ウルトラマンティガ THE ULTIMATE MAGICIANS   作:naogran

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STAGE7「オクトパス号」

無事にクラウドとレインを救出したタクト達は、海の上を飛翔していた。

 

レイン「っ・・・っ・・・」

 

クラウド「・・・・」

 

ジェームスの小型船に乗せて貰ってるクラウドは、泣いてるレインを優しく抱擁する。

 

フェリ「・・・いいなぁ。」

 

マリン「信じられるかな?あの子がお父さんみたいになるんだよ?」

 

 

 

 

しばらく進むと、リッテンハイムリゾートが見えた。

 

ジェームス「お前達の街だ。全くとんでもない無駄足だったぞ。」

 

タクト「・・・なぁジェームス。俺達を船に乗せてくれるか?」

 

ジェームス「船長と言え!水晶石も持たないお前達を乗せて何の得があるんだ?」

 

タクト「勿論働く。」

 

レイン「イージアの本当の姿を、この目で確かめたいんです!」

 

ジェームス「・・・」

 

しばらく黙り込んだジェームスが口を開いた。

 

ジェームス「ふん。宝はいらないとかイージアの正体を確かめるとか。海賊船に乗るには動機が不純だよ。」

 

フェリ「お父さん!連れて行くの?」

 

ジェームス「ただし変な真似したらすぐ海に放り込むからな?」

 

タクト「承知!」

 

フェリ「やったー!掃除洗濯しなくて済むよ!」

 

アリーザ「皿洗いもだ!」

 

マリン「芋の皮剥きもね!イヤッホー!!」

 

アリーザ「ヤッホー!」

 

フェリ「ヤッター!!」

 

急に3人の娘達がはしゃぎ始めた。

 

マリン「あなたパンナコッタ作れるの?」

 

クラウド「うん・・・」

 

フェリ「私はね!アップルパイが好きなんだよ!」

 

アリーザ「私ね!えーと、えーとね・・・何でも食べる!!」

 

ジェームス「いい加減にしろ!!全く何時まで経っても子供なんだから・・・」

 

タクト「でもいいじゃねぇか。何だか楽しそうだし。」

 

フェオン「何だか小さい頃のイザベラを思い出すわねぇ。」

 

イザベラ「お姉ちゃん!その話は止めて!」

 

カサンドラ「お?フェオン、そのお話聞きたいです!」

 

フェオン「船に乗せて貰ったら教えてあげるわよ?」

 

イザベラ「もう止めて下さい〜!」

 

ソフィー「ウフフ。イザベラちゃん可愛いね。」

 

ヒナ「私達の癒し系です。」

 

ジェームス盗賊団の船に乗せて貰う為、リッテンハイムリゾートを遠ざかった。

 

ティオ「またお別れしなくちゃだね。」

 

レオン「あぁ。でも、俺達にはまだやる事がいっぱいあるからな。」

 

グレア「うん。イージアの姿とかも気になるし、それにアルニス軍の企みを阻止しなきゃね。」

 

 

 

 

 

 

巨大な岩陰から現れたジェームス盗賊団の船・オクトパス号。船尾が開き、そこへ小型船を格納する。

 

ジェームス「降りな!」

 

小型船を降りて下を見ると、床がガラスになっていた。

 

クラウド「あ!ガラスだ!一部だけガラスになってる!」

 

ジェームス「壊すんじゃないぞ。」

 

フェリ「グズグズしないで!狭いんだから。」

 

 

 

 

オクトパス号にタクト達が着地した。

 

タクト「ほう。これがジェームス一家の船か。」

 

グレア「あ。船名が書いてある。えっと・・・オクトパス号。海賊にぴったりな名前だね。」

 

ジェームス「2人共こっちだ。」

 

タクト「ん?」

 

ジェームス「ここへ入ってくれ。」

 

オクトパス号の船首にある部屋へ連れて行く。

 

フェリ「あなた達はこっちよ。」

 

タクト「あ、おう。」

 

イザベラ「私達に何をさせるんだろう?」

 

フェリ「レオン、あなたの持ち場はここよ。」

 

船の真ん中にある部屋。

 

 

 

 

そこには、船を動かす魔道具があった。

 

レオン「へぇ〜。凄い魔道具だな。」

 

フェリ「何処へ行っちゃったんだろう・・・祖父ちゃん!お祖父ちゃん!!」

 

下から1人の老人が出て来た。

 

レオン「うわっ!!」

 

フェリ「お祖父ちゃん!ホラ!欲しがってた助手だよ!」

 

祖父「デケェ声出すな!聞こえてるわい。」

 

工具を持って下に潜って、手招きする。

 

フェリ「気を付けて。お父さんより怖いんだ。無事を祈るよ。」

 

 

 

 

下に潜って、祖父の助手をする事に。

 

祖父「狭くて手が入らねぇ・・・」

 

レオン「この元栓だな?」

 

祖父「名前は?」

 

レオン「レオン。」

 

 

 

 

他の皆の持ち場は掃除と言う雑用だった。

 

グレア「何で私達が掃除役なのぉ?」

 

レア「レア達何か雑じゃないか!?」

 

フェオン「我儘言うんじゃないわよ。暇を潰せるだけ感謝しなさいよ。」

 

アンナ「そうだよ!」

 

ティオ「見て?汚れとか結構あるよ。」

 

タクト「んじゃ、オクトパス号クリーニング作戦開始!」

 

 

 

 

船首。ジェームスが地図に線を書いてる。

 

ジェームス「殆ど真東だな?水晶石の光が指したのだ。間違いないだろうな?」

 

クラウド「うん。」

 

レイン「私達の居た塔から日の出が見えました。」

 

クラウド「今は最後の草刈りの季節だから、日の出は真東よりちょっと南へ動いてるんだ。」

 

レイン「そして光は、日の出た海の左端を指したから・・・」

 

ジェームス「いい答えだ。そっちはどうだ?」

 

部下A「うんともすんとも反応しません。」

 

ジェームス「魔力封鎖をして行方を晦ます気だな?」

 

アリーザ「お父さん!ポセイドンの方が脚が速いよ!どうするの?」

 

ジェームス「俺達は奴らから100キロ離れてるんだ。貿易風を捕まえれば・・・」

 

手に取った算盤で計算を始めた。

 

ジェームス「これはね、アールスハイドの計算器だよ。風力が10・・・と。うん。何とかなりそうだ!」

 

伝声管のチューブを伸ばした。

 

ジェームス「皆!よく聞いてくれ!ポセイドンは既にイージアへ出発した!本船はこれより追跡を開始する!風を捕まえれば明日には接触出来るはずだ!奴を最初に見付けた者には金貨100枚を出すぞ!」

 

マリン『100枚!?』

 

ジェームス「イージアがどんな島だろうが、全うな海賊を慰めてくれる財宝位あるはずだ!さぁ皆!しっかり稼ぎな!!」

 

 

 

 

この演説を聞いた娘達と部下達が一斉に働き始めた。オクトパス号の帆が開かれた。

 

 

 

 

動力室。マリン達の祖父でジェームスの父のギルバートが魔道具を操作する。

 

ギルバート「それ!!」

 

レオン「よっと!!」

 

レバーを倒し、オクトパス号のスクリューが動き始めた。

 

 

 

 

ジェームス「進路98!速力40!」

 

 

 

 

オクトパス号が加速してイージアに向かう。

 

 

 

 

船首の部屋から出たジェームスがクラウドとレインを連れて、自室に入って亡き妻の服を出した。

 

ジェームス「レイン。その格好じゃ何も出来やしないぞ。」

 

今彼女が着てる白いワンピースの代わりを漁る。

 

ジェームス「これを着な。」

 

レイン「これは?」

 

ジェームス「妻の若い頃に着た服だ。」

 

 

 

 

外では。

 

フェオン「結構綺麗になったんじゃないかしら?」

 

ヒナ「結構疲れますねぇ。」

 

ジェームス「フェオン。」

 

フェオン「ん?」

 

ジェームス「お前達、料理は得意か?」

 

フェオン「えぇ。」

 

ヒナ「そうですが。」

 

ソフィー「どうかしたんですか?」

 

ジェームス「なら話は速い。一緒に来てくれ。」

 

 

 

 

オクトパス号の2階にある部屋。

 

ジェームス「お前達の持ち場だ。」

 

その部屋へフェオン達を入れてあげた。

 

 

 

 

その部屋は台所だった。しかもかなり汚れている。

 

フェオン「うわぁ・・・何よコレ・・・」

 

ヒナ「臭いが凄いですね・・・」

 

ソフィー「うぅぅ・・・」

 

ジェームス「食事は1日3回だ。水は自由に使ってくれ。」

 

ドアを開けて出ようとしたが。

 

 

 

 

マリン達「うわああ!!」

 

覗き見してたマリン達が転んだ。

 

ジェームス「・・・」

 

マリン・フェリ「エヘヘヘヘ・・・うわああ!!」

 

すぐに逃げ出した。

 

ジェームス「この馬鹿共が!さっさと仕事しないか!!」

 

 

 

 

台所。

 

クラウド「酷いな・・・」

 

レイン「・・・皆さん、まずは掃除しましょう!」

 

やる気を出したレインが腕捲りした。

 

 

 

 

 

 

1時間後。掃除を終えたタクト達は、少し広い船尾で模擬戦をしていた。

 

タクト「ハァッ!ヤァッ!チャァッ!」

 

カサンドラ「フッ!タァッ!トウッ!」

 

グレア「2人共凄いね。」

 

レア「前より激しさを増してるな。」

 

タクト「カサンドラ、前より強くなったな。」

 

カサンドラ「光栄ですね。でもまだまだ行きますよ!」

 

 

 

 

 

 

一方フェリは、1人台所へこっそり行ってる。

 

 

 

 

台所では、フェオン達が料理を作ってる。大きな鍋に具材を入れて煮込んでる。食器や壁は綺麗サッパリ。

 

 

 

 

フェリ「フフッ♪」

 

ドアにノックする。

 

レイン「はい。」

 

ドアを開けて台所に入る。

 

レイン「あ、ごめんなさい。ご飯まだなんです。」

 

ヒナ「船の台所って私初めてなんです。」

 

クラウド「ん?あの、何か?」

 

彼の顔を見て、フェリの頬が少し赤くなってる。

 

フェリ「良い・・・」

 

クラウド「え?」

 

フェリ「あ!いやいや!暇だから、何か手伝おうかなんてね・・・」

 

クラウド「あ、ありがとう!じゃあさ、その皿を仕舞ってくれる?」

 

フェリ「ヘヘッ。お安いご・・・!?」

 

そこには既にジェームスの部下がジャガイモの皮剥きをしていた。

 

フェリ「あなた!さっきお腹痛いって・・・」

 

更に今度は。

 

マリン「私暇なんだ!何か手伝・・・あ!」

 

フェリ「姉さん!?」

 

 

 

 

しばらくして殆どの女部下達もやって来て手伝う事に。

 

マリン「退きなさいよ!」

 

部下B「狭いわねもう!」

 

部下C「何がお腹痛いよあなた!」

 

アリーザ「ヤッホー!何か手伝おうかな・・・!え!?あーっ!!」

 

フェオン「もう五月蝿いわねぇ・・・」

 

 

 

 

 

 

夕方。ジェームスがギルバートの部屋で2人でチェスをしてる。

 

ギルバート「ジェームスも変わったな。ポセイドンなんかに手を出すとはな。勝ち目はないぞ?」

 

ジェームス「ふんっ。イージアの宝だ。無理もするさ。」

 

ギルバート「ヘヘッ。確かに良い子だぞあの子達はなぁ。」

 

ジェームス「何が言いたいんだ!このクソ親父!」

 

ギルバート「カタギに肩入れしてもよ、尊敬はしてくれねえぞ。」

 

ジェームス「どう言う意味だ!」

 

ギルバート「いやほら。チェックメイトだな。」

 

ジェームス「あれ!?」

 

チェス対決はギルバートの勝ち。

 

 

 

 

 

 

台所では、皆が夕食を頬張っていた。その中にタクトの姿はない。

 

クラウド「えっと・・・おかわりあるから。」

 

部下D「ん。」

 

クラウド「はい。」

 

娘達「おかわり!おかわり!おかわり!」

 

 

 

 

 

 

その頃タクトは、別の部屋で夕日を眺めていた。

 

”コンコン”

 

タクト「ん?入ってくれ。」

 

ドアを開けたのは、フェオンだった。後ろに皆が立ってる。

 

ソフィー「タクト君。ご飯持って来たよ。」

 

タクト「あぁ。すまないな。」

 

夕飯を食べる。

 

タクト「美味い。このビーフシチュー絶品だな。」

 

ヒナ「ありがとうございます。これ、フェオンさん達と一緒に作ったんですよ?」

 

タクト「成る程。何か病み付きになるな。」

 

ティオ「ねぇタクト。」

 

タクト「ん?何だ?」

 

ティオ「あのアルニス軍って、何者なの?タクトは知ってるの?」

 

それを聞いたタクトが手を止め、ビーフシチューをテーブルの上に置いた。

 

タクト「・・・彼奴らは、正規の軍じゃないんだ。」

 

カサンドラ「正規の軍じゃない・・・?」

 

タクト「奴らは元々民間人だが、軍を持たないアルニス王国で自らをアルニス軍を創設した。」

 

全員「・・・・」

 

タクト「その軍の指揮官のパスカル将軍は、イージアを見付けて乗っ取ろうとしてる。」

 

グレア「じゃあ、彼奴らの目的って・・・」

 

タクト「イージアの新たな王として君臨する。それが奴らの目的だ。」

 

フェオン「その為にイージアを・・・」

 

タクト「そうだ。」

 

レオン「それって誰から聞いたんだ?」

 

タクト「ジェームス達と一緒にアルニス王国へ向かってる最中に透視能力でアルニス軍の要塞を全て調べたんだ。そしたらパスカル将軍の日記を発見したんだ。」

 

エミリー「お前って、本当に色々持ってるもんだな。」

 

タクト「俺にはティガの力を持ってる。生身でもある程度使えるさ。」

 

グレア「ねぇ、話が逸れるけど。海の旅って久し振りじゃない?」

 

タクト「あー確かに。島を巡ったり海底都市とか色々。」

 

レオン「え?そうなのか?」

 

タクト「ああ。その時はカサンドラとティオ、リオとデイジー、それにナージャとケイティも一緒だった。」

 

 

 

 

 

 

その夜。マリンと女部下1人が船首から周囲を監視してる。

 

 

 

 

寝室では、女部下達がベッドの上で寝ている。タクト達は下で寝ている。

 

フェリ「おい、起きなさい。」

 

タクト「・・・?」

 

フェリ「当直の時間だ。これ使いなさい。寒いわよ。」

 

コートをタクトに渡した。

 

タクト「見張りか?」

 

フェリ「えぇ。」

 

 

 

 

その話し声を聞いたクラウドとレインが起きた。2人はジェームスの部屋で寝ていた。

 

 

 

 

フェリ「いやぁ〜寒いわねぇ。あなた上よ。」

 

タクト「おう。」

 

 

 

 

 

 

オクトパス号の上の見張り台。アリーザが体をブルブル震わせていた。

 

アリーザ「うぅぅ・・・・」

 

タクト「交替だ!」

 

アリーザ「あ、ありがとう・・・」

 

 

 

 

クラウドとレインは、ジェームスの部屋から出てタクトの元へ向かう。ドアを開けた音を聞いたジェームスが起きて、ドアの方を見た。

 

 

 

 

見張り台では、タクトが周りを見張ってると。

 

タクト「・・・ん!?」

 

下を見ると、クラウドとレインが梯子を伝って登って来てる。

 

タクト「クラウド!レイン!」

 

クラウド「やぁタクト・・・」

 

レイン「ごめんなさい。来てしまいました。」

 

クラウド「わぁ〜、広いなぁ〜。」

 

大海原が周りに広がっている。

 

レイン「・・・っ・・・」

 

寒くなったのか、レインが震えてる。

 

クラウド「寒いのか?」

 

レイン「うん・・・」

 

タクト「2人共、これ使え。」

 

コートを2人に被せた。

 

タクト「眠れないのか?」

 

クラウド「うん・・・」

 

レイン「暖かい・・・」

 

タクト「2人は後ろを見張って。」

 

クラウド「うん。」

 

 

 

 

その3人の会話を、ジェームスがたまたま開いてる伝声管で聞いてる。

 

 

 

 

レイン「タクトさん・・・」

 

タクト「何?」

 

レイン「私達、怖くて眠れないんです・・・本当はイージアなんか行きたくなかった・・・ポセイドンなんか見付からなければいいのにって思ってるんです・・・」

 

タクト「じゃあ!」

 

レイン「ううん、光の指した方向は本当。でも・・・」

 

タクト「あの人形の事か?・・・残念だったな・・・」

 

レイン「はい・・・」

 

クラウド「レインがお婆さんから教わったお呪いで、あんな事が起こるなんて・・・僕達、他にも沢山お呪いを教わったんだ。物探しのお呪いや、病気を治すお呪いや、絶対に使ってはいけないお呪いだってあるんだ。」

 

タクト「使ってはいけないお呪い?」

 

クラウド「亡びの呪い。良い呪いに力を与えるには、悪い言葉も知らなければいけないって・・・でも決して使うなって。」

 

レイン「それを教わった時怖くて眠れなかったんです・・・あの石は外へ出しちゃいけないものだった・・・だから何時も暖炉の穴に隠してあって・・・結婚式にしか近付けなかたったんです・・・お母さんも、お婆さんも、お婆さんのお婆さんも皆そうして来たんです・・・あんな石早く捨ててしまえば良かったかも!!」

 

タクト「違う!水晶石のお陰で俺達は2人に逢えたんだ!」

 

クラウド・レイン「?」

 

タクト「水晶石を捨てたって、イージアが消える訳がないもの。魔法の技術が進歩してるから、何れは誰かに発見されてしまう。けど、どうしたらいいか分からないけど、本当にイージアが恐ろしい城なら、マルクスみたいな連中に渡しちゃいけないんだ。それにさ、今逃げ出したらずっと追われる事になるんだぞ。」

 

クラウド「でも僕達の為にタクトを盗賊にしたくないんだ!」

 

タクト「俺は盗賊になんかならねえよ。ジェームスだって分かってくれるさ。見掛けより良心な心を持ってんだもの。全て解決したら、きっとアウラーへ送って行ってあげる。それに見たいんだ。2人が生まれた古い家や、谷やヤク達を。」

 

クラウド「タクト・・・」

 

レイン「タクトさん・・・」

 

 

 

 

会話の一部始終を聞いたジェームスが、笑みを浮かべながら伝声管を閉めようとした時。

 

タクト『何だあれ!?』

 

ジェームス「!?」

 

 

 

 

見張り台。

 

タクト「西の方!何か来る!」

 

西の方角から、霧の中から巨大な黒い影が徐々に大きくなっていってる。

 

タクト「ポセイドンだ!!西の方角だ!!」

 

 

 

 

全員が西の方角を見る。すると霧の中から大型戦艦・ポセイドンが現れた。

 

ジェームス「面舵逃げろーーーー!!!」

 

オクトパス号がすぐに逃げ出す。ポセイドンの魔法師団がオクトパス号に向けて魔力弾を一斉発射する。オクトパス号は東へ逃げ、霧の中へ潜り込んだ。オクトパス号を見失ったポセイドンが先程の霧へ入って行く。

 

 

 

 

艦内。

 

パスカル将軍「マルクス!何故追わん!逃すと厄介だぞ!」

 

マルクス「霧の中では無駄骨です。手は打ちます。どうせ奴らは遠くへは逃げません。航海は極めて順調ですよ。」

 

霧の中へ消えたポセイドン。

 

 

 

 

 

 

霧の中へ入ったオクトパス号の船首。

 

ジェームス「予想より針路が北だったか。タクト時間がない!よく聞きな!」

 

 

 

 

見張り台。

 

ジェームス『ポセイドンに振り切られたらお陀仏だ。お前は目が良い。見張り台だけ霧から出して追跡する。』

 

タクト「どうすればいいんだ?」

 

ジェームス『その見張り台は凧と船になる。中にレバーがあるだろ?』

 

タクト「これか!」

 

ジェームス『時計回しに回すんだ。』

 

見張り台にあるレバーを時計回しに回す。

 

ジェームス『フックが出て来たら上のレバーを回せば翼が開く。』

 

上のフックのレバーを回して翼を広げる。

 

ジェームス『その後ろに少し広い見張り台があるだろ?そこにフックで連結するんだ。』

 

タクト「此奴か。」

 

フックで後ろの少し広い見張り台に連結する。

 

ジェームス『クラウドとレイン!そこに居るな?』

 

クラウド「はい!」

 

ジェームス『お前達は戻って来い。』

 

レイン「何故?」

 

ジェームス『え?・・・何故ってお前達は危険だからだよ!!』

 

レイン「あら。私達は大丈夫ですよ。それに私達、山育ちげ目が良いんですから。」

 

タクト「お前ら?」

 

クラウド「お願い。タクトもそうしろって!」

 

ジェームス『・・・アハハハハ!!上がったら伝声管は使えないぞ?それにフェオン達がまだ起きてないぞ?』

 

フェオン「あら?呼んだかしら?」

 

ジェームス『っ!?』

 

ヒナ「先程タクトさんに呼ばれて来ちゃいました。」

 

既にフェオン達が後ろの見張り台に乗ってた。

 

タクト「それにジェームス。アンタの前を見ろ。」

 

ジェームス『前?・・・ん?何だこの星?』

 

タクト「小型通信機だ。これで遠くでも連絡出来る。」

 

ジェームス『何時の間に・・・用意周到だなぁ・・・』

 

タクト「ジェームス、準備出来てるぞ。揚げてくれ。」

 

ジェームス『よし、行くぞ!』

 

2つの見張り台が上昇した。

 

 

 

 

霧を抜けて上から見張る。

 

イザベラ「居ないですね・・・」

 

エミリー「霧が濃くて見えないなぁ。」

 

ジェームス『油断するんじゃない。前に居るとは限らないぞ。』

 

タクト「あぁ。」

 

すると突風が発生した。

 

クラウド「うわっ!」

 

レイン「キャアッ!!」

 

カサンドラ「ああっ!!」

 

タクト「しっかり掴まれ!!」

 

突風はすぐに止んだ。

 

ジェームス『どうしたんだ!』

 

タクト「突風だ!大丈夫!ちょっと煽られただけだ!このまま見張りを続ける。2人共怖いか?」

 

クラウド「大丈夫。」

 

レイン「私もです。」

 

タクト「少し荒れるが、頑張ってくれ。そうだ。」

 

異空間収納から数本のロープを出した。

 

タクト「クラウド、このロープを使え。」

 

クラウド「え?」

 

タクト「それでお前とレインの腰を縛って離れずにしてくれ。」

 

クラウド「分かった。」

 

タクト「お前らも使ってくれ。」

 

レオン「あぁ。ソフィー。」

 

ソフィー「うん。カサンドラちゃんも。」

 

カサンドラ「あ、はい。」

 

エミリー「ヒナ、絶対に離れるなよ?」

 

ヒナ「離れようにも離れられませぇ〜ん。」

 

イザベラ「結んだよ。お姉ちゃん。」

 

フェオン「ありがとうイザベラ。」

 

 

 

 

 

 

オクトパス号・船首。

 

フェリ「水銀柱がどんどん下がってるよ!お父さん!」

 

ジェームス「付いてねぇな。こんな時に時化るとは。夜明けまでは?」

 

マリン「後1時間!」

 

 

 

 

 

 

1時間後。徐々に夜明けがやって来た。

 

グレア「夜明けだよ。」

 

ティオ「あれ?タクト、可笑しいよ。」

 

タクト「何が?」

 

ティオ「夜明けが横から来るなんて。」

 

タクト「そうか!俺達は東へ進んでるはずだ!ジェームス!」

 

 

 

 

 

 

ジェームス「何!?北へ向かってるだと!?」

 

マリン「コンパスは東を刺してるよ!」

 

ジェームス「風が変わったんだ。流されて針路が狂ってしまった。」

 

レイン『見てあれ!!』

 

ジェームス「どうしたんだ!ポセイドンか!?」

 

タクト『霧だ!それも巨大な塊になってる!』

 

ジェームス「霧の塊?」

 

 

 

 

 

 

凧。

 

クラウド「こっちへ近付いて来る!!」

 

彼らが見たのは、全長10キロ程ある霧の塊だった。

 

タクト「・・・海の城だ。」

 

 

 

 

 

 

ジェームス「そいつは危険かも知れない!風に船を立てるんだ!全速力だ!!飲み込まれるぞ!!」

 

 

 

 

 

 

凧。霧の塊が徐々に迫って来てる。

 

タクト「かなり近付いて来る!!」

 

ジェームス『踏ん張れ!!収容は出来ない!!』

 

 

 

 

 

 

マリン「舵が動かない!!」

 

ジェームス「何時ものの馬鹿力はどうしたんだ!」

 

ギルバート『ジェームス!!動力が燃え尽きるぞ!!』

 

ジェームス「泣き言を嘆く暇があったら何とかするんだ!ん?霧から出るぞ!」

 

 

 

 

 

 

凧。

 

ティオ「皆!海だよ!」

 

フェオン「え!?」

 

下の霧が晴れ、オクトパス号が見えた。そしてオクトパス号も巨大な霧の塊を目の当たりにした。

 

ジェームス『巨人の巣だ!』

 

タクト「巨人の巣?これが・・・」

 

巨大な霧の塊の正体、巨人の巣と呼ばれる現象だった。

 

タクト「陛下の言った通りだ。あれは幻じゃなかったんだ。」

 

ジェームス『すぐそこに風の壁があるぞ!!』

 

マリン『お父さん!ダメ!飲み込まれちゃう!』

 

ジェームス『長女が簡単に諦めてどうするんだ!』

 

タクト「ジェームス!イージアはこの中だ!」

 

ジェームス『何だと!?』

 

タクト「陛下は巨人の巣と一緒にイージアを目撃したんだ!」

 

ジェームス『馬鹿な!入った途端何があるか分からないんだぞ!』

 

レイン「お兄ちゃん!彼処!」

 

クラウド「あっ!!」

 

 

 

 

 

 

オクトパス号の後ろにポセイドンが現れた。

 

 

 

 

 

 

ジェームス「ええい!このクソ忙しい時に来やがったか!!」

 

ポセイドンの魔法師団が魔力弾を連射した。オクトパス号が徐々にダメージを負って行く。

 

タクト『ジェームス!行こう!陛下が見た光景だ!陛下は無事だった!』

 

ジェームス「よぉし!行こう巨人の巣へ!ぐあっ!!」

 

だが魔法師団の魔力弾が船首に直撃し、更に船体と上の見張り台のワイヤーが破壊された。

 

 

 

 

 

 

タクト「何!?」

 

イザベラ「キャアッ!!」

 

ワイヤーが破壊されてしまい、霧の方へ流されて行く。

 

 

 

 

 

 

ポセイドン。

 

パスカル将軍「ん?」

 

オクトパス号が爆発した。

 

パスカル将軍「おおぉ!!やったぞ!!」

 

兵士「本艦も危険です!退避します!」

 

マルクス「このまま進め。」

 

兵士「え!?」

 

マルクス「光は常に霧の渦の中心を指している。イージアは霧の中にある。聞こえないのか?このまま進むんだ。必ず入り口がある。」

 

 

 

 

 

 

流されたタクト達は巨人の巣へ。

 

フェオン「このままじゃ私達バラバラになっちゃうわよ!!」

 

タクト「こうなれば!!」

 

スパークレンスを掲げて光を解放し、ウルトラマンティガへ変身して飛翔した。そして凧のワイヤーを掴んで飛行する。

 

ティガ「皆突っ込むぞ!!」

 

グレア「うん!!」

 

クラウド「皆掴まって!!」

 

レオン「おう!!」

 

そのまま巨人の巣へ入り込んだ。

 

 

 

 

 

 

巨人の巣では、霧にも関わらず、雷や雨などの気象が多発していた。ティガは凧を引っ張ってその気象を突っ切る。だが目の前に雷が直撃した。

 

ティガ「アアッ!!」

 

しかし諦めず突き進む。

 

ティガ「ッ!!」

 

進んでいくと、目の前に小さな光が見えた。

 

ティガ「出口だ!!」

 

その光へ直行する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨人の巣を抜けると、青い空と雲が広がっていた。

 

ティガ「ここは・・・ん?」

 

下を見ると、浜辺があった。

 

ティガ「よし、着地する。」

 

ゆっくりと浜辺へ着地し、光となってタクトに戻った。

 

タクト「何とか抜け出したな。っ!皆は!」

 

フェオン「タクト。」

 

皆は無事なようだ。

 

タクト「良かった。落とされずに済んだな。」

 

イザベラ「はい。」

 

ソフィー「でも、何も見えないよ・・・」

 

カサンドラ「ここは一体・・・何でしょうか?」

 

すると徐々に霧が晴れ、この場所の全貌が見えた。

 

タクト「これは・・・まさか・・・」

 

レイン「本当に・・・」

 

クラウド「これが・・・」

 

全員がその全貌に驚愕した。それは・・・

 

 

 

 

 

 

巨大な城の全貌が見えたからだった。

 

 

 

 

 

 

タクト「・・・ここが・・・イージア・・・」

 

クラウド「本当にあったんだ・・・イージア・・・」

 

『To Be Continued・・・』




次回予告

巨人の巣を抜け出し、遂に伝説の城・イージアを見付けたタクト達。そこには多くの秘密が残されていた。そして、裏で蠢く騒動が・・・

STAGE8・イージア

お楽しみに

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