ウルトラマンティガ THE ULTIMATE MAGICIANS 作:naogran
ドグラーフを倒し世界の平和を取り戻した。
アウグスト「終わったな・・・いや、シン、タクト。お前達が終わらせたんだ。過去から続いて来た帝国の陰惨な歴史を、復讐の連鎖を、お前達が今日ここで断ち切ったんだ。」
シン「皆の力があったからこそだよ。」
タクト「ああ。俺ら2人じゃ結局何も出来なかった。」
ユリウス「1年余りの事とは言え・・・長い戦ったで御座った。」
アリス「うん・・・そうだね。」
その後。戦死したミリアの亡骸を埋葬し、彼女の墓を建てた。リチャードが詠唱で供養する。
オリベイラ「ミリアさんは元々、帝国のハンターだった。」
シン「え?」
オリベイラ「彼女から聞いたんだ。だがそれが原因で貴族に目を付けられ、情婦にならないかと誘われた。けどそれを断ったら、酷い仕打ちを受けたんだ。」
シシリー「それって・・・」
オリベイラ「彼女が魔物狩りから帰ると、家が炎に包まれ、崩れ落ちたんだ。」
シシリー「そんな・・・」
あまりにも凄惨な話に、シシリーが思わず言葉を漏らした。
オリベイラ「焼け跡から彼女のご家族が遺体で発見された。原型を留めてない形で。」
タクト・シン「・・・・・」
オリベイラ「それから、その貴族の追手に追われるようになった。自分の誘いを断った恥を掻かせたと。そんな下らない理由でね。」
フェオン「やっぱり・・・帝国の貴族はクズ以下のね・・・」
リン「そうさせたのがドグラ・マグマ。」
オリベイラ「彼女はずっと、その貴族を憎んでいた。家族を殺し、それに飽き足らず尚も彼女や皆を苦しめる貴族を。そして、そんな貴族をのさばらせている帝国そのものに。けど、彼女一人の力なんて、巨象を前にした蟻も同然。結局ミリアさんは、その追手に追い詰められた。その時、私を操り暗躍していたドグラ・マグマに助けられた。」
タクト「・・・」
オリベイラ「奴は、ミリアさんを手駒のように扱っていた。自分の悲願を達成する手駒として。」
タクト「・・・オリベイラ、あの子はどうする?」
ナージャが抱えてるシルベスタを見る。
タクト「あの子はアンタとミリアの子供。どうするかはアンタ次第だ。」
アウグスト「そうだったな。最後にして最大の問題が残っていた。見た所、我々と変わらない人間ではあるが・・・魔人同士の親から生まれて来た子供だ。将来、絶対に何も起きないと言う保証は・・・」
アリス「いや・・・それよりまず考えてみてよ!オリベイラとミリアの子供だよ?くっそイケメン確定じゃん!」
マリア・トール・ミランダ「ズコッ!」
ミランダ「アンタ今そーゆー問題じゃ・・・」
アリス「いやいや重要でしょそこ!」
オリベイラ「あはは・・・」
タクト「それで、あの子はどうするんだ?オリベイラ。どうするのかはアンタ次第だ。」
オリベイラ「それはもう決まっている。・・・シン君、シシリーさん。あの子を引き取ってくれないか?」
シン・シシリー「え?」
全員「えぇっ!?」
オリベイラ「あの子が生まれた時から私はずっと相手にしなかった。今更父親面してもあの子は信じてくれない。これは私の我儘だ。どうか、あの子を立派に育てて欲しい。この通りだ。」
シンとシシリーに深く頭を下げてお願いを申す。
タクト「お前らどうする?」
シン「・・・オリベイラ。アンタの言う通り、この子を立派に育てる。」
シシリー「シン君・・・」
シン「ミリアの願いでもあるんだ。オリベイラと、この子を守ってあげてってな。この子を・・・ちゃんと育ててやろうな。」
シシリー「はい・・・必ず・・・ミリアさんとオリベイラさんの願い通りに・・・この子を幸せにしてみせます。」
オリベイラ「・・・ありがとう!」
シン「オーグ、良いよな?」
アウグスト「・・・そうだな。あの子を任せられるのは、お前以上の適任はいまい。その代わり、責任を持って育てる事。もし何かあったらすぐに報告する事。責任者は飽く迄我々だからな。これを守れよ。」
シン「ああ!」
女性陣「わああ!」
すると女性陣が一斉に沸いた。
マリア「ね、ねえナージャ。私にも抱っこさせてよ。」
ナージャ「いいけど・・・大丈夫?マリア。」
そう言いながら、シルベスタをマリアに渡す。
マリア「わ、え、こ、こう?」
ナージャ「そう、そうやって頭を支えてあげて。」
マリア「う、うん・・・ふわあ・・・ちっちゃい・・・あったかい・・・」
アズマ「・・・あんな蕩けたマリアの顔初めて見た。」
タクト「何れああ言う顔が毎日拝めるぞ?未来の旦那さん?」
アズマ「そ、そうか?」
そうして順繰りに女性陣の腕を渡り歩いたシルベスタは、最後にミランダの腕に抱かれると、途端にぐずりだした。
ミランダ「え?え?何で!?」
マリア「腕が固いからじゃない?」
マナミア「あなたは鍛え過ぎです。」
ミランダ「そんな!?」
無慈悲なマリアとマナミアの言葉に、ミランダが絶望する。そんなミランダを、女性陣が笑いながら取り囲んでいる。
シン「フフッ。」
その様子を見ながら、アウグストがシンに呟いた。
アウグスト「お前、最初からこうするつもりだったのか?」
シン「いや、そうじゃないよ。」
アウグスト「では何故だ?」
シン「ミリアとオリベイラが。」
アウグスト「2人が?」
シン「ああ、2人が俺達に言ったんだ。あの子をよろしくって」
アウグスト「・・・」
シン「シシリーも決意したような顔してたし、なら俺が後押ししてやろうって思ってな。それに、俺自身、養子だしな。」
アウグスト「・・・そうだったな。」
シン「俺は、爺ちゃんと婆ちゃんから、沢山の愛情を貰って育てられた。勿論、二人には今後も恩を返していくつもりだけど・・・この恩を他にも分け与えたいって、そう思ったんだ。」
アウグスト「・・・そうか。」
シン「ちゃんと、愛情を持って育ててあげるからな。シルバー。」
シルベスタはシンに向かって笑った。
供養を終え、連合軍がいる戦場へ帰還する準備が出来た。
リチャード「よし。皆、一度戦場へ帰還するぞ。」
タクト「久々に皆に会えるな。」
フェオン「そうね。」
リチャードがゲートを開いた。
ナージャ「兄さん。一緒に帰ろう。アリア義姉さんとメアリーが待ってるよ。」
オリベイラ「ああ・・・でも・・・」
不安げな顔をした。
ナージャ「どうしたの?」
オリベイラ「いや・・・私は世界中を震撼させてしまった男だ。アールスハイド王国へ行って、どう説得すれば良いのか・・・」
タクト「それなら俺に妙案があるんだ。」
オリベイラ「え?」
タクト「オリベイラ。今のアンタの姿は魔人になる前の姿だよな?」
オリベイラ「あ、ああそうだ。」
タクト「って事は、魔人になったアンタは今の姿より髪が長かった。つまり、オリバー=シュトロームはオリベイラの影武者。その影武者が魔人となって世界を滅ぼそうとした。そしてオリベイラは、影武者によって地下牢獄で監禁されたが、俺達によって救出された。この口実を使えば国民の皆は納得してくれると思う。」
オリベイラ「・・・それで納得してくれるのか心配で・・・」
リチャード「案ずる必要はない。」
不安になるオリベイラをリチャードが励ます。
リチャード「タクト君の妙案を信じよう。アールスハイド王国は豊かな国だ。きっと君を歓迎してくれる。だから。」
オリベイラ「リチャード様・・・はい!」
ナージャ「行こう。兄さん。」
オリベイラ「うん。」
ゲートを潜り、仲間達が待つ戦場へ帰還する。
旧帝都の外。
ミッシェル「・・・随分と静かになりましたな。」
メリダ「最後のデカいのでカタが付いたんだろう。」
レイチェル「それにしても、ティガが急に巨大化したのは一体・・・」
マーリン「さて・・・行くとするかの。」
ミッシェル「マーリン殿。」
マーリン「英雄達の帰還じゃ。出迎えてやらんとの。」
???「皆さーん!」
そこにイザベラ達が合流した。
マーリン「おお。お主達も無事じゃったか。」
イザベラ「はい。追加の軍勢が押し寄せて来たのでこの方々と一緒に。」
彼女達の後ろには、見知らぬ4人の人物が立っている。1人は老人。2人はシスター。1人は剣士の少女。
メリダ「誰だい?」
エミリー「話は後です。タクト達が帰ってから話します。」
アルティメット・マジシャンズの帰還を今か今かと待っている。だが、帰還する気配が全くない。
ジークフリード「・・・遅ーなアイツら。」
そんな事を言っていると、後ろにゲートが出現しアルティメット・マジシャンズが帰還した。
シン「あれ!?皆並んでどうしたの?」
ジークフリード「シッ・・・シン!?」
シン「ただいま。」
ジークフリード「お・・・おめーら・・・ただいまって・・・おま・・・」
不意打ちの帰還にジークフリードが少々困惑してる。
兵士「お・・・おい!アルティメット・マジシャンズだぞ!」
兵士「え?何処?」
兵士「あ、あんな所に・・・!!」
兵士「殿下!!」
兵士「御使い様ーーー!!」
他の兵士達もアルティメット・マジシャンズの急な帰還に驚きながらも喜んでる。
ジークフリード「おめーらもうちょい凱旋の雰囲気ってモンをな・・・帝都側から戻ると思うだろフツー。」
シン「え?あーゴメン。でも全員ボロボロだったし・・・」
クリスティーナ「お帰りなさいシン。よく無事に戻りましたね。」
イザベラ「お姉ちゃーん!」
フェオン「うわっ!」
飛び込んで来たイザベラを抱いた。
イザベラ「お帰りなさい!お姉ちゃん!怪我はない?」
フェオン「ただいまイザベラ。大丈夫よ。」
ドミニク「殿下!!御無事で!!」
アウグスト「ドミニク。」
ドミニク「そ・・・それで・・・魔人の首魁や他の魔人達は・・・!?」
アウグスト「全て片付いた。我々の勝利だ。」
ドミニク「お・・・おお・・・!」
兵士達「勝利!!勝利だぁーーーーーー!!殿下達が魔人を討ち取ったぞーーーーー!!」
今ここに連合軍の勝利宣告が立てられ、兵士達が勝鬨を上げた。
タクト「これで収束したな。」
イザベラ「あ、タクトさん!この方達を知ってますか?」
タクト「え?」
イザベラ達の後ろに立ってる4人の人物にタクトが目を向ける。
エミリー「タクト知ってるか?」
タクト「お前ら・・・!ゼオラ!エイダ!レナード!アルバス!」
ゼオラ「久し振りだなタクト。」
フェオン「タクト、知ってる人?」
タクト「知ってるも何も。フェオン達と出会う前に一緒に旅をした元仲間達だよ!」
全員「ええ!?」
この4人は、嘗てタクト達と一緒に旅をした元仲間達だった。
エイダ「元気そうで何よりだね!」
タクト「お前らも元気そうだな。ってか何でここに?」
レナード「実はスイード王国でアルティメット・マジシャンズって言うグループがブルースフィア帝国へ赴くって新聞が載っててね。そこで偶然タクトを見付けたんだ。」
アルバス「帝都付近へ来てみたら、突然魔人と魔物の軍勢が現れて加勢したんじゃ。」
タクト「そうだったのか。ありがとう皆。」
ゼオラ「良いって事だ。ん?その指輪、お前結婚したのか?」
タクト「ああ。フェオンは俺の大切なパートナーだ。」
フェオン「初めまして。フェオンよ。」
アリス「タクト君、昔もハーレムだったんだね。」
タクト「それは違うぞ。レナードは女に見えるけど、男だ。」
アリス「お、男!?」
タクト「女の容姿のせいで、故郷では酷いイジメを受けててな。でも俺達はそんな彼を助けたんだ。」
アルバス「タクト達はワシの大切な孫を救ってくれた恩人だからな。」
シン「レナードのお祖父さん?」
レナード「そうだよ。」
タクト「まぁ、詳しい話はまた後にしよう。」
ヒナ「そうでした。タクトさん、ローラさん達やビヤンさん達、ドノバンさん達も来ていますよ。」
タクト「本当か!って事はドロシーも!?」
ヒナ「はい!」
タクト「そうか。後で顔を合わせに行かなきゃな。」
すると1人の兵士が、ナージャが抱いてるシルベスタとその後ろのオリベイラに目を向けた。
兵士「ナ、ナージャ様。そ・・・その赤ん坊は一体・・・それにその後ろのお方は・・・」
ナージャ「この子は奇跡的に帝都に生き残りが居てね。両親は死亡してしまったけど、生き延びたこの子を私が保護したのよ。」
兵士「おお・・・何と・・・」
兵士「この様な状況で生き残りが・・・まさに奇跡の子・・・」
兵士「それで、そちらのお方は・・・」
リチャード「彼はオリベイラ=フォン=ストラディウス。元々帝国の公爵だったが、影武者によって監禁され我々が救出し保護した。」
兵士「影武者・・・って事はまさか。」
リチャード「そうだ。オリバー=シュトロームは彼の影武者。暴走し魔人と化して世界を滅ぼそうと画策した。」
兵士「そんな事が・・・よくぞ御無事で。」
オリベイラ「あ、ああ・・・ありがとう・・・」
メリダ「アンタ達・・・」
シン「爺ちゃん・・・ば、婆ちゃん・・・き・・・来てくれたんだ・・・」
メリダ「・・・赤ん坊の件、本当の所はどうなんだい?」
シン「あ、えっと・・・・・」
アウグスト「メリダ殿。マーリン殿。非常に内密な話になります。場所を変えましょう。」
アールスハイド王国軍本陣に移った。
メリダ「ここには有線通信機が設置してあるね。先に確認するけど、各国代表に報告出来る内容かい?」
アウグスト「・・・正直な所、今は伏せておくべきかと・・・いや・・・立場上今後の事を踏まえると・・・父上と・・・教皇猊下辺りには聞いておいて貰った方が良いでしょう。二カ国に繋いでくれ。」
ドミニク「はっ!」
アールスハイド王国とイース神聖国に繋いだ。
ディセウム・エカテリーナ「遂に魔人を!!!!」
勝利を収めたアルティメット・マジシャンズに二カ国の重鎮達が喜んだ。
アウグスト『勝利の報告直後に申し訳ないのですが、父上と猊下に大事なお話が・・・』
ディセウム「ウム。分かった。」
アーロン「アウグスト殿下。俺も退出した方がエエ案件かいな?」
メリダ『何だ小僧。アンタもそっちに居たのかい。・・・まあいいからアンタも聞きな。』
アーロン「お師匠さんもおんのかい・・・」
両国の重鎮とアールスハイド王国軍のトップにシルベスタの事を話した。
ディセウム・エカテリーナ「ま・・・魔人同士の・・・」
アーロン・ドミニク・ルーパー「シュトロームの子供・・・!?」
ディセウム「し・・・信じ難いが・・・本当にその様な事が・・・うむぅ・・・」
エカテリーナ「見た目は・・・人間そのもの・・・そう・・・ですか・・・」
アーロン「エ・・・エライこっちゃ!」
アールスハイド王国軍本陣。
マーリン「それで・・・その子はどうするつもりじゃ?」
シン「俺とシシリーが育てる。」
ディセウム・エカテリーナ「・・・・・・」
その場の王族と英雄と重鎮達が言葉を失う。
メリダ「本気かい?そこまで複雑な素性の子・・・オリベイラと、そのミリアって魔人に同情してるだけなら止めておいた方が良い。」
マーリン「確かに・・・簡単な話ではないからのぅ・・・」
シン「・・・ぷっ。」
2人の言葉にシンが思わず吹いた。
メリダ「何が可笑しいんだい!?」
シン「いや・・・だって複雑な素性って・・・爺ちゃん婆ちゃん。2人は素性すら分かんない俺の事拾って育ててくれたじゃん!」
マーリン「む・・・」
メリダ「それ・・・は・・・」
シン「爺ちゃん達は俺を贖罪の意味や義務感だけで育てたの?」
メリダ「いや・・・そんな事は・・・」
シン「でしょ?俺は胸を張って言えるよ。俺は賢者の孫だ。導師の孫だ2人から確かな愛情を持って育てられた・・・2人の孫だ!だからこそ俺は・・・引き継いで行きたいんだ。その愛情をこの子に。それこれは、オリベイラの願いでもあるんだ。」
オリベイラ「シン君・・・」
メリダ「シン・・・アンタ・・・」
オリベイラ(・・・ミリアさん・・・見ててくれているかい・・・?)
メリダ「認めるしかないさね。そんな事言われちゃね。」
マーリン「そうじゃの。」
メリダ「やれやれ、もう曽孫が出来ちまったよ。アンタ達結婚もまだだってのに。」
タクト「って事は、ロイスさん達に甥っ子、セシルさんとアイリーンさんに孫が出来たって訳か。」
ディセウム『世間に対する発表としては・・・まあ・・・アウグストの言った様な形がベストか・・・』
アーロン(ウーム・・・何やややこしい話聞いてもうた気が・・・)
エカテリーナ『・・・シン君・・・シシリーさん・・・いつか赤ちゃん・・・抱かせてね。実質私にとっても孫みたいなものだし・・・』
シン「何でだよ・・・」
アザレア「あはは。それだったら私にとっては又甥ね。」
エカテリーナ「さあ後は、私が世界に向けて事態の終息宣言をするだけね・・・」
人類の存亡を懸けた戦いに勝利したその日。エカテリーナは通信機を用いて全世界に勝利宣言をした。各国全土が歓喜と涙で溢れてた。
アールスハイド王国に帰還したアルティメット・マジシャンズに王国全土が更なる歓喜と喜びに溢れた。
そして・・・
アリア「・・・・・・」
オリベイラ「・・・・・・!」
離れ離れになっていたオリベイラとアリアが、ラドクリフ邸で再会を果たした。
アリア「あなた・・・!」
オリベイラ「アリア・・・!」
再会した2人がお互いを抱き締め涙を流す。
アリア「お帰りなさい・・・・・」
オリベイラ「ああ・・・ただいま・・・今まで迷惑掛けて・・・すまなかった・・・」
そしてクリスティ邸では。
エイダ「へぇ〜!ここがタクトの家かぁ〜!」
ゼオラ「立派な邸だな。」
タクト「俺と今の仲間達の為に建築したんだ。中々快適だぞ?」
フェオン「タクト!」
タクト「あ!」
そこにフェオンが、小さな赤ん坊を抱いてやって来た。
タクト「ただいま・・・ルシア。」
この赤ん坊はルシア。タクトとフェオンが授かった女の子。
その後タクトは、駆け付けてくれたローラ達やビヤン達やドノバン達、そしてドロレスと顔を合わせて再会を喜んだ。
各国がお祭り騒ぎで連日揺れる中、シンとシシリー、アウグストとエリザベートの挙式準備も少しずつ始められた。だが、魔人達の遺体回収に始まり、崩壊した帝都内部の精密な調査、魔人についての新たな研究機関の立ち上げや、残った魔物の討伐・帝国各地の土地の査定や分配までやる事が山積み。
そして何より重要な件は・・・決戦前に各国に分配・付与したバイブレーションソードを再び回収して付与を取り消さなくてはならない事だ。とは言え、各国兵士にも多数の犠牲者が出ており、戦いの中で紛失・損壊してしまった物も決して少なくない。取り消し作業までには綿密な調査が必要と言う事で各国が合意し、正式な武器の提出は恐らくシン達の挙式以降になると言う話だ。
余談だが、ガランにだけはアルティメット・マジシャンズが帝都から戻った直後に声を掛けられた。
ガラン「悪いなシン。コイツは今渡しておくよ。コレのお陰で人類は助かったが、やはり世界には出回っちゃいけねェ代物だ。お前1人が持ってりゃそれで良い。」
そう言って武器を置いて行ってくれた。
アールスハイド王国に帰還した後。タクトはシン達をアルティメットギルドに招いて、嘗て共に旅をしたゼオラ達を紹介する。
ゼオラ「改めて自己紹介しよう。私はゼオラ=オールドマンだ。」
エイダ「エイダ=オールドマンだよ!お姉ちゃんと同じシスターやってまーす!」
レナード「僕はレナード=テラスミス。剣豪を目指す剣士だよ。宜しくね。」
アルバス「レナードの祖父のアルバス=テラスミスだ。宜しく頼むぞ。」
タクト「俺がフェオン達と出会う前に嘗て一緒に旅をした仲間達だ。皆、彼らが俺の仲間のアルティメット・マジシャンズだ。」
シン「あ、宜しく。」
ゼオラ「噂に聞くアルティメット・マジシャンズ。過去にスイード王国に颯爽の如く現れ、魔人達を撃滅した魔法学院の生徒達。だな?」
アウグスト「知ってくれているとは光栄だ。」
タクト「そして、俺の妻のフェオンと娘のルシアだ。」
フェオン「宜しくね。」
エイダ「わぁ〜。美人な奥さんに可愛い娘さんだね〜。」
アリス「ねぇねぇ、シスターって事は宗教に詳しいとか?」
エイダ「そうだよ。私達は故郷でシスターとして修行を積み重ねて、世界中の宗教や事件を色々回っているんだ。」
ゼオラ「私達4人はタクトに出会う前に色んな宗教を学んだんだ。」
リン「ん?4人?クリスティ君と出会う前の3人?」
ゼオラ「そうだ、まだ紹介していなかったな。」
フェオン「何?まだ仲間がおったの?」
タクト「あ、フェオンは覚悟した方が良いな。」
フェオン「え?」
ゼオラ「エイダ。」
エイダ「うん!おいで。サマラ。」
するとエイダの後ろに白い霧が現れ、その霧から1人の聖女が現れた。
シン「ゆ、幽霊!?」
ゼオラ「紹介しよう。サマラだ。」
サマラはシン達に笑顔で挨拶した。
エイダ「サマラは幽霊だから言葉を持たないんだ。でも私を依代にしたら喋ってくれるよ。」
フェオン「・・・・・・・・・」
オリビア「ああ・・・フェオンさんが気絶してます!」
タクト「悪いな2人共。フェオンは幽霊苦手なんだ。」
ゼオラ「そうか。それはすまない。」
フェオン「・・・・はっ!」
気絶していたフェオンが目を覚ました。
ゼオラ「すまないフェオン。君が幽霊が苦手だと知らなかった。」
フェオン「あ、ううん大丈夫・・・」
マーク「それで、もう1人の仲間ってのは?」
エイダ「そうそう。おいでガルーダ!」
???「はいはーい!」
現れたのは、フォンテーヌ衣装を着た精霊だった。
グレア「あ!ガルーダじゃん!!」
ガルーダ「久し振りグレア!」
マリア「グレアと同じ精霊?」
ガルーダ「うん。僕は水の精霊ガルーダだよ。ゼオラ達と一緒に旅しているんだ。」
トニー「精霊ってグレアだけかと思ったけど、色んな精霊がいたんだね。」
ガルーダ「でも僕だけじゃないんだよ?ゴーテルも一緒。」
グレア「ゴーテルも!?」
ゴーテル「そうよグレア。」
黒と黄色のフォンテーヌの精霊ゴーテルが現れた。
グレア「わぁー久し振りゴーテル!」
ティオ「また会えたね!」
ゴーテル「初めまして。私は土の精霊ゴーテル。レナードとアルバスと共に旅しているわ。」
ユーリ「へぇ〜。クリスティ君は既に精霊に出会ってたのね。」
グレア「もうタクト、2人と会ってたなら教えてくれたらいいのに。」
タクト「悪い悪い。」
ユリウス「所で、お2人はタクト殿と出会った切っ掛けは何だったので御座るか?」
ゼオラ「そうだなぁ。確か、貴族の娘が盗賊に誘拐された事件の時だったな。盗賊のアジトに潜入した時に偶然出会ったんだ。」
エイダ「3人で協力して盗賊を退治して、貴族から報酬金を貰ったんだ。そこから一緒に旅をしたんだ。」
トール「それで、レナード殿とアルバス殿はどう言った経緯で出会ったんですか?」
レナード「・・・出会った時は悲惨だったんだ。」
シシリー「悲惨?」
アルバス「ワシらの故郷の村では、剣豪を目指す者達が切磋琢磨して強くなる仕来りがあったんだ。ワシもその内の1人で、剣豪になった後は世界を旅した後、亡き妻と隠居生活を送っていた。」
レベッカ「レナードさんも参加していたんですか?」
レナード「うん。でも僕、見ての通り容姿が女の子なんだ。」
シン「うん、確かに。」
レナード「そのせいで僕は、村中からイジメや迫害を受けたんだ。」
アウグスト「さっきもそう言っていたな。一体何故なんだ?」
レナード「皆、僕の中身を見ず見た目だけで判断して僕をイジメたんだ。幾ら頑張っても全然実力や中身を見てくれなくて・・・僕は痺れを切らして離れに暮らすお祖父ちゃんとお祖母ちゃんの元へ家出したんだ。」
マリア「酷い話ね。頑張っても努力を認めないなんて。」
レナード「僕はお祖父ちゃんに剣術を教えて貰ったんだ。」
アルバス「レナードは素晴らしい才能を持っている。そう確信して徹底的に鍛えたあげたんだ。そのお陰でワシと同等の力を身に付いた。そしてレナードが14の時に妻が亡くなった。そして15になったレナードと共に故郷を離れて世界中を旅したんだ。」
レナード「タクト達と会った時は、悲惨だったよ。」
シシリー「一体何があったんですか?」
レナード「僕の故郷の村が巨大な災害級に襲われて、村人達は全滅した。その後に村人達は未練を残した怨霊となって僕に取り憑いたんだ。」
アルバス「怨霊達はレナードに強い恨みを抱いていたんだ。『我々を見捨てた死神』、『何故お前だけが助かった』、『異端の癖に何故生きている』と。」
シン「ただの八つ当たりじゃないか。」
アルバス「ワシは苛まれ続けるレナードを助けようと、共に旅をしているゴーテルと凄腕の霊媒師等に依頼したが、恨みが強く祓えなかった。このままではレナードは栄養失調や精神崩壊を起こしてしまうと懸念していた。だがその時、タクト達が現れて、レナードに取り憑いてる怨霊達を祓ってくれた。あの時の恩は一生忘れんぞ。」
レナード「僕もだよ。助けてくれてありがとう皆。」
タクト「そんな水臭ぇよ。」
エイダ「そうだよ!私達はレナードを助けようと尽力を尽くしただけ!」
フェオン「良い仲間に恵まれてたんだね。」
レナード「うん。」
タクト「皆これからどうする?また一緒に旅を続けるのか?」
ゼオラ「いや、しばらくアールスハイド王国に住もうと思ってる。」
エイダ「ラドクリフ教に興味持っててね。」
レナード「僕も剣聖様って人に会ってみたくて。」
アルバス「だから、しばらくお世話になるぞタクト。」
タクト「ああ。歓迎するぜ。あそうだ、皆に大事な話がある。」
シン「何?」
タクト「実はドグラ・マグマにトドメを刺す時、奴は言っていたんだ。この世界中に力を残している。結託している闇の巫女が暗躍していると。俺達はそれらを倒す為旅に出るんだ。」
アリス「え!?」
タクト「すぐにって訳じゃない。色々準備や食糧の調達とか色々やらないといけないし。」
アリス「じゃあもしかして、魔法学院の卒業は?」
タクト「・・・名残惜しいが、皆だけでやってくれ。俺は陛下と交渉して早期卒業を申し出る。」
シン「タクト・・・分かった。」
アウグスト「ただし条件がある。生きて帰る事。忘れるな?」
タクト「勿論だ。」
エイダ「ねぇタクト。その旅、私達も同行して良いかな?」
タクト「エイダ?」
エイダ「私達は仲間でしょ?仲間の為なら何だってするよ!ね?お姉ちゃん!」
ゼオラ「そうだな。タクト1人行かせる訳にはいかない。」
レナード「僕も連れてって。」
アルバス「そう言う事ならワシも・・・」
レナード「ありがとうお祖父ちゃん。でも、僕1人で行くよ。僕はもう1人の大人。仲間のピンチを僕が助けるよ。」
アルバス「レナード・・・強くなったな。分かった。世界中の景色を見て来い。」
レナード「うん!」
タクト「フェオンはどうする?」
フェオン「決まってるわ。一緒に行く。今までタクトから貰った恩を返さないとね。それに、他の皆も行くかどうか話し合わないとね。」
タクト「ああ。その時は俺に連絡してくれ。」
シン「それじゃあ皆、来月には俺達の結婚式があるから盛大に祝ってくれないか?」
タクト「もうそんな時期か。よし、お前達を心の奥から祝福を与えるぜ。」
その1ヶ月後。アールスハイド大聖堂に全国民が今か今かと待っている。
女性「あ!」
男性「お見目えだぞ!!」
主役のシンとシシリー、アウグストとエリザベートが入場し、バージンロードを歩き、祭壇の前に立つ。
エカテリーナ「それでは只今より、結婚の儀を始めます。」
アルティメット・マジシャンズや親族や英雄が祝う。その中に戦士達にエイダ達に衛士隊、更にストラディウス一族や他の仲間達とエリザベートの両親の姿もある。
エカテリーナ「では、シン=ウォルフォード。汝はシシリー=フォン=クロードを妻とし、いついかなる時も・・・愛し合い、互いを支え合い、生涯を共にする事を誓いますか?」
シン「はい!誓います!」
エカテリーナ「この二組の若き夫婦に、神の祝福があらん事を・・・」
魔人騒動終結のムードが冷めやらぬ中行われたシン達の結婚式は予想以上の盛り上がりを見せ、これもまた国を挙げてのお祭りとなった。
シルバーと言う『奇跡の子』をシンとシシリーが養子として引き取るのを公表された事もその盛り上がりにより拍車を掛けていたのかも知れない。
魔人との最終決戦では失われた命も多かったが、シン達の結婚は『新たな出発』として国民が意識を切り替えるには良いタイミングになった様に思う。
こうしてシン達の結婚式は無事幕を下ろした。
結婚式から1週間後。
デリック「俺達は世界中の旅に出る。」
シン「また出るの?」
デリック「ああ。自分の戒めの為と、まだ世界中に魔物や魔人が蔓延ってる可能性があるからな。」
アウグスト「そうか。寂しくなるな。」
レオナ「心配しないで。国籍はアールスハイドだから。」
ロクサーヌ「もし帰って来たら色々お土産話してあげるから!」
デリック「じゃあ皆、またな。」
3人は世界中へ旅立った。
ダーム王国・王城。
ヒイロ「大方の予想通り、奴らは魔人共を殲滅し、今や世界中から英雄扱いです。」
アシム「お前から見て奴らはどうだった?」
ヒイロ「魔人以上の力を持った連中ですよ。脅威には違いない。と言うか俺は、端からウォルフォードとクリスティを信用していません。」
アシム「付与が施された武器の返却は各国で進んでいるのか?」
ヒイロ「残す所、後2・3ヶ国ってトコですね。ウチも含めて。なので『事』を起こすのであれば、他国の提出が全て済んだ時点がベストですかね。」
アシム「・・・分かった、もう良い。行け、後は余が自ら決める。」
部屋を出たヒイロ。アシムは何か焦っている様子。
アシム(世界から信頼を落とした我が国が再び認められるには・・・『何らかの脅威から世界を救った』と言う事実を作るのが最も手っ取り早い。まさしく奴らが魔人を倒し世界の信頼を得た様に・・・民衆の心など脆く移り変わり易いもの。英雄だろうと何だろうと、それが新たな『脅威』だと認識すれば途端に見方を変えるに決まっている。実際に戦争に勝利する必要などない。何か1つ民衆を動かす切っ掛けを作れれば・・・)
過去に故ラルフ=ポートマンが起こした失態を払拭するべく模索している。
部屋を出たヒイロが歩いている。
兵士「長官。お疲れ様です。」
ヒイロ「・・・なあ、1つ聞くが。1人の英雄と国家元首・・・どちらが”上”だと思う?」
兵士「上・・・と申されましても・・・大衆を動かせる意味で捉えるのであれば・・・国家元首かと・・・」
ヒイロ「・・・だよなぁ。(必要なのは『立場』と『力』だ。『立場』は近い内に手に入る。
一体彼は何を考えているのか。それは彼自身にしか分からない。
光か闇か・・・遥かなる時を越えた因縁の対決に決着の日が迫る。