かっこいいと言われるのは嫌。なのに付き合った   作:月島柊

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Love. 3 日常

 

 生徒会室で俺が美山と仕事をしていた。唐突だが、いつもこれだ。

 

「美山、したの名前なんなの」

「楓花ー」

 

ふうか、か。

 

「ふーん」

「興味なさそうだね」

「あぁ。全く」

 

仕事に集中しているからだろう。会計報告も俺が全部やってるせいで、もう終わりそうにない。

 

「あ?なんか1万違う」

「どうせどっか忘れてるんでしょ」

 

おっかしいなぁ、ちゃんと確認したはずなんだが。

 

「あ、文化祭の装飾費」

 

168,00と入力する。合計で……

 

「12万7千650円で、前年度の余剰から来るから……」

 

前年度は2万8千円少なくなった。今年度の予算は13万。

 

「3万350円マイナスか」

「予算減らしていい気がするけどね」

「毎年13万って多すぎるんだよな」

 

このままだと余裕を持って12万円まで予算を減らしたっていい。

 

「1番かかってたのは?」

「文化祭運営費」

「何万?」

「6万」

 

正確には6万5500円だが。

 

「やっぱり予算減らしていいよねー」

「ま、あとは先生たちに任せよう。さ、俺たちは帰るぞ」

「はーい」

 

俺は生徒会室から出た。美山も後ろをすぐにつけてくるが、俺たちを取り囲んだのはとんでもない冷気。

 

「さむっ」

「会長、上着いります?」

「そんな呼び方しなくて結構。あと、いらん」

 

美山がブーブー言いながら歩く。楓のだったらいいが、美山のはいらん。

 

「今日って楓いないんでしょ?」

「ん?いないけど」

「じゃあ途中まで一緒に帰ろーよ」

「いいけど」

 

楓は休み。今日は来ていない。

 

「秋人ってさ、なんかハマってることとかないの?」

「無いと思う。楓がいればいいし」

 

楓、今元気かな。

 

「あーあ、私も彼氏作ろっかなー」

「それはお前の自由だろ」

 

俺は楓のことが頭の中から離れなかった。早く帰ろ。

俺はさっきより歩くペースを速めた。

 

「いい人いないんだもん」

「それを探すんだろ」

「勝手に寄ってこないかな」

「虫か」

 

俺は思わず言い返した。

 

「勝手にイケメンが寄ってきたら楽じゃない?」

「性格とかは」

「もちろんそれでも決めるよ?」

 

そうだよな。

楓ってどんな性格だろう……無口、クール……そのくらいか。

 

「そんなにいい人中々いないんだけどね~」

「クラスとかにいないのかよ」

「いても1人じゃない?」

 

同じクラスだが、結構いいやついそうだけどな。以外と中身がダメだったりするのかな。

 

「あ、楓ちゃん」

「あ、ホントだ」

 

楓は俺の方に歩いてきた。性格も性格だから手を振ったりはしないが、向かってきてるだけで天使のように見える。

 

「秋人、おかえり」

「ただいま。じゃ、また明日。美山」

「はーい」

 

俺は楓と一緒に家に帰った。同棲してから何ヶ月かな。そんなのどうでもいいんだけどさ。だって一緒にいれればいいんだから。

 

「手繋ご」

「珍しいね」

「さっき、美山さんと歩いてたから」

「嫉妬?」

「違うもん」

 

「もん」だってさ。かわいい。ちょっと俯きながら言ってたから図星だけど、かわいい。嫉妬してくれてるんだなぁ、楓。

 

「そう?じゃあ美山と手繋いでもいいのか」

「それはダメ。秋人は私のだもん」

 

また同じ言い方。

 

「やっぱ嫉妬じゃない?」

「むぅ……そうだけどさ……」

 

認めた。あっけなく認めた。

 

「ごめんね、楓。俺は楓のことを1番に思ってるよ」

「じゃあいい」

 

楓は俺と一緒に駅に向かった。手をつないでいるが、もう自然だった。

 

「体育祭何やる?」

 

南高校でやっている体育祭は冬に行う伝統がある。3年生の受験が終わったあとで、全員の気が楽になってからだ。なぜ冬なのかは知らないが。

北高校でやっていたときは春に行っていた。種目は基本的なものと、男子は棒倒し、女子はチアダンス。あとやってきたのは騎馬戦だろうか。男女共同で行う騎馬戦は評判がよかった。

 

「南高校と北高校の2つをトレードしたいな」

「うん。借り物競走とかってやってた」

「いや、やってない。騎馬戦ってやってたか?」

「ううん。じゃあ、この2つ入れたいね」

 

人気種目はやはり入れた方が良いだろう。

 

「あ、チアダンスは」

「みたいだけ?」

 

楓が言った。

 

「んなわけないだろ。北高校でやってたからだ」

「じゃあやる」

 

楓はスマホに入力した。まぁこれくらいだよな。

 

「あとは実行委員会やって採決取ってって感じか」

「うん。そういう感じ」

 

楓はスマホに入力し続ける。

 

「おい、前!」

 

楓は足下に気付かずに階段でこけた。俺は楓が離したスマホを片手で、楓自身をもう片方の手で支えた。

 

「大丈夫か」

「うん。ありがと」

 

俺はスマホを渡した。周りからは拍手が起こり、なんか照れくさかった。

 

 俺は電車から降りて、楓と分かれた。明日、また学校で会う約束をして。

 

 

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