米の女神と風の竜   作:春谷

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はじめての種籾選別

「さ~て今日は種籾選別じゃ」

「よろしくお願いします!」

 

今日も今日とて女神と姫は

二人仲良く田んぼの仕事。

とはいえ今日は種籾選別と

そこまで重労働ではありません。

 

それゆえサクナヒメはいつもと違う様子

その両の眼に普段ない光を纏う異物

 

そう、伊達メガネです。

先生役ならこれがなくっちゃとなぜかフレイが段取りしてくれました。

無下にする訳にもいかずかけましたが、どうにも落ち着きません。

まぁ普段かけませんし、視界の端にフレームが見えますし

なによりも

冷静沈着を人にしたような、しかしにこやかな好青年たる王子アーサーが

あのアーサーが妙に挙動不審だったこともあり

なんとなーく居心地が悪いのです。

やっぱり変なのかのぉ? と

 

まぁ事実は生粋のメガネストたるアーサーが

たまたま追加の種籾を届けに来たら

たまたまメガネ女神とエンカウント

そのマリアージュに感動にうち震えていただけなのですが。

不幸なすれ違い交通事故でした。

(忘れがちですがサクナヒメはとっても立派な美少女神です)

 

それはさておき種籾です。

種籾選別とは泥や塩などで比重を上げた水の中に種籾をいれ、

軽い、すなわち質の低い種籾を除去する行程です。

幸いにして、大は小を兼ねるといわんばかりにアーサーはたっぷり五壺ほどの種籾を段取りしてくれたので、今回はわりとしっかり選別しました。

選別用の壺にたっぷりの水とそこそこの塩をいれて、

ぐーるぐーるとかきまぜれば選別完了です。

 

万事つつがなく終わりました。

目をギラつかせている姫を除けば。

 

「種のレベルが上がってる……!」

「れべる?」

「え~っと、そっちでは格?って言ってたかな?

良い種になってる」

「ほー?そういうこともあるんじゃのぉ、わしにお主に見えぬものが見えるように

お主にもわしに見えぬものがあるんじゃの……どうした?震えて」

 

意外に寛容なサクナヒメ

ヒノエで大人(大神?)になったのでしょう。

というのもヒノエでは助け合いが命

彼女は万能ではなく、あくまで武と豊穣の女神ですから

姫と違い鍛冶も縫製も料理もできません。

そんなサクナヒメはぷるぷる震えるフレイをみてこてんと首をかしげます。

 

「すごい!すごいよサクナちゃん!

こんなに簡単にレベルがあがるならもっと早く教えてよ!」

「しらんわい!そんなに苦労しておったのか?」

「ある程度までは上がるんだけどね、そこからが大変なんだよ!

肥料をあげたり収穫できる状態になっても熟すまで置いておいたり、そしたら枯らしちゃったりね。

やったー!これでカブのレベルがもっと上げられる!」

 

この世界でカブは極めてポピュラー

旨い。(収穫が)早い。(種が)安い。

三拍子そろった作物です。

フレイもこの町に降りて真っ先に育て、なかなかのレベルまで育てて来ています。

しかしその成長の早さからレベルをしっかり上げるのはまぁまぁ大変な作物でもありました。

 

まぁポピュラーはポピュラーですが邪教の類いが発生している世界線ではありません。

精々カブのレベルが上がると聞いたフレイのおめめがちょっとぐるぐるするくらいです。

ちなみにメガネストたるアーサーはカブ王子でもありますがまぁこの世界の王子ですからそれもやむなし。

 

「やったー!やったやったー!

サクナちゃん!貴女が神か!?」

「神じゃと言うておろうに!」

 

そんなわけで喜びのあまりサクナヒメの脇を抱きかかえくるくる回るフレイでした。

ものすごい勢いでぐるぐる回されながら、

(選別される種籾はこんな気持ちなのかのぉ)

なんて思うサクナヒメなのでした。

 




種籾選別:塩水選
育苗:薄撒き

フレイは選別壺を手に入れた!
同種の種二つを投入することで平均+1のレベルの種を得る
これにより入手した種には選別済みを示す★マークがつく。
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