トウカイテイオーとトレーナーの話   作:鳳という名のケモナー

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今回は、比較的真面目寄りです。
あとは、テイオーがほんのり湿っぽい、かも?


おねだりする話

『一着は、トウカイテイオー! またしてもGⅠを制しましたっ! 連戦連勝、まさに無敵っ!』

 

ワァァァァァァ…!!!

 

「やったな、テイオー!」

 

「うんっ♪」

 

レースで勝った。 しかも、GⅠの中でも特に有名で、強敵がいっぱいのレースだったから、すごく反響は大きかった。

 

でも、ボクだってヨユーでそんなことが出来る訳じゃない。

 

普段から精一杯トレーニングして、本番でも必死に走って…

 

そんな努力の上で掴み取った一着なのに。

 

それなのに、なんで…

 

***************

 

 

「なーんでトレーナーは構ってくれないのー!?」

 

 

「うおっ、テイオー!?」

 

そう、ボクはレースで勝ったのに…

 

トレーナーが全然構ってくれない!

 

「急にどうしたんだよ…」

 

「トレーナー! ボク、レースで勝ったんだよ? GⅠだよ? 一着だよ!?」

 

「そ、そうだな。 おめでとう、テイオー。」

 

…他でもないトレーナーに、誰も彼もからかけられたような凡庸な言葉で返されて、少しイラッとする。

 

「もう! それ何回目?」

 

「…えーっと…ならどうして欲しいんだ?」

 

「だーかーらー! ご褒美が欲しいんだって! 例えば、一緒にお出かけするとか…」

 

何回もこう言った。 でも、返事は決まって、

 

「…こっちこそ何度も言うようだけど、しばらくの間は雑誌やらテレビやらの対応が…」

 

…こんな感じ。

 

「…そりゃ、それもトレーナーとしての、大事な仕事なのかもしれないけどさぁ…」

 

最近のトレーナーは、ボクが勝ったせいで舞い込んだ仕事に追われてばっか。

 

ただでさえレース直後でトレーニングはお休みなのに、仕事のせいで外出ばっかりだから、合鍵を使ったところで会いに行けない。

 

(…つまんないなぁ…)

 

そんな感情が溢れてくる。 と、そこへ…

 

「なぁ、テイオー? 思ったんだけどさ…」

 

「…? どうしたの、トレーナー?」

 

「テイオーはお出かけお出かけって言うけど、最初の頃みたいに、何か買ってあげるのとかじゃダメなのか?」

 

「………あれ?」

 

言われてみればそうだった。

 

そんなにご褒美が欲しいなら、はちみつでも何でも買ってもらえばいい。

 

それで「ご褒美」という点については問題ないし、事実最初の頃はそうしていた。 だけど…

 

「…せっかく、トレーナーのために走ったのに…」

 

「…テイオー?」

 

「…えっ…?」

 

自分でも認識できていなかった感情が、言葉として出てきた。

 

(トレーナーの、ため…? …ボクが走る、走り続ける、理由…?)

 

しかし、意識してみると呆気ないほど簡単に理解できた。

 

「……………」

 

「…ど、どうした?」

 

「…トレーナー。」

 

そうだ。 ボクが走る理由は…

 

「…ボクがレースで勝って、トレーナーが構ってくれなくなるんだったら、ボクもう勝たない! 走らないもんね!」

 

「なっ…!?」

 

***************

 

「それが嫌なら、もっとボクを優先してよー!」

 

意味が分からない。 なぜそんな要望と、そこまでの重い覚悟を天秤に乗せれるのか。

 

「な、何で、そこまでして…」

 

「…当たり前だよ? だって、ボクは…」

 

テイオーが、真剣な面持ちで胸の内を晒す。

 

「…ボクは、トレーナーのために走ってるんだよ。 こう言っちゃ悪いけど、雑誌とかテレビとかのためでも、ファンの皆のためでもない…トレーナーの、喜ぶ顔が見たくて! …トレーナーに、勝利を見せてあげたくて…っ! なのにっ…」

 

何で、もっと一緒に居てくれないのか。と。

 

涙目になって、言葉を詰まらせるトウカイテイオー。

 

担当ウマ娘がそうまで想ってくれていたのに、それに気付かずに他のことを優先していたことが悔やまれる。

 

「…ごめんね、トレーナー。 こんな自分勝手なこと…」

 

感情の揺れ故か、衝動的に抱きついてしまう。

 

「…こっちこそごめん、テイオー。」

 

「………ぴぇ?」

 

***************

 

「分かったよ。 何とかして時間は空ける。 それに、しばらくの間は、出来るだけテイオーと居るよ。」

 

「………!!!」

 

嬉しい。 すごく嬉しい。トレーナーがそう言ってくれることが。 トレーナーがそばに居てくれることが。

 

それだけで、これからも。 ずっとその先も、走っていこうと思える。

 

「………ありがとっ! えへへ…」

 

(…って、あれ?)

 

「…と、トレーナー…あの、これ…」

 

(いつの間にか抱きつかれてる…!?)

 

いろいろあって何回かしたことはあるけど、それでも恥ずかしいものは恥ずかしい。

 

「…っ!? ご、ごめんテイオー!」

 

トレーナーがびっくりして飛び退く。 けど…

 

「…トレーナー。 こっち、来て?」

 

「………?」

 

そのままぎゅーってする。

 

「…!?」

 

トレーナーはまた驚いて、離れようとしてるみたいだけど、ウマ娘のボクに力で勝てるわけない。

 

「トレーナー、ボク、このままがいい。」

 

「…テイオー?」

 

 

「一つ目のご褒美は、しばらく、このままで…」

 

 




…真面目に書こうとしたら結局甘くなったけど、結果オーライでヨシ!
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