潰えた守り人   作:スタビ

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ええー…お久しぶりでございます。2週間ぶりくらいですかね。待っていた方いらっしゃればお待たせしました。あとがきの方に詳しくは書くので、とりあえず
その17、どうぞ


その17 初登校

「ふぁ~…あ」

 

最近やっと馴染んできた新たな俺の部屋で目覚める。昨日の仕事は割と大変だったから、少し早めに寝ておいてよかった。昨日の疲れはなく、目覚めもいい。

 

「さて…リビングに行こ」

 

 

 

 

「なんか不思議な制服だな」

「前通ってたところとは全然違う」

 

朝ごはんも食べ終わり、今は学校に行く準備をしている。今日が初登校だ。

 

「学ランとかしか着たことないから違和感が凄いや」

「そうだな。俺もずっとブレザーだったからこういう…着物みたいなのは初めてだ」

 

将臣に同意しながら、細かく身支度を整える。穂織の制服はさっき言った通り不思議で白いYシャツまではあまり違和感がないのだが、Yシャツの上に納戸色の上着を羽織り、体の前で結んで止めている。…なんだか、よく似ているなあれに。

 

「よく似合ってるよ2人とも」

「ありがとうございます」

 

安晴さんに褒めてもらう。なんだか照れ臭い。

 

「しかし懐かしいねー、その制服。昔を思い出すよ。むしろ僕は2人みたいに学ランやブレザーの類のものは着たことがないんだよね」

「安晴さんはずっと穂織にいたんですか?」

「いや、一度神主の勉強をするために大学に通うために外で出たよ。けどそれっきりかなぁ」

 

となるとだいぶ前だろうな。神主の勉強のためか、もう継ぐことが決まってたのか。

 

「神社を継ぐことはもう決まっていたんですか?」

「そうだね。あの子の母親の秋穂とは幼馴染だったんだけど、中学に上がる頃には秋穂は分からないけど、少なくとも僕は意識してたかな。朝武の家は2人も知っての通り由緒正しい家系だし、こんな事情だから血筋を残すことが肝要だと考えられているんだ」

 

それは…そうか。こんな戦いに身を投じ、万が一なんてことがあったら困るからな。

 

「だから朝武の家では、芳乃と同じくらいの歳になると婚約者がいて当たり前なんだ。在学中にも子供を産んで育てる巫女姫だって少なくない」

 

なるほど…慣習みたいなものになってるのか。

 

「秋穂は20代ではあったんだけど、今までから見ると割と遅めなんだよね」

「世間一般では、普通の年齢だとは思うんですけど」

 

俺も将臣と同意見だ。30まで行くとちょっと遅いのかな?とはなるけど20代なら全然若いだろう。

 

「まあ跡を継ぐ者がいないと困るし、周りからもつつかれてたからね。実際芳乃にだってお見合いの話は来ているんだ」

 

それは納得だ。朝武さんは普通にかわいいしな。

 

「とはいえ、芳乃のあの性格、来るお見合いの話全部断っていたんだけど、それでも話が絶えることがなくてね。正直に言えばそれを利用して、将臣君と婚約することを納得させたんだ」

「でもあんまり納得はしてないみたいですけど」

「そうだね。ちょっと無理やりすぎたかなとも思っているよ」

 

ちょっとどころじゃない気はするんだが…

 

「そういうのも込めて、将臣君には申し訳ない」

「大丈夫ですよ。誤ってもらうことじゃありませんから」

 

朝武さんと将臣のなんとも不思議でそれでいて現実感のない関係。それについてどう思っているかは本人しかわからなないが、大きな嫌悪感は持っていないと思う。そうでなきゃ同じ屋根の下で、なし崩しとはいえ暮らしていないはずだし。

 

「それと諒君もすまない。巻き込んでしまう形になってしまって」

「別に大丈夫ですよ。正直一人で仕事してご飯食べて寝てたりとかしてたら、凄く寂しかったと思いますし、始まりは変な感じでしたけど、今は凄く楽しいですから」

 

これは俺の本心だ。長く一人暮らしをやっていたからか、誰かと食卓を囲んだりするのが凄く楽しくて、嬉しかった。できることなら仕事の間はずっと一緒にいたい。

 

「そう言ってくれるとありがたいよ」

 

そんな話をしていたら廊下から足音が聞こえてきた。

 

「すみません、遅くなりました」

「お待たせして申し訳ありません」

 

常陸さんと朝武さんが来た。2人も制服に身を包んでいる。和というよりはところどころに洋のテイストも含まれていて、他ではなかなか見ない服だろう。朝武さんはいつも下ろしている髪を上げ、ポニーテールにしており、常陸さんは動きやすいようにスパッツを履いている。うん、よき。

 

「…」

 

将臣がなぜか固まってしまっている。

 

「将臣、何固まってるんだ?」

「可愛い…」

 

将臣の突然の言葉に2人は固まり、部屋は静まり返る。

 

「…っ」

「な、な、なにをっ」

 

突然言われたその言葉に2人は顔を赤く染める。

 

「あ!いや!変な意味じゃなくて、今までと雰囲気が違ってって意味で…純粋なって純粋って言い方もおかしいけど…」

 

将臣は必死に取り繕っているが、次第に話がまとまらずおかしな方向に飛んでいきかける。焦りすぎだろ…

 

「り、諒も2人のこと可愛いって思うよな?」

「そこで俺に振るのかよ…まあ2人ともよく似合ってて可愛いとは思うけどさ」

 

俺がそう言うと、すでに赤かった2人の顔がさらに赤くなった。…なんかまずった?

 

「あ、あは…もしやうら若き乙女の制服姿にドキドキですかぁ?」

 

常陸さんは努めていつものように言ってくるが、まだ戻り切ってない。

 

「どっちかというとポニテ萌えの方かな?」

「なるほど、そちらの方でしたか。良い趣味をお持ちのようで」

「なんのなんの、常陸さんこそ、ふっふっふっ」

「それはもう、ふっふっふ」

 

2人して悪い顔をして話しているが、それを本人が近くにいるときに話すのはどうなんだろうか。

 

「2人とも本人を前にしてそういう話しない。朝武さん顔真っ赤だよ?」

 

将臣の頭には軽くチョップを入れ、常陸さんには視線で訴える。

 

「てへへ」

 

可愛くごまかしたって駄目です。

 

「本当です。変な話はしないでほしいんですが…」

「…」

 

常陸さんが何やら意味ありげな視線を朝武さんに向ける。向けられてる朝武さんはというと凄く戸惑っている。

 

「な、なに…?」

「何でもありません。そろそろ学校に行きましょうか」

「そうしようか」

 

話をしていたらだいぶいい時間になっていた。

 

「行ってきます」

「行ってまいります」

「行ってきます」

「い、行ってきます」

「はい。いってらっしゃい」

 

 

 

 

「学院までまだあるの?」

 

学院までの道を4人で歩いてるときに将臣がそれを口にした。

 

「いえ、その坂を登ればすぐです」

「結構近いんだな」

 

家から出てきて10分も経っていない。

 

「山にも近いけど、祟り神とかは大丈夫なの?」

「今まで問題は起きていませんから、夜になる前に戻れば大丈夫だと思います。ですから学校が終わったらすぐに帰るようにしてください」

「わかった」

「了解」

 

朝武さんの忠告を素直に聞き入れる。流石に痛い目には遭いたくないからな。

 

「そういえば諒が通ってた前の学校は近かったのか?」

「いや、そんなに近くなかったな。通学にはバス使ってたよ。一応免許は持ってるけど、都会だと車より電車とかバスの方が便利なことも多いし」

 

交通網の発達は著しいからな。以前よりも路線数が増えてるし。

 

「ふぅん…仕事のときはどうしてたんだ?」

「それは場所によるかな、地方に行くこともあるから、そういうときはレンタカー借りてだな。自分の車はまだ持ってないから。そういう将臣はどうなんだ?」

「俺は家から近かったから歩きだな」

 

将臣はどこ通ってたんだろう。俺の知ってるところかな。

 

「都会は色々便利そうですね」

「便利なのは間違いないんだろうけど、穂織みたいなところにの方が良いところも多いし、どっちもどっちって感じかな」

 

都会は利便性がメリットだが、どこか息苦しさやつまりを感じる。穂織は利便性では都会に劣るものの、空気が美味しかったり、開けているのでどこか余裕が生まれる。

 

「あと少しですよ」

 

 

 

 

「ここが鵜茅(うがや)学院…」

「学院って感じはあんまりしないな」

 

到着した鵜茅学院は学院という感じのあまりしない建物だった。学院というよりもどちらかというと剣道や柔道の道場のように見える。

 

「元は武道館で剣術道場として使っていてな、年が過ぎていくにつれ門下生もいなくなっていったのだが、建物自体は立派じゃから、内部を改装して、今の学院になったのだ」

「流行りのリノベーションってやつか…」

 

いいね、趣がある。

 

「おはよう!」

「おはよう、お兄ちゃん、神谷さん」

 

学院を見ていたら廉太郎と小春ちゃんも登校してきたようで挨拶をしてくれる。

 

「おはよう」

「おはよう、廉太郎、小春ちゃん」

「怪我はもう大丈夫なのか?」

「ああ、ちゃんと言われた日にちは休んだし、駒川さんからもOKサインもらってるしな」

 

俺の返答に2人とも安堵の表情を浮かべた。心配かけてたみたいだな。

 

「山は危ないんだから気をつけないとダメだよ?」

「おっしゃる通りで」

 

まさか祟り神に襲われたあげく、山を転がり落ちるとは思わなかった。まあ前者は本来ならありえないんだけどな、多分小春ちゃんもそういう意味では言ってないだろう。

 

「しかし諒って冷静に見えて、意外と周りが見えなくなるタイプか?」

「いやーそういう自覚はないんだけどな」

 

まあ確かにみんなには熱中すると周りが見えなくなってどこまでもやっちゃうって言われたから意外とそうなのかもな。

 

「本当に気をつけないとダメだよ?」

「はい…すいません」

 

まさか年下の女の子に説教されるとは…若干凹む。俺が1人勝手に凹んでいると小春ちゃんは俺と将臣以外の2人にも気づいたらしく、急いで2人のところまで行った。

 

「遅れて申し訳ありません巫女姫様、常陸先輩。おはようございます」

「「おはようございます」」

 

そして小春ちゃんに続き廉太郎も来た。

 

「おはよう2人とも」

「そういえば廉太郎とは同じ学年だけど…小春とも知り合いなの?」

 

確かに…どこで接点があったんだろう。

 

「普段から様々なところで玄十郎さんにはお世話になってしますから」

 

なるほど、そういうことね。

 

「それに学年のクラスは各学年1つだけで、全学年を合わせても100人にも満たないんです」

「しかも学年が1つしかないから必然的にクラスの顔ぶれはずっと同じ。田舎だからな、全員が顔見知りなんだよ」

 

進学校のレベル分けみたいだな。それに他の地域と断絶してたから外から入ってきて学校が巨大化するとかがないのか。

 

「それよりも…」

 

廉太郎は将臣の肩に手を回し、声を潜めて何か話しかけている。ただ俺のところからは会話が聞こえない、けど表情は一応見える。さっきからころころ表情が変わっている。廉太郎は真面目な顔もしているけど、どちらかというと面白がっているような顔をしている。将臣は呆れ、照れ、不満そうな等々色々変わっている。絶対碌な話はしてないだろ…

 

「まったく…おまえら、遅刻になるぞ?」

 

腕時計を指さしながら2人に言う。

 

「そうですね。有地さんと神谷さんは先に職員室に行かないと行けませんし、ここにずっといる訳にはいきませんね」

「案内します」

 

そうして学院の中に入ろうとしたら、校舎から誰かが出てきた。

 

「有地将臣君と神谷諒君ですね?」

「?はい」

「そうですけど…」

 

群青色の髪を持つ女性に話しかけられる。先生か?

 

「遅いから何かあったんじゃないかと心配してたけど、みんなと話してただけだったんですね。初めまして!2人の担任になる中条比奈実です」

 

やっぱり先生だったのか。

 

「よろしくお願いします」

「よろしくお願いします。わざわざすみません」

「むしろ事故に遭ったりしたわけではなくて安心したので、大丈夫ですよ」

 

中条先生は優しい笑顔でそう言ってくれる。初めて会ってから少ししか話していないのに凄く優しい人だと分かる。

 

「では簡単な手続きがありますから、2人とも今から職員室に行きましょう」

 

中条先生についていく形で職員室に向かった。




ここまで更新が遅れた理由としては、テストやれ課題やれがかなりあったり、その他自分の用事がぎっちり詰まっていて、まったく執筆時間が取れなかったためです。これからは比較的予定が空くので、ここまでかかることはないと思います。自分のモチベ次第っていうところではありますが。
次回なるべく早く投稿できるように、がんばります。
次回もよければご覧ください。
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