ウルトラマンティガ THE ULTIMATE MAGICIANS 作:naogran
翌朝。クリスティ邸のとある部屋。
ナージャ「・・・ん・・・?」
気を失っていたナージャが、ゆっくりと目を醒ました。
タクト「ナージャ!!」
ナージャ「タクト・・・?マーリン・・・?」
マーリン「気が付いたか。良かった。」
彼女はゆっくりと身体を起こす。
ナージャ「ここは・・・?」
タクト「俺の家だ。お前は昨日から気を失ってたんだ。マーリン様が治癒魔法をやってくれた。」
ナージャ「そう・・・ありがとうマーリン。」
マーリン「礼なんぞ無用じゃ。しかし驚いたのう。まさかナージャがシュトロームの愛する者の1人だったとは。タクト君は知っていたのか?」
タクト「初めて会った時は既に過去の記憶が無かった。」
ナージャ「でも、見覚えのない記憶が今やっと理解出来たわ。」
タクト「そうか。教えてくれるか?お前とシュトロームの関係を。」
ナージャ「えぇ。皆に会ってから話すわ。」
リビングに戻った。
タクト「皆・・・」
そこにアルティメット・マジシャンズが居た。リチャードも。
リチャード「待っていたぞ。タクト君。ナージャ。」
タクト「リチャード。」
シン「ナージャ!大丈夫?」
ナージャ「えぇ。スッキリしたわ。」
シシリー「良かったです。」
マナミア「お祖父様。」
リチャード「ウム。皆、私の家へ案内しよう。」
ゲートを開き、ラドクリフ邸へ向かった。
ラドクリフ邸には、レイチェルとニルスとモニカ、エドワードも居た。
マナミア「お母様。お父様。叔父様。お祖母様。」
アリア「リチャード様・・・皆さん・・・」
エドワード「待っていたぞ。皆。」
タクト「アリアさん・・・」
マナミア「アリアさん。ごめんなさい。シュトロームに既に・・・」
アリア「いえ、気にしないで下さい。何れこうなる事は予想していましたから。」
ナージャ「あなたがアリアね?私はナージャよ。初めまして。」
アリア「はい。」
アウグスト「タクト。アリア殿がシュトロームの妻と言うのは本当なのか?」
タクト「あぁ。本当だ。この事は既にリチャード達も知っている。」
リチャード「私だけではない。マナミアやモニカにニルス君にエドワード君。それにマーリン達やディセウムもだ。」
シン「まさか爺ちゃんや婆ちゃんまで知っていたなんて・・・」
マーリン「すまないシン。リチャードに言われてな。」
メリダ「口外しないようにと頼まれたもんでね。」
リチャード「アリアさんは3年前まで、魔人になる前のシュトローム。オリベイラ=フォン=ストラディウスの妻として幸せな家庭を築いたんだ。」
マナミア「ですがある日を境に、オリベイラさんは領民達に裏切られてしまって絶望し、魔人オリバー=シュトロームとして君臨したんです。お祖父様がアリアさん達を助けて下さったんです。」
マリア「けど、どうして助かったんですか?」
ウェイド『私の予知がアリア達の死を視たんだ。』
トニー「ウェイド様。」
ニルス「アリアさんは生き残った使用人達と共にラドクリフの別荘へ移り、静寂な暮らしをしていた。」
タクト「だが、ベルゼの予知がアリアさんの存在を知ってしまったんだ。」
リチャード「うむぅ・・・予知能力を持ったタクト君の元仲間か。」
タクト「そこで皆。お願いがある。アリアさんの事を誰にも言わないでくれ。もしこの事が知られてしまったら、アリアさんの身に危険が及ぶ可能性がある。」
アウグスト「分かった。話してくれてありがとう。この事は口外しないよう約束する。」
アリス「ナージャ。あなたもシュトロームの大切な人だよね?どう言う関係なの?」
ナージャ「教える前に、アリア。あなた子供は居るの?」
アリア「え、えぇ。彼処に。」
ベッドに眠ってるメアリーを見せた。
ナージャ「そう。この子が。」
彼女は優しい笑顔でメアリーを撫でた。
ユーリ「ナージャの笑顔が優しいわ・・・」
ケイティ「お姉ちゃんみたいな顔・・・」
ナージャ「私、こんな可愛い姪っ子に恵まれたんだね。」
タクト「え・・・?姪っ子・・・?」
シン「ナージャ、さっき姪っ子って・・・」
ナージャ「アリア・・・いえ、アリア義姉さんと呼ぶべきかしら?」
シン「姪っ子・・・義姉さん・・・」
アウグスト「ナージャ・・・お前まさか・・・」
ナージャ「・・・そうよオーグ。私はアナスタシア。アナスタシア=フォン=ストラディウス。」
「オリベイラ=フォン=ストラディウスの妹よ。」
全員「!?」
何とナージャは、オリベイラの妹だったのだ。
マリア「ほ、本当なの!?あなたがシュトロームの妹なの!?」
ナージャ「元々私は、ブルースフィア帝国のストラディウス家の長女として生まれたの。そこには、心優しい兄さんが居てくれたの。」
ジェレミー「それがオリベイラか。」
ナージャ「えぇ。でも私が6歳の頃に拉致されたの。ヘラルドによって。」
タクト「ヘラルドだと!?」
ローランド「何故奴に?」
ナージャ「私には特殊な力が宿っていて、ヘラルドがそれを利用する為に夜中に私を拉致して、彼直属の魔法使い達に記憶を消され、崇拝され続けた。」
ケイティ「でも、何でそいつに利用されてたの?」
ナージャ「私の力は、治癒、透視、攻撃と防御の強化など色々ある事を知って、彼奴は世界を統べようとする為に私を利用しようと企んでた。でも、そう長くは続かなかった。」
ラナ「何があったの?」
ナージャ「突然、1人の魔法使いが発作を起こして魔力を暴走させて、私を崇拝する教会を破壊したの。奇跡的に助かった私はすぐに逃げ出して、ロバイト王国でタクト達に助けられた。」
タクト「そうだ。その時は過去の記憶が無くなってた。」
ナージャ「それから私は、記憶を取り戻す為にタクト達と旅をしていたの。」
アウグスト「そう言う事か。しかし、ナージャと言う名前はタクトが名付けたのか?」
タクト「いや、ナージャと言うのは彼女自身が覚えてる名前だったんだ。ナージャ=オブシディアンのオブシディアンは、彼女の持ってる黒曜石のペンダントの名前から取ったんだ。」
マーク「けど、ナージャって名前は何が由来なんッスか?」
ナージャ「私の愛称よ。アナスタシアを捩ってナージャって呼ばれてた事が多かったから。この黒曜石のペンダントは、元々お母様が亡くなる時に私にくれたの。お守りとしてね。」
オリビア「ナージャさんにそんな過去があったなんて・・・」
ユーリ「じゃあ、あの時の災害級を見た時に起きた頭痛は?」
ナージャ「あの災害級達は、私が子供の頃に可愛がったペット達だったの。」
マリア・アリス・ケイティ「あれがペット!?」
ナージャ「元々はちっちゃかったのに、魔力を蓄えられたせいで凶暴になっちゃったみたい。」
ローランド「そんな事が・・・」
トニー「ナージャ、これからどうするんだい?」
ナージャ「決まってるわよ。兄さんの暴走を止める。それが今の私の目標よ。」
リン「シュトロームを止める?」
ナージャ「魔人になってしまったけど、兄さんは兄さん。私は兄さんを取り返したい。だから皆、協力してくれる?」
シン「・・・出来るかどうか分からないけど・・・協力するよ。」
タクト「もしオリベイラの暴走が止まらなかったら、お前はどうする?」
ナージャ「勿論駆逐する。それが私の覚悟よ。オーグ、良いわね?」
アウグスト「ああ、分かった。私もお前に協力する。」
ナージャ「ありがとう。」
アウグスト「皆、これは私達だけの秘密だ。この事は絶対に口外してはならん。」
トール「はい。」
ユリウス「了解で御座る。」
リオ「誰にも言わないよ。」
デイジー「言っちゃったら、私達も危ないかも知れないから。」
グレア「仲間の言う事は絶対だね!」
他の皆も賛同した。
それから数日後。ダーム王国では、多くの馬車が出発していた。
???「うおっ。仰々しいな。何事だ?」
騎士「アールスハイドで緊急の首脳会議があるそうです。恐らく魔人領でのシュトロームの宣言についてでしょう。」
???「魔人・・・かぁ。教皇襲撃の件は俺らにとっちゃラッキーだったよなぁ。真相は知らんが、ドワイトの奴が魔人化してくれたお陰で、襲撃自体は『魔人に操作されて引き起こされた』って事で落ち着いたんだろう。お陰でウチはお咎めなし。教皇も一命を取り止めて一安心・・・と。」
騎士「・・・まあ、元々我が国はポートマン元長官の件で肩身の狭い思いをしていますからね。先代のダーム王も、度重なる不祥事の責任を取って退位。実の息子にその座を譲り渡したばかりですしね。」
???「当然、会議にはお坊ちゃんが向かうんだろ?」
騎士「ええ。」
???「初の外交が世界首脳会議かぁ。いらねぇ事言わなきゃいいけど。」
騎士「・・・・」
???「・・・それより、教皇救出にはやっぱり
騎士「事実、彼らは世界の英雄ですから。滅多な事は口にせぬ方が賢明です。」
???「けっ。」
騎士「あなたもそこまでの立場になられた訳ですから、恐れながら・・・言葉は選ばれた方が宜しいかと。カートゥーン長官。」
そして、首脳会議当日。ここに、世界の代表となる方々が集結した。
シン(うわ〜〜・・・)
カーナン国王・セティス=フォン=カーナン
クルト国王・エデル=フォン=クルト
ダーム国王・アシム=フォン=ダーム
スイード国王・クレモール=フォン=スイード
エルス大統領・アーロン=ゼニス
アールスハイド国王・ディセウム=フォン=アールスハイド
イース教皇・エカテリーナ=フォン=プロイセン
タクト(荘厳だなぁ・・・)
アズマ(改めて緊張する・・・)
この首脳会議には、タクト、シン、アズマも出席。
シン(すっげぇ緊張感・・・だけど、この原因ってどう考えても・・・)
この首脳会議には、メリダも出席してる。彼女から放つ威圧感に空気が重く感じる。
ディセウム(・・・・)
アーロン(何や、急に招集や言うて兄さんの国に呼ばれたと思っとったら・・・何でまたお師匠さんが同席しとるんのん?)
エカテリーナ(どうやら会議の本題は、魔人領に出現した魔物対策ではなく
元弟子の3人は、メリダが出席してる理由を理解している。
メリダ「大凡その話はシンから聞いたよ。シンの開発した魔道具を・・・魔人領での魔物討伐に各国で使用したい・・・と言う事らしいね。」
ディセウム「魔物対策としての方向性は纏まったものの、これ以上はメリダ師の頭越しに話を進める訳にはいきません。どうか・・・許可を頂けないでしょうか・・・!!」
メリダ「・・・一部とは言え兵士にあの剣を持たせれば、確かに手っ取り早く戦力はアップするだろうね。一振りで数十人分の戦力になるような代物だ。それだけに扱う者の人間性は軽視出来ないものになってくる。良からぬ者が手にすれば、救い所か災いを齎す剣になりかねない。」
タクト(力に溺れた人の末路が目に見える・・・)
メリダ「魔人だ魔物だと言う前に、人の手によって世界を滅ぼし兼ねないんだよ。」
全員「・・・・」
メリダ「気軽に考えていると、必ず痛いしっぺ返しが食らう。その事・・・くれぐれも肝に銘じておきな。」
全員「はっ・・・!」
エカテリーナ「覚えておきます。」
アーロン「人選は充分に考慮させて貰いますわ。」
メリダ「・・・良いだろう。シン。皆の剣に付与してやりな。」
シン「・・・!」
彼女からの許可が下り、全員の緊張感が抜けた。
ディセウム「ふぅぅ・・・良かったぁ・・・」
アーロン「相変わらずやなお師匠さん。国家元首が揃ってガチガチやったやないかい。」
タクト「シン。アズマ達にも同じ物を付与してやってくれ。」
シン「アズマ達は大丈夫なの?」
アズマ「心配するな。俺達は過去に死線を潜り抜けた衛士隊だ。まぁ、改めてメリダ様の言葉を刻んでおく。」
しかしその時、1人の男がこの雰囲気を壊し始めた。
???「盛り上がっている所申し訳ないが・・・導師殿。1つ宜しいか?」
その男は、ダーム国王のアシムだった。
アーロン(誰やアレ?)
ディセウム(ダームの新国王だよ。退任された前国王の御子息だそうだ。)
アシム「剣の危険性は重々承知致しましたが。ならば何故、ウォルフォード君が使用している事は咎められないのですか?」
セティス(よく導師殿に意見が出来るな・・・)
エデル(ダームはこの所、各国からの信用を堕としていますからな・・・改めて存在を示したいのでしょう。)
クレモール(それは分かるが・・・)
エカテリーナ(噛み付く相手間違えてますねぇ・・・)
アシム「我々が所持し続ける事は駄目で、孫であるウォルフォード君についは
メリダ「・・・・」
アーロン(オイオイオイオイ・・・言葉を選べよ新米坊主・・・!!)
アシム「ここに居る皆様方もこの事に津居ては疑問に思っているはず・・・誰もそれを口にしないのは、ひょっとして英雄である導師殿の手前気が引けているのですかな?」
アーロン(俺らを巻き込むなや〜〜〜〜・・・)
アズマ(彼奴、元国王の息子だからって発言が巫山戯てるな。)
タクト(ああ。俗に言う世間知らずの坊ちゃんだな。)
メリダ「・・・何を言ってるんだいアンタは?」
アシム「ア・・・アンタ・・・!?」
返された言葉が『アンタ』にアシムが動揺した。
メリダ「シンには幼い頃から事の善悪について厳しく躾けてある。孫贔屓?ああ確かにそうかもね・・・だけど、シンが悪さをするだなんて私には全く想像出来ないんだよねぇ。」
シン(婆ちゃん・・・!)
メリダ「そもそも、シンが開発した事を本人が所持して一体何が悪いんさね。」
アシム「ぬっ・・・!!」
タクト・アズマ(確かに。)
メリダ「それに戦力的な意味え言うのなら、この子にとっちゃバイブレーションソードあんてあってもなくても大して変わりゃしないんだよ。」
ディセウム「ぶっ!?」
アーロン「それはそれでどうなんや・・・」
しかしアシムは、これでも懲りず反論を続けた。
アシム「危険極まりない武器を・・・持っていようがいまいが変わらぬ実力を秘めている・・・!?それはつまり・・・シン=ウォルフォードと言う・・・そこに居る人物は・・・剣以上に危険な存在と言う事ではありませんか・・・!!正直気が知れませんねぇ・・・そのような者が率いる集団を手放しで自由にさせているあなた方の気がねぇ・・・!!」
全員「・・・・」
シン(・・・うん。まあ言ってる事はごもっともだ。)
タクト(最も、この場でそれを言わない方が身の為だったみたいだな。)
2人の予想が的中し、ディセウムとアーロンがアシムに反論した。
ディセウム「ダーム王国はアルティメット・マジシャンズが謀反を起こすと考えている訳か?我が国所か世界の危機を何度も救ってくれた彼らの事を・・・!」
アーロン「就任したてで礼儀も世間も知らんのはまあエエわ。ただ、救世の英雄達に向かってその言い草はちっと看過でけへんなぁ。」
アシム「・・・これはこれは・・・大国と呼ばれるアールスハイドの王とエルス大統領ともあろうお2人方が・・・このような分かりやすい危険因子を擁護とは・・・ひょっとして既に彼らに取り込まれてしまったいるのではあるまいな?」
全員「・・・」
シン(俺達をよく知らない人達からしたら、こう言う反応はある意味自然だと思う・・・)
タクト(だが、彼奴のあのあからさまな決め付けは誰かの命令で言ってるようにしか聞こえない。)
アシム「・・・・・」
カートゥーン『アールスハイドにはね、英雄だ何だって騒がれている奴等が居るでしょ?アレ絶対真面な人間じゃありませんよ。だってあり得ます?あの若さで彼処までの立場に成り上がるって。』
アシム(彼奴の言葉を鵜呑みにする訳じゃないが・・・シン=ウォルフォードやタクト=クリスティに何か裏がある気がするのも確か・・・)
以前にカートゥーンからの助言を頭に叩き込まれている。
アーロン「兄さん。これはちょっとダームとの付き合い方を考え直した方がエエで。」
ディセウム「そのようだな。」
アシム「なっ・・・!!あなた達は分かっていない!!そのような危険な力を放置して・・・いつかそれが我々に向いたらどうする気なのだ!?」
するとアシムが何かを感じた。
アシム「ッ!?」
それは、教皇エカテリーナのこれまでにない威圧だった。
エカテリーナ「いい加減にしなさい。」
アシム「・・・き・・・教皇・・・猊下・・・」
アズマ(猊下?)
タクト(彼女、怒りが爆発してる。)
エカテリーナ「彼等は私達イースが認定した”神の御使い”と”光の戦士”です。その彼らが世界に災いを齎すと・・・本気で思っているのですか?」
アシム「・・・そこまでは・・・」
エカテリーナ「それにシン君とタクト君は私の命を救ってくれた大恩人・・・そんな彼等を、あなたは自分の思い込みで悪者にしようと言うのですか?」
アシム「い・・・いえ!決して思い込みなどでは・・・」
エカテリーナ「1つ言っておきますが・私を刺したのはあなたの国の人間ですよ。それについては棚に上げておくのですか?」
アシム「ぅ・・・いや・・・あ・・・あの者は・・・ま・・・魔人に操られていたのであって・・・我々の責任では・・・」
エカテリーナ「それはつまり、国の内部の乱れが原因となって魔人に付け入る隙を与えてしまったと言う事では?『危険因子』と言うのなら、あなたの国の情勢の方が余程危険なものに思えますが、違いますか?」
アシム「・・・ぐっ・・・!」
正論を言われ、アシムが項垂れた。
メリダ「はぁ・・・その辺にしときなアンタ達。1対1なら兎も角、寄って集って1人を攻撃するのは感心しないねぇ。まるで
ディセウム・アーロン・エカテリーナ「い、いえ!決してそんなつもりは!!」
アシム(・・・イ・・・イジメ・・・!?余が・・・そんな風に見られた・・・だと・・・!?)
メリダ「確かにシンとタクトは異常とも言えるほどの力を持ってる。だけど人類の危機に今この子達がしようとしているのは、自らの知識を世界に提供し、そして自らが最前線に立つ事だ。この中には他にもシンの力を危険視している者が居るかも知れない。けど・・・ほんの少し・・・この子達のそう言った部分を見てやって欲しい。それに・・・もしシンとタクトが道を誤ったら、私とマーリン、リチャードとレイチェルが命を懸けて止めるさね。」
シン「ば・・・婆ちゃん俺そんな事・・・」
タクト「そうだよメリダ様・・・俺達は決して・・・」
メリダ「分かってるよ。私達はアンタ達の事を信用してる。だからこそ命を懸けるなんて簡単に言えるのさ。」
シン「婆・・・ちゃん・・・」
タクト「メリダ様・・・」
メリダ「・・・どうだろう。少しだけで良い。私とシンやタクトを信じてくれないかい?」
アシム「フン・・・」
メリダ「ホレ。この件についてはお終いだ。さっさと話を次に進めようじゃないか。」
全員「は・・・はい!!」
その夜。衛士隊舎。
シイナ「私達の剣に、シンの開発したバイブレーションソードが付与される?」
タクト「ああ。メリダ様の許可が下りたんだ。お前達の武器の威力が倍増する。」
ナナセ「でも大丈夫なの?もし私達がそれを手にしたら力に溺れそうになりそう。」
アズマ「そうだな。タクト、そこん所はどうなんだ?」
タクト「一応シンに話しておいた。お前達衛士隊のバイブレーションソードには抑制機能を付けておくって。」
アズマ・シイナ・ナナセ「抑制機能?」
タクト「まぁ、完成してのお楽しみって事で。」
そして、ダーム王国の王城では。
アシム「おのれ!!余がイジメられているだと!?平民風情が調子に乗りおって・・・!!大国のトップを手懐けて世界を掌握するつもりか!?あの女狐め・・!!」
首脳会議のストレスが爆発し、部屋を散らかした。
アシム(あの場にもしエカテリーナ教皇が居なければ・・・あのような人間にいいように振る舞われる事もなかったのに・・・!!)
”コンコン”
アシム「っ!・・・誰だ!?」
カートゥーン『私です。カートゥーンです。』
アシム「・・・入れ。」
カートゥーン「失礼しま・・・うわっ!何ですかこの有り様。」
アシム「五月蝿い!何の用だ?」
カートゥーン「え?ああ・・・軍部を預かる責任者としては・・・会議の結果をいち早く知る必要があると思いましてね。」
アシム「お前の意見のせいでいらぬ叱責・・・いや、抗議を受けたぞ!!どうしてくれる!!」
カートゥーン「あ、ひょっとしてウォルフォードとクリスティも出席してました?まあ世界は今彼ら寄りですから、反発の声もそりゃ出るでしょう。それで陛下、会議の内容はどうだったんです?」
アシム「ああ。」
彼は会議の内容をカートゥーンに全て伝えた。
カートゥーン「へぇぇ・・・バイブレーションソード・・・ねぇ・・・」
アシム「しかし終戦後に我々が所持する事は認めないそうだ。無論孫に関しては黙認。教皇猊下まで味方に付けて・・・何が導師だ・・・!」
カートゥーン「(・・・ど〜〜〜でもいいんだよなぁ。教皇だとか導師だとか・・・俺にとってそんなモンは・・・)ジェットブーツ・・・に続いて今度はバイブレーションソード・・・かぁ・・・”チート”だねェ。クックッ。」
アシム「・・・?」
カートゥーン(まあこの分だと向こうから何らかの形で接触して来てくれそうだし・・・取り敢えず今はその時を楽しみに待つとしますかね・・・)
この世界に概念がないチートと言う言葉を使ったカートゥーン。一体何者なのか。
数日後。アールスハイド王国・騎士養成士官学院に2人の人物が来訪した。
男子生徒「な・・・なああれ・・・!」
男子生徒「え?・・・あ・・・!」
女子生徒「クリスティーナ様とモニカ様だわ・・・!相変わらずお美しい・・・」
女子生徒「学院に何か御用かしら?」
騎士養成士官学院・Sクラス。ここにミランダとマナミアが読書をしていると、3人の男子生徒が寄って来た。
男子生徒A「おい、ちょっといいか?ミランダ。」
ミランダ「・・・何?」
男子生徒A「何?・・・じゃねぇだろうが・・・!お前何時になったら魔法学院の女子紹介してくれんだよ!!俺らずっと心の準備して待ってんだからな!!その為に気合入れてSクラスまで入ったってのによぉ!」
ミランダ「(あーバカばっかり・・・)アンタら、何時も色恋沙汰ばかり・・・悔しくない訳!?女である私が学院の首席の座に居るんだよ!」
マナミア「皆さんは、彼女からその座を奪い返そうとか言う気概はないのですか?」
男子生徒A「見くびってもらっちゃ困りますよマナミア様。自分達の実力位明確に把握していますよ・・・!無駄な戦いは挑まないからご安心を・・・!」
この3人の実力はC。一般兵士はB。ミランダとマナミアはA。トニーはS。タクトとシンはSSS。
マナミア「そうですか。」
ミランダ「って言うか分かって言ってんの!?私とマナミア様の魔法学院の知り合いって、全員アルティメット・マジシャンズだよ!?それを紹介しろっての!?」
男子生徒A「ア・・・アルティメット・マジシャンズの・・・当人達かよ・・・!!」
男子生徒B「か・・・神にも等しい存在だな・・・」
男子生徒C「流石に・・・俺達がお近付きになろうとするのは・・・烏滸がましいな・・・」
ミランダ「バーカ。だったらそれに見合う実力者になれば良いだけじゃない。」
男子生徒A「それが出来りゃ苦労しねんだよ!!」
男子生徒B「自分達の実力は分かってるっつったろうが!くそっ!」
男子生徒C「無駄な努力!」
マナミア「あらあら。賑やかですね。」
ミランダ(やっぱダメだコイツ等・・・)
するとそこに教員が。
教員「ミランダ=ウォーレス!マナミア=ラドクリフ!居るか!?至急学院長室へ来い!」
マナミア「私達に?」
2人が学院長室へ向かった。そこには。
学院長「おぉ、来たかウォーレス。マナミア様。まあそこに掛けなさい。」
クリスティーナ「久し振りですねミランダ。マナミア様。」
モニカ「ミランダ。お元気そうですね。」
ミランダ「ク・・・クリスティーナ様にモニカ様!?」
マナミア「クリスにお母様?どうしたんですか?」
学院長「君達に用があってわざわざ王城から来てくれたんだ。」
ミランダ「陛下から言伝を頼まれましてね。古巣の様子を見る序でに伺った次第です。」
学院長「学院史上たった3人しか居ない『女性の首席』である君達が揃い踏みとは・・・何と感慨深い・・・って言うか嬉しい。」
ミランダ「が・・・学院長・・・」
4人がソファーに座る。
マナミア「それで、私達に何か御用でしょうか?」
クリスティーナ「先日起きた魔人領での魔物の大量出現と、魔人の首魁オリバー=シュトロームの人類滅亡宣言の件は知っていますよね?」
ミランダ「は・・・はい。今や王都はその話題で持ち切りですから・・・」
マナミア「生徒達は皆不安や恐怖心に狩られています。」
モニカ「そして数日前、その対策を講じる名目で秘密裏に世界首脳会議が我が国で行われました。」
ミランダ(・・・・・ん?)
クリスティーナ「そしてその協議の結果を・・・ミランダ、あなたも所持するバイブレーションソードを各国の精鋭数名に一時的に配布する事が決定しました。」
ミランダ(・・・ちょっと待って?)
モニカ「知っての通り、バイブレーションソードは非常に強力で危険な武器だけに使用者には一定の指南が必要となります。」
クリスティーナ「ですが、その指南出来る人間が実際問題不足していましてね。」
ミランダ(マナミア様は兎も角・・・何で私今、こんな超国家機密級の情報を聞かされている?)
クリスティーナ「そこで、シンからの要望もあって。マナミア様と普段からこの武器を使用している・・・ミランダ。あなた方に各国軍代表者への指南役をお願いしたいのです。」
ミランダ「・・・!?」
マナミア「私達がですか?」
ミランダ「ムムム・・・ムリムリムリですクリスティーナ様!モニカ様!だって私如き若輩者が国をだいひょうする精鋭達にどんな顔して・・・!!」
クリスティーナ「安心しなさいミランダ。あなたも我が国を代表する精鋭の1人ですよ。堂々と指南に当たれば良いのです。」
ミランダ(そう言う問題じゃない・・・)
マナミア「では私は、ミランダの助手と言う立場に当たれば良いのですか?」
モニカ「そうなりますね。」
マナミア「でも、学院の授業は・・・」
学院長「なぁに、学院はしばらく公休にしてやるから心配いらんぞ。」
ミランダ「だからそう言う問題じゃない!!!」
マナミア「ミ、ミランダ!落ち着いて下さい!」
ミランダ「ハッ!し、失礼致しました・・・」
クリスティーナ「兎も角、近日中に自宅へ王城からの使いが行きます。詳しくはその使いの者にお聞きなさい。」
マナミア「分かりました。」
ミランダ(す・・・已に決定事項として扱われている・・・)
夕方。廊下をマナミアと、フラフラ歩くミランダ。
マナミア「ミランダ、元気出して下さい。私が付いてますから。」
ミランダ「うぅぅ・・・マナミア様・・・」
マナミア「あらあら。」
ミランダ「ウォ・・・ウォルフォード君めぇ・・・」
一方ウォルフォード邸。
シン「へっくしょん!」
メリダ「やだよシン。アンタ食事中に。」
シシリー「大丈夫ですか?シン君。風邪は引かないはずだし。」
シン「うー・・・誰か噂でもしてんのかな・・・」
タクト「多分あのダームの国王ぼっちゃんが裏でお前を罵ってんじゃねえの?」
シン「はは・・・」
今日のタクトは、今後の事をシンと話して長引いてしまった為一緒に食事してる。
マーリン「これからまた国同士が密になろうと言うタイミングでのう・・・ダームが妙な事を企まなければ良いがの。」
シン(妙な事・・・)
バイブレーションソードで妙な事が起こりそうと考えた。
シン「例えばだけど・・・バイブレーションソードを貸し出し中に真似して複製されたり・・・しないよね?」
マーリン・メリダ「・・・・」
シン「・・・あれ?何その反応・・・」
メリダ「そもそも全く原理の分からない付与を、アンタ以外この世の誰が出来るって言うんだい?」
タクト(俺だけど・・・)
シン(原理の不明な魔法を付与出来ない・・・まあ当然か。無用な心配だったかな。)
メリダ「・・・とは言え、世の中にはシンとタクトの魔道具以外にも・・・原理不明な魔道具が存在するからまた不思議なんだよねぇ・・・」
シン「え?何それ?」
タクト「原理不明の魔道具?そんな物まで?」
メリダ「2人もよく知ってる物だよ。」
マーリン「そして、国民が皆所持している物でもあるのう。」
シン「・・・あ。」
タクト「まさか!」
ポケットからある物を出した。
シン「コレか!」
タクト「市民証!」
それは、入学試験日に渡された市民証だった。
タクト「此奴には確か、所持者以外に起動は不可能。魔物の討伐記録も自動で記載される。そして個人の銀行口座の管理まで出来る万能アイテム。」
メリダ「そんな高性能な魔道具、私は他に知らないよ。」
シン「確かに・・・・」
タクト「・・・ん?いや待てよ?」
シン「どうしたの?」
タクト「なぁメリダ様。この市民証って、
彼女は真剣な顔をした後言った。
メリダ「・・・市民証はね・・・今はもう失われた技術で作られている物なんだよ。」
シン「失われた・・・技術?」
メリダ「今から200年も前かね。ある小さい国に天才と言われた魔道具士が居たのさ。」
シン(あれ・・・?何か聞いた事あるような話だな・・・)
タクト「小さい国の天才魔道具士・・・」
シシリー「お婆様。それってひょっとして、天才魔道具士マッシータのお話ですか?」
タクト「マッシータ・・・あ!」
シン「ああそれ!!小さい頃トムさんが持って来てくれた本で読んだ!天才魔道具士コーノ=マッシータのお伽噺!!」
マーリンとメリダが頷いた。
タクト「コーノ=マッシータって実在の人物だったのか!?伝説かと思ってた・・・」
メリダ「勿論さ。市民証はね、他ならぬそのマッシータが作った魔道具なのさ。」
シン「えぇ!?(信じられない・・・前世にもなかったようなこんなとんでもない技術を・・・200年も前に実行出来た人間がこの世界に居たなんて・・・)」
タクト「そう言えば前に歴史書で読んだ事がある。マッシータの弟子は1人も居なかったと。」
メリダ「そうさ。孤高の天才。他に類を見ない才を秘めていた彼だが・・・その特殊過ぎる技術故に、誰もその技を継承出来ず生涯弟子を取る事もなかった。」
シシリー「何だか話だけ聞くと・・・シン君と共通する部分がありますね・・・」
タクト「・・・あれ?待てよ?市民証を開発したのがマッシータだろ?でも今現在でもアールスハイドで市民証は新しく製造され続けてるって訳だろ?」
シン「うん。それはつまり、誰かが実際に魔法を付与しなきゃ・・・」
タクト「ま・・・まさか!?」
シン「ひょっとして・・・マッシータは・・・今も生きてる・・・!?」
魔人との決戦に備えて、各国軍が修行を始めた。世界の未来の為、アルティメット・マジシャンズの各々も魔法の修行に励むのだが・・・