楓が好きすぎた。
ある日、俺は生徒会の仕事で、学校内の見回りをしていた。17時半を過ぎ、少しずつ暗くなってきていた。
すると、会議室奥の防音室のドアが閉まった音が聞こえた。こんな時間に防音室なんて行かないはずだ。俺はそのあとを付け、ドアに耳をつけて音を聞いた。
「君、付き合ってる人いるんだって?」
「……それが何」
「いやぁ、俺が──」
そこからはなんと言っているのか分からなかったが、楓がこう言ったのには気付いた。
「嫌!」
何があったんだろう。俺は続きを聞いた。
「そんなこと言うなって。ただするだけだろ?」
「絶対嫌!秋人がいる!」
俺が関連してるっぽい。俺は入ることにした。
「俺はいるよ」
楓はこっちを向くと、突進してきた。
「秋人!助けて!」
楓は今まで見たことが無いほど必死だった。
「ん?なにしてんの?弘人」
「え、あ、いや。楓と話をね」
「聞いてたけど、なんか嫌だとか言ってたよな」
「あの、ほら、あれだよ。手伝いとか」
言い方に違和感がある。特に、「あの」とか「え」とかの焦っているときの言葉。
「とかってなんだよ。それに、楓はよく手伝いするぜ」
きっとなんかあったんだろう。
「何した?」
「……」
黙るか。俺は久しぶりにイライラし始めた。
「黙るな。話せ」
弘人は俺に言った。
「楓を奪おうしたんだよ!」
俺はついに耐えられなくなり、怒りが爆発した。
「お前に興味ねぇだろ。バーカ」
「あ?そんなこと──」
「興味ないっしょ」
俺は楓の肩に手を置いて言った。
「楓は俺のだから。他の奴に渡さない」
俺は楓を連れて会議室を出た。全く、楓は俺のだっつーの。
「秋人、さっき」
「楓は俺の。それ以外の何でもないから」
俺は楓を連れて見回りを始めた。
18時頃、見回りが終わった。楓と一緒に最寄り駅から電車に乗って帰る。帰宅ラッシュ前の静けさといったところだろうか。各駅停車だけになり、座席が全て埋まる程度の混雑。
「座れないか、さすがに」
「うん」
俺は仕切り板に寄っかかった。少しでも楽な姿勢を維持したいからだ。
「私、秋人のもの」
質問してきた。
「“もの”って言い方が鼻につくが、まぁ、人」
「秋人のための人」
「そういうこと」
俺は楓を抱き寄せた。
「俺の近くに居て」
「いるよ」
相変わらずクールな返し。でも、なんとなく感情はこもっていた。
体育の授業になり、俺は脇でずっと休んでいた。楓がたまにこっちを見ると、微笑んで手を振ってくれていた。ほんのり頬を赤くして、ピンクになっていた。
やがて授業が終わると、楓はこっちに来た。
「おつかれ」
「ずっと見てたでしょ」
「あ、気付いた?」
「秋人の視線感じた」
俺の視線って他の人と違う物なのか?
「秋人、手繋いで」
「おう」
楓の手を俺は握った。
「次、秋人呼ばれてる」
「え、あ、行ってくる」
俺は仕方なくコートに出ていった。体育が嫌いなわけじゃないのだが、体育の授業だと力が出すぎて嫌だ。
「秋人、攻めていいから」
「分かった」
俺はバスケの試合を始めた。
結果は圧勝。みんなが詰め寄ってくると、丁度チャイムが鳴り、俺は駆け足で外に出ていった。
「待って」
楓が呼んだ。
「ん?」
「一緒に戻る」
「……仕方ないな」
俺は楓と一緒に教室に戻った。
みなさん、お久しぶりです。
今作品、かなりの期間が空いてしまいましたね。大体5ヶ月ほどでしょうか。
気付けば2022年になって、時間が経ちましたね。
失踪はしてないです。安心して下さい。この作品は忘れかけていましたが。
さて、次回はまた時間軸がずれると思います。恐らく休日とかに。
さ、終わりにしますか。