ウマ娘恋愛短編集   作:あーふぁ

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小説仲間から胸について助言をもらいました。


39.カツラギエース『エースのおっぱいホットアイマスク』

 十月中旬の秋。

 それは自宅から見える岩手の山々が色鮮やかに紅葉していき、寒くなっていく時期だ。

 男子高校生にしては少々珍しいかもしれない家庭菜園という趣味。

 家の広い庭に広がる畑では収穫を終えて植物が枯れている姿を見ると寂しい気持ちになっていく。

 

 そんな気温と気持ちが寂しい時期になると恋人であるカツラギエースと会いたくなっている。

 僕とエースは幼稚園の頃からの幼馴染で、家族同士で深い付き合いもある関係だ。

 性別は違うけど、男勝りな性格だからか男友達のような感覚で友人として仲良く過ごしてきた。しょっちゅう肩を組んでくるし、嬉しいことがあれば抱き着いてきた。

 距離感が近いというか、バグっていると言ったほうが正しいかもしれない。

 

 現在は遠距離恋愛をしていて、約500kmの遠さ。高校二年生にとっては遠い距離で、会いに行くのはとても苦労している。

 最後に会ったのは正月だった。年末や夏休みはトレーニングで忙しく、三連休や四連休では短すぎると言って戻っては来ない。

 会わなくても連絡はよく取っている。LANEでは育てたハーブや野菜の写真を送っているし、エースからは練習風景や学園でトレーナーと育てた野菜、他には寮のルームメイトであるメジロパーマーさんと一緒に写ったのを送ってきている。

 電話では週に一度は話をしているけど、直接会いたい。

 

 そう思った日の夜。

 僕は今、自分の部屋で床のカーペットに座りながらエースと冬休みのことでテレビ電話をしている。

 雑談をしたあとに、トレセン学園が冬休みに入ったら戻ってきてってことを話題にしながら。

 

「できたら戻ってきて会えないかなって思っただけで」

 

 エースは黒味がかった褐色の髪を肩までのポニーテールにしている。

 両耳に白の耳カバーをつけていて、右耳には水色と桃色のストライプがしてあって、イケメン系な顔立ちだからこそ、そのかわいらしさが引き立っている。

 僕の言葉を聞いてからはウマ耳をちょっと後ろに向け、いらだっている様子だけど。

 

『有馬記念を見るから忙しいし、冬休みは帰省するのが多いからトレーニング設備を自由に使えるんだよ。それはわかるだろ?』

「わかるけど、たまには会いたいんだ。前に会ったのは正月のときだけだから」

 

 低めではっきりしている声が、僕への不満げな感情を込めて耳へと入ってくる。

 エースが練習熱心なのは理解できる。こっちに戻ってきてもトレーニング施設は距離があるし、設備もトレセン学園と比べれば整っていない。

 

『あたしだって会いたいし、岩手の自然を見たい。でもそういうのは我慢しているんだ。もうすぐ京都新聞杯に出るし、その次は菊花賞だ』

「それが終わったら会える?」

『……わからない。このまま話をしてもいらいらするだけだ。また来週電話する。おやすみ、ヒロ』

 

 エースは僕の名前を呼び、こっちの返事を聞く前に電話を切った。

 ひどくため息をつき、落ち込んでしまう。こっちはエースを好きなのに、向こうはもう恋愛感情を持っていないんじゃないかと思ってしまう。

 恋人になったのも僕が告白してからだし。

 このままだと別れを切り出されるか、自然消滅になりそうだと思ってしまい、深いため息をつく。

 スマホを床に置き、好きという愛をささやく言葉も滅多にないなぁと考えながら寝転がる。

 天井を見上げ、ぼぅっとしているとエースからの拒絶から心が少しずつ落ち着いてくる。

 

 エースが帰ってこれないなら、こっちから会いに行こう。

 そう思ってスマホで新幹線の料金や高速バスとホテル代を調べては高いことにため息を出す。新幹線と電車を使い、往復で大体三万円。夜間バスならもう少し安いけど。

 

 親から小遣いをもらってはいるけど、バイトをしていないしエースにはことあるごとにプレゼントを贈っているので溜まっていない。高校のテニス部を辞めてバイトをしようかと考える。

 でも部活は楽しいし、会っても歓迎されないんじゃないかと思ってしまう。

 誕生日プレゼントを贈るだけでもお金に悩んでいるし、別な方法でもいいかもしれない。

 

 スマホをそこらに投げ出し、静かな部屋に響く虫の声。

 秋になると、自宅周辺の草むらから虫の鳴き声が盛大に響く。うるさくて寝るのにも苦労しそうなほどに。

 でも今はいつも聞いている声が落ち着く。

 エースとは電話をしたばかりなのに、すぐに声を聞きたい。エースが作る料理もおいしい。

 

 ……会いたい。

 こんなにも好きだという気持ちがあふれているのにうまくいかない。遠距離恋愛はうまくいかないというのは、小説や漫画、ドラマでは知っていたけれど。

 友達に相談しようにも遠距離恋愛をしている人なんていないし。

 何をしても空回りをしているので、しばらくは時間を空ければいいかなぁ。

 これからの方針が決まったところで、エースとの記憶を思い出す。

 

 エースとは幼稚園からずっと一緒にいて、男友達のような子だった。

 何をするにも一緒にやっていて、テレビゲームやテレビでウマ娘レースの鑑賞、農作業にエースがランニングをするのにも自転車で付き合っていた。

 小学校を卒業し、エースがトレセン学園へ行って離れ離れになるときはお互いに寂しがっていた。

 だから連絡は頻繁にするし、日常生活の写真をたくさん送りあっていた。

 

 僕たちが恋人になったのは、エースが中等部2年生になって夏休みに岩手へ帰ってきたときだ。

 2年生になると、男の子っぽさが消えて女性の雰囲気が出てくる。ルームメイトであるメジロパーマーさんに教えてもらった化粧や肌のケアで美人になっていた。

 いや、美人というよりはイケメン美少女のほうが正しいかも。黒髪もつやつやになっていて、いい匂いもするし。

 そんなエースが僕の前で踊ったときは、今まで見たことのない姿に恋心が芽生えた。

 急にどきどきとしはじめた感情に初恋だと気づき、自分はきちんと恋ができる男だったんだなと変な安心感があったっけ。

 

 そういう感情を持ってすぐに告白をし、エースは目を見開いて十秒ほど固まってから返事をもらい、付き合うことになった。

 嬉しさがいっぱいよりも、告白を受け取ってもらえて安心した気持ちが強かった。

 その気持ちになったのは今まで同じ時間をずっと過ごしてきたから、遠く離れていても一緒にいてもいいのを認めてもらえたから。

 恋人になっても大きく付き合いは変わらず、変化は手を恋人つなぎで握るように変わったぐらい。

 記憶を思い出すほど別れたくないなぁと気持ちが大きくなっていき、でもどうすればエースと仲が戻せるのかがわからない。

 

 落ち込みながら寝て、次の日はエースからの連絡がなく、昨日と同じように自分の部屋で落ち込んでいた。

 さらにその次の日。電話をしてから二日後の金曜日の朝にメッセージを送っても読まれただけで返事はつかない。

 恋人関係が自然消滅の危機だけど、あきらめの気持ちが大きい。

 僕の方から好きだよ、と言葉を言うことは多いけど、エースからは滅多になかったし。

 食事とシャワーを終えてからパジャマに着替え、自分のベッドの上でごろごろしながらスマホで動画を見る。時間は午後9時でこのあたりならエースも練習を終わっているだろうと思ってメッセージを送る。

 わがままいってごめん、と言った内容を送るも返事がないどころか、見てもらえてすらいない。

 

 天井を見上げ、ぼぅっとしていると部屋の外から扉越しに母から声がかけられた。

 エースちゃんがきたよ、と。

 聞いた瞬間、勢いよく起き上がると急いで部屋を出る。

 どたどたと足音を鳴らして行くと、玄関の中側に入って立っている、ものすごく会いたかった恋人のエースがいた。

 

 エースは制服姿で、肩からはボストンバッグをひとつ下げている。

 走る練習で忙しく帰ってこれないと言っていたのに、エースが今ここにいる。

 来たことが予想外すぎて、頭がまっしろになってエースがここにいるのは現実か? 僕が寂しすぎるあまりに幻覚でも生み出したんじゃないかと思ってしまう。

 僕と目が合うと、いつもの明るい笑みを向けてくれず、ウマ耳を不安そうにぐるぐると回し、顔をそむける。

 

「……エース」

「こんな時間に来て悪いな、ヒロ」

 

 エースが僕の名前を呼んでくれたのが嬉しく、電話越しじゃない声を聞けたのはすごく嬉しい。

 色々と聞きたいことがあるけど、どうすればいいんだろう。

 もう少しで時間は午後10時になるし、年頃の女の子が男である僕と一緒にいるのは恋人といえどよくないだろうし。

 もしかして、今から別れ話をされる? 

 

「えっと、用事はなに?」

「あー、少し時間がかかるからお前の部屋に行ってもいいか?」

「いいよ。あ、おばさんに連絡した?」

「いんや、うちのかあちゃんはあたしが帰ってきたことは知らない」

 

 実家に帰ることよりも先にこっちへ来たってことは、さっさと片付けたいことがあるってことだと思う。

 自分の部屋へ戻る足取りが重く、僕より先にエースが歩いていく。

 後ろからついていくと、エースは僕の部屋に入っていく。

 エースがぐるりと部屋を見回すなか、部屋のドアを閉めるとベッドへと腰掛ける。

 そうしてエースがこれから何をするか不安に思いながら見つめていると、エースはある一点で目が止まった。

 

 それは本棚が置いてある場所で、エースのポストカードをフォトフレームに入れて飾っている。その隣にはシービーと仲のいい、ミスターシービーのポストカードがフォトフレームで置いてある。

 エースはむっとした表情で不満そうに手を伸ばすと、ミスターシービーのフォトフレームを倒した。

 

「エース?」

「あ、いや、これは……。そう! シービーに見られていると思うとなんだか落ち着かなくてな!」

 

 理由のわからない行動をしたエースは慌てて言い訳をした。

 普段からシービーはライバルだと言っていて、一緒に走ることや遊びに行くこともある。なのに落ち着かないだなんて。

 でも少し考えると納得する。

 シービーのポストカードを見ての落ち着きのなさ。これはシービーに恋をしているのかもしれない!

 僕が通う高校でも女の子同士が仲良く恋人ごっこをして楽しんでいるのをよく見るし。女子ばかりのトレセン学園なら、なおさらだ。

 

 エースは部屋の中をぐるぐると2回ほど右回りで落ち着きなく早足で歩いてから、ボストンバッグを床に置いてから僕の目の前にあぐらで座った。

 そのとき、スカートと白いハイソックスの間にある健康的な足が色っぽく見える。

 つい見てしまう足から視線をあげると、エースの真面目な目と見つめあう。

 

「まどろっこしいことは嫌だから、前置きなしに言うぞ。いいか、しっかり聞けよ?」

「いいよ。もう覚悟はできているから」

「好きだ。あたしはヒロのことが大好きだからな」

 

 別れ話を言われると思っていたから、突然の言葉にぽかんとしてしまう。

 でも好きだと言われたことを理解すると、嬉しさと安心の気持ちで深く息をついてしまう。

 

「僕も好きだよ。別れようって言われるかと思ったよ」

「それはごめん。今まであたしがうまく気持ちを伝えられなかったから」

「いいよ、別に。それで用事はなに?」

「終わったぞ。好きってのは滅多に言わなかったけど、恥ずかしかったんだ。それでうまくいかなかったから、はっきり好きだと言いたくて」

「そのために学園から来たの?」

「ああ。一人で悩んでもどうやって仲良くできるかわからなくて、今日シービーに相談したら会いに行けばいいって言われたから授業が終わってから来た」

 

 トレセン学園の授業が終わるのは三時半。そこからこうやって来てくれたのが嬉しい。

 

「あたしは別れる気は全然なかったんだが、お前が別れ話を言われると思っていたんだから来た価値があったってもんだな」

「だって、エースから好きだって言ってくれるとか、愛情を感じるのは滅多になかったし」

「なんだよ、それ。……あたしがどれぐらいお前のことを好きか教えてやる。これからおっぱいホットアイマスクをやる。シービーやマルゼンたちが言うには、顔を胸に押し付ければ男はイチコロだってさ」

「なにそれ」

 

 おっぱいホットアイマスクなんてのは初めて聞いた言葉だ。ホットアイマスクは目を休めるのに使うけど、それを胸でやる?

 ウマ娘は人間と比べれば体温は2度ほど高いから、効果はあるのか。あるのか? 体温が高いと言っても人肌だぞ?

 僕の顔をエースの胸にうずめたなんてしたら興奮しかない。僕も含めて男子高校生だと興奮しすぎて変にならないか?

 なるだろう。ならないわけがない。

 特におっぱいなんて言葉を聞いたら、それはもう!

 

「少し待ってくれ。準備してくる」

 

 僕が疑問を頭でいっぱいにしていると、エースはボストンバッグを持って部屋の外へ出ていく。

 準備って何をするんだ。胸で抱きしめるだけじゃないのか。

 小さい頃からエースに抱き着かれ、こっちから抱きしめていたことはあるけど、それは恋人になる前。

 恋人になってからはお互いに意識しすぎて恥ずかしくなり、抱きしめ合うのがなくなった。

 今のエースは胸が大きくなっているし、ひさしぶりにそんなことをされたら僕はどうなるのだろう。

 

 ベッドに倒れこみ、天井を見上げてエースのことしか考えられないでいると、5分は経ってからドアに軽いノックの音が響く。

 体を起こし、深い呼吸を三回して心を強引に落ち着ける。

 

「入っていいよ」

 

 返事をすると、小さく扉が開いてエースが入ってきた。

 エースの服装はさっきまでの制服ではなく、下がジーパンで上は長袖の白いシャツだ。

 そのシャツの上から胸のあたりをすごく恥ずかしそうにしながら両腕で抑え込んでいる。

 

 いつも言いたいことははっきり言葉や態度に出し、細かいことは気にしないエース。

 なのに今はいつもと違う。なんていうか、別人のように思えてしまう。

 僕が告白したときよりもはずかしがる姿はとてもかわいく、いつもと違うギャップに心がときめいてしまう。

 そういうエースの姿を見るだけでも色気がある。素直に言うなら。、すごくえっちだ。

 もう胸にしか目がいかない。普段から女性の胸はよく見てしまうけど、今は胸だけを見てしまう。

 普段の活発なエースと一緒にいても見ることは少ないのに。

 

 裸じゃないのに、仕草だけで色っぽくなるなんてすごいと視線を胸にくぎ付けされながら感心していると、エースは早足で僕の前へやってくる。

 胸ばかり見て顔を見ていなかったから、どんな表情をしていたのかわからない。

 

「お前はじっとしてろ。あたしだけを感じていればいい」

 

 顔をあげようとしたら、エースはそう言って座っている僕の顔へと胸を勢いよく押し付けてくる。そのまま腕をまわして、ぎゅっと抱き着いて押し倒してきた。

 突然の行動に体を支えることもできず、シャツ越しに体温を感じたと思った瞬間にはされるがままに僕の体はエースの下に。

 なに、このシチュは。こんなのは少年漫画やラノベぐらいでしかない。

 頭では冷静に状況を把握しながらも、目に見える視界はエースの胸でいっぱいだ。

 少し前にブラはDカップを使っていると言っていただけに、顔を埋められるほどに大きい。

 

 集中するために目を閉じる。

 大きい胸の感触はシャツのざらざらとした感触とブラ越しの胸……じゃない。ブラとは違うやわらかさがある。たとえるなら、発酵前のパン生地のような。またはできたての肉まんだ。

 今年の正月に抱きしめてもらったときとは違う。と、いうことはノーブラだ。

 このTシャツ一枚の向こう側にはやわらかいエースのおっぱいがある。

 なんでこうなったんだ、と混乱しながらエースのおっぱいのやわらかさと、甘酸っぱい香りを感じる。一瞬だけグレープフルーツを連想するぐらいに。

 

 胸からの香りは爽やかな優しい匂いをしていて、ずっと嗅いでいたくなる。

 そんな香りに包まれながら、目はエースの体温で段々と温まってきた。

 

「こんな恥ずかしいことをするぐらいにお前が好きなんだからな。わかるか?」

 

 エースの愛情がよくわかり、返事をしようとするもこの態勢だとうまく言葉が出ない。

 呼吸をするたびにエースの香りを吸い込み、頭がくらくらとする。

 

「くすぐったいって。あ、嫌だったら離れていいからな?」

「嫌じゃないよ。エースの気持ちはわかったよ」

 

 僕の上に乗っているエースの背中に手を回して優しく抱きしめ、鍛えられた筋肉があるのを理解する。

 今までは走っているところをテレビで見て、遠い存在だと思っていたけど手でふれられるところにいるとなんだか安心してしまう。

 エースはどんどんと成長していき、レースで勝ち、テレビに出て有名になっていく。

 今になって自分が不安になっていく理由が理解していく。置いていかれる不安があったんだと。

 

「僕もエースのことが好きだからね」

「わかっている。また不安になったら言ってくれ。すぐに駆け付けるからさ」

「今度は僕のほうから行くよ」

 

 顔の向きを変えると、トクントクンと少し速い心臓の鼓動が聞こえた。

 この音はひどく心を落ち着かせてくれる。

 雨や波の音と同じように自然音だからだろうか?

 エースの重さを感じながらこうしていたい。

 

「ヒロの髪、いい匂いがするな。どきどきしてくる」

「そう言われると恥ずかしいんだけど」

「いい匂いがする人とは相性がいいって聞いたことがあるから、喜べって」

 

 嬉しいは嬉しいけど、今の状況でエースの匂いがいいと言ったら変態にならないだろうか。

 胸に顔をくっつけているし、おっぱいが好きなだけの男と思われてしまう。

 そう思われないように態勢を変えるため、僕はエースを抱きしめたままで横へと倒れる。

 するとすぐに僕を力強く抱きしめてくれた。それは嬉しいんだけど、ウマ娘特有の力強さのため体が痛い。

 この力強い痛みこそ、エースが僕を求めている強さに比例すると思う。

 だからこそ、男なら我慢するべきだろうけど鍛えられた肉体に対して貧弱な僕では対抗できない。

 抱きしめてくる腕をゆるめてもらおうと、背中を優しく叩いて教えるけどエースの力は弱まることはなかった。

 

 なので、抱きしめるのをやめてウマ耳へと手を伸ばすことにする。

 エースの胸に顔をうずめたままなので、背中と首、頭をつたって耳をさわる。

 そのときに、びくんと震えて僕を抱きしめる力が弱まるけど、苦しさはちょっとやわらいだだけだ。

 もっと力を弱くして欲しいのと、やわらかい胸で抱きしめてもらってばかりはちょっと心苦しく、エースにも喜んでもらいたい。

 と、いうことで始めていくウマ耳マッサージ。

 

 外側から優しくなでるようにし、耳の外周部のこりこりしている部分は指でしっかりと揉んでいく。

 それだけでなく、耳の内側も指で押していく。

 驚かせないようにいきなり耳の中へ伸ばすのでなく、時間をかけて耳の内側へと指を進めていく。

 

「ん、あっ♡」

「エース?」

 

 初めて聞くエースのいろっぽい声に驚き、僕を抱きしめる腕の力が弱くなったのを感じて胸から顔を離す。

 ふたつのおっぱい越しに見るエースの吐息は色っぽく、もっと聞いていたいと思ってマッサージを続ける。

 

「あっ、いっ、んっ♡ やめっ♡」

 

 いつも強気なエースが、僕の手でかわいくなるのが嬉しい。

 もっと声を聞きたく、マッサージを続けていると抱きしめる力がなくなって荒い息をしながらうるんだ目で見つめてくる。

 いけないことをしている気分になってきたから耳をマッサージする手を止め、エースの頭を撫でることにする。

 息が荒くなっていたエースは少しずつ落ち着いていき、僕と目が合うと恥ずかしさを隠すように僕の頭を抱きしめてきた。

 そうされると顔と胸が密着していき、マシュマロのようなやわらかい感触の胸をまた感じるようになる。

 

 ――エースの胸に顔をうずめてから、どれぐらいの時間が経ったんだろう。

 ぼぅっとエースの胸の中で息をしているうちに頭が眠くなってくる。

 あたたかいおっぱい、好みの香り、心臓の鼓動、いつのまにか僕の頭を撫でてくれる手。

 それら全部が重なって、意識がぼんやりしてくる。

 

「ごめん、エース。すごく眠いんだ」

「気にせず寝ていいぜ? ゆっくり寝てくれよ。あたしが帰るのは明日だから、話はまたできるし」

 

 エースが子供をあやすかのように僕の背中をぽんぽんと優しく叩いてくる。

 その心地いいリズムで次第にまぶたが重くなっていく。

 意識が眠りについていくなか、エースと会えたことが嬉しかった。

 愛し合っていることもわかり、別れる心配はない。

 色々と嬉しいことがあり、胸の温かさと落ち着く匂いに包まれながら幸せな気分で僕は寝る。

 

 

 ◇

 

 

 僕がいつも使っている、嗅ぎなれた匂いがすぐ目の前からする。

 ぼぅっとした意識で目を開けるとベッドの中で見る部屋は薄暗く、カーテンの隙間からは朝日が差し込んでいる。

 すぐ目の前には髪をおろしたエースが目の前にいて、あまり見ることのないセミロングヘアの姿が新鮮でいつもよりもかわいく感じる。

 服は胸に人参のワンポイントがある、青色のパジャマを着ている。

 昨日見た制服やTシャツ姿ではない。

  

 なんで同じベッドで寝ている? 昨日、エースは実家に帰ったんじゃなかったっけ。

 僕と同じ匂いなのはなぜ。

 もしかして、意識がないうちにえっちなことはしてないよな?

 一気に背筋が冷たくなり、やばいことをやったかと恐怖していると、エースがゆっくりと目を開けた。

 

 僕と目が合うとふにゃりとした、やわらかい笑みを向けて抱きしめてくる。

 昨日と同じように僕の顔はエースの胸へとくっつき、でも昨日とは違う、やわらかくない感触だ。

 これはブラだ。それにちょっと残念な気持ちを持ってしまい、でもブラをつけていると変に興奮しないという安心がある。

 

「エース、起きて。息苦しいんだけど」

「んー……あー……ごめん、悪かった。ナイトブラをしてたからな。感触が悪かっただろ」

「そうだけど、そうじゃない。なんでいるのさ」

「帰るのは明日って言っただろ?」

「実家に帰ると思うでしょ、普通は。それに僕と同じ匂いをしているし」

「ヒロのお母さんが泊まっていいよって言ってくれたんだ。それでヒロが使っているシャンプーを借りたんだ」

 

 エースの甘酸っぱかった匂いが、僕の使っているシャンプーで上書きされるのは、まるで自分のものとなったようで気持ちが満たされる。

 実際に恋人なんだけど、遠距離恋愛をしていると会うことが少ないから、こういうのは嬉しい。

 自分と同じ匂いをさせていると、すごくドキドキする。

 

「なんかすごく恋人らしいことしてるって自覚がするんだけど、エースはどう思う?」

「あたしもだ。これからはもう少し会いに来る回数を増やす」

「こっちからも会いに行くよ」

 

 今までは理解することと相手のことを考える気持ちが足りていなかった。幼馴染だから相手もわかるだろうと思っていたけど、うまくいかなかった。

 僕とエースは新しくルールを決めた。

 連絡の頻度、相手を束縛しない、言葉で愛情表現を伝え、記念日や誕生日は大事にしようということを。

好きな胸の大きさは?

  • A・B
  • C・D
  • E・F
  • G以上
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