新しき<剣帝>の軌跡   作:kohac

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済みません!!

前回のあとがきでは自由行動日であと一話と書きましたが
もうあと一話入ります。急な変更で申し訳ないです。


対面

アリアンロードと別れ、夕食のレシピを考えながら駅を出ると、またしても《ARCUS》の通信音

がフライベアの士官制服の右ポケットから鳴り響いた。《ARCUS》を開き通信に出ると、入学式

で聞いた声ーーートワの声が、通信越しに聞こえてきた。

 

 

 『もしもし、フライベア君?』

 

 

 「トワ会長ですか?どうしたんですか?」

 

 

 『皆よりも遅くなってけれど、フライベア君の学生手帳が発行できたから、あまり遅くならない

 うちに生徒会室に取りに来てほしいけど、駄目かな?』

 

 

 「分かりました、ってもしかしてトワ会長は今、生徒会の仕事中ですか?」

 

 

 『え?うん、そうだけれどどうかしたの?』

 

 

 「いいえ特に何もないのですが・・・分かりました。今、手が離せないので一時間後には

 取りに行きます」

 

 

心の中でトワに謝りながら通信を切るフライベアは何か差し入れでも持っていこう、と思い《ブラ

ンドン商店》で、フレッシュハーブ、ハニーシロップ、百薬精酒を購入して、特別オリエンテーシ

ョンの時に手に入れた、魔獣のゼラチンをポーチから出し購入した三品と一緒にいれておく。そし

て、小走りでフライベアはトールズ士官学院は向かった。

 

 

 -----------------

 

 

学院に着くとそのまま、本校舎の二階に上がり調理室に入り、ニコラスに許可を調理に取り掛かる。

小鍋に百薬精酒を注ぎ、アルコールを飛ばしながら魔獣のゼラチンを溶かす。その間にティーポッ

トを準備して、ゼラチンが完全に溶かしたらさっとハニーシロップを加え、ティーポットにフレッ

シュハーブといままでのものを合わせ蓋をする。そして、ティーポットの熱さに我慢しつつ、中身

を蒸らしながら生徒会室へ足を進めるドアの前に立ち、ノックをして生徒会室に入る。

 

 

 「トワ会長、お疲れ様です。ハーブティーを淹れてきたので飲みませんか?」

 

 

 「ありがとう、フライベア君。じゃあ、お言葉に甘えてもらうね」

 

 

大きく背伸びした後書類を整理をして、机の上にできたスペースにティーカップを置く。そこにハ

ーブティーをゆっくりと注ぐと、部屋いっぱいに広がるフレッシュハーブの爽やかな香りが二人の

鼻腔に入ってきた。これほどのハーブティーを味わうのは初めてなのだろう、初めは驚いた様子を

見せたがやがて目を閉じてハーブティーの香りを楽しみ、少し熱そうにハーブティーを口に含んだ

 

 

 「どうですか、トワ会長。芳醇ハーブティーは」

 

 

 「うん!とてもおいしいよ、フライベア君。」

 

 

頷きながら、反応してくれるトワに思わず安堵し、顔を綻ばせていると不意にドアをノックする音

が聞こえてきた。トワはカップを机に置き入室を促すとドアが開き、トワと同じ緑色の制服を着た

銀髪の少年が入ってきた。

 

 

 「トワ、生徒会の仕事手伝いに来たぜ~、ってもしかして邪魔したか?」

 

 

 「ち、違うよ!クロウ君。ハーブティーを頂いているだけだよ!」

 

 

なにか察したのだろう、踵を返して出ていこうとするクロウをトワは慌てて誤解を解いた。分かっ

てる分かってる、冗談だって、と笑いながら軽く話すとフライベアのほうを向いて

 

 

 「よっ、俺はクロウ=アームブラストだ。よろしくな、Ⅶ組の・・・」

 

 

 「ーーーフライベア君だよ、クロウ君」

 

 

 「よろしくな、フライベア」

 

 

 「こちらこそよろしくお願いします、クロウ先輩」

 

 

言葉に詰まったクロウは、トワにすかさずフォローを入れてもらい何とか一通り自己紹介をすると

トワはあることに気づき不思議そうな顔をした。

 

 

 「あれ、アンちゃんとジョルジュ君とは一緒に来なかったの?」

 

 

 「え?いや一緒に来たんだが・・・」

 

 

 「早く行き過ぎだよ、クロウ。置いていかないでよ」

 

 

 「まったくだ・・・う~ん私のトワ、会いたかったよ」

 

 

クロウに文句を言いながら、空いていたドアから整備士が着るようなオレンジ色のつなぎを着た男

性と、黒のライダースーツを着こなす女性が入ってきた。女性はトワを見るや否や抱き着いた。毎

回されているからだろうか、トワもまたか、という表情で対応していた。暫く抱きしめていたが、

満足したのかトワを解放すると生徒会室に広がる爽やかな香りに気づいたのか深呼吸をし出した。

 

 

 「とてもいい香りだね、ここまでのものはなかなかないよ」

 

 

 「そうだね、トワこれは君が?」

 

 

 「違うよ、ジョルジュ君。これは、そこにいるフライベア君が淹れたハーブティーなんだよ」

 

 

 「え?俺にはゼリカが言っていることがあまり伝わらないんだが・・・」

 

 

 「ここまでのものが分からないなんて、可哀想に思うよ・・・」

 

 

 「あれ、そこまで言いのは酷くね?」

 

 

この二人にとっては日常的なやり取りらしく、トワ達は特にフォローを入れることもなくただ苦笑

いしていた。一通りやり取りを終えると、トワはフライベア近づくと

 

 

 「改めて紹介するね、フライベア君。クロウ君ことクロウ=アームブラストと、アンちゃんこと

 アンゼリカ=ログナー、そしてジョルジュ君ことジョルジュ=ノームだよ。」

 

 

 「紹介に預かったアンゼリカです。フライベア君、だったかなよろしく」

 

 

 「同じくジョルジュです。君たちの《ARCUS》のメンテナンスもしているよ、ぜひ来てみて

 ほしい」

 

 

 「紹介ありがとうございます、私はコーネリア=フライベアです。よろしくお願いします

 ---話は変わりますが、ハーブティーもまだ多く残ってますし皆さんも飲まれませんか?」

 

 

その後、全員で生徒会の仕事を終わらせ、芳醇ハーブティーに舌鼓を打つのだった。

 


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