ヤンデレはいくらでも需要あるだろうから今後も書いていきたい。
※トレーナーは男性という設定なので、お兄さま呼びです。
ライスシャワー。
トレセン学園に入学し、トレーニングを重ねては、菊花賞、天皇賞(春)などのGⅠで優勝を成し遂げた。
名前の由来は結婚式を終え、お米を教会から出てきた新郎新婦にシャワーのように振りかける儀式からきており、このウマ娘に触れる全ての人々に幸福が訪れるようにとの意味が込められている。
しかし、既にレースから引退した彼女は、気づけば俺以外の人物には目もくれなくなったのである。
このお話は彼女がそのようになってから数日のこと......
「ねぇ、お兄さま、好きだよ...」
とあるアパートの一室、俺はライスによってここに連れてこられてからずっとそんなことばかり言われている気がする。
正直愛してくれるのはとても嬉しい、けどここまでとなると少々怖いところもある。
「お兄さま、こっちを...ライスだけを見て...?」
「おはようからおやすみまで、ずっと...ずぅぅっと、お兄さまのお世話、してあげるからね...?」
「お兄さま...お兄さま...♡♡」
気がつけばライスには、当時の煌びやかさなどとうに消えていたのであった。
俺はこのままライスに支配され続けるのか。
しかし、今ここで隙をついて外へ出てもいずれは捕まるだろうし、そもそも外に出る余裕すら彼女は与えない。
何とかしてでも俺はこの状況からもう脱したいのである。
だって.......愛されるなら.............もっと普通に愛されたいから...................
きっと他のウマ娘たちだったらふつうに愛してくれるんだろうなぁ.........
そんなことを考えていただけなのに
「ねぇ、今誰を思い浮かべてたの???」
「ライスには分かるんだよ? 今、お兄さまはあんなことを考えてるとか、お兄さまは今こんなことをやってるとか...」
「お兄さまが好きすぎて...そうなったの...」
ライスが近寄る。正直もう終わったと思った。
その時だった。
ピンポーン。
「あ、はい!」
ライスが頼んでいた荷物が届いたようだ。間一髪セーフといったところだろうか。
それにしても荷物とは一体何なのだろうか。正直全く俺には分からなかった。
「え? この荷物が気になるの?」
「もう、お兄さまったらせっかちなんだから♡」
嫌な予感がした。きっともう死ぬんだ。
今まで本当にありがとう。
親にも、トレセン学園のみんなにも、そしてウマ娘たちにも。
数えきれないほど今まで色んな人に感謝をしてきた。
「遺書でも書かなきゃ...」
独り言のつもりでボソッと言ったのだが
「今、なんて言ったのお兄さま...?」
「ううん...! なんでもないよ...!」
「そうなんだ...」
「それは...?」
ライスは何やら左手に水、右手に"何か"を持っていた。
「これは、こうするの...!」
すると"何か"を急に水に入れ、それを俺に飲ませた。
もちろん抵抗などできなかった。
吐き出すことも許されないだろうから俺はそれを飲んだ。
そしてそのすぐあとにあの"何か"が判明した。
そう、惚れ薬だ。
そんなに俺に愛してほしかったのか。
そこまでしなくても俺はライスが好きなんだけどなぁ...
後日
ライスは買い物に行ったようだ。
当分は帰ってこないであろうと予測した俺は、遂にこのアパートから出ることを決意した。
正直どこに行くかはまだ決めてなかった。
トレセン学園だと絶対にバレるためとりあえず実家に帰ることにした。
こんなことで実家に帰ったと両親に言えばどんな反応するんだろうな...
「ただいまー...」
「お兄さま......?」
「...............................................................」
とりあえずは東京駅に着いた。ここから新幹線に乗って実家へ向かおうと思う。
正直もうライスは家に帰ってこの状況を理解しているだろう。
あとはどう上手く撒けるかだ。
「お兄さま...」
「そういうこと....なんですね......」
「○○トレーナーですか? いえ、この学園にはいないと思いますよ...?」
「そうですか...ありがとうございます...」
「お兄さま...トレセン学園にはいないんだ......」
「となると...............」
「なんとか着いたぁぁぁ...........」
実家だ。数時間前までいたあのアパートより古そうな一軒家である。
しかも外から見ると静かで、まるで空き家になっているんじゃないかとも思わせる雰囲気と化していた。
とりあえず俺はインターホンを鳴らす。
「さすがに、母さんか父さんのどっちかはいるよな...」
そのインターホンに反応したのは母さんであった。
「あら、○○じゃないの! お父さん!○○が帰ってきたわよ!!」
「本当か!!」
俺はなんとか家の中に入り、この事情を説明した。すると、
「そうなの...色々大変なことがあるのね」
母さんは軽くそう答え、父さんに至っては無言でウマ娘たちの試合を見ていた。
この人たちは人がここまで大変な状況に陥っているにも関わらず助ける気はないのだろうか...?
まぁこの状況を信じるやつなんていないだろうけど。
「ご馳走さまでした!!!」
実家に帰ってから、俺はお風呂に入り、ご飯もご馳走になり、あとは寝るだけとなった。
「あぁ...幸せだ...」
こんな日が送れるとはなんて素晴らしいんだろうか......
しかしそんなことを再度感じることは二度とこなかった...
目を開ける。
見知った天井。
けどさっきまで見ていた天井とは違う。
周りは静か。
誰かの歩く音がするだけ。
嗅いだことある臭い。
朝ごはんを作っている。
きっと母さんだろうか。
そう思いたかった。
そう思いたかったのに.......
「あ、お兄さま、おはよ♡」
目の前に現れた少女はウマ娘。
ライスシャワー。
どうやら、トレセン学園にいないと分かった直後、すぐ実家にいると予想がついたそうだ。
そしてトレセン学園にて、俺の履歴書をどういうことか入手し、そこから実家の住所を特定したそう。
そして、俺が寝ていた時に、惚れ薬とともに注文していた睡眠薬を飲ませ、より眠らせて、このボロいアパートに連れ戻されたのである。
「お兄さま♡ ライス、今後こそお兄さまとずっと一緒にいるからね♡」
凄く元気そうだ。
俺に会えてそんなに嬉しいんだろうか。
「ライス」
「どうしたの、お兄さま?」
「一度この手錠を外して、縄を解いてくれないか?」
「どうして?」
「どうしてもしたいことがある。絶対にもう逃げない! 約束する!」
「ほんと...? じゃあ...うん...」
そういうとライスは手錠を外し、縄を解いてくれた。
すると俺はすぐさまライスを抱きしめた。
「きゃっ♡」
「ライス、あそこまでしないでくれ、あそこまでしなくても俺はライスが好きだ」
やっと本当の気持ちが言えた。
とても幸せだ。
「お兄さま.......嬉しい.....ライス、嬉しい....!!!」
気づけばライスは泣いていた。
「トレーナーを愛した、孤高のステイヤー」はここにいた。