翌日、休校中に、乱交していた人物は全員退学処分となった。人数はこの事態の前と比べて60%ほど減少。その他、東、西、南高でもそれぞれ0~5%ほどの減少はあった。
多くは男子生徒が退学処分となったが、一部女子生徒も退学処分となった。自分からしてほしいと願ったんだろう。
教員も例外ではなく、男性教諭一部が退職となった。これは全国のニュースで取り上げられ、投稿再開になった当日からマスコミが騒いだ。生徒会と先生で必死に止めていたが、結構長引いた。
退学処分になった以外の人も結構休んでいた。理由は多分言われるのが嫌だったんだろう。
「美山、大変だな」
「うん。このままじゃ、修学旅行も」
確かにそうだ。修学旅行が危うい。どうすればいいんだ。
楓はしばらく俺の家に泊まることになった。楓は今回のことに関して話し始めた。
「秋人、悪くない」
「分かってるさ。ただ、ね」
すっかり落ち込んでいた。修学旅行が無くなるのだから。
「私、どうにかする」
「どうするんだよ」
「全部仕切る。根拠出して無くならせない」
楓が強気だった。どうしてもなくしたくないんだろう。
「俺も手伝うよ」
「生徒会じゃないと」
俺は制服の中から生徒会長のバッジを取り出した。
「北高生徒会長の、黒山秋人だ」
楓は少し驚いた表情をする。しかし、すぐにいつもの無表情になる。
「じゃあ2人でやる」
「何からするんだよ」
「とりあえす今の意向聞きたい。校長に聞いて」
校長、いないんだよなぁ。教頭でいっか。
「教頭しかいないんだが」
「じゃあそれでいい」
俺はスマホを開いた。新しいメールが来ているかもしれない。
すると、そこにはこう書かれていた。
北高校の不適切な行動に伴う措置
北高校では先日、生徒と及び教員が不適切な行動をするという、あってはならない事象が発生しました。そこため、教員の人数確保、残った生徒の精神ケアを促すため、当分の間、オンライン授業とします。オンライン授業は、参加を任意とします。
生徒会については、南高の生徒会と合同で行います。
生徒会は南高と合同か。やれるだけいいだろうけど。
「楓、南高と生徒会合同だって」
「じゃあ明日一緒に通学」
「そうだね」
修学旅行は南高が主催で決められるかな。合同でやるんだったら。
「そうだ、秋人、私たち、一回でもデートしたっけ」
言葉の区切り方に違和感があるが、きっと聞くのが恥ずかしかったんだろう。
「ないね」
「じゃあ、次の土曜日デートする」
随分急な話の展開だったが。
「おう、分かった」
多分話し合いは明日、南高で行うんだろう。
俺は楓と一緒に家を出た。いつもより遅い電車になって、通勤ラッシュ真っ只中だった。
いつもはまだ間が少し空いている状態だったが、今日は全く違う。体の隅まで他の人とくっついている。
「秋人……苦しい……」
「学校に着くまでの間だけだから。我慢しよう」
楓は両手を俺に当てて、頬を俺の腹にくっつけている。
「秋人、ぎゅー」
無表情だが、頬がほんのり桃色になるのが見えた。無表情を貫きたかったが、多分耐えられなかったのだろう。
「する?」
楓はこくりと頷いた。
「ぎゅっ」
楓はピクリと動く。そして、力を極限まで抜いた。ああ、もう安心しきってるんだ。
「秋人、もう少し顔近づけて」
そ、それはいくら何でも……しかも電車の中だぞ?いや、見えないか?
「あ、こ、これでいいか?」
「うん。チュッ」
楓は唇同士をくっつけた。離すとして糸のようなものが垂れる。
「楓……」
「秋人……」
なぜから楓が色っぽく見える。何でだろう、ものすごく愛おしい。けど、耐えないと。
「秋人、耐えないと」
「分かってる。けど、あんまりいると……」
すると、もうすぐ最寄り駅というアナウンスが流れ始めた。結構理性ギリギリだった。
「秋人、修学旅行の計画一緒にしたい」
「え、あ、うん」
楓は静かに手を握った。そして、そこまま電車から降りた。北高はこの後徒歩だが、南高はバスになる。
「秋人、この時間女子生徒多いけどいい」
「ああ……いいよ。ただ、座れるんだったら楓の隣がいいな」
楓はこくりと頷いた。なんだ、そんなに恥ずかしくなかったか。
「生徒会長……と、北高の生徒会長?」
「うん。彼氏」
「ども、彼氏です」
楓は真っ先にバスに乗り、座席に座った。2人席だった。
「彼氏さんとはいつ知り合ったの?」
「満員電車の中で、ちょっと前」
懐かしいなぁ。そういえばたまたま俺が乗る号車変えたんだっけ。
「いいなぁ、私も彼氏ほしいーっ」
「いい相手見つかるといい」
「えへへっ、ありがと」
そういいながらも、楓はぎゅっと手を握っていた。そして、楓は小声で言う。
「がんばって」