ウルトラマンティガ THE ULTIMATE MAGICIANS 作:naogran
3ヶ月前。アールスハイド王国の治療院にシン、シシリー、タクト、ヒナが訪れた。
シン「ーーーと言う事がありまして、『特訓』と言う言い方だと倫理的にアレですけど、今後の医学発展の為にも是非協力して頂けないかと。」
神子「治療過程の患者様に危険が及ぶ訳ではないのでしたら我々としては問題ないかと。普段からシシリー様にはその技術を普及して頂いてますし・・・と言いますか。シシリー様の治療を希望されている方が今でも後を絶ちませんので、恐らく希望者が募れば協力して頂ける患者様はすぐに見付かるかと。」
この日、シンとシシリーは治療院で特訓をしに参った。タクトとヒナは2人のサポート役の為同行している。
しばらくすると、シシリーの治療を希望する患者達がずらりと長蛇の列が出来ていた。
シン「本当にすっげー来てくれた。」
タクト「皆シシリーを信頼している証拠だな。」
神子「次の方ー。診察室前でお待ち下さーい。」
今回の件で足を運んで貰ったのは『怪我人』を除く
シン(殆どがまあ、ただの風邪だな。)
タクト(けど患者達の風邪が治って良いんじゃないか?)
そして1人の女性患者が。
女性患者「ずっと前から・・・胃の辺りが痛くて・・・」
シシリー「・・・・」
身体検査魔法を使う。すると女性の体の真ん中から異物の反応が出た。
シシリー「シン君、タクト君、これは・・・」
シン「?」
タクト「どうした?」
2人が女性の異物を透視する。そこには、一回り大きな腫瘍があった。
タクト「見付けた!」
シン「腫瘍だ・・・!」
シシリー「これが・・・!」
タクト「ヒナも視えたか?」
ヒナ「はい。こんな大きい異物は初めてです・・・」
シン「失礼ですが、治療に立ち会っても?」
女性患者「は、はい。御使い様に診て頂けるなら本望ですが・・・そ、そんなに悪いんですか?私・・・」
早速女性患者をベッドの上で仰向けになって貰い、彼女の治療を始める。
シン「シャオリンさんの話を聞く限り、箇所は異なるが恐らくスイランさんの不調もこれが原因だ。細胞分裂の異状。これを正常に戻さなければならない。」
タクト「ここからはシシリーの仕事だ。ヒナ、サポートを頼む。」
ヒナ「分かりました。シシリーさん、行きましょう。」
シシリー「はい!」
すぐに女性患者の内部の腫瘍の浄化を始めた。だが。
シシリー「ダ・・・ダメです!恐らく私の『浄化』の魔法の精度が足りていません!腫瘍を・・・消し切れない・・・!!」
ヒナ「集中してシシリーさん。精度はシンさんとシシリーさんと私と然程変わりません。動揺せず落ち着いてイメージを作って下さい。」
シシリー「はい・・・!」
シン「悪性の細胞は時間の経過と共に周囲の組織へ広がってしまう。血液の流れに乗って体の別の箇所で巣食う事もあり得る。決して見逃さないで。」
タクト「存在する悪性の細胞を除去するんだ。1つ残らず。」
シシリーは懸命に治療を試みる。体に負担が掛かっても、ヒナのサポートを受けながらやり続ける。
シン(焦らなくて良い。シシリー、君になら必ず出来る。)
数時間後。遂に。
女性患者「凄いです!!さっきまでの痛みがまるで無くなってます!!」
見事腫瘍の除去に成功。女性患者は完治され、シシリーにお礼を言って治療院を出た。
シシリー「すみません・・・こんなに時間が掛かってしまって・・・他の患者さん達にも御迷惑を・・・」
神子「大丈夫ですよシシリー様!事情は私達で説明しておきましたので!」
タクト「よくやったなシシリー。」
シン「休憩しよう。」
シシリー「・・・いえ、大丈夫です。スイラン達を・・・世界で同じように苦しむ人々を治す事が出来ると分かったんです!やれますよ・・・私!」
シン「・・・・」
意気込むシシリーにシンは優しく微笑んだ。
タクト「けど1人で負担を抱えさせる訳にはいかないな。ヒナ、シシリーを手伝ってやってくれ。」
ヒナ「はい。お任せ下さい。」
その後はシシリーとヒナの二人三脚で患者達を治して行った。
そして現在。クワンロン・ミン家。スイランの部屋。
シシリー「シャオリンさん。この後お姉さんの全身を診ますが・・・念の為に確認します。お姉さんが特に異状を感じている箇所は、子宮で間違いないですね?」
シャオリンは無言で首肯する。苦しむスイラン。息を呑むユンハ。
シシリー「分かりました。では治療を開始します。数時間は掛かりますので、皆さん気を張り過ぎないようお願いします。」
まずはスイランの服を捲る。
シシリー「!」
腹部に1枚の呪符が貼られてあった。
シシリー(呪符。今でも発動して・・・見る限り病状は今まで診てきた人達と変わらない。驚いた・・・本当に2年近くもの間、呪符の力で病気の進行を止められるなんて。)
部屋の外ではタクト、シン、カサンドラ、リーファンが待っている。
カサンドラ「スイラン・・・大丈夫なんでしょうか?」
タクト「シシリーが必ずやってくれる。彼女を信じよう。」
リーファン「シン殿。本来なら貴殿は中で治療に当たって当然の身。気を遣って頂いてすまない。」
シン「俺なら大丈夫ですよ。それより、リーファンさんに聞きたい事があるんです。スイランさんに使用されてる呪符。あれってまさか、スイランさん自身が魔力を通して発動している訳じゃないですよね?」
リーファン「それは当然だ。別の者が発動させ、効果を持続させている。」
タクト「そこが肝なんだよな。『呪符は人の手を離れても効果は持続する』。俺達が知る限りそんな事が可能になる方法は1つしか思い当たらないんだよな。」
リーファン「・・・そう言う事か。ならば察しの通りだ。呪符は
シン「はぇ〜〜・・・成る程〜〜・・・」
カサンドラ「凄い・・・!魔石にそんな使い方があったなんて・・・!」
タクト「けど
リーファン「この地域は魔石鉱山で結構な量の魔石が採れるからな。エルスにいた時、市場での魔石の価格を見て驚愕したぞ。」
タクト「な・・・!?」
シン「魔石・・・鉱山・・・!?」
タクト(まさかクワンロンでは・・・)
”ワアアアア!!”
突如スイランの部屋から喜びの声が響いた。そして部屋のドアが開き、シシリーが出て来た。
シン「シシリー!スイランさんは?」
シシリー「無事治療は終わりました。」
シン「おお!」
タクト「それで治療結果は?」
シシリー「スイランさんには、もう呪符は必要ありません。」
部屋を見ると、シャオリンとスイランとユンハが嬉し涙を流し、シャオリンがスイランに抱き付いていた。
カサンドラ「良かった・・・」
スイランの治療が終わり、4人がリビングへ向かった。
シン「あー!お前ら〜!俺らがいない間にすっかり寛ぎやがって!」
アリス「シャオリンさんの家居心地良くてさ〜。床に座るの新鮮♪」
マリア「昨日は色んな意味で安心して休めなかったしね。」
フェオン「それよりさ、スイランさんは大丈夫だったの?」
タクト「ああ。もう心配ないぞ。」
シシリー「特訓の甲斐があって問題なく治療出来ました。今は部屋で体を休めて貰っています。」
アリス「良かった〜!まずは1つ安心だね!」
ヒナ「シシリーさん、ギュー。」
シシリー「ひゃっ!」
いきなりのヒナからハグされてシシリーが驚いて照れる。
ヒナ「よく頑張りましたね。ご褒美のハグですよ。」
シシリー「ヒナさん・・・」
レア「ヒナの奴、シシリーに懐いているんだな。」
タクト「完全にシシリーの保護者だな。」
トール「竜の取引については数日間様子を見た方が良さそうですね。」
ユリウス「仕方ないで御座る。」
アウグスト「まあどちらにしろ、行政府の許可も下りていないしな。」
タクト「そうだ皆。話したい事がある。」
アウグスト「どうかしたのか?タクト。」
タクト「待っている間、俺とシンとカサンドラがリーファンに聞いた話があってな。」
リーファンから聞いた魔石鉱山の事を皆に話した。
全員「ま・・・魔石鉱山〜〜〜〜!?」
案の定全員驚いた。
マーク「そ・・・それって魔石が大量に採掘出来るって事っスか!?」
タクト「そう言う訳だ。」
シン「少なくとも価値だけで言えば、西方より遥かに低いみたいだ。」
魔石鉱山の存在に全員がざわざわと驚いていると、タクトとシンの背後にウサマが現れた。
ウサマ「魔王は〜〜ん。タクトは〜〜ん。何やオモロそうな話してますなぁ〜〜〜〜。」
タクト「うわあ!?ウサマいつの間に!?」
ウサマ「それって安価で魔石が手に入るって話でっしゃろ〜〜!!ウチらからしたら大儲け間違いなしやないですかあ〜〜〜!」
シン「いやそりゃまあ。」
ウサマ(いや待て?竜どころか魔石もエルスで独占出来れば・・・)
悪巧みな顔をしていると、アウグストが目を光らせた。
アウグスト「全部顔に出てるぞナバル外交官。流石にそこまで好きにはさせられんな。」
ウサマ「やっ!!嫌やなぁ殿下。私そんな腹黒やありまへんで!!」
タクト・シン(怖ぇよコイツら・・・)
ユーリ「その前に疑問なんだけどぉ〜〜。それってつまり、この国は魔石生成の環境が整ってるって事ぉ?」
ウサマ「ああ。魔王はんが発見した高音高圧が生成条件って奴ですな?」
アリス「あれ?でもシン君って確か自分で魔石・・・」
以前シンが自分で魔石を生成した事を言おうとした時、マリアとリンとアンナに口止めされた。
リン(アリス!それは身内だけのトップシークレット!!)
マリア(個人が魔石生成出来るなんて話、世界に知られたらシンが何されるか分かんないわよ!!)
アンナ(ここは黙っていて下さい!アリスさん!)
魔石生成。これを知っているのはアルティメット・マジシャンズと極一部の者しか知らない。
オリビア「でもこの国ではそれすら然程の意味はないって言う事になりませんか・・・?」
シン「いやそれがさ、治療の後リーファンさんに確認したんだけど、この国って別に特別火山や断層が多いって訳じゃないらしいんだよ。」
陰で何者かがこの話を盗み聞きしている。
イザベラ「それって、魔石の生成条件が他にもあるって事ですか?」
シン「いや、
アウグスト「おいちょっと待て。まさか・・・この国では魔石生成が人工的に行われていると言う事か・・・!?それが魔石鉱山・・・!?」
タクト「概ねその通り。だがリーファンの口振りからして、そのシステムを構築したのはクワンロンの人間じゃない気がするんだ。」
アリス「??」
エミリー「それじゃあ一体誰がそんな事を?」
タクト「魔石を『希少価値のある物』として捉えている俺達からしたら辿り着き難い発想だ。
シン「呪符を始め、凡ゆる魔道具や武器。果てには兵器にまで使用出来る。そこまで見越して魔石量産のプロセスを構築出来る存在がいるとしたら・・・それはもう『前文明』に他ならないんじゃないのか?」
タクト「鉱山にあるのが直接魔石を作り出す装置。もしくは高音高圧を自然発生させる何かなのか。まぁこれは飽く迄俺達の見解だ。」
ナージャ「それって・・・クワンロンの人達は・・・」
アウグスト「少なくとも一般人は知らないはずだ。」
エミリー「『偶然魔石が沢山採れる鉱山がある』って程度の認識じゃないのか?」
皆が考え込んでいると。
シャオリン「あのー皆さん。」
全員「うわあああああ!?」
突然のシャオリン登場に全員が驚いた。
マリア「シャ、シャオリンさん!?」
アリス「い・・・何時からそこに!?」
シャオリン「え?今し方ですが・・・どうかされましたか?」
全員「・・・・・」
シャオリン「お姉様がお話をしたいみたいです。良ければ代表の方何名かお越し頂けますか?」
カサンドラ「・・・!」
シン「あ・・・ああ。じゃあ俺達とオーグと、ナバルさん辺りで。」
タクト「俺とフェオンとカサンドラも行く。」
マリア(ね、ねェ。今の話シャオリンさんに聞かれなかった?)
タクト、シン、シシリー、アウグスト、ウサマ、フェオン、カサンドラをスイランの部屋へ案内した。
スイラン「・・・・・」
彼女は先程苦しんでいた表情が嘘のように微笑んでベッドに座っていた。その横に1つの小さな宝箱らしき箱が置いてある。
シシリー「体を起こして大丈夫ですか!?スイランさん。」
スイラン「大丈夫です。自室までお呼びしてすみません。」
シン「無理はなさらず・・・」
タクト「ん?スイランさん、何処で西方の言葉を?」
シン「え?あれ!?本当だ!」
シシリー「シャオリンさんが不在の間、こちらで随分語学を勉強されていたそうです。」
タクト「って事はユンハさんも?」
ユンハ「はい。妻に付き合って勉強していたら私もすっかり覚えてしまいました。」
シン「あまりに自然で気付かなかったけど、そう言やさっきからユンハさんと会話してんじゃん・・・」
ユンハ「はは。」
スイラン「改めまして、シャオリンの姉ミン=スイランと申します。シャオリンの為に私の病気の治療の為に、このような遠方まで来て頂いた事・・・心より感謝申し上げます。」
ウサマ「気にせんといて下さい!我々も目的があってここに来てますよって!」
シン(・・・・・)
スイラン「存じ上げております。竜の素材とそれから・・・魔石の件ですね?」
シン・ウサマ(!!??)
ウサマ「んなっ・・・何でその話を・・・!?」
アウグスト「成る程。リーファン氏が西方に於ける魔石の価値を知っていたのなら、シャオリン氏もそれは同様のはず。つまり元々シャオリン氏は・・・我々を相手に魔石でも商売をするつもりだったのでは?クワンロンでの魔石の価値を知らない我々ならば、幾らでも販売額を吹っ掛ける事が可能だしな。」
シャオリン「・・・ご名答です。」
シン(スイランさんを治療した後の僅かな時間で魔石の件を姉に報告したって事か・・・)
タクト「待てよ?シャオリン達にとっての最大の誤算が分かった。リーファンだな?」
そのリーファンは無表情だが冷や汗かいている。
シャオリン「まさか彼が偶然そんな話をシン殿とタクト殿に伝えてしまうとは・・・まあでも、元はと言えば口止めをしていなかった私の責任ですね。」
スイラン「誤解なきように伝えておきたいのですが、シャオリンは決してあなた方を騙すつもりはありませんでした。私の教えに従って、商人の1人として・・・国にとって利益を生む選択をしただけなのです。」
フェオン「良いんですよ。私達は別に気にしてませんし。」
ウサマ「そうやそうや!んなモンな〜〜〜んも気にする事やあらへんがな。実際ウチらだって違いの魔石の価値を秘密にして安価で入手しようとしとった訳やし。商売人として何も間違ってへん。情でその辺左右されへんのは寧ろ優秀やろ?」
シャオリン「ナバルさん・・・ありがとうございます。」
ウサマ「いやいや。」
シャオリン「魔石に関しては諦めますが・・・その分竜の交易が許可された時はお願いしますね?」
ウサマ「はっはっはっ。お互い良い商売を実現させましょ。」
握手している2人だが、お互いの握手してる右手がギギギと強く握っている。
シン(やっぱ怖えーわこいつら・・・)
タクト(商人のプライドをモットーにしてる証拠だな。)
スイラン「魔石に関しては私共の商会に仲介役を任せて頂ければ、信用出来る業者をお探し致します。」
フェオン「魔石に関してはそれで良いけど、問題は中断している竜の交易の方ね。」
タクト「ああ。あのハオって男が問題だ。」
スイラン「ハオ。あの男は我々のような竜の取り扱いを禁止された商会がいずれ資金不足で力を無くした頃に、『竜狩り禁止』の法令を撤廃し、竜の素材による利益を独占するつもりなんです。」
彼女が語ったのは、ハオの計画。竜の素材を独占して利益を我が物にしようと企んでいるのだ。
スイラン「数年前、私が組合を作り竜の素材で利益を上げ始めた頃から目を付けられていたのでしょう。そして私が病に倒れたのを機に奴は企みを実行に移した。」
アウグスト「皇帝はその事を、奴の悪事についてどう考えておられるのだ?」
スイラン「あの方はまだ若いですがとても賢く堅実なお方。ハオの件に気付いていないとは思えませんが・・・奴が尻尾を出さない以上手を出さずにいるのかも知れません。」
タクト(ハオが証拠を残さない限り動けないって訳か。)
スイラン「この2人の間に・・・組合の仲間も随分減ってしまいました。職を変えた者。取り扱う商品を見直す為に組合を抜けた者。中には生活苦の為に国を出た者すらいます。彼らは一様に悔しがっていました。我々が苦労し成立させた希望の道標も・・・たった1人の欲望で根こそぎ奪われてしまったのだから・・・あなた達を異国の精鋭と見込んで・・・お願いします。どうかハオを打倒する為に力を貸して下さい・・・!!」
頭を下げて懇願するスイランに、シン達はそれを受け入れた。
シン「勿論です!俺達だって、交易を実現する為にここに来たんですから!」
スイラン「・・・ありがとうございます。」
タクト「さて、スイランさんの願いを受け入れた事で。そろそろ本題に入ろう。」
シン「本題?・・・ああ。カサンドラの。」
フェオン「カサンドラ。」
カサンドラ「あ、はい。」
そして遂に、カサンドラの件に入った。
カサンドラ「・・・あの、スイラン。」
スイラン「ゲルダ・・・いえ、今はカサンドラでしたね。」
カサンドラ「はい。・・・あの、あなたもシャオリンもどうして私をゲルダと呼んでいるんですか?私は一体何者なんですか?」
スイラン「私達は、あなたが死んだと思っていたのですが、妹から生きていると聞いた時は喜びました。」
タクト「死んだと思った?」
スイラン「カサンドラ。こちらへ。」
カサンドラ「・・・?」
手招きするスイランに、カサンドラが恐る恐る近付く。するとスイランが横に置いてある宝箱を持ってカサンドラに差し出す。
スイラン「これにあなたの答えがあります。」
宝箱を受け取るカサンドラ。
カサンドラ「宝箱?呪符もあります。」
その宝箱は呪符で閉ざされている。
スイラン「触れてみて下さい。」
カサンドラ「え?」
言われるがまま呪符に触れると、カサンドラのペンダントが光った。
タクト「カサンドラのペンダントが光った!?」
シン「どう言う事だ・・・?」
すると呪符の文字がペンダントの光と共鳴し光り、カサンドラが呪符を剥がした。
カサンドラ「・・・・」
宝箱を開けると、中に入っていたのは1枚の写真と3枚の呪符だった。
カサンドラ「写真?・・・え、これって!?」
タクト「何?どうした?」
カサンドラ「これ見て下さい!」
その写真をタクト達に見せた。
シシリー「・・・!!」
その写真は、家族写真だった。
スイラン「その写真は、昔の私達。幼い頃の私達が写っています。そのご老人は私達のお祖父様です。」
写っているのは、幼少期のスイランとシャオリン。ヒゲを生やした1人の老人。そしてカサンドラらしき猫耳の少女。
カサンドラ「これって、私・・・?」
スイラン「カサンドラ。あなたはお祖父様が呼び出した使い魔なんです。」
カサンドラ「え・・・?」
タクト「祖父さんが呼び出した使い魔・・・あ!カサンドラお前、もしかしてケットシーなのか!?」
カサンドラ「え・・・!?」
シン「ケットシーって確か・・・」
シシリー「本で読んだ事があります。猫の姿をした妖精の類だと。」
スイラン「私達のお祖父様は呪符の探究者だったんです。色々な呪符を研究したり、未知の呪符を開発したりなど熱心な方でした。そしてお祖父様が若い頃から長い年月を掛けて召喚の呪符を完成させました。」
アウグスト「では、その召喚の呪符でカサンドラを召喚したと?」
スイラン「はい。私達が小さい頃、両親は亡くなり唯一お祖父様が親代わりでした。完成させた召喚の呪符で、あなたを召喚したのです。」
カサンドラ「・・・・・・」
スイラン「私達はゲルダと一緒に遊んだり勉強などして楽しく過ごしていました。そして私達が10の頃になったある時、お祖父様がある物を完成させた後、ゲルダと共にクワンロンを発ちました。」
カサンドラ「そんな・・・何の為に私と一緒に・・・?」
スイラン「その答えが、その3枚の呪符にあります。」
カサンドラ「これですか?」
宝箱に入ってる2枚の呪符を取り出す。
カサンドラ「赤、青の呪符?ん?」
そして1枚の手紙も入っていた。
カサンドラ「手紙?」
その手紙をカサンドラが読む。
『ゲルダよ。お前がこの手紙を読んでいると言う事は、私はもう死んでいるだろう。私は予知の青い呪符でお前の未来を予知し、記憶喪失や新しい仲間や未知の戦いに臨む姿を予知した。そこで私は出発前にスイランとシャオリンにお前が帰って来るまで開けないように預けていた。お前が帰って来た時には宝箱に入っている赤の呪符に触れなさい。そうすればお前の記憶が蘇る。私が居なくても、お前はお前の道を進みなさい。お前と孫達の幸せを永遠に願っている。』
カサンドラ「この青い呪符で、2人のお祖父さんは私の未来を予知していたんですね。じゃあこの2枚は・・・」
まずは黄色の呪符に触れる。
カサンドラ「っ!」
黄色の呪符に触れた瞬間、カサンドラの脳内にフラッシュバックが走った。
スイランとシャオリンの祖父に召喚され、小さい頃の2人と遊び、一緒に勉強した記憶。そして2人の祖父と一緒にある物を造っていた事。祖父と共にクワンロンを発った記憶。祖父が創造の呪符で誰も寄せ付けない秘境を作り上げた記憶。その秘境で大蜥蜴に襲われた時、祖父が身代わりになって生き延び、途中で落石に巻き込まれたが一命を取り留めた。しかしその時の衝撃で記憶喪失になった事。
その全てがフラッシュバックとして走ったのだ。
カサンドラ「・・・・・・・」
そのフラッシュバックを見たカサンドラの目には涙が。
タクト「カサンドラ?」
カサンドラ「そうだ・・・私はゲルダ・・・2人のお祖父さんに召喚されて・・・その後記憶が・・・」
スイラン「思い出してくれたのですね。」
カサンドラ「スイラン・・・・!シャオリン・・・・!」
彼女は泣きながらスイランに抱き付いた。シャオリンもカサンドラを抱く。
カサンドラ「ただいま・・・・2人共・・・・」
スイラン「おかえりなさい・・・ゲルダ・・・」
再会を果たした3人が抱き合う。タクトとシンとアウグストとウサマとユンハとリーファンは微笑み、シシリーとフェオンが涙を拭く。
カサンドラ「・・・でもスイラン。私は今の仲間を放っておけない・・・どうすれば良いんですか?」
スイラン「ゲルダ・・・いえ、カサンドラ。あなたはあなたの道を進みなさい。あなたの人生に私達は反対しません。シャオリンも良いですよね?」
シャオリン「はい。」
カサンドラ「・・・ありがとうスイラン!」
その頃リビングでは。
アリス「あのさぁ。さっきからず〜〜〜〜っと家の周りをちょろちょろしてる害意を感じるんだけど。」
エミリー「じゃあ私がちょっと捕まえに行こうか?」
アリス「いやエミリー。ここは私達が捕まえるわ。」
スイランとの話を終えたシン達に刺客を捕えた事を報せた。
シン「刺客を捕えたぁ!?」
外に出ると、アリスとリンがロープで縛られている3人の刺客の前に立ってる。
タクト「何で分かったんだ?」
アリス「明らかに殺気出してたからさぁ。多分何にかは逃げちゃったけど。」
魔法に長けてるアルティメット・マジシャンズにとって索敵は朝飯前。
シン「さっき街中で跡を付けてた連中だな。」
アウグスト「最初の作戦が失敗したらここを襲撃するよう命じられていたのだろう。」
タクト「なぁ、お前らの雇い主はハオだな?」
3人の刺客は黙秘する。
タクト「簡単に割らないか。」
スイラン「ええ。彼らの口は堅い。この国にはこの国のやり方があります。我々が責任を持って、首謀者を吐かせましょう。」
町民達を率いたスイランが3人の刺客を見下ろす。刺客達は恐れ慄く。
その夜。皇宮では。
ハオ「工作員が・・・捕らえられただと!?ぐ・・・ぐぬぅ・・・!!や・・・役立たず共めが・・・!!」
刺客である工作員が捕まった事にハオが更なる怒りを募らせていた。
副官「・・・如何致しましょう・・・?」
その言葉が癪に障ったのか、ペン立てを持って副官に投げて怪我を負わせた。
ハオ「何が如何致しましょうだ!!!さっさとミン家から工作員共を引き取って来い!!連中が万が一口を割ったらどうする気だ!!!交渉所じゃなくなるぞ!!!その上もしその事実が皇帝の耳にまで入ったら・・・!!理解したのならさっさと行け!!!聞いているのか無能が!!!」
副官「・・・・・・」
あれから3日が経った。
シン「刺客は口を割ったのか?」
アウグスト「ああ。やはりハオの使いらしい。警吏を引き渡しても無効で始末される恐れがあるから倉庫に捕らえられているようだ。」
タクト「重要な証言者って事か。にしてもここ最近ハオの反応が一向に無いのが不思議だな。何かの口実を作って刺客を回収しに来ると思ってたのにな。」
アウグスト「まあどの道ハオがその事実を認めるとは思えん。まずは今回の交渉だ。」
だがこのクワンロンに予想外の危機が迫って来ていた。頭から血を流してる1人の兵士が馬に乗って門に入って来た。
兵士「おい!!門を開けてくれ!!緊急事態だ!!大量発生した竜が!!!付近の村を襲い始めてる!!!」
門番がすぐに門を開け、兵士を通した。すぐに他の兵士や高官、そして皇帝陛下に報せた。
その報せはミン家に滞在しているアルティメット・マジシャンズやシャオリン達にも入った。
竜の大群が無差別に村の人間達を蹂躙している。
松田修平
八木侑紀
水谷麻鈴