かっこいいと言われるのは嫌。なのに付き合った   作:月島柊

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Life.5 変わった楓

 俺は学校に着くと、楓から距離を取って状況を見守った。朝だから、みんな俺がいることには気付いていない。

すると、教室から少し暴力で問題になったことがある、中学からの同級生、草花が出てきた。楓に近づいていて、何か体に触れていた。何をする気だろう。

 

「秋人?いたのか」

「あ、上西先生」

 

上西先生は横から話しかけた。

 

「楓がどうかしたか」

「気になることがあった」

 

上西先生は目を閉じて、耳を澄ませた。

 

「どうやら『まだ何もできない雑魚なの』とか言ってるな」

「なるほど。ありがとう、上西先生」

 

俺は車いすのタイヤを自分回して楓のところまで行こうとした。

 

「秋人、無理すんな。俺が押すから」

「すまん。楓のところまで」

 

上西先生と俺の仲だ。結構仲良く話している。それが良かったんだろう。

草花は俺が来たのに気付くと、作り笑顔をした。あきらかに良いことをした後ではないことは表情から分かる。

 

「草花、さっき楓に何してた?」

 

俺が聞くと、草花は衝撃のことを言った。

 

「黒山くんがかっこいいって話をしてたよ」

 

もう嘘ってことは分かってる。しかも、冷や汗が出ている。どうにかして言わせよう。

すると、上西先生が言った。

 

「汗だくだな。話しただけなのに」

 

上西先生が追い打ちをかける。

 

「なによ!楓をいじめるのが悪いって言うの!」

 

お、本性をだしたな。

 

『悪いだろ』

 

俺と上西先生が同時に言った。

 

「ほら、草花、早く行くぞ。教育室」

「は!?ちょっ」

 

草花は連れて行かれてしまった。あ、上西先生、車いすを押してはくれないんですか。

 

「秋人、押す」

 

楓は俺の車いすを押してエレベーターに歩く。

 

「秋人、ありがと」

「あぁ」

 

俺は親指を上に突き出す。グッドサインだ。

 

「優しい」

「そうか?まぁ、ありがと」

 

楓は一階まで俺を連れて行き、生徒会室に入れた。俺は車いすのまま黙っていた。

 

 家に帰ると、楓が補助してくれた。楓は俺にずっとべったりくっついていて、なぜかを聞いても「補助」と答えるだけだった。きっと好意なんだろうけど。

 

「楓、もういいよ。一人でできる」

「だめ。まだ補助する」

 

楓はぎゅっと俺を抱きしめると、ベットにゆっくり寝転ぶ。

 

「秋人、好き」

 

急にどうしたんだろう。

 

【木橋楓視点】

 

 私がリビングに行くと、コップに薄いピンクの飲み物が置いてあった。桃ジュースかな。私はそうだと思い、飲んでみた。

 

「楓ちゃん!?それ飲んだの!?」

 

私が頷くと、お母さんはふふっと笑った。

 

「今から秋人に会ってみなさい。きっと面白いことが起こるわ」

 

 

 こう言われて今に至るわけだが、なぜかとても秋人が好きになってくる。くっついていたい。一緒にいたい。好き。大好き。

 

「楓?お前どうしたんだ」

「なんか、好き」

 

私は秋人にべったり。離れたいって思えない。

 

「秋人……」

「楓……」

 

秋人は抵抗することなく、私に抱かれていた。抱き心地がいい。抱きまくら。

 

「秋人……抱きまくらみたい」

「なんだそれ。褒めてるのか」

「私は満足してる」

 

秋人は不安そうな、焦っていそうな顔だった。

 

「秋人、キスしたら怒る」

「怒らないよ」

 

楓は俺に口を近づける。

 

「秋人、楓ちゃんどうなってる?」

 

母さんが入ってきた。俺は楓から離れた。タイミング悪かったな。

 

「なんかべったりなんだが」

「惚れ薬飲んだからね」

 

なんて物飲ませたんだ。けど……

 

「ぎゅーっ、ぎゅーっ」

 

手を伸ばして俺にしがみつこうとする。普通にかわいい。このままで良いかもしれない。

 

「かわいい」

「あら、じゃあそのままでいい?」

「いい」

 

母さんは部屋から出て行った。楓は首を小さく傾げた。

 

「キャラ変わったな」

「ぎゅーっ」

 

手を伸ばす。俺はその手を握った。

 

「ぎゅーは?」

 

キャラが、がらりと変わった。前まで冷静と言うより無口だったのに、今は所謂「デレデレ」の感じになってる。口調も変わり、感情があるというか、疑問の時がハッキリしていた。

 

「手はダメか」

「うん。ぎゅー」

 

俺は楓に近づき、手を楓の後ろにやった。

 

「ぎゅーっ、すきぃ」

「分かったから。一回着替えさせて」

「離れないとダメ?」

「1分だけ。な?」

 

楓は渋々部屋から出て行った。楓はいつでもかわいい。天使だ。

 

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