それから1ヶ月、コンクールの日を迎えた。コンクール会場は自分が想像していたより大きかった。しかし、緊張はなかった。俺たちだったら、できる気がしていたから。
「先輩、あと1分ですよ」
「あぁ。金賞、取ろうな」
俺はももと約束した。
「秋人、頑張って」
楓が俺に言ってくれた。
「応援、頼むよ」
俺は楓に笑顔を見せて言った。
俺が学生として出る最後のコンクールだ。やってやろうじゃないか。
(コンクールの様子はいずれか投稿予定!お楽しみに!)
「それでは、各校の成績を発表いたします。金賞の場合、銀賞と区別するため、『ゴールド金賞』と発表いたします」
いつものフレーズ。
2つ前の学校は、「銀賞」。1つ前の学校は、「金賞」。
そして、俺たちの順番が回ってきた。ついに発表となるのだ。今まで頑張ってきたんだから、できるはずだ!
「上町高校吹奏楽部……」
記念撮影の時間だ。
俺たち3年生が下段となり、記念撮影が始まった。俺と楓は、生徒会長ということもあり、賞状を持って撮影することになった。
「もっと笑って!」
「笑えって言われても……」
こんな成績で、笑えるはずがない。
賞状の冒頭には、こんなことが書かれていた。
上町高校吹奏楽部 銅賞
告げられたときはかなりショックだった。銅賞なんて、賞の1番下だった。
「撮るよ!」
俺は作り笑顔をした。あぁ、最後が銅賞か。来年、ももたちは金賞を取ってきてくれるかな。
俺は記念撮影が終わり、足早にバスに向かった。
「先輩」
ももがそこにいた。
「もも……」
俺はももに、最後の約束をした。
「来年のコンクール、絶対金賞とってこいよ」
「はい。取ってきます。それで、先輩に見せます」
「そうか。楽しみにしてるよ。金賞の賞状」
こんな感じで、俺の部活人生が終わるなんてな。思ってもいなかった。けど、俺の足りない物は見つかったかもしれない。
「もも、来年こそは、満点だよな」
「はい!満点超えます!」
足りない物は、案外近くにあったのかもしれない。
「足りなかったもの、代わりに取ってきてよ」
「思いの欠片、ですか」
「……あぁ。代わりに、ね」
欠片はももが取ってくれるだろう。思いが、俺には足りなかった。楓への思い、部活への思い、賞への思い。
これなどが俺には足りていなかった。
「いやぁ、疲れた」
「先輩、変わりましたね」
ももが唐突に言ったしかし、すぐに意味は分かった。
「変わったよ。かなり」
俺はももの頭を撫でて言った。
「今度はももが変わって」
「……はい!」
今まで以上に気があった。