ウルトラマンティガ THE ULTIMATE MAGICIANS 作:naogran
館のリゼッタ達を解放した一行は、ツスト王国へ訪れた。
タクト「ツスト王国に着いたか。」
レナード「ホテルに来る途中、3つの地区があったね。」
フェオン「私達が居るここが貴族達や裕福な人々が暮らしている上層地区。そして下の方は庶民が暮らしている中層地区。最後にホームレス達や貧困に苦しむ人が暮らす下層地区。わったわよね?」
タクト「ああ。しかも下層地区には金に苦しむ娘達が自分の体を売って金稼ぎする、所謂娼婦が蔓延っている。」
ミウ「娼婦。その人達の将来が心配ね。」
エイダ「確かに。稼いだお金で中層か上層に引っ越せば良いのに。」
タクト「そう言う人達は自分の体を売る事に病み付きになる事があるらしいんだ。まぁ中にはエイダの言った通り、稼いだ金で中層や上層に引っ越した娘も少なからず居るな。今は安定した職に就いてるって話だ。」
ジェシー「ねぇタクト君。彼処の公園行っても良いかな?」
タクト「公園か。行ってみるか。」
ジェシー「うん!ミウちゃん行こ!」
ミウ「え、ええ。」
レア「レアも遊ぶぞー!行くぞリナ!」
リナ「はい!何処までも付いて行きます!」
ツスト王国・大公園。
タクト「広いなぁ。」
イザベラ「はい。子供達が多くて賑やかですね。あの子達、何処の子達でしょうか?」
アンナ「1週間前に訪れた町の子供達と同じなんでしょうか?」
ゼオラ「確か上層地区には貴族が寄付をしている養護施設があると聞いたな。多分そこの養護施設の子供達だろう。」
少年A「わーーい!わっ!」
遊んでいた少年がレアの背中に当たった。
レア「おお?大丈夫か?」
少年A「う、うん。大丈夫。」
レア「遊ぶ時は気を付けろよ?」
少年A「ありがとうお姉ちゃん!またね!」
少年はレアに手を振って行った。
リナ「元気な男の子ですね。」
レア「ああ。」
一方のジェシーとミウは、1人の少女と遊んでいた。
少女A「ねぇお姉ちゃん。あっちでお飯事やってるの。一緒に遊んでくれない?」
ジェシー「うん!良いよ!ミウちゃんも遊ぼ?」
ミウ「え?迷惑じゃないかしら・・・」
ジェシー「折角誘ってくれてるんだもん!一緒に遊ぼ!」
ミウ「そ、そうね。」
夕方。
タクト「おーい!そろそろホテルに戻るぞー!」
レア・ジェシー・リナ「はーい!」
???「やぁ、あなた達ですか。」
タクト「ん?」
そこに1人の男性と複数の子供達がやって来た。
男性「この子達と遊んで頂きありがとうございます。」
タクト「ああ、さっきレア達と遊んでいた子供達の保護者か。」
フレドラン「私はフレドラン=マクスウェル。上層地区の養護施設を経営しているんだ。」
ゼオラ「もしや貴族が寄付している養護施設の事か?」
フレドラン「知っていてくれているのか。光栄だね。君達はこの国の人かい?」
ローラ「いえ。私達は旅をしているただの旅人御一行よ。」
フレドラン「そうか。この国は何日滞在を?」
タクト「あー、そこはまだ決まってない。」
フレドラン「なら、たまにでも良いからウチの養護施設へ遊びに来てくれないか?この子達から君達の話を聞いてね。もし良ければ。」
タクト「そうだな。観光も兼ねて遊びに行ってみるよ。」
フレドラン「良かった。この子達も喜ぶよ。そうだ、これを渡しておくよ。養護施設がある地図だ。」
1枚の地図をタクトに渡した。
フレドラン「それじゃあまた。」
彼は子供達と一緒に養護施設へ帰って行った。子供達はタクト達に手を振って帰った。
その日の夜。下層地区のスラム街。裏路地で謎の人物が地面に何かを弄ってる。
男性「ん?おい、そこで何してるんだ?」
不意に声を掛けられたその人物は、一目散に逃げ去った。
男性「何だあれ?」
不審に思いながら、その人物が弄っていた物を見に行くと。
男性「ひ、ひぃっ!?」
地面に1人の娼婦が血を流して倒れていた。
翌日。タクト達は上層地区のフレドランが経営する養護施設へ遊びに来ていた。
アンナ「いやぁ〜ん。子供達が多くて楽しい〜。」
少女A「アンナお姉ちゃん遊ぼー!」
レア「良いか?ここをこうすれば・・・ジャン!」
少年B「凄ーい!」
フェオン「皆楽しそうね。」
タクト「この養護施設ってアンタが始めたのか?」
フレドラン「いや、私の恩師が経営していたんだけど、1ヶ月前に病没して私が施設長になって経営しているんだ。ここの子供達は、中層地区の親を亡くした子供達と、下層地区で捨てられた子供達なんだ。」
ゼオラ「育てられた子供達は皆養子に出されたりとか?」
フレドラン「勿論。殆どは上層地区の貴族達の養子縁組になる事があるんだ。」
レナード「それは安心した。でも、下層地区の人達が何だか可哀想だね。仕事が見付からずホームレス、女性は娼婦となってお金を稼ぐしか無いなんて。」
フレドラン「下層地区の人達の事は陛下も重々承知しているんだ。近々下層地区の人達に福利厚生を与える計画が始まるんだ。」
ゼオラ「そうか。」
タクト「・・・ん?その右手は?」
フレドラン「右手?」
自分の右手を見る。掌に胼胝が出来ている。
フレドラン「あ、ああ。これは剣を握った時に出来たものでね。実は私、元騎士だったんだ。」
レナード「騎士!?凄い!今度剣術教えて!」
ゼオラ「レナード・・・」
フレドラン「あはは。構わないよ。胼胝があるからしばらくは無理かもだけど。」
”ドドドドド!”
タクト「ん?」
外から音が聞こえた。窓の外を見ると、数人の警備隊が乗馬で何処かへ向かっている光景があった。
ゼオラ「ツスト王国の警備隊か?」
フレドラン「何か事件か?」
タクト「・・・行ってみよう。」
下層地区に数人の警備隊が現着し、裏路地で殺された娼婦の死体を現場検証する。
警備隊員A「酷いなこれは・・・」
警備隊員B「かなり抉られてますね・・・」
そこにタクト、ゼオラ、レナードが駆け付けた。
タクト「何か事件か?」
警備隊員C「あ!ここは入ってはいけません!」
タクト「ここで何があったんだ?」
警備隊員C「実は、裏路地で娼婦が殺害されたと言う通報を受けまして。」
タクト「娼婦が殺害?」
レナード「殺人事件?」
警備隊員A「隊長。身元が判明しました。亡くなったのはメアリー=ウィンスレット。この付近の娼館で娼婦として働いていた女性です。」
警備隊長「被害者はこの近くの娼婦か。通報した人から犯人の特徴を聞き出せたか?」
警備隊員A「それが、目撃者の方から犯人は暗くて見えなかったと。それと、犯人は目撃者を見て一目散に逃げ出したと言っています。」
警備隊長「容姿性別は不明か。よし、このまま下層地区を全面捜査を開始する。何かあったら連絡を頼む。」
警備隊員A「はい!」
下層地区の全面捜査が行われる中、タクトとゼオラとレナードは下層地区を歩いている。
レナード「本当に貧しい場所だね下層地区。」
ゼオラ「まさにスラム街って訳か。それでタクト、遺体は見たのか?」
タクト「ああ。さっき透視で見たがかなり酷い有様だった。胴体が大きく切り裂かれた跡があった。血の量が少なかった事から、別の場所で犯行してから裏路地に捨てられたみたいだ。」
レナード「切り裂くって酷い・・・」
タクト「それとさっきから透視しているのだが、犯人らしき人物は見当たらない。別の地区へ逃げたと考える。」
夕方。ホテルに帰ったタクト達はフェオン達に下層地区の殺人事件の事を話した。
スズ「さ、殺人事件!?本当なの!?」
タクト「警備隊が下層地区へ向かうのを見て俺とゼオラとレナードで行ってみた。被害者はメアリー=ウィンスレットと言う娼婦。胴体には大きく切り裂かれた跡があったらしい。」
ナタリー「胴体が大きく切り裂かれた跡?それってさ、刃物を使い慣れた者の犯行なんじゃないかな?」
パドメ「一理ありですね。素人の人は力をいりますから。」
レナード「でも犯人らしき人物は見当たらなかったって。恐らく何処かへ逃げたか潜んでいる可能性があるんだ。」
ゼオラ「だから皆も私達も用心しておかなきゃ。犯人がここへやって来る可能性がある。」
エイダ「それは怖いね・・・」
フェオン「そうね。グレア達、何か異変を見掛けたらすぐ連絡して。」
グレア「分かった。任せて。」
ガルーダ「皆を犯人から守り抜いてみせるよ。」
そして8日後。新たな殺人事件が起きた。場所はまたしても下層地区のスラム街の裏路地。
警備隊員A「被害者はアニー=シャルロッテ。47歳です。」
警備隊長「この切り裂き、同一人物のようだ。」
更にその翌日。下層地区で再び殺人事件が起きた。
タクト「酷い有様だ・・・」
真っ先にタクトとゼオラとエイダとレナードが駆け付け、被害者の遺体を見る。
タクト「顔からして40代後半の娼婦だな。ゼオラ、名前は分かったか?」
ゼオラ「ああ。エリザベス=ガストンだ。」
遺体を調べた後すぐに退散した。その数分後の警備隊が到着し現場検証を始めた。
レナード「またしてもこの切り裂き方だったね。」
タクト「まるでジャック・ザ・リッパーだ。」
エイダ「ジャック・ザ・リッパー?」
タクト「俺の故郷で大昔にそう言う殺人事件があったんだ。複数人の女性を殺害し姿を消した。今もなおその事件は解明されず迷宮入り。その当時の人々がソイツをジャック・ザ・リッパーと呼んでいたんだ。」
エイダ「じゃあ今回の事件もそのジャック・ザ・リッパーによる犯行だったりするの?」
タクト「それは分からん。何しろ本物のジャック・ザ・リッパーは凡そ100年程前の人物。延命しているなんてありえないだろ。」
ゼオラ「ん?タクト、向こうから気配を感じる。」
タクト「何?行こう!」
別の裏路地へ行くと。
タクト「なッ!?」
エイダ・レナード「っ!?」
ゼオラ「これは・・・!!」
そこに胴体が開かれた無惨な遺体が転がっていた。
エイダ「これってまた・・・!?」
タクト「まさか同日に2件もの現場を見る事になるとは。」
ゼオラ「ん?身分証がある。キャサリン=ジャニルズ。この人も40代だな。」
タクト「・・・見ろ。体の一部と内臓が無くなってる。」
エイダ「え、ええ!?それってまさか・・・」
タクト「多分ジャック・ザ・リッパーが持って行ったんだろう。」
レナード「もう無茶苦茶だよ・・・・」
エリザベスとキャサリン殺害から2週間後。ツスト王国の警備局に犯人からの荷物が届いた。
警備隊員A「隊長!警備局宛に犯人らしき人物から荷物が郵送されました!」
警備隊長「何だと!?」
荷物の中を確認する。
警備隊長「ッ!?腎臓と・・・手紙か?」
中には被害者の腎臓と1枚の手紙。手紙には『捕まえてみろ』と言った煽りのような内容が書かれていた。
警備隊長「おのれ・・・!我々を侮辱していると見える・・・!」
警備隊員B「隊長。」
警備隊長「このまま野放しにする訳にもいかん!全隊員!下層地区全面を徹底調査しろ!!」
警備隊員達「了解!!」
しかし彼らはまた、新たな被害者を生み出す事になってしまった。
3日後。5人目の被害者が出た。フランシス=フェイルズと言う25歳の娼婦だった。
情報を手に入れた4人の精霊が急いでタクト達に報せた。
タクト「25歳の娼婦?」
グレア「うん。ここに来てから初めて若い女性を殺害したみたいだね。」
タクト「フランシスは何処で殺されたんだ?」
ガルーダ「フランシスは男性客から人気があって、唯一持ち部屋があったみたい。」
カサンドラ「なら外で殺された訳じゃないんですか?」
ゴーテル「そうなの。彼女だけ誰も居ない室内で殺されたみたい。そこで彼女は最も残虐な殺され方をしてしまったみたい。」
ティオ「大家さんが来た時には、目も当てられない程の光景が広がっていたみたいだよ。腹部に臓器はほぼ残っていなくて、心臓を持ち去られたようだよ。」
フェオン「な、何よそれ・・・酷いじゃん・・・」
ヒナ「殺害を重ねる毎にヒートアップしていますね・・・」
タクト「それで、犯人は見付かったのか?」
グレア「それが何処にも見当たらないの。一体どうなってるのか分からないよ・・・」
ゼオラ「私も探知魔法で犯人を隈なく捜したのだが、見付からず仕舞いだ。」
タクト「・・・まだ被害者が生まれるかも知れない。もう1週間様子を見よう。」
そして1週間が経過した。しかしジャック・ザ・リッパーは現れず、被害者は生まれなかった。
ツスト王国・上層地区の大公園。
ユリア「1週間様子を見ましたが、被害者はありませんでしたね。」
ドロレス「そうね。今の所被害者の数は5人だね。」
タクト「これで殺害されたのは、1週間前密室で殺害されたフランシス=フェイルズ含めて5人かぁ。」
エイダ「被害者の遺体、皆かなりグロテスクに殺られてたね。」
ローラ「しかも、被害者は皆仮想地区の娼婦。」
ガルーダ「でも妙だね。被害者が全員娼婦だなんて。」
フェオン「一体犯人は誰なのよ。」
イザベラ「うん。」
レナード「犯人は何で、殺害相手を娼婦達に定めてるんだろう?何か理由や動機がありそうなんだけど・・・」
ゴーテル「動機ねぇ・・・」
タクト「何しろジャック・ザ・リッパーは正体不明の殺人鬼。まずは正体を突き止めねえと話にならない。しかも奴は、殺害した娼婦の臓器の一部を警備局に送り付けた。完全に俺達を煽ってる。エイダ。今娼婦達は自宅謹慎になってるよな?」
エイダ「ええ。警備隊からの要請を受けて、一歩も外に出歩いていないよ。それに、娼婦達の家には常に警備隊と魔法師団が厳重に警戒している。」
タクト「そうなると、娼婦達の殺害は難しくなって計画が実行出来ない。」
スズ「も、もしかして・・・そうなったら次の殺害相手は・・・私達の誰かじゃないの・・・?」
シア「それは無いと思いますよ。私達神子には、気配察知魔法を常に使っていますから。」
タクト「・・・なぁ、あの娼婦達に何か共通点はあったりするのか?」
ユリア「え?」
タクト「何でもいい。街の人達から聞いた些細な事でもいい。何かあったりしないか?」
ユリア「共通点ですか・・・これと言って何もありませんわね・・・」
リナ「あ!実はこの前レア先輩と一緒に密かに貴族の男性から聞いたんですけど!」
タクト「何だリナ?」
リナ「噂ですけど、殺害された娼婦達は、ある1人の娼婦に恨みを持っていたと。」
ミウ「恨み?どんな恨みなの?」
レア「その娼婦は子持ちで、誰からも人気で慕われていて。月に金貨数百枚稼ぐ程だったそうだぞ。」
ティオ「もしかして、その娼婦は恨みを買われた被害者達に何かされたと?」
リナ「そこまでは分かりません。その娼婦は今何処にいるのか不明です。」
タクト「ん?レア、娼婦は子持ちって言ってなかったか?」
レア「え?ああ。言ったぞ。」
タクト「どんな子供なんだ?」
レア「それも分からん。会った事もないからな。」
タクト「・・・聞いてみるしかないな。エミリーとローラ、ゼオラとエイダ。俺と手分けして娼婦達に聞き込みをしてくれ。」
エイダ「任せて!」
ローラ「分かったわ。」
ゼオラ・エミリー「ああ。」
早速他の娼婦達に、子持ちの娼婦の聞き込み調査を開始した。
娼婦A「ええ。その人は娼婦達の中ではダントツで子供を授かっていました。」
タクト「その娼婦の名前は?」
娼婦A「アルテリアさんです。」
タクト「子供の性別は?」
娼婦A「お話だけですけど、性別は男の子でこの街の騎士隊に入団しているって聞きました。」
タクト「騎士隊・・・となると、息子は常に成人済み。何か特徴は?」
娼婦A「確か、右手に胼胝が出来てると。」
エイダ「アルテリアさんは今何処へ?」
娼婦B「それが、数ヶ月前に行方が分からなくて・・・」
エイダ「もしかして、誰かに殺害されたとか?」
娼婦B「いえ、その情報はありませんわ。」
ゼオラ「そうか。ありがとう。」
娼婦C「確かに被害者達は、アルテリアに恨みを持っていたのは確かです。」
ローラ「何か問題とか?」
娼婦D「ドレスを破られたり、嘘の噂を流されたりなど陰湿ないじめを受けてましたね。」
エミリー「相当恨みが深かったんですね。」
聞き込みを終えたタクト達が皆と合流した。
タクト「皆、どうだった?」
ゼオラ「アルテリアって言う娼婦が皆口々に言っていた。」
エイダ「彼女は数ヶ月前から行方不明になってるって。」
ローラ「恨みを買われたって教えてくれたわ。」
エミリー「陰湿ないじめを受けてたって言ってたぞ。」
タクト「・・・どれも同じか。」
ジェシー「じゃあさ、息子さんに話を伺いに行こうよ!何か分かるかも!」
タクト「それは大丈夫。グレアを通じてヒナに聞き込みに行かせておいた。」
ヒナ「お待たせしました!」
そこにヒナが戻って来た。
タクト「ヒナ。どうだった?」
ヒナ「息子さんについて聞き込んだんですが、息子さん既に除隊してるみたいです。」
タクト「除隊?何故?」
ヒナ「自主除隊です。それから息子さんは数ヶ月前に行方不明になっているらしくです。」
タクト「どう言う事だ?」
ジリオラ「もしかして、息子さんがあのジャック・ザ・リッパーなのかも!?」
タクト「いや、裏付ける確信がない。そうだ。殺害された娼婦と、まだ存命している娼婦を纏めてみた。」
聞き込み中に作成した娼婦のリストを見せる。
タクト「殺害された5人は赤いペンで書いてる。こっちの黒いペンで書かれてる2人の名前がまだ存命している娼婦だ。恐らく、奴が次に狙うのはこの2人だと思う。」
フェオン「今晩に狙われる可能性があるわね。」
レア「問題は、犯人をどうやって突き止めるかだな。犯人について特徴はなかったのか?」
ローラ「そこも聞き込みしたわ。唯一目撃者がいたメアリー=ウィンスレットさんの事件では、犯人は金色の指輪を嵌めていたと。」
ダイアナ「見付けたとしても、逃げられちゃう可能性があるもんね。」
アンナ「あの、おびき寄せる作戦が私にあります。」
全員「?」
その夜。人影が街中を走り回ってる。すると1人の娼婦を見付けた。娼婦は夜の街を歩いている。人影は娼婦の後ろに忍び寄り、大きく両手を振り翳した瞬間。
タクト「そこまでだ!」
人影「!?」
現れたタクト達が、その人物の周りを取り囲んだ。
ヒナ「もう逃げられませんよ!」
囲まれた人物がジャンプして逃げようとしたが。
イザベラ「えいっ!!」
蔦の魔法で捕縛され、身動きが取れない状態になった。
タクト「まさかアンタだったとは驚きだな。」
「養護施設の経営者。フレドラン=マクスウェル。」
フレドラン「・・・!」
イザベラ「フレドランさん!?」
フレドラン「くそッ!もう少しだったのに!」
タクト「残念だが、アンタが迫ろうとしたのは俺の仲間だ。」
フレドラン「何!?」
その娼婦がウィッグを取った。
アンナ「騙してごめんなさい。」
フレドラン「・・・!?」
タクト「因みに、迫ろうとしたメイリア=ブラックとカトリーヌ=フェンジルはここにいる。」
彼の後ろに、ナタリーとパドメに保護されてる娼婦2人がいる。
メイリア「フレドランさん、どうして!?」
タクト「アンタは嘗て、娼婦界隈で名を轟かせたアルテリアの息子で、汚職である事を関係なく自分を育ててくれた母を深く尊敬していた。しかし、今回殺害された5人の娼婦が自分の母を深く憎んだ。陰湿ないじめを繰り返された事をひた隠しにしながらアンタを養った。それからアンタは成人し、夢だった騎士隊に入団出来、生活に大きな余裕が出来た。所が数ヶ月前、突如アルテリアが行方不明になった。恐らくアンタは、母は誰かに殺されたと確信し、自ら除隊を申し出て、全財産を使って名前と国籍を変えて養護施設の職員として働き、施設長となって経営の仕事をしながら母の行方を探し続けた。」
フレドラン「・・・」
タクト「同時に娼婦そのものに強い恨みを抱いてしまった。そうだろ?」
フレドラン「・・・母は俺を養う為に娼婦として働く事になった。母は努力を積み重ね頂点に立って俺を大人になるまで養い続けた。陰湿ないじめに耐えながらずっと俺に愛情を注いでくれた。けどある日、俺を残して母は行方不明となった。俺は騎士隊を捨てて母を探す事だけを考えていた。けど母は見付からず、もう殺されたのかと確信した。確かにアンタの言う通り、母をいじめた奴らとアンタら2人。そして母を見捨てた娼婦と言う言葉に恨みを持った。」
カサンドラ「それであなたは、5人の娼婦を殺害したのですね?」
フレドラン「俺が娼婦を殺害?何の話だ?」
ローラ「惚けないで!あなたが娼婦達を殺した事は分かってるのよ!」
フレドラン「待ってくれ!俺は殺してない!信じてくれ!」
レア「往生際が悪いぞ?大人しく自白しろ!」
タクト「待て2人共!彼の言葉は本当だ。」
ローラ・レア「え!?」
タクト「フレドランはジャック・ザ・リッパーじゃない。」
フェオン「何ですって!?」
タクト「ジャック・ザ・リッパーの正体は別人だ。」
フェオン「で、でもフレドランはさっき娼婦に変装したアンナを殺そうとしたのよ!?」
タクト「俺がフレドランが娼婦を殺したなんて一言も言ってないぞ。」
フェオン「え?」
タクト「フレドラン。娼婦に何か聞きたかったんじゃないのか?」
フレドラン「・・・ああ。俺はアンタ達2人に、母の行方や目撃情報を知りかったんだ。俺はその為にここに来たんだ。」
カトリーヌ「アルテリアは私達にも分からない・・・」
メイリア「行方不明前日に会って以来見てないの・・・」
フレドラン「・・・そうか。すまなかった。紛らわしい事をして。」
カトリーヌ「いいえ、謝るのは私達だわ。ずっとアルテリアに憧れてたの。でもそれが、いつのまにか嫉妬になっていたのね。本当にごめんなさい!」
メイリア「殺されたあの子達の意思を含めて謝罪するわ。ごめんなさい!」
ゴーテル「これで誤解が解けて良かった良かった。」
エイダ「でもタクト、何で彼が犯人じゃないって分かったの?」
タクト「1人の娼婦から聞いたんだ。フレドランの特徴は、右手に胼胝がある。あれは騎士隊の時に出来たものだろう。恐らく剣を何度も振るった時に出来たものだ。胼胝ってのは骨の上に出来るものだから、何かを握るだけでも激痛が走るんだ。それに彼の左手は骨折してる為ギプスを嵌めてる。だから殺害不可能なんだ。」
エイダ「成る程ね。じゃあ本物のジャック・ザ・リッパーは一体誰なんだろう・・・それにアルテリアは何処へ消えたんだろう・・・」
タクト「それを今から証明する。イザベラ、放してやれ。」
イザベラ「はい。」
蔦の魔法を解除し、フレドランを解放した。
養護施設。
フレドラン「これが、母が愛用していたショールだ。行方不明となった日に忘れて行ったんだ。」
タクト「ありがとう。」
アルテリアのショールを受け取る。
フレドラン「それをどうするんだ?」
タクト「まぁ見てろ。ゼオラ、頼む。」
ゼオラ「ああ。」
目を瞑って、ショールから残留思念を探る。
ゼオラ「裏路地・・・1人の男・・・あっ!」
フレドラン「どうしたんだ?」
ゼオラ「フレドラン。落ち着いて聞いて。」
フレドラン「・・・ああ。」
ゼオラ「アルテリアさんは既に殺害されているわ。」
フレドラン「何・・・!?」
タクト「そんな・・・!」
ゼオラ「残留思念を探った所、殺したのは1人の男。恐らくその人がジャック・ザ・リッパーの犯人かも知れない。」
タクト「ヒナ。ゼオラの意識を介して犯人を探してくれ。」
ヒナ「分りました。ゼオラさん。」
ゼオラ「ああ。」
記憶をヒナに移し、ヒナが千里眼魔法で犯人の居場所を探る。
ヒナ「見付けました!娼館の裏路地に潜んでナイフ持ってます!」
タクト「マズい!急ごう!」
娼館の裏路地。
ジャック・ザ・リッパー「今回も誰を殺そうか・・・」
仮面を被ったジャック・ザ・リッパーがナイフを持ってる。
ジャック・ザ・リッパー「お。あの女だな。」
1人歩いている娼婦に近付く。
娼婦「っ!?」
ジャック・ザ・リッパー「次は貴様だァ!!!」
娼婦「いやああああ!!」
タクト「ドラァ!!」
ジャック・ザ・リッパー「グアッ!?」
真横からタクトの飛び蹴りを受けて倒れた。タクトの後ろにフェオン達が駆け付けた。
イザベラ「えいっ!」
蔦の魔法でジャック・ザ・リッパーを捕縛した。
シア「大丈夫ですか!?」
パドメ「お怪我は?」
娼婦「あ、ありがとう・・・」
タクト「追い詰めたぞジャック・ザ・リッパー。正体を現せ!」
ハンドスラッシュでジャック・ザ・リッパーの仮面を破壊した。
ジャック・ザ・リッパー「チッ!」
仮面が壊れ、素顔を明かした。痩せ顔で髭を生やした中年男性。
フレドラン「・・・!?」
ナタリー「それがジャック・ザ・リッパーの正体ね。あなたは一体何者なの?」
フレドラン「何でアンタが・・・!?」
全員「?」
するとフレドランが、衝撃の言葉を発した。
フレドラン「何で親父が!?」
全員「ええ!?」
タクト「お前の親父さん!?」
フレドラン「親父のルドルフだ・・・!」
ルドルフ「チッ・・・!」
レナード「ジャック・ザ・リッパーがフレドランさんのお父さん!?」
ジャック・ザ・リッパーの正体は、フレドランの父のルドルフ=マクスウェルだった。
フレドラン「親父!何でこんな真似を!?」
ルドルフ「決まってるだろ。この街の娼婦達に妻は誘惑され汚い娼婦になった!!俺が制裁を加えただけだ!!」
フレドラン「だったら何で母さん以外の娼婦を殺したんだ!!」
バルガス「娼婦になった妻。妻を誘惑した娼婦も同罪だ!俺から稼ぎ頭が居なくなって俺は多額の借金を背負った!お前達は俺の元へ帰らず順風満帆の人生を歩みやがったんだ!!俺の許可無しに人生を謳歌するのは赦さん!!」
フェオン「さっきから聞いてれば、クズな野郎ねアンタ。」
ルドルフ「っ!?」
フェオン「そんなに自分の人生を歩みたいなら自分が努力すれば良いじゃない。何でもかんでも人に頼るなんて、ただ自分が自堕落になっただけじゃない。」
ルドルフ「黙れ!!お前に俺の何が分かる!!」
怒りが爆発したルドルフが、蔦の魔法を力一杯千切った。
イザベラ「きゃあっ!!」
ルドルフ「俺をコケにしやがって・・・もう許さねぇ!!こうなったらお前ら諸共地獄に逝った娼婦共の所へ逝かせてやる!!!」
懐から黒い魔石を出した。
タクト「怪獣石!!」
ルドルフ「親切な商人がくれたんだ。お陰で死んでもコイツのお陰で生きているしな。」
タクト「死んでも生きている・・・!?お前まさか故人なのか!?」
ルドルフ「ああ。アルコール中毒で死んじまったみたいでな。だがこれを譲ってくれたお陰で人間と同じ形で生活を送れるようになった。それに俺は死んだ身だが、姿を自由に消せるから探知魔法にも引っ掛からないしな。」
タクト「そうか。だから見付けられなかったのか。」
ルドルフ「これでお前ら全員ぶっ殺してやるァーーーーーー!!!!」
怪獣石を自らの体に取り込み、強大な力を解放する。
ルドルフ「ウアアアアアァァァーーーーーー!!!!」
怪獣石の力によってルドルフは魔人となって巨人化し、足元の人間達を見下ろす。
フレドラン「親父!!!」
ルドルフ「ウオオオオオオォォォーーーーーー!!!!」
完全に理性を失ったルドルフが、街を破壊し回る。
人々「うわああああーーーーー!!!」
パニックになった人々が暴れるルドルフから逃げ回る。
タクト「親切な商人・・・ドグラ・マグマか。」
ゼオラ「完全に理性を失ってる・・・フレドラン、どうしたい?」
フレドラン「・・・親父はもう多くの罪を犯したんだ。それに親父はもう既に亡くなっている。頼む!楽にしてやってくれ!」
フェオン「うん!でもまずは皆の避難を!タクト!先に行って!」
タクト「分かった!」
ルドルフに向かって走るタクト。
フェオン「フレドラン!一緒に民間人の避難を!」
フレドラン「ああ!」
フェオン達はルドルフと一緒に下層地区の住民達を避難誘導する。
ルドルフ「ウオオオオオォォォォーーーーーーー!!!」
雄叫びを上げながら暴れ回るルドルフの前にタクトが立った。
タクト「ッ!」
スパークレンスの光を開放し、ウルトラマンティガへ変身した。
ティガ「タッ!」
ルドルフの前にウルトラマンティガが着地した。
ルドルフ「ナンダキサマハァァ!!」
ティガ「タァッ!」
ルドルフのパンチを躱したティガがルドルフの背中にマルチチョップを叩き込んだ。
ルドルフ「フンッ!」
しかしすぐにカウンター攻撃された。
ティガ「タァッ!」
マルチキックとルドルフのキックがお互い同時に受けて一瞬怯んだ。
ティガ「フッ!」
攻撃するルドルフの両腕を掴み。
ティガ「タァッ!」
そのままウルトラホイッパーで後ろへ投げた。
ルドルフ「グオオオォォーーーーーー!!」
ティガ「タッ!」
倒れたルドルフにティガがマウントポジションを取ってルドルフにチョップやパンチの打撃攻撃を与える。
ルドルフ「ジャマダ!!!」
ティガ「ドゥアッ!!」
マウントポジションを取っていたティガがルドルフのキックを受けて横に倒れた。
ティガ「フッ!!」
もう1度ルドルフの両腕を掴んで投げようとしたが、ルドルフの猛攻を受けてしまった。
ルドルフ「フンッ!!」
ティガ「ハッ!!」
巴投げされたティガだが、前方宙返りして着地した。
ルドルフ「ウオオオオォォォォォーーーーーー!!!」
怒りが増したルドルフがティガに魔法弾を連射する。
ティガ「ッ!」
魔法弾を避け続ける。
ティガ「タァッ!」
隙を見てルドルフにハンドスラッシュを放ったが、ルドルフが腰を逸らして避けた。
下層地区の避難誘導をしているフェオン達。
イングリット「彼奴、怪獣石の力で暴走している!」
アンナ「フレドランさん!私が援護に行きます!手伝って下さい!」
フレドラン「分かった!皆は後を頼む!」
2人は近くの塔の上へ駆け上がる。
ティガ「タァッ!」
ハンドスラッシュを放ったが、ルドルフが飛んで避けた。
ティガ「ッ!?」
ルドルフ「フンッ!!」
浮遊しているルドルフがティガを狙って魔法弾を連射した。だがティガが前転して避けた。
ティガ「ーーハッ!」
スカイタイプへタイプチェンジし、浮遊するルドルフを追う。
塔の上に着いたアンナとフレドラン。アンナがクロスボウにフレドランの剣を装填し、撃鉄を引くと魔石がクロスボウに装填された剣にチャージされる。
フレドラン「俺が合図をしたら親父を撃つんだ。」
アンナ「はい。」
上空ではティガとフレドランの空中戦が繰り広げられていた。ティガがハンドスラッシュで魔法弾を相殺させ、ルドルフに体当たりして墜落させる。
下層地区に墜落したルドルフが倒れた。ティガはゆっくりと地面に着地した。
ティガ「・・・・・」
倒れてるルドルフに近付いた瞬間。
ルドルフ「ウワアアアアア!!!!」
ティガ「ドゥアッ!!」
突然立ち上がったルドルフが建物の瓦礫を使ってティガを目潰しして怯ませた。
ルドルフ「ウオオオオオオオオ!!!」
ティガ「ドゥアッ!!」
目潰しされたティガがルドルフの魔法弾の直撃を受けた。
ルドルフ「ハハハハハハハハ!!!!」
高笑いのルドルフがティガにマウントポジションして首を締める。
ルドルフ「オマエカラシナセテヤル!!!」
右手に魔法を集めてティガにトドメを刺そうとする。
だがその近くには塔があった。アンナがルドルフに狙いを定める。
フレドラン「少し左。上。よし。今だ!!」
アンナ「はい!!」
クロスボウのトリガーを引いてチャージした剣を発射。
チャージした剣がルドルフの頸に刺さった。
ルドルフ「グオオオオオアアア!!??」
頸に剣が刺さったルドルフが苦しむ。
ティガ「タッ!!」
苦しむルドルフをティガが巴投げで退かせて立ち上がった。
ティガ「ッ!」
両腕を胸の前で交差させ、左右に伸ばしてエネルギーを集める。
ルドルフ「シネ!シネ!シネエエエェェェェーーーーー!!!!」
両腕から魔法弾を連射する。
ティガ「タァッ!!」
ランバルト光弾がルドルフの魔法弾と激突する。ランバルト光弾が魔法弾を押し返し、ルドルフに直撃した。
ルドルフ「イヤダ!!イヤダアアアアアァァァーーーーーー!!!!」
悲痛な断末魔と共にルドルフが消滅した。
ティガ「タァッ!!」
空の彼方へティガが飛んで行った。
翌日。フレドランは墓地へ行って母アルテリアと父ルドルフに花を手向けた。
イングリット「良かったのか?母ならまだしも、父親まで。」
フレドラン「せめてもの情けだ。あんな男だったとしても俺を育ててくれた父親だ。」
ルシア「これで終わったんだね。」
フェオン「ええ。」
フレドラン「・・・俺はもう悲しむのは止めた。ずっと悲しんでると、母に顔向け出来ないからな。」
タクト「そうだな。何よりアンタには、支えてくれる大切な人達が居るんだからな。」
フレドラン「・・・ああ。ありがとう皆。」
ツスト王国国王は、ジャック・ザ・リッパー討伐の報せを受け、下層地区の福利厚生計画を本格的に実施した。貧困に苦しむ下層地区の住民達に食事と賃金を提供。下層地区に新しい光が差し込んだのだった。
水谷麻鈴
八木侑紀
田所陽向
橘龍丸
枢要罪と呼ばれる8人の少女に拉致され、廃墟の館に軟禁されてしまったタクトとイザベラ。彼らはここで少女達から依頼を受ける。その裏で動く謎の影が。