数時間後
秋雪鎮守府医務室
秋雨「・・・電」
電「は、はい・・・」
秋雨「無茶、しないようにって言ったよね?」
電「はい・・・」
秋雨「で?」
電「無茶がないよう努力しました・・・」
秋雨「はぁ、結果的に敵艦隊は壊滅、捕虜も捕獲して戦果は上々、航空隊は被害が大きいことは知っているから別にいい。だけど、負傷を隠したまま報告はするな」
電「はい・・・。ごめんなさい」
秋雨「しかも腹部にだから下手したら死んでたよ?」
電「はい・・・」
秋雨「それに、響よりも先に突撃したんだって?なんで同時にしなかったの?」
電「だって、響お姉ちゃんがもし死んじゃったら・・・それだったら私の方が・・・」
秋雨「電!」
電「ひゃい!」
秋雨が急に怒鳴り、電は涙目になった。
秋雨「命を無駄にするな。電はここの第一艦隊旗艦でもあり、秘書でもあり、副司令官でもあるんだから・・・」
電「て、提督・・・」
秋雨「頼む・・・無事で、毎回帰ってきてくれ!」
秋雨は電を抱き締めた。
目からは涙が流れていた。
電「提督・・・ごめんなさい。私、要らない子だって思っていて・・・」
秋雨「そんなことはないよ。実際、今日の作戦も成功させる作戦をたてたのは電でしょ?」
電「確かにそうなのです・・・。じゃあ、提督、これからは、帰還してきたら、その、頭を撫でて、なのです・・・」
秋雨「うん、いいよ」
そう言って電の頭を撫でた。
電「提督、ありがとう、なのです」
秋雨「うん、いいよ。でも、今日はもう休んだほうがいいね。お休み」
電「はい、お休みなさいなのです」
秋雨はそう言って医務室を出た。
部屋の前には吹雪が立っていた。
吹雪「提督、お疲れ様です」
秋雨「吹雪もお疲れ様。それで、どのぐらい救助できた?」
吹雪「確認しましたが・・・全員救助できました」
秋雨「そうか。意外と生存率は高いんだな」
吹雪「そうですね。そういえば捕虜にした深海棲艦はどうですか?」
秋雨「あぁ、命に別状はないから目覚めたらいろいろ質問する予定だよ」
吹雪「なるほど。ところであれの様子はどうですか?」
秋雨「順調だよ。あとは試験飛行ぐらいだけど、どうするか・・・」
吹雪「う~ん、どうしましょうかね?」
秋雨「まぁ、明日考えよっか」
吹雪「そうですね。あ、私はこれで」
秋雨「うん、今日はお疲れ様。お休み」
吹雪「お休みなさい」
2人はそれぞれの部屋に向かっていった。
翌日
秋雪鎮守府会議室
深海棲艦「・・・なんだ?」
秋雨「名前はあるかい?」
深海棲艦「ワ級空母1022-3」
秋雨「それじゃあ、イサさん。これからいろいろ質問します」
イサ「・・・まあいい、それで、これは拷問か?」
秋雨「拷問なら、俺一人では来ませんよ。これは緩い尋問です。あなたには拒否権も黙秘権もあります」
イサ「変わってるな。私がお前の立場なら殺すか拷問にするぞ?」
秋雨「俺は別にそちらの隠したい情報とかは要りませんから。ただ、いくつか質問に答えてもらいたいだけです。もちろん、これが終わったらあなたの要望さえあれば帰しますが」
イサ「・・・どうせ、帰っても死んだ扱いされるんだ。いいだろう、質問に答えよう」
秋雨「それじゃあ、まずはあの艦隊の目的はなんだったんですか?」
イサ「ここの爆撃。どうせたいした戦力がないと思って戦闘機と爆撃機しか持ってきていなかったが、まさかああなるとは思ってなかった」
秋雨「こちらも前線にいることは分かっていますから。それで、あの大規模戦争のあと、そちらの復興は順調ですか?」
イサ「ああ、だがたった一個の基地も陥落できないことに切れたのか作戦に関係していた上の連中はだいたい殺されたよ。おかげでまともな指揮ができてない」
秋雨「なるほど。では次に・・・」
秋雨と深海棲艦にその後もいくつかの質問をした。
そして、時間は淡々と過ぎていった。
秋雨「・・・そうですか。では質問は以上となります」
イサ「じゃあ、こちらからも質問してもいいか?」
秋雨「なんでしょう?」
イサ「かなり遠いところに仲間が捕まっていたらお前たちは助けに行くか?」
秋雨「もちろん、しかしなぜそれを?」
イサ「・・・その様子だとここではないか。実は、私のいた基地に艦娘が一人いてな、お前達ならどうするかと思っただけだ」
秋雨「・・・詳しく」
イサ「ああ、その艦娘は・・・」
その後、秋雨は深海棲艦から詳しいことを教えてもらった。
そして、その日の午後に作戦参加員を集め作戦会議を行った。
秋雨「よし、急にで悪いが明日ここに行き捕虜を救助する。メンバーは今ここにいるやつだ」
響「提督、私達だけでやれますか?」
三日月「そうですよ。2人だけって・・・」
秋雨「仕方がない。あまり多くいるとばれやすいからね」
響「・・・まず、遠いね」
秋雨「うん、距離は8000㎞だ。普通だと相当な時間がかかる。なので他の手を使う」
三日月「では、どうするんですか?」
響「・・・あれですか」
秋雨「うん。諜報課の2人は知ってると思うけど建造できたあれを使う」
三日月「なるほど!それはいいですね!」
秋雨「でしょ。それでここまで・・・」
作戦会議は数時間行われ、出発を今夜午前0時に決まった。
それまでの間に2人は準備をした。
そして、2人は準備を終えると車に乗り基地を出た。
秋風島地棒通り沿いの喫茶店
2人は基地を出て、通りにある小さな喫茶店に入った。
店主「やぁ、お二人さん。いつものかい?」
響「うん、頼むよ」
店主「あいよ。それにしてもその格好、これから出撃ですか?」
響「うん。真夜中にね」
三日月「帰ってきたらここに来ますから、大丈夫です!」
店主「そうかい。ここはあんたらぐらいしか来ないからな、死ぬんじゃないぞ。ほいよ、お待ち。あと、これはおまけだ」
そう言って三日月にはカレーとサラダを、響にはお酒と唐揚げを出し、その間にサラダが置かれた。
そして、雑談をしながら食事した。
響「ご馳走さま」
三日月「ご馳走さまでした!」
店主「あいよ。っと、もうこんな時間。早く帰ったほうがいい。特に響ちゃんは酒を抜かないとな」
響「そうだね。それじゃあ、運転は三日月、頼めるかい?」
三日月「はい!任せてください!」
響「それじゃあ、また来るね」
店主「ああ、気を付けてな」
そう言って2人は店を出た。
辺りはすっかりと暗くなっていた。
三日月はそのまま基地へ車を走らせた。
そして、時間は流れ、皆が寝静まった頃。
秘密裏に造られた格納庫内では、最終整備が行われていた。
秋雨「よし、第一エンジンも異常ないと・・・ん?来たか」
響「うん。準備はいいよ」
三日月「はい!それよりもこれが・・・」
秋雨「うん、三式特型輸送飛行挺、雷鳥」
秘匿飛行艇、雷鳥。
秋雪鎮守府の技術力を全て取り入れた超大型飛行艇だ。
全長120m、全幅300m、全高25m、総重量950tという大きさを誇り、主翼は片翼120mと巨大だが格納時は主翼を20mにまで畳むことができた。
武装には、連射性が高い25㎜連装機銃を上部に4基、側面に8基ずつ計20基、30㎜連装機銃を前後に1基ずつ、さらに下部には格納式の30㎜四連装機銃を3基搭載してる。
さらに近距離迎撃ミサイルを翼下に10本ずつ計20本装備、機体中央には20t分の爆装が入る爆弾倉を装備し、爆撃機として機能できた。
そして、輸送能力は最大で物資を80t、人員300名を輸送可能。
最高速度は580㎞と水上挺としては高速で上限高度は15000mと高高度を飛行できた。
そして航続距離は予備燃料を積めば20000㎞を飛べた。
エンジンには超大型エンジンを10基搭載しており、馬力は1基辺り、8000馬力を出せる高出力エンジンだ。
装甲は新型航空装甲である鉛入り高圧縮鋼鉄高熱航空装甲を搭載。
軽くて薄いがわずか5㎜の装甲でも25㎜を防ぐ事ができる高性能装甲だった。
そんな装甲板を主翼に50㎜、尾翼に20㎜、胴体に80㎜と分厚くなっており、機銃、機関砲では、貫通もできなかった。
索敵には新型1000式対空電探、500式対地対艦電探、そして、対潜ソナーブイを機体左右に10発ずつ装備し、単機で索敵から攻撃までこなせる、まさに空中要塞だ。
そして、午前0時になり作戦が始まった。
整備妖精「全員下がれ!ドック内注水始め!」
管理妖精「注水完了後、防護扉を開ける!周囲状況知らせ!」
通信妖精「周辺に航空機、水上、潜航艦の反応なし!」
整備妖精「注水完了!カタパルト稼働準備完了!」
管理妖精「防護扉開け!カタパルト固定位置まで前進!」
整備妖精「前進開始!固定位置まで100!」
飛行妖精「カタパルト固定完了!主翼、尾翼展開!」
整備妖精「主翼展開問題なし!尾翼展開問題なし!発射位置まで前進!」
飛行妖精「前進開始!各所異常なし!」
整備妖精「発射位置まで30!20!10!固定、発射位置固定完了!」
飛行妖精「発進準備完了!」
管理妖精「・・・提督、いつでも行けます」
秋雨「了解。響、いつでも行けるか?」
響「こちら響。私じゃなくパイロットに行ってよ。いつでも大丈夫だよ」
秋雨「了解。よし、カウントダウン!」
管理妖精「了解!発射まで10秒前!8、7、6、5、4、3、2、1」
飛行妖精「発射!」
大きな音と水しぶきを上げながら雷鳥は離水した。