かっこいいと言われるのは嫌。なのに付き合った   作:月島柊

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Heart.6 傷

「──ですので、北高との合同修学旅行は実施の方向で進めたいと思います」

 

楓の言葉を頼りに、俺は北高の方針を自信を持って話した。

内容としては、「北高のふしだらな行為については、無視できないことであるが、今登校している生徒には関係していないため、それを理解していただきたい。そして。前々から進めてきました計画であるため、予算面、タイミングから考えても、実施する方向でいる」と伝えた。

会議が終わり、俺は廊下に出た。角で曲がるところにある壁の前に辿り着き、曲がろうとした瞬間、俺は壁に押しつけられた。

 

「おい、さっきの会議でお前となんつった」

「え、あ、実施の方向で検討すると」

「その前だ!」

「あ、北高の乱交については今いる生徒には関係ない」

「それだ!何したかわかってんのか!?」

 

厄介な捉え方をされたか。一応誤解を解かなければ。

 

「何も関係していないということではなく、被害を受けていないという意味で──」

「言い訳は要らない!」

 

突然ナイフを取り出される。そして、俺に向けて刺そうとする。

 

「ほう、これでびびってんのか。まだ子供だな」

 

そう言うと、半袖だった俺の腕をナイフで斬った。

 

「っ!」

 

俺は声が出そうになる。ただ、声を出したらまた面倒なことになる。それだけは避けたい。

 

「そこ、何してるんだ」

 

そう言うことを話す声が聞こえると、俺を押しつけていた人たちは

腹部にナイフを刺したまま去って行った。

 

「黒山、大丈夫だったか」

 

北高の生徒会担当の上西先生だ。

 

「あ……」

 

声が思うように出ない。なぜだろう。

腕を見ると、赤い液体が重力に従って下に垂れていて、服に同じであろう液体が滲んでいる。そこに、さっき刺されたナイフがある。上西先生はそっとナイフを抜く。

 

「血が出てるな。南高の保健室を借りよう」

 

冷静な先生でよかった。俺は上西先生について行った。

 

 南高の保健室。というか、保健室は落ち着く感じがする。匂いもいい感じだし、何より静か。

しかし、今回は違う。苦しく、思うように話せず、事情を聞いてきても、上西先生が代わりに答える感じだった。分からないところは、上西先生が「はい」か「いいえ」で答えられる質問にしてくれた。それで、首を動かすだけで答えられた。

 

「ちょっと傷の状態見ますね」

 

保健室の先生は傷口を見てくれた。すると、黙って電話をし始めた。

 

 約10分後、救急車だかパトカーだか消防車だかのサイレンが聞こえた。だんだんと近づいてきて、1番大きくなったところで止まった。そして、金属同士があたる音が聞こえた。聞き慣れない音だ。

 

「状態は!」

「会話しづらい状態です!」

 

俺は水色のシートの上に寝かせられ、救急車の中へ。

 

 なぜだろう。目覚めたのは病院の中だった。点滴がなされていて、それまでの記憶はほとんどなかった。

 

(俺、どうなるんだ)

 

そんなことを思っていると、看護師が1人やってきた。

 

「起きましたか。よかった。退院は4ヶ月後になります」

 

4ヶ月か。そこまで長くないだろう。

 

「あ、はい」

 

いつの間にか話せるようになっていた。きっと治ったんだろう。

 

「あと、言いづらいんですが」

 

看護師は俺が頷いた後、深刻そうに言った。

 

「このまま何もしないと、余命は1年です」

 

 

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