新しき<剣帝>の軌跡   作:kohac

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いよいよ、第一章に突入です!!



よろしくお願いします!!



1章ーー動き始めた新たな歯車ーー
自由行動日前日


《Ⅶ組》発足から、はや二週間が過ぎようかとしている。その間には、様々な出来事が起こった。

ある意味、ラッキーハプニングを起こしたリィンは、今だアリサとは仲直りできていない。だがお

互いを気にかけていることから仲直りするのは時間の問題だろう、ということを他のメンバーは確

信していた。それから、ユーシスとマキアスの仲は相変わらずであり、二人が揃うとすぐに一触即

発のムードを漂わせた。そして、フライベアにとって一番の出来事は特別オリエンテーションがあ

った次の日、リィンに話しかけられた時に起こった。

 

 

 「フライベア、昨日見せた弐ノ型『疾風』、物凄く洗練され、目で追うことすらできなかった

 けど、いつから『八葉一刀流』の手ほどきを受けていたのか?」

 

 

 「へぇ、リィンは『八葉一刀流』を知っているのか。俺はユン・カーファイ氏に八年ほど前に弟

 子入りして、一年弱ほどで《剣聖》をいただいてね。その後はユン氏と別れて各地を放浪したん

 だがー--って、どうかしたのか?リィン。それに、ラウラはポカーンとして大丈夫か?」

 

 

話の途中から、心あらずといった状態のリィンと、いつから話を聞いていたのかーーーラウラもリ

ィン同様、呆気にとられていた。それもそのはずである《剣聖》はいわば、『八葉一刀流』の免許

皆伝したという意味であるうえ、《風の剣聖》で有名な、アリオス=マクレインでさえ、《剣聖》

をいただくのに一年半を要しているからである。だがその後からが大変だった。その日から毎日、

ラウラから、何度も手合せを申し込まれるのが嫌で放課後逃げ続けた。さらには、今週に入ると、

とうとうフライベアの自室にまで押し入って来るようになりその度に、二階の自室の窓から外に飛

び降りて逃げて、周囲を警戒しながら部屋に戻ってベッドに入るころには、日が明け始めるのだった。そんな日々が続くのだから、当然ーー

 

 

 「ぐぅ~ぐぅ~・・・・・・」

 

 

 「ベア、起きて、ベア・・・」

 

 

 「・・・ああ、おはよう、フィー」

 

 

 「ベア、もう夕方だよ」

 

 

フィーに起こされて目を擦ると、ははは・・・と苦笑いしながらこちらを見ているエリオット、

エマ、リィンが目に入る。

 

 

 「ベア、後で教官室の私のところにまで来て頂戴」

 

 

 「・・・わ、分かりました」

 

 

その後、明日の自由行動日は有意義に過ごしてね、と言い諸連絡をした後そそくさと教室をサラを

見送っていると、座っていたラウラが立ち上がり、フライベアに近づいてきた。思わず逃げ出そう

とするフライベアをラウラは言葉で制止させた。

 

 

 「フライベア、その・・・ここのところ取り乱してお主に迷惑をかけたな、すまない。」

 

 

 「ああ、別にいいぜ。自分を高めるために強者に挑みたくなるのは分かるからな、だが

 しばらくは我慢してくれ。そん時は付き合うから・・・な?」

 

 

 「そ。そうか!かたじけない、そなたに感謝を」

 

 

 「(持っても、五月が限界かな・・・)」

 

 

突然の吉報に喜びを隠しきれないラウラを見ながら、ふと、そんなことを考える。教室を出て、の

んびりとした足取りで教官室前に立ち、

 

 

 「失礼します。サラ教官はおられますでしょうか?」

 

 

 「あ、来た来た。入ってちょうだい」

 

 

言われた通りに入室し、サラの隣に立つと資料整理を中断してこちらを振り向くと、

 

 

 「ベアとは一度じっくりと話したいと思ていたのよね」

 

 

 「で、いったい何でしょうか、サラさん」

 

 

 「あなた、私とフィーと別れた後、一体何をーーー」

 

 

うおっほん!!、と咳をしながらこちらを睨む、ハインリッヒ教頭に気づいたのか、小声で、や

っぱ夜にあたしの自室にきて、話すサラに苦笑いしながら、わ、わかりました・・・と返事をし

そのまま第三学生寮に帰り、剣と刀の手入れを終えるころには、空は暗くなっていた。サラに呼

ばれたことを思い出し階段を上がり、三階の右端のーーーサラの部屋にノックして入ると、お酒

で出来上がりつつあるサラが目に映った。

 

 

 「ぷはぁ~やっと来たわね、ベア。少し語りましょう。後、ベア、あなたお酒持ってるでしょ

 ~持ってきなさいよ~」

 

 

 「どうせ断れないんでしょう?ってかなんで俺のコレクションのこと知ってるんだよ・・・」

 

 

フライベアが頭を抱えながら部屋に入ったのを確認すると、サラ缶ビールを飲みながら話を進

めた。

 

 

 「遊撃士《ブレイサー》の頃よりもまた腕を上げたんじゃない、ベア。」

 

 

 「サラさんも、『紫電《エクレール》』の頃とお変わり無いようで」

 

 

お互い、いままで思っていたことを話す。二年間だけではあるが、二人はA級遊撃士としてコン

ビを組み帝国内を駆け回っていた。帝国内にいるA級遊撃士はせいぜい二十人程度であるのに関

わらず二人はその中のトップクラスでこのコンビに解決できない事件はない、とまで言われてい

たがーーー

 

 

 「まさか、協会《ギルド》が潰れて、解散するなんてな・・・そういえば、サラさんは

 襲撃してきた奴に応戦したんですよね?」

 

 

 「まあ、ね。《死線》っていったかなぁ。私と互角・・・いや、もしかしたら負けてい

 たかもね」

 

 

後に、帝国遊撃士協会襲撃事件、と呼ばれる帝国にいたほとんどの遊撃士が死亡または、解散さ

せた事件にフライベアとサラも巻き込まれた。その後サラはトールズ士官学校の教官となり、フ

ライベアは帝国内を放浪し、偶然『西風の旅団』に声をかけられて加わってフィーと出会ったの

である。一通り語ったのでそろそろ自室に戻ろうとした時、

 

 

 「そういえばベア、『西風の旅団』が解散した後、何をしていたの?」

 

 

 「また、帝国内を放浪してましたよ。」

 

 

嘘である。あの後放浪する途中で俺は、《新・剣帝》として『身喰らう蛇《ウロボロス》』に入

るのだが、それはまた別の機会に・・・

サラに、飲みすぎるなよ、と一応釘を刺した後自室に戻るとーーーまるで見計らったように、

《ARCUS》が、ピピピピピ・・・、と鳴りはじめた・・・

 

 

 

 

 

 


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