ヤコブの梯子   作:ハイアーバット

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 結局GW中に投稿できませんでした。申し訳ありません。
 ユニティ側での修行中、デバッグをしていたのですがそれですっかり意気消沈していました。


ケテルside:2 カイン(落ちぶれた剣の鞘)

 響は死神に刃を振りかざした。死神は倒れた。その感触は見た目は奇異であるというのにあまりにも人間的だった。響は返り血を浴びた。その返り血は真っ赤で普通人間の血は赤黒く見えるが、真っ赤に見えた。

 だがそれでも感触は人間的であったために響は人間を殺したような感覚になった。

 響は何度も刃を振りかざした。百を超えたあたりで死神の頭がとれ、死神の頭の包帯がとれた。頭は幾つもの穴が塞がったかのような顔だった。それ以降も死神の身体全身をめった刺しにした。刺すたびに彼女の中に復讐心が沸き上がった、そしてそれに自らの身をゆだねた。倫理が働くことはなかった。

 今まで生者を食い物に自分の欲求を満たし続けた死神は食い物たる生者に、これまた生者の欲求を満たすために殺された。

 響は死神を切った感触があまりにも人間的であった為、切る度に自分の大切なものが切り取られるような感覚を覚えた、がそれよりも憎き敵を打ち取った快感が勝った。

 復讐鬼という名の狂気に陥った艦娘は勝ち誇ったような顔をしてこう言った。

「終わったよ、皆」

 その時、物音が聞こえた。響は物音がした方向を見た。人だった。それも幼い少女である。

 その幼女はこのような様子だった。手には7つの錠前がついた巻物を持ち、法衣を纏い、怯え切った目をしていて身体全身が恐怖で震えていた。

 正常な者であるならここで幼女に対して優しく接してやっただろう、正常であるならば。

 しかしここに居た生物は二人だけである。狂気に陥った艦娘と恐怖に震える幼女である。

 そして果たして、人殺しという復讐を達成した狂気の復讐鬼に何の意識が宿るのか。響は罪人として、犯人としての意識しかなかった。

 響は『見られた』と思った。さっきまでの達成感と激情が嘘だったかのように冷えていった。みるみるうちに顔が青くなり、手が震え始めた。

 響は無意識で彼女に刃を振り下ろした。幼女はただそれを遮るように手を掲げただけだった。

 脳天が割れた、彼女はとうとう本物の返り血を浴びてしまった。その返り血は響を正常な者へと引き戻してしまった。

 響は自分がやったことに気づいた。彼女は自らの保身のために罪のない幼女を殺したのだということに気が付いた。響の手足の震えはさらに高まった。

 途端に響は部屋全体から幾つもの刺すような視線を感じた。その視線は所詮ただの視線であるが、確かな質量をもった視線だった。

 響は辺りを見回した。パーティー風に飾られた腸に取り付けられた幾多の目が、血走った憎しみのこもった目が、響を見ていた。その目は罪人を糾弾する人々の目のようだった。

 響は力なくへたり込んだ。そして死神の顔が視界に移ってしまった。

 死神の顔にはギリシア神話のアルゴスさながらの幾つもの目がいつの間にか出来ていた。

 その目は夢を打ち砕かれた若者の絶望の瞳であった。その目たちは所詮死体の目であり言葉を発すことはなかった。だが言葉を発さないことは存在の否定にはならないだろう。

 響は死神の顔が視界に写った時にその視線に耐え切れずに逃げ出した。

 大きな音を立てて乱暴に扉を開き、あらん限りの力で走り続けた。

 響はどこへと行く気もなかった。人を殺した今、彼女は誰かと関わる気が起きなかった。

 その途中で過去の仲間と遊んだ場所を見た、彼女は誰かと遊んでいることは思い出せたがその中の記憶の者ども全てが顔が黒く塗りつぶされて顔で判別することができなかった。声も聞こえなかった。

 やがて響は澄み切った川にたどり着いた。そこに来て足がフラフラになり、自分がちゃんと歩けているのかさえ分からなかった。

 響は川に写る自分の姿を見た。

 そこに写ったのは今までの自分ではなかった。身長が伸び、人型であったが肌は燃えカスのようで灰のような色と黒い木炭のようなものが血管のように彫り込まれていた。服はボロボロに劣化した軍服となっていたが灰で汚れ、胸には勲章のような銀色の何かがあったがそれは錆びていた。顔も体と同じような色であったが鳥が羽を畳んだような刺青がされ、目と口と鼻はなかった。持っていたナイフは長い棒状の物になり、肌と同じ色をしていた。

 その姿を見て響と定義されていた者は悟った。あの時殺しをしたときに過去の自分も一緒に殺してしまったんだと。

 そのようなことを悟った時にぶり返してきた疲労によって倒れた。過労によって自分の意識を食われる時に響は救いを求めるように手を伸ばした。その手を取るものはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 不死鳥の羽根、それは彼女が護るべき者たちであり、仲間達だった。しかしそれらの羽根は自らの欲求を満たす不吉な命の狩人にむしられ続けた。そして最後には自ら最後の羽根をむしり取ってしまった。

 翼はあっても羽根のない鳥が飛べるだろうか。何も持っていない生まれたばかりの姿と同一な状態でどうして一人で生き残れるだろうか。鳥は羽根がなくては飛べない。だからと言って羽根だけで飛べるわけではない。

 不死鳥は飛べなくった。彼女はこれより地を這う者になる。栄冠と友情と希望の物語であふれた(過去)に背を向けて。




 これは全く関係ない話ですがウマ娘を通じて実在する馬を調べているのですが彼らはとても素晴らしいですね。いつか携わった人々に関しても調べてみたいです。
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