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それではその18、どうぞ
「じゃあ2人は少ししたら、入ってきてね」
職員室でいくつか必要な手続きを済ませ、今は教室の前にいる。とりあえず俺と将臣は一旦待機。先に中条先生が教室に入っていった。
「…なんか緊張するな」
「そうだな…転校なんて初めてだし」
俺も将臣も少し緊張している。まあ初めてのことだししょうがない。それから少し待った後
「入ってきてー」
そう教室の中から聞こえた。扉に近かった将臣が前で、その後ろに俺がついていく。どこの学校にもよくあるスライド式のドアを開け、中に入る。中に入るとクラスのみんなの視線が一斉にこっちを向く。これは慣れん…そんな視線を浴びながら、教室の前の方にある教卓の横に着く。
「じゃあ有地君から挨拶を」
「あ、はい。初めまして。今日からお世話になります、有地将臣です。ここには家の事情で引っ越してきました。これからよろしくお願いします」
将臣が言い終わると、クラスから自然と拍手が生まれる。
「じゃあ神谷君も」
「はい。初めまして、神谷諒と言います。自分は仕事の都合でここに来ました。これからよろしくお願いします」
噛まずに、特に当たり障りのない普通のことを言う。
「2人ともありがとう。それじゃあ、有地君は一番後ろの、鞍馬君の後ろの席で。神谷君は朝武さんと常陸さんの後ろの席ね」
そう言われ、その席に移動する。
「何か困ったことがあれば相談してくださいね」
「うん、ありがとう」
朝武さんがそう言ってくれる。
「あ、そうだ2人とも」
「なんですか?」
「帰る前に2人に用事がありますから、少し待っててくれませんか?そんなに時間はかからないと思うので」
「わかりました」
何だろう用事って、転校初日に大事はないと思うけど…
「さて、始業式に移動しましょう」
その先生の合図でみんな一斉に教室から移動していった。
始業式も終わり、各種連絡事項をクラスに伝え今日は解散になった。ただ…
「なんで俺たち残らないとなのかな?」
朝先生に言われた通り、俺と将臣はみんなが帰った後も教室で待機をしている。因みに朝武さんと常陸さん、ムラサメも一緒にいる。
「諒は何か心当たりあるか?」
「いや、何にも」
心当たりはないけど、何か手続きとかに不備でもあったのだろうか。
「先生は時間はそんなにかからないって言ってたし、2人は先に帰っててもいいけど」
「そうだな。ムラサメちゃんもいるから、道は多分大丈夫だよ」
「いえ、急ぎの用事があるわけではありませんし、先生の用件も気になりますから」
そんな感じで話していると、ガラガラっと音を立て、教室の扉が開かれた。
「遅くなりました」
「お待たせして申し訳ない」
開かれた扉から、中条先生ともう一人、白衣を着た女性が入ってきた。ん、あの人は…
「駒川さん、どうしたんですか?」
以前俺が倒れたときに診てもらったのが駒川さんだ。何で学校にいるんだ?
「おや、神谷君」
「なんで駒川さんがここにいるんですか?」
率直な疑問をぶつる。
「いや、色々確認をね」
確認?なんのことだろうか。
「なあ諒、知り合い?」
「ん?将臣は会ったことないんだっけか、この人は駒川みづはさん。俺が前倒れたときに診てもらったことがあるんだ」
「あと、怪我をしたときもですね」
あ、山でやらかしたときのか。その時も…なんか短期間でお世話になりすぎてる気がするが…
「駒川先生はこの学校の嘱託医でもあるんですが…神谷君は何の怪我をしたんですか?」
「お恥ずかしながら、山で派手に転んじゃって」
「なるほど。気を付けてくださいね?山は危ないんですから」
「はい、ありがとうございます」
中条先生から忠告を受け、そのまま先生は教室を出ていく。
「みづはさんは何故わざわざこちらに?」
常陸さんが駒川さんにそう聞く。
「挨拶と、芳乃様と有地君の確認でね」
「確認…ですか?」
将臣が不思議そうに聞く。なんの確認だろうか。
「叢雨丸を抜いた影響なんだけど、2人とも大丈夫かい?」
「大丈夫ですよ。特に何も変わりはありません」
「俺も、特には」
駒川さんの問いに2人とも同じように答える。
「良かった。何もないようで安心しましたよ」
「言ってもらえれば、こちらから出向いたのに」
そう朝武さんが言うと、駒川さんは困ったような笑みを浮かべる。
「いえ、診療所に来てもらうと、みなさん芳乃様に話しかけられて、待合室が大変なことになりますから。それにちょうど学院にも用事がありましたから」
「そんなに朝武さんは人気なんですか?」
そう将臣が聞く。巫女姫様なんて呼ばれてるから一定の親しみみたいなもんなのかな。
「人気だよ。巫女姫っていう立場にあるのに加えて、隔たりがなく優しいからね」
「それに芳乃様は可愛いですから。私もお買い物に行った時とかは、必ず一回は芳乃様の話が出てきます」
なるほどね。人柄の良さか…それは俺も感じてる。突き放そうとしても、俺をどこまでも心配してくれたり、時折見せる油断しきった姿はとても冷たい人には思えなかったから。あと可愛いか…それは確かにだ。俺と将臣は同時に首を縦に振る。
「も…もう!そんなことよりも!」
常陸さんの言葉と、俺と将臣がそれに同意したことで、朝武さんの顔は赤くなっていた。朝武さんは何とか話題を変えようと別の話を振って来る。
「みづはさんはそれの確認だけですか?」
「大体の目的はそれなんだけど、あと医者として元患者の体調も気にかけておこうとね」
元患者…俺か。
「俺は大丈夫ですよ。身体が痛むとかもありませんし」
「神谷さんに完治しても心配するほどの傷があったのですか?」
朝武さんが俺を見ながら、駒川さんにそう聞く。
「身体中を強く打ち付けていましたし、祟り神に触れた部分もありますから。それと精神面も気になるので、念のためですよ」
「なるほど…精神面、ですか?」
常陸さんがそう聞き返す。多分駒川さんは俺のトラウマによる症状のことを言っているのだろう。けど、流石にみんなの前で言わないで欲しいなぁ…そんな俺の思いが伝わったのかどうかは分からないが
「ついこの間まで穂織の外で暮らしていた人間が、急に祟り神と対峙して変なトラウマが出来ていないか気になってね」
そんな感じの医者として至極真っ当な考えを言った。それを聞いてみんなも納得したようだ。
「それじゃ神谷君、保健室まで一緒に来てくれ」
「わかりました。みんなは先に帰ってていいよ」
俺がそう言うと、朝武さんと常陸さんの2人は何か心配なのか、少し渋っていた。
「なら吾輩がついていよう」
「ムラサメ様が一緒なら…」
「大丈夫ですかね」
なぜムラサメが一緒なら納得するんだ。
「神谷さん、夜の山には絶対に近づかないでくださいね」
「ああ、わかってる」
朝武さんの忠告を素直に聞き入れる。流石にあれをまた体験したくない。
「それじゃあ、行こうか」
駒川さんにそのままついていき、保健室に向かった。
前回から約1週間ですね。用事が一段落しても時間がなかなか作れず。今後は1週間、長くて2週間ほどかかると思います。
次回もよければご覧ください。