖かったんだ・・・俺・・・シシリーを失うんじゃないかって・・・」
シシリー「シン君・・・同じですよ、私も・・・」
今、シンの腕の中にある温もりを絶対に守り抜いてみせるとシンは誓った。
シン・シシリー「・・・ん?」
デリック「お前達は凄いな。俺達の存在を忘れて抱き合うなんて流石英雄様だ。」
シン・シシリー「・・・!!」
ガラン「やれやれ。そう言うのは家に帰ってからシッポリとだな・・・」
シン「ガ・・・ガランさん!!」
アールスハイド王国。アウグストとマリアとアズマが駆け付けた。
アウグスト「一体何が目的なんだ?お前等は。」
アズマ「このタイミング単独で各国を襲撃するとは何を企んでるんだ?」
カイン「襲撃?勘違いするなよ。お前にはこれが襲撃に見えるのか?」
周りを見ると。
ヴァーテル「はぁ・・・はぁ・・・」
戦っていたヴァーテルと兵士達は死んでおらず、街への被害は出ていない。
マリア「・・・確かに・・・魔人が大暴れしたにしては被害の規模が小さ過ぎますね。」
アウグスト(それに・・・我々が現れても奴は臨戦態勢に入る様子もない・・・)
その後ろには、マジックシスターズとレイチェルとドミニク率いるアールスハイド軍が立ってる。
ドミニク(そもそも最初から破壊が目的とも思えん。)
ハンナ(人的被害にしても、こっちから手を出した人以外は攻撃されていない・・・)
レイチェル(これはまるで・・・ただ”魔人の出現”そのものを示す事が目的のような・・・)
スイード王国は、トニーとユーリとケイティとラスティーが駆け付けた。
ダンテ「お前達がここに居ると言う事は、ウォルフォードとクリスティが旧帝都に救援に現れた・・・つまり、アルティメット・マジシャンズ撃破と言う我々の目的は冠水されてなかった訳か。」
ユーリ「気のせいかなぁ?その言い方。」
トニー「な〜〜んか。裏にまだ狙いがあるように聞こえるけど・・・違う?」
ダンテ「敵に策を漏らす愚か者に見えるか?」
ケイティ「おぉ。口が固い魔人だね君。」
ラスティー「まぁ、当然の事だろうけど。」
その後ろには、クレージュとシエルが立ってる。
マチ(何なのあの魔人?攻撃を仕掛けた兵士にしか攻撃しないなんて。)
ミカ(マチ。これは油断しない方が良いかもだよ。)
クルト王国。アリスとリンとカオルが駆け付けた。
アベル「またお前等かよぉ!前ここで闘ったのも確かお前等だろぉ!それにまたチビを連れて来やがって!オイオイオイ〜〜〜!」
何故かアベルが不機嫌全開。
カオル(な、何だあの魔人?かなり不貞腐れてる。)
リン(アリス・・・カオル・・・実際どう?叩けそう?)
アリス(や〜〜、ぶっちゃけキッツイね。戦おうとしても、気力は空っぽだからね。それに彼奴、さっきの連中より相当強いっしょ。)
カオル(何か今はやる気なさそうだけど・・・)
アーム王国。トールとユリウスとマナミアが駆け付けた。
ユリウス「あの男・・・あんな場所で何をしているで御座る?」
トール「さあ・・・寝てるようにしか・・・」
マナミア「起きる気配もありませんね・・・」
建物の上で寝ているサイクスを見て疑問を抱く。
サイクス(・・・アホくせぇ・・・)
そしてティガは、上空を飛行している。
ティガ「・・・・」
5組が救援に向かう直前。
ティガ『ん?』
アウグスト『どうした?タクト。』
ティガ『何か居る。』
マリア『え?』
ティガ『すまない、6組だ。俺は別の魔人が出てないか捜してみる。」
アウグスト『分かった。無理はするなよ。』
何かの気配を感じたティガが飛行中。
ティガ「ん?」
目の前を浮遊している影が見えた。
ティガ「ッ!」
その影の正体は、ゼストだった。
ゼスト「やはりここに来たようだな。」
ティガ「ベルゼ以外の魔人が飛行能力を持っているとは初耳だ。お前は・・・ゼストだったかな?」
ゼスト「覚えててくれて光栄だ。」
ティガ「アンタは俺と対話する為にここに?それとも俺をここに誘き寄せて戦って欲しいのか?」
ゼスト「いや、対話でも戦いでもない。」
ティガ(ッ!?)
突如、ゼストの全身から何かが溢れ出た。
ゼスト「ちょっとした時間稼ぎに過ぎない。」
ティガ(この男・・・魔力でも威圧でもなく・・・闇を溢れ出してる・・・!この男・・・一体何だ・・・?)
ゼスト「そろそろ時間のようだ。では、またお会いしましょう。」
するとゼストが瞬間移動で姿を消した。
ティガ「おい!待て!」
するとティガの脳裏に何かが聞こえた。
ナージャ『皆!来て!』
ティガ「ナージャのテレパシー?」
ナージャ『旧帝都で緊急事態よ!早く!』
ティガ「ッ!?」
彼女のテレパシーが切れた。
ティガ「旧帝都・・・何があったんだ?」
急いで旧帝都へ向かった。
アルティメット・マジシャンズが旧帝都へ戻った。
オリビア「あ!皆さん!」
シン「どうした!?こっちで一体何があった!?」
オリビア「そ・・・それがその・・・」
そこにアリスとリンとカオルが戻って来た。
アリス「だわぁっ!!」
トニー「どうしたんだい?アリス達・・・」
アリス「つっ・・・!通信機・・・敵にバレ掛けで・・・!詰め寄られそうになったから・・・慌てて一旦ゲートで逃げて来た・・・!!ちくしょー彼奴改めて・・・!」
カオル「落ち着けアリス!」
アウグスト「コーナー!ヒューズ!カオル!もういい。恐らく魔人は既に撤退した。」
カオル「撤退?」
アリス「どう言う事です?」
アウグスト「そもそも奴等の目的は各国の襲撃でも我々と戦う事でもない。恐らくは
アズマ「だから俺達の動きを見極めて早々に各国から姿を消したに違いないんだ。」
ユーリ「魔人が逃げたの私達の所だけじゃなかったのねぇ・・・」
トール「成る程・・・」
ユリウス「それで納得したで御座る。」
するとそこにティガが着地した。
ティガ「皆!」
シン「タクト!」
ティガ「皆集まってるな。ナージャはどうした?」
シン「そうだ!ナージャが言ってた緊急事態って!?ナージャは何処に居るんだ!?」
オリビア「丘の上です。マークもそこに居ます。行きましょう。」
すぐに丘の上へ向かった。
シン「マーク!ナージャ!」
ナージャ「シン!皆も!」
フェオン「皆!」
同じくフェオン達も居た。
シン「こんな所で何を・・・」
マーク「・・・あれッス。」
旧帝都の城壁を指差す。
シン「旧帝都の・・・城壁?アレが一体・・・」
ティガ「待てシン。奥に何か居る。」
旧帝都の城壁から現れたのは・・・
巨大化した災害級の大群だった。城壁を破って現れたのだ。
全員「!?」
シン「オイオイ何だあれ・・・!?」
ケイティ「災害級・・・いや!超災害級の魔物も居るよ!!」
災害級と超災害級の大群がゆっくりと前進してる。
アウグスト「何と言う事だ・・・!!まさか旧帝都全域に魔物が潜んでいたのか・・・!?」
マリア「潜んでいた・・・と言うより・・・魔人達が隠していたって事じゃないですか?」
シン「恐らくそれが正解だな・・・奴等、城壁の内側に人間が入らない事を逆手に取ったんだ・・・!!」
アウグスト「しかしこの数・・・!!我々全員の力を持ってしても・・・討伐は容易じゃないぞ・・・!!」
ナージャ「っ・・・!!」
再びナージャに頭痛が走った。
ナージャ「ま・・・まただわ・・・この感覚・・・!!」
アウグスト「ナージャ!」
ナージャ「本当に何なの・・・!?彼奴等・・・!!」
イザベラ「ナージャさん!」
ヒナ「大丈夫ですか!?」
ティガ「イザベラ!ヒナ!頼む!」
イザベラとヒナが、ナージャの頭痛を和らげた。
ナージャ「ありがとう・・・」
アウグスト「シン・・・タクト・・・お前達でも流石にこの数は無理か?」
ティガ「そうだな・・・全部討伐するのにかなりの力がいる・・・」
シン「・・・対処した結果・・・地殻変動が起きてもいいのなら・・・」
アウグスト「よし。別の方法を考えよう。」
トール・ユリウス(即却下・・・)
シン(・・・ま、確かに。そんな解決法じゃ、今度は俺達の方が世界に脅威を与えちまうもんな・・・)
ローランド「ジェレミー様。あの数はどうでしょうか?」
ジェレミー「お前の言い分は分かる。だが無理に等しいな。」
ルーパー「殿下ーーー!!」
アウグスト「!」
丘の下からルーパーの声が聞こえた。
ルーパー「各国駐留軍の指揮官を集めました!!今後の指示を!!」
指揮官達をおかの上へ上らせて災害級の大群の光景を見せた。
ベーカー「な・・・何と言う光景・・・だ・・・」
エドガー「もはやこれは・・・人の手でどうにか出来る事態ではないのでは・・・」
アウグスト「念の為確認するが・・・魔物は各国が担当している区域の城壁からも出現しているのか?」
ルーパー「残念ながらその通りです。」
グレア「でも駐留していた兵士さん達は既に避難済みだから安心して。」
アウグスト「そうか。」
シン「オーグ・・・これは・・・」
アウグスト「・・・間違いないな・・・コイツ等は・・・世界に向けて進行するつもりだ・・・!!」
カサンドラ「こうして見ると、私達が動物園に入ってしまった感じです・・・」
ソフィー「怖い事言わないでよカサンドラちゃん・・・」
アンナ「ですが、カサンドラさんの言う通りですね・・・」
シン「動物園・・・待てよ?そうか・・・!!」
アウグスト「何だ?何か思い付いたのか?」
レオン「彼奴等を倒す方法か?」
シン「いや、彼奴等の進行速度はまだ遅い。今なら間に合うはずだ。」
全員「?」
シン「俺達全員で作るんだよ。彼奴等を隔離する為の”檻”を・・・!!」
アウグスト「成る程。現状、確かに他に方法はなさそうだな。」
トール「一時凌ぎかも知れませんが、やる価値はありますね・・・!」
ルーパー「・・・!?」
マリア「問題は何処から何処まで囲うか・・・よね。」
シン「この際旧帝都を丸ごと囲っちまおうぜ?1匹たりとも外に出すもんかよ!」
アウグスト「分かって言ってるのか?旧帝都の周囲を全て囲うと言う事は・・・いやスマン。お前相手に不要な心配だった。」
シン「へへ。話が早くていいね。ここをスタート地点として、俺が左回りに壁を作りながら回って来るから。オーグ達はここから右回りに壁を作ってくれ。」
アリス「2つの壁が繋がったら”檻”の完成だね!」
レベッカ「成る程!」
アウグスト「そう言う事だな。」
ティガ「なら、俺が奴等を牽制する。その間に檻を作ってくれ。」
デリック「タクト。俺も手伝わせてくれ。俺が魔力を放出すれば、奴等は俺に向かって邁進するだろう。」
ティガ「なら1列のように邁進させる事は可能か?」
デリック「やってみよう。」
ティガ「ナージャとレオナはシン達が作る檻を凝固してくれ。」
ナージャ「分かったわ。」
レオナ「任せて。」
ティガ「タァッ!」
デリック「フッ!」
ティガとデリックが、邁進する災害級の大群の前へ向かう。
その間にアルティメット・マジシャンズが配置に着いた。
アンナ「皆さん一体何を・・・?」
レア「大丈夫だ。シン達なら何とかなるさ。」
ルーパー(殿下・・・!!)
アウグスト「行くぞ!!!!」
全員が魔法を発動し、巨大な壁を作り上げた。ナージャとレオナが壁を凝固する。
エミリー「す、凄い!巨大な土の壁が!!」
フェオン「それをナージャとレオナが硬く凝固させて行くわ!」
ティオ「あれ見て!!」
旧帝都の周りを、シンが神速で飛行しながら右回りで壁を作り上げてる。
タカオ「凄い・・・!あれがシン殿の本当のお力・・・!」
セイラ「やはり凄いのね・・・賢者の孫は・・・」
マモル「はい・・・!」
シン『超災害級の体躯を考えると、最低でも高さ30メートル位。厚みも10メートル近くは欲しい。少なくとも旧帝都城壁以上の物は必要だからな。』
アウグスト『しかし、簡単に言うが1人でそんな壁を作れるのはお前位だぞ?』
シン『うん。だから皆には協力して壁を作り進めて欲しいんだ。その間に俺が旧帝都1周して来るからさ!』
アウグスト(やれやれ・・・奴の頼もしさを感じる反面・・・否が応にも力の差を思い知らされる作戦だな・・・)
そしてティガとデリックは。
ティガ「始めたか。デリック!」
デリック「あぁ!」
魔力を放出すると、超災害級の大群が1列に迫って来た。
ティガ「フッ!!」
両腕を前に突き出し交差させ、大きく横にゆっくり広げてエネルギーを集める。
ティガ「タァッ!!」
L字に組んで放つゼペリオン光線が、超災害級達の胴体を貫いた。
その光景を斥候魔人達が旧帝城の屋上から眺めていた。
フィン「・・・ちょっと訊きたいんスけど。あれも予定通りなんスか?」
ローレンス「んな訳あるか。」
ベルゼ「ほえ〜。みるみる壁が出来上がるね〜。それに可愛い災害級達も次々と朽ち果てていくね〜。」
ゼスト(・・・やってくれるな。異界人の分際で。)
ローレンス「おいフィン。」
フィン「はい?」
ローレンス「烏飛ばせるか?」
フィン「・・・はあ。」
ローレンス「一応アベル達に伝えろ。『城に戻るんなら気合い入れろよ』ってな。」
アルティメット・マジシャンズが巨大な壁を完成させた。
シン「よぉし!これで檻の完成だ!!!」
ティガ「デリック。戻るぞ。」
デリック「あぁ。」
2人が飛んで檻の外へ。
ベーカー「いや・・・はや・・・」
指揮官「最早開いた口が塞がらんわ・・・」
指揮官「しかし・・・本当にあの壁で巨大な魔物達を防げるものなのか・・・?城壁ですら容易く破壊されていたのに・・・」
ルーパー「恐らく心配ねぇッスよ。アレを見て下さい。」
檻の中には、巨大な溝があった。
エドガー「か・・・壁の内側に・・・深い溝が・・・!?」
ルーパー「内側の土を吸い上げて壁の材料にするように事前に打ち合わせたんでしょう。その為、実際の壁の高さは見た目以上のものになってる訳です。」
エドガー「信じられん・・・そんな発想・・・瞬時に思い付くものなのか・・・!?」
ベーカー「神の御使い・・・魔王・・・その名に恥じぬ器のようですなシン殿は・・・」
指揮官「魔王・・・いや、あの方はもう”魔王様”と呼ぶに相応しいのではないでしょうか?」
指揮官「魔王様かいな。良えなそれ。何か分からんがしっくり来るわ。」
壁の外にティガとシンとデリックが帰還した。
フェオン「おかえり皆。」
ティガ「ただいま。」
シン「さーてと・・・これでしばらくは時間を稼げるな。」
トール「ただ、逃亡した魔人達の事もありますしね。なるべく早く・・・」
『フフフフ・・・ハハハハハ・・・アハハハハハハハ!!』
全員「!?」
突然謎の声が響き渡った。
マーク「何・・・スかこれ・・・!?」
アウグスト「拡声魔法だ!それよりこの声・・・!」
『相変わらずとんでもない事を仕出かしますねぇ。』
シン「オーグ・・・!タクト・・・!」
アウグスト「ああ・・・!」
ティガ「間違いない・・・!」
その声の主は・・・
シュトローム「久し振りですねぇ。アウグスト殿下。そしてシン=ウォルフォード君、タクト=クリスティ君。」
シン「オリバー=シュトローム・・・!!」
アリス「シュトローム・・・!?この声が・・・!?」
ナージャ「シュトローム・・・!?」
ティガ「現れたか・・・!魔人の首魁・・・!」
エドガー「シュトローム・・・!以前アールスハイドに出現したと言う・・・!?」
ルーパー「ええ、間違いないです・・・!!」
シュトローム『この規模の魔物達相手にどんな対処をするのかと思えば・・・流石に楽しませてくれますねぇ。』
シン「楽しませる・・・だと・・・!?相変わらず巫山戯た野郎だな!!」
シュトローム『さて、これで私達の周りには壁に囲われ隔離されてしまった訳ですか・・・壁の内側は災害級が犇き合う楽しい状況になってますね。・・・まあ、分かっていると思いますが、これ位の壁を破壊するなど我々魔人にとっては造作もない事ですがねぇ。』
全員「!!!」
ティガ・シン「・・・・」
シュトローム『おや、流石ウォルフォード君とクリスティ君は焦りを見せませんね。』
シン「・・・当然だろ。」
ティガ「俺達が何も知らないとでも思ったか。」
シュトローム『さて、今日皆さんに声を掛けたのは1つ提案があるからです。実はですね、私はこの度、ある決意をしたのです。』
アウグスト「決意・・・この状況を見るに・・・遂に世界征服でも決意したか・・・!?」
だが彼の口から、衝撃の言葉が告げられた。
シュトローム『この世界の全てを”滅ぼす”決意をね!!』
全員「・・・!?」
世界征服ではなく世界滅亡を決意したのだ。
シュトローム『勿論、周辺国だけと言う意味ではありません。エルスもイースも。この世界にある全ての国々に・・・そして人間に・・・この帝国と同じ運命を辿らせて差し上げましょう!』
指揮官「・・・な・・・何を・・・言っているんだこの男は・・・!?」
指揮官「り・・・理解出来ん・・・!完全にイカれとるわ・・・!」
アウグスト「・・・!!」
怒りを露わにしたアウグストが拡声魔法でシュトロームに反発した。
アウグスト『巫山戯るな!!”征服”ではなく”滅亡”を望むと言うのか!!そんな行為に一体何の意味がある!?答えろ!!!』
シュトローム『・・・意味?そんなものはありませんね。滅亡を望む・・・意味も。この世界が存在していく・・・意味もね。』
ティガ(彼奴・・・!アリアさんと再会する前に滅ぼす気か・・・)
シュトローム『先程までの戦いを少し見せて貰いましたが・・・ウォルフォード君やクリスティ君以外の面々は、まあ・・・こちらの魔人と同等と言った所でしょう。つまり数で勝る我々は、その気になればあなた達の行動をどうとでも抑え込める訳です。その間に眼前の巨獣達を世界に放つのも良し。或いは、私自身が世界に出向くのも良し。要するに、私がその気になれば明日にでも世界は終わると言う事です。』
ルーパー(こんな奴が、よくもまぁ今まで大人しくしてたモイだぜ・・・)
シュトローム『・・・ただ、このまま簡単に世界を終わらせてしまっても・・・私自身が面白くないんですよねぇ。』
全員「・・・!?」
シュトローム『そこで、私からあなた方に2つの条件を差し上げましょう。』
アウグスト『その条件とは何だ!』
シュトローム『1つ目は、1ヶ月。』
アウグスト『は?』
シュトローム『1ヶ月の猶予をあげます。その時間をどう使いかはあなた方の自由です。修練に励むのか、親しい人間に別れを告げるのか、全てを諦め逃げ出すのか。兎も角1ヶ月後。私はあなた方の作った壁を破壊します。』
ティガ・シン「・・・・!!」
シュトローム『私が思い描いている、最も容易く訪れる破滅の未来を、あなた方の手でどうか変えて頂きたい。楽しみにしていますよ。』
デリック『おいシュトローム!残り1つの条件は何だ!』
拡声魔法を発動したデリックがシュトロームに言った。
シュトローム『おや、これはこれは。裏切り者のデリック君じゃないですか。ご健勝で何よりです。』
デリック『挨拶はいい!残り1つの条件を答えろ!他の皆も聞いてるんだ!』
シュトローム『もう1つの条件は、私の大切な人を2人用意する事です。』
シン「大切な人?」
シュトローム『そう。1人目は妻のアリアをね。』
アルティメット・マジシャンズ「!?」
ティガ(アリアさんを・・・!?まさか・・・生きている事を既に・・・!?)
シュトローム『私が何も知らないと思ったのですか?クリスティ君。残念ながらベルゼさんのお陰で既に把握済みです。』
ティガ「ベルゼ・・・!!彼奴・・・!!」
アウグスト「タクト!アリア殿がシュトロームの妻とはどう言う事だ!?」
ティガ「それは・・・」
マナミア「アウグスト殿下。落ち着いて下さい。それに関しては王都に戻ってから話します。」
アウグスト「マナミア・・・」
シン「それで、もう1人は誰なんだ?」
シュトローム『あなた方のすぐそこに居るじゃないですか。』
シン「俺達の・・・すぐそこ?」
ユリウス「・・・一体誰で御座る?」
シュトローム『黒い石を持って、囲いを固めた人ですよ。』
シン「黒い石で檻を固めた・・・っ!?」
アウグスト「まさか!!」
全員がある人物へ顔を向けた。その人物とは・・・
ナージャ「え・・・!?」
そう。ナージャだった。
ユーリ「ナージャが、シュトロームの大切な人・・・?」
ナージャ「どう言う事なの?私、あなたとは初対面のはずよ!?」
シュトローム『私は覚えていますよ。ただあなたには記憶がないだけです。』
ナージャ「私の・・・記憶・・・!?」
シュトローム『やっと見付けましたよ。”アナスタシア”。』
ナージャ「アナスタシア・・・?私が・・・?」
するとナージャの脳裏に何かが走った。
ナージャ「ッ!!・・・な・・・何これ・・・!?」
それは、身に覚えのないはずの記憶だった。
ナージャ「・・・そうだ・・・私は・・・私は・・・うわああああああああ!!!!!」
シン「ナージャ!?」
ナージャ「・・・・・・」
身に覚えのない記憶に絶叫したナージャが倒れた。
ケイティ「ナージャ!!」
倒れたナージャをケイティが支えた。
アウグスト「どう言う事だ・・・!?アナスタシアとは何だ・・・!?」
シュトローム『それでは皆さん、御機嫌よう。』
この言葉を最後に、シュトロームの声が消えた。
指揮官「・・・か・・・神よ・・・」
エドガー「わ・・・我々人類は・・・どうしたら・・・」
事態がひと段落した後。
フェオン「ナージャ、大丈夫なのかしら?」
タクト「戻ってマーリン様に診て貰おう。」
アウグスト「・・・奴の真意は掴めんが・・・最初から我々に選択肢などないふざけた提案だな。」
シン「あぁ・・・それに今ので改めて確信したよ。彼奴は毀れちまってる。人間としても・・・魔人としてもな。」
タクト「・・・・」
トニー「別に良いんじゃない?素直に提案に乗ってやっても。」
アリス「私もそう思う。」
タクト「トニー、アリス。どう言う意味だ?」
トニー「だって分かりやすいじゃない。平たく言えば1ヶ月後にここで全面戦争しようって事でしょ?人間と魔人で。」
アリス「わざわざ向こうから決着の場を用意してくれたんだから。後は勝つだけじゃん。」
2人の意見に他の皆も。
マリア「・・・うん。そうよね・・・!何も難しい事はないわ!」
ユリウス「言う通り。修練に修練を重ねてやるで御座る!」
トール「そうですね!後悔させてやりましょうよ!我々に時間を与えた事を!」
レベッカ「私も。皆さんと一緒に鍛えます!」
アウグスト「フ。」
シン「ヘヘ。」
タクト「ハハ。」
アウグスト「確かにその通りだ。こう言う時こそ我々が前向きにならねばな!」
シン「だな!まずは王都に戻ってこの事を報告しようぜ!」
タクト「本題はその後から始めようか!」
指揮官「何や・・・とんでもない事態に緊張しとるかと思いきや・・・」
指揮官「流石はアルティメット・マジシャンズ。精神面も一流・・・と言う事ですかな。」
ルーパー「(一流・・・か・・・どう考えても絶望的と言えるこの状況で・・・それでも変わらず強くあれるのは、他ならぬ彼等自身が数々の試練を乗り越えて来たからこそなんだろう。彼等が折れなければ、人類は何処までだって立ち向かえる。そんな気がするぜ。)嘆くにはまだ早い。俺達も目にもの見せてやりましょうや。世界の・・・我々人類の強さって奴を!」
シシリー「・・・・・」
シン「シシリー?どうした?」
1人考え込むシシリーにシンが声を掛けた。
シシリー「え?あ・・・いえ・・・魔人達は・・・彼等は、どうして急にこんな提案をして来たんでしょう?私達がこれまで別の魔人達と戦っている時も・・・全くそんな様子はなかったのに、どうして・・・」
シン「・・・」
アウグスト「・・・・人間を辞めた者の考えなど分からんが・・・案外、何か世界に絶望するような出来事でもあったのかも知れんな。」
アールスハイド王国。タクト達はその場に居た各国の指揮官達と共にアールスハイドに戻って来た。『指定された1ヶ月の間にどうやって戦力を増強させるか』と言う点を取り急ぎ協議する為。
アウグスト「恐らくだが、近く再び連合会議も執り行われると思う。すまんが各自国に戻り次第、そちらの手筈も整えてくれ。」
指揮官達「はっ!了解致しました!」
出席するのはタクトとシンとアウグストとアズマと指揮官達。ナージャはシシリー達に任せてる。
会議室。
ディセウム「戻ったかアウグスト。シン君。タクト君。それと各国の指揮官達だな。通信兵から話は聞いている。座ってくれ。」
全員が席に座り、協議が始まった。
ディセウム「それにしても大変な事になったな・・・」
アウグスト「申し訳ありません父上。我々の力が至らぬばかりにこのような事態を招いてしまい・・・」
ディセウム「謝罪は無用だ。シュトロームからの一方的な話だったと聞いている。それよりも、この事態をどうするかだ。」
アウグスト「正直、今の段階では魔人以上に超災害級の存在を脅威に感じます。あれをどうにかしなければ・・・」
ディセウム「シン君やタクト君ですら手を焼く魔物が無数に・・・か。確かに絶望と言う他ないな・・・」
ルーパー「とは言え、1ヶ月と言う短い期間で出来る事など限られています。各国の魔法師達に出来る事はやはり”マーリン式”と言われる魔力制御訓練と無詠唱による魔法行使の会得位でしょう。攻略作戦に於いてアルティメット・マジシャンズ不在のアールスハイド王国軍が超災害級を撃破出来たのは、そこに秀でていた部分も大きいはず。」
ディセウム「ウム・・・そうだな。各国の魔法師達には一刻も早い技術の習得を目指して貰う他あるまい。・・・となると、後は剣士や騎士達か・・・」
エドガー「シン殿が開発された『ジェットブーツ』でアールスハイド軍は機動力を大幅に上げたと聞いています。それらを我々の国にも導入させて頂くと言うのは?」
シン「ああ・・・はい。構いませんよ。ジェットブーツは一般販売もしていますし。」
ディセウム「・・・シン君。どうだろう。条件付きで・・・バイブレーションソードを軍に提供すると言うのは。」
エドガー「条件付き・・・と言われますと?」
ディセウム「そもそもあの武器は導入されてしまえば、世界の軍事バランスを崩壊させてしまう程強力なもの・・・本来であれば広めて良いものでは決してないのだよ。だから例えば・・・1ヶ月後の戦いが終わり次第、全て回収。或いは付与を取り消す・・・と言った条件だな。分かりやすく言えば武器の貸し出しと言った所か。」
ドミニク「お待ち下さい陛下。以前クリスティーナとも話した事ですが、正直・・・剣士が扱うにはあの件は・・・凡ゆる意味で危険を孕みます。並外れた殺傷力に溺れて良からぬ考えを起こす人間が現れないとも限りません。」
アウグスト「・・・確かにな。」
ディセウム「うむぅ・・・」
バイブレーションソードの提供で議題が持ち上がったが。
タクト「だったらさ、俺に提案があるんだ。バイブレーションソードは一時的に軍に提供する。ただし、それを扱うのは各国軍の中で選考された上位実力者数名限定。その条件として、武器の使用法はこっちでしっかりレクチャーをする。シン、どうだ?」
シン「うん。その方が効率が良いかも。」
ルーパー「実力のある者が数名手にするだけでも、確かに戦闘は飛躍的に楽にはなるだろうな。」
ドミニク「うむ・・・まあそう言う事なら・・・」
シン「勿論ドミニクさんにも提供するので、訓練への参加をお願いします。」
ドミニク「なぬ!?わ・・・私もか・・・」
アウグスト「しかしシン。タクト。上位数名とは言え、7ヶ国ともなると、そこそこの人数になるぞ。お前達2人でレクチャー出来るのか?」
シン「大丈夫だよ。俺以外にもバイブレーションソードを扱える人間は何人か居るし。アズマもその内の1人だ。そっちにも手伝って貰うさ。」
タクト「アズマ。頼めるか?」
アズマ「勿論だ。使い方を徹底的に叩き込んでやるさ。」
ディセウム「・・・まあ何にせよ時間はない。各国とも人員の選別は早急に頼む。」
ガラン「その付与ってのは俺らの武器のハルバードにも出来るのか?」
シン「使用を少し変えれば可能だと思いますよ。」
ガラン「んじゃ、カーナン代表は俺らの仲間数人で決まりだな。」
その夜の帝城。
アベル「死亡者を除いた隊員はこれで全員揃いました。ゼスト様。」
斥候魔人達がゼストの前に集まった。
アベル「それで、話と言うのは?」
ゼスト「今回の作戦、疑問に感じている者も多いはずだ。」
アベル「シュトローム様が、何故急にあのような事を言い出したのか・・・と言う事ですね?」
エミール「確かに話が随分違ってきますよねぇ。元々私達は、シュトローム様に害を及ぼす可能性のある者を尽く排除し、最終的には種として人類の上に立つ事も視野に入れていたはず。支配や征服などと言った低俗な目的に興味がないのは私も同様ですが、それら全てを纏めて滅亡させてしまっては元も子もない。何よりまず・・・ゲフッ!!」
後ろからサイクスに蹴られた。
サイクス「うるせぇ!黙れエミール!」
カイン「喋り過ぎだてめーは!」
ベルゼ「お喋りになると熱心になるよねエミールちゃん。」
ダンテ「我々は元よりシュトローム様の駒。決定には全て従います。ただ・・・何か理由が?」
ゼストの「シュトローム様が、とある実験をしていたのは知っているか?」
フィン「実験?そりゃ動物の強制災害級化の・・・」
ローレンス「そっちじゃねェよ。俺ら魔人の、”今後に関わる実験”の方だ。」
フィン「ああ子作り・・・ブヘッ!!」
ローレンスに叩かれた。
ゼスト「その実験結果が・・・先日出たようでな。」
数日前。
シュトローム『以前からの・・・ミリアさんの実験の結果が出ましてね。・・・失敗です。』
実験が失敗。ゼストは表情を変えずに驚いてる。
ゼスト『それでは、我々魔人の行く末は?』
シュトローム『閉ざされてましたね。何度同じ実験をしても変わらないでしょう。”結果”がそれを証明しています。そもそも魔物同士では子を生さないのは世間でも周知の事実。結局人間とて同じだったと言うだけです。尤も、人から成り得たにも関わらず人に仇為す『魔人』と言う存在が、その種を存続出来ない事実は・・・生物学的に見ても至極当然の事のように思えますがね。・・・しかし、こうして改めて現実を突き付けられると、つくづく我々が存在する意味と言うのが分からなくなるんですよねぇ・・・と言うより、世界にとって我々が存在する意味は全く無い訳です。寧ろ、害悪でしかない。』
ゼスト『シュトローム様?』
シュトローム『・・・ふ、ふふふ・・・くく・・・ゼスト君・・・
彼からとてつもない魔力が溢れ出た。その魔力は、闇の力も合わさっていた。
ゼスト『望んでおられるのは・・・世界の破滅ですか。』
これが、ゼストがシュトロームから聞いた言葉だった。
ゼスト「この事をお前達に伝えようと考えた時、1つ決めた事がある。ここから先、私はお前達にもう何も命じる事はない。”魔人の行く末に未来は無い”。その事実を踏まえた上で、各自で考えて行動しろ。」
彼は斥候魔人達から去って行った。
その後残された斥候魔人達は。
サイクス「根本的によ、俺らの事勘違いしているフシがあるよな。隊長も。シュトロームのダンナも。魔人になった時点でよ、俺ら全員命なんざ捨ててんだよ。魔人の行く末?存在の意味?知るかそんなもん。未来の事なんざ元より興味ねェんだよ。」
斥候魔人「・・・はっ。」
斥候魔人「そう言やそうだったな。」
アベル「何も変わらん。今まで通り俺達は俺達の意志で動くだけだ。ゼスト隊長の、シュトローム様の”武器”としてな。」
その後彼等は解散した。
斥候魔人「デリックにやられたのかよ。平気なのかフィン?」
デリックによって左腕を失ってしまったフィンに、仲間の斥候魔人が心配してる。
フィン「・・・平気・・・まあそうッスね。」
斥候魔人「本当かよ。」
フィン「・・・こっち6人殺られてんスよ。ウォルフォードとクリスティに。この程度で嘆いてる場合じゃねーでしょ。・・・各自で考えて行動しろ・・・ねぇ。面白ェ。絶対に一泡吹かせてやるぜ。あの野郎共。そしてデリックは俺が倍返しでぶっ殺す。」
その夜ベルゼは。
ベルゼ「クッ・・・!!」
彼女は苦しんでいた。
ベルゼ「ありゃりゃ・・・もうこんなに・・・」
足の痣が以前より濃くなっており、腰にまで広がっていた。
ベルゼ(アレが手に入るのが先か、私が死ぬかのどっちかだね。)
そしてシュトロームは、寝室で。
シュトローム「ハァ・・・ハァ・・・」
夢の中で、苦しそうに息を切らしていた。
シュトローム「何故・・・!?何故世界を滅ぼそうと促したんだ・・・!!」
実体のない者『お前は私と一心同体だ。私の言う事は絶対だと言う事を忘れるな。』
彼は今、嘗てタクト達が出会った実体のない存在に対抗していた。
シュトローム「私はただ・・・愛するアリアとアナスタシアを助けたい為に・・・!それに・・・魔人になったのは私の意志ではない・・・!!お前が私に憑依したんだ・・・!!もう私は・・・誰かを殺めたくない・・・!!これ以上・・・戦いを望まない・・・!!」
実体のない存在『お前の目的など私には無関係だ。もし私に逆らう事になったら、分かっているな?』
シュトローム「クッ・・・!!」
シュトロームの口から告げられたナージャの正体”アナスタシア”。記憶を取り戻したナージャが、自身の過去をタクト達に打ち明けた。彼女が語る過去とは・・・