潰えた守り人   作:スタビ

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初めまして方は初めまして。そうじゃない方はお待たせしてすいません。スタビです
今回自分のメイン作品の「Aqoursとコート上の少年」が詰まってあまり進まなくなってしまったので、新しくシリーズを始めることにしました。
こっちはサブみたいな扱いになるので、更新は気まぐれです。
それではどうぞ


その0 プロローグ

「何の用だ。菊岡」

 

一週間の最初の朝という憂鬱なパターンに加え、何かと面倒ごとを持ってくる政府の役人に呼び出され、普段より割増しで俺は不機嫌になる。

 

「そんなに不機嫌にならないてくれたまえよ。諒くん」

「誰のせいだと思ってんだ」

 

軽く睨みつけながら言う。

 

「まあまあ。落ち着いてくれよ」

「まったく…で?要件はなんだ?こっちは忙しいんだ」

 

そう俺が聞くと、菊岡は軽く咳ばらいをし、眼鏡を整え、さっきまでとは違う真剣な顔で俺を見てきた。

 

「君にはある町に行って、その町のネットワークを整備してもらいたい」

「…それだけ?」

「ああ、それだけだが」

 

案外拍子抜けだ。菊岡はかなり無理難題のお題を出してくることが多かった分。

 

「意外だな。お前の口からそんな普通のことが出てくるなんて」

「君は何を想像してたんだい…」

「新しいVRMMOを構築したから、テストダイブしてくれとか言われるかと思ったんだよ」

 

実際過去に何度がそれで誘われ、ひどいめに合っている。

 

「過去にそれは言ったことがあるが…テストダイブは君の役目じゃないだろう?君はどちらかと言うとシステムの構築だろう」

「まあ…確かに」

 

俺はある事情で実際にプレイできない。いや、プレイ自体は出来るのだが、それはある条件付きになってしまう。だからそこは俺ではなく、あいつの役目だ。まあ…それであいつもかなりヤバい目に会ったのだが。

 

「で、その町ってどこなんだ?」

「穂織という町だ。名前くらいは聞いたことあるだろう?」

 

穂織。確かに名前くらいは聞いたことがある。割と有名な町だ。

 

「名前は聞いたことあるが…穂織に行って何すればいいんだ?」

「穂織はネットワーク自体は何年か前から整備され始めたんだけど、周囲と隔絶しているせいか、最適化が出来ていないんだ」

「なるほど。俺は現地に行ってそれを最適化してこいと」

「そういうことだ」

 

なるほどな。ただ何故俺なんだ?政府にもそういう庁はあるし、企業だっていくつもあるはずなのに。

 

「なんで俺なんだ?って言いたそうな顔してるね」

 

読まれた。顔に出ていたか?

 

「顔に出てたよ。まあその疑問を持つのも無理はないだろうね」

「そりゃ、企業だってあるし、政府にもそれを対応する所はあるはずだろう?なら、なんで?」

 

菊岡の顔が苦虫を嚙み潰したような、苦しい表情に変わる。

 

「…上は誰も動こうとしなかったんだよ、誰一人として。ある噂を忌み嫌って」

「…噂?」

 

噂…なんとなくだが悪い噂だということは分かる。それは菊岡の表情が物語っている。

 

「犬神憑きの里。イヌツキだと忌み嫌われている。それを恐れているんだろう」

 

イヌツキ…いわゆる呪いの一種だ。ただ、俺は呪いというものは信じていない。この科学が発展した世にそんな摩訶不思議なものはないというのが俺の考えだからな。

 

「へえー…まあいいよ。俺でいいんなら穂織に行く。どうせ拒否権なんてないんだろうしな」

「いやいや、流石に本人の意思は尊重するよ。けど、助かった。ありがとう諒くん」

 

菊岡は綺麗にお辞儀をしつつ、感謝の言葉を言ってくる。なんか…

 

「お前に素直に礼を言われると、なんか気持ち悪いな」

「ひどくないかい!?君の中で私の評価はどうなってるんだよ」

 

そりゃあ、言うまでもない。

 

「いつも面倒ごとを持ってくるヤバい役人」

「君には遠慮というものがないのかい!?」

 

そんなもんとっくのとうに捨てたわ。あいつだって大体同じように言うだろう。

 

「まあ、それじゃ詳細は後で送るから。よろしく頼むね」

「あいよ。じゃあ帰るわ」

 

踵を返し、部屋のドアに手をかけた時、一つ言い忘れてたことを思い出した。

 

「報酬は弾ませろよ?」

「え?」

 

菊岡の困惑した顔を尻目に部屋から出て行った。

 

 

──────────────

 

 

その後、菊岡からメールが来た。それには仕事の詳細が書かれていた。まず期間はおよそ半年。進行具合によっては短くなったり、長くなったりするようだ。そして内容。ネットワークの最適化と発展情報技術、いわゆるVRやARかきちんと機能するかどうかの確認。出来ないのであればそれの構築。なんともまあ…

 

「ブラックというか、学生に頼むことではないだろ」

 

そういえば言ってなかったが俺はまだ学生だ。一応プログラミングとかが学べる情報系の学校に通っている。そこで1つのしがらみが発生する。向こうに仕事で行っても、家はどうする、食費などの雑費はどうする、そして単位はどうする。学生だからそういうところが気になってしまう。

 

「ん~…どうするかあ」

 

何案か思索しているときに、開いていたパソコンから、ポーンという新しいメールが入ったことを知らせる音がした。

 

「何が来たんだ?」

 

メールを確認する。送信主は菊岡。件名に追記と書かれている。住む場所は穂織の旅館に話をつけておくので心配しないくてもいい。その他の雑費についてもこちらから支給しよう。学校の単位は向こうの学校で通った分取れるようにと話をつけておくので安心してくれたまえと書かれている。意外と良い待遇だな。

 

「まあ、それなら心配はないか」

 

とりあえず気になることは全部消えた。

 

「しかし…なあ」

 

ここ数年で環境が一気に変わりすぎな気がする。今回は半年っていう期限付きではあるが穂織に居を移すし、少し前には菊岡のプロジェクトに参加させられるし、数年前はあの鋼鉄の城の最前戦で戦った。最後は離脱したけど。

 

「まあ退屈はしないな」

 

次はどんな物語を送るのだろうか。少し期待している俺がいる。ただ少し、ほんの少しだけど何か胸騒ぎがしていた。

 

 




いかがでしたでしょうか?読んで頂いて分かったと思いますが、SAOとのクロスになっています。それに伴って穂織の科学技術の発展度を少し上げてみました。原作もスマホ程度はあるようですが。
主人公の軽い設定を載せておきます。
では、次回もよければどうぞ
主人公:神谷諒(かみやりょう)
東京にある情報系の学校に通う現役学生。かの茅場晶彦に匹敵すると言われている天才プログラマー。プログラミングだけでなく、他の分野にも精通しており、依頼も多い。かつてSAO事件に巻き込まれ攻略組のプレイヤーとして最前線で戦っていたが、事件や仲間の不幸により終盤には離脱。そのトラウマを抱えている。

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