かっこいいと言われるのは嫌。なのに付き合った   作:月島柊

9 / 18
Life.3 修学旅行

とうとう来てしまった修学旅行当日。来てほしかったが、少し来ないでほしいとも思っていた。

私は「修学旅行のレポート」として、カメラの持参を許可してもらった。レポートももちろんだが、秋人にも見せてあげたい。そんな気持ちだった。

13:50頃にホテルに着くと、ホテルの中に入った。1人部屋で、中は広々としていた。ここに秋人がいたと思うと、少し寂しい。

18:00からキャンプファイヤーがあり、まずはそれを収めないと。の前に、まずは部屋の写真。

 

「秋人、退院したら来ようね」

 

私はそう言って写真を撮った。

 

【黒山秋人視点】

 

 病院の生活は暇すぎる。毎日美人ナースと仲良く一緒に話しているが、安心してくれ。楓じゃない。当たり前だが。

それほど暇すぎるわけじゃないのか、美人ナースと話してるのは苦痛ではない。最近まで麻酔で眠っていたから苦痛になれてるのかもしれないが。

これが楓だったらなぁ。とつくづく感じる。

 

「秋人さんは趣味とかあるんですか?」

「無いですかね。無趣味です」

 

いかにも違和感がある会話。敬語だからだろうか。俺は相手が年上だから。相手は多分俺が患者だからだろう。

 

「あなたはあるんですか?」

「そうですね……旅行とかでしょうか」

 

旅行か。あ、そういえば

 

「修学旅行……」

「……行けなかったですもんね」

 

修学旅行、行きたかったなぁ。今頃バスの中なんだろうな。楓たちは。

 

「水沢さんは修学旅行の思い出とかありますか」

「思い出ですか?……特にないですね。結構無名な保健委員だったので」

 

保健委員ってそんなに目立たない委員会だっけ。目立つと思うけど。

 

「重要じゃないですか。保健委員」

「そうなんですけど、修学旅行は保健委員が別部屋だったので、そんな楽しめてないんです」

 

そんな事情があるのか……俺はもし行けてたら楓と2人部屋だったか……

 

「あ、秋人さん。お見舞い可能時期早めますか?」

「あ、なるべく。できればあさってあたりからお願いします」

「分かりました。楓さん、来るといいですね」

「え、けど分からないんじゃないんですか」

「それがですね、楓さん、毎日来てたんです。お見舞い」

 

会えるはず無いのに……無茶なことをするな、楓は。

 

「そうでしたか。だったら来ますよ。きっと」

「……どうしてですか?」

「楓は多分、俺のことを忘れてないでしょうから」

 

楓だったら来るだろうと信じていた。というか、来る。来なかったらどうするだとか、何も考えていない。

 

「そうですか。じゃあ、木橋さんの家に連絡しますね」

 

水沢さんは病室から出て行った。そういえばナースの名前、水沢さんだったな。自然に呼んでたかもしれないが、今更改めて気づいた。

 

「楓……」

 

俺は力の抜けた自分の足を見てつぶやいた。声も弱くなっているのだろうか。楓は、どういう反応をするんだろうか。

俺の中で、不安と期待が入り交じっていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。