だから書いた。
「おーい、トレーナー♪ おっそいぞー?」
そう言いながら、部屋のドアを叩くトウカイテイオー。
「あんまりにも遅いから、このテイオー様が迎えに来てあげたのだー、エッヘン!」
いつもの調子で、ドアの向こうに話しかける…が、帰って来た返事は予想外のものだった。
…ガチャッ…
「あ、トレーナー! やっと出てきた…って…」
「………あれぇ?」
***************
夜な夜な天皇賞や有馬に頭を悩ませていたことが災いしてか、体調を崩していたトレーナー。
『すまない…少ししんどいから、今日は自主練で頼む…』
そう告げられて、ひとりグラウンドに出てきたテイオー。
熱などもなく、ただの疲れだと言われてはいたが、それでもテイオーの目には、朝の彼のしんどそうな姿が焼き付いていた。
普段からトレーナーにべったりなテイオーが、そんな状況で集中出来る訳もなく…
「トレーナー、大丈夫かなぁ…」
(ボクがワガママばっかり言ってたのが悪かったのかなぁ… うぅ…トレーナー…)
隅の方でうずくまるばかり。そこへ…
「…あら? どうしたんですか?」
「…スーパークリーク…?」
***************
「…そろそろ寝るか…」
いつもより早いが、トレーナーとしてテイオーの為に体調を整えなければならない。
そう思って、布団に入ろうとした頃だった。
「…トレーナー?」
ドアの方から、テイオーの呼ぶ声が聞こえてくる。 打って変わって、どこか弱めな声だった。
深夜とは言えないとはいっても、もう夜なのにどうしたのかと、慌ててドアを開ける。
「…テイオー、どうしたんだ? こんな時間に…」
「えっと、トレーナー…」
彼女はしばらく言葉に詰まっていたが、少し経つと、何かを決心したような顔で。
「…ちょっ…!?」
…部屋の奥に、とてとてっと駆けていき…
「ちょっと、なんでそっちに…」
目当ての場所までたどり着くと、テイオーはそこにあったベッドに潜り込んだ。そして…
「…トレーナー、疲れてるんでしょ? 元気になれるようにー…ほら♪ 今日だけは特別に、テイオー様の腕の中で寝ていいよー♪」
そう言って、腕を開いてこちらに向けてくるトウカイテイオー。
「………!!?」
何がどうしてそうなったのか分からなくて、少しパニックになる。
けれども、それが好意なのは考えなくとも分かる。
(でもさすがにそれはいろいろと…とはいえ折角の好意を無下にするのも…)
疲れで回らない頭だが、それでもただ断るのではあれなので、上手く説得できそうな理由を探してみる。
「えっと、その… ほら、男女で一緒に寝るってなると、いろいろと…」
「…ふーん、トレーナーはボクをそんな目で見てるのー? ちがうでしょー?」
全部言い終わらないうちに、若干ジト目でそう返される。 こんな返答をされると、どうしようも無い。
仕方なく次の言い訳を考える。
「ほ、ほら、テイオーにうつったりとかー…」
「ただの疲れだって、言ってなかったー?」
…大人しく騙されてはくれなかった。しかも…
「…ボクはただ、トレーナーに元気になって欲しいだけなんだよ? どうしてそんなに逃げようとするの…?」
悲しげな表情でそう追撃をかけられる。
「…うっ…」
(そんな顔をされると、罪悪感が…)
ただでさえ頭が回らないのだ。 もはや、大人しくベッドに入るしか道は無かった…
***************
一方、テイオーは…
(………ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)
(恥ずかしいよぉ!や、やっぱり無理かもしれない…)
しかし、一度決心してここまで来てしまったのだから、もう引き返せなかった。
(お、落ち着かなきゃ… うん、大丈夫! 無敵のテイオー様は、このくらい…)
ちょうどその時、既に半分寝ているトレーナーが、背中に腕を回してくる。
(………!!?!?)
折角取り戻しかけた理性が、またどこかへ吹っ飛んでいく。
(確かに! 確かに最初からそのつもりだったけどさぁ! 想像してみるのと実際にされるのじゃ訳が違うよー!)
そうして恥ずかしさに耐えかねて身体を捩ると、腕に込められる力が強くなる。
(な ん で ぇ ー !)
より一層体が近づき、それと比例するように頬も真っ赤になるテイオー。
(い、今ボク、一緒のおふとんで、抱きつかれてて…)
(しかも…相手は、いせi)とそこまで考えて…
(………むわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)
心の中で羞恥心に悶えるトウカイテイオー。
(ボクってば、何を考えてるのー! トレーナーはトレーナーだよぉ!?)
今すぐにでも逃げ出したい気持ちに駆られるも、物理的にもうどうしようもなかった。
しばらくして少し落ち着きを取り戻し、諦めて自らも腕を回してみる。
(…あ………トレーナー、あったかくていい匂いがする…)
気付けばテイオーも眠りに落ちていた。
***************
「ん…朝か…って、あれ…?」
目を覚ますと、そこには…
「…zzz…えへへ…トレーナー…♪」
寝言を言いながら抱きついてきているトウカイテイオーの姿があった。
以降、テイオーが隙さえあればひっついてくるようになったのだった。
こ、このくらいならセーフだよね…?
「怪」文書じゃないよね…? ね!?
あと、クリークママが今回一番の功労者。