マジックでは理解できない本物の魔法を使いたいのでINTに極振りしてみました   作:ディスタブ

9 / 10
次は少し空きそうです。
誤字報告、本当に感謝です。ありがとうございます。


結果

【MWO】第一回イベント観戦席3

 

241名前:名無しの観戦者

やっぱ優勝はペインか?

ゲーム内最高レベルだし無双してんな

 

242名前:名無しの観戦者

あれはやばい

動きが人間辞めてるw

 

243名前:名無しの観戦者

いーや、あの魔法使いやろ

 

244名前:名無しの観戦者

あの黄色い膜おかしくね?

てかなんで空飛んでの?

 

245名前:名無しの観戦者

ランキング上位陣、どいつもこいつもやばいだろ

 

246名前:名無しの観戦者

うっわ映ってる奴ら強っ

 

247名前:名無しの観戦者

暫定成績ランキング

メイプルっていう大盾

680人潰して被ダメなんとゼロ

 

248名前:名無しの観戦者

ふぁっ!?

 

249名前:名無しの観戦者

チート?いや…無いか

 

250名前:名無しの観戦者

あー、剣とアバター食ってたやつか

 

251名前:名無しの観戦者

こいつか?今映ってる

ほんとにアバター食ってるの草

 

251名前:名無しの観戦者

お、魔法使い合流

 

252名前:名無しの観戦者

ランキング上位同士ぶつかるか?

 

253名前:名無しの観戦者

やっぱ上空から一掃したな

盾生き残ってるの笑う

 

254名前:名無しの観戦者

硬すぎだろ…は?

 

255名前:名無しの観戦者

は?

 

256名前:名無しの観戦者

は?

 

257名前:名無しの観戦者

あいつ何で瞬間移動してんの?

 

258名前:名無しの観戦者

え?魔法使いってそうなの?

真面目な話そんなことできんの?

 

259名前:名無しの観戦者

出来たら皆やるわ

 

260名前:名無しの観戦者

というより、何で盾4んでないの?

 

261名前:名無しの観戦者

吸収した…?

 

262名前:名無しの観戦者

お、盾反撃するぞ

 

263名前:名無しの観戦者

…状態異常効いてなくね?

 

264名前:名無しの観戦者

お互いに首傾げんなwwww

 

265名前:名無しの観戦者

完全にお見合いしてて草

 

266名前:名無しの観戦者

問 規格外と規格外がぶつかり合った場合の勝者は?

 

267名前:名無しの観戦者

答 勝敗などない

 

▼ ▼ ▼

 

廃墟では、未だ平和な時間(お見合い状態)が続いていた。

 

膠着状態とは、まさにこの事である。

 

ウィザードにしても、大楯使いの少女ことメイプルにしても、打開策などありはしなかった。

 

当たり前である。

 

どちらの攻撃も、悉く無効化されてしまうのだから打開策があるはずもない。

 

故に、もはや攻撃することすらしなくなった。

 

ウィザードに至っては、MPの完全回復が終われば廃墟を去るつもりであった。

 

こちらの攻撃は吸収される。

相手も攻撃が無意味なことを理解し、攻撃をしてこない。

 

ならば、消耗したMPを回復することに努める方が賢明である。

 

少し離れたところで何故か正座している少女。

何故かこちらをチラチラと見てくる。

 

視線を時折感じながらも、ウィザードはぼーっと空を見つめるだけ。

 

「魔法使いってすごいんだね。びっくりしちゃった」

 

不意に、少女が小さな声で語りかけた。

 

「こちらの台詞」

 

短い言葉で返すと少女は、言葉が通じたことが嬉しかったのか、急にこちらへと近づいてきて楽しそうに口を開く。

 

「私、メイプルっていいます」

 

「星河悠」

 

黒髪アホ毛の少女から自己紹介を受けたウィザードも当たり前のように自己紹介をする。

 

 

 

リアルの方の。

 

 

 

「へ?」

 

「???」

 

 

無論、その場が凍った。

 

メイプルの驚いた表情が凍ったのも束の間、次第に焦った様子で手をブンブンと振りながら、あたふたとしはじめる。

 

ウィザードからしてみれば、どうしてメイプルがそこまで焦っているのか理解が出来なかった。

 

挨拶をされたから、挨拶を返した。

 

ウィザードの中ではその程度の認識であった。

 

「だ、ダメだよ!? ゲームの中では、リアルの名前じゃなくてプレイヤーネームを言うの!」

 

心の中で『あぁ〜』と納得したウィザードは、軽く握りしめた左の掌を開いた右の掌にポンと軽く打ちつける。

 

「ウィザード」

 

「うん、よろしく! もう遅いけどね!」

 

思い出しても見てほしい。

 

ゲームを始めて以来、ウィザードが他人と喋ったことなど一度もない。

今この瞬間が、初めての会話であった。

 

しかも、オンラインゲームなどやったこともないウィザードからすれば、オンラインゲームの中での常識など理解しているはずもない。

 

メイプルから指摘された今でも、『どうせ現実世界のこと話してもわかるはずないし、大丈夫だろう』などとウィザードは考えている。

 

しかし、その認識は甘い。

 

業界を多少知っているものならば、星河悠という名前は聞き覚えがある。しかも悲しいことに、メイプルこと本条楓とは悠と同じ学校の同じ学年である。

 

クラスが違うため面識はあまりないが…。

 

つい先日、同行会をしていた教室でバッチリ会っちゃったりしていたわけである。

 

世界は狭いとはよくいったものだ。

 

リアルで見知った仲とは梅雨知らず、ウィザードとメイプルは気がつけば、多少の会話をするようになっていた。

会話とはいっても、基本的にメイプルがウィザードに一方的に問いかけ、ウィザードが端的に答えるだけのものではあるが。

 

そんな中、急に大音量でアナウンスが響き渡った。

 

直後、イベント開始の時に登場したドラぞうが、ウィザードとメイプルの前に姿を表す。

 

「イベント残り時間も僅か1時間! 現在1位はペインさん、2位はウィザードさん、3位はドレッドさん、4位はメイプルさんドラー!」

 

残り時間が1時間を切った。

つまり、1時間後にこのイベントの勝者が決定する。

 

聞いてみれば、ウィザードは2位。

メイプルは4位。

 

2人とも大分上位にいるようだ。

 

ウィザードは半目になり、メイプルを睨んだ。

 

「納得」

 

あの強固な守り、そして毒竜のスキルを操る力、状態異常、戦法は中々類を見ないタイプだろう。

 

しかし、強いことは間違いなかった。

 

現に、ウィザード自身にも打つ手はなかったのだから。

 

「すごい! ウィザードくん2位なんだ! そっか〜状態異常も効かないわけだ〜」

 

メイプルはメイプルで、自分よりランキングが高い者は皆状態異常が効かないなどと盛大な勘違いをしている始末。

 

偶々、規格外(ウィザード)規格外(メイプル)がぶつかっただけである。

 

「これからタイムアップまで、上位4名を倒した際、得点の3割が譲り渡されるよ。4人の位置は、マップに表示されるドラ!」

 

チラリとMAPを確認してみる。

 

すると確かに、ドラぞうの言う通り、MAPに黄色い点が4つ浮かび上がっている。

因みにいうと、ウィザードがいるこの場所には、メイプルもいるため、黄色い点は2つ重なり合うように浮かび上がっていた。

 

耳を澄ましてみれば、『ドドド』という地面を走る音が聞こえてくる。その音は、どんどんと近くなっていくように感じた。

 

どうやらイベントは、クライマックスへと向かっていくようだ。

 

「みんな私たちを狙ってくるということ? あれ、ウィザードくんがいない…ってわぁぁっ!?」

 

突然、メイプルの頭にウィンドカッターが直撃する。

 

ウィザードは、足音が聞こえてきた時点で空へと退避しており、攻撃の対象にはされていなかった。

上空から廃墟の周りを確認してみれば、森からわらわらと群がるように走り、集まってくる様子が見てとれる。

 

虫が光に集まるようである。

 

ウィザードは、地上でプレイヤーと対峙しているメイプルに心の中で合掌をすると杖を器用に回転させ、その切先を廃墟へと向ける。

 

幸い、MPは先程の間にほぼ回復していたため、MP切れの心配はない。

 

思う存分、キルすることができるだろう。

 

しかし魔法を放ったところで、メイプルを倒すことはできないのだろう。

 

実際、先程盾を使わず頭でウィンドカッターを止めるという、離れ業を見せてきた。

 

「ここからは、恨みっこなし」

 

杖の先から眩い光の線が照射された。

 

▼ ▼ ▼

 

『ガオーー! 第一回イベント終了ーー!』

 

こうして、第一回イベントは終了した。

 

2人しかいなくなった廃墟では、大楯を地面に置いたメイプルが、力ない拳でペシペシとウィザードを叩く。

 

「空からなんてずるい! 卑怯! 卑怯者ーー!」

 

「メイプルにだけは言われたくない」

 

無論、メイプルの拳は悲しいことに魔法壁(ボルグ)に阻まれている。

 

確かにウィザードの攻撃は全て空から放たれ、廃墟に存在したプレイヤーたちを一層していった。

 

しかし、メイプルも負けてはいなかった。

 

毒竜スキルを用いてありとあらゆるプレイヤーを状態異常に陥らせ、短刀を使ったスキルで相手を麻痺させ、次々と行動不能にしていった。しかし、攻撃スキル自体をほとんど有していないメイプルでは、ウィザードの攻撃速度を上回ることはできなかった。

 

更にいってしまえば、メイプルはただ敵を状態異常にしただけであり、とどめを刺していくのはウィザードの範囲攻撃であった。それ故に、メイプルの撃破数はあれから対して増えず、ウィザードの撃破数がぐんぐんと伸びていった。

 

『結果、1位から4位までの順位変動はなかったドラ。それでは4位から順にインタビューをしていくドラ。まずは4位のメイプルさん、振り返ってみてどうだったドラ?』

 

横を向いてみれば、いつの間にか現れたドラぞうが、メイプルにマイクのようなものを向けてインタビューしていた。

本当に突然として現れたらしく、インタビューを受けるメイプルも突然の質問に真っ赤な顔をしている。

 

「え、えっと、いっぱい耐えれてよかったでしゅ」

 

噛んだ。

 

『ガオー! おめでとう! それでは記念のメダルをどうぞ!』

 

「あ、ありがとうございましゅ」

 

噛んだ。

 

メイプルのインタビューが終わるとドラぞうは一瞬にして姿を消す。

 

それから3位のプレイヤーのインタビューが終わると再び突然としてドラぞうは姿を表した。

全く、同じ質問が来るとするならば、ウィザードの答えは決まっていた。

 

この世界に来て、やりたいことはたった1つ。

 

『…続いて2位! ウィザードさん、振り返ってみてどうだったドラ?』

 

「魔法は楽しい」

 

『ガオー! おめでとう! それでは記念の銀メダルドラ!』

 

記念品を受け取ったウィザードは、そこでメイプルと別れ、空を飛んで別のフィールドへと帰っていった。

 

その日以降、掲示板では真の魔法使いスレとメイプルちゃん可愛すぎスレが立ち上げられ、大いに盛り上がったんだとか。

 

とにもかくにも、第一回イベントは、大きな波乱を残して終了したのである。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。